JP3675829B2 - 骨接合用の固定部材 - Google Patents

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Description

本発明は請求項1の上位概念に記載された形式の固定部材に関する。
ヨーロッパ特許第409364号明細書から骨接合のための結合部材が公知であり、該結合部材は拡開可能、弾性変形可能なスリーブとして構成されている。スリーブは端面から減径し、かつ縦方向に延びたスリットを有している。スリーブの拡開は回転対称に構成され、打込み方向に(有利には錐形に)先細になったピンによって行われる。このピンの外径はスリーブの最小外径よりも大きく、かつ最大外径よりも小さい。スリーブの周面には種々の形式の歯形部が設けられ、歯形部は例えば鋸歯形のかかり、螺旋形または同心的な突出部から成る。
ピンの打込み時に、結合すべき骨折片内の適切な孔内へ挿入されたスリーブの外側の壁がこれを包囲した骨体(Knochenmaterial)へ押圧され、相応して締付けられる。
公知の整復骨折片の骨接合結合のための移殖では、特に(該結合の安定化作用の品質とは無関係に)達成可能な結合の強度が予見不可であり、かつ縦方向できわめて変動するのが欠点である。
その上にこの部材を固定する際にねじり応力が発生し、ねじり応力はその作用が予見不可であり、かつ結合の強度を低下せしめる。
本発明の課題は、公知技術の欠点から出発して、金属の固定部材の固定特性に近い改善された骨接合の安定化が達成可能である。冒頭に記載された種類の固定部材を見出すことである。
この課題は請求項1の特徴によって解決される。
本発明は、受容開口(孔またはその他の縦通路)内へ挿入可能な骨接合用の固定部材では骨との強固な結合を達成するためにはできる限り一様な力の導入を行わなければならないという知識を包含する。このことは骨折片の固定に、かつ全く同様に靱帯の骨への固定に関する。同じことがプレートの固定についても該当する。ここで従来のねじに代るためには、その拡開だけに基づいて骨の横断領域全体にわたる力の導入を可能にし、しかもそれ自体の強度に過重な負荷がかけられることのない部材が必要である。そのため例えば従来の金属ねじの場合におけるようなねじり負荷下におけるねじ込み(Eindrehen)は考慮外である。
公知の錐形の拡開部材とは異なり、骨体と係合する外表面の全長にわたる相対的な拡張が、外側の成形部(プロファイリング)の形状による確実な結合を生じるのに十分な、できる限り一定の長さ量で拡張されるように配慮されている。横断面拡大は、個々の部分部材の、拡開体の打込みによって先に移動し、したがって移動前面を形成する領域に関する。この場合縦方向において2個、3個またはこれ以上の個数への分割が可能である。部分部材が半径方向ないしは接線方向に自由に互いに相対的に移動可能であることによって、部分部材は孔内への導入のために圧縮位置へ移動せしめられ、この位置では孔の壁へは到達されない。円形横断面の孔の代りに他の、円形ではない横断面およびまたは導入方向に先細になる形状を持つ縦通路も適当である。
部分部材の拡張(できる限り全長にわたって開口内面に当接し、一様な上り勾配のくさび面を有する拡開体によって駆動される)にしたがって部分部材は半径方向の運動を行い、ほぼ全長にわたって壁と接触する頂線(Scheitellinie)が拡開運動時に先に案内せしめられ、かつ全長にわたって全運動行程分壁内へ侵入する。このことは、2つの部分部材の場合には2つの互いに対向した外側領域であり、他方3つの部分部材ではドリルチャックのジョーのそれに似た構造である。ただこの場合ドリルチャックとは異なり内側に位置する円筒形のドリルに対する食込み作用ではなく、外側の壁への食込みである。
優れた実施形では部分部材の外側の湾曲は、この湾曲が拡張された横断面に相応するように選択されるべきである。この場合には部分部材の側線(Seitenlinien)が先ず孔に接するので、相当する領域における横断面を、所定の孔内へできる限り大きな固定部材を導入することができ、かつ相対的な拡張行程をできる限り大きくすることができるように、わずかに減少させると有利であろう。
多角形分割(polygonale Teilung)では拡開部材を相応して多角形に構成すべきであり、外側の部分部材についてそれぞれ相応して同様のすべり面を設けるべきである。
本発明による固定部材を孔内での靱帯または類似のものの固定に使用する場合には、固定部材は有利にはその横断面周部内に相応する部材を導入締付けするための相応する切欠を有している。
プレートおよび類似のものの固定のためには一巡するフランジ状のカラーが用いられる。
特に本発明においては、拡張が全長にわたってほぼ一様に行われ、そのために局所的な過負荷の危険を伴う不一様な固定を生じ得るねじりまたは旋回運動が起ることがないという状況が有利である。
また外側の成形部の深さが達成可能な行程に等しいと有利であり、その結果押しのけられる骨体は構造内部の圧縮領域を使用できる。
優れた実施形によれば、骨接合のための固定部材は中空室を区切る2つの部分部材を備えていて、ほぼ棒状に構成された受容体と拡開体とを有している。骨折片を結合するために骨の孔内へ配置された受容体は、部分部材によって包囲されていて、受容体の全長にわたって延びた中空室内へ拡開体が導入されるとその立方形状を変える。受容体の部分部材は互いに固定的に結合されているのではなく、ガイド部材によって、中空室内への拡開体の導入時に一様な間隔変動が各部分部材と受容体の縦軸線との間でそれぞれこの軸線に垂直な方向に生じるように相互の位置に保持されている。
これによって、上述のように有利な形式で、部分部材が拡開過程によって変形されず、固定部材の外壁と骨体との間において固定部材の全長にわたってほぼ一様な面圧が生ぜしめられることが達成される。
ガイド部材は舌片とこの舌片を受容する切欠とを備えた直線ガイドとして構成されており、ガイド部材はそれぞれ部分部材の互いに面した側にあって、しかも固定部材が骨の孔内へ挿入されるときには、作用的な係合状態にある。
受容体の部分部材間に位置した中空室は4角の、例えば方形の横断面を有し、該横断面は本発明の有利な構成によれば片側の端部領域で中空室開口の方向にくさび状に拡大している。これによって、外科処置間における、棒状の直方体として構成された拡開体の打込みが著しく軽減される。直方体横断面は受容体内の中空室の方形の横断面形状に適合せしめられるが、そのサイドまたは高さの寸法は所望の拡開作用を達成するためには中空室の横断面形状に比較してより大きな数値を有する。受容体の拡大する開口内へ拡開体を導入するためにはさらに、拡開体の導入端部にくさび状の面取り部を設けて拡開体を先細にすると有利である。
中空室および拡開体の4角の横断面は直線ガイドと協働して、拡開体の打込み時に受容体の部分部材の運動が平行性および中空室の軸線に対する鏡像対象の位置の維持下に行われることを保証する。これによって部分部材の、この縦軸線に対して垂直で、互いに反対方向の一様な運動が可能であり、かつ固定部材の外壁とその周囲の骨体との間に固定部材の全長にわたってほぼ一様な面圧を生じる。
本発明の他の実施形によれば、拡開体の、くさび状に構成された端部区分とは反対側の端部が成形部を形成された壁を持っており、この壁は拡開体の好都合な取扱いのために配慮された外科用補助部材のときどきの形状結合および摩擦結合を介しての(form-und kraftschluessig)打込みのための拡大作用面を形成する。そのためには拡開体の縦軸線に対して横方向に延びた、横断面が3角形の成形区分が特に適当である。拡開体の取扱いについては、受容体の長さが拡開体よりもより小さいことが同様に重要である。これによって、拡開体が受容体を既に完全に貫通した状態でも尚拡開体の成形端部は取扱い可能である。
本発明の他の有利な構成によれば、受容体の部分部材はそれぞれ1つの切欠を持った、中空シリンダの縦断面半部として構成されており、切欠は組立て状態の受容体においてほぼ方形の中空室を形成する。部分部材は拡開体が導入される側にそれぞれ1つのフランジ状のカラーを支持しており、このカラーによって、結合すべき骨部分内に形成された孔内における受容体の正確で確実な配置が可能にされる。同様にカラーは簡単な形式で拡開体の打込みが実施された時に受容体が孔内へ押込まれるのを阻止する。
骨体内での受容体の部分部材の形状結合による固定は有利には部分部材の外壁の成形表面によって達成される。そのためには3角形の横断面を持つ半環状に配置されたみぞが配慮される。みぞの数およびまたは形状は、部分部材の縦断面が鋸歯形の境界線を持つように選択される。
本発明の他の構成によれば部分部材は異なる横断面形状を持つ。この場合1部分部材の周部に全長にわたって延びた平面部が設けられている。これにより有利な形式で、骨の孔内へ挿入された状態の受容体において各壁間に自由空間が得られ、この自由空間内へこの骨に永続的に固定すべきもう1つの部材を配置可能である。この手段は、例えば膝関節手術(十字靱帯固定のために腱を固着した骨片がこのような自由空間内へ挿入され、かつ受容体の拡開によって固定される)のために有利な骨接合条件を作り出す。
受容体も拡開体も認容性の生体相容性を持っていて、吸収分解され、かつ射出成形によって製作される材料から成っている。材料としては有利にはポリラクチド、ポリグリコリドまたはこれら物質の右旋性ないしは左旋性のコポリマーが考えられる。
本発明の有利な構成は従属請求項に記載されているかないしは以下で図面に基づく本発明の優れた実施例の説明と一緒に詳説される。
図1は本発明の優れた実施例の拡開されていない状態の正面図、図1aは図1の右側から見た側面図、図2は拡開体(図示せず)打込み後の本発明の優れた実施例の正面図、図2aは図2の右側から見た側面図、図3は拡開体の有利な実施例の側方から見た図、固定部材を挿入された骨領域の略示平面図である。
図1および図1aに正面図と側面図で示された受容体1は、異なる構成を持つ2つの棒状の部分部材2と3から成り、部分部材2と3は同寸法の、軸方向に延びた方形の切欠を有している(図2と図2aの符号9.1および9.3を参照)。部分部材2,3は互いに固定的に結合されてはいない。これらはガイド部材(図2と図2aの符号4および5参照)によって図示の位置に保持され、かつ片側で平にされた中空シリンダ状の部材を形成している。部分部材2,3の切欠は方形横断面を持つ中空室9を区切っており、中空室は受容体1の全長にわたって延びている。中空室9の端部領域には中空室開口の方向にくさび形の拡大部11が設けられている。このために縦長の直方体として構成された拡開体(図示せず、図3の符号20参照)の外科処置中の打込みが著しく軽減される。
部分部材3の周部における片側の平面部3.1によって有利には骨の孔内へ挿入される受容体1とこの孔の壁との間に自由空間が得られ、骨接合術で結合される付加的な部材が拡開体の打込み前にこの空間内へ挿入可能である。したがって固定部材のこの形状は十字靱帯固定が予定される膝関節手術のための有利な条件を作る。
部分部材2,3はそれぞれ同一側の端部にフランジ形のカラー6,7を有している。このカラーは、骨接合処置のために骨の孔内へ導入された受容体1が、拡開体が中空室9内へ軸線10に沿って打込まれる時に所望の位置にとどまるのを保証する。
部分部材2,3の周部に設けられた成形部は、拡開体が中空室9内へ打込まれる時に受容体1が骨の孔内へ挿入された状態で骨内での受容体の定着および有利な力の導入に役立つ。成形部は同様の3角形のみぞ8によって形成され、みぞは部分部材をそれぞれ半環状に取巻いており、一巡するエッジ12に集合している。
図2および図2aに示された受容体1は中空室9内へ打込まれた拡開体(図示せず)によってその立体形状が拡大されている。部分部材2,3は互いに反対方向に、それぞれ同量だけ中空室の軸線10に対して垂直の方向に移動せしめられている。この移動は舌片5と方形の切欠4とを備えた滑りガイド並びに通路(中空室)9を形成する切欠9.2,9.3ないしは棒状の拡開体の方形の構成によって強制せしめられ、かつ骨体に対する部分部材2,3の成形部を設けられた壁の一様な押圧をこの固定部材全長にわたって保証する。
図3に示された固定部材の拡開体20は受容体の部分部材と同様、人体内で吸収分解される材料から製作される。棒状の拡開体は方形の横断面輪郭を有し、かつ1端部21でくさび状に構成された面取り部21.1へ移行しており、この面取り部は骨体内に位置決めされた受容体内への拡開体の打込みを著しく軽減する。他方の端部22には成形部22.1が設けられていて、骨接合処置で拡開体を取扱うための工具を確実に当てることができる。この成形部は3角形の横断面を持つリブから成り、リブは拡開体の縦軸線に対して横方向に延びている。
図4に示された骨領域23は孔23.1を有し、この孔内へ部分部材2,3から成る受容体が挿入される。この場合部分部材3の周部の平面部によって孔壁と受容体との間に自由空間が残り、これは骨接合処置で固定される部材24,25の挿入に利用可能である。すなわち自由空間は例えば十字靱帯補装物を用いる膝関節手術で腱25を固定された骨片24を配置するのに有利な条件を提供する。拡開体(図示せず)の打込みにより骨片24と腱25は部分部材3の構成部分の固定下に骨の壁に対して押圧される。
本発明の構成は上記の優れた実施例に限定されるものではない。むしろ基本的に異なる構成においても上記の解決手段を使用する数多くの変更形が考えられる。

Claims (14)

  1. 骨接合用、特に移殖骨の固定用の固定部材であって、孔内へ導入可能な受容体と拡開体とを備えており、受容体が、受容体内に設けられた縦方向の孔または他の一巡する壁を持つ開口内への拡開体の打込みによりくさび作用によって半径方向に拡張可能である形式のものにおいて、縦方向に分割された受容体(1)が、分割された、または拡開体の打込みにより受容体と拡開体の相互のくさび作用の結果ほぼ全長にわたって一様に拡張可能であるように運動可能に互いに結合された、少なくとも2つの部分部材(2,3)を備えていることを特徴とする、骨接合用の固定部材。
  2. 拡張されていない状態の受容体の外寸が孔または他の開口の横断面寸法を上回らず、該横断面寸法が受容体の拡張された状態においては各部分部材のほぼ全長にわたって延びた領域にわたって半径方向に所定の長さ量分上回られる、請求項1記載の固定部材。
  3. 異なる太さを持つ種々の拡開体が配慮される、請求項1記載の固定部材。
  4. 部分部材(2,3)が一様な横断面を持つほぼシリンダ状の外壁を持つ部材に組立てられており、これらがほぼシリンダ状の孔と相互作用しており、またはシリンダ状部材の内側の中空室(9)がほぼ多角形の横断面を有しており、該多角形の面がこれに隣接する部分部材の拡張方向にほぼ垂直に位置している、請求項1記載の固定部材。
  5. 部分部材(2,3)が外周部領域にその長さの1部分にわたって成形部(8,12)または構造部を有しており、成形部または構造部が固定部材の骨内への打込み方向に対してほぼ横方向に延びていて、しかも特に部分部材をほぼ半環状に取巻く、3角形横断面を持つみぞ(8)から成っている、請求項4記載の固定部材。
  6. 部分部材(2,3)の少なくとも2つが軸部領域において異なる横断面形を有している、請求項1記載の固定部材。
  7. 少なくとも1つの部分部材(3)が軸部の少なくとも1部分、有利には全長にわたってその外側の丸味部に外側の平面部(3.1)を有している、請求項6記載の固定部材。
  8. 部分部材(2,3)の少なくとも1つがフランジ状のカラー(6,7)を設けられている、請求項1記載の固定部材。
  9. 係合部材が1つの部分部材に設けられた接線方向に延びた舌片(5)として、または相当の係合部材として構成されており、該係合部材が舌片を案内受容するために他方の部分部材に設けられた切欠(4)へ係合するように構成されている、請求項1記載の固定部材。
  10. 中空室(9)が部分部材(2,3)のカラーを支持した端部までくさび状に僅かに拡大している、請求項1記載の固定部材。
  11. 棒状の部材(20)の横断面の小さい方の端部(21)がほぼくさび状の面取り部(21.1)を有しており、かつまたはこの棒状の部材の長さが部分部材(2,3)の長さを上回っている、請求項1記載の固定部材。
  12. 棒状の部材(20)の、打込み時の後方の端部(22)が工具との噛合いを改善するための成形部を有している、請求項11記載の固定部材。
  13. 成形部が互いに対向して位置した2つの側面に設けられていて、しかも棒状の部材(20)の縦軸線に対して横方向に延びた、有利には3角形の横断面を持つ成形要素(22.1)を有している、請求項12記載の固定部材。
  14. 吸収性の材料としてポリラクチド、ポリグリコリドまたはこれらの物質の右旋性ないしは左旋性コポリマーが配慮される、請求項1記載の固定部材。
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