JP3675666B2 - 水解性の清浄用物品の製造方法および製造装置 - Google Patents

水解性の清浄用物品の製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水流によって容易に分散する水解性不織布を用いた清浄用物品に係り、特に前記水解性不織布の強度を高めるための水溶性樹脂としてアルキルセルロースを用いた清浄用物品の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
人間のおしり等の肌を拭く清浄作業に、あるいはトイレの周辺の清掃の為に、水解性不織布で形成された清浄用物品が使用される。この清浄用物品は、使用後にはトイレにそのまま流し捨てることができる。
【0003】
この種の清浄用物品に使用される水解性不織布として特開平9−170193号公報には、水崩壊性シートに水溶性セルロースエーテルおよび電解質を含有させたものが開示されている。
【0004】
この清浄用物品では、水溶性セルロースエーテルがバインダーとして機能して水崩壊性シートの強度が高められ、また電解質を用いた塩析効果により湿潤時での前記バインダーの水解が抑制されて湿潤強度が高められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、水溶性セルロースエーテルをそのまま常温で水に溶解した溶液を不織布に塗工しようとすると、水溶性セルロースエーテルの分子鎖が充分に広がることができず、不織布の強度を十分に発現できない。
【0006】
特に重合度が高い水溶性セルロースエーテルを用いた高粘度の溶液を不織布表面に塗布しようとすると、常温状態では不織布に塗工された状態で分子鎖が十分に広がることができず、不織布の強度の向上を実現できない。
【0007】
すなわち、重合度の高い水溶性セルロースエーテルは、低温溶解性であり常温でゲル化しやすい。したがって、不織布に均一に分散させることが困難であり、また不織布の強度を十分に高めることができない。
【0008】
そこで、水溶性セルロースエーテルとして重合度の低いものを使用し低粘度の溶液とすると、水溶性セルロースが不織布の繊維間に含浸されてしまう。よって、不織布の湿潤強度を高くできても、水溶性樹脂が不織布内に分散するために、不織布の表面強度を高くすることができない。そのため、清浄用物品で汚れの拭き取りを行うときに、不織布の表面に毛羽立ちを生じたり、破れが生じやすいなどの欠点がある。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、アルキルセルロースを繊維間のバインダーとして使用した水解性不織布を用いた清浄用物品において、アルキルセルロースが溶解した水溶性樹脂の分子鎖を広げて、水解性不織布に均一に塗工でき、十分な湿潤強度を得ることができる清浄用物品の製造方法と製造装置を提供することを目的としている。
【0010】
また本発明は、比較的重合度の高い水溶性樹脂を用いた高粘度の溶液を水解性不織布の表面に塗工して、不織布の表層に水溶性樹脂が残るようにして不織布の表面強度を高め、汚れの拭き取り効果を高めることができるようにした清浄用物品の製造方法および製造装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の清浄用物品の製造方法は、水分散性の繊維で水解性不織布を形成する工程と、少なくともアルキルセルロースを溶解した水溶性樹脂溶液を、半透明または透明状態となるまで冷却して前記水解性不織布に塗工する工程と、塗工した前記水解性樹脂溶液を乾燥させる工程と、を有することを特徴とするものである。
【0012】
例えば塗工時の前記水溶性樹脂溶液の粘度が1000〜100000cpsであることが好ましい。
【0013】
また、少なくともアルキルセルロースを含む水溶性樹脂溶液を20℃未満に冷却して塗工する。好ましくは10℃以下である。
【0014】
本発明において水解性不織布のバインダーとして使用するアルキルセルロースは、低温溶解性で熱ゲル化性がある。本発明では、アルキルセルロースが溶解した溶液を低温状態とし、分子鎖が十分に広がって半透明または透明状態となった時点で水解性不織布に塗工する。分子鎖が十分に広がった状態で水解性不織布に塗工されるため、バインダーとしての機能を十分に発揮でき、水解性不織布の湿潤強度を高くできる。
【0015】
特に、重合度の高いアルキルセルロースを用いた1000〜100000cps、好ましくは5000〜70000cps、さらに好ましくは10000〜70000cpsの高粘度の水溶性樹脂溶液を水解性不織布に塗工すると、水解性不織布の表面(表層)に多くの水溶性樹脂が付着することになり、表層の強度を高くできる。その結果、本発明の製造方法により得られた清浄用物品は、汚れを拭き取るときに、表面の繊維の剥がれや毛羽立ちまたは破れを防止でき、堅くこびりついた汚れを取りやすくなる。
【0016】
水溶性樹脂溶液の粘度が1000または5000あるいは10000cps未満であると、水溶性樹脂が不織布の内部に含浸されて不織布の表面に水溶性樹脂が残りにくくなり、不織布の表層の強度を高めるのに限界がある。また70000cpcまたは100000cpsを越えると、粘度が高すぎて、不織布の表面に均一に塗布するのが困難である。
【0017】
また、水溶性樹脂溶液の塗工量は、水解性不織布の繊維100gに対して0.5〜30gが好ましい。塗工量が前記下限よりも少ないと、不織布の表面強度を高くできず、また前記上限を超えると、不織布の柔軟度が低下する。
【0018】
次に、本発明の清浄用物品の製造装置は、水分散性の繊維で形成された不織布の乾燥工程の後に、乾燥した前記不織布の片面または両面に対向する塗工コータと、前記塗工コータに少なくもアルキルセルロースが溶解した水溶性樹脂溶液を貯蔵するタンクと、前記水溶性樹脂溶液を前記塗工コータへ送る供給路とが設けられ、前記塗工コータへ送られる前記水溶性樹脂溶液を、前記アルキルセルロースが半透明または透明状態となるように冷却する冷却手段と、が設けられていることを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1(A)(B)は、本発明により製造される清浄用物品の断面図である。
図1(A)に示す清浄用物品1では、水分散性繊維の繊維ウエッブをウォータジェット処理で水流交絡させた水解性不織布2の片方の面3に水溶性樹脂が塗工コータにより塗工されて層5を形成している。この面3は、ウォータジェットを与える側であり、且つ乾燥時に乾燥ドラムに当たる面であり、他方の面4に比べて比較的平坦である。
【0020】
この比較的平坦な面3は水溶性樹脂により表面強度が高められている。この面3を清掃面として使用すると、拭き取り時に繊維の抜けや毛羽立ちが生じにくく、あるいは表面の破れが生じにくくなる。
【0021】
図1(B)に示す清浄用物品6の水解性不織布2は、図1(A)に示したものと同じであるが、この清浄用物品6の、不織布2の面3と4の双方の表面に水溶性樹脂が塗工コータで塗工されて層5、5が形成されている。
図1(B)に示される清浄用物品6は水解性不織布2の両面3と4が水解性樹脂の層により表面強度を高められており、両面を清掃面として使用するものに適する。
【0022】
図2は前記水解性不織布2の拡大平面図である。
この水解性不織布2はウォータジェット処理の処理圧などを調整することにより、MD方向(機械流れ方向)に沿って延びる繊維集合部7と、MD方向に交叉するCD方向に向う繊維集合部8と、前記繊維集合部7と繊維集合部8とに囲まれた繊維密度の低い領域9とを有している。前記領域9は、主にウォータジェットにより繊維が除かれた部分である。そして不織布全体の平均密度が0.3g/cm3以下の比較的嵩高の不織布である。
【0023】
本発明において図1(A)(B)に示すように水解性不織布2の面3と4に塗工された水溶性樹脂は、少なくとも前記繊維集合部7においてその内部よりも表面に多く存在する。また繊維集合部8の部分でも、その表面に水溶性樹脂が多く存在していることが好ましい。ただし、前記繊維密度の低い領域9では、繊維内に水溶性樹脂が比較的均一に含浸されていてもよい。
【0024】
このように、少なくとも前記繊維集合部7の部分で、その内部よりの表面に多くの水溶性樹脂が存在することにより、水解性不織布2の表面3または表面3および4での表面強度を高くできる。
【0025】
図2に示すように嵩高となって賦形状態とされた不織布2は、水溶性樹脂を塗工しない状態での湿潤時の破断強度が100g/25mm未満で水で分解されやすいものであるが、前記のように表面に水溶性樹脂の層5が存在していることにより、この水溶性樹脂が水で溶解されていない状態では、拭き取り作業時の強度(湿潤強度)を高くできる。
【0026】
さらに、本発明の清浄用物品1または6は、表面の強度は水溶性樹脂の層5で増強されているが、不織布全体が低密度で嵩高であるため、不織布2そのものは柔軟であり、嵩高でソフト感がある。
【0027】
また、水溶性樹脂の塗工量(乾燥時の樹脂量)は、水解性不織布の繊維100gに対して0.5〜30gが好ましい。塗工量が前記下限よりも少ないと、不織布の表面強度を高くできず、また前記上限を超えると、不織布の柔軟度が低下する。
【0028】
本発明の清浄用物品1または6の水解性不織布2を構成する繊維は、水に対する分散性が良いものが用いられる。ここでいう水に対する分散性とは、水解性と同じ意味であって、多量の水に接触することにより細分化される(繊維どうしが互いにばらばらになる)性質のことである。このような繊維を用いて不織布を製造し、さらに表面に水溶性樹脂を塗工した清浄用物品は、拭き取り作業時には特に表面が高い強度を有し、しかも多量の水に接触したときにはバインダーが溶解することによって繊維の接合がはずれて、繊維シートを形成していた元の繊維形状となって崩壊する。
【0029】
本発明において用いられる繊維としては、化学繊維若しくは天然繊維のどちらか一方または両方の繊維を使用することができる。化学繊維としては再生繊維であるレーヨンやアセテート、合成繊維であるポリプロピレン等、天然繊維としては針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプ、マニラ麻、リンダーパルプ、竹パルプ、ケナフ等をあげることができる。また、これらを主体として木綿等の天然繊維、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリエステル又はポリアクリルニトリル、ナイロン等の合成繊維、ポリエチレン等からなる合成パルプ並びに無機繊維などを含有させても良い。
これらの繊維の中でも、天然繊維や再生繊維であるレーヨンが好ましい。レーヨンは水分散性が良く、また生分解性がある。
【0030】
また、レーヨンと共に針葉樹パルプ等の天然繊維も配合されることがさらに好ましい。針葉樹パルプは水分散性が良いからである。針葉樹パルプは平均繊維長が1.0〜4.5mmと短いため、多量の水に接したときに針葉樹パルプが崩壊剤となって、水解性不織布が崩壊しやすくなる。パルプとしては、カナダ標準ろ水度(CSF:Canadian Standard Freeness。JIS P 8121による測定値)が400cc〜750ccであることが好ましい。CSFが400cc以下となるもの、すなわちパルプの叩解がすすんだものを用いると、不織布の風合いが悪くなってしまう。更に好ましくは500cc〜750ccである。また、針葉樹パルプとしては針葉樹晒クラフトパルプが一般的に用いられる。
【0031】
繊維ウェッブを構成するレーヨン、天然繊維等の繊維の繊維長は7mm以下であることが好ましい。繊維長を7mm以下とすると、繊維ウェッブにウォータージェット処理を施したときに、繊維が多く交絡するのではなく繊維の交絡していない部分が広くなるため、又は繊維が適度に巻き込まれたものとなるため、水解性がよくなる。繊維長の下限は特に規定しないが、繊維シートを形成することができるのであれば、繊維長はさらに短いものであってもかまわない。すなわち本発明の清浄物品を構成する水解性不織布は、異なる繊維のそれぞれの平均繊維長が10mm以下が好ましく、さらに好ましくは7mm以下である。
【0032】
上記のように繊維長の短い繊維で水解しやすい不織布を形成した場合であっても、不織布の表面に水溶性樹脂を塗工することにより、表面での繊維の外れを防止できる。
【0033】
本発明の製造方法により製造される清浄用物品を構成する水解性不織布2は、繊維の坪量(目付)が、20〜100g/m2であることが好ましい。坪量が前記下限より小さいと、清浄用物品としての必要な強度が得られない。坪量が前記上限より大きいと、柔軟性に欠ける。また、水中で繊維が分散しにくくなって水解性に劣るものとなる。本発明の清浄用物品では、シートの強度、汚れの拭き取り効果並びに触ったときの感触であるソフト感がよい点で、好ましい繊維の坪量は30〜80g/m2である。
【0034】
前記水溶性樹脂は、水溶性セルロースエーテルとしてのアルキルセルロースを含み、必要に応じて増強剤が添加される。アルキルセルロースとは、セルロースのグルコース環単位中の水酸基が、アルキル基に置換された化合物である。アルキルセルロースには、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ベンジルセルロース等をあげることができる。その中でも、水解性及び強度の良さからいってメチルセルロースが特に好ましい。
【0035】
化1は、アルキルセルロースの構造式である。本発明では例えば重合度4000(n=4000)程度の高粘度のものが使用される。
【0036】
【化1】
Figure 0003675666
【0037】
アルキルセルロース特に重合度の高いアルキルセルロースは、低温溶解性で熱ゲル化がある。したがって、アルキルセルロースの溶液を常温で不織布に塗工すると、分子鎖が十分に広がらない状態で塗工されることになるため、不織布表面に均一に塗工できない。また分子鎖が十分に広がらない状態で不織布に付着すると、不織布を構成する繊維の接着を十分にできず、不織布の強度(湿潤強度)を十分に高くできない。
【0038】
そこで、本発明の清浄物品の製造方法では、アルキルセルロースを含む水溶性樹脂溶液を20℃未満好ましくは10℃以下に冷却し、溶液が半透明または透明状態となった状態で、不織布に塗工する。低温状態での溶液では、アルキルセルロースの分子鎖が十分に広がり、その結果不織布に均一に塗工でき、また塗工された乾燥された状態、さらにはその後に薬液が含浸された状態で、繊維間の結合強度を高くできる。
【0039】
本発明の製造方法では、アルキルセルロースを含む水溶性樹脂溶液をタンクに貯蔵している段階で、20℃未満好ましくは10℃以下に冷却しておくか、または塗工コータへ前記水溶性樹脂溶液を供給する経路において水溶性樹脂溶液を冷却する。好ましくは前記タンクでの貯蔵状態と、前記供給経路の双方で水溶性樹脂溶液を冷却する。
【0040】
また清浄用物品の強度をさらに高めるため、アルキルセルロースに重合性をもつ酸無水物化合物とその他の化合物との共重合体を混合して水解性不織布に塗工してもよい。例えば酸無水物である無水マレイン酸又は無水フマル酸と、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート又はブチルメタクリレートとが共重合した化合物等をいう。この共重合体は、例えば人肌に直接使用する清浄用物品の場合では、(メタ)アクリル酸マレイン酸系樹脂、(メタ)アクリル酸フマル酸系樹脂、酢酸ビニルマレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メチルビニルエーテルマレイン酸樹脂、アルファオレフィンマレイン酸樹脂、アルファオレフィンフマル酸樹脂、イソブチレンマレイン酸樹脂、ペンテンマレイン酸樹脂等が好ましい。また、人肌に直接使用しない清浄用物品では、その他尿素ホルマリン樹脂、メチロールメラミン樹脂等の水酸基を含有する樹脂やグリオキザール、タンニン酸等の水酸基を2個以上含有する有機化合物及びエポキシポリアミド系樹脂等を使用することができる。これらの共重合体の中でも、(メタ)アクリル酸(エステル)マレイン酸共重合体及び/又は(メタ)アクリル酸(エステル)フマル酸共重合体は安全性が高く、またクリーニングシートの湿潤強度が高くなるので好ましい。これらの共重合体は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を作用させて鹸化し、部分的にカルボン酸のナトリウム塩としたものを用いることが好ましい。このとき、鹸化度は0.1〜1.0であることが好ましい。この部分的に鹸化された共重合体は、隣接するカルボン酸基が塩となっているので、さらに水に溶解しやすいものとなる。これらは例えばアルキルセルロースなどの上記水溶性高分子と共に用いられることが好ましい。
【0041】
アルキルセルロースあるいは、アルキルセルロース及び重合性をもつ酸無水物化合物とその他の化合物との共重合体を、塗工時の粘度(塗工直前の冷却した状態の粘度)が1000〜100000cps(好ましくは5000〜70000cps、さらに好ましくは10000〜70000cps)となるように水溶液に溶解させ、その溶液を水解性不織布2の表面3に塗工する。
【0042】
以上のように水溶性樹脂を表面に塗工した清浄用物品の湿潤強度はMD、CDとも250g/25mm以上であることが好ましい。但し、この目標とする湿潤強度より低い湿潤強度であっても、不溶化剤として電解質を更に含有させることによって不織布の湿潤強度を上げることができる。
【0043】
本発明の製造方法では、水解性不織布に少なくともアルキルセルロースを含む水溶性樹脂の溶液を塗工し、乾燥させた後に不溶化剤を含浸させる。
【0044】
不溶化剤としての電解質は、無機塩と有機塩どちらか一方、又は両方を使用することができる。無機塩としては硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、カリミョウバン、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム等をあげることができる。また、有機塩としてはピロリドンカルボン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、乳酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、パントテン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム等をあげることができる。水溶性樹脂としてアルキルセルロースを用いる場合は、一価の塩が好ましい。
【0045】
電解質を水解性不織布に含浸させるには、その電解質を水に溶解して、その水溶液を繊維シートに含浸させることができる。従って、電解質は水溶性であることが好ましい。この場合、水解性不織布2に含浸させる水溶液の電解質の濃度は0.5〜10重量%が好ましい。更に好ましくは1.0〜5.0重量%である。この電解質を溶解させた水溶液を、水解性不織布100gに対して200〜350g含浸させることが好ましい。電解質の含有量が多ければ多いほど水解性不織布の強度が上がる。水解性不織布に水溶液を含浸させる方法としては浸漬や噴霧により行うことができる。
【0046】
また、前記重合性をもつ酸無水物化合物とその他の化合物との共重合体を塗工した場合、清浄用物品にアミノ酸誘導体をさらに含有させることが好ましい。アミノ酸誘導体は上記電解質とともに水に溶解させて水解性不織布に含浸させる。アミノ酸誘導体とは、アミノ酸誘導体とはアミノ酸から得ることができる化合物であり、アミノ酸をアシル化、脱水縮合、エステル化、脂肪酸を中和したもの、重合したもの等がある。例えば、グルタミン酸のN−トリアルキル置換体であるトリメチルグリシン、グルタミン酸を脱水縮合して得ることができるDL−ピロリドンカルボン酸、DL−ピロリドンカルボン酸ナトリウム、DL−ピロリドンカルボン酸トリエタノールアミン、アルギニンをアシル化、エステル化したN−アミノ油脂肪酸アミルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸、アスパラギン酸を重合したポリアスパラギン酸ナトリウム等をあげることができる。その中でもトリメチルグリシンが安全性が高く、また清浄用物品の湿潤強度がさらに高くなる点で特に好ましい。
【0047】
以上述べたように、本発明のように不織布の表面に水溶性樹脂を塗工し、且つ電解質を含有させることにより、湿潤強度(MD又はCD)が250g/25mm以上の水解性の不織布を得ることができる。
【0048】
また、得られる水解性不織布の水解性は120秒以下であることが好ましい。更に好ましくは100秒以下である。
【0049】
図3は、片面にのみ水溶性樹脂を塗工した清浄用物品1の製造方法および製造装置を示す工程説明図である。
図3に示す工程では、ウォータジェット処理により形成された水解性不織布が、ウォータジェット処理の後に乾燥ドラム11により乾燥される。この乾燥ドラム11にはウォータジェットが与えられた面が接触して不織布2が乾燥させられる。乾燥ドラム11による乾燥工程の後に、水解性不織布2の乾燥ドラム11に接していた面に塗工コータ12が接触させられる。この塗工コータ2は表面にスリットが形成されたものであり、水溶性樹脂の溶液はタンク21からポンプ22により供給管23を経て塗工コータ12へ送り出され、前記塗工コータ12により水解性不織布2の片方の面3に塗工される。
【0050】
ここで、前記タンク21には、チラー冷却装置24が接続されており、チラー冷却装置24からポンプ27により送水管25を経て前記タンク21に冷却水が供給され、タンク21から回収管26により冷却水がチラー冷却装置24に戻される。また、供給管23は二重管であり、中心部を流れる水溶性樹脂の溶液が、周囲を流れる冷却水により、移送中の水溶性樹脂の溶液が冷却される。
【0051】
水溶性樹脂の溶液が塗工された水解性不織布2は、前記塗工面が乾燥ドラム13に当てられて、前記水溶性樹脂の溶液が乾燥させられ、本発明の清浄用物品1として巻き取られる。
【0052】
なお図1(B)に示すように、不織布2の両面の水溶性樹脂を塗工する場合は、図3に示す工程を不織布の表裏で繰り返すか、またはコータを不織布の両面に当てればよい。
【0053】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔水解性不織布〕
原料の繊維として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)(カナディアン・スタンダード・フリーネス(CSF)=740ml)50重量%と、繊維長5mmで、維度1.5デニールのレーヨン繊維(東邦レーヨン(株)製)を用いて、0.2%濃度で実験室手抄きマシーンでプラスチックワイヤーに抄紙して25cm×25cmで坪量40g/m2の繊維ウェッブを作成した。この繊維ウェッブを乾燥させることをせずにプラスチックワイヤー上に積層した状態で移送コンベア上に載置し、繊維ウェッブを30m/minの速度で移送させながら、ウォータージェット処理を施して繊維同士を巻き込ませた。このとき用いた高圧水ジェット流噴射装置には、孔径95ミクロンのノズル孔が0.5mm間隔で1mあたり2000個並んでおり、水圧は30kg/cm2で繊維ウェッブの表面から裏面へ貫通するように噴射を行った。処理速度は30m/minである。その後、もう一度同様にして2回目の噴射を行った。その後、乾燥ドラムを用いて乾燥し、水解性不織布2を得た。
〔水溶性樹脂〕
前記水解性不織布2の片面に水溶性樹脂を塗工コータを用いて塗工した。塗工した水溶性樹脂は、アルキルセルロースに増強剤として(メタ)アクリル酸(エステル)マレイン酸共重合体を添加した混合物を使用し、この混合物を純水に溶解させた溶液を塗工した。この溶液中のアルキルセルロースおよび(メタ)アクリル酸(エステル)マレイン酸共重合体の濃度は7.5重量%、アルキルセルロースと(メタ)アクリル酸(エステル)マレイン酸共重合体との重量比を5:1とした。なお、不織布での塗工量は、乾燥状態での水溶性樹脂で換算して3.0g/m2とした。
〔薬液〕
水溶性樹脂の溶液を塗工して乾燥させた不織布に薬液を含浸させた。
【0054】
薬液は、水解性不織布100gに対して250gをスプレーを用いて含浸させた。薬液組成は無水硫酸ナトリウム:トリメチルグリシン:プロピレングリコール:純水で、その重量比を、4:4:10:82とした。
〔比較例および実施例〕
比較例と実施例として、表1に示すように、塗工する水溶性樹脂の溶液の温度を変化させた。
〔試験〕
▲1▼湿潤強度
湿潤時の破断強度(湿潤強度という)は、幅25mm長さ150mmに裁断した繊維シートを、テンシロン試験機でチャック間隔100mm、引張速度100mm/minで測定したときの破断時の引張力(gf)である。
【0055】
▲2▼水解性
水解性の試験はJIS P4501のトイレットペーパーほぐれやすさ試験に基づいて行った。詳細を述べると、水解性の不織布を縦10cm横10cmに切断したものを、イオン交換水300mlが入った容量300mlのビーカーに投入して、回転子を用いて撹拌を行った。回転数は600rpmである。この時の繊維シートの分散状態を経時的に観察し、分散されるまでの時間を測定した(単位は秒)。
【0056】
水溶性樹脂の溶液の温度を異ならせた各比較例および各実施例について、透明度、粘度、湿潤強度、水解性を測定した。透明度は目視により観察したもので、粘度はB型粘度計を用い、12rpm時の測定データを用いた。結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
Figure 0003675666
【0058】
上記表から解るように、樹脂温度を20℃未満、さらに好ましくは10℃以下とし、水溶性樹脂の溶液が半透明、さらに好ましくは透明になった状態で不織布に塗工すると、湿潤強度を高くできることを確認できた。また水解性についてはいずれの温度においても良好であることを確認できた。
【0059】
【発明の効果】
以上のように、本発明の水解性清浄用物品の製造方法は、アルキルセルロースを含む水溶性樹脂を不織布に均一に塗布でき、また塗布後の不織布の強度を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は、片面に水溶性樹脂を塗工した本発明の清浄用物品繊維シートの部分拡大断面図、(B)は両面に水溶性樹脂を塗工した本発明の清浄用物品繊維シートの部分拡大断面図、
【図2】本発明の清浄用物品を構成する水解性不織布の拡大平面図、
【図3】水解性不織布の片面に水溶性樹脂を塗工する工程の一例を示す説明図、
【符号の説明】
1、6 清浄用物品
2 水解性不織布
3、4 水解性不織布の面
5 水溶性樹脂
7、8 繊維集合部
9 繊維密度の低い領域
11、13 乾燥ドラム
12 塗工コータ
21 タンク
22、27 ポンプ
23 供給管
24 チラー冷却機
25 送水管
26 回収管

Claims (4)

  1. 水分散性の繊維で水解性不織布を形成する工程と、少なくともアルキルセルロースを溶解した水溶性樹脂溶液を、半透明または透明状態となるまで冷却して前記水解性不織布に塗工する工程と、塗工した前記水解性樹脂溶液を乾燥させる工程と、を有することを特徴とする清浄用物品の製造方法。
  2. 塗工時の前記水溶性樹脂溶液の粘度が1000〜100000cpsである請求項1記載の清浄用物品の製造方法。
  3. 少なくともアルキルセルロースを含む水溶性樹脂溶液を20℃未満に冷却して塗工する請求項1または2記載の清浄用物品の製造方法。
  4. 水分散性の繊維で形成された不織布の乾燥工程の後に、乾燥した前記不織布の片面または両面に対向する塗工コータと、前記塗工コータに少なくもアルキルセルロースが溶解した水溶性樹脂溶液を貯蔵するタンクと、前記水溶性樹脂溶液を前記塗工コータへ送る供給路とが設けられ、前記塗工コータへ送られる前記水溶性樹脂溶液を、前記アルキルセルロースが半透明または透明状態となるように冷却する冷却手段と、が設けられていることを特徴とする清浄用物品の製造装置。
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