JP3675563B2 - オゾン除去剤およびそれを用いた二酸化窒素検知管 - Google Patents

オゾン除去剤およびそれを用いた二酸化窒素検知管 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二酸化窒素およびオゾンを含む混合気体からオゾンを選択的に除去するオゾン除去剤、および、これを用いた二酸化窒素検知管に関する。本発明は、より詳細には、多孔質担体上にテトラエチルローダミン(ローダミンB)を担持させたオゾン除去剤、および、前記オゾン除去剤および二酸化窒素検知剤を充填した二酸化窒素検知管に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、二酸化窒素による室内環境汚染および大気環境汚染が問題となっている。室内環境汚染の原因は電気ストーブを除く暖房器具またはガス調理器具から排出される二酸化窒素を含む気体であり、その二酸化窒素濃度は最高で0.3〜0.4ppmにも達し、環境基準値である0.06ppmを大きく上回っている。大気汚染の原因は自動車排気ガスおよび工場排出ガス等の二酸化窒素を含む気体によるものである。これらの汚染気体は、通常には二酸化窒素およびオゾンを一緒に含む混合気体として存在する。二酸化窒素およびオゾンは共に酸化性物質であり、類似の化学的性質を示す。この為、通常の二酸化窒素検知剤は二酸化窒素だけでなく、オゾンとも反応し、このような検知剤を用いた検知管は実際の二酸化窒素濃度よりも高く表示するので正確な測定ができない。二酸化窒素を分析する際のオゾンの妨害を排除するために、オゾンを除去する必要がある。このような混合気体からオゾンを有効に除去して二酸化窒素濃度を測定する方法としては、ザルツマン吸光分析法およびイオンクロマトグラフィー法が挙げられるが、これらは複雑且つ高価であり、更に測定装置での分析を要する。この為、このような混合気体の二酸化窒素濃度を簡易な測定法で現場で正確に測定できることが望ましい。オゾンを反応により除去することができる物質としては、従来からヨウ化カリウム、インジゴ等が知られている。しかし、これらを多孔質担体に担持して得られる薬剤は、全て二酸化窒素とも反応する。この為、これら薬剤は二酸化窒素検知管のために用いることができない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、二酸化窒素およびオゾンを含む混合気体から、二酸化窒素に影響を与えずにオゾンのみを選択的に除去するオゾン除去剤を提供することである。本発明の更なる目的は、このような混合気体の二酸化窒素濃度を正確且つ簡易な方法で検知し測定するための二酸化窒素検知管を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、オゾン除去剤は、多孔質担体の重量基準で0.01%以上の量で前記多孔質担体上にテトラエチルローダミンを担持させることによりオゾン除去剤を提供することができる。更に、オゾンおよび二酸化窒素を含む混合気体中の二酸化窒素の濃度を測定するための本発明の二酸化窒素検知管は、前記オゾン除去剤および二酸化窒素により着色する二酸化窒素検知剤をガラス管に充填することにより提供される。ここで、この検知管は、オゾン除去剤で混合気体中のオゾンのみを選択的に除去することによって、二酸化窒素検知剤とオゾンとの反応による妨害を排除して測定精度を高めることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のオゾン除去剤のための試薬はテトラエチルローダミンである。テトラエチルローダミンは、従来のヨウ化カリウム、インジゴ等の試薬と異なり、二酸化窒素と反応せずにオゾンのみと反応する。
【0006】
テトラエチルローダミンを除去剤の形態にするために、テトラエチルローダミンを担持する担体が必要である。担体としては、シリカゲル、John-Manville 社から入手可能なセライト(商標)のような珪藻土、および、モレキュラーシーブ等の多孔質材料が用いられ、特にシリカゲルが適切である。シリカゲルは表面積、細孔容積等の違いにより、A型、B型およびID型に分類される。シリカゲルの表面積が小さく、細孔容積が大きすぎると、テトラエチルローダミンと反応せずにオゾンが通過してしまい、逆に、シリカゲル表面積が大きく、細孔容積が小さすぎると二酸化窒素がシリカゲルに吸着してしまうために、正確な測定が難しい。シリカゲルの表面積は、限定するわけではないが、450〜580m2 /gであることが好ましく、即ち、この範囲に入るB型は特に好ましい。多孔質担体上に担持されるテトラエチルローダミンの量は、担体の重量基準で0.01%以上である。
【0007】
本発明の二酸化窒素検知剤のための試薬としては、オルトトリジン、ジフェニルベンジジン、3,3'- ジメチルナフチジンが用いられてよい。3'3-ジメチルナフチジンはオルトトリジンよりも数倍の感度を有するので、大気環境測定のような高い感度が要求される用途では3,3'- ジメチルナフチジンが特に好ましい。二酸化窒素検知剤の量は、特に限定するわけではないが、通常、担体の重量基準で0.0003〜0.0006%である。0.0003%未満であると、感度は向上するが、着色が薄くなり、0.0006%を上回ると、感度が悪くなる。
【0008】
図1は本発明の二酸化窒素検知管の一態様を示す。ガラス管の片側末端を溶封し、次いで、図に示すように、1)ポリプロピレン栓、2)二酸化窒素検知剤、3)検知剤保護用青ケイ砂、4)オゾン除去剤および5)綿栓をこの順序でガラス管中に充填し、そして最後に他方の末端を溶封することにより検知管が製造されうる。更に、ガラス管上の二酸化窒素検知剤の領域2)に目盛りを付けて、所定量の混合気体を透過させることにより、その二酸化窒素濃度を表示することが可能である。使用時には、ガラス管の両末端を破壊して開放し、所定量の混合気体を所定速度で通気することにより容易に二酸化窒素濃度を測定することができる。
【0009】
【実施例】
次に、本発明を例示する実施例を示す。
実施例1
エタノール溶剤300ml中にテトラエチルローダミン0.1gを加えて溶解させた。これを、30メッシュのシリカゲルB型300gに添加し、100℃の湯浴中で溶剤を完全に真空除去してオゾン除去剤を製造した。この蛍光赤色粒子を内径が3.5〜3.6mmのガラス管に封入した。この除去剤を含むガラス管に、二酸化窒素0.6ppm およびオゾン0.6ppmを含む混合気体を100ml通気したところ、オゾンを選択的に除去し、そして二酸化窒素の濃度は変化しなかった(図2および図4参照)。
【0010】
比較例A
従来のオゾン除去剤のインジゴを用いて例1と同様の試験を行った。エタノール溶剤300ml中にインジゴ0.5gを加えて溶解させた。これを、30メッシュのシリカゲルB型200gに添加し、100℃の湯浴中で溶剤を完全に真空除去してオゾン除去剤を製造した。これをを内径が3.5〜3.6mmのガラス管に封入した。この除去剤を含むガラス管に、二酸化窒素0.6ppm およびオゾン0.6ppmを含む混合気体を100ml通気したところ、オゾンとともに二酸化窒素をも除去した(図3参照)。
【0011】
図2および図3を比較すると、本発明の二酸化窒素検知管で用いられるオゾン除去剤のための試薬としてテトラエチルローダミンが優れていることが判る。
【0012】
実施例2
エタノール溶剤100ml中に、3,3'- ジメチルナフチジン0.05gを溶解させた。この溶液1mlを40〜60メッシュのケイ砂100gに添加し、80℃の湯浴中で真空乾燥して二酸化窒素検知剤を製造した。片側末端を溶封したガラス管中に、ポリプロピレン栓、上記に記載のように得られた二酸化窒素検知剤、検知剤保護用青ケイ砂、実施例1と同一の方法で得られたオゾン除去剤および綿栓の順序で充填し、他方の末端を溶封して二酸化窒素検知管を製造した。0.25ppmの二酸化窒素および0.1〜1.0ppmのオゾンを含む混合気体100mlを通気して二酸化窒素濃度を測定した。
【0013】
比較例B
実施例2と同一の方法で、オゾン除去剤を加えないで二酸化窒素検知管を製造し、測定した。
【0014】
図5に示すように、オゾン除去剤を含む本発明の二酸化窒素検知管は正確な測定結果を示すことが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の二酸化窒素検知管の一態様を示す略図である。
【図2】本発明のテトラエチルローダミンを含むオゾン除去剤を通過した後の二酸化窒素濃度を示すグラフである。
【図3】本発明のインジゴを含むオゾン除去剤を通過した後の二酸化窒素濃度を示すグラフである。
【図4】本発明のテトラエチルローダミンを含むオゾン除去剤を通過した後の二酸化窒素濃度を示すグラフである。
【図5】本発明のオゾン除去剤を含む二酸化窒素検知管とそれを含まない検知管の指示値の比較を示すグラフである。
【符号の説明】
1…ポリプロピレン栓
2…二酸化窒素
3…検知剤保護用青ケイ砂
4…オゾン検知剤
5…綿栓

Claims (3)

  1. オゾンおよび二酸化窒素を含む混合気体から、二酸化窒素に影響を与えずにオゾンのみを選択的に除去するためのオゾン除去剤であって、多孔質担体の重量基準で0.01%以上の量で前記多孔質担体上にテトラエチルローダミンを担持させたオゾン除去剤。
  2. 請求項1記載のオゾン除去剤をガラス管または樹脂製の管に充填し、両端を封じたオゾン除去管。
  3. オゾンおよび二酸化窒素を含む混合気体中の二酸化窒素の濃度を測定するための二酸化窒素検知管であって、前記検知管は、請求項1記載のオゾン除去剤および二酸化窒素により着色する二酸化窒素検知剤がガラス管に充填されており、そしてその両端が溶封されている二酸化窒素検知管。
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