JP3674464B2 - マイクロ波給電回路及びその製造方法と移動体識別装置 - Google Patents

マイクロ波給電回路及びその製造方法と移動体識別装置 Download PDF

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  • Input Circuits Of Receivers And Coupling Of Receivers And Audio Equipment (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は放射された微弱なマイクロ波を受信し、整流した直流電圧によって電源供給を行う回路に関し、特に、移動体識別装置用応答器のマイクロ波給電回路及び本回路構成を用いた移動体識別装置用応答器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、応答器を人が所持しまたは移動体に付設し、この応答器に予め情報が記憶され、定置される質問器よりこの応答器にマイクロ波帯の電波で質問信号を送信し、この質問信号を受信復調した応答器は適宜な応答信号を電波で質問器に返送し、質問器は受信した応答信号を適宜な復調手段で復調することで、応答器に記憶されている情報を入手し、人または移動体を識別する等の装置やシステムが提案及び実現されている。
【0003】
商用交流電源または内蔵電池により応答器内の電子回路を動作させる場合、複雑な信号処理や充分な送信電力を得る事が可能となるが、応答器の小型軽量化、低価格化また寿命の点で充分な満足を得られない。そのため、外部の質問器から応答器に向けて放射された電波の電力を駆動電力として利用するようにした技術が、特開昭63−54023号公報等に示されている。
【0004】
ここで示された応答器の概要は、図9に示すように、基板901上に質問信号波長の1/2の長さとして選択したマイクロストリップライン902と放射素子903をメタライズドしてアンテナを形成し、アンテナで受信したマイクロ波帯電波をダイオード904aによって整流し、応答信号をダイオード904bに加え応答信号を送信するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来の構成では、ダイオードの標準的な特性をもとに整合回路の特性を含む、アンテナとの接続条件を決定しているため、ダイオード特性がばらつくことによって、マイクロ波帯電波のエネルギ波を効率良く直流電力に変換できなくなるという課題を有していた。
【0006】
本発明は上記従来技術の課題を解決するもので、前記のようにダイオード回路を構成することにより、効率良く直流電力が得られるマイクロ波給電回路を提供することを目的とする。
【0007】
【発明を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明は、整流用ダイオードと並列に調整用素子を具備し、ダイオード特性のばらつきに応じて調整可能に構成したものである。
【0008】
これにより、小型かつ安価で、効率良く直流電力が得られるマイクロ波給電回路が構成できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、マイクロ波を受信するアンテナと、受信したマイクロ波を整流する整流素子と、前記整流素子と並列に接続されたインピ−ダンス調整用素子と、前記整流素子と前記アンテナを整合させる整合回路と、前記整流素子によって整流された出力を平滑化する低域通過フィルタとを有し、前記アンテナの給電端に前記整合回路を接続し、前記整流素子の一端を前記整合回路、他端を前記低域通過フィルタと接続する構成として、前記整流素子のばらつきに応じて前記インピ−ダンス調整用素子のインピーダンス値を変え、整流効率を一定に保つことを特徴としたマイクロ波給電回路としたものであり、簡便な回路構成により整流ダイオードの特性ばらつきによるマイクロ波給電回路の整流効率の劣化を調整、改善させられるという作用を有する。
【0010】
本発明の請求項2に記載の発明は、マイクロ波を受信するアンテナと、受信したマイクロ波を整流する整流素子と、前記整流素子と並列に接続されたインピ−ダンス調整用素子と、前記整流素子と前記アンテナを整合させる整合回路と、前記整流素子によって整流された出力を平滑化する低域通過フィルタとを有し、前記アンテナの給電端に前記整合回路を接続し、前記整流素子の一端を整合回路及び前記低域通過フィルタとに接続し、他端を接地する構成として、前記整流素子のばらつき及び実装ばらつきに応じて前記インピーダンス調整用素子のインピーダンス値を変え、整流効率を一定に保つことを特徴としたマイクロ波給電回路としたものであり、簡便な回路構成により整流ダイオードの特性ばらつき及び実装ばらつきによるマイクロ波給電回路の整流効率の劣化を調整、改善させられるという作用を有する。
【0011】
本発明の請求項3に記載の発明は、少なくともマイクロ波を受信するアンテナが形成された基板と、前記基板にフリップチップ実装され、受信したマイクロ波を整流する整流素子と、前記アンテナと前記整流素子を整合させる整合回路とを有するICと、前記整流素子と並列に配置され、前記ICと前記基板の間の距離によってインピーダンス値が決定されるインピーダンス調整用キャパシタとを有するマイクロ波給電回路としたものであり、整流ダイオードのばらつきに応じて、インピーダンス調整キャパシタのインピーダンスを前記 IC と前記基板の間の距離によって決定することで、整流ダイオードの特性ばらつきによるマイクロ波給電回路の整流効率を改善させられるという作用を有する。
【0012】
本発明の請求項4に記載の発明は、少なくともマイクロ波を受信するアンテナが形成された基板と、前記基板にフリップチップ実装され、受信したマイクロ波を整流する整流素子と前記アンテナと前記整流素子を整合させる整合回路とを有するICと、前記整流素子と並列に配置され、前記ICに形成された第1の配線と前記基板に形成された第2の配線によって構成されるインピーダンス調整用スパイラルインダクタとを有し、前記第1の配線と前記第2の配線の接点数によって、前記インピーダンス調整用スパイラルインダクタのインピーダンス値が決定されるマイクロ波給電回路としたものであり、インピーダンス調整素子のインピーダンスを調整することで、整流ダイオードの特性ばらつきによるマイクロ波給電回路の整流効率を改善させられるという作用を有する。
【0013】
本発明の請求項5に記載の発明は、キャパシタをインピーダンス調整用素子として用いることを特徴とした請求項1、2記載のマイクロ波給電回路としたものであり、調整用素子としてキャパシタを用い、容量値を適宜調整することにより簡便な回路構成により整流ダイオードの特性ばらつき及び実装ばらつきによるマイクロ波給電回路の整流効率の劣化を調整、改善させられるという作用を有する。
【0014】
本発明の請求項6に記載の発明は、スパイラルインダクタをインピーダンス調整用素子として用いることを特徴とした請求項1、2記載のマイクロ波給電回路としたものであり、調整用素子としてスパイラルインダクタを用い、インダクタンス値を適宜調整することにより簡便な回路構成により整流ダイオードの特性ばらつき及び実装ばらつきによるマイクロ波給電回路の整流効率の劣化を調整、改善させられるという作用を有する。
【0015】
本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1〜6記載のマイクロ波給電回路を用いることを特徴とした移動体識別装置としたものであり、微弱な入力電力に於いても整流効率の高いマイクロ波給電回路を有し、質問器からの信号から充分な電力が得られる小型でかつ軽量な応答器と、この応答器を用いて広いエリアでの通信が可能な移動体識別装置を実現できるという作用を有する。
【0016】
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項3記載のマイクロ波給電回路を作製する方法であって、ICと基板の間の距離の調整は、前記ICと基板前記ICを実装する際の加圧強度によっておこなうことを特徴とするマイクロ波給電回路製造方法としたものであり、IC実装時の加圧強度によってインピーダンス調整用素子のインピーダンスを制御するという容易な方法で、IC及び実装時の特性ばらつきによるマイクロ波給電回路の整流効率の劣化を調整、改善させられるという作用を有する。
【0017】
本発明の請求項9に記載の発明は、請求項4記載のマイクロ波給電回路を作製する方法であって、前記第1の配線と前記第2の配線の接点数は、前記ICを実装する際の加圧強度によって調整することを特徴とするマイクロ波給電回路製造方法としたものであり、IC実装時の加圧強度によってインピーダンス調整用素子のインピーダンスを制御するという容易な方法で、IC及び実装時の特性ばらつきによるマイクロ波給電回路の整流効率の劣化を調整、改善させられるという作用を有する。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図8を用いて説明する。
【0019】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1について、図1を参照しながら説明する。図1は本発明の実施の形態1におけるマイクロ波給電回路の回路図である。
【0020】
図1に於いて、102はマイクロ波受信用アンテナ、103はアンテナ102に接続された整合回路部、108は半波整流を行う整流回路部で、整流用ダイオード104及びこれと並列に配置された調整用キャパシタ105から構成される。106は低域通過フィルタ部、107はマイクロ波給電回路の出力端である。
【0021】
例えば、アンテナ102は基板101上にパターン形成したマイクロストリップ構造で構成する。整合回路部103は、アンテナ102と整流回路部108との整合を考慮したもので、分布定数線路又はチップ部品によるインダクタ103aやキャパシタ103bにより構成される。低域通過フィルタ部106はダイオード104によって整流された信号を平滑化する。
【0022】
上記構成に於いて、アンテナ102は図示していない装置、例えば質問器から放射される電波を受信し、整合回路部103を介して整流回路部108に供給する。整流回路部108では、ダイオード104によってマイクロ波を整流し、低域通過フィルタ部106を通すことで直流電力を出力端107に得る事が可能となる。
【0023】
マイクロ波給電回路の効率を向上させるためには、ダイオード104の特性に応じた整合回路部103を設け、アンテナ102で受信した電波を低損失に整流回路部108に入力する必要がある。しかしながら、ダイオード104の端子間容量は個別素子間での大きなばらつきを有する。図2は、端子間容量として0.1pFのダイオード104を用いた場合の半波整流回路を想定して整合回路部103を調整したマイクロ波給電回路での、端子間容量を変動せた場合の整流効率を解析したものである。図2より、端子間容量0.1pFに対し、±0.05pFのばらつきにより整流効率が大きく劣化することがわかる。この理由は端子間容量の変動によってアンテナ102との整合がずれ、不整合損失が増えた事による。
【0024】
対応としては、ダイオード104の端子間容量のばらつきに対し、整合回路103のインダクタ103aとキャパシタ103bを調整する必要があるが、個別のダイオード104特性に応じ、インダクタ103aとキャパシタ103bの2つの値を調整することは容易でなく、少数試作時はもとより、量産時に十分な特性が得られない原因となっていた。
【0025】
調整用キャパシタ105は、ダイオード104のアノード端とカソード端間に接続され、容量を変えることで端子間容量のばらつきに対する整合状態のズレを補正する。即ち、端子間容量の規格値または平均値などで整合回路部103を構成し、この値に対し端子間容量が変動した場合に、変動度合いに応じて調整用キャパシタ105の値だけを調整することで整流効率の劣化を防ぐものである。調整用キャパシタ105の容量は、例えば0pF〜0.5pFである。
【0026】
以上より、整流用ダイオード104のアノード端とカソード端間に接続した調整用キャパシタ105を設け、その容量値だけを調整することで、ダイオード4の特性ばらつきにともなう整流効率の劣化を容易に調整、改善することが可能なマイクロ波給電回路を実現することができるという有利な効果が得られる。
【0027】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2について、図3を参照しながら説明する。図3は本発明の実施の形態2におけるマイクロ波給電回路の回路図である。
【0028】
図3に於いて、整流回路部308はアノード端を接地した整流用ダイオード304と、ダイオード304と並列に配置された調整用キャパシタ305によって構成されており、図3に於いて第1の実施の形態と異なるのは、整流用ダイオード304のアノード端を接地する構成とすることで、整流用ダイオード304の直列抵抗成分による変換損失を無くした点である。
【0029】
従来、本構成による整流回路部303は、端子間容量のばらつきのみならず、ダイオード304の接地側端子の実装状態ばらつきや接地部パターン形状の影響によって、ダイオード304部の特性が変動し、ダイオード304の実装後に整合回路部303を調整する必要があった。しかしながら、個別基板毎にインダクタ303aとキャパシタ303bの2つの値を調整することは容易でなく、少数試作時はもとより、量産時に十分な特性が得られない原因となっていた。
【0030】
そこで、本構成ではダイオード304と並列に調整用キャパシタ305を接続し、この容量を変えることで端子間容量及び実装状態のばらつき、接地部パターン形状の影響による整合状態のズレを補正するものであり、調整用キャパシタ305の値だけを調整することで整流効率の劣化を防ぐものである。調整用キャパシタ305の容量は、例えば0pF〜0.5pFである。
【0031】
以上より、ダイオード304と並列に調整用キャパシタ305を設け、その容量値だけを調整することで、整流効率の劣化を容易に調整、改善することが可能なマイクロ波給電回路を実現することができるという有利な効果が得られる。
【0032】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3について、図4〜図5を参照しながら説明する。図4は本発明の実施の形態4における移動体識別装置用応答器の断面構造図、図5は概略実装図である。
【0033】
図4及び図5に於いて、401はIC、402は応答器基板、403は調整用コンデンサであり、IC側に備えられた電極404と応答器基板側に備えられた電極405によって構成される。406は調整時に用いるテスト端子、408はバンプである。第3の実施の形態に於いて第1の実施の形態と異なるのは、調整用キャパシタ403の調整方法について、具体構造を示し説明している点である。その他の構成と機能は第1の実施の形態にて説明したものと同様である。
【0034】
IC401は応答器基板402にフリップチップ実装され、IC側電極404と基板側電極405によって調整用の平行平板型キャパシタ403が構成される。実装/調整時には、テスト端子509から信号を入力し、出力端507からテスト信号、例えば整流された直流電力をもとに整流回路の整合状態を判定し、IC401の加圧状態を変えてバンプ408の高さを変えることで、調整用キャパシタ403の容量を調整し、整合状態のずれによる変換効率の劣化を調整、改善する。例えば、電極404、405を250μm角とし、封止材の誘電率を5とするとバンプ高さを60から20μmに変化させることで、調整用コンデンサ403の容量を0.05pFから0.15pFとすることができる。
【0035】
以上より、IC401実装時の加圧状態によって調整用キャパシタ403の容量を変化させることで、整流効率の劣化を容易に調整、改善することが可能なマイクロ波給電回路を実現することができるという有利な効果が得られる。
【0036】
なお、上記説明ではIC401と応答器基板402に電極を設けることで調整用キャパシタ403を構成するように記載したが、IC401または応答器基板402のどちらか一方に調整用キャパシタ403を設置し、他方に設置した調整部、例えば電極との間隔をIC実装時の加圧状態によって変えることによって、調整用コンデンサの容量値を変えるように構成してもよい。
【0037】
なお、上記説明では個別調整に用いるように記載したが、予め特性を抽出したダイオードにおいて、ロット間ばらつきの影響を吸収することに用いてもよい。
【0038】
(実施の形態4)
以下、実施の形態4について、図6及び図7を参照しながら説明する。図6は本発明の実施の形態4における移動体識別装置用応答器の断面構造図である。図7は、マイクロ波給電回路の回路図である。
【0039】
図6に於いて、601はIC、602は応答器基板、603は調整用配線、605は調整用スパイラルインダクタである。第4の実施の形態に於いて第1の実施の形態と異なるのは、調整用にスパイラルインダクタ605と高さの異なる複数のバンプ604を用い、その調整方法について、具体構造を示し説明している点である。その他の構成と機能は第1の実施の形態にて説明したものと同様である。
【0040】
図7において、IC601は応答器基板602にフリップチップ実装されるが、この際、テスト端子709から信号を入力し、出力端707からテスト信号、例えば整流された直流電力をもとに整流回路703の整合状態を判定する。インダクタンス605を小さくするには、IC601の加圧を強くしてバンプ608を潰し、調整用配線603のバンプ604aがスパイラルインダクタ605と接続するようにすることで、インダクタ605の配線の一部を短絡することができる。更に小さくするためには加圧を続け、バンプ604bも接続させればよりこのことでインダクタンス値を調整し、整合状態のずれによる変換効率の劣化を調整、改善する。
【0041】
以上より、IC601実装時の加圧状態によって調整用スパイラルインダクタ605のインダクタンス値を変化させることで、整流効率の劣化を容易に調整、改善することが可能なマイクロ波給電回路を実現することができるという有利な効果が得られる。
【0042】
なお、図6においては、高さの異なるバンプ604を用いたが、同じ高さのバンプを複数用いても良い。
【0043】
(実施の形態5)
以下、実施の形態について、図8を参照しながら説明する。図8は本発明の実施の形態5における移動体識別装置の概略ブロック図である。
【0044】
図8に於いて、820は質問器、815は応答器である。応答器830の第1のアンテナ802、整合回路部803、ダイオード804、調整用キャパシタ805、低域通過フィルタ部806は、図1の実施の形態1で説明したマイクロ波給電回路の構成および機能と同じである。810は質問器820からの放射電波を反射する第2のアンテナ、811は第2のアンテナ810に接続された変調器、812は低域通過フィルタ部806の出力から電源電力を得て動作する応答器
制御部、813は応答器制御部812に接続されたメモリである。
【0045】
821は質問器820から電波を放射すると共に応答器815からの反射電波を受波する送受信アンテナ、822は送受信アンテナに接続されたサーキュレータ、823は送受信アンテナに送信信号を出力する送信部、824はVCOなどから構成された送信部の搬送波周波数に応じた信号を生成するシンセサイザ部、825はサーキュレータ822に接続された応答器815からの反射信号を復調する復調部、826は送信部823や復調部825やシンセサイザ部824に接続された質問器制御部である。
【0046】
以上のような構成で以下その動作を説明する。応答器815は人が所持しまたは移動体に付設する。この応答器815には予め所持している人あるいは移動体の情報がメモリ813に記憶されている。質問器820は定置に設置され、例えば質問器820の立ち上げ時などで質問器制御部826はシンセサイザ部824を制御し、所定の周波数の信号をシンセサイザ部824より出力する。この信号を受けた送信部823は所定の出力に増幅したマイクロ波帯の無変調電波をサーキュレータ822を介して送受信アンテナ821より放射する。
【0047】
送受信アンテナ821の近傍を移動した応答器815は、質問器820から放射された電波を受信し実施の形態1記載のマイクロ波給電回路により効率良く直流電力を得る。この電力により、応答器制御部812などが動作を開始する。応答器制御部12は、メモリ813に予め記憶されている情報に応じて変調器811を動作させ、第2のアンテナ10により質問器820から放射された無変調波電波を変調反射する。この変調動作は、例えばメモリ813の情報に応じて変調器811で第2のアンテナ810の整合条件を変え反射信号の強度や位相を変化させることで実現できる。
【0048】
応答器815からの変調された反射信号は、質問器820の送受信アンテナ821で受信し、サーキュレータ822を介し復調部825で復調し、質問器制御部826で応答器815のメモリ813に予め記憶されている情報を得る。
【0049】
応答器815に実施の形態1記載のマイクロ波給電回路を用いる事で、例えば第1のアンテナ802の受信電界強度として1mW程度の微弱な入力電力に於いても、ダイオード804は動作し、調整用キャパシタ805により高効率に直流電力を得ることが可能となる。なお、質問器820の送信電力を300mW、送受信アンテナ821の空中線利得を約15dBiとすると、1mWの受信電力は質問器20から約1m離れた位置となる。
【0050】
例えば、このような応答器815をベルトコンベア上を移動する様々な形状の物品に配付し質問器820から識別するシステムに於いても、応答器815の動作範囲が約1mと長いため物品の大きさに応じた質問器820と応答器815との距離変動にも追従できる使い易い移動体識別装置を実現することができる。
【0051】
以上の構成では、応答器815は質問器820からの情報を得ることができない構成であるが、第1のアンテナ802または第2のアンテナ810に復調回路を接続し、応答器制御部812に復調信号に応じた動作制御機能を付加してもよい。また、応答器815として第1のアンテナ802及び第2のアンテナ810の2つのアンテナを有する構成を図示したが、1つのアンテナで兼用しても良い。逆に質問器820アンテナとして、送信と受信を兼用する送受信アンテナ821を有する構成を図示したが、別々な構成でも構わない。
【0052】
以上より、実施の形態1〜4に記載したマイクロ波給電回路を設けた応答器815と質問器820とにより移動体識別装置を構成することで、質問器820から離れた応答器8150に応答器815内の電子回路を動作させるのに必要な電力を供給する事が可能となり、質問器820による応答器815の情報の読み出し距離を長くすることが可能となり、より使い易い移動体識別装置を実現できるという有利な効果が得られる。
【0053】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ダイオードと並列に接続した調整用キャパシタの値だけを調整することで、ダイオードの特性ばらつきに応じた整流効率の劣化を簡単に改善するマイクロ波給電回路を実現することができるという有利な効果が得られる。
【0054】
また、このマイクロ波給電回路構成を用いて応答器を構成する事で、質問器による応答器の情報の読み出し距離を長くすることが可能となり、より使い易い移動体識別装置を実現できるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるマイクロ波給電回路の回路図
【図2】本発明の一実施の形態によるマイクロ波給電回路の効果を示す図
【図3】本発明の一実施の形態によるマイクロ波給電回路の回路図
【図4】本発明の一実施の形態によるマイクロ波給電回路の実装部断面図
【図5】本発明の一実施の形態によるマイクロ波給電回路の回路図
【図6】本発明の一実施の形態によるマイクロ波給電回路の実装部断面図
【図7】本発明の一実施の形態によるマイクロ波給電回路の回路図
【図8】本発明の一実施の形態による移動体識別装置の概略ブロック図
【図9】従来の移動体識別装置用応答器の要部回路図
【符号の説明】
101 基板
102 アンテナ
103 整合回路部
104 ダイオード
105 調整用キャパシタ
106 低域通過フィルタ部
107 出力端
108 整合回路部
401 IC
402 基板
403 調整用キャパシタ
404 IC側電極
405 基板側電極
408 バンプ
509 テスト端
603 調整用配線
605 調整用スパイラルインダクタ
802 第1のアンテナ
803 整合回路部
804 整流回路部
806 低域通過フィルタ
810 第2のアンテナ
811 変調器
812 応答器制御部
813 メモリ
814 電源線
815 応答器
820 質問器
821 送受信アンテナ
822 サーキュレータ
823 送信部
824 シンセサイザ部
825 復調部
826 質問器制御部
901 基板
902 マイクロストリップライン
903 放射素子
904a ダイオード
904b ダイオード

Claims (9)

  1. マイクロ波を受信するアンテナと、
    受信したマイクロ波を整流する整流素子と、
    前記整流素子と並列に接続されたインピ−ダンス調整用素子と、
    前記整流素子と前記アンテナを整合させる整合回路と、
    前記整流素子によって整流された出力を平滑化する低域通過フィルタとを有し、前記アンテナの給電端に前記整合回路を接続し、前記整流素子の一端を前記整合回路、他端を前記低域通過フィルタと接続する構成として、前記整流素子のばらつきに応じて前記インピ−ダンス調整用素子のインピーダンス値を変え、整流効率を一定に保つことを特徴としたマイクロ波給電回路。
  2. マイクロ波を受信するアンテナと、
    受信したマイクロ波を整流する整流素子と、
    前記整流素子と並列に接続されたインピ−ダンス調整用素子と、
    前記整流素子と前記アンテナを整合させる整合回路と、
    前記整流素子によって整流された出力を平滑化する低域通過フィルタとを有し、前記アンテナの給電端に前記整合回路を接続し、前記整流素子の一端を整合回路及び前記低域通過フィルタとに接続し、他端を接地する構成として、前記整流素子のばらつき及び実装ばらつきに応じて前記インピーダンス調整用素子のインピーダンス値を変え、整流効率を一定に保つことを特徴としたマイクロ波給電回路。
  3. 少なくともマイクロ波を受信するアンテナが形成された基板と、
    前記基板にフリップチップ実装され、受信したマイクロ波を整流する整流素子と、
    前記アンテナと前記整流素子を整合させる整合回路とを有するICと、
    前記整流素子と並列に配置され、前記ICと前記基板の間の距離によってインピーダンス値が決定されるインピーダンス調整用キャパシタとを有するマイクロ波給電回路。
  4. 少なくともマイクロ波を受信するアンテナが形成された基板と、
    前記基板にフリップチップ実装され、受信したマイクロ波を整流する整流素子と前記アンテナと前記整流素子を整合させる整合回路とを有するICと、
    前記整流素子と並列に配置され、前記ICに形成された第1の配線と前記基板に形成された第2の配線によって構成されるインピーダンス調整用スパイラルインダクタとを有し、
    前記第1の配線と前記第2の配線の接点数によって、前記インピーダンス調整用スパイラルインダクタのインピーダンス値が決定されるマイクロ波給電回路。
  5. キャパシタをインピーダンス調整用素子として用いることを特徴とした請求項1、2記載のマイクロ波給電回路。
  6. スパイラルインダクタをインピーダンス調整用素子として用いることを特徴とした請求項1、2記載のマイクロ波給電回路。
  7. 請求項1〜6記載のマイクロ波給電回路を用いることを特徴とした移動体識別装置。
  8. 請求項3記載のマイクロ波給電回路を作製する方法であって、ICと基板の間の距離の調整は、前記ICと基板前記ICを実装する際の加圧強度によっておこなうことを特徴とするマイクロ波給電回路製造方法。
  9. 請求項4記載のマイクロ波給電回路を作製する方法であって、前記第1の配線と前記第2の配線の接点数は、前記ICを実装する際の加圧強度によって調整することを特徴とするマイクロ波給電回路製造方法。
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