JP3672768B2 - ポリスチレン系樹脂発泡積層シートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高密度発泡シートと低密度発泡シートとからなるポリスチレン系樹脂発泡積層シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からポリスチレン系樹脂発泡成形品を得る方法として、ポリスチレン系樹脂発泡シートを成形機内で加熱し、二次発泡させ軟化状態とし、種々の成形方法により成形し打抜くまたは成形と同時に打抜くことが行われている。また、成形品の必要機能の1つである強度を得るために種々な方法が試みられており、例えば、成形品の厚みを厚くしたり、重量を重くしたり、成形品に複数のリブを設ける等が行われている。
【0003】
即ち、トレー容器等は内容物を容器内に入れフィルムをラップし、ラップしたままの状態で店頭に並べられる場合が多い。このようなトレー容器の使用方法においては、容器に大きく圧縮力が加わることから、この圧縮力により変形しないために、容器にはこれらの力に充分耐え得る圧縮強度と同時に容易に座屈しない機能を有することが必要とされる。また、ラップしたフィルムが引き伸ばされたままの包装状態を長時間保持できることも必要であり、そのためにも一定時間以上にわたってその圧縮強度に耐え得ることも必要とされる。
【0004】
ポリスチレン系樹脂発泡成形品に対してこのような機能を省材料下で付与する一つの方法として、成形品の内側のみを高密度の表皮層とすることが提案されている(実公昭63−6005号公報参照)。これは、トレーのような容器においては、ラッピング等をした場合に、その内側においては圧縮応力が側壁部と底部との境界部分に生じ、一方外側は引張応力が側壁部から底部にかけて広い範囲に生じることから、成形品の内側のみを高密度の表皮層とすることにより、内面に生じる極部的な圧縮応力に対する耐性を付与しようとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の提案はポリスチレン系樹脂発泡成形品に対して必要な強度を付与するのに有効なものであるが、この方法は発泡シートの表面にエアーを吹き付けることにより高密度の表皮層の形成を行うようにしているために、成形性等も加味すると、高密度層の厚みはたかだか0.05mm程度が限度であり、この厚みでは必要な圧縮強度を得るには必ずしも十分でない場合があることから、さらにリブを付設することを必要としている。
【0006】
補強リブを設けると成形性との関係から深い容器の成形ができなくなる場合があると共に、トレー等を成形した場合に、その形状によっては成形品の重ね高さ (容器の輸送のため、重ね合わせた時の嵩高さ) を低くすることができず、嵩高になる不都合を伴う。
【0007】
本発明は、従来のポリスチレン系樹脂発泡シート及びその成形品が有する上記のような不都合を解決することを目的としており、より具体的には、発泡シート全体としては、同じ厚さと同じ密度を持つポリスチレン系樹脂発泡シートを用いて成形した成形品と同様でありながら、より強い強度(特にリブ圧縮強度)を備えた成形品を得ることができ、それにより、省材料かつ低コスト化を可能とすることのできるポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法を得ることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明者等は、ポリスチレン系樹脂発泡シート及びその成形品について多くの実験と研究を行った結果、基本的にポリスチレン系樹脂発泡シートを、少なくとも高密度の発泡シート層と低密度の発泡シート層の2層構造とすることにより、また高密度発泡シートの平均気泡径を30μm以上で厚み方向のセル数が平均3個以上とし、該発泡積層シートの高密度発泡シート側を内側として容器などの成形品を成形することにより、上記の目的が達成可能であることを知見した。
【0009】
本発明は上記のような特性を持つポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法を開示するものであり、発泡密度の異なるシートが積層されたポリスチレン系樹脂発泡積層シートを共押出法によって製造する製造方法であって、ダイとしてサーキュラーダイを用い、かつ、高密度発泡シート側を内側に、低密度発泡シート側を外側として押し出すことを特徴とする。
【0010】
本発明において、ポリスチレン系樹脂としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、パラメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンの単独重合体又は共重合体が挙げられる。共重合体としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸重合体、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等のポリスチレン系樹脂が挙げられる。
【0011】
共押出法とは、押し出された樹脂を合流ダイに通すことにより融着し、シート状に形成する方法である。共押出法により得られるポリスチレン系樹脂発泡積層シートは、経済性に優れ、発泡積層シートの製品スペック幅も広く、成形性にも優れている等の利点がある。成形後の高密度発泡シートと低密度発泡シートとを貼り合わせることによっても積層シートを得ることができるが、そのような方法は、貼り合わせ工程を別途必要とし経済性に劣ると共に、高密度発泡シート又は低密度発泡シートの押出により得られる厚みを250μm以下とすることは難しく、また延伸コントロールが難しく、成形時の伸びに問題が残るという不都合がある。また、得ようとするポリスチレン系樹脂発泡積層シートの厚みが薄い、すなわち、高密度発泡シート及び/又は低密度発泡シートの厚みが薄い場合には、貼り合わせ時に発泡シートが熱による収縮を起こす恐れがあり、また接着剤等で貼り合わせたとしても延伸が制御できないことから、得られた発泡積層シートの成型時の伸びが悪く、成形性に劣るという不都合がある。本発明のように、共押出法による場合は、上記の不都合を容易に回避することができる。
【0012】
本発明において、ダイとしてサーキュラーダイを用い、高密度発泡シートを内側(プラグ側)に、低密度発泡シートを外側になるようにして押し出す。これは、低密度発泡シートを内側にするとプラグにより気泡がつぶされる場合があり、発泡シートの厚みや密度の調整が困難になることによる。
【0013】
本発明により製造されるポリスチレン系樹脂発泡積層シートは、少なくとも低密度発泡シートと高密度発泡シートとの積層構造を基本構成とする。ポリスチレン系樹脂発泡積層シートの一形態では、高密度発泡シートと低密度発泡シートとが積層されており、高密度発泡シートは、厚み0.2mm〜2.8mm、平均気泡径30μm以上で、かつ厚み方向に平均3個以上の気泡が配列されたものであることが好ましく、低密度発泡シートは好ましくは密度が0.22g/cc〜0.042g/ccで、厚みが3.0mm以下であり、高密度発泡シートと低密度発泡シートとの合計厚みが0.7〜3.5mmの範囲であることが好ましい。
【0014】
高密度発泡シートの厚みが0.2mm未満の場合は、本発明のポリスチレン系樹脂発泡積層シートを成形して成形品となしたとき、成形品の側壁部と底部の境界部分の厚みが成形時に伸ばされて0.2mm未満となることがあり、座屈防止効果が低減する。また、厚みが2.8mmを越えても座屈防止効果の増大につながらずメリットが失われる。気泡径の強度に対する影響も大きく、平均気泡径が30μm以上、好ましくは30μm〜250μmの範囲で、厚み方向の気泡数が3個以上あれば座屈防止効果が大きく、高密度発泡シートの厚みが0.2mmあればよいことが判った。しかし、気泡径が30μm未満だと強度がでない。
【0015】
低密度発泡シートの密度が0.22g/ccを越えると、成形後の成形品の引張り応力に打ち勝つに必要とする以上の張力となり、また経済性が低下する。また、低密度発泡シートの密度が0.042g/cc未満の場合は、高密度発泡シートと低密度発泡シートとの積層発泡シートの共押出による製造時に、気泡の連通化が多くなり、成形品を得る際の成形時の伸びが悪くキレツが発生する。更に、気泡の連通のために、成形品強度が弱くなると共に成形の際の成形機内での加熱時に部分的加熱ムラが発生しやすく、成形条件幅が狭くなる。共押出する場合は密度0.042g/ccが押出安定上の限度である。
【0016】
本発明において、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの少なくとも片面に熱可塑性樹脂フィルムを積層してもよい。また、他の発泡体をも積層してもよい。例えば、熱可塑性樹脂フィルム/高密度発泡シート/低密度発泡シートの3層構造、熱可塑性樹脂フィルム/高密度発泡シート/低密度発泡シート/熱可塑性樹脂フィルムの4層構造、熱可塑性樹脂フィルム/高密度発泡シート/低密度発泡シート/高密度発泡体/熱可塑性樹脂フィルムの5層構造等の組み合わせが挙げられる。なお、低密度発泡シート側に熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせれば、引張り応力に対する表皮層全体の伸びを抑制する機能を付与することができ、発泡シートの強度が向上する。この場合には高密度発泡シート/低密度発泡シート/熱可塑性樹脂フィルムの構成となる。
【0017】
使用される熱可塑性樹脂フィルムは、積層発泡シートを成形するに際して、加熱成形により延伸する物性を持つことを条件にいずれのものも使用できるが、かかる樹脂としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、パラメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンの単独重合体又は共重合体、例えば樹脂としてはスチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂が使用できる。特に、ポリスチレン樹脂及び耐衝撃性ポリスチレン樹脂が好ましい。その他に、ポリスチレン系樹脂と耐衝撃性ポリスチレンとの混合又は耐衝撃性ポリスチレン単独であってかつ、耐衝撃性ポリスチレンにはスチレン−ブタジエン共重合体がサラミ構造状に分散し、その粒径が0.3μm〜10μmのものを多く含むものをあげることができる。
【0018】
また、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレンホモポリマー、エチレン−プロピレンランダムポリマー、エチレン−プロピレンブロックポリマー、エチレン−プロピレン−ブテン−ターポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体(例えば、エチレン−メチルメタクリレート共重合体)、エチレン−不飽和カルボン酸金属塩共重合体(例えば、エチレン−アクリル酸マグネシウム(又は亜鉛)共重合体)、プロピレン−塩化ビニルコポリマー、プロピレン−ブテンコポリマー、プロピレン−無水マレイン酸コポリマー、プロピレン−オレフィン共重合体(プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体)ポリエチレン又はポリプロピレンの不飽和カルボン酸(例えば、無水マレイン酸)変性物、エチレン−プロピレンゴム、アタクチックポリプロピレン等が挙げられ、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体及びこれら2種以上の混合物やポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のフィルムが挙げられる。
【0019】
更に、ガスバリヤ性を持つ熱可塑性樹脂フィルムを積層することも好ましい態様であり、かかるガスバリヤ性を有するフィルムとしては、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、塩化ビニリデン系・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル系メチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体、ナイロン、二軸延伸ナイロン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、アイオノマー樹脂(例えば、登録商標サーリン)或いは金属蒸着フィルムが挙げられ、これらは単独若しくはこれらフィルムの積層されたものが用いられる。
【0020】
高密度発泡シート又は低密度発泡シートと熱可塑性樹脂フィルムとの積層にあたっては、共押出法の他に熱を使用したラミネート法も用い得る。その際には、熱ロールで接合面の反対側より熱可塑性樹脂フィルムを加熱圧着する。この場合、加熱圧着するロールの表面は、クロムメッキ又はテフロンコーティングを行い、加熱された熱可塑性樹脂フィルムとのべたつきを防止する。また、熱ロールによる加熱圧着と共に、接合面を加熱装置によって加熱するようにしてもよい。
【0021】
熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、10μm〜500μm、好ましくは15μm〜300μmである。10μ未満が限底で、それ以下だと容器に成形したときに該熱可塑性樹脂フィルムに穴明きが発生する場合がある。なお、現在の押出技術では5μm程度が安定して作れる限界である。一方厚みが、500μmより厚い場合、積層時にポリスチレン系樹脂発泡シートに焼けやハクリが生じることとなる。また、共押出では作ることがきないので、製造コストの観点で不利である。なお、熱可塑性樹脂フィルムに酸化チタン等の顔料を、フィルム製造時の原料100重量部に対して、5重量部以下混合してもよい。また、熱可塑性樹脂フィルム、高密度発泡シート及び低密度発泡シートは、着色剤等で予め着色されていてもよい。更に、熱可塑性樹脂フィルムに予め印刷し、その印刷面を内側として積層するようにすれば、外観に艶が出て表面の綺麗な成形品を得ることができる。
【0022】
本発明において、所望の密度の発泡シートを得るために、発泡剤及び添加剤の種類及び量と、発泡温度が適宜調節される。所望の密度となるように押出機に基材樹脂、発泡剤及び発泡に必要な添加剤を入れ、溶融混練した後、押出機のダイから押し出すことにより行われる。なお、予め基材樹脂、発泡剤及び添加剤を均一に混合した後、押出機に供給してもよい。また、添加剤は、予め基材樹脂と同種の樹脂に高濃度に添加した所謂マスターバッチとしておいてもよい。
【0023】
本発明に使用できる発泡剤は、公知のものをいずれも使用でき、かかるものとして分解型発泡剤、気体又は揮発性の発泡剤がある。分解型発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、カルシウムアジド、ナトリウムアジド、ホウ水素ナトリウム等の無機系分解性発泡剤、アゾジカルボンアミド、アゾビススルホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル及びジアゾアミノベンゼン等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタンメチレンテロラミン及びN,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド等のニトロソ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド及びp,p’−オキシピスベンゼンスフホニルセミカルバジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、トリヒドラジノトエイアジン、バリウムアゾカルボキシレート等が挙げられる。これらの発泡剤は、単独でも組み合わせてもよい。更に、分解温度、発生ガス量及び分解速度を調節するために公知の発泡助剤を添加することもできる。
【0024】
気体の発泡剤としては、窒素、炭酸ガス、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、メチルエーテル等が挙げられる。なお、ここで気体とは常温(25℃)、常圧(1気圧)で気体であることを意味する。一方、揮発性の発泡剤としては、エーテル、石油エーテル、アセトン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。また、水も使用することができる。これらを混合使用することもできる。
【0025】
上記発泡剤の内、ブタンが好ましい。気泡サイズを約40μm以下とすることを望む場合は、窒素、炭酸ガス、水を使用又は併用することが好ましい。また、窒素等は、空気から直接分離できるので安価であるという利点がある。
【0026】
発泡に必要な添加剤としては、例えば、気泡調節剤等が挙げられる。具体的には、タルク、シリカ等の無機粉末、多価カルボン酸等の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムとの反応混合物等が挙げられる。これら気泡調節剤を増量すると、気泡膜が熱に弱くなり、押出積層時に気泡膜が破れ、その結果気泡が大きくなることがある。このような気泡の増大を防ぐには、発泡剤として窒素、炭酸ガスを用いることが好ましい。更に、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
【0027】
溶融混練された樹脂は、発泡に最も適する温度に調節されたサーキュラーダイから一旦円筒状に押し出した後、任意のラインで切断することによりシート状にされる。ここで、高密度発泡シートを製造する場合、使用する押出機及び樹脂の種類等により異なるが、押出機バレル温度は140〜260℃程度に保たれる。また、基材樹脂100重量部に対して、発泡剤は、0.07〜3.3重量部、気泡調節剤は0.01〜7.0重量部添加することが好ましい。一方、低密度発泡シートを製造する場合、使用する押出機及び樹脂の種類等により異なるが、押出機バレル温度は140〜260℃程度に保たれる。また、基材樹脂100重量部に対して、発泡剤は0.5〜7.0重量部、気泡調節剤は0.01〜5.0重量部添加することが好ましい。
【0028】
次に、熱可塑性樹脂フィルムは、公知の押出法、具体的には、押出機中でフィルム原料(樹脂、添加剤等からなる)を溶融し、ダイ(Tダイ、コートハンガーダイ、スクリュウーダイ等)からフィルム状に押出す方法により形成することができる。熱可塑性樹脂フィルムを積層する場合、上記発泡シートと共押出してもよい。なお、接着剤を用いて熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせる場合は、接着剤の厚みはフィルム厚みに加えられる。
【0029】
さらに、高密度発泡シート及び/又は低密度発泡シートの表面にエアーを吹き付けて発泡シート表面に表皮を付けるようにしてもよい。その際に、好ましくは高密度発泡シート側には、5℃〜80℃、好ましくは、5℃〜45℃(エアーリング入口エアー温度) のエアーを発泡シートの1m2 当り0.04m3 〜0.4m3 吹付け、低密度発泡シート側には5℃〜80℃、好ましくは、5℃〜45℃のエアーを発泡シートの1m2 当り0.02m3 〜0.3m3 吹付けるようにする。そのようにして表皮を形成することにより、外観を綺麗にしたり、印刷性を向上させたり、さらには、リブの強度を向上させるというような効果がもたらされる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
ポリスチレン樹脂100重量部に気泡調整剤として5〜15μmのタルクの粉末0.6〜3.0重量部を添加し、又はこれらをマスターバッチにより加え、これを内径90mm〜150mmの押出機のホッパー上のバッチ式連続混合装置に投入して均一混和した後、ホッパーより押出機へ供給した。押出機のシリンダー温度は最高設定温度230℃とし、発泡剤としてブタンガス(i−ブタン65%、n−ブタン35%) を約1.0〜3.5重量%及び炭酸ガスを0〜2重量%加え、60〜80kg/時の割合で合流ダイに流入した。
【0031】
一方、前記ポリスチレン樹脂と異なったメルトインデックス(MI値と称す)を有するポリスチレン樹脂をベースに気泡調整剤として5〜15μmのタルクの粉末0.4〜1.5重量部と商品名:ハイドロセロールCF−40S(大日本精化工業株式会社製) 0.2〜1.0重量部とカラーのマスターバッチ(20%練混み)を2部添加し、これを内径90mm〜150mmの押出機のホッパー上のバッチ式連続混合装置に投入し、均一混和し、ホッパーより押出機へ供給した。押出機のシリンダー温度は最高設定温度245℃とし、発泡剤としてブタンガス(i−ブタン60%、n−ブタン40%) を約2.0〜7.0重量%加え、高密度発泡シートを押出す押出機とのバランスで合流ダイに流入した。
【0032】
合流ダイで合流された2種類配合の樹脂は共に口径126mm径の金型に流入され、スリットより円筒形に押出された直後にバルーンの内側と外側にエアーをかけ、発泡シートを冷却して、本発明ポリスチレン系樹脂発泡積層シートを得、この発泡積層シートを評価に供すると共に実施例とした。
【0033】
〔実施例1〕
MI値4.1(カタログ値) のポリスチレン樹脂(商品名:デンカスチロールHRM−5:電気化学工業株式会社製) 100重量部に、気泡調整剤として5〜15μmのタルクの粉末0.8重量部を添加し、これを内径90mmの押出機のホッパー上のバッチ式連続混合装置に投入して均一混和した後、ホッパーより押出機へ供給した。押出機のシリンダー温度は最高設定温度230℃とし、発泡剤としてブタンガス(i−ブタン65%、n−ブタン35%) を約2.5重量%加え、76kg/時の割合で合流ダイに流入した。
【0034】
一方、MI値1.9(カタログ値) のポリスチレン樹脂(商品名:デンカスチロールHRM−2:電気化学工業株式会社製)100重量部に、気泡調整剤として5〜15μmのタルクの粉末0.8重量部と商品名:ハイドロセロールCF−40S(大日本精化工業株式会社製) 0.6重量部を添加し、これを内径90mm押出機のホッパー上のバッチ式連続混合装置に投入し、均一混和し、ホッパーより押出機へ供給した。押出機のシリンダー温度は最高設定温度245℃とし発泡剤としてブタンガス(i−ブタン60%、n−ブタン40%) を約6.5重量%加え、77kg/時の割合で合流ダイに流入した。
【0035】
合流ダイで合流された2種類配合の樹脂は共に口径126mm径の金型に流入され、スリットより円筒形に押出された直後にバルーンの内側と外側にエアーをかけ、発泡シートを冷却した。エアー温度は27℃であり、吹きかけ量は、内側の高密度発泡シート側では0.10m3 /m2 、外側の低密度発泡シート側では0.07m3 /m2 であった。
【0036】
この発泡積層シートの高密度発泡シート厚みは約0.5mm、秤量106g/m2 (密度0.212g/cc)であり、低密度発泡シート厚みは約1.9mm、秤量104g/m2 (密度0.055g/cc)であった。即ち、得られた発泡積層シートの全体厚みは2.4mmであり、秤量は210g/m2 であった。また、高密度発泡シートの平均気泡径は71μmであり、厚み方向に平均7.0個の気泡が存在する計算となった。
【0037】
なお、発泡シートの厚みは顕微鏡写真で測定し、坪量は発泡シートから一辺1cm角を10個取り、それをカミソリで高密度、低密度に分け測定した。密度は坪量と厚みより算出した。なお、高密度発泡シート又は低密度発泡シートのどちらかを着色しておけば分離しやすくなり、作業が容易となる。
【0038】
平均気泡径Dは、高密度発泡シートを流れ(MD)方向に対しクロスに切断し、厚み方向の長さをLとし、L間にある気泡数(表皮は除く)をNとするとD=L/Nで表され、L間に存在する気泡の平均径を示している。なお、前記L間にある気泡数は同様に顕微鏡写真で測定した。
この発泡積層シート原反を、寸法195(長さ)×120(幅)×25(高さ)mmの成形型を用い、単発成形機(積水化成品工業仕様) でオーブン温度約280℃〜350℃、型締時間約3.5秒で成形した。
【0039】
成形品の側部、底部及びその境界部の厚み(mm)を顕微鏡写真で測定した。また、リブ圧縮強度として AIKOH ENGINEERING製荷重測定機 Model 1310DSを用いて成形容器を10mm圧縮(400mm/分)した時の反発力を測定した。さらに、成型品の高密度発泡シート側を約300μmスライスして、密度を測定した。それらの測定値を表1に示す。
【0040】
〔実施例2〜10及び比較例1〕
実施例1と同様な方法にて発泡積層シートを得、実施例1と同じ成形型寸法で同成型機で成形し評価した。その際に、発泡積層シートの全厚みと全体としての秤量は、実施例1のものと実質的に同じ値とし、高密度発泡シートと低密度発泡シートのそれぞれの厚み及び坪量を押出機の吐出量を調節することにより異ならせた。但し、実施例2の低密度側は市場使用済トレーを再ペレット化した樹脂を使用した(MI値6.7)。また、比較例1は低密度の発泡シートの単層構造とした場合である。
【0041】
それぞれについて、実施例1と同じようにして各値を測定した。測定値を実施例1の値と共に表1に示す。比較例1について見るに、リブ圧縮強度がほとんどの実施例のものよりも低い値を示している。ここで、実施例5では高密度発泡シートの厚みが薄すぎることから成形品の側部と底部の境界部の厚みが薄くなり、また、高密度発泡シートの厚み方向に存在した気泡数が少ないことから、座屈も発生し、リブ圧縮強度に低下がみられ、必ずしも好ましいものではない。実施例6においては高密度発泡シートが薄くかつその密度が大きいこと、また、高密度発泡シートの厚み方向に存在した気泡数が少ないことから、からやはり強度が低下して座屈が発生した。実施例8においては低密度発泡シートの密度が小さすぎたことから気泡の連通化が大となりリブ強度が大きく低下した。さらに、実施例10では高密度発泡シートの平均気泡径が小さく気泡が細かいことも起因してリブ強度が低下したものと解される。また、実施例1の発泡積層シートを、低密度発泡シートが容器側の内側になるように成形した場合、容器のリブ圧縮強度は640gに低下した。
【0042】
これらのことからほぼ同厚み同秤量で比較する場合、少なくとも高密度側(成形品の内側にくる)の発泡シートの厚みが0.2mm以上あれば単層発泡シートに比較して多層シートの場合強度が大きく上がることがわかる。
【0043】
【表1】
【0044】
〔実施例11〜14、比較例2〕
実施例1と同様な方法にて発泡積層シートを得た。その際に同様に、それぞれにつき、高密度発泡シートと低密度発泡シートのそれぞれの厚み及び坪量を押出機の吐出量を調節することにより異ならせた。但し、発泡積層シートの全厚みは3.1mm〜3.5mmのほぼ同じ範囲とし、また、全体としての坪量は301g/m2 〜308g/m2 のほぼ同じ範囲とした。比較例2では低密度の発泡シートの単層構造とした。
【0045】
これらの原反を用い、寸法162(長さ)×132(幅)×54(深さ)mmの箱型容器を実施例1と同様にして成形し、それぞれについての実施例1と同じようにして各値を測定しかつ評価した。その結果を表2に示す。実施例11〜14及び比較例2について見るに、この場合にも発泡シートとしての厚み及び坪量(従って、密度)がほぼ同じものでありながら、比較例2のものはリブ圧縮強度が実施例のものよりも低い値を示している。また、実施例14では低密度発泡シートの厚みが厚すぎることから曲げ強度が比較例2の曲げ強度とほぼ同じであり、かつ、型のきまりが悪く、伸びも不足で、やや好ましくなかった。
【0046】
〔実施例15〜19〕
実施例1と同様な方法にて発泡積層シートを得た。この場合も、それぞれにつき、高密度発泡シートと低密度発泡シートのそれぞれの厚み及び坪量を押出機の吐出量を調節することにより異ならせた。発泡積層シートの全厚みは2.15mm〜2.4mmのほぼ同じ範囲とし、また全体としての坪量は210g/m2 〜214g/m2 のほぼ同じ範囲とした。また、実施例15については高密度発泡シート側にOPSフィルム(100μm厚)を熱ロールにより積層した。実施例16については低密度発泡シート側にHIPSフィルム(100μm厚)を押出し法により積層した。実施例19については高密度発泡シート側に市販のバリヤフィルムであるスミライトCEL(住友ベークライト社製)(80μm厚)を熱ロールにより積層した。実施例17,18については低密度発泡シート側にHIPSフィルム(約100μm)を押出し法により積層した。
【0047】
これらの原反を用い、寸法162(長さ)×132(幅)×54(深さ)mmの箱型容器を実施例1と同様にして成形し、それぞれについての実施例1と同じようにして各値を測定し評価した。その結果を表2に示す。実施例15〜19について見るに、この場合にも発泡シートとしての厚み及び坪量(従って、密度)がほぼ同じものでありながら、実施例17、18のものはいずれもリブ圧縮強度が実施例15,16,19のものよりも低い値を示しており、特に、実施例17では実施例16の場合と同様に高密度発泡シートが薄くかつその密度が大きいこと、また、高密度発泡シートの厚み方向に存在した気泡数が少ないことから、やはり強度が低下して低密度発泡シート側の気泡が破壊してしまい座屈が発生した。また、実施例15,16,19においてはフィルムを積層したことから実施例11〜13のものと比較して同じ寸法の成形品でありながら高いリブ圧縮強度を示している。
【0048】
〔実施例20〕
MI値4.1の耐熱ポリスチレン樹脂(商品名旭化成ポリスチレンG9001:旭化成工業株式会社)95重量部:MI値13のエラストマー樹脂(商品名タフプレンA:旭化成工業株式会社)5重量部に、気泡調整剤として5〜15μmのタルクの粉末を樹脂100重量部に対し0.6重量部を添加し、これを内径90mmの押出機に実施例1と同様にして供給した。押出機シリンダー温度は最高設定温度265℃とし、発泡剤としてブタンガス(i−ブタン35%、n−ブタン65%) を約3.1重量%加え、76kg/Hrの割合で合流ダイに流入した。
【0049】
一方、MI値1.4の耐熱スチレン樹脂(商品名旭化成ポリスチレンG9001:旭化成工業株式会社) を100重量部に対して、気泡調整剤として5〜15μmのタルク粉末を0.8重量部と、タクル粉末20重量部とステアリン酸カルシュウム5重量部を練り込んだ耐衝撃性樹脂のマスターバッチ2重量部とを添加し、これを内径90mm〜150mm押出機に実施例1と同様にして供給した。
【0050】
押出機のシリンダー温度は最高設定温度275℃とし、発泡剤としてブタンガス(i−ブタン65%、n−ブタン35%) を別々のダイヤフラム式高圧ポンプで約6.1重量%加え、78kg/Hrの割合で合流ダイに流入した。
【0051】
合流ダイで合流された2種類配合の樹脂は共に口径120mm径の金型に流入され、スリットより円筒形に押出された直後にバルーンの内側と外側にエアーを掛け、発泡シートを冷却した。エアー温度は31℃であり、吹き掛け量は、内側の高密度発泡シート側では0.12m3 /m2 、外側の低密度発泡シート側では0.08m3 /m2 であった。
【0052】
この発泡シートは、高密度発泡シートが約厚み約0.8mm、坪量112g/m2 (密度0.14g/cc)であり、低密度発泡シートは厚み約1.6mm、坪量101g/m2 (密度0.063g/cc)であった。即ち、発泡シートの全厚みは2.4mmであり、坪量は213g/m2 であった。また、高密度発泡シートの平均気泡径は221μmであり、厚み方向に平均3.6個の気泡が存在いる計算となった。
【0053】
この2層発泡積層シートの高密度発泡シート側に、MI値1.4の旭化成ポリスチレンG9001とタフプレンA(MI値13)を9:1に混合しペレット化した樹脂を用いて90mmの押出機でシリンダー最高温度280℃とし、Tダイを用いて約100μmのフィルムを押出ラミネートした。
【0054】
このラミネート原反を用い、高密度側が内側となるようにして寸法162(長さ)×132(幅)×54(深さ)mmの箱型容器を成形した。成形は成形温度約300℃〜380℃、型締時間4.9秒で行った。
実施例1と同様にして、成形品の側部、底部、及びその境界部の厚みを顕微鏡写真により測定した。また、リブ圧縮強度を測定した。それらの値を表2に示した。
【0055】
この場合には、実施例16は低密度側にフィルムを貼ったために容器の内面に生じる局部的な圧縮応力に対する力の増大が少なく、また、実施例19に用いた積層バリヤフィルムは実施例20のフィルムよりも柔らかい理由から、同じ寸法の成形品でありながら実施例16、19のものと比較してさらに高いリブ圧縮強度を示している。
【0056】
【表2】
【0057】
〔実施例21〜25、比較例3〕
実施例1と同様な方法にて発泡積層シートを得た。その際に、それぞれにおける高密度発泡シートの厚みと密度及び低密度発泡シートの厚みと密度をすべてほぼ等しくなるようにし、高密度発泡シートの平均気泡径のみを異なるようにして成形した。これらの原反を用い、寸法162(長さ)×132(幅)×54(高さ)mmの容器を実施例1と同様にして成形し、それぞれについての実施例1と同じようにして各値を測定しかつ評価した。その結果を表3に示す。
【0058】
この場合も、実施例21〜25のものよりも低密度発泡シート単層である比較例3のもののリブ強度は低い値を示している。また、実施例24では高密度発泡シートの厚み0.23mmに対して平均気泡径が85μmであって高密度発泡シートの厚み方向に存在する気泡が2.7個と少ないこと、また、実施例25では高密度発泡シートの厚み0.28mmに対して平均気泡径が23μmであり、気泡径が細かすぎることに起因して、成形品のリブ強度が他と比較して低い値を示している。
【0059】
〔実施例26〜27、比較例4〜5〕
表3の実施例26〜27、比較例4〜5に示される発泡積層シートを用いて、型のクリアランスを調整しながら95(口径)mm×65(深さ)mmのカップを成形したところ、実施例26、27、比較例4の発泡積層シートでは成形できたが、比較例5の発泡積層シートでは成形が難しかった。次に、95(口径)mm×85(深さ)mmのカップを成形したところ実施例26の発泡積層シートでは成形できたが、実施例27と比較例4の積層発泡シートでは成形が難しく、比較例5の積層発泡シートでは成形ができなかった。このことから、密度の高い発泡シートの方が成形性がよく、また、発泡シートにおいて、単層シートに比べ高密度発泡シートと低密度発泡シートの積層シートの方が成形性がよいと言える。
【0060】
以上から、高密度発泡シートと低密度発泡シートとが積層されてなるポリスチレン系樹脂発泡積層シートにおいて、高密度発泡シートは、厚み0.2mm〜2.8mm、平均気泡径は30μm以上で厚み方向の気泡数が3個以上存在するシートが好ましく、低密度発泡シートは密度0.22g/cc〜0.042g/cc、厚み3.0mm以下のものであれば、同じ厚みの単層シートと比較して、強度の面で単層シートに比べ大きな効力があり、また、2層シートと単層シートとではトータルでの倍率(密度)が同じであれば2層シートの方が成形性もはるかによいことがわかった。
【0061】
【表3】
【0062】
【発明の効果】
本発明の製造方法では、サーキュラーダイを用い、高密度発泡シートを内側(プラグ側)にしているので、低密度発泡シートを内側にしてプラグにより気泡が潰れることがなく、ポリスチレン系樹脂発泡シートの厚みや密度の調整が容易となる。また、本発明では、共押出法によるサーキュラーダイを用い、高密度発泡シート、低密度発泡シートのそれぞれの厚みを250μm以下に薄く製造でき、かつ、融着積層することができるので、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートのスペックの幅も広く、成形性も優れたものとなる。
【0063】
さらに、本発明の製造方法により製造されるポリスチレン系樹脂発泡積層シートを用いることにより、従来のポリスチレン系樹脂発泡シートと同じ厚み、同じ密度の積層シートで成形した場合であっても、リブ圧縮強度の高いかつ成形性の良い成形品を得ることできる。それにより、省材料かつ低コストで必要とされる強度を備えたポリスチレン系樹脂発泡シート製の成形品を製造することが可能となる。
Claims (4)
- 発泡密度の異なるシートが積層されたポリスチレン系樹脂発泡積層シートを共押出法によって製造する製造方法であって、ダイとしてサーキュラーダイとサーキュラーダイに続くプラグを用い、かつ、高密度発泡シート側を内側に、低密度発泡シート側を外側として押し出すことを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡積層シートの製造方法。
- 高密度発泡シートは、厚み0.2mm〜2.8mm、厚み方向に平均3個以上の気泡が配列されたものであることを特徴とする請求項1記載のポリスチレン系樹脂発泡積層シートの製造方法。
- 高密度発泡シートは、平均気泡径30μm以上であることを特徴とする請求項2記載のポリスチレン系樹脂発泡積層シートの製造方法。
- 低密度発泡シートは、密度が0.22g/cc〜0.042g/ccであることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のポリスチレン系樹脂発泡積層シートの製造方法。
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