JP3672338B2 - エチレンとα−オレフィン類との弾性コポリマーとその製法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、エチレンとα−オレフィン類のコポリマー類とその製法に関する。より詳しくは、この発明は、エチレンと、4以上の炭素原子を含有する1以上のα−オレフィン類と及び任意に少量のポリエンとの実質的に無晶質コポリマー類に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
エチレンと1以上のα−オレフィン類及び任意に少量のポリエンとのコポリマー類は公知で、加硫により弾性を示す。これらは殆どが、エチレンとプロピレンとのコポリマー類(EPR)で、少量の非共役ジエンモノマーを含む(EPDM)である。
【0003】
これらのエラストマーは、高温、化学及び環境剤に良好な耐性と、誘電特性を示すため、各種の応用分野への使用が見出されている。ことに、潤滑油用添加剤、建造物の被覆材、絶縁材、自動車産業におけるコンポーネントや熱可塑性ポリマーとの混合での改質剤として使用できる。
この発明の日の時点においてはエチレンとプロピレンとは異なるα−オレフィン類との弾性コポリマーについて興味ある産業上の応用は知られていない。
【0004】
上記のエチレンコポリマー類は一般にチーグラー・ナッタ触媒の存在下で製造される。
例えば、ナッタら(La Chimica e 1' Industria, 41, 769 (1959))は、エチレンと1−ブテンとの共重合反応をバナジウムハライドとトリアルキルアルミニウム化合物の存在下で行っている。
【0005】
得られるコポリマー類は、鎖中にα−オレフィンコモノマーのブロックを有する傾向が高く、これが、結晶度を上げ製品の最終特性にマイナスに影響する。そのため、良好な弾性を示す加硫化コポリマーを得るには、鎖内のモノマー単位の分布ができるだけ均一であることが重要である。
ザンバリーら(Zambelli et al, Makromol, Cehm, 115,73 (1968))は、VCl4、AlEt2Clとアニソールの存在下でエチレンと1−ブテンとを共重合することを報告している。得られるコポリマー類は、コモノマーの交互分布の傾向にある。
【0006】
最近では、この種のエチレンコポリマー類を、メタロセンとアルミノキサン化合物から得た均一触媒の存在下で得ている。
例えば米国特許第5,001,205号では、エチレンとα−オレフィン類との弾性コポリマーの製法を開示しており、触媒としてメチルアルミノキサン(MAO)とZr,Ti又はHfのビスシクロペンタジエン化合物との反応によって得られる生成物、例えばビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン−ビス(テトロヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド又はジメチルシランジイル−ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリドを使用しており、その実施例では、エチレン/プロピレンコポリマーのみが開示されている。
【0007】
この種の触媒を用いて得られるコポリマー類のα−オレフィンモノマー単位の分布の均一性は、チーグラー・ナッタ触媒で得たコポリマー類より改良されているが、なお全体的に満足できるものではない。
α−オレフィンモノマー単位の分布均一性がかなり改良されるエチレンとプロピレン以外のα−オレフィン類及び任意に少量のポリエン類とのコポリマーを得ることが非常に有利であることが解消されよう。
【0008】
【課題を解決するための手段】
ここに、特定のメタロセン触媒の存在下で重合反応を行うことにより、ポリマー鎖中のコモノマー分布が非常に均一になるエチレン/α−オレフィンコポリマー類又はエチレン/α−オレフィン/ジエンターポリマー類を作りうることを意外にも見出した。
【0009】
この発明の1つの目的は、コポリマーが、約35モル%〜約85モル%のエチレン誘導単位の含量と、約10モル%〜約60モル%のα−オレフィン誘導単位の含量とを有し、次の特性
(A)コポリマー中のα−オレフィンの%モル量(%α)とα−オレフィンジアドのモル量とコポリマー中のα−オレフィンのモル含量との比(αα/α)が次の関係を満足し、
(%α)−250(αα/α)≧10
(B)ポリマー鎖中のCH2 基の2%以下がシーケンス(CH2 )n (nは偶数)
を有するエチレンと式(I)
CH2 =CHR (I)
(式中Rは2〜10の炭素数を有するアルキル基)
の少なくとも1つのα−オレフィンとの実質的に無晶質コポリマーを提供するものである。
【0010】
この発明の他の目的は、上記コポリマーを加硫化工程に付すことにより得ることができる弾性コポリマーを提供することである。
他の目的は、この発明の弾性コポリマーから得られた成形品を提供することである。
さらに他の目的は、上記の実質的に無晶質のエチレンコポリマーの製法に関する。
【0011】
エチレン誘導単位のモル含量は、約50%〜約85%の間が好ましく、約60%から約80%の間がより好ましい。
α−オレフィン誘導単位のモル含量は、約15%〜約50%の間が好ましく、約20%〜約40%の間がより好ましい。
ポリエン誘導単位の含量は約0〜約4%の間が好ましく、約0〜約3%の間がより好ましい。
【0012】
この発明によるコポリマー中のコモノマーとして使用できるα−オレフィン類の例としては、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンが挙げられる。
この発明のコポリマー中のコモノマーとして使用できるポリエン類の例としては、次の群からなるものが挙げられる。
【0013】
閉環重合しうる非共役ジオレフィン類、例えば1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン。
不飽和モノマー単位特に共役ジエンを与えるジエン類、例えばブタジエンとイソプレン、及び線状非共役ジエン類、例えばトランス−1,4−ヘキサジエン、シス−1,4−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、11−メチル−1,10−ドデカジエン。
【0014】
この発明の特に興味ある具体例は、エチレンと1−ブテンとの実質的に無晶質コポリマー類である。
この発明によるコポリマー類は、実質的に結晶性のないものである。その溶融エンタルピー(ΔHf)は約20J/gより低く、約10J/gより低いのが好ましい。エチレン誘導単位の量が上限の85モル%に近いコポリマー類を除き、この発明のコポリマー類は0J/gの溶融エンタルピーを有する。
【0015】
この発明のコポリマー類は、重合鎖中でのコモノマーが非常に均一に分布していること、より詳しくは、α−オレフィン誘導単位の2以上の連続単位のシーケンスの数が非常に低い事実、何れにしてもこの発明前に公知のコポリマー中より低いことにより特徴付けられる。
この発明のコポリマー類中のα−オレフィン分布の分析を13C−N.M.Rを用いて行った。エチレン/1−ブテンコポリマーの場合で、同定は、J.C.ランダール(Randall)らの記載の方法(Macromolecules(1982), 15,353〜360)によって行った。
【0016】
スペクトルは、次の8つの領域に分けられる。
(A1)40.0〜38.9ppm
(A2)37.2ppm
(A3)34.8〜34.6ppm
(A4)34.16〜33.5ppm
(A5)31.0〜29.0ppm
(A6)27.5〜26.8ppm
(A7)26.8〜26.5ppm
(A8)25.0〜24.0ppm
二価原子団(diad)の濃度は、次の式で得られる。
【0017】
EE=0.5〔A5+0.5(A6−A2)〕/Z
EB=0.5〔A1+A3+A4+0.5(A6−A2)+A8〕Z
BB=0.5(A2/Z)
但しZ=EE+EB+BB(EE,EBとBBはそれぞれコポリマー中のエチレン/エチレン、エチレン/1−ブテンと1−ブテン/1−ブテンのシーケンスを表す)。
【0018】
α−オレフィンシーケンスの数は、鎖中に存在するα−オレフィンモノマー単位の量に従属する。
特に、コポリマー中のα−オレフィンのモル%含量(%α)とα−オレフィンダイアード(diads )のモル%含量(%αα)は次の関係
(%α)−9(%αα)≧10、
好ましくは (%α)−10(%αα)≧10、
より好ましくは (%α)−11(%αα)≧10
を満足する。
【0019】
コポリマー中のα−オレフィンダイアードのモル量とα−オレフィンのモル量の比(αα/α)を考えると、この発明のコポリマーは次の関係、
(%α)−250(αα/α)≧10、
好ましくは (%α)−300(αα/α)≧10、
より好ましくは (%α)−350(αα/α)≧10
を満足する。
【0020】
図1と図2は、それぞれ、ジメチルシランジイル−ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド(Me2SiFlu2ZrCl2)の存在下この発明の方法で得たエチレン/1−ブテンコポリマーと、エチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド(EBTHIZrCl2)の存在下で得たエチレン/1−ブテンコポリマーに関する。これらの図は、ポリマー鎖中の1−ブテンダイアードの含量を示す。
【0021】
特に、図1において、コポリマー中に含有する1−ブテンのモル%(%B)に関しての1−ブテンダイアードのモル%量(%BB)を示し、一方図2は、1−ブテンモル含量(%B)に関して比(BB/B)を示す。1−ブテン単位の量が等しいと、この発明のコポリマーにおいて1−ブテンダイアード(%BB)の値と比(BB/B)の値は、鎖中の1−ブテン単位の分布が改良されているしるしとして他ポリマーのものより常に高い。
【0022】
この発明によるポリマーにおいて、反応性比r1r2に〔r1はα−オレフィンの反応性比、r2はエチレンの反応性比でフィネマンら(Finemann H, Ross S.D.,J. Pol. Sci. 1950, 5(2), 259)により計算〕の生成物は非常に低いとみられる。特に、エチレン/1−ブテンコポリマーの場合に、上記反応性比は0.1より低く、好ましくは0.08より低く、より好ましくは0.06より低い。
【0023】
この発明によるコポリマーの構造は、非常にレギオレギュラー(regioregula )である。事実、13C−N.M.R分析では、(CH2)nシーケンス(nは偶数)から誘導のシグナルは出ない。鎖中のCH2基の1%以下が(CH2)n(nは偶数)に含まれる。
この発明のコポリマー類の極限粘度(intrinsic viscosity )数(I.V.)は一般に1.0dl/gより大で、1.5dl/gより大が好ましい。極限粘度数は、2.0dl/gの値及びそれより高く達しうる。
【0024】
一般に、この発明のコポリマー類は、狭い分子量分布のものが考えられており、分子量分布の指標は、比Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)で表され、この発明のコポリマーは一般に4以下、好ましくは3.5以下、より好ましくは3以下である。
この発明のコポリマー類は、一般に、クロロホルム、ヘキサン、ヘプタン、トルエンで例示される普通の溶媒に溶解する。
【0025】
この発明のコポリマー類は、EPRやEPDMゴム用の公知の技術と方法を用い、例えば過酸化物又は硫黄の存在下で操作して加硫化できる。価値ある弾性を有するゴム類が得られる。
この発明のコポリマー類から得られるゴム類は、通常の熱可塑性材加工(成形、押出、射出など)により成形品に変換でき、興味ある弾性を有する相対成形品ができる。
【0026】
この発明の製品は、EPRやEPDMのように弾性α−オレフィン類についての全ての応用(前述参照)に使用できる。
この発明のコポリマー類は、(A)式(1)のメタロセン化合物
【0027】
【化2】
【0028】
(式中置換分R1は互に同一又は異なり、水素原子、C1〜C20のアルキル基、C3〜C20のミクロアルキル基、C7〜C20のアルケニル基、C6〜C20のアリール基、C7〜C20のアルキルアリール基、又はC7〜C20のアリールアルキル基で、任意に2つの隣接置換分R1は5〜6の炭素原子の環を形成できかつ置換分R1はSi又はGe原子を含有してもよい、
MはTi,Zr又はHf、
置換分R2は互に同一又は異なり、ハロゲン原子、OH、SH、R1、−OR1、−SR1、−NR1 2又はPR1 2
(R1は前記と同一意味)、
基R3は>CR1 2、>SiR1 2、>GeR1 2、>NR1又は>PR1(R1は上記と同一意味)で、任意にR3が>CR1 2、>SiR1 2又はGeR1 2のとき、2つの置換分R1は3〜8の原子からなる環を形成してもよい)、
任意に、式AlR4 3又はAl2R4 6(置換分R4は互に同一又は異なって、R1又はハロゲン原子)のアルミニウム有機金属化合物との反応生成物として、及び
(B)アルモキサン、任意に式AlR4 3又はAlR4 6
(置換分R4は互に同一又は異なり上記と同一意味)
のアルミニウム有機金属化合物、又はメタロセンアルキルカチオンを与える1又はそれ以上の化合物との混合物として、
上記のものの間の反応生成物からなる触媒の触媒量の存在下で、エチレン、式(I)
CH2=CHR (I)
(Rは2〜10の炭素原子を含むアルキル基)の1又はそれ以上のα−オレフィン及び任意の1又はそれ以上のポリエンの混合物を共重合させることからなるコポリマーの製法によって製造できる。
【0029】
上記の方法は、この発明の1つの観点を構成する。
成分(B)として用いるアルモキサンは、水と式AlR3又はAl2R4 6(置換分R4は互に同一又は異なって上記の定義と同じ、但し少なくとも1つのR4はハロゲンとは異なる)のアルミニウムの有機金属化合物との反応で得ることができる。Al/水のモル比は約1:1〜100:1の間である。
【0030】
アルミニウムとメタロセンの金属のモル比は約10:1と約5000:1の間、好ましくは100:1と4000:1の間である。
特に適切な式(I)のメタロセンは、M=Zr、置換分R1が水素原子、置換分R2がクロル又はメチル基、基R3が基>Si(CH3)2の化合物、例えばジメチルシランジイルビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドである。
【0031】
この発明による触媒に使用するアルモキサンは、
【0032】
【化3】
【0033】
(式中置換分R5は互に同一又は異なって、R1又は基−O−Al(R5)2で、任意にあるR5はハロゲン又は水素原子)
タイプの少なくとも1つの基を含有する線状、分枝状又は環状化合物である。
特に、線状化合物の場合に、式
【0034】
【化4】
【0035】
(nは0又は1〜40の整数)
のアルモキサンを、又は環状化合物の場合に、式
【0036】
【化5】
【0037】
(nは2〜40の整数)
のアルモキサンを使用することができる。
基R1はメチル、エチル又はイソブチルが好ましい。
この発明で使用に適するアルモキサンの例は、メチルアルモキサン(MAO)とイソブチルアルモキサン(TIBAO)である。
【0038】
式AlR3又はAl2R6 4のアルミニウム化合物の例としては次のものを挙げることができる。
Al(Me)3,Al(Et)3,AlH(Et)2,Al(iBu)3,AlH(iBu)2,Al(iHex)3,Al(C6 H5 )3,Al(CH2C6 H5 )3,Al(CH2CMe3)3,Al(CH2SiMe3)3,Al(Me)2iBu,Al(Me)2Et,AlMe(Et)2,AlMe(iBu)2,Al(Me)2Cl,Al(Et)2Cl,AlEtCl2,Al2(Et)3Cl3(式中、Meはメチル、Etはエチル、iBuはイソブチル、iHexはイソヘキシルを示す)。
【0039】
上記のアルミニウム化合物中、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムが好ましい。
メタロセンアルキルカチオンを形成しうる化合物の例としては、式Y+Z-の化合物(式中Y+はプロトンを与え、式(I)のメタロセンの置換分R2と不可逆的に反応しうるブロンステッド酸、Z-は配位せず、2つの化合物の反応から由来する活性な触媒種を安定化できかつオレフィン基体から除去するのに十分に不安定である相溶性アニオン)が挙げられる。アニオンZ-は1以上のホウ素原子からなるのが好ましい。アニオンZ-は式BAr(-) 4(式中置換分Arは互に同一又は異なって、フェニル、ペンタフルオロフェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニルのようなアリール基)のアニオンがより好ましい。テトラキス−ペンタフルオロフェニル硼酸が特に好ましい。さらに、式BAr3の化合物を適切に使用できる。
【0040】
この発明の方法に使用される触媒は不活性な支持体に担持させて使用することもできる。例えば、シリカ、アルミナ、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー又はポリエチレンのような不活性な支持体に、メタロセン(A)、又はこれと成分(B)の反応生成物、又は成分(B)についてメタロセン(A)を堆積させて得られる。
【0041】
さらにアルキルアルミニウム化合物を加えて、そのまま又は必要により水で予め反応させて得られる固形化合物を、気相重合に使用することができる。
上記の触媒の存在下でのエチレンの共重合は、トルエンのような不活性芳香族炭化水素の存在下又は非存在下での液相で、又は気相で行うことができる。
重合温度は、一般に0℃〜250℃、特に20℃〜150℃さらには40℃〜90℃である。
【0042】
コポリマーの分子量は、重合温度、触媒成分のタイプと濃度を変化さすか、水素のような分子量調整剤を用いて容易に変化さすことができる。
分子量分布は、異なるメタロセン類の混合物を用いるか、重合温度及び/又は分子量調整剤の濃度を変えて重合を多段で行うことにより変化できる。
重合収率は触媒のメタロセン成分の純度に従属する。そのため、この発明の方法で得られるメタロセン類は、そのまま、または精製処理して使用される。
【0043】
触媒成分類は、重合反応前に、その成分類を接触さすことができる。触媒時間は一般に1〜60分、好ましくは5〜20分である。
【0044】
【実施例】
次の実施例はこの発明を例証するためのもので、これによって限定されるものではない。
特徴付け
コポリマーの1−ブテン含量と鎖中の遊離1−ブテン単位の量は、13C−N.M.R.分析で測定した。
【0045】
コポリマーの13C−N.M.R.分析は、ブルカーAC200装置を用い、120℃の温度で、約300mgのポリマーをトリクロロベンゼン/C2D2Cl4の3:1混液2.5ccに溶解したサンプルについて行った。スペクトルは、次のパラメータで記録した。
リラクション ディレイ = 12秒
スキャン数 = 2000÷2500
示差走査熱量(DSC)測定は、パーキン・エルマー社のDSC−7装置を用い、次の方法で行った。約10mgのサンプルを、10℃/分に等しいスキャン速度で200℃に加熱した。サンプルを200℃で5分間保ち、その後、10℃/分に等しいスキャン速度で冷却した。次いで、第2のスキャンニングを第1と同じ条件下で行った。値は、第1のスキャンニングで得たものを示す。
【0046】
極限粘度(intrinsic viscosity)数〔η〕は135℃でテトラリン中で測定した。
分子量分布は、ウオター・150装置を用いオルトジクロロベンゼン中135℃で行うGPCで測定した。
コポリマーの物理−機械特性をみるため、次の組成を有する混合物をカレンダーして得たものを用いた。
【0047】
コポリマーの100g、カーボンブラック550の30g、ZnOの5g、ステアリン酸の1g、サアトマー206(Sartomer 206、アンコマー社の市販品)の1g、ペロキシモンF40(ReroximonF40、アトケム社の市販品)の4.5g。得られる混合物を、35トンプレスで200kg/cm2の圧で、165℃の温度で30分間圧縮形成した。200×120×2mmのパレット得、そのサンプルについて残留伸び(200%)と応力−歪み曲線の測定を行った。測定は、500mm/分のけん引速度で行った。
【0048】
触媒成分の製造
ジメチルシランジイルビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド( DMSBF)
(A)リガンドの合成
50g(0.30モル)のフルオレンを400mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解して得た溶液を、撹拌下0℃に保持し、これに2.5Mn−ブチルリチウムのヘキサン溶液120ml(0.30モル)を滴下した。滴下が完了してから、溶液を室温にし、撹拌下、ガスの発生がみられなくなるまでさらに5分間保持した。 フルオレンアニオンを含有する生成溶液を、19.4g(0.15モル)のジメチルジクロロシランの100mlのTHF溶液に、撹拌下0℃で滴下した。添加後、溶液を室温にし、さらに17時間撹拌した。
【0049】
反応を150mlの水を添加して中止し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧除去し、固形物をヘキサンで再結晶した。
式(CH3)2Si(Flu)2(Flu=フルオレニル)のジメチルビスフルオレニルシラン37.8gを得、GC−MSと1H−NMRで構造と純度を確認した。
【0050】
(B)メタロセンの合成
(A)で得たリガンド(CH3)2Si(Flu)2の8.5g(0.0219モル)をジエチルエーテル(Et2O)の75mlに溶解した液を0℃で撹拌保持し、これに1.4MメチルリチウムのEt2O液31.25mlを滴下した、滴下完了後は、得られる懸濁液を室温にし、ガスが発生しなくなるまでさらに5時間撹拌した。
【0051】
懸濁液を濾過し、Et2Oとペンタンで洗浄して鮮烈な黄色粉末を得た。
得られたリガンドジアニオンをEt2Oの100mlに再懸濁し、これに5.1g(0.0219モル)のZrCl4の150mlペンタン懸濁液を−78℃に急速撹拌したものを滴下した。
添加完了後に、得られる懸濁液を室温にし、さらに17時間撹拌した。
【0052】
懸濁液を濾過、乾燥して13.56gの生成物を得た。
エチレン−ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド( EBTHI)
ブリントツインガーら(H.H. Brintzinger et al.,J. Organomet. Chem.,288,p63(1985))の方法に従って上記の化合物を作った。
テトライソブチルジアルミノキサン(TIBAO)
ヨーロッパ特許出願−A−384171号の実施例2に従って作った。
【0053】
重合
実施例1
1.8ミリモルの水、700mlのn−ヘキサン、表1に示した1−ブテンとエチレンの量を、撹拌器、圧力計、温度計、触媒導入手段、モノマーの供給ラインとサーモスタットジャケットを装備し80℃でエチレンでパージした2.6リットルのスチール製加圧釜に導入した。
【0054】
触媒溶液を次のようにして作った。TIBALのトルエン溶液(0.2gTIBAL/ml溶液)をDMSBFのトルエン溶液(3mlトルエン/mgDMSBF)に加えた。これを撹拌下、20℃で5分間保持し、次いでエチレン/1−ブテン混合物の圧下(溶液中、上記の相対濃度を保ような割合で)に加圧釜に注入した。温度を重合に必要な値に急速に上げた。
【0055】
重合条件を表1に示す。
得られるポリマーは未反応モノマーを除去して分離し、減圧乾燥した。
ポリマーの特性データは表2に示す。
DSC分析から40.4℃の融点が分り、溶融エンタルピー(ΔHf)の3.6J/gに相当する。
【0056】
13C−N.M.Rスペクトルで、2つの第3級炭素原子の間からなる−(CH2)n−(nは偶数)の存在を示すピークは観察されなかった。
実施例2
実施例1と同様に、但し、n−ヘキサンを用いず、3.5ミリモルの水、表1に示した、1−ブテン、エチレン、水素、触媒を加圧釜に入れて行った。
【0057】
重合条件は、表1に示す。得られたポリマーの特性データは表2に示す。
DSC分析から、融点は現れなかった。
13C−N.M.Rスペクトルから、2つの第3級炭素原子間からなる−(CH2)n−(nは偶数)の存在を現わすピークは観察されなかった。
実施例3〜5
実施例2に記載と同様に、但し水を用いず、TIBALの代りにTIBAOを用い、表1に示した1−ブテン、エチレン、水素と触媒を加圧釜に入れて行った。
【0058】
重合条件は表1に示し、得られたポリマーの特性データは表2に示す。
DSC分析から、融点は現われなかった。
13C−N.M.Rスペクトルで、2つの第3級炭素原子間からなる−(CH2)n−(nは偶数)の存在を示すピークを観察しなかった。
実施例1,3〜5の共重合データから、次の反応率が、フィネマン・ロス法により算出された。
【0059】
r1=0.00987 r2=5.19 r1r2=0.0512
比較例1〜5
実施例1に記載の方法により、但し、2090mlのn−ヘキサンを導入し、EBTHIをDMSBFの代りに用いて4.25リットルの加圧釜で行った。
重合条件は表1に、得られるポリマーの特性データは表2にそれぞれ示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、α−オレフィンモノマー単位の分布均一性がかなり改良されるエチレンとプロピレン以外のα−オレフィン類及び任意に少量のポリエン類とのコポリマーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 コポリマー中に含有する1−ブテンのモル%(%B)に関しての1−ブテンダイアードのモル%量(%BB)を示す。
【図2】 1−ブテンモル含量(%B)に関して比(BB/B)を示す。
Claims (10)
- コポリマーが、35モル%〜85モル%のエチレン誘導単位の含量と、10モル%〜60モル%のα−オレフィン誘導単位の含量とを有し、次の特性
(A)コポリマー中のα−オレフィンの%モル量(%α)とα−オレフィンジアドのモル量とコポリマー中のα−オレフィンのモル含量との比(αα/α)が次の関係を満足し、
(%α)−250(αα/α)≧10
(B)ポリマー鎖中のCH2 基の2%以下がシーケンス(CH2 )n (nは偶数)
を有するエチレンと式(I)
CH2 =CHR
(式中Rは2〜10の炭素数を有するアルキル基)
の少なくとも1つのα−オレフィンとの実質的に無晶質コポリマー。 - 少なくとも1つのポリエン誘導単位の0〜5モル%からなる量を有する請求項1記載のコポリマー。
- 反応性比r1・r2(式中r1はα−オレフィンの反応性比、r2はエチレンの反応性比)が0.1より低い請求項1記載のコポリマー。
- 極限粘度数(η)>1.5を有する請求項1記載のコポリマー。
- 3より低い比MW/Mnを有する請求項1記載のコポリマー。
- 式Iのα−オレフィンが1−ブテンである請求項1記載のコポリマー。
- 請求項1〜6の何れか1つによるポリマーを加硫化工程に付すことにより得ることができる弾性ポリマー。
- 請求項7による弾性ポリマーから得た成形物。
- (A)式(1)のメタロセン化合物
MはTi,Zr又はHf、
置換分R2は互に同一又は異なり、ハロゲン原子、OH、SH、R1、−OR1、−SR1、−NR1 2又はPR1 2
(R1は前記と同一意味)、
基R3は>CR1 2、>SiR1 2、>GeR1 2、>NR1又は>PR1(R1は上記と同意義)で、任意にR3が>CR1 2、>SiR1 2又はGeR1 2のとき、2つの置換分R1は3〜8の原子からなる環を形成してもよい)、
任意に、式AlR4 3又はAl2R4 6(置換分R4は互に同一又は異なって、R1又はハロゲン原子)のアルミニウム有機金属化合物との反応生成物として、及び
(B)アルモキサン、任意に式AlR4 3又はAl2 R4 6
(置換分R4は互に同一又は異なり上記と同一意味)
のアルミニウム有機金属化合物、又はメタロセンアルキルカチオンを与える1又はそれ以上の化合物との混合物として、
上記のものの間の反応生成物からなる触媒の触媒量の存在下で、エチレン、式(I)
CH2=CHR(I)
(Rは2〜10の炭素原子を含むアルキル基)の1又はそれ以上のα−オレフィン及び任意の1又はそれ以上のポリエンの混合物を共重合させることからなる請求項1〜6の何れか1つによるコポリマーの製法。 - 触媒が(A)ジメチルシランジイルビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドと(B)テトライソブチルジアルモキサン(TIBAO)、及びトリイソブチルアルミニウム(TIBAL)と水との反応生成物から選択された化合物との反応生成物である請求項9記載の方法。
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