JP3671442B2 - 脱磁方法および脱磁装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、永久磁石の脱磁方法および脱磁装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、永久磁石の脱磁方法に関しては、「磁気工学の基礎I」(共立出版;以下文献A)などに記載されているように、古くから多くの方法が知られており、そのうちのいくつかは工業的にも実用化されている。
【0003】
脱磁方法(文献Aでは消磁と記載されているが、脱磁、減磁、消磁のいずれも言葉が違うだけで同じ意味として用いている。)について詳細に説明すると、先ず挙げられるのが文献Aの34頁9〜11行に記載されている熱脱磁法(文献Aでは熱消磁)である。これは、永久磁石をキューリー温度以上に加熱する方法である。
【0004】
次に挙げる交流減衰脱磁法(文献Aでは34頁14〜21行に記載されている交流消磁法)は、文献Aの34頁図1.6−4(a)にあるように、永久磁石に減衰する交流磁場を与えることにより、ヒステリシス曲線がB≒0に収束することを利用して脱磁させる方法である。この方法は、特開平02−148704にも、「希土類永久磁石の減磁方法」として開示されている。
【0005】
また、文献Aの34頁21〜25行に記載されているように、交流磁場を減衰させる代わりに、一定の交流磁場から永久磁石をゆっくり引き抜くことによっても、同じ脱磁の効果を得ることができる。これを交流引き抜き脱磁法と呼ぶ。
【0006】
さらに、文献Aには記載がないが、交流減衰脱磁方法と同じ原理を用い、磁場の反転を1〜数回で脱磁する方法も、電磁石を利用する場合に多く用いられている。これを、直流脱磁法と呼ぶことにする。
【0007】
脱磁装置に関しては、熱脱磁用の装置として、熱処理炉などが挙げられる。
【0008】
交流磁場を利用した脱磁には、「実験物理学講座17磁気」(共立出版;以下文献B)の137頁2〜3行に記載されているように、コンデンサーを充電して貯えた電気エネルギーを瞬間大電流としてコイルに流す方式を利用することが多い。もちろん、脱磁を行なうためには、文献Bの138頁17行の式(8.9)の(A)の条件を満たすことにより、文献Bの139頁図8.15(a)に記載されているように、出力波形が自由振動でその包絡線が指数関数的に減衰する、いわゆる減衰振動した電流出力、つまりは磁場出力を利用する装置である。
【0009】
直流磁場を利用した脱磁には、電磁石が用いられるが、文献Bの47頁4〜6行に記載されているように、その原理はコイルで鉄芯を磁化しそれによって生ずる磁場を利用した装置である。
【0010】
いずれも、磁場強度を変化=制御させることにより、脱磁が可能となっていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術における永久磁石の脱磁方法および脱磁装置においては、以下の問題点を有する。
【0012】
(1)熱脱磁法においては、永久磁石サンプルをそのキューリー温度以上に加熱しなければならないことから、磁石サンプルによっては酸化や構造変化による劣化の恐れがある。また、磁石粉末を樹脂で結合させたボンド磁石においては、加熱により樹脂が炭化することから、本方法を採用することはできない。磁石サンプルをキューリー温度以上に加熱するのに時間がかかることも問題となる。
【0013】
(2)交流減衰脱磁法では、振動回数を十分多くすることにより短時間で様々な磁気特性の永久磁石の脱磁が可能となるが、磁化のサイクルにより渦電流が生じ、ジュール熱によって発熱という問題が生じる。特に、ボンド磁石では条件によってはかなり高温にまで発熱することがある。
【0014】
(3)直流脱磁法は、保磁力など永久磁石の磁気特性によって脱磁磁場強度を調整する必要があり、満足な脱磁状態を得ることは困難である。様々な磁気特性の永久磁石をひとつの条件で脱磁するためには、反転回数を増やせば良いが、時間がかかってしまうという問題を有する。
【0015】
(4)(2)の交流磁場を利用する脱磁装置は、主に空芯コイルと電気エネルギーを蓄えるコンデンサーバンク、および出力制御サイリスタなどから構成される。また、高電圧、大電流を利用することから、絶縁や発熱、振動に耐える構造にする必要があることから、装置は必然的に大きくかつ複雑になってしまうという問題を有する。装置周辺に漏れる磁場もかなり大きい。また、電気を大量に消費するなどランニングコストを要する。
【0016】
(5)(3)の直流磁場を利用する脱磁装置は、電磁石の励磁コイル直流電流を流し、NSを反転させながら電流を減らしていくわけだが、電流を流してから磁場出力に至るまでも出力応答性の問題だけでなく、NS反転機構の装置の複雑さおよび時間を要することが問題となる。また、この場合も、漏れ磁場や消費電力の問題も有する。
【0017】
そこで、本発明はこのような問題点を解決するもので、その目的とするところは、永久磁石の脱磁方法および脱磁装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の脱磁方法は、連続かつ一定の磁場中に磁石サンプルを置き、磁力線の向きに垂直な方向を中心軸として前記磁場と前記磁石サンプルとを相対的に回転させながら、前記磁場と前記磁石サンプルとを引き離すことを特徴とする。
【0019】
本発明の脱磁装置は、連続かつ一定の磁場を発生している装置と、磁石サンプルを保持するサンプルホルダーからなり、磁場発生装置とサンプルホルダーが磁力線の向きに垂直な方向を中心軸として相対的に回転かつ移動する機構を有していること、上記磁場発生装置が、永久磁石からなること、上記磁場発生装置が、リング形状でその内側に均一な磁場を発生している永久磁石だけからなる磁気回路であること、上記磁場発生装置が、リング形状でその内側に均一な磁場を発生している永久磁石だけからなる磁気回路であり、その磁気回路が自転かつその回転軸に沿って移動する機構を有していること、上記磁場発生装置が、連続かつ一定の磁場を発生している電磁石であること、上記磁場発生装置が、超伝導コイルであることを特徴とする。
【0020】
リング形状でその内側に均一な磁場を発生している永久磁石だけからなる磁気回路については、「Permanent Magnets for Production and Use of High Energy Particle Beams」(Proc.8th Intl.Workshop on R−E Mangets,125(1985))の132頁のFig.8や、「MRI用リング型永久磁石回路」(電気学会マグネティックス研究会資料,MAG−88−58(1988);以下文献C)の119頁の第4図に記載されている磁気回路を応用する。発生する磁場については、文献Cの120頁の第3表に、5kGの磁場が得られることが記載されている。本発明は、このリング形状の内外径の差を大きくすることによって、使用する永久磁石のBrよりも高い磁場を得ることが可能であるとの知見に基づき、脱磁するための磁場に利用した。
【0021】
図1を用いさらに説明すると、8個の永久磁石1だけからなるリング形状の磁気回路は、磁化の方向2を図のようにすると、リングの内側に強力な磁場3が発生する。この磁気回路は、リングの内径に対し外径を大きくすることによって使用する永久磁石のBrよりもかなり大きな磁場を発生することができる。これは、動作点が第二象限から第一象限になることによるものであるが、反面発生磁場と逆方向の磁化を有する永久磁石の動作点は第三象限となってしまうことから、保磁力が十分大きくないといけない。
【0022】
本発明の脱磁方法および脱磁装置の一例を、図2を用いさらに説明する。脱磁方法の手順としては、先ず、図2(a)に示したように、サンプルホルダー5に脱磁する磁石サンプル6を固定し、矢印に示したように、磁石サンプルがリング形状磁気回路4の中心にくるように移動させる。次に、リング形状磁気回路を、図2(b)に示したように、回転させながら下降させる。図2(c)に示したように、磁石サンプルをリング形状磁気回路から十分に離したところで脱磁が終了する。したがって、図2に示した脱磁装置は、回転および上下移動機構を有するリング形状磁気回路とサンプルホルダーとから構成させる。しかし、回転および移動機構は、脱磁用磁場発生源とサンプルホルダーのいずれが有しても同様の効果を示し、本発明は、上記説明に制限されない。
【0023】
【作用】
本発明の上記の構成によれば、以下の効果を有する。
【0024】
(1)連続かつ一定の磁場中に磁石サンプルを置き、磁力線の向きに垂直な方向を中心軸として相対的に回転させながら引き離していくことだけで脱磁ができることから、脱磁装置は単純、小型でよく、電気的に複雑な脱磁装置は不要である。
【0025】
(2)磁場発生源として永久磁石を使用することも可能であることから、何も消費することなくランニングコスト=0で使用することが可能となる。
【0026】
(3)磁場発生源として永久磁石を用いると、装置は単純、小型で、静寂性に優れ、さらに、漏れ磁場を少なくすることもできる。特に、リング状磁気回路を用いると漏れ磁場をほとんど零とすることができる。
【0027】
(4)磁場発生源として、磁場強度を変えたり、磁極の反転が困難な超伝導コイルを使用することが可能となるため、50kG以上の高磁場を脱磁に利用することができる。すなわち、従来脱磁が困難であったiHc>30kOeの高保磁力サンプルの脱磁をすることが可能となる。
【0028】
(5)熱脱磁と比較すると、永久磁石の劣化などの恐れがない。
【0029】
本発明の脱磁方法も、基本的には熱脱磁以外の交流および直流脱磁方法と同じように、電磁的に脱磁する方法である。すなわち、永久磁石のヒステリシス曲線を印加磁場を小さくしながら何度も繰り返し描くことにより、B≒0の脱磁状態に収束させることを原理としている。本発明においては、磁場の反転または振幅を回転させることによって、磁場の減少を引き離すことによって、同じ効果を狙ったものである。
【0030】
また、連続かつ一定の磁場を用いても永久磁石の脱磁が可能となり、その結果、永久磁石を用いた脱磁までも実現した。
【0031】
さらに、磁場強度を変えることが困難な超伝導コイルを利用することも可能であり、永久磁石や電磁石では得られない高い磁場を利用して、高保磁力の永久磁石の脱磁も可能である。
【0032】
【実施例】
以下、本発明について、実施例に基づいて詳細に説明する。
【0033】
(実施例1)
Pr−Fe−B系熱間加工磁石、ここではPr磁石(セイコーエプソン製)を用い、図1に示したようなリング状磁気回路を作製した。用いたPr磁石の磁気特性は、Br=11.0kG、iHc=14.9kOe、(BH)max=28MGOeだった。リング状磁気回路の内側の空間には、14.4kGの均一磁場が得られた。これを磁場発生源とした。この脱磁装置の大きさは、外径25cm高さ5cmだった。
【0034】
脱磁する磁石サンプルとしては、SAM−15(セイコーエプソン製;Sm−Co系圧縮成形磁石)を用意した。これを試料1とする。サンプル形状はφ4×L4mmで、磁気特性はBr=7.9kG、iHc=9.8kOe、(BH)max=14MGOeだった。
【0035】
磁石サンプルは、40kOeのパルス磁場で着磁した後、サンプルホルダーに固定した。サンプルホルダーは黄銅製で、60rpmで回転し、2mm/secの速度で上下に移動する機構を有している。脱磁方法および脱磁装置の概要は図2に示した通りである。
【0036】
着磁後の磁石サンプルの表面磁束は2400〜2450Gであったのに対し、サンプルホルダーに固定し、Pr磁石製リング状磁気回路中に挿入後、回転させながら引き抜いたサンプルの表面磁束は56〜62Gと大幅に低減することができた。
【0037】
比較としてコンデンサを用い交流脱磁した磁石サンプルの表面磁束は、24〜26Gであった。交流脱磁の条件は、2000V、800μF、約12msec/周期だった。交流磁場を利用した着脱磁装置の大きさは、安全区域を含めて占有体積が約3×3×1.5mと本発明の脱磁装置と比べてもかなり大きい。
【0038】
(実施例2)
実施例1と同じリング状の磁気回路を用いた脱磁装置を用いた。ただし、この磁気回路を液体窒素中に浸すことにより、−181℃の温度とした。この温度での磁気特性は、Br=12.7kG、iHc>20kOe、(BH)max=39MGOeと向上しており、リング状磁気回路の中心の空間には15.3kGの均一磁場が得られた。脱磁する磁石サンプルとして、NEOMAX−46(住友特殊金属製;Nd−Fe−B系焼結磁石)、SAMLET−10A(セイコーエプソン製;Sm−Co系射出成形磁石)およびBQA14(TDK製;フェライト系ゴム磁石)を用意し、脱磁した。各々試料2,3および4とする。試料2の磁気特性は、Br=13.6kG,iHc=9.7kOe,(BH)max=43MGOe。試料3は、6.6kG,9.6kOe,9MGOe。試料4は、2.4kG,2.9kOe,1.3MGOeだった。サンプル形状は、いずれも実施例1と同じφ4×L4mmとした。
【0039】
着磁は、空芯コイルを用い、40kOeのパルス磁場で行なった。着磁後の磁石サンプルの表面磁束を以下に示す。値は、サンプル数n=5での最大値と最小値で示した。
【0040】
試料2:4150〜4250G
試料3:1840〜1870G
試料4: 680〜 720G
先ず、実施例1と同様に、リング型磁気回路を回転させながら引き抜く脱磁を各磁石サンプルに施した。結果を以下に示す。
【0041】
試料2: 95〜 120G
試料3: 48〜 58G
試料4: 27〜 32G
実施例1と同様に、実用上十分な脱磁状態を実現できた。
【0042】
比較例としての脱磁方法としては、熱脱磁、直流脱磁、交流減衰脱磁および交流引き抜き脱磁を取り上げた。
【0043】
熱脱磁は、350℃に加熱させた。熱脱磁は、有機物をバインダーとしているボンド磁石では不可能であり、試料2のみを熱脱磁した。結果を以下に示す。
【0044】
試料2: 〜0G
試料3,4: 不可能
熱脱磁により、ほぼ完全に磁化を取り除くことに成功したが、ボンド磁石では脱磁することができなかった。また、試料2の熱脱磁前後の磁気特性を比較すると、(BH)maxで1〜3MGOeの永久劣化が認められた。
【0045】
直流脱磁は、脱磁する磁石サンプルの保磁力iHc±0,1,2kGの磁場を着磁とは逆方向に印加させた。結果を以下に示すが、値は各5条件×5サンプル=25の測定値で示した。
【0046】
試料2: 310〜2150G
試料3: 270〜1050G
試料4: 70〜 240G
値は大きくばらついているが、これは脱磁磁場強度の調整が困難であることを示している。また、最適条件と考えられる最小値も決して小さな値ではない。直流磁場を利用した脱磁装置の大きさは、占有体積約1.5×1.5×1mと本発明の脱磁装置と比べてもかなり大きい。
【0047】
交流減衰脱磁は、実施例1と同じ条件で施した。結果を以下に示す。
【0048】
試料2: 30〜 42G
試料3: 17〜 20G
試料4: 10〜 14G
脱磁後の表面磁束の値としては、最も低い値を示したが、脱磁の最中に空芯コイルが発熱し、脱磁4〜5回毎に冷却のため作業が中断してしまった。また、試料3については、脱磁後はサンプル自体がかなり発熱しており、直後には触れない程であった。
【0049】
交流引き抜き脱磁は、減衰しない振幅が一定の交流磁場中に磁石サンプルを挿入し、1mm/secの速度でゆっくりと引き抜いた。結果を以下に示す。
【0050】
試料2: 34〜 39G
試料3: 15〜 18G
試料4: 12〜 17G
これも値は低く、良好な脱磁状態が得られた。ただ、装置の構造上、振幅一定の交流磁場を連続して発生させることは困難であった。
【0051】
(実施例3)
Sm−Co系焼結磁石、ここではR30(信越化学製)を用い、対向型の磁場発生源を作製した。磁気特性は、Br=10.8kG,iHc=8.6kOe,(BH)max=28MGOeだった。具体的には、直径20mmの円柱状とした磁石を二個ギャップ6mmで対向させ、裏面をヨーク材でつなぎ、磁気回路とした。ギャップ間の磁束密度は、4.8kGだった。
【0052】
脱磁する磁石サンプルとしては、フェライト系焼結磁石、ここではFB4A(TDK製)を用意した。サンプル形状は、実施例1と同じくφ4×L4mm、磁気特性は、Br=4.1kG,iHc=2.2kOe,(BH)max=4.0MGOeだった。
【0053】
40kOeのパルス磁場で着磁したときの表面磁束密度は、1150〜1200Gだった。
【0054】
着磁サンプルをサンプルホルダーに固定し、磁気回路のギャップ中に挿入し、サンプルを120rpmで回転させながら、2mm/secで引き抜くことによって脱磁した。表面磁束密度は、25〜30Gと良好な脱磁状態が得られた。
【0055】
(実施例4)
磁場発生源として電磁石を用意し、ギャップ12mmに25kGの磁場を連続的に発生させた。
【0056】
脱磁する磁石サンプルとしては、実施例1と同じSm−Co系圧縮成形磁石ではあるが、形状はφ8×φ6×L4mmのリング状とし、ラジアル異方性を持たせたSAM−15Rとした。着磁は、8極の多極着磁を外周部に施した。表面磁束密度をガウスメータにより測定し、8個あるピーク強度を代表値として取り出した。結果、1420〜1460Gであった。
【0057】
磁石サンプルをサンプルホルダーに固定し、電磁石のギャップ中に挿入し、300rpmで回転させながら、10〜20mm/secで引き抜いた。表面磁束密度を測定すると、68〜77Gと、良好な脱磁状態となっている。
【0058】
比較として、磁石サンプルの半径方向に、実施例1と同じ条件で交流減衰脱磁を施した。結果は、20〜190Gと極によって脱磁の状態にむらがあり、満足な脱磁ができなかった。
【0059】
(実施例5)
磁場発生源として超伝導コイルを二個用意し、その間に100mmのギャップを用意した。ギャップでの磁束密度は、70kGであった。
【0060】
脱磁する磁石サンプルは、N26UH(信越化学製;Nd−Fe−B系焼結磁石)を用意した。磁気特性は、Br=10.9kG,iHc=35.4kOe,(BH)max=28MGOeだった。形状は、φ10×L10mmとした。60kOeのパルス磁場で着磁した結果、表面磁束密度は、3350〜3400Gだった。
【0061】
磁石サンプルをサンプルホルダーに固定し、120rpmで回転させながら、2mm/secで引き抜くことにより脱磁を施した。表面磁束密度は、75〜90Gであり、良好な脱磁状態が得られた。
【0062】
比較として、実施例1と同様に交流減衰脱磁を施したが、表面磁束密度は850〜1250Gと大きな値となり、満足な脱磁はできなかった。
【0063】
以上述べてきたように、本発明は、永久磁石を利用した磁気回路でも、電磁石でも、超伝導コイルでも利用可能であり、連続かつ一定の磁場であれば磁場発生源の種類に依存しない。また、脱磁する磁石サンプルの種類にも依存しない。すなわち、本発明の範囲を限定するのは特許請求の範囲のみである。
【0064】
また、本発明は、永久磁石サンプルの磁束をほぼ零にする脱磁に用いることができるだけでなく、磁束をある値に調整する減磁にも利用可能な技術であることは、言うまでもない。
【0065】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、連続かつ一定の磁場にて脱磁することができることから、例えば永久磁石を用いた磁気回路でも脱磁が可能となり、脱磁装置は単純、小型、静寂性に優れ、ランニングコストも不要となる。また、電磁石を用いることが可能で、磁場強度の変化や極の反転が不要であることから複雑な制御が必要なくなる。さらに、超伝導コイルを脱磁に利用することができるようになり、高磁場を脱磁に用いることができることから、従来は困難であった高保磁力の磁石サンプルの脱磁を実現するなど、多大の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリング形状磁気回路を説明するための図。
【図2】本発明のリング形状磁気回路を用いた脱磁方法および脱磁装置を説明するための図。
【符号の説明】
1.永久磁石
2.磁化の方向
3.発生磁場
4.リング形状磁気回路
5.サンプルホルダー
6.脱磁する磁石サンプル
Claims (7)
- 連続かつ一定の磁場中に磁石サンプルを置き、磁力線の向きに垂直な方向を中心軸として前記磁場と前記磁石サンプルとを相対的に回転させながら、前記磁場と前記磁石サンプルとを引き離すことを特徴とする脱磁方法。
- 連続かつ一定の磁場を発生している装置と、磁石サンプルを保持するサンプルホルダーからなり、磁場発生装置とサンプルホルダーが磁力線の向きに垂直な方向を中心軸として相対的に回転かつ移動する機構を有していることを特徴とする脱磁装置。
- 上記磁場発生装置が、永久磁石からなることを特徴とする請求項2記載の脱磁装置。
- 上記磁場発生装置が、リング形状でその内側に均一な磁場を発生している永久磁石だけからなる磁気回路であることを特徴とする請求項2記載の脱磁装置。
- 上記磁場発生装置が、リング形状でその内側に均一な磁場を発生している永久磁石だけからなる磁気回路であり、その磁気回路が自転かつその回転軸に沿って移動する機構を有していることを特徴とする請求項2記載の脱磁装置。
- 上記磁場発生装置が、連続かつ一定の磁場を発生している電磁石であることを特徴とする請求項2記載の脱磁装置。
- 上記磁場発生装置が、超伝導コイルであることを特徴とする請求項2記載の脱磁装置。
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