JP3670281B2 - 液体を制御して注入するための変位システム - Google Patents

Description

本発明は管状の導管を具備する種類のカートリッジから液体を制御して注入するための変位システムに関し、上記導管の後端はピストンにより閉鎖され、そのピストンはピストン棒により管内へ押し込まれて管の前端に設けられた出口を通って液体を押し出す。
ポンプとして設計された上記変位システムは、治療用の液体、例えば糖尿病患者用のインシュリンの注入に使用され、これによって彼ら糖尿病患者にとってインシュリンが自然に生成されたようにする。
一般に用いられているポンプ構造は、ピストンとピストン棒とを有する注入注射器カートリッジを収容する空洞を備えたハウジングを具備し、ピストンはピストン棒によりカートリッジ内へと押し込まれてピストンの反対側にあるカートリッジ端部の出口を介してカートリッジ内の薬物を押し出す。分配量を非常に正確に調節できる注射器において知られた技術に基づく上記注入ポンプには多くに利点がある。これらは構造が非常に簡単で、カートリッジ内におけるピストンの位置を監視することによりカートリッジ内に残っている薬を正確に容易に表示でき、同様にカートリッジ内におけるピストンの移動距離を制御することにより注入量を非常に正確に制御できる。
カートリッジ・ピストンタイプのポンプには、カートリッジの行程を少なくともピストンの行程よりも僅かに長くとり、また新しいカートリッジ内の最も後方の位置にピストンを配置するときにカートリッジの後側にピストン棒のための空間を確保しなければならないので、ポンプ寸法のうち少なくとも一つは、少なくともカートリッジ内のピストンの全行程の二倍より大きくなければならないという大きな欠点がある。従って一日の活動において可能なかぎり快適にポンプを運搬できるようにするための小型化が制限されてしまう。
従って本発明の目的は上記欠点を克服したカートリッジ・ピストンタイプの変位システムを提供することである。
これは本明細書の冒頭で説明した種類の変位システムにより得られ、本発明の変位システムは、可撓性を有する縮まない構造のピストン棒を備え、カートリッジ後端の後側の位置においてカートリッジ軸線から離れるように該ピストン棒を偏向することを特徴とする。
カートリッジ後端の後側に配設されたピストン棒用案内具により、カートリッジ軸線から離れるようにピストン棒を偏向する。ピストン棒の偏向はピストン棒用案内具により支配されるため、ピストン棒はピストン棒用案内具により決められた軌道に沿って偏向されるだけである。
ピストン棒を１８０°偏向し、ピストン棒用案内具から延びる二つの平行な直線部分を形成するのが好ましい。
ピストン棒用案内具だけでピストン棒に必要な偏向力を確実に及ぼし、突出した直線部分におけるいかなる偏向力も必要とせずにピストン棒用案内具から突出した直線部分を平行としておくために、ピストン棒用案内具は、上方の湾曲部と、その湾曲部の各端における下方の直線部とを有する案内軌道を有し、その案内軌道は、突出した平行な直線部分の方向に沿うある長さを有しており、これら平行な直線部分が突出する案内軌道端部から湾曲部の頂部のピストン棒の中心までの長さは、突出した平行部分の軸線の間の距離と等しい、またはそれより大きい。
またピストン棒が湾曲案内面全体にわたり当接し、ピストン棒のばね効果によっていかなるゆるみも生じないようにすることは、ゆるみがあると分配量が不正確になるという理由で重要である。ピストン棒の端部部分が平行に保たれているときにピストン棒の湾曲部が自然にとる形状にピストン棒用案内具の湾曲部分を作成することにより、上記のように連続して当接させることができる。
ピストン棒は幾つかの様式で可撓性を有するように作成される。ピストン棒が断面をアーチ形にして堅くした可撓性のバンドであると、ピストン棒はアーチ形断面の凹側の方へ偏向する傾向があるので、偏向に関して一つの好適な形態を有する。二つの上記バンドを組み合わせ、これらの凸側をピストンと偏向点との間の距離にわたり互いに当接して、特に堅いピストン棒を得てもよい。ピストン棒を偏向したときには、各バンドがその断面の凹側の方へ偏向されるので二つのバンドは互いから離れる異なる方向へ偏向される。従って上記のように可撓性のピストン棒を確実に分離するようにピストン棒用案内具を設計しなければならない。
ピストン棒として、巻材の一巻き一巻きが狭い間隔で隣接した可撓性を有する螺旋部材を選択することも可能である。このピストン棒は偏向に関して好適な形態を有しておらず、ピストン棒用案内具によりいかなる方向へも案内される。
スウェーデン特許第４４９７７６号には公知の装置が開示されており、ここでは可撓性の螺旋部材を介して引張力または圧縮力を伝達することによってピストンを動かしている。この装置の作動機能中では、提供された可撓性のピストン棒は、ピストンに引張力を及ぼし、流体、好ましくは空気を非常にゆっくりシリンダアンプルへと吸引し、一定時間の外気を代表するサンプルを得る。更に、ピストン棒はシリンダアンプルの外へサンプルを押し出すのに用いられる。ピストン棒の直線部分を介して圧縮力を伝達したときピストン棒の直線部分が曲がらず、また引張力を伝達したときに巻材が引っ張られて離れ、螺旋に永久的な変形が残らないように、使用するワイヤや螺旋部材の寸法を決める必要があることも記載されている。
本発明のピストン棒が可撓性の螺旋部材であるとき、いかなる曲がりであっても、それは分配が不正確になることを意味するので、縮まずにまた曲がらずに軸線方向の押圧力を確実に伝達するよう寸法を決めることに注意しなければならない。これはコイル比、つまり螺旋部材の外径からワイヤの径を引いた値と、螺旋部材を構成するワイヤの直径との比をある範囲内で維持することにより避けることができる。
引張力が螺旋部材によって伝達されたときにも螺旋部材の巻材を互いに当接させておく初期応力は、螺旋部材の圧縮に対して重要である。初期応力が大きければ大きいほど、一つの巻きが隣接した巻きで滑って曲がりだしてしまう傾向が少なくなる。従って初期応力は最大にすべきである。
新しいシリンダアンプルを挿入するとき、ピストン棒の引張りはピストン棒をその初期位置へ後退させるためだけの働きであるので、大きな引張力は伝達されず、正確に伝達する必要性も小さいが圧縮力の伝達は非常に正確でなければならず、ピストン棒の圧縮または曲がりは許されない。
上記問題は、コイル比ｒ_coil＝（ｄ_helix−ｄ_wire）／ｄ_wire＜５．０である巻き型のピストン棒によって全て克服され、ここでｄ_helixは巻き型の螺旋部材の外径であり、ｄ_wireはワイヤの直径である。
コイル比ｒ_coilは、ｒ_coil＜４．５であることが好ましく、ｒ_coil＜４．０であることがより好ましく、ｒ_coil＜３．５であることが更に好ましい。
更にピストン棒は相互接続された一連のチェーンリンクであってもよい。このようなピストン棒は、全てチェーンリンクの構造および相互接続によって偏向に関して好適な形態を有したり、いかなる方向へも自由に偏向できたりする。
ピストン棒が可撓性のバンドであるとき、このバンドは片側または両側に沿って歯を備え、駆動ピニオンと係合したラックを提供し、これによりピストン棒を、従ってピストンを導管内方へと動かしてカートリッジ内のある量の薬を押し出す。
ピストン棒として間隔の狭い巻き型の螺旋部材を用いるとき、この螺旋部材の巻材は外ねじとして機能し、この外ねじは内ねじを備えたナット要素と係合するようになっており、カートリッジ、ピストン棒用案内具および駆動機構を収容するハウジング内において軸線方向へ動かないようになっているナット要素を回転したとき、ナット要素はピストン棒をカートリッジ内へ駆動する。
チェーンリンクを相互接続して製造したピストン棒は、各チェーンリンクが外ねじの一部またはそれ自体をラックの一部とする歯のいずれかを備えると、上記の様式のいずれかにより駆動される。
ラックまたはねじのピッチはピストン棒の直線部分でのみ明確に確定されるため、直線部分において駆動力をピストン棒へ伝達するのが好ましい。
カートリッジとピストン棒用案内具との間の位置であってカートリッジの直ぐ後側で駆動力をピストン棒へ伝達するのが好ましい。従ってピストン棒の直線ではない部分を介しての伝達は避けられる。
ピストン棒の自由端の軸線方向へ押圧力を及ぼすピストン棒の自由端部において、前進機構により駆動力を提供することも選択可能である。従ってピストン棒で生じる可能性のある圧縮により生じる不正確さが排除される。
以下、図面を参照して本発明を更に詳細に説明する。
図１は公知の変位システムを示した略図である。
図２は偏向可能なピストン棒を有する変位システムを示した略図である。
図１は従来知られている種類の変位システムを略図で示している。カートリッジ１の一端は、そのカートリッジ内の液体薬と連通するカテーテル２を取り付けることが可能な閉鎖具により閉鎖されている。カートリッジの他端はピストン３によって閉鎖されており、このピストン３はピストン棒４によりカートリッジ内へ押し込まれ、カテーテル２を介して液体薬を押し出す。カートリッジ１内においてピストン３を前進させる圧力は押圧フット５を介してピストン棒へ伝達され、この押圧フット５は、ねじ付き駆動軸によって、内ねじを備えた穴を駆動軸６のねじへ螺合させることにより前進され、弓形矢印７で示したように、薬がカートリッジを介して押し出される速度を制御する図示していない駆動機構によって駆動軸を回転する。カートリッジ１と駆動軸６とは、これらが互いの方へ動かないように、図示していないハウジングへ取り付けられている。押圧フット５はピストン棒４の端部に当接しても、また、この端部へ取り付けられていてもよい。
図２には本発明の変位システムを示した。この変位システムは、大まかには、図１で示したシステムと同じ要素を具備し、これら同じ要素は図１の対応する要素と同じ参照番号を付してある。しかしながら図１の従来の堅いピストン棒４は、可撓性を有するピストン棒８に変わっている。更にピストン棒用案内具９が配設されており、このピストン棒用案内具は、カートリッジ１の開口端の直ぐ外側にてピストン棒８を偏向する。
図２で示した実施形態では、上記可撓性を有するピストン棒８がカートリッジと平行な方向へ延びるようにピストン棒８を１８０°偏向しているため、この装置の全長は、カートリッジと偏向したピストン棒用案内具９の長さに対応して短くなっている。
ピストン棒用案内具９は、偏向が案内されるように、曲げられたまたは偏向されたピストン棒８の外側輪郭に一致した案内軌道を備え、ピストン棒用案内具９により形成された偏向を除いてピストン棒８が曲がることはできないようになっている。
案内軌道は長さ『ａ』にわたりピストン棒を案内し、この長さ『ａ』は、ピストン棒用案内具９から突出したピストン棒８の平行な直線部分の二つの軸線間の距離『ｂ』と同じ長さであるか、または距離『ｂ』よりも大きな距離である。案内軌道の各端部は距離『ｄ』に沿って直線であるため、ピストン棒用案内具９の外側においてピストン棒８に偏向力は作用しない。
図２に示した実施形態では、駆動力は偏向されたピストン棒８の外側端部に作用する。この駆動力は前記外側端部の軸線方向へ作用し、ピストン棒８は縮まず、且つピストン棒用案内具は可撓性を有するピストン棒の輪郭に一致してピストン棒を案内するため、ピストン棒はピストン棒用案内具９によって提供される曲げに沿ってそれ自身の軸線に沿って動き、ピストン３をカートリッジ１内へと駆動する。ピストン棒８の自由端に作用する押圧フット５と、その押圧フット５の穴内の内ねじに係合するねじ付き駆動軸６とを具備する駆動機構は、弓状矢印７で示した方向への回転を提供するものであれば公知のタイプのものでもよい。
本発明の範囲を逸脱することなく、可撓性を有するピストン棒を他の機構により前進することもでき、また可撓性を有するピストン棒へ駆動力を伝達するのは、その長さに沿ってであればどの場合でもよい。

Claims (7)

1. 管状の導管からなるカートリッジ（１）から液体を制御して注入するための変位システムであって、
   上記導管の後端がピストン（３）により閉鎖され、該ピストンがピストン棒（８）がその軸線方向へ上記導管内へと移動せしめられることによって駆動せしめられて上記導管の前端に配設された出口（２）を介して液体を押し出し、
   上記ピストン棒（８）が可撓性のある縮まない構造であって、湾曲部を備えた案内軌道を有し且つ上記カートリッジの後端の後側に設けられたピストン棒用案内具（９）によって上記カートリッジの後端の後側の位置で上記カートリッジの軸線から離れるように１８０°偏向せしめられてこのときに形成される上記ピストン棒の平行な部分が上記ピストン棒用案内具（９）の一方の側から突出するように偏向せしめられる構造であり、
   上記ピストン棒がワイヤを狭く隣接して巻くことによって形成された可撓性のある螺旋部材により形成されている変位システムにおいて、
   上記案内軌道が湾曲部の各端部に直線部を備え、該案内軌道の直線部が上記ピストン棒の互いに平行な部分を案内し、該ピストン棒の互いに平行な部分が突出する側のピストン棒用案内具の端面に対して垂直方向で見たときにピストン棒用案内具の上記端面から最も離れたピストン棒の軸線上の点と、ピストン棒用案内具の上記端面との間のピストン棒用案内具の上記端面に対して垂直な方向における長さが上記ピストン棒の互いに平行な部分の軸線間の距離に等しいか或いは該距離よりも長く、上記螺旋部材の巻材が外ねじの機能をし、該外ねじと係合する内ネジを有するナット要素を介して駆動力をピストン棒へ伝達することによってピストン棒が駆動されることを特徴とする変位システム。
2. 上記ピストン棒の端部部分を平行に保ったときにピストン棒の湾曲部分が自然にとる形状に上記案内軌道の湾曲部が作成されていることを特徴とする請求項１に記載の変位システム。
3. ｄ _helix を上記可撓性のある螺旋部材の外径とし、ｄ _wire をワイヤの直径としたときに、ｒ _coil ＝（ｄ _helix −ｄ _wire ）／ｄ _wire で定義される上記可撓性のある螺旋のコイル比をｒ _coil が５．０よりも小さいことを特徴とする請求項１に記載の変位システム。
4. 上記コイル比ｒ _coil が４．５よりも小さいことを特徴とする請求項３に記載の変位システム。
5. 上記コイル比ｒ _coil が３．５よりも小さいことを特徴とする請求項４に記載の変位システム。
6. 上記ピストン棒の直線部分において駆動力がピストン棒へ伝達されることを特徴とする請求項１に記載の変位システム。
7. 上記ピストン棒の自由偏向端部に該自由偏向端部の軸線方向へ駆動力が及ぼされることを特徴とする請求項１〜５のいずれか１つに記載の変位システム。

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