JP3668232B2 - トナー画像定着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はトナー画像定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光導電性の潜像担持体の帯電と露光により、あるいは誘電性の潜像担持体の位置選択的な帯電により、潜像担持体に静電潜像を形成し、この静電潜像を現像して得られるトナー画像を記録紙に転写・定着して記録画像を得る記録方式は、アナログやデジタルの複写装置や光プリンター、ファクシミリの記録装置等として広く知られている。
【0003】
トナー画像を記録紙上に定着する方法としては、トナー画像を有する記録紙を加熱ローラと加圧ローラとで挾持し、熱と圧力とを加えて「トナー画像を構成するトナー」を記録紙上に融着させる方法が一般的である。
【0004】
加熱ローラおよび加圧ローラは、その長さが通紙される最大幅の記録紙の幅よりも長く、従って、トナー画像が記録紙に定着されるとき、これらローラの両端部には、記録紙に接触しない部分(以下、非接触部分とよぶ)がある。
【0005】
加熱ローラの表面は、トナー画像の定着に適した温度に温度制御されるが、トナー画像の定着が行なわれると、記録紙に接触した部分では加熱ローラの熱が記録紙とトナー画像に奪われるため、この部分において加熱ローラの表面温度が低下する。この温度低下を「通紙による温度低下」と呼ぶ。
【0006】
通紙による温度低下は、上記「非接触部分」との間で加熱ローラの長手方向に温度差(以下、長手方向温度差という)を生じさせる。
【0007】
通紙による温度低下が起こると、加熱ローラの温度制御手段が、温度低下した部分の温度を設定温度に戻すように機能するが、加熱ローラ長手方向端部の非接触部分では通紙による温度低下がないから、温度制御手段が上記の如く機能すると、非接触部分では加熱ローラの表面温度が本来の設定温度よりも高くなる。この現象は「端部温度上昇」として知られている。端部温度上昇は、定着動作が連続して行なわれるときに発生し易い。
【0008】
端部温度上昇は、以下の如き問題を招来する。例えば、幅の小さい記録紙に対して定着動作が連続して行なわれ、端部温度上昇が生じている状態のときに、幅の大きい記録紙に対する定着動作が行なわれると、幅の大きい記録紙の幅方向端部にあるトナー画像部分は、端部温度上昇により適正温度を越えた温度で加熱されるため、この部分のトナーが加熱ローラに付着する「ホットオフセット現象」が生じ易い。
【0009】
また、端部温度上昇に伴う、加熱ローラ長手方向における「温度勾配」が大きくなると、加熱ローラ自体にダメージを与え、加熱ローラの寿命を短縮させる。
【0010】
上記「端部温度上昇」は、定着の際に加熱ローラの熱が記録紙に奪われることにより生じるから、端部温度上昇に起因する上記諸問題は、定着の際に記録紙が加熱ローラから奪う熱量を少なくすることにより有効に軽減ないし防止することが可能である。
【0011】
「定着の際に記録紙が加熱ローラから奪う熱量を少なくする」には、トナー画像の定着に先立ち、記録紙を予熱することが有効であり、赤外線により予熱する方法(特開平3−211577号公報)や、無端型発熱フィルムにより記録紙を定着部へ搬送しつつ予熱する方法(特開平5−011652号公報)が知られている。
【0012】
しかし、これらの方法では「専用の予熱手段」が必要であり、予熱のためのエネルギ消費も馬鹿にならない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の課題は、トナー画像定着装置において、端部温度上昇を有効に軽減することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明のトナー画像定着装置は「潜像担持体上から記録紙上に転写されたトナー画像を記録紙上に定着する装置」であって、加熱ローラ及び加圧ローラと、ハウジングと、予熱室とを有する。
【0015】
「加熱ローラおよび加圧ローラ」は、トナー画像を転写された記録紙を定着部において挾持し、加圧・加熱しつつ搬送し、トナー画像を記録紙上に定着する。
【0016】
即ち「定着部」は、加熱ローラと加圧ローラとの圧接部であり、「記録紙の幅」は、この定着部との関係において「両ローラの長手方向に平行になる紙幅」を言う。
【0017】
「ハウジング」は、断熱材により構成され、加熱ローラ及び加圧ローラを囲繞する。
【0018】
「予熱室」は、断熱材により構成され、ハウジングにおける定着部への入り口側に、ハウジングと一体に連設される。この予熱室は、記録紙を迎え入れる入り口が外部へ開放するとともに、上記定着部への入り口側が定着部へ向かって開放し、室内に高温雰囲気を溜めるように、かつ、記録紙の厚さ方向の高さがハウジングの高さより小さく形成される。
【0019】
定着すべきトナー画像を有する記録紙は、予熱室を介して定着部へ進行することにより、予熱室内の雰囲気温度により予備加熱が行なわれる。
【0020】
「予熱室をハウジングと一体に連設」する形態は、ハウジング入り口側に「ハウジングの一部として予熱室を形成」する形態でもよいし、ハウジング入り口側に「ハウジングと別体に形成された予熱室を固装」する形態でもよい。また「ハウジング自体の内部空間を入り口側へ拡張」して予熱室とする形態でもよい。
【0021】
上記の如く、加熱ローラと加圧ローラとはハウジングにより囲繞され、ハウジングには予熱室が連設される。従って、ハウジング内部と予熱室内部とは連続した空間を形成し、記録紙の入り口と出口とを除き、外部と熱的に遮断される。
【0022】
このように外部と熱的に遮断された空間内において、加熱ローラの温度は、
画像記録が可能な状態では常時、所定の設定温度を維持するように加熱制御されるので、ハウジングおよび予熱室内の雰囲気は加熱ローラにより加熱されて高温度化する。
【0023】
この発明のトナー画像定着装置は、定着すべきトナー画像を有する記録紙が予熱室を介して定着部へ進行することにより、定着ローラから放熱される熱により加熱された予熱室内の雰囲気温度により記録紙の予備加熱が行なわれるようにしたことを特徴とする。
【0024】
「予熱室の入り口と定着部との間に、記録紙全体を納めるスペースがある」場合、「トナー画像定着時に、加熱ローラと加圧ローラとによる記録紙搬送機能を停止させた状態で、トナー画像を有する記録紙を予熱室の入り口から送りこみ、記録紙の先端を定着部で堰き止めた状態で記録紙全体を、予熱室入り口と定着部との間に滞留させて予熱を行ない、記録紙が予熱された後に加熱ローラと加圧ローラを回転させて定着搬送を行なう」こともできる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して発明の実施の形態を説明する。
【0026】
図1において、符号1は記録紙、符号2は加熱ローラ、符号3は加圧ローラ、符号5はハウジング、符号6は予熱室、符号31,32,33はガイド、符号34は分離爪、符号35は排出ローラ対を示す。
【0027】
加熱ローラ2と加圧ローラ3とは互いに長手方向にわたって圧接しあい「定着部」を形成する。加熱ローラ2は内部に設けられたヒータ4により内部側から加熱される。
【0028】
加熱ローラ2と加圧ローラ3とは断熱材によるハウジング5により囲繞されている。ハウジング5の定着部への入り口側は、記録紙1の搬送路に沿って図の右方へ延設され、予熱室6を構成している。ハウジング5と予熱室6の内部の雰囲気は、加熱ローラ2の発する熱により高温化されている。
予熱室6は、図示の如く、記録紙1を迎え入れる入り口が外部へ開放するとともに、上記定着部への入り口側が定着部へ向かって開放し、室内に高温雰囲気を溜めるように、かつ、記録紙の厚さ方向の高さがハウジングの高さより小さく形成されている。
【0029】
図示されない潜像担持体から「定着されるべきトナー画像TI」を転写された記録紙1は、予熱室6の右側端部に開口した入り口から予熱室6内に送りこまれ、定着部へ向かって搬送されつつ予熱される。
【0030】
記録紙1の先端は、予熱室6を抜けるとガイド31により案内されて定着部へ送りこまれ、加熱ローラ2と加圧ローラ3とにより挾み込まれる。加熱ローラ2と加圧ローラ3はそれぞれ矢印方向へ回転し、記録紙1を左方へと搬送しつつ記録紙1とトナー画像TIに熱と圧力を加え、トナー画像TIを記録紙1に強固に定着する。
【0031】
トナー画像TIを定着された記録紙1は分離爪34により定着ローラ2から分離し、ガイド32,33により案内され、排出ローラ対35によりハウジング外部へと排出される。
【0032】
このような定着動作において、記録紙1とトナー画像TIとは、予熱室6を通過する際、高温雰囲気により予熱され、トナー画像TIと記録紙1とは共に温度が上昇するとともに、記録紙1の含水分が蒸発する。
【0033】
このため、定着部に到達した記録紙1は、温度が上昇し含水分が減少しており、比較的低エネルギでの定着が可能であり、記録紙1により多量の熱が加熱ローラ2から奪われることがない。
【0034】
従って、定着に伴う加熱ローラ2と記録紙1との接触部における「通紙による温度低下」は少なく、端部温度上昇も有効に軽減される。
【0035】
定着装置の立ち上り特性を考慮すると、予熱室6の容積は小さい方が良いが、熱の淀み等も考慮して適当な大きさに定める。
【0036】
この実施の形態においては、「ハウジングの一部として予熱室を形成」することにより予熱室をハウジング5に一体に連設しているが、勿論、予熱室をハウジングとは別体(材料は断熱材であれば、ハウジングと同じでも異なっても良い)に形成して、ハウジング5に固装しても良い。
【0037】
図2は、定着ローラの1例を説明するための図である。定着ローラ2Aは内部に加熱用のヒータ4を有する中空シリンダ状であり、長手方向両端部の、最大幅記録紙に接触しない部分に放熱孔17が形成され、且つ、両端部は断熱材18で塞がれている。
【0038】
このような定着ローラ2Aでは、通紙による温度低下を補償するために、ヒータ4の加熱量を高めるとき、ローラ長手方向の端部からは、放熱孔17から余分な熱が放熱されるので、端部温度上昇が起こりにくく、また放熱孔17から放熱された熱はハウジング内および予熱室内の雰囲気を有効に加熱して高温化させ、予熱の効果を高める。
【0039】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば新規なトナー画像定着装置を提供できる。
【0040】
この発明は、上記の如き構成となっているので、定着ローラの端部温度上昇に起因する問題を有効に軽減ないし防止できる。また定着ローラから放熱される熱により加熱された高温雰囲気により予熱を行なうので予熱のためのエネルギ消費が少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の1形態を説明するための図である。
【図2】定着ローラの実施の形態を説明するための図である。
【符号の説明】
1 記録紙
2 加熱ローラ
3 加圧ローラ
5 ハウジング
6 予熱室
Claims (1)
- 潜像担持体上から記録紙上に転写されたトナー画像を記録紙上に定着する装置であって、
トナー画像を転写された記録紙を定着部において挾持し、加圧・加熱しつつ搬送し、上記トナー画像を上記記録紙上に定着する、加熱ローラおよび加圧ローラと、
これら加熱ローラ及び加圧ローラを囲繞する断熱材によるハウジングと、
上記ハウジングの上記定着部への入り口側に、上記ハウジングと一体に連設され、上記記録紙の搬送路に沿って延設された断熱材による予熱室とを有し、
上記記録紙を排出する上記ハウジングの出口は熱を閉じこめるようローラ対によって閉じており、
この予熱室は、上記記録紙を迎え入れる入り口が熱を閉じこめるよう外部へ狭められて開放するとともに、上記定着部への入り口側が定着部へ向かって開放し、さらに室内に高温雰囲気を溜めるように、上記記録紙の厚さ方向の高さが上記ハウジングの高さより小さく形成され、
定着すべきトナー画像を有する記録紙が上記予熱室を介して定着部へ進行する
ことにより、上記定着ローラから放熱される熱により加熱された上記予熱室内の雰囲気温度により上記記録紙の予備加熱が行なわれるようにしたことを特徴とするトナー画像定着装置。
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- 2003-05-15 JP JP2003137279A patent/JP3668232B2/ja not_active Expired - Fee Related
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