JP3666887B2 - ビデオ表示偏向装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、ビデオ表示器装置に、特に、偏向を停止させるサービスモード回路に関するものである。
【0002】
【発明の背景】
一般的には、テレビジョン受像機における垂直偏向回路の垂直鋸歯状波発生器は直流電流源により充電される電流積分キャパシタを利用して、垂直同期信号に同期した出力鋸歯状波信号のランプ・トレース部分を発生させる。鋸歯状波信号のトレース部分は、陰極線管(CRT)における垂直偏向を行なわせる垂直偏向電流のトレース部分を制御する。
【0003】
直流結合型垂直偏向回路では、鋸歯状波信号が垂直偏向増幅器の入力に直流結合される。この増幅器により生成された垂直偏向電流の大きさを示す帰還信号が増幅器の入力に負帰還的に直流結合される。
【0004】
テレビジョン受像機の製造及び組み立ての時に、ビデオドライブ回路を適切なレベルに調整して、陰極線管の赤、緑、青用の電子ビームがこの陰極線管の蛍光体表示スクリーン上に適切なカラー画像を生じるように生成されるようにすることが必要でありあるいは希望されている。このような調整は一般的に垂直偏向回路を働かないようにして(不働化して)行われる。その結果、水平線が一本となり、その一本の水平線は、電子ビームのドライブレベル及びカットオフレベルを設定する際に、完全なラスタフィールドよりも容易に観察できる。この不働化機能を果たすために利用される回路は、通常サービススイッチと呼ばれる。直流結合型垂直偏向回路に、このような不働化機能を与えることが望ましい。
【0005】
【発明の概要】
この発明の一態様を実施した垂直鋸歯状波発生器は垂直偏向増幅器に直流結合されている。通常の動作中の鋸歯状波信号の平均値を示す電圧が生成され、サービスモード動作が必要とされる時に利用できる。サービスモード制御信号がサービスモード動作が必要とされるときに生成される。このサービスモード制御信号が生成される時には、鋸歯状波信号の生成は停止させる。サービスモード動作では、鋸歯状波発生器は上記平均値信号に応答して、電子ビームをCRTの垂直中心に位置させるのに必要な大きさの、垂直偏向増幅器に直流結合される直流出力信号を生成する。
【0006】
この発明の一態様を実施したビデオ表示偏向装置は鋸歯状波信号を発生するための鋸歯状波発生器を含んでいる。鋸歯状波信号に応答する偏向回路増幅器が陰極線管のネックに取り付けられた垂直偏向巻線に結合されていて、鋸歯状波信号に応じて垂直偏向電流を偏向巻線に生成する。偏向電流は、通常動作中は陰極線管のスクリーン上のビームスポットの位置を垂直方向に周期的に変化させる。サービスモード制御信号が生成される。ビームスポットの垂直位置の変化を生じないようにして、通常動作時の垂直センタリングを示す信号を、増幅器の入力と出力の間に形成される信号路を介して偏向巻線に供給してスクリーンの垂直中心にビームスポットの位置を定める。
【0007】
【詳細な説明】
図1、図2、及び図3は、鋸歯状波発生器100を含むこの発明のある態様を実施する垂直偏向回路を、一部ブロック形式で示す図である。例えば、NTSC標準によるテレビジョン信号を処理するテレビジョン受像器のビデオ検波器(図示せず)等により生成される同期信号SYNCが垂直タイミング発生器10に結合される。発生器10は、図4(a)に示されるように、垂直周波数パルス信号VRESETを発生させる。図1、図2、図3、及び図4(a)〜図4(d)における同様の記号並びに参照番号は、同様の素子や機能を示す。
【0008】
図1のパルス信号VRESETは、セット−リセットフリップフロップ12のセット入力に供給されて、このフリップフロップ12の状態を変化させる。その結果、フリップフロップ12の出力Qは、出力制御信号112aの前縁LEを発生する。信号VRESETと112aの前縁はある垂直トレースの終わりで現われ垂直リトレースを開始させる。信号112aは電流スイッチ13の制御端子13aに結合される。前縁LEが生じた直後、信号112aによって、スイッチ13が、集積回路(IC)製造技術で製造された積分キャパシタ14の接続端子18aへ直流電流IDRAMPを結合する。
【0009】
電流IDRAMPは、デジタル−アナログ(D/A)変換器16で生成された電圧VRSLOPEにより制御される電圧−電流(V/I)変換器15で生成される。D/A変換器16へのデジタルデータ入力はマイクロプロセッサ17からバスBUSを介して供給される。マイクロプロセッサ17は、さらに、S字成形や左右ひずみ修正のようなテレビジョン受像器における様々な調整機能(図示せず)を制御するために用いることができる。積分キャパシタ14の第2の端子118bは、鋸歯状波信号VRAMPが生成される増幅器18の出力に接続されている。電流IDRAMPが、図4(b)の鋸歯状波信号VRAMPのリトレース部分RETRACEを形成する。図1のキャパシタ14の端子18aは増幅器18の反転入力端子に接続されて電流積分器を形成する。
【0010】
図1の信号VRAMPは、さらに比較器19の非反転入力端子にも結合される。比較器19は、信号VRAMPの部分RETRACE中の信号VRAMPのレベルを検出して、信号VRAMPの部分RETRACEの終了時間を決める。比較器19の反転入力端子は直流基準電圧VLOWの電圧源に接続されている。基準電圧VLOWがどのようにして生成されるかについては後述することとする。比較器19の出力端子19aはORゲート20を介して、フリップフロップ12のリセット入力Rに接続されている。
【0011】
電流IDRAMPによって、信号VRAMPがランプ降下し、電圧VLOWに等しいレベルに達すると、比較器19は、出力信号を発生し、この出力信号はフリップフロップ12の状態を変化させ、また、出力Qに信号112aの後縁TEを発生させる。その後、電流IDRAMPはスイッチ13によりキャパシタ14から切り離される。
【0012】
電流IDRAMPの大きさは、D/A変換器16へのデジタルデータ入力の値に従ってプログラムすることができ、それによって、必要とされるリトレース勾配、即ち、信号VRAMPの部分RETRACEの長さを与えることができる。例えば、図1と同様で、切換型垂直偏向回路(図示せず)の制御を目的としている構成においては、V/I変換器15を図1の場合よりも小さな電流を生じるようにプログラムすることができる。このようにすると、図4(b)の破線で示すように、図3に示されているような非切換型垂直偏向回路を制御するのに用いられる部分RETRACEの長さに比較して、部分RETRACEを長くすることができる。このように、図4(b)の信号VRAMPのリトレース部分RETRACEは、切換型あるいは非切換型のどちらの垂直偏向回路にも適応できるようにすることができる。
【0013】
図1の信号VRESETのパルス幅が、信号VRAMPの部分RETRACEの長さよりも短かければ、信号VRESETの後縁のタイミングの正確さはそれほど重要ではない。このことの利点は、非標準、標準両方の同期信号SYNCの処理に必要なタイミング発生器10を簡素化できることである。非標準同期信号SYNCは、例えば、静止フレームモードあるいは静止画像モードで動作するビデオテープレコーダから供給される。
【0014】
電流IDRAMPよりも実質的に小さい直流電流IURAMPがV/I変換器21で生成される。信号112aの後縁TEの発生後に、キャパシタ14の端子18aに結合された電流IURAMPがキャパシタ14を充電して、図4(b)の鋸歯状波信号VRAMPのランプトレース部分TRACEを発生させる。図1のV/I変換器21の電流IURAMPの大きさは、キャパシタ22の両端間に発生する電圧VAGCにより自動利得制御(AGC)帰還ループで制御される。電圧VAGCは変換器21を、電圧VAGCが正になればなるほど電流IURAMPは小さくなるように制御する。AGCストローブ信号AGCSTRが、スイッチ24の制御端子24aに結合される。
【0015】
信号AGCSTRは垂直トレースの終端に近接した時点で、垂直タイミング発生器10において生成される。信号AGCSTRは、例えば水平ビデオ線の長さ、すなわち64マイクロ秒に等しいパルス幅を有している。信号AGCSTRのパルスが発生している間、V/I変換器23で生成された電流IOUTがスイッチ24を介してキャパシタ22に供給される。信号AGCSTRのパルスが発生している時以外は、キャパシタ22はその電圧をほぼ一定レベルに維持し、サンプルアンドホールド動作を行なう。電流IOUTの大きさは変換器23で制御され、信号VRAMPと後述するようにして生成されるある基準電圧VHIGHとの差に比例する。
【0016】
あるトレース期間で、ストローブ信号AGCSTRが発生した時に信号VRAMPの大きさが電圧VHIGHよりも小さい場合は、電流IOUTは正で電圧VHIGHと信号VRAMPの差に比例した大きさとなる。正の電流IOUTはキャパシタ22の電圧VAGCを減少させる。従って、次の垂直トレース期間では、以前よりも、電流IURAMPが大きくなり、信号VRAMPの増加率も大きくなって、前述の信号VRAMPが必要とされる大きさより小さくなる傾向を補正する。
【0017】
逆に、信号AGCSTRのパルスが発生した時に、信号VRAMPの大きさが電圧VHIGHよりも大きくなった場合は、次の垂直トレース期間では電流IURAMPは小さくなる。このように、AGC帰還ループは、ストローブ信号AGCSTRが発生した時に信号VRAMPの大きさを電圧VHIGHと同じレベルになるようにする。定常状態の動作において、電流IOUTの極性は、図4(d)に示すように、信号AGCSTRのパルスの中心で変化する。
【0018】
回路が付勢された直後に、キャパシタ22は完全に放電される。キャパシタ22は電圧VCCに接続されている。そのため、電源をターンオンすると、電圧VAGCが電圧VCCと等しくなってランプ信号VRAMPの振幅は最小または零になる。キャパシタ22がVCCではなくアースに接続されているとすると、電源をターンオンした時の信号VRAMPの振幅は過大になってしまう。信号VRAMPの振幅が過大であると、偏向電流の振幅が過大となってしまう。その結果、CRT49の電子ビームがCRT49のネックに衝突してCRT49を損傷することになる。
【0019】
信号AGCSTRは、垂直トレース部分TRACEの中心から離れた時点で、できる限り垂直トレースの末端の近くで発生するようにされている。このようにすると、信号VRAMPのレベルが電圧VLOWに等しくなるように設定される時点と信号AGCSTRが生成される時点との期間の長さが、例えば、最大可能な長さとなる。信号VRAMPのサイクル中で、信号AGCSTRの発生をどれだけ遅くすることができるか、その上限は、信号VRAMPの垂直サイクルの最小必要長さにより決定される。例えば、図4(c)に示すように、信号112aの後縁TEから定格垂直周期Vの80%の長さである期間Tが経過した後に、信号AGCSTRが生じるようにすることができる。
【0020】
時間CENTERは部分TRACEの中心にある。図4(b)の時間CENTERから離れた時点で、信号VRAMPのレベルはそのピーク値に近くなる。従って制御精度に対してオフセット誤差が与える影響の相対的な割合が、例えば時間CENTERで信号AGCSTRが発生する状況と比較して減少する。その結果、図1の信号VRAMPをより正確に制御することが可能となる。
【0021】
信号VRAMPは、図示しないが、何らかの方法でS字成形を与えるように波形修正され、また、例えば、垂直偏向巻線Lyに垂直偏向電流iyを発生させるための垂直増幅器11aを含む図3の直流結合された線形垂直偏向回路11に直流結合されている。図3の巻線LyはCRT49の垂直偏向を行なう。直流結合を採用すると、大きな交流結合キャパシタを使用する必要がなくなり、また、直線やS字成形が結合キャパシタ特性によって左右されることがなくなる。
【0022】
図2は、前述した図1の電圧VHIGHとVLOWを生成し、また、後述する垂直センタリング調整目的に使用される電圧VCENTを生成するための構成101を示す。構成101は、7.7ボルトの電圧源VCCに接続された端子を持つ抵抗R9を含んでいる。抵抗R9のもう一方の端子101aは抵抗R8に接続されている。抵抗R8の端子101cは、抵抗R7とR6の直列体に接続されている。抵抗R7とR6の直列体は、端子101cと101bの間に接続されている。抵抗R5が端子101bとアースとの間に接続されている。抵抗R11AとR10Aからなる第2の直列体が、抵抗R7とR6の直列体と並列に、端子101bと101cの間に接続されている。
【0023】
電圧VLOWは端子101bに生成される。電圧VHIGHは端子101cに生成される。また、電圧VCENTは、抵抗R11AとR10Aの間にある端子101dに生成される。
【0024】
V/I変換器52は、図1のマイクロプロセッサ17からバスBUSと、D/A変換器53を介して受け取った入力データにより制御され、図2の直流電流ICENTERを生成する。電流ICENTERは抵抗R6とR7との接続点に供給される。電流ICENTERは、垂直センタリングを調整するために、電圧VLOWとVHIGHを調整することによって信号VRAMPの平均値の調整を行なう。信号VRAMPの平均値は正規には、電圧VCCの2分の1の値に等しい。信号VRAMPは図3の巻線Lyに直流結合されているため、信号VRAMPの平均値が変化すると、その変化に対応する変化が電子ビームのセンタリングに生じる。
【0025】
図2のV/I変換器50は、図1のマイクロプロセッサ17からバスBUSと図2のD/A変換器51を介して受け取った入力データによって制御されて、ダイオード形に接続されたトランジスタQ1のベースとコレクタの両方に供給される図2の直流電流IHEIGHTを発生する。トランジスタQ1のベースとコレクタは、トランジスタQ3のベースに接続されて、電流IHEIGHTに等しいトランジスタQ3のコレクタ電流を制御する。トランジスタQ3のコレクタは、抵抗R5とR6の間の端子101bに接続されている。トランジスタQ4のコレクタとベースの両電極は相互接続されてダイオード形式とされており、またトランジスタQ3のエミッタにも接続されてこのトランジスタQ3の電流を供給する。トランジスタQ4のエミッタは抵抗R2を介して端子101aに接続されている。トランジスタQ2のベースはトランジスタQ4のベースとコレクタとに接続されている。トランジスタQ2のエミッタは抵抗R1を介して端子101aに接続されている。トランジスタQ2のコレクタは、トランジスタQ1のエミッタに結合されており、トランジスタQ1のコレクタ電流を供給する。
【0026】
トランジスタQ1、Q2、Q3、及びQ4は温度補償された電流ミラー回路構成を形成している。抵抗R1とR2をそれぞれ流れるトランジスタQ2とQ4のエミッタ電流の和は、端子101aを介して供給され、電流IHEIGHTの値の2倍に等しい。端子101bに供給されるトランジスタQ3のコレクタ電流は、電流IHEIGHTに等しい。
【0027】
電流IHEIGHTのレベルは、電圧VHIGHとVLOWのレベルを設定することによって制御されて、図1の信号VRAMPの所要のピーク−ピーク振幅を設定する。電流IHEIGHTを調整すると、電圧VHIGHとVLOWが互いに逆方向に変化する。
【0028】
電流IHEIGHTが変化すると信号VRAMPのピーク−ピーク振幅が変化し、垂直センタリングに影響を与えることなく垂直高さの調整を行なうことができる。例えば、図2の電流IHEIGHTが増加すると、電圧VHIGHは減少し、電圧VLOWは増加するが、電圧VRAMPの平均値と電圧VCENTのレベルは電流IHEIGHT増加による影響は受けない。この有利な特徴は、端子101aと101bに供給され、トランジスタQ1、Q2、Q3、Q4によって生成される電流の値と、構成101中の抵抗の値を適切に選択することにより得られる。
【0029】
電流ICENTERのレベルは電圧VLOWとVHIGHが同じ方向に変化するようにバスBUSを介して制御される。例えば、サービスラスタセンタリング調整のために電流ICENTERを増加させると、電圧VHIGHとVLOWのそれぞれが減少する。
【0030】
構成101における抵抗の値は、さらに、図2の電流ICENTERの調整後も図1の信号VRAMPのピーク−ピーク振幅がほぼ同じになるように選択される。その結果、垂直センタリングの調整が垂直高さに影響しない。信号VRAMPの平均値は互いに独立して調整できる。
【0031】
図3の偏向回路11においては、偏向巻線Lyが偏向電流サンプリング抵抗R80と直列に接続されて、増幅器11aの出力端子11bと電源デカップル用キャパシタCbの接続端子11cとの間に接続された直列体を構成する。抵抗R70が例えば+12ボルトの、供給電圧V+を端子11cに接続する。巻線Lyと抵抗R80の間に接続された接続端子11dが帰還抵抗R60を介して増幅器11aの反転入力端子に接続されている。抵抗R80の端子11cは、抵抗R30を介して、増幅器11aの非反転入力端子に接続されている。このようにして、抵抗R80の両端間に発生する負帰還電圧が増幅器11aの入力端子に加えられる。増幅器11aを制御する鋸歯状波信号VRAMPは抵抗R40とR50の並列体を介して増幅器11aの反転入力端子に供給される。電圧VCCは抵抗R10を介して増幅器11aの非反転入力端子に供給される。抵抗R20が、増幅器11aの非反転入力端子とアースの間に接続されている。
【0032】
抵抗R10、R20、R30、R40、R50、及びR60は、例えば、共通の基板上に形成して、温度トラッキングが緊密になるように単一の抵抗回路網パッケージとすることができる。抵抗R10、R20、R30、R40、R50、R60の各々は、例えば、0.5%の公差がある。抵抗R10、R20、R30は、電圧VCCと端子11cに発生する電圧を増幅器11aの非反転入力端子に結合する抵抗回路網の第1の部分を形成する。抵抗R40、R50、R60は、信号VRAMPと端子11dにおける偏向電流を表わす帰還信号を増幅器11aの反転入力端子に供給する抵抗回路網の第2の部分を形成する。
【0033】
図2の構成101における各要素の値は、図3の信号VRAMPの平均値が通常、電圧VCCの2分の1に等しくなるように選択される。信号VRAMPのレベルが電圧VCCの2分の1に等しい時に、端子11dと11cにおける電圧が等しくなると仮定する。従って、増幅器11aの反転入力端子に関して、信号VRAMPと抵抗R40、R50、R60を含む回路部分のテブナンの定理により求められた等価回路と、増幅器11aの非反転入力端子に関して、電圧VCCと抵抗R10、R20、R30を含む回路部分のテブナンの定理による等価回路とが等しくなる。従って、その平均値、あるいは電圧VCCの2分の1に等しい信号VRAMPが、正規には零か零に近い偏向電流iyを発生させる。信号VRAMPは、ほぼ対称的な負及び正のピーク振幅を有する電流iyを発生させる。
【0034】
増幅器11aの非反転入力端子に関するテブナン等価回路に対するR10、R20、R30の各抵抗の関与は、反転入力端子に関するテブナン等価回路に対する抵抗R40、R50、R60の関与と同じである。このようになるのは、抵抗対(R10、R40)、(R20、R50)、(R30、R60)の各々における抵抗が等しい値であるからである。各対内の抵抗が等しいことにより、その抵抗値が等しくない場合に比べると緊密で良好な整合及び温度トラッキング特性が得られるという利点がある。温度トラッキングがそのように緊密になるのは、製造過程において、抵抗が等しい値であるときに50ppm/℃というような温度トラッキング係数の近似した1対の別々の抵抗を形成することがより容易であるためである。信号VRAMPの平均値を電圧VCCの2分の1に等しく設定すれば、抵抗R10とR40の対を等しい値の抵抗で形成することができ、また、抵抗R20とR50の対も等しい値の抵抗で形成することができる。
【0035】
各対の抵抗を互いに等しくしたので、電流iyによりキャパシタC6の端子11cに現われる垂直周波数のパラボラ電圧に対する共通モード排除、供給電圧V+の変化に対する共通モード排除、並びに供給電圧VCCに対する共通モード排除がより大きくなり、同時に、その温度依存性が小さくなる。従って、偏向電流iyの歪と直流電流ドリフトが、例えば、0℃〜40℃というような全動作温度範囲内で減少する。例えば、温度変化による電圧VCCの変化は、増幅器11aの反転入力端子に結合される信号VRAMPの平均値と増幅器11aの非反転入力端子に結合される直流電圧VCCの部分の両方を同方向にほぼ同じ量だけ変化させる。従って、直流センタリングが電圧VCCの変化にあまり影響を受けないという利点が得られる。
【0036】
テレビジョン受像器の現場での調整や工場での調整のためには、垂直ラスタを崩壊させて、図3のCRT49の電子ビームを表示スクリーンの垂直中心かその近くに設定したい場合がある。
【0037】
この発明の一態様によれば、図1の信号SERVICEは、マイクロプロセッサ17で生成された入力データからバスインタフェースユニット30で生成され、サービスモード動作時に、ORゲート20を介してフリップフロップ12のリセット入力Rへ結合される。その結果、電流IDRAMPはキャパシタ14には供給されない。代わりに、スイッチ31の制御端子31aに結合された信号SERVICEによって、スイッチ31が、V/I変換器32で生成された電流ISERVをキャパシタ14の端子18aに結合する。V/I変換器32は電流ISERVを、信号VRAMPと前述したようにして生成される直流電圧VCENTとの差に比例した大きさで発生させる。V/I変換器32を介した負帰還の結果として、信号VRAMPは、信号SERVICEが生成された時、電圧VCENTに等しい一定のレベルに設定される。電圧VCENTのレベルの信号VRAMPは、CRT49のスクリーンの垂直中心で垂直ラスタを崩壊させる小さな値または零の値の直流電流iy(図3)を発生させる。従って、水平偏向回路(図示せず)による水平走査がCRT49の表示スクリーンの垂直中心で連続的に起こる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の態様を実施した垂直偏向回路の一部の回路図である。
【図2】この発明の一態様を実施した垂直偏向回路の他の一部の回路図である。
【図3】この発明の一態様を実施する垂直偏向回路のさらに別の一部の回路図である。
【図4】図1〜図3の構成の理想的な波形を示す波形図である。
【符号の説明】
49 陰極線管(CRT)
14 鋸歯状波発生器を構成するキャパシタ
18 鋸歯状波発生器を構成する増幅器
11a 偏向回路増幅器
Ly 垂直偏向巻線
17 サ─ビスモ─ド制御信号を発生させる手段を構成するマイクロプロセッサ
31a サ─ビスモ─ド制御信号を発生させる手段を構成するスイッチの制御端子
31 不働化手段を構成するスイッチ
32 不働化手段を構成するV/I変換器
Claims (1)
- 陰極線管と、
鋸歯状波信号を発生させる鋸歯状波発生器と、
上記鋸歯状波信号に応答し、上記陰極線管のネックに取り付けられた垂直偏向巻線に結合されていて、通常動作中に上記陰極線管のスクリーン上のビームスポットの位置を垂直方向に周期的に変化させるような垂直偏向電流を上記鋸歯状波信号に従って上記垂直偏向巻線中に生成させ、上記鋸歯状波発生器と直流結合され、入力と出力が帰還路を介して直流結合された垂直偏向回路増幅器と、
上記通常動作時に鋸歯状波信号の平均値を示す信号を生成し、上記偏向電流の平均値を調整して垂直センタリングを行う手段と、
上記鋸歯状波発生器において、鋸歯状波信号の発生を停止させる手段と、
上記鋸歯状波発生器において、鋸歯状波信号の発生を停止させたとき、通常動作時の上記鋸歯状波信号の平均値を示す信号を上記垂直偏向回路増幅器を介して上記偏向巻線に供給して上記ビームスポットの垂直方向のセンタリングを行う手段と、
を具える、ビデオ表示偏向装置。
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