JP3665581B2 - 受信機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波増幅器あるいは混合器、またはそれらの両方に能動素子としてFETを使用した受信機に関する。
【0002】
【従来の技術】
VHF帯やUHF帯の携帯型無線機などに使用される一般的なFM受信機のブロック図を図7に示す。このFM受信機においては、アンテナ1で受信された信号が帯域フィルタ2を介して高周波増幅器3に供給され、高周波増幅される。高周波増幅された信号は帯域フィルタ4を介して第1混合器5に供給され、第1中間周波数に変換される。第1中間周波数の信号はMCF(帯域フィルタ)6を介して中間周波増幅器7に供給され、中間周波増幅される。中間周波増幅された信号は第2混合器8に供給されて第2中間周波数に変換された後、セラミックフィルタ(帯域フィルタ)9とリミッタ増幅器10を介して検波回路11に供給され、検波される。そして、検波出力がバッファ増幅器12を介して出力される。また、リミッタ増幅器10の出力を受けてキャリア検出回路13によりキャリアのレベルが検出され、その結果から、図示しないスケルチ回路を制御するスケルチ制御信号が出力される。
【0003】
このようなFM受信機の高周波増幅器3および第1混合器5には、能動素子としてFETを使用する場合が多い。図8は、能動素子としてFETを使用した従来の高周波増幅器3を示す回路図である。この高周波増幅器3では、入力信号がマッチング回路21を介してデュアルゲートFET22の第1ゲートに入力される。電源と接地間にはバイアス抵抗23,24が直列接続され、このバイアス抵抗回路の分圧点がデュアルゲートFET22の第2ゲートに接続される。デュアルゲートFET22のドレイン端子は負荷抵抗25を介して電源に接続されるとともに、マッチング回路26を介して出力端子27に接続される。一方、デュアルゲートFET22のソース端子はソース抵抗28を介して接地される。ソース抵抗28とバイアス抵抗24にはそれぞれ並列にバイパスコンデンサ29,30が接続される。
【0004】
このような高周波増幅器3と前記第1混合器5の性能(インタモジュレーション(IM)もしくはインタセプトポイント(IP))は受信機のインタモジュレーション・リジェクション(相互変調)に大きくかかわっており、従来は高周波増幅器3と第1混合器5のIPを高くして、受信機のインタモジュレーション・リジェクションを確保していた。その場合、高周波増幅器3と第1混合器5でIPを高くするには、ソース抵抗(図8では符号28で示される)の抵抗値を下げて、FET(図8では符号22で示される)のソース電流を多く流すことが必要であった。例えば、図8の高周波増幅器3でFET22として3SK274(ガリウムヒ素、デュアルゲートFET)を使用した場合、IPを高くするためには、ソース抵抗28を68Ωとして、9.5mAのソース電流を流す必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、高周波増幅器3や第1混合器5のIPを高くして、受信機のインタモジュレーション・リジェクションを確保するために、高周波増幅器3や第1混合器5で使用しているFETのソース抵抗の抵抗値を下げて、FETのソース電流を多く流すと、その分、電池(電源)の寿命が短くなる問題点があった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、その目的は、高周波増幅器や混合器のIPを高くして受信機のインタモジュレーション・リジェクションを確保することができるとともに、電流消費を少なくして電池寿命を長くすることができる受信機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の受信機は、高周波増幅器あるいは混合器、またはそれらの両方に能動素子としてFETを使用した受信機において、スケルチ制御信号により制御され、受信機のスケルチ開時とスケルチ閉時とで前記FETのソース電流値を切り替え、スケルチ閉時はスケルチ開時に比較して前記FETのソース電流値を減少させるソース電流切り替え回路を設け、スケルチ開時のソース電流値とスケルチ閉時のソース電流値とで前記FETの回路のゲインが同一であることを特徴とする。
【0008】
上記受信機において、ソース電流切り替え回路は、一対のソース抵抗を切り替え手段で切り替えるように構成することができる。また、ソース電流切り替え回路は、前記FETのソース端子に接続された第1のソース抵抗に対して第2のソース抵抗をスイッチ回路で接続または切り離すように構成することもできる。さらに、ソース電流切り替え回路は、スケルチ開時、受信機のインタモジュレーション・リジェクションを確保するインタセプトポイント(IP)を得ることができるソース電流値に前記FETのソース電流値を設定する。さらに、受信機のスケルチを開く信号が受信されたとき、スケルチを開く処理をする前にスケルチ制御信号でソース電流切り替え回路を制御して前記FETのソース電流値をスケルチ開時のソース電流値に切り替え、その状態で受信信号レベルを確認してレベルがスケルチ開放レベル以上ならばスケルチを開き、レベルがスケルチ開放レベルを下回ればスケルチを閉じたままとすることが好ましい。また、バッテリーセーブ機能を備えた受信機において、前記のソース電流切り替え回路を追加する構成により、消費電流の改善効果を高めることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に添付図面を参照して本発明による受信機の実施の形態を詳細に説明する。本発明による受信機の実施の形態の全体的構成は図7と同一である。そこで、受信機の全体的構成については説明を省略する。本発明による受信機の実施の形態においては、図7の高周波増幅器3が図1のように構成される。この高周波増幅器3では、図8の従来例のソース抵抗28に代えて、ソース電流切り替え回路41が設けられる。図1の高周波増幅器3のその他の部分は図8の従来例と同一であり、同一部分は図8と同一符号を付してその説明を省略する。
【0010】
ソース電流切り替え回路41は、第1ソース抵抗R1、第2ソース抵抗R2、切り替え手段としてのリレー42で構成される。リレー42は、図7のキャリア検出回路13から出力されて受信機の図示しないスケルチ回路を制御するスケルチ制御信号により制御される。そして、リレー42は、可動端子423がFET22のソース端子に接続される。また、リレー42の第1固定端子421に第1ソース抵抗R1の一端が、リレー42の第2固定端子422に第2ソース抵抗R2の一端がそれぞれ接続されており、第1および第2ソース抵抗R1,R2の他端は共に接地される。
【0011】
このようなソース電流切り替え回路41は、スケルチ制御信号によりリレー42の接続状態が制御されることにより、受信機のスケルチ閉時(待受け時)とスケルチ開時(信号受信時)とでFET22のソース抵抗を第1ソース抵抗R1と第2ソース抵抗R2で切り替える。具体的には、スケルチ制御信号がスケルチを閉じるハイレベルになると、リレー42の可動端子423がリレー42の第1固定端子421に接続されるので、FET22のソース端子にはソース抵抗として第1ソース抵抗R1が接続される。また、スケルチ制御信号がスケルチを開くローレベルになると、リレー42の可動端子423がリレー42の第2固定端子422に接続されるので、FET22のソース端子にはソース抵抗として第2ソース抵抗R2が接続される。
【0012】
そして、スケルチ開時、FET22のソース端子に第2ソース抵抗R2が接続されると、この第2ソース抵抗R2の抵抗値が小さいので多くのソース電流がFET22に流れる。その結果、高周波増幅器3のIPを高くして、受信機のインタモジュレイション・リジェクションを確保できる。一方、スケルチ閉時、FET22のソース端子に第1ソース抵抗R1が接続されると、この第1ソース抵抗R1の抵抗値が大きいのでFET22のソース電流が減少する。その結果、電池の消耗が減少して、電池の寿命が長くなる。
【0013】
このように、上記のソース電流切り替え回路41によれば、受信機のスケルチ開時(信号受信時)はFET22のソース電流を多くして高周波増幅器3のIPを高くすることにより、受信機のインタモジュレイション・リジェクションを確保することができるとともに、スケルチ閉時(待受け時)はIPを高くしなくてもよいのでFET22のソース電流を減らして消費電流を改善し、電池の寿命を長くすることができる。
【0014】
いま、第1ソース抵抗R1の抵抗値を180Ω、第2ソース抵抗R2の抵抗値を68Ωとすると、消費電流は、第1ソース抵抗R1のとき4.9mA、第2ソース抵抗R2のとき9.5mAで、第1ソース抵抗R1に切り替えれば9.5−4.9=4.6mAの消費電流の改善がある。
【0015】
したがって、電池の容量を1500mAh、第2ソース抵抗R2のときの受信消費電流を63mAとすると、第2ソース抵抗R2だけのときは(従来例はこれに相当する)電池の寿命は
1500/63=23.8時間=23時間48分
となるが、本発明のソース電流切り替え回路41により第1ソース抵抗R1に切り替える場合は、4.6mAの消費電流の改善があるので、
1500/(63−4.6)=25.7時間=25時間42分
となり、
23時間48分 → 25時間42分
すなわち7.98%の電池寿命の改善が得られる。
【0016】
また、上記の例は高周波増幅器3の場合であるが、この高周波増幅器3だけでなく図7の第1混合器5のFETのソース電流も上記のソース電流切り替え回路41で制御するようにすれば、
1500/(63−4.6×2)=27.9時間=25時間54分
となり、
23時間48分 → 27時間54分
すなわち17.2%の電池寿命の改善が得られる。
【0017】
なお、高周波増幅器3のゲインが変わるとスケルチが開、閉する受信信号レベルが変わってしまうので、スケルチ閉時、第1ソース抵抗R1を介して少ないソース電流がFET22に流れているときと、スケルチ開時、第2ソース抵抗R2を介して多くのソース電流がFET22に流れているときとで、高周波増幅器3のゲインが同一になるようにする。この点も満足するようにして第1ソース抵抗R1と第2ソース抵抗R2の抵抗値は次のようにして選定される。
【0018】
FET22を使用した高周波増幅器3の特性を調べる。具体的には、図2の特性図に示すように、ソース抵抗の抵抗値を可変したときの高周波増幅器3のゲイン、IMもしくはIP、ソース電流を測定する。そして、ソース抵抗の抵抗値を下げていき、ゲインが一定になるポイントP1の抵抗値を第1ソース抵抗R1の抵抗値とする。さらにソース抵抗の抵抗値を下げていき、IMが一定となるポイントP2の抵抗値を第2ソース抵抗R2の抵抗値とする。このようにして選定した抵抗値が既に記した数値であり、第1ソース抵抗R1は180Ω、第2抵抗R2は68Ωである。また、各抵抗値におけるソース電流が4.9mA、9.5mAである。ゲインはいずれのソース電流値でも14.8dBで一定である。第1ソース抵抗R1のとき(スケルチ閉時)の3次のインターモジュレーションIMは53.0dBcであるのに対し、第2ソース抵抗R2に切り替えたとき(スケルチ開時)の3次のインターモジュレーションIMは65.5dBcである。
【0019】
図3は本発明の他の実施の形態として他の高周波増幅器3を示す回路図である。この高周波増幅器3は、ソース電流切り替え回路41の構成が図1と異なる。図3のソース電流切り替え回路41では、FET22のソース端子に接続された第1ソース抵抗R3に対して第2ソース抵抗R4をスイッチ回路43で接続あるいは切り離すことにより、スケルチ開時(信号受信時)とスケルチ閉時(待受け時)とでFET22のソース電流値を変える。
【0020】
このソース電流切り替え回路41を詳述すると、このソース電流切り替え回路41は、第1ソース抵抗R3、第2ソース抵抗R4、スイッチ回路43としての第1、第2ダイオードD1,D2を有する。第1ソース抵抗R3は、FET22のソース端子と接地間に接続される。第1ダイオードD1は、アノードがFET22のソース端子に接続される。第2ソース抵抗R4は、第1ダイオードD1のカソードと接地間に接続される。第2ダイオードD2は、アノードがスケルチ制御信号供給端子51に接続され、カソードが第1ダイオードD1のカソードに接続される。
【0021】
このようなソース電流切り替え回路41においては、スケルチ開時(信号受信時)、スケルチ制御信号供給端子51にスケルチ制御信号がローレベルで供給される。すると、図4に示すように、第2ダイオードD2がオフ、第1ダイオードD1がオンするので、第1ソース抵抗R3(例えば180Ω)に第2ソース抵抗R4(例えば約110Ω)が並列接続される。すると、FET22のソース抵抗は、
(180×110)/(180+110)≒68Ω
と小さくなるので、FET22にはソース電流が多く流れる。その結果、高周波増幅器3のIPが高くなり、受信機のインタモジュレイション・リジェクションが確保される。なお、図4のようなダイオードのオン、オフ動作とするには、端子51に供給されるスケルチ制御信号のローレベルの電圧値を、FET22のソース端子電圧からダイオードの順方向電圧を引いた値より低くする必要がある。ただし、FET22のソース端子電圧値は、ダイオードの順方向電圧より高くする必要がある。
【0022】
一方、スケルチ閉時(待受け時)は、スケルチ制御信号供給端子51にスケルチ制御信号がハイレベルで供給される。すると、図5に示すように、第2ダイオードD2がオン、第1ダイオードD1がオフするので、第2ソース抵抗R4は第1ソース抵抗R3から切り離される。すると、FET22のソース抵抗は第1ソース抵抗R3のみ、すなわち180Ωと大きくなるので、FET22のソース電流が減少する。その結果、消費電流が改善され、電池の寿命が長くなる。なお、図5のようなダイオードのオン、オフ動作とするには、端子51に供給されるスケルチ制御信号のハイレベルの電圧値を、FET22のソース端子電圧からダイオードの順方向電圧を足した値より高くする必要がある。
【0023】
なお、スケルチ閉時(待受け時)、FET22のソース電流を少なくして高周波増幅器3のIPが低いと妨害信号でスケルチが開いてしまう可能性がある。そこで、これを回避する策として、図6に示すようなスケルチ制御方法とする。すなわち、スケルチを開く信号(希望信号または妨害信号)が受信されたとき、スケルチを開く処理をする前に、スケルチ制御信号でソース電流切り替え回路41を制御してFET22のソース電流値をスケルチ開時のソース電流値に切り替え、高周波増幅器3のIPを上げる(ステップS1)。そして、その状態で受信信号レベルを確認し(ステップS2)、レベルがスケルチ開放レベル以上ならばスケルチを開き(ステップS3)、レベルがスケルチ開放レベルを下回ればスケルチを閉じたままとする(ステップS4)。このような方法によれば、IPを上げた状態で受信信号レベルを確認するようにしたので、妨害信号を排除して、希望信号のみでスケルチを開くことができる。
【0024】
以上、好ましい実施の形態から本発明を詳述した。上記の実施の形態は本発明(ソース電流切り替え回路41)を高周波増幅器3に適用した場合であるが、同様にFETを使用した第1混合器5にもソース電流切り替え回路41を設けて効果をより高めることができる。また、スイッチングダイオードを使用したスイッチ回路43を図3に示したが、トランジスタやFETのスイッチング動作を用いたスイッチ回路に置き換えることができる。さらに、図1では切り替え手段としてリレー42を使用したが、他の切り替え手段、例えば切り替えスイッチ機能を有するICなどを使用することもできる。
【0025】
さらに、バッテリーセーブ機能すなわち、待受け時(スケルチ閉時)に受信回路を間欠動作させ、消費電流を抑え、バッテリーライフを延ばす機能を備えた受信機において、前記のソース電流切り替え回路を追加する構成により、消費電流の改善効果を高めることもできる。
【0026】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明の受信機によれば、高周波増幅器や混合器に使用されているFETのソース電流値をスケルチ開時とスケルチ閉時で切り替えるようにしたので、高周波増幅器や混合器のIPを高くして受信機のインタモジュレーション・リジェクションを確保することができるとともに、電流消費を少なくして電池寿命を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高周波増幅器の回路図であり、本発明による受信機の実施の形態を説明するための図。
【図2】図1の高周波増幅器の特性図。
【図3】高周波増幅器の他の例を示し、本発明の他の実施の形態を説明するための図。
【図4】図3の高周波増幅器の第1の動作状態を示す回路図。
【図5】図3の高周波増幅器の第2の動作状態を示す回路図。
【図6】本発明の受信機に適用されるスケルチ制御方法を示す図。
【図7】一般的なFM受信機を示すブロック図。
【図8】従来の高周波増幅器を示す回路図。
【符号の説明】
3 高周波増幅器
5 第1混合器
22 FET
41 ソース電流切り替え回路
42 リレー
43 スイッチ回路
R1〜R4 ソース抵抗
D1,D2 ダイオード

Claims (6)

  1. 高周波増幅器あるいは混合器、またはそれらの両方に能動素子としてFETを使用した受信機において、
    スケルチ制御信号により制御され、受信機のスケルチ開時とスケルチ閉時とで前記FETのソース電流値を切り替え、スケルチ閉時はスケルチ開時に比較して前記FETのソース電流値を減少させるソース電流切り替え回路を設け、
    スケルチ開時のソース電流値とスケルチ閉時のソース電流値とで前記FETの回路のゲインが同一であることを特徴とする受信機。
  2. ソース電流切り替え回路は、一対のソース抵抗を切り替え手段で切り替えるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の受信機。
  3. ソース電流切り替え回路は、前記FETのソース端子に接続された第1のソース抵抗に対して第2のソース抵抗をスイッチ回路で接続または切り離すように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の受信機。
  4. ソース電流切り替え回路は、スケルチ開時、受信機のインタモジュレーション・リジェクションを確保するインタセプトポイント(IP)を得ることができるソース電流値に前記FETのソース電流値を設定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の受信機。
  5. 受信機のスケルチを開く信号が受信されたとき、スケルチを開く処理をする前にスケルチ制御信号でソース電流切り替え回路を制御して前記FETのソース電流値をスケルチ開時のソース電流値に切り替え、その状態で受信信号レベルを確認してレベルがスケルチ開放レベル以上ならばスケルチを開き、レベルがスケルチ開放レベルを下回ればスケルチを閉じたままとすることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の受信機。
  6. バッテリーセーブ機能を備えた受信機において、前記のソース電流切り替え回路を追加する構成により、消費電流の改善効果を高めることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の受信機。
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