JP3662646B2 - 切断火口の検査装置及び検査方法及び切断装置 - Google Patents

切断火口の検査装置及び検査方法及び切断装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス切断火口により形成される切断酸素気流及び白点、またはプラズマ切断火口により形成されるプラズマジェットをCCDカメラによって撮影し、取得した画像情報を演算して基準値及び許容範囲と比較することにより切断火口の良否を検査する装置及びその方法、及び該検査装置を搭載した切断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガス切断火口は、中央に切断酸素ガスを噴射する孔を有し、その孔の周囲に燃料ガス及び支燃ガスを噴射する複数の孔が配置されている。また、プラズマ切断火口はプラズマジェットを形成するためのプラズマガス、二次気流を形成するための二次ガス、また場合によっては三次気流を形成するための三次ガスを噴射するための孔が設けられており、その流量や旋回気流の同心度などに厳しい精度が要求される。
【0003】
これらの孔の周囲に加工時のバリが残っていたり、孔の径に不揃いが生じていたりすると、切断に際して火炎の形状にばらつきが生じたり真直に噴射されなくなる等の現象が発生し、切断に悪影響を及ぼす。また切断開始時には良好な火炎を形成していても、切断作業中にスパッターが付着するなどして同様の悪影響を生じてしまう。
【0004】
例えば図7に示すのはガス切断火口において切断酸素気流4を通過させる孔に変形やバリ等が生じた場合の不良切断酸素気流4の例であり、図7(a)は切断酸素気流4が扁平になった例、図7(b)は前方に向かって広がってしまった例、図7(c)は乱流が生じた例、図7(d)は過圧気流を生じて切断酸素気流4の根本がダンゴ状になった例である。切断酸素気流4にこれらに示すような不良が生じた場合には、切断方向によって切断線の幅が変わってしまったり、切断板厚、切断速度等にばらつきが生じ、期待どおりの切断を行うことができない。
【0005】
また、図8に示すのは白点3aを通過させる孔に不良が生じた場合の不良白点3aの例であり、図8(a)は曲がりが生じた例、図8(b)はダンゴ状になった例、図8(c)は前方に向かって広がってしまった例、図8(d)は太さに異なりが生じた例、図8(e)は長さに異なりが生じた例、図8(f)は色の異なりが生じた例である。白点3aにこれらのような不良が生じた場合には主に予熱時間のばらつきに影響を及ぼす為、切断開始時間、切断速度などに不都合が生じる。
【0006】
特に最近は多数本のトーチを備えた平行切断機やNC切断機を用いて切断を行う場合が多く、切断火口ごとの火炎性状のばらつきはそのまま製品の加工精度に影響し、また火炎性状が良好であれば切断面の品質も良いことが経験的に良く知られている。すなわち切断作業の前後で火炎性状が良好であるならばその作業における切断面の品質は良好であるとの判断をすることができ、出荷前、及び切断作業の前後に切断火口が形成する火炎の検査を行うことが必要不可欠である。
【0007】
従来の切断火口の火炎性状の検査は手作業にて行われており、作業員が切断火口を切断トーチに取り付けて点火し、切断火口に形成された切断酸素気流及び白点の状態を肉眼で観察して良否を判断するものであった。その際不良品は交換したり、また簡単に修正可能な不良に関してはその場で修正を行っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、切断酸素気流及び白点、またはプラズマジェットは強い光と高熱を発するため作業員の疲労を招き、長時間の作業は困難である。従って、通常交代制で作業に当たるため、一つの作業台につき数名の作業交代要員が必要となり、大量の検査要員を必要としていた。
【0009】
また、複数作業員による切断火口の良否の判断は、主観の相違によりばらつきが生じる。すなわち、ある作業者によれば具体的に定められた品質仕様に沿って正しく良不良の判断をすることが出来ても、他のある作業者によれば品質仕様内の良品を不良品と判断したりすることがある。
【0010】
また、切断装置を用いて切断を行う場合、切断開始時においては切断火口が良好な火炎を形成していても、切断作業中にスパッター等が付着して火炎性状が悪化することが考えられる。従って、切断作業の合間に切断火口の状態確認をして火口の交換や掃除を行わなければならず、作業現場に作業員を必要とし、また切断開始までの段取りに時間を要していた。
【0011】
本発明に係る検査装置及び検査方法及び切断装置は、切断火口の検査を自動化することにより火口の良否判断基準を規格化し、また作業員を労働から開放して作業に必要する人員を削減する事を目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る切断火口の検査装置は、切断火口を装着する切断トーチと、多数のCCD素子を直交方向に配列して構成されたCCDカメラと、切断火口より噴射される火炎の性状をCCDカメラに指示を出して撮影させる制御部と、CCDカメラによって撮影した画像信号を二値化して火炎の輪郭座標を抽出して火炎の長さ、太さ、傾き、偏平率等の火炎性状を計算し、予め記憶された火炎性状の判断基準となる基準値および許容誤差と比較して切断火口の良否を判断しそれに対応した信号を出力する画像処理部と、を有することを特徴とする。
【0013】
また切断火口の検査装置において、切断火口近傍に自動点火装置を設け、制御部が、切断火口に切断酸素ガス及び燃料ガス及び支燃ガスが供給されたことに対応して、燃料ガスに点火する指示を出すものであることを特徴とする。
【0014】
またガス切断火口の検査装置において、切断火口に点火されたことを検知するための火炎検出装置を設け、制御部が、火炎検出装置からの信号を受けることによって、CCDカメラに火炎又は切断酸素気流又は白点の撮影を開始する指示を出すものであることを特徴とする。
【0015】
また切断火口の検査装置において、切断トーチが回転可能に構成されていることを特徴とする。
【0016】
また切断火口の検査装置において、検査前の切断火口を切断トーチに装着すると共に検査後の切断火口を取り外す際に検査結果の良否に応じて分類する切断火口着脱装置を設け、切断火口着脱装置は制御部の指示により各動作をすることを特徴とする。
【0017】
また切断火口の検査装置において、切断トーチに切断酸素ガス及び燃料ガス及び支燃ガス、またはプラズマガスを供給する配管に電磁弁を設け、切断火口着脱装置が切断火口を切断トーチに装着した後に所定の位置に退避したことに対応して、制御部が電磁弁に弁を開く指示を出すものであることを特徴とする。
【0018】
また切断火口の検査装置において、切断トーチに切断酸素ガス及び燃料ガス及び支燃ガス、またはプラズマガスを供給する各供給路に、気体に熱を加える二つの自己加熱型抵抗体と、二つの自己加熱型抵抗体に流れる電流の差を電圧に変換するブリッジ回路と、電圧と基準電圧を比較する比較演算部と、比較演算部の指示に応じて流量を調節する弁の開閉を行う開度調整部と、を有するガス流量調節機構を設けたことを特徴とする。
【0019】
また本発明に係る切断火口の検査方法は、CCDカメラを用いて切断火口の良否を検査する方法であって、切断トーチに装着された切断火口から噴射される火炎をCCDカメラによって撮影し、撮影した画像信号より得られる輝度を二値化処理して切断酸素気流及び白点の輪郭の座標を抽出し、輪郭の座標から火炎の長さ、太さ、傾き、偏平率等の火炎性状を算出して、火炎性状を所定の基準値および許容誤差と比較演算することによって切断火口が形成する火炎性状の良否を判断することにより切断火口の良否を判断することを特徴とする。
【0020】
また切断火口の検査方法において、切断トーチを回転させることによって角度を変えて複数回撮影することを特徴とする。
【0021】
また本発明に係る切断装置は、一本ないし多数本の切断トーチを取り付けて移動させるフレームと、前記切断火口の検査装置とを有する切断装置であって、前記CCDカメラを切断トーチに対向するよう配置し、前記制御部と前記画像処理部をフレームに搭載したことを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明に係る切断火口の検査装置の第一の実施例を、ガス切断火口を例に用いて図を用いて詳細に説明する。図1に示すのはガス切断火口および火炎および切断酸素気流を表す図、図2に示すのはガス切断火口の検査装置の構成を表す図、図3に示すのは画像処理のフローチャートである。まず、図1および図2によりガス切断火口の検査装置の構成を説明し、次に検査装置の動作について順を追って説明する。
【0023】
図1に示すガス切断火口1(以後単に火口1という)は、中央に切断酸素ガスを噴射する孔を有し、その孔の周囲に燃料ガス及び支燃ガスを噴射する複数の孔が配置されている。火口1は、ガス切断トーチ2(以後単にトーチ2という)に装着してアセチレンガス、LPGガス、コークス炉ガス等の燃料ガスと酸素ガスなどの支燃ガスを供給されると共にこれらの混合ガスを噴射して点火することで、白点3a、二次火炎3bからなる火炎3を形成すると共に、火口1に切断酸素ガスを供給して噴射することで切断酸素気流4を形成したとき、該気流4の周囲を包む白熱部4aが形成される。
【0024】
火炎3を構成する一つである白点3aは火口1の内部で混合した燃料ガスと支燃ガスが完全燃焼して形成されるものであり、光輝を持った白色あるいは薄青色の半透明の炎である。二次火炎3bは解離した一酸化炭素や水素が大気中の酸素と反応して燃焼した赤色あるいは橙色系統の極めて薄い透明の炎である。
【0025】
切断酸素気流4を構成する白熱部4aは解離した一酸化炭素や水素が火口1から噴射された切断酸素ガスと再度混合することで完全燃焼して形成されるものであり、白点3aよりも僅かに薄い白色あるいは薄青色の半透明の部分である。従って、切断酸素気流4は火口1に火炎3が形成されているときに該切断酸素気流4の周囲に形成される白熱部4aによってのみ認識することが可能となる。
【0026】
火口1の装着されるトーチ2は図示しない作業台に回転可能に取り付けられており、トーチ駆動モータ21によって回転させられる。トーチ駆動モータ21はパルスモータであり、制御部5より出される指示に従ってトーチ2を必要な角度回転させることができる。
【0027】
トーチ2には切断酸素ガス及び燃料ガス及び支燃ガスを供給するための独立した三本のホースが接続されており、各ホースはガス流量調節機構である定流量素子22を介して配管26に接続されている。配管26には電磁弁24が設けられており、この電磁弁24は制御部5の指示に従って開閉し、ガスの供給の開始または停止を行うことができる。
【0028】
ここで定流量素子22とは管内を流れるガスの流量を一定に保つフィードバック制御を行うユニットである。ユニット内においてガスの流路に支流を設け、該支流の上流および下流に自己加熱型抵抗体を設置し、電流を流して発熱させる。支流管内をガスが流れると自己加熱型抵抗体からガスに熱量が移動するが、上流においてすでにある程度熱量が移動するために、下流において移動する熱量は上流におけるそれよりも小さいものになる。従って上流と下流の自己加熱型抵抗体に温度差が発生し、電気抵抗値に差異が生じる。この電気抵抗値の差をブリッジ回路により電圧に変換し、この電圧と分配ユニット23から与えられる基準電圧とを比較演算部において比較することによって流量の狂いを検出することができる。その流量の狂いに応じて開度調整部がユニット内に設けられた弁の開度を調節することによって、ガスの供給圧や外部気圧に影響されることなく常にガスの流量を一定に保つことができる。
【0029】
またトーチ2近傍に火口着脱装置30が設けられている。これは制御部5の指示により火口1をトーチ2に着脱するものであり、取り外す際には火口1の検査の合否に対応して、火口1を次行程のラインまたは修正ラインに分類する機能を有している。また、同様にトーチ2近傍には火口1に点火する自動点火装置33、および点火がなされたことを検知する火炎検出装置34、火炎3及び切断酸素気流4及び白点3aを撮影するためのCCDカメラ11が設けられている。
【0030】
火口1と対向して配置されたCCDカメラ11は、光電変換素子である多数のCCD素子を直交2方向に配列(例えば640 ×1280)して構成されている。このCCDカメラ11は、CCD素子の一方の配列方向が火口1の軸心と平行になるような姿勢で図示しないフレームに固定されている。そしてCCDカメラによる撮影範囲を設定することで、個々の素子による分解能が決定される。本実施例では、CCDカメラ11による撮影範囲を100mm ×100mとすることで、横0.15mm/dot、縦0.08mm/dotの分解能を有するように設定している。またCCDカメラ11は、画像処理部10に接続されて画像信号を伝達する。
【0031】
画像処理部10は、CCDカメラ11より伝達された画像信号を二値化する二値化部12と、二値化したデータを記憶させる二値記憶部13と、該二値化したデータから火炎および切断酸素および白点の長さ、太さ、傾き、広がり等の各火炎性状を計算する演算部14と、演算結果記憶部15と、比較部17と、比較すべき基準値及び許容誤差を記録させた許容値記憶部16とを有している。また画像処理部10には比較判定結果を画面出力するためのモニタ18、および各装置を統括して動作の指示を出す制御部5とが接続されている。
【0032】
次に、本実施例に係るガス切断火口の検査装置がある一本の火口1を検査する際の動作について、順を追って説明する。
【0033】
まず図示しない切断火口搬送装置によって、検査前の火口1が図示しない所定の位置に載置される。すると制御部5が火口着脱装置30に指示を出し、火口着脱装置30のアーム31の先端に設けられたマニピュレータ32が火口1をピックアップしてトーチ2に装着する。火口1をトーチ2に装着した後、火口着脱装置30のマニピュレータ32およびアーム31は火炎の影響を受けない位置まで退避する。
【0034】
火口着脱装置30のアーム31の退避が完了すると、制御部5からの指示により電磁弁24が開かれて、トーチ2に切断酸素ガスおよび燃焼ガスおよび支燃ガスの供給が開始される。ここで各ガスの流量は定流量素子22の働きによって一定に保たれている。トーチ2に供給されたガスは火口1から噴出し、自動点火装置33によって点火される。火炎3及び切断酸素気流4及び白点3aが発生したことを火炎検出装置34が検知したことにより、火口1の検査が開始される。
【0035】
撮影を行ってから良否の判断をするまでの過程のフローチャートを図3に示す。制御部5の指示により、火口1の先端に生成された火炎3及び切断酸素気流4及び白点3aをCCDカメラ11によって撮影し、画像を取得する。撮影した画像信号は画像処理部10内に設けられた二値化部12に送られて二値化される。
【0036】
すなわち、CCDカメラ11を構成する各CCD素子が取得した画像信号により得られる輝度を、ある定められたレベル以上ならば1、それ以下ならば0として一桁の二進数データに変換する。従って、前記レベルを切断酸素気流4の白熱部4aの輝度よりも僅かに低い輝度に設定すれば、白熱部4aを撮影したCCD素子の二値データは1となり、白熱部4aの外部を撮影したCCD素子の二値データは0となる。この二値データとそれを有するCCD素子の配列を対応させ、且つ二値データを火口1の軸心に対して横方向にスキャンすることにより白熱部4aの輪郭画像を座標としてとらえることができる。なお、白点3aは白熱部4aよりも輝度が高いため、同時に輪郭をとらえることが可能である。
【0037】
CCDカメラ11による撮影は一本の火口1についてトーチ2の回転角度を変えて複数回行われる。上記の二値化部12による二値化が終了すると、その二値データは一旦二値記憶部13に蓄えられ、所定の全方位について撮影が終了したかどうかを判断し、終了していれば次行程に進み、終了していなければトーチ駆動モータ21によりトーチ2を所定角度回転させて、次なる角度において撮影を行う。
【0038】
所定の全方位について撮影が終了すると制御部5から電磁弁24に指示を出してガスの供給を停止する。そして、二値記憶部13に蓄積した各角度における二値データを演算部14において解析することによって火炎の状態を認識することができる。例えば60°ずつ回転させて四回撮影すれば、トーチ2は最大180 °回転することとなり、白点3aおよび切断酸素気流4の軸心を算出することができ、さらには軸心からの傾きや、太さ、長さ、扁平率、乱れ等の火炎性状を算出することができる。この算出された種々の火炎性状を一旦演算結果記憶部15に記憶させておき、予め許容値記憶部16に記憶された基準値および許容誤差と、比較部17において逐一比較することによって火口1の良否を判断して検査結果を出す。
【0039】
比較部17は、検査結果をモニタ18に出力して監視員に示すとともに制御部5に信号を出し、制御部5はその結果に基づいて火口着脱装置30に指示を出す。火口着脱装置30は、検査に合格ならば火口1を次行程30a のラインに移動させ、不合格ならば修正ライン30b に移動させる。そして次なる火口1をトーチ2に装着する。
【0040】
尚、上記第一実施例において、撮影を行ってから良否の判断をするまでの過程において全方位撮影してから火口の良否を判断したが、撮影を行う度に良否を判断することによって不良品検出を早めることができる。図4に画像処理の他の実施例に係るフローチャートを示す。
【0041】
CCDカメラ11によって取得したある角度における画像情報を、画像処理部10内に設けられた二値化部12に送って二値化する。そしてすぐに演算部14において切断酸素気流4および白点3aの各火炎性状を演算する。そしてこの演算結果と許容値記憶部16に記憶された基準値及び許容誤差とを比較部17において比較演算する。
【0042】
すると回転せずともわかる火炎性状、例えば切断酸素気流4の広がり、ある程度以上の傾き、また白点3aの左右の大きさの違いなどにおいて基準値及び許容誤差と比較することができ、それらに何らかの不良を発見した場合にはその時点で火口着脱装置30により修正ライン30b に送られる。
【0043】
また、上記のようにある角度における比較演算に合格したものは、全方位の撮影が終了したかどうかを判断し、終了していなければトーチ駆動モータ21によってトーチを所定角回転させ、CCDカメラ11によって次の角度における画像取得を行う。全方位撮影が終了していれば、火口1は次行程30a に送出する。これらのことより、全方位撮影することなく不良品を検出することができ、検査の速度向上を図ることができる。
【0044】
上記実施例においてはガス切断火口を用いて説明したが、切断トーチ及び送出するガス等を適宜変更することによって、同様にプラズマ切断火口の検査装置とすることができる。このように、本発明の切断火口検査装置を用いれば切断火口の検査を自動化することができ、作業員を強い光および高熱によって疲労させることなく、また大幅な人員削減をすることができる。また判断基準を画一化することによって製品の品質の規格化を向上させることができ、多数本のトーチを搭載した平行切断装置やNC切断装置に用いる際にも個体差の少ないものとすることができる。
【0045】
図5、図6を用いて本発明に係る第二の実施例を示す。図5に示すのは複数のトーチと共に切断火口の検査装置を搭載した数値制御(以下NC)切断装置を説明する模式図、図6はNC切断装置に搭載した切断火口の検査装置のブロック図である。このNC切断装置に搭載した切断火口の検査装置において、上記第一実施例と説明の重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
図5に示すように、平行に敷設されたレール41に該レール41に沿って走行可能な架構42が載置されている。架構42は、走行モーター43を取り付けたサドル42aと、レール41の敷設方向に直交する方向に配置されたガーター42b とからなり、ガーター42b に各々トーチ2を取り付けた複数(本実施例では5台)のキャリッジ44が搭載されている。
【0047】
ガーター42b の下方に該ガーター42b に沿ってボールネジ27及び該ボールネジ27と平行にガイド部材28が配置され、これらのボールネジ27、ガイド部材28にCCDカメラ11を位置調整可能に取り付けたブラケット29が装着されている。ボールネジ27は、サドル42a に設けられ且つ駆動制御装置46によって制御される駆動モーターによって駆動され、ブラケット29、CCDカメラ11をガーター42b に沿って往復移動させる。
【0048】
CCDカメラ11は、縦方向に配列されたCCD素子列の中から予め基準列が設定され、この基準列が垂直方向と一致するようにブラケット29に取り付けられている。従って、ボールネジ27を駆動してブラケット29を移動させる際には、ガーター42b に設定された装置原点とCCDカメラ11に設定された基準列との距離が制御対象となる。
【0049】
尚、CCDカメラ11をガーター42b に沿って移動させる機構は上記構造に限定されるものではなく、例えばボールネジ27に変えてラックを配置すると共に、駆動モーター30をブラケット29に配置し、該モーター30によって前記ラックと噛合するピニオンを駆動するように構成することも可能である。
【0050】
図6に示すように、NC切断装置にはマイクロコンピュータやNC装置或いはパソコンからなる上位の制御装置45が搭載されており、駆動制御装置46と共にNC切断装置及び火口検査装置の制御装置を構成する。
【0051】
制御装置45は切断作業の開始前及び終了後に火口の検査をする。その際、まずブラケット29を駆動させる横行モータ19に指示を出して、予め記憶された距離移動させて火口1とCCDカメラ11を対向させる。しかる後に、火口検査装置の制御部5に指示を出して、CCDカメラ11により火口に形成された火炎を撮影し、画像処理部10において撮影した画像情報から火炎性状の良否判断を行う。
【0052】
火口の検査が終了すると結果をモニター18に表示し、また良品と判断するか又は不良品を交換した後に、再び横行モータ19を駆動させて次の火口1の位置まで移動する。これをすべての火口に対して繰り返す。これにより火口の検査を自動化することができ、作業員を必要としない。
【0053】
また、切断の開始前及び終了後共に火炎性状が良好である場合にはこの火口による切断面も良好であると判断することができる。逆に、切断開始前には良好だった火炎性状が切断終了後に不良となった火口を検出することにより、その火口による切断面が不良であると判断することができる。従って、かかる火口の存在をモニター18に警告するかまたは記録に残すことにより、無人にして不良品の検出を行うことができる。
【0054】
なお、上記第一及び第二実施例において対人用の結果出力装置としてはモニタ18を用いたが、これをプリンタまたはプリンタとモニタ両方を設けるなどして出力することでも良い。また磁気記憶媒体などに結果を一定期間保存することにより過去の検査結果を検索することが可能なものとすることも有効である。
【0055】
また、説明の都合上画像処理部10の各構成要素および制御部5をそれぞれ分割して説明したが、実際には一台又は複数台のコンピュータをプログラムにより動作させ、二値化及び輪郭画像演算及び比較および制御シーケンスをCPUにより行い、二値記憶および演算結果記憶をRAMにより行い、また該プログラムおよび火炎性状の基準値および許容誤差は磁気記憶媒体ないしROMに保存するという形態が一般的である。
【0056】
また、図2においてトーチ2の上方に火口1を装着し、上方に向かって火炎等を噴射する構成として示したが、本発明はこれに限定するものではなく、横または下方に向けて火炎を噴射するよう火口1を装着することでも良い。また撮影する際にトーチ2を60°ずつ回転させつつ四回撮影すると説明したが、さらに小さい角度ずつ回転させながら回数多く撮影することによって、より正確な画像情報を取得することができる。またパルスモータにより回転を行ったが、ラックや歯車、アームなどの機械装置を用いて回転角を決定することでも良い。
【0057】
また、CCDカメラ11の構成を640 ×1280のCCD素子により100mm ×100mmの撮影範囲として分解能横0.15mm/dot、縦0.08mm/dotと説明したが、これらは火口1および火口1の形成する火炎等の大きさに準じて適宜設定される。
【0058】
また、第二実施例において、ガーター42b に5本のトーチ2を搭載した場合について説明したが、この構成に限定されるものではない。即ち、本発明における切断火口の検査は、ガーター42b に何本のトーチ2及び火口1が搭載されていても個々の火口1毎に独立して行われるものであり、トーチ2の搭載数に制限はない。
【0059】
【発明の効果】
本発明に係る切断火口の検査装置によれば、切断火口の検査を自動化することができ、作業者を労働から開放し、また使用者にしてみれば人員を削減することができる。また、製品の品質の良否判断基準を個々の作業者の主観に依存することなく、規格化することができる。
【0060】
また、本発明に係る切断火口の検査装置を切断装置に適用すれば、出荷時のみならず切断作業に際して火炎性状の検査および不良火口の交換を自動的に行うことができる。この事により、作業人員を必要とすることなく常に良好な火炎を形成する火口をもって切断を行うことができる。
【0061】
また、切断作業の前後において火炎性状を比較することによって切断面の品質を判断することができるため、無人で自動的に切断の良否を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ガス切断火口および火炎および切断酸素気流を表す図である。
【図2】 本発明の第1実施例に係るガス切断火口の検査装置の構成を表す図である。
【図3】 画像処理のフローチャートである。
【図4】 画像処理の他の実施例に係るフローチャートである。
【図5】 複数のトーチと共に切断火口の検査装置を搭載した数値制御切断装置を説明する模式図である。
【図6】 数値制御切断装置に搭載した切断火口の検査装置のブロック図である。
【図7】 ガス切断火口における不良切断酸素気流の例を示す図である。
【図8】 ガス切断火口における不良白点の例を示す図である。
【符号の説明】
1…火口
2…トーチ
3…火炎
3a…白点
3b…二次火炎
4…切断酸素気流
4a…白熱部
5…制御部
10…画像処理部
11…CCDカメラ
12…二値化部
13…二値記憶部
14…演算部
15…演算結果記憶部
16…許容値記憶部
17…比較部
18…モニター
19…横行モータ
21…トーチ駆動モータ
22…定流量素子
23…分配ユニット
24…電磁弁
25…ホース
26…配管
27…ボールネジ
28…ガイド部材
29…ブラケット
30…火口着脱装置
31…アーム
32…マニピュレータ
33…自動点火装置
34…火炎検出装置
40…NC切断装置
41…レール
42…架構
42a …サドル
42b …ガーター
43…走行モーター
44…キャリッジ
45…制御装置
46…駆動制御装置

Claims (12)

  1. 切断火口を検査する装置であって、該切断火口を装着する切断トーチと、多数のCCD素子を直交方向に配列して構成されたCCDカメラと、前記切断火口より噴射される火炎の性状を前記CCDカメラに指示を出して撮影させる制御部と、前記CCDカメラによって撮影した画像信号を二値化して火炎の輪郭座標を抽出して該火炎の長さ、太さ、傾き、偏平率等の火炎性状を計算し、予め記憶された火炎性状の判断基準となる基準値および許容誤差と比較して切断火口の良否を判断しそれに対応した信号を出力する画像処理部と、を有することを特徴とする切断火口の検査装置。
  2. 請求項1における切断火口は切断酸素ガスを噴射する孔と前記孔の周囲に配置され燃料ガス及び支燃ガスを噴射する複数の孔を有するガス切断火口であり、火炎とは切断酸素気流及び白点であって、前記切断トーチは前記ガス切断火口を装着すると共に該ガス切断火口に切断酸素ガス及び燃料ガス及び支燃ガスを供給するガス切断トーチである事を特徴とする請求項1に記載の切断火口の検査装置。
  3. 請求項1における切断火口は電極の周囲にガスを供給してプラズマ化し、ノズルからプラズマジェットを噴射するプラズマ切断火口であり、火炎とはプラズマジェットであって、前記切断トーチは放電のための電力を供給すると共にプラズマガスを供給するプラズマ切断トーチである事を特徴とする請求項1に記載の切断火口の検査装置。
  4. 前記切断火口の検査装置において、前記切断火口近傍に自動点火装置を設け、前記制御部が、前記切断火口に切断酸素ガス及び燃料ガス及び支燃ガスが供給されたことに対応して、前記燃料ガスに点火する指示を出すものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の切断火口の検査装置。
  5. 前記ガス切断火口の検査装置において、前記切断火口に点火されたことを検知するための火炎検出装置を設け、前記制御部が、前記火炎検出装置からの信号を受けることによって、前記CCDカメラに前記火炎又は切断酸素気流又は白点の撮影を開始する指示を出すものであることを特徴とする請求項1、2または4に記載の切断火口の検査装置。
  6. 前記切断火口の検査装置において、切断トーチが回転可能に構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の切断火口の検査装置。
  7. 前記切断火口の検査装置において、検査前の切断火口を切断トーチに装着すると共に検査後の切断火口を取り外す際に検査結果の良否に応じて分類する切断火口着脱装置を設け、該切断火口着脱装置は前記制御部の指示により各動作をすることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の切断火口の検査装置。
  8. 前記切断火口の検査装置において、前記切断トーチに切断酸素ガス及び燃料ガス及び支燃ガス、またはプラズマガスを供給する配管に電磁弁を設け、前記切断火口着脱装置が切断火口を切断トーチに装着した後に所定の位置に退避したことに対応して、前記制御部が前記電磁弁に弁を開く指示を出すものであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の切断火口の検査装置。
  9. 前記切断火口の検査装置において、前記切断トーチに切断酸素ガス及び燃料ガス及び支燃ガス、またはプラズマガスを供給する各供給路に、気体に熱を加える二つの自己加熱型抵抗体と、該二つの自己加熱型抵抗体に流れる電流の差を電圧に変換するブリッジ回路と、前記電圧と基準電圧を比較する比較演算部と、該比較演算部の指示に応じて流量を調節する弁の開閉を行う開度調整部と、を有するガス流量調節機構を設けたことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のガス切断火口の検査装置。
  10. CCDカメラを用いて切断火口の良否を検査する方法であって、切断トーチに装着された切断火口から噴射される火炎をCCDカメラによって撮影し、撮影した画像信号より得られる輝度を二値化処理して切断酸素気流及び白点の輪郭の座標を抽出し、該輪郭の座標から前記火炎の長さ、太さ、傾き、偏平率等の火炎性状を算出して、該火炎性状を所定の基準値および許容誤差と比較演算することによって切断火口が形成する火炎性状の良否を判断することにより切断火口の良否を判断することを特徴とする切断火口の検査方法。
  11. 前記切断トーチを回転させることによって角度を変えて複数回撮影することを特徴とする請求項10に記載の切断火口の検査方法。
  12. 一本ないし多数本の切断トーチを取り付けて移動させるフレームと、請求項1に記載の切断火口の検査装置とを有する切断装置であって、請求項1におけるCCDカメラを前記切断トーチに対向するよう配置し、前記制御部と前記画像処理部を前記フレームに搭載したことを特徴とする切断装置。
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