JP3661718B2 - はんだクラックの測定方法 - Google Patents

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  • Length Measuring Devices With Unspecified Measuring Means (AREA)
  • Electric Connection Of Electric Components To Printed Circuits (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、はんだクラックの測定方法、さらに詳しくは、プリント配線基板と電子部品とのはんだ接合部に発生するはんだクラックの測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プリント配線基板上において回路を構成する抵抗やコンデンサ等の電子部品を接続するには、はんだ付けが行われている。この耐久性試験は、冷熱試験機により加熱および冷却作用を単位時間当たり所定サイクル行い(すなわち、回路への電源投入を単位時間当たり所定サイクル断続的に行い)、発生する熱応力下における上記基板と電子部品との間の接合状態を検査することにより行われる。
【0003】
図1は上述の試験を行ったときのはんだ接合部を示し、全体として1で示される。プリント配線基板2は公知のように、熱硬化性樹脂を含浸させた繊維布等を複数積層して形成される基材3とこれと一体的に形成される配線としての銅箔部4とから成り、電子部品のリード線5は上記銅箔部4に対してはんだ付けされている。このリード線5と銅箔部4とを接合するはんだ溶着部6には上述したような熱応力によって、クラック7が発生している(図中やや誇張して示す)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来では、このはんだクラック7の大きさの測定を光学顕微鏡による表面観察(目視レベル)を行いながら、目視によりランク分けし数値化する方法を採っている。しかしながら、この方法では、はんだクラック7の大きさ、すなわちクラック深部までの劣化進行状況をつかむことができず、従って、正確に測定することができないという問題がある。
【0005】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、はんだ接合部に発生したはんだクラックの大きさをその深部まで正確に測定することができるはんだクラックの測定方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の課題は、はんだクラックが発生したはんだ接合部に含浸油を真空含浸させ、真空含浸前及び真空含浸後の前記はんだ接合部の重量を測定し、該重量の変化量により前記はんだクラックの大きさを非破壊の状態で測定するようにしたことを特徴とするはんだクラックの測定方法、によって解決される。
【0007】
本発明は、従来が目視レベルによる表面観察によってはんだクラックの大きさを測定し数値化するという方法であったのに対して、はんだクラックに含浸した含浸油の含浸量という量的な視点からはんだクラックの大きさを測定するようにし、また、量的な値を従来のような人間の視覚によるものではなく、分析用化学天秤等の微量重量計によって測定(数値化)するようにしている。よって、はんだクラックの深部まで、その進行の程度を正確に測定することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
はんだクラックが発生したはんだ接合部に含浸油を真空含浸させ、真空含浸後のはんだ接合部の重量を分析用化学天秤等の微量重量計を用いて測定する。この重量と、予め上記微量重量計により測定しておいた真空含浸前のはんだ接合部の重量との間の変化量を算出する。このようにして得られた重量の変化量がはんだクラックの量的大きさと相対的な関係をもつことを利用して、はんだクラックの大きさを定量的に測定する。従って、従来の表面観察による方法では測定することが不可能であったはんだ接合部の深部におけるはんだクラックの進行の程度まで、正確に測定することができる。
【0009】
そこで、本発明を実施するにあたり、比重および沸点が高く、かつ浸透性が高いものを用いることにより、真空下において微小なはんだクラック深部まで含浸させることができ、また、真空含浸前及び真空含浸後のわずかな重量の変化量を正確に測定することができる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0011】
図2は本実施例において用いられる真空含浸装置を示し、その全体は10で示される。デシケータ11はガラス製の本体11aと上蓋11bとから成り、内部には含浸油16が入ったビーカー15が設置されている。また、デシケータ11の内部は真空バルブ13および排気管14を介して真空ポンプ12に接続されている。なお、デシケータ11の本体11aと上蓋11bとの間にはグリスパッキンが塗布されており、これによりデシケータ11の内部を密封するようにしている。
【0012】
また、本実施例では含浸油16として商品名「フロリナート」FC−70(住友スリーエム社製)で知られるフッ素系不活性液体を用い、これは沸点215℃、比重1.94、動粘度14.0cSt等の特性を有している。すなわち、沸点および比重が高く、浸透性が高い(さらさらした)ものである。
【0013】
以下、本実施例によるはんだクラックの測定手順について説明する。
【0014】
まず、図1に示した切片状のはんだ接合部1の重量を図示しない分析用化学天秤等の微量重量計により測定する。このときの重量bは、2.3871gであった。
【0015】
次に、はんだ接合部1をデシケータ11内に設置された含浸油16入りのビーカー15内に静かに入れ、これがビーカー15の中心部に安定した形で置かれたことを確認した後、真空ポンプ12を駆動させ、デシケータ11内の空気を徐々に排気する。そして、この真空含浸装置10によって得られる最大の真空度に達した後、真空ポンプ12の駆動を停止させる。以上の操作により、はんだクラック7にはその深部まで含浸油16が含浸される。
【0016】
以上のようにして真空含浸されたはんだ接合部1を真空含浸装置10から取り出し、その周りに付着した含浸油を綿棒等で素早く払拭した後、再び微量重量計により測定する。このときの重量aは、2.3898gであった。すなわち、はんだクラック7に含浸した含浸油の重量だけ、はんだ接合部1の重量が増大したことになる。そこで、増大量をVとすると、V={(a/b)−1}×100(%)の計算式により、V=0.113(%)という値が得られ、はんだクラック7の量的大きさと相対的な関係をもった値を容易に算出される。
【0017】
よって、本実施例によれば以上のようにして得られた値(重量の変化量)からはんだクラック7の大きさ、すなわち、はんだクラック7の進行の程度を非破壊の状態で定量的に測定することができるので、従来の目視レベルによる測定に比べて、その測定をより確実に行うことができる。
【0018】
また、本実施例によれば既存の装置を利用しているのでコストを安価にすることができ、さらに製品不良のうちのはんだ接合部劣化の有効な定量的分析手法のひとつとして位置付けることができる。
【0019】
以上、本発明の実施例について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0020】
例えば、以上の実施例では真空含浸前および真空含浸後のはんだ接合部1の重量の変化量を測定することにより、はんだクラック7の量的大きさを測定するようにしたが、さらに従来の目視レベルによる表面観察をも並行して行い、クラックの外観と重量の増大量との両面からはんだクラックを測定するようにしてもよい。
【0021】
また、以上の実施例では含浸油として「フロリナート」と呼ばれるフッ素系不活性液体を用いたが、その他、比重、沸点および浸透性が高いもの、例えば吸着指示薬や蛍光指示薬などの液体を種々試みてみるのもよい。
【0022】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のはんだクラックの測定方法によれば、はんだクラックの深部までその進行の程度を定量的に測定することができるので、従来の表面観察による測定方法よりも確実な測定を行うことができ、また、既存の装置を利用しているのでコストの面からも非常に有利であり、さらに、製品不良のうちのはんだ接合部劣化の有効な定量的分析手法のひとつとして位置付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】はんだクラックが発生したはんだ接合部の拡大断面図である。
【図2】本発明の実施例において真空含浸に用いる装置を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1……はんだ接合部、7……はんだクラック、10……真空含浸装置、16……含浸油。

Claims (2)

  1. はんだクラックが発生したはんだ接合部に含浸油を真空含浸させ、
    真空含浸前及び真空含浸後の前記はんだ接合部の重量を測定し、
    該重量の変化量により前記はんだクラックの大きさを非破壊の状態で測定するようにした
    ことを特徴とするはんだクラックの測定方法。
  2. 前記含浸油は、比重及び沸点が高く、かつ浸透性が高いものである
    ことを特徴とする請求項1に記載のはんだクラックの測定方法。
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