JP3661677B2 - 画像処理方法および画像処理装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、たとえばコピー機におけるコピー品質を客観的に評価して、品質の劣化した画像に対しては画像の修復を可能とし、さらに文字認識(OCR)処理を行う際の前処理としても利用可能な画像処理方法および画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コピー機が広く普及しているが、最近のコピー機は、画像を忠実に再現する性能は著しく向上している。特に、現在、普及しつつあるディジタルコピ−機においては、高忠実度のコピー性能を生かしてあるがままの状態を保持した高品質なコピ−がなされる。
【0003】
したがって、コピーを行おうとする原稿の画像がはっきりしてきれいな画像は、ディジタルコピ−機の持つ高い忠実度のコピ−性能を生かして、あるがままの状態を保持した高品質なコピ−がなされるが、従来のアナログコピ−機を用いて複数回のコピ−を行った後の劣化した画像をコピ−すると、それもあるがままの状態でのコピ−がなされることになる。
【0004】
また、最近では活字印刷された文書をスキャナで読み込んで、この読み込んだ画像デ−タから文字を抽出し、それをコ−ド化する文字認識技術が広い分野で用いられてきている。このような文字認識において、文書をスキャナで読み込む際、文書がコピ−機でコピ−されたものでなく、原本である場合、たとえば、図41(a)に示すように文字画像がはっきりしてきれいな場合は、高い認識率が得られる。
【0005】
しかし、原本がこのように、はっきりしてきれいな画像であっても、コピ−機でコピ−を繰り返したりすると、画像の劣化が生じて、このような劣化した画像をスキャナで読み取ると、図41(b),(c)のような画質の劣化した画像となる場合もある。同図(b)は原本の画像を1回コピ−した画像をスキャナで読み取った画像、同図(c)は1回コピ−した画像をさらにもう一回コピ−した画像(2回コピ−した画像という)をスキャナで読み取った画像を示している。
【0006】
このようなコピ−による画像の品質の劣化への対応は、従来は、文字認識エンジン側で対応していた。すなわち、ある程度劣化した文字画像にも対応できるように、劣化した文字画像を含めた文字認識用の辞書を作成したり、あるいは、多少の凹凸は修復するなどにより対応していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、コピ−機はあるがままの状態を保持する高い忠実度のコピ−性能が要求されているが、従来のアナログコピー機などで複数回のコピ−を行った後の劣化した画像(図41(b),(c) )を、高い忠実度のコピ−性能を有するディジタルコピ−機でコピ−すると、それもあるがままの状態でのコピ−がなされることになり、高品質のコピ−画像が得られないという問題があった。
【0008】
また、コピー機の性能評価(画像品質の評価)は主に主観的な評価によって行われるのが普通である。つまり。コピー後の画像を人間の見た目で判断してそのコピー機の性能を判断するのが一般的である。コピ−機において、コピ−を繰り返すことによる劣化した文字を文字認識対象やコピ−対象とする場合、従来技術では、その劣化した文字の多少の凹凸を無くしたりする技術はあるが、画像の品質を数値による客観的な評価を行い、画像、特に文字のいわゆる「かすれ」や「つぶれ」などを判断し、その劣化状態に応じて適格に修復するという技術はなかった。
【0009】
また、読み込んだ画像デ−タから文字を抽出し、それをコ−ド化する文字認識技術において、前記した従来の方式では、劣化した文字に対して十分な対応がとれず、たとえば、図41(a),(b),(c)の文字画像を文字認識したとすると、同図(a)を100%の文字認識率とした場合、同図(b)は90%、同図(c)は80%というように認識率が大幅に低下する。このように、劣化した画像のままでは十分な認識率が得られないばかりか、見た目としても良い画像が得られないという問題があった。
【0010】
さらに、文字画像を2値化する際には最適な2値化閾値を決定する必要があるが、従来の2値化閾値の決定方法は、必ずしも、文字に適合した2値化閾値が決定されるものではなく、決定された2値化閾値によって2値化されたのちに、かすれやつぶれが生じる場合もあった。
【0011】
そこで、本発明はこれらの課題を解決するもので、コピー機においては、コピー後の画像の品質を客観的に評価し、画像の劣化部分を判断して、劣化部分に対しては、その劣化状態に応じた画質の改善処理を施すことを可能とするとともに、文字に適した最適な2値化閾値の決定を可能とし、また、文字認識装置などの前処理としての利用価値が高い画像処理方法および画像処理装置を提供することを目的としている。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像処理方法は、画像入力手段により入力された画像データの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出工程と、前記画質算出工程で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行う画質改善工程とを有する画像処理方法であって、前記画質算出工程は、画素の特徴を特徴点として予め幾つかのパターンを用意し、処理ラインにおける前記特徴点の出現回数と、黒画素と白画素の反転回数との比を、第1の評価値として算出する第1の特徴量抽出工程を有し、前記画質改善工程は、対面している特徴点同士を抽出する特徴点抽出工程と、前記抽出した特徴点同士の対面のパターンが、予め設定されたパターンに合致している場合、前記対面している特徴点同士を画質改善対象候補として決定する候補決定工程と、前記候補決定工程により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出工程により算出された第1の評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行う画素加工工程と、を有することを特徴とする。
また、上記の画像処理方法において、前記画質算出工程は、文字の大きさにほぼ相当する黒画素の連続したつながりの平均的な長さを求めるとともに、前記平均的な長さ以上の黒画素の連続したつながりの数を求め、この平均的な長さ以上の黒画素の連続したつながりの数と、黒画素と白画素の反転回数の1/2の数との比を第2の評価値として算出する第2の特徴量抽出工程を有し、前記第1の評価値と前記第2の評価値とを用いて演算した評価値を求め、前記画素加工工程は、前記候補決定工程により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出工程により算出された前記第1の評価値と前記第2の評価値とを用いて演算した評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行うことを特徴とする。
【0027】
また、本発明の画像処理方法は、画像入力手段により入力された画像データの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出工程と、前記画質算出工程で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行う画質改善工程とを有する画像処理方法であって、前記画質算出工程は、文字の大きさにほぼ相当する黒画素の連続したつながりの平均的な長さを求めるとともに、前記平均的な長さ以上の黒画素の連続したつながりの数を求め、この平均的な長さ以上の黒画素の連続したつながりの数と、黒画素と白画素の反転回数の1/2の数との比を第2の評価値として算出する第2の特徴量抽出工程を有し、前記画質改善工程は、対面している特徴点同士を抽出する特徴点抽出工程と、前記抽出した特徴点同士の対面のパターンが、予め設定されたパターンに合致している場合、前記対面している特徴点同士を画質改善対象候補として決定する候補決定工程と、前記候補決定工程により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出工程により算出された第2の評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行う画素加工工程と、を有することを特徴とする。
【0028】
また、上記の画像処理方法において、前記画質算出工程は、黒画素の連続したつながりの平均的な長さを文字の大きさにほぼ相当する第3の特徴量として抽出する第3の特徴量抽出工程を有し、前記第1の評価値および/または前記第2の評価値と、前記第3の特徴量とを用いて演算した評価値を求め、前記画素加工工程は、前記候補決定工程により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出工程により算出された前記第1の評価値および/または前記第2の評価値と、前記第3の特徴量と、を用いて演算した評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行うことを特徴とする。
【0029】
また、本発明の画像処理方法は、画像入力手段により入力された画像データの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出工程と、前記画質算出工程で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行う画質改善工程とを有する画像処理方法であって、 前記画質算出工程は、入力された画像データから周波数領域への直交変換を行い、この直交変換後の高周波成分に注目して「かすれ」の度合いを表わす第4の評価値を算出する工程を有し、前記画質改善工程は、対面している特徴点同士を抽出する特徴点抽出工程と、前記抽出した特徴点同士の対面のパターンが、予め設定されたパターンに合致している場合、前記対面している特徴点同士を画質改善対象候補として決定する候補決定工程と、前記候補決定工程により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出工程により算出された第4の評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行う画素加工工程と、を有することを特徴とする。
また、上記の画像処理方法において、前記画質算出工程は、入力された画像データから周波数領域への直交変換を行い、この直交変換後の低周波成分に注目して「つぶれ」の度合いを表わす第5の評価値を算出し、前記画素加工工程は、前記候補決定工程により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出工程により算出された前記第4の評価値と前記第5の評価値とを用いて演算した評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行うことを特徴とする。
【0030】
また、本発明の画像処理方法は、画像入力手段により入力された画像データの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出工程と、前記画質算出工程で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行う画質改善工程とを有する画像処理方法であって、前記画質算出工程は、入力された画像データから周波数領域への直交変換を行い、この直交変換後の低周波成分に注目して「つぶれ」の度合いを表わす第5の評価値を算出する工程を有し、前記画質改善工程は、対面している特徴点同士を抽出する特徴点抽出工程と、前記抽出した特徴点同士の対面のパターンが、予め設定されたパターンに合致している場合、前記対面している特徴点同士を画質改善対象候補として決定する候補決定工程と、前記候補決定工程により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出工程により算出された第5の評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行う画素加工工程と、を有することを特徴とする。
【0031】
また、上記の画像処理方法において、前記画質算出工程は、黒画素の連続したつながりの平均的な長さを文字の大きさにほぼ相当する第3の特徴量として抽出する第3の特徴量抽出工程を有し、前記第4の評価値および/または前記第5の評価値と、前記第3の特徴量とを用いて演算した評価値を求め、前記画素加工工程は、前記候補決定工程により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出工程により算出された前記第4の評価値および/または前記第5の評価値と、前記第3の特徴量と、を用いて演算した評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行うことを特徴とする。
【0032】
また、上記の画像処理方法において、前記画素加工工程は、文字領域を切り出す文字切り出し工程を有し、当該文字切り出し工程により切り出された文字領域内において、画素の補間を行うことを特徴とする。
【0033】
また、上記の画像処理方法において、前記画質算出工程により算出された評価値に基づいて、処理対象の画像に対する2値化閾値を決定する2値化閾値決定工程を有し、前記画質改善工程は、前記2値化閾値決定工程により決定された2値化閾値を用いて2値化された画像に対して、前記画質算出工程で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行うことを特徴とする。
【0048】
また、本発明の画像処理装置は、画像を入力する画像入力手段と、前記画像入力手段により入力された画像データの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出手段と、前記画質算出手段で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行う画質改善手段とを有する画像処理装置であって、前記画質算出手段は、画素の特徴を特徴点として予め幾つかのパターンを用意し、処理ラインにおける前記特徴点の出現回数と、黒画素と白画素の反転回数との比を、第1の評価値として算出する第1の特徴量抽出手段を有し、前記画質改善手段は、対面している特徴点同士を抽出する特徴点抽出手段と、前記抽出した特徴点同士の対面のパターンが、予め設定されたパターンに合致している場合、前記対面している特徴点同士を画質改善対象候補として決定する候補決定手段と、前記候補決定手段により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出手段により算出された第1の評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行う画素加工手段と、を有することを特徴とする。
また、上記の画像処理装置において、前記画質算出手段は、文字の大きさにほぼ相当する黒画素の連続したつながりの平均的な長さを求めるとともに、前記平均的な長さ以上の黒画素の連続したつながりの数を求め、この平均的な長さ以上の黒画素の連続したつながりの数と、黒画素と白画素の反転回数の1/2の数との比を第2の評価値として算出する第2の特徴量抽出手段を有し、前記第1の評価値と前記第2の評価値とを用いて演算した評価値を求め、 前記画素加工手段は、前記候補決定手段により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出手段により算出された前記第1の評価値と前記第2の評価値とを用いて演算した評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行うことを特徴とする。
【0049】
また、本発明の画像処理装置は、画像を入力する画像入力手段と、前記画像入力手段により入力された画像データの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出手段と、前記画質算出手段で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行う画質改善手段とを有する画像処理装置であって、前記画質算出手段は、文字の大きさにほぼ相当する黒画素の連続したつながりの平均的な長さを求めるとともに、前記平均的な長さ以上の黒画素の連続したつながりの数を求め、この平均的な長さ以上の黒画素の連続したつながりの数と、黒画素と白画素の反転回数の1/2の数との比を第2の評価値として算出する第2の特徴量抽出手段を有し、前記画質改善手段は、対面している特徴点同士を抽出する特徴点抽出手段と、前記抽出した特徴点同士の対面のパターンが、予め設定されたパターンに合致している場合、前記対面している特徴点同士を画質改善対象候補として決定する候補決定手段と、前記候補決定手段により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出手段により算出された第2の評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行う画素加工手段と、を有することを特徴とする。
【0050】
また、上記の画像処理装置において、前記画質算出手段は、黒画素の連続したつながりの平均的な長さを文字の大きさにほぼ相当する第3の特徴量として抽出する第3の特徴量抽出手段を有し、前記第1の評価値および/または前記第2の評価値と、前記第3の特徴量とを用いて演算した評価値を求め、前記画素加工手段は、前記候補決定手段により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出手段により算出された前記第1の評価値および/または前記第2の評価値と、前記第3の特徴量と、を用いて演算した評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行うことを特徴とする。
【0051】
また、本発明の画像処理装置は、画像を入力する画像入力手段と、前記画像入力手段により入力された画像データの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出手段と、前記画質算出手段で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行う画質改善手段とを有する画像処理装置であって、前記画質算出手段は、入力された画像データから周波数領域への直交変換を行い、この直交変換後の高周波成分に注目して「かすれ」の度合いを表わす第4の評価値を算出する手段を有し、前記画質改善手段は、対面している特徴点同士を抽出する特徴点抽出手段と、前記抽出した特徴点同士の対面のパターンが、予め設定されたパターンに合致している場合、前記対面している特徴点同士を画質改善対象候補として決定する候補決定手段と、前記候補決定手段により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出手段により算出された第4の評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行う画素加工手段と、を有することを特徴とする。
また、上記の画像処理装置において、前記画質算出手段は、入力された画像データから周波数領域への直交変換を行い、この直交変換後の低周波成分に注目して「つぶれ」の度合いを表わす第5の評価値を算出する手段を有し、前記画素加工手段は、前記候補決定工程により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出手段により算出された前記第4の評価値と前記第5の評価値とを用いて演算した評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行うことを特徴とする。
【0052】
また、本発明の画像処理装置は、画像を入力する画像入力手段と、前記画像入力手段により入力された画像データの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出手段と、前記画質算出手段で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行う画質改善手段とを有する画像処理装置であって、前記画質算出手段は、入力された画像データから周波数領域への直交変換を行い、この直交変換後の高周波成分に注目して「かすれ」の度合いを表わす第4の評価値を算出する手段を有し、前記画質改善手段は、対面している特徴点同士を抽出する特徴点抽出手段と、前記抽出した特徴点同士の対面のパターンが、予め設定されたパターンに合致している場合、前記対面している特徴点同士を画質改善対象候補として決定する候補決定手段と、前記候補決定手段により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出手段により算出された第4の評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行う画素加工手段と、を有することを特徴とする。
【0053】
また、上記の画像処理装置において、前記画質算出手段は、黒画素の連続したつながりの平均的な長さを文字の大きさにほぼ相当する第3の特徴量として抽出する第3の特徴量抽出手段を有し、前記第4の評価値および/または前記第5の評価値と、前記第3の特徴量とを用いて演算した評価値を求め、前記画素加工手段は、前記候補決定手段により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出工程により算出された前記第4の評価値および/または前記第5の評価値と、前記第3の特徴量と、を用いて演算した評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行うことを特徴とする。
【0054】
また、上記の画像処理装置において、前記画素加工手段は、文字領域を切り出す文字切り出し手段を有し、当該文字切り出し手段により切り出された文字領域内において、画素の補間を行うことを特徴とする。
【0055】
また、上記の画像処理装置において、前記画質算出手段により算出された評価値に基づいて、処理対象の画像に対する2値化閾値を決定する2値化閾値決定手段を有し、前記画質改善手段は、前記2値化閾値決定手段により決定された2値化閾値を用いて2値化された画像に対して、前記画質算出手段で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行うことを特徴とする。
【0062】
本発明の画質改善部は、対面している特徴点同士を抽出し、前記抽出した特徴点同士の対面のパターンが、予め設定されたパターンに合致している場合、前記対面している特徴点同士を画質改善対象候補として決定する。そして、決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、画質算出部により算出された第1の評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行う。
【0063】
このような手段により、文字の「かすれ」や「つぶれ」などの劣化部分を的確に判断することができ、これにより判断した劣化部分として画素の欠落部分に対しては、欠落している間隔をあらかじめ設定した閾値と比較して、画素の補間が必要か否かを判断して補間処理を行うようにしている。したがって、画質に見合った修復処理が可能となる。
【0065】
そして、画質算出部により算出された評価値に基づいて、処理対象の画像に対する2値化閾値を決定し、決定された2値化閾値を用いて2値化された画像に対して、前記画質算出部で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行うことにより、「かすれ」や「つぶれ」などによる画像の品質を的確にしかも客観的に判断することができ、これら「かすれ」と「つぶれ」を示す2つの評価値を考慮した評価値をもとに、求めるべき2値化閾値を決定するようにしているので、最も画質の良くなる2値化閾値を求めるべき2値化閾値として決定できることから最適な2値化処理が行え、さらに、2値化後の画像に対して、「かすれ」による画素の欠落部分が有る場合には、画素の補間が必要か否かを判断して補間処理を行うことができる。
【0066】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を説明する。なお、この実施例では、画像の解像度は300DPIであって、処理対象画像としては文字とし、この文字は白色の背景(白色の原稿用紙)に黒で描かれているものとして説明する。
【0067】
(第1の実施例)
まず、第1の実施例として、たとえばコピー機によりコピーされた文字あるいはスキャナで読み取られ文字認識される前の文字の画質がどの程度劣化しているかを算出する文字の画質算出手段について説明する。
【0068】
図1において、この第1の実施例における画像処理装置10は、画質算出部11(詳細は後述する)、全体の処理を制御するCPU12、RAM13などを主な構成要素とし、画像入力装置14、画像出力装置15が接続された構成となっている。そして、これら画質算出部11、RAM13、画像入力装置14、画像出力装置15はバス16を介してCPU12に接続されている。
【0069】
前記画像入力装置14は光学的な画像入力を行う場合は光学的画像入力装置(たとえばスキャナ)や通信による入力装置、あるいは画像デ−タを蓄える記憶装置などである。また、画像出力装置15は入力された画像デ−タを所定の処理を経て出力(表示、印刷、通信による出力など)するものである。
【0070】
また、RAM13にはこの実施例における処理の対象となる画像(文字)デ−タを蓄えるラインデ−タ用バッファや各種処理の際に必要となるワ−クエリアを有している。
【0071】
前記画質算出部11は、第1の特徴量抽出手段111、第2の特徴量抽出手段112、第3の特徴量抽出手段113、第4の特徴量抽出手段114、第5の特徴量抽出手段115を主な構成要素としている。
【0072】
この画質算出部11は前述したように文字の品質を算出するものであるが、文字の品質判断の基準として、「かすれ」、「つぶれ」、「文字の大きさ」といった特徴量が考えられる。
【0073】
前記第1の特徴量抽出手段111および第4の特徴量抽出手段114は「かすれ」という特徴量を抽出するものであり、この特徴量を抽出することによって画像の品質を判断する。また、前記第2の特徴量抽出手段112および第5の特徴量抽出手段115は「つぶれ」という特徴量を抽出するもので、この特徴量を抽出することによって画像の品質を判断する。また、前記第3の特徴量抽出手段113は「文字の大きさ」に相当する横方向の長さという特徴量を抽出するもので、この特徴量を前記「かすれ」、「つぶれ」という2つの特徴量に加えることで後述する画質改善部における画質改善処理をより効果的に行う。
【0074】
以下、これら第1〜第5の各特徴量抽出手段111〜115における特徴量抽出処理について個々に説明するが、ここでは、まず、第1,第2,第3の各特徴量抽出手段111,112、113について説明し、第4,第5の特徴量抽出手段114,115についての説明は後述する。
【0075】
まず、第1の特徴量抽出手段111について説明する。
【0076】
この第1の特徴量抽出手段111は前記したように、「かすれ」という特徴量を抽出するものであり、図2および図3を用いて説明する。
【0077】
図2(a)は「倉」という文字画像であるが、これは図41(c)で示したものと同じ程度のかすれを生じている。この図2(a)のかすれを生じた或る一部分(丸印で示した部分)を取り出して拡大したものが同図(b)である。この図2(b)を見ると、かすれの生じている部分は、縦方向に並んだ幾つかの画素(1画素から2画素、さらには3画素)が横方向に凸部となっていることがわかる。この横方向に凸部というのは、1画素から2画素(さらには3画素)の上下方向にそれ以上の画素が存在しない状態をいう。
【0078】
たとえば、図2(b)において、一点鎖線で示す範囲を考え、この範囲のうちL1を注目ラインとすると、この注目ラインL1においては、かすれの生じているのはK1,K2,K3の部分である。ここで、K2は1画素分がかすれて空白となっている状態であり、K3は2画素分がかすれて空白となっている状態であるということになる。そして、かすれK1の部分は縦方向の2画素分の凸部P1が存在し、かすれK2の部分は2画素分の凸部P2と1画素分の凸部P3が対面しており、また、かすれK3の部分は1画素分の凸部P4と2画素分の凸部P5が対面しているといった状態となっている。
【0079】
そこで、このような凸部を利用して第1の特徴量を算出する。この算出式は以下のように表される。
【0080】
第1の特徴量=特徴点の出現回数/画素の白黒反転回数・・・〔1〕
これにより求めた第1の特徴量を、品質の良い悪いを示す1つの評価値(以下これを第1の評価値という)とする。
【0081】
前記〔1〕式における「特徴点」とは、前記した凸部の特徴を表すもので、ここでは図3のように定義する。図3(a),(b)は1画素特徴点(1画素の凸部に対応)を示し、同図(a)は図示上下方向と右側方向に画素の存在しない部分(以下、これを空白部分という)を有し、同図(b)は図示上下方向と左側方向に空白部分を有している。また、同図(c),(d)は2画素特徴点(縦方向に並んだ2画素の凸部に対応)を示し、同図(c)は図示上下方向と右側方向に空白部分を有し、同図(d)は図示上下方向と左側方向に空白部分を有している。また、同図(e),(f)は3画素特徴点(縦方向に並んだ3画素の凸部に対応)を示し、同図(e)は図示上下方向と右側方向に空白部分を有し、同図(f)は図示上下方向と左側方向に空白部分を有している。したがって、3画素特徴点までを調べるには、5ライン分の画素デ−タ(たとえば図2(b)における一点鎖線の範囲)を用意する必要がある。そしてこの場合、5ラインのうち上から2番目を注目ラインL1とする。
【0082】
このようにして、図2(b)における注目ラインL1における画素の特徴点の出現回数を用意した5ラインについて取り出すと、この特徴点の出現回数は、凸部P1(図3(d)に相当)で1回、凸部P2(図3(c)に相当)で1回、凸部P3(図3(b)に相当)で1回、凸部P4(図3(a)に相当)で1回、凸部P5(図3(d)に相当)で1回の合計5回である。また、〔1〕式における画素の白黒反転回数は、この場合、かすれK1から凸部P1の部分で1回、凸部P2からかすれK2の部分で1回、かすれK2から凸部P3の部分で1回、凸部P4からかすれK3の部分で1回、かすれK3から凸部P5の部分で1回、最後にこのライン上におけるこの文字の終わりの部分で1回というように合計6回である。したがって、この図2(b)における第1の特徴量は第1の特徴量=5/6で表せる。ただし、これは、図2(b)に示された範囲以内の数値であリ、実際は、注目ラインL1は処理対象となる原稿全面を横方向に1ライン毎にスキャンして行くため、そのライン上の文字全体から得られる数値となるため、算出される第1の特徴量は当然のことながら異なったものとなる。
【0083】
以上の第1の特徴量算出処理のフロ−チャ−トを図4に示す。なお、この第1の特徴量算出処理は、文字の書かれた原稿上をスキャナが行カウンタの指示により行ごとに読み取り走査を行いながら特徴量算出処理を行う。図4において、まず、画素の白黒反転回数をカウントする白黒反転カウンタと特徴点の出現回数をカウントする特徴点カウンタを初期化する(ステップS1)。次に、行カウンタが指示する行から5ラインまでのラインデ−タを準備(ステップS2)し、その2番目のラインを注目ラインとして、そのラインのスキャンを行い、白黒反転の回数のカウントするとともに、特徴点出現回数のカウントを行う(ステップS3)。なお、この場合、重複したカウントを避けるため、図3の上から2ライン目が注目ラインに対応する場合にカウントする。
【0084】
そして、その注目ラインについて白黒反転回数のカウントおよび特徴点出現回数のカウントが終了するごとに、前記した〔1〕式により第1の特徴量を算出する(ステップS4)。次に、原稿上の処理対象全面について第1の特徴量を算出処理が終了したか否かを判断(ステップS5)して、処理が終了していなければ、行カウンタをインクリメント(ステップS6)して、前記ステップS2からステップS5の処理を行う。
【0085】
すなわち、行カウンタが次に指示する行から5ラインまでのラインデ−タを準備(ステップS2)し、その2番目のラインを注目ラインとして、そのラインのスキャンを行い、上記同様の処理を行って、前回求められた白黒反転の回数に今回カウントされた白黒反転の回数を加算するとともに、前回求められた特徴点出現回数に今回カウントされた特徴点出現回数を加算して、〔1〕式により第1の特徴量を算出する。このようにして原稿上の処理対象全面について第1の特徴量を算出処理を行う。このように、前回求められた値に今回の求めた値を加算するのは、デ−タ量を多くすることで、評価値としての信頼性を向上させるためである。これは、以下の各評価値を求める処理でも同じである。
【0086】
なお、以上の処理において、ある注目ラインの白黒反転回数カウント処理および特徴点出現回数カウント処理が終了するごとに、第1の特徴量を算出するのは、この画質算出部11におけるこのような画質判断処理と、後述する画質改善部における画質の改善処理あるいは2値化閾値決定部における2値化閾値決定処理を並行して行うためである。しかし、処理対象の画像全体を、まず、上記したような画質算出処理を行ったのち、そのあとで、まとめて画質の改善処理あるいは2値化閾値決定処理を行う場合は、図4の処理フロ−において、処理対象原稿全面の白黒反転回数カウント処理および特徴点出現回数カウント処理が終わった後に、第1の特徴量を算出するようにしてもよい。
【0087】
次に、あるサンプル文字画像(ここでは「倉」という文字を含むサンプル文字画像))における前記第1の特徴量の妥当性について説明する。
【0088】
図5はサンプル文字画像のうち「倉」という文字を16階調(グレ−レベル)でスキャナ入力して、そのうちのある階調(ここでは「5」〜「12」)を2値化閾値として2値化した文字画像を示している。なお、この閾値は後述の説明で出てくる他の幾つかの閾値と区別するため以下2値化閾値TH1という。このような方法によって画質を変化させた文字画像を用いて前記第1の特徴量の評価を行う。この評価方法として、ここでは、文字認識率を用いて評価を行う。なお、文字認識率による評価においても文字認識方法によって同じ画像でも認識率は変化するが傾向は同じようなものとなる。
【0089】
図6(a)は図5で示した2値化閾値TH1が「5」〜「12」の各画像に対する誤り率(認識できなかった率)の関係(点線で示す)と、この2値化閾値TH1が「5」〜「12」の各画像に対する第1の評価値(この評価値は前記第1の特徴量そのものの値である)の関係(実線で示す)を示すものである。図6(a)からもわかるように、2値化閾値TH1が「7」の画像が最も誤り率が低くなっている。また、第1の評価値は数値が高いほどかすれが大きいことを示している。したがって、2値化閾値TH1が「5」,「6」はかすれによる画質の劣化で誤り率が高くなっている。また、2値化閾値TH1が「7」以上で誤り率が高くなっているのはつぶれによる画質の劣化で誤り率が高くなっていると考えられる。
【0090】
ところで、ここでの評価は「かすれ」を基準とした評価である。つまり、「かすれ」が大きいほど第1の評価値の数値は大きくなり、それに伴って誤り率も高くなるというのがここで求めたい評価である。図6(a)からわかるように、2値化閾値TH1が「7」より小さいときはこの関係が成り立っている。ところが、2値化閾値TH1が「7」以上は第1の評価値が小さくなるに連れて誤り率が高くなるという関係となり、2値化閾値TH1が「7」を境にして第1の評価値と誤り率の関係が逆になる。これは、2値化閾値TH1が「7」以上では前記したように「つぶれ」による誤り率が増加するからである。このように、2値化閾値TH1が「7」以上では、つぶれによる画質の劣化が生じていることになり、前記したように2値化閾値TH1が「7」を境にして第1の評価値と誤り率の関係が逆になる。すなわち、かすれとつぶれは相反する関係にあり、第1の評価値が小さくなるほどつぶれによる画質が低下している。ここでの評価は「かすれ」を基準とした評価であるから、2値化閾値TH1が「7」以上における第1の評価値を図6の一点鎖線を中心に折り返すと図6(b)のようになる。この図6(b)によれば、誤り率(点線で示す)と第1の評価値(実線で示す)の相関をとると相関係数は0.86ととなる。なお、相関係数は1から−1の値をとり、相関係数が1で最も正の相関が高く両者が同一であることを示している。したがって、相関係数が0.86というのは、ここで求めた第1の評価値と誤り率とが同じような関係となり、この第1の評価値は画像の品質の判断として十分な指標となることを示している。
【0091】
また、この第1の特徴量の評価を、人間の目で見た感性から評価すれば、図5において、かすれが大きくなればなるほど図6(a)における第1の評価値は大きくなっており、これは人間の目で見た感性と一致することになり、この第1の評価値は画像の品質の判断として十分な指標となることを示している。
【0092】
このように第1の評価値から文字のかすれの度合いが判断できる。
【0093】
次に、第2の特徴量抽出手段について説明する。この第2の特徴量とは「つぶれ」であり。ここではこの「つぶれ」という特徴量を抽出ことにより、画像の品質判断しようとするものである。以下これについて説明する。
【0094】
前述の説明で用いた図5において、2値化閾値TH1が大きいほど、横方向の黒ラン(黒い画素の連続したつながりをいう)の数が増加し、その結果、つぶれによる画質の劣化が生じていることがわかる。そこで、文字の大きさに近い横方向の黒ランの数を用いて画像の品質を算出する。ここで求めようとする第2の特徴量は以下の式により算出する。
【0095】
第2の特徴量=一定長以上の黒ラン数/黒ランの総数・・・〔2〕
これにより算出された値が画質の良い悪い判断する1つの評価値となる。ここで、前記〔2〕式における「一定長以上の黒ラン数」というのは、文字の大きさに近い横方向の黒ランの数をいい、以下に示す閾値TH2以上の黒ランの数をカウントする。なお、黒ランとは前述したように黒い画素の連続したつながりをいう。
【0096】
まず、閾値TH2の初期値を設定する。この閾値TH2は処理対象原稿の処理ラインをスキャンするごとに設定され、その初期値をTH0で表すと、TH0=24画素とする。この24画素というのは、解像度が300DPIの場合、8ポイント(3mm角の大きさ) の文字の約7割の大きさに相当する。この初期値TH0を24画素としたのは、それ以下の文字は通常あまり用いられることがないためである。この閾値TH2は上記したように、処理対象原稿の処理ラインをスキャンするごとに設定される。つまり実際に使われている文字に対応して設定して行く。たとえば、多数の文字の書かれている原稿上を1ライン毎にスキャンする場合、最初の行をスキャンする場合の初期値TH0は24であり、そのライン上の文字についてそれぞれ24画素以上の長さのある黒ランの平均の長さ求め、その値に或る値α(0.6〜1.0)を掛ける。そして、次は、これによって求めた閾値を初期値として新たな閾値(閾値TH2)を求める。したがって、この閾値TH2は或るラインにおけるそれまでの各文字の平均的な1文字の横方向の長さにほぼ匹敵する黒ランの長さということになる。
【0097】
ここで、閾値TH2は、
TH2=或るラインにおけるそれまでの第2の閾値TH2以上の黒ランの平均長×α・・・〔3〕
で表される。この〔3〕式において、αは0.6〜1.0の範囲で設定するが、実験では0.85とした場合が最も適切であった。このように、スキャンするラインごとに閾値TH2を変更して行くことにより、文字の大きさが変動しても対応が可能となる。
【0098】
また、前記〔2〕式における「黒ランの総数」とは、画像を横方向にスキャンしたときの黒ランの総数であり、この数値は、前記〔1〕式における「画素の白黒反転回数」の1/2であるため、図4の処理フロ−におけるステップS3で求めた「画素の白黒反転回数」を用いて、それを1/2することによっても求められる。
【0099】
以上のような第2の特徴量算出の処理のフロ−チャ−トを図7に示す。図7において、まず、白黒反転回数をカウントする白黒反転カウンタ、ある1ライン毎の閾値TH2以上の黒ランの平均の長さを求めるために、そのラインにおける閾値TH2以上の黒ランの長さを加算したものを蓄えるラン長レジスタ、ある1ライン毎における閾値TH2以上の黒ランが何個あったかを数えるラン数カウンタ、各ラインごとの閾値TH2を求めるための基となる閾値(最初は初期値TH0として24画素)が格納されている閾値レジスタ、処理対象となる行を指示する行カウンタの初期値化を行う(ステップS11)。
【0100】
次に、行カウンタが指示する行から5ラインまでのラインデ−タを準備(ステップS12)し、その2番目のラインを注目ラインとして、そのラインのスキャンを行い、白黒反転回数をカウントするとともに、閾値TH2以上の黒ランの数を検出する(ステップS13)。つまり、このステップS13においては、白黒反転回数のカウントの他、閾値TH2以上の黒ランの数を検出するために、前記〔3〕式により、閾値レジスタに格納されている値(最初は24)を基に、閾値TH2を求め、この閾値TH2以上の黒ランの数を検出し、ラン数カウンタによりこの黒ランの数をカウントする。そして、これにより求めた閾値を基となる値とするために、前記閾値レジスタの内容の更新を行う(ステップS14)。
【0101】
次に、ステップS13により検出された値をもとに前記〔2〕式により第2の特徴量を算出する(ステップS15)。そして、原稿の処理対象全面について第2の特徴量を算出処理が終了したか否かを判断(ステップS16)して、処理が終了していなければ、行カウンタをインクリメント(ステップS17)して、前記ステップS12からステップS16の処理を行う。
【0102】
すなわち、行カウンタが次に指示する行から5ラインまでのラインデ−タを準備(ステップS12)し、その2番目のラインを注目ラインとして、そのラインのスキャンを行い、上記同様の処理を行って、前回求められた一定長以上の黒ランの数に今回求められた一定長以上の黒ランの数を加算するとともに、前回求められた黒ランの総数に今回カウントされた黒ランの総数を加算して、〔2〕式により第2の特徴量を算出する。このようにして原稿上の処理対象全面について第2の特徴量を算出処理を行う。
【0103】
また、この第2の特徴量を抽出する処理は、ラインバッファ数は5ライン分を用意しなくても1ラインでもよく、その場合の注目ラインは行カウンタの指示ラインと一致する。
【0104】
なお、以上の処理において、ステップS13の処理を終了するごとに、第2の特徴量を算出するのは、この画質算出部11における画質判断処理と、後述する画質改善部における画質の改善処理あるいは2値化閾値決定部における2値化閾値決定処理を並行して行うためである。しかし、処理対象の画像全体を、まず、上記したような画質算出処理を行ったのち、そのあとで、まとめて画質の改善処理あるいは2値化閾値決定処理を行う場合は、図7の処理フロ−において、処理画像全体についてまず前記ステップS13、S14の処理を行い、その処理がすべて終わった後に、まとめて第2の特徴量を算出するようにしてもよい。
【0105】
次に、あるサンプル文字画像(ここでは「倉」という文字を含むサンプル文字画像)におけるこの第2の特徴量の妥当性について説明する。
【0106】
この場合も、前記第1の特徴量の妥当性についての説明に用いた図5を参照しながらこの第2の特徴量の評価を行う。この評価方法としては、ここでも、文字認識率を用いて評価を行う。なお、文字認識率による評価においても文字認識方法によって同じ画像でも認識率は変化するが傾向は同じようなものとなる。
【0107】
図8(a)は図5で示した2値化閾値TH1が「5」〜「12」の各画像に対する誤り率(認識できなかった率)の関係(点線で示す)と、この2値化閾値TH1が「5」〜「12」の各画像に対する評価値(この評価値はこの第2の特徴量そのものの値であり、以下第2の評価値という)の関係(実線で示す)を示すものである。同図からもわかるように、2値化閾値TH1が「7」の画像が最も誤り率が低くなっている。また、第2の評価値は数値が高いほど「つぶれ」かすれが大きいことを示している。したがって、この図8(a)の場合は、2値化閾値TH1が「5」,「6」ではかすれによる画質の劣化で誤り率が高くなっており、また、2値化閾値TH1が「7」以上ではつぶれによる画質の劣化で誤り率が高くなっている。
【0108】
ところで、ここでの評価は「つぶれ」を基準とした評価である。つまり、「つぶれ」が大きいほど第2の評価値の数値は大きくなり、それに伴って誤り率も高くなるというのがここで求めたい評価である。図8(a)からわかるように、2値化閾値TH1が「7」より大きいときはこの関係が成り立っている。ところが、2値化閾値TH1が「7」より小さいときは第2の評価値が小さくなるに連れて誤り率が高くなるという関係となり、2値化閾値TH1が「7」を境にして第2の評価値と誤り率の関係が逆になる。これは、2値化閾値TH1が「7」より小さいときは前記したように「かすれ」による誤り率が増加するからである。
【0109】
このように、2値化閾値TH1が「7」より小さいときは、第2の評価値が小さいほどかすれによる画質の劣化が生じていることになり、前記したように2値化閾値TH1が「7」を境にして評価値と誤り率の関係が逆になる。そこで、ここでの評価は「つぶれ」を基準とした評価であって、「つぶれ」の場合は第2の評価値の数値の増加に対して誤り率が増加するという関係であるから、2値化閾値TH1が「7」より小さいときの第2の評価値を図8の一点鎖線を中心に線対称に折り返すと図8(b)のようになる。この図8(b)によれば、誤り率(点線で示す)と第2の評価値(実線で示す)の相関をとると相関係数は0.70となる。特に、2値化閾値TH1が「7」以上のつぶれの部分における両者の相関係数は0.98となり、点線で示す誤り率と実線で示す第2の評価値とが殆ど同じ関係となり、「つぶれ」の検出には特に有効なものとなる。
【0110】
また、この第2の特徴量の評価を、人間の目で見た感性から評価すれば、図5において、つぶれが大きくなればなるほど図8における第2の評価値はおおきくなっており、これは人間の目で見た感性と一致することになり、この第2の評価値は画像の品質の判断として十分な指標となることを示している。
【0111】
このように第2の評価値から文字のつぶれの度合いが判断できる。
【0112】
そして、以上の処理により求めた第1の特徴量および第2の特徴量の両方を考慮した評価値を算出する。つまり、第1の特徴量である「かすれ」と第2の特徴量である「つぶれ」とを考慮した新たな評価値を算出することにより、より正確な画質の判断を行う。この新たな評価値の算出方法の一例としては以下の式がある。ここで新たな評価値を評価値Aとする。
【0113】
評価値A=第1の特徴量−第2の特徴量・・・〔4〕
この評価値Aの算出処理のフロ−チャ−トを図9に示す。図9において、まず、前記した図4、図7のフロ−チャ−トで示した各種カウンタや各種レジスタを初期化する(ステップS21)。次に、行カウンタが指示する行から5ラインまでのラインデ−タを準備(ステップS22)し、その2番目のラインを注目ラインとして、そのラインのスキャンを行い、前記した第1の特徴量および第2の特徴量を算出する(ステップS23)。
【0114】
そして、これら第1の特徴量および第2の特徴量が算出されるごとに、前記した〔4〕式により評価値Aを算出する(ステップS24)。次に、原稿の処理対象全面について評価値Aの算出処理が終了したか否かを判断(ステップS25)して、処理が終了していなければ、行カウンタをインクリメント(ステップS26)して、前記ステップS22からステップS25の処理を行う。
【0115】
なお、以上の処理において、ステップS23の処理を終了するごとに、評価値Aを算出するのは、この画質算出部11におけるこのような画質判断処理と、後述する画質改善部における画質の改善処理あるいは2値化閾値決定部における2値化閾値決定処理を並行して行うためである。しかし、処理対象の画像全体を、まず、上記したような画質算出処理を行ったのち、そのあとで、まとめて画質の改善処理あるいは2値化閾値決定処理を行う場合は、図9の処理フロ−において、処理対象画像全体についてステップS23の処理が終わった後に、まとめて評価値Aを算出するようにしてもよい。
【0116】
次に、あるサンプル文字画像(ここでは「倉」という文字を含むサンプル文字画像)におけるこの第1,第2の特徴量を考慮した評価値Aの妥当性について説明する。
【0117】
この場合も、前記第1,第2の特徴量の妥当性についての説明に用いた図5を参照しながらこの評価値Aの評価を行う。この評価方法としては、ここでも、文字認識率を用いて評価を行う。なお、文字認識率による評価においても文字認識方法によって同じ画像でも認識率は変化するが傾向は同じようなものとなる。
【0118】
図10(a)は図5で示した2値化閾値TH1が「5」〜「12」の各画像に対する誤り率(認識できなかった率)の関係(点線で示す)と、この2値化閾値TH1が「5」〜「12」の各画像に対する評価値Aの関係(実線で示す)を示すものである。図10(a)からもわかるように、2値化閾値TH1が「7」の画像が最も誤り率が低くなっている。また、この場合、評価値Aは第1の特徴量から第2の特徴量を引いたものであるから、たとえば、2値化閾値TH1が「5」である場合に対する第1の特徴量(第1の評価値)は図6(a)から0.11であり、そのときの第2の特徴量(第2の評価値)は図8(a)から0である。したがって、第1,第2の特徴量を考慮した評価値Aは0.11となる。
【0119】
また、2値化閾値TH1が「7」である場合に対する第1の特徴量(第1の評価値)は図6(a)から0.04であり、そのときの第2の特徴量(第2の評価値)は図8(a)から0.02である。したがって、評価値Aは0.02となる。また、2値化閾値TH1が「12」である場合に対する第1の特徴量(第1の評価値)は図6(a)から0.02であり、そのときの第2の特徴量(第2の評価値)は図8(a)から0.09である。したがって、評価値Aは−0.07となる。このようにして、評価値Aが算出される。
【0120】
図10(a)において、2値化閾値TH1が閾値「5」,「6」である場合はかすれによる画質の劣化で誤り率が高くなっており、また、2値化閾値TH1が「7」以上ではつぶれによる画質の劣化で誤り率が高くなっている。
【0121】
この図の場合も、前記したように2値化閾値TH1が「7」を境にして評価値と誤り率の関係が逆になる。ここでは「かすれ」に関する第1の特徴量から「つぶれ」に関する第2の特徴量を引いていることから、この場合も「かすれ」を基準に考えているということができ、前記図6同様、2値化閾値TH1が「7」以上における評価値を図10の一点鎖線を中心に折り返すと図10(b)のようになる。この図10(b)によれば、誤り率(点線で示す)と評価値A(実線で示す)の相関をとると相関係数は0.90ととなる。このように、第1,第2の特徴量を考慮した評価値Aを算出して画像の品質を判断することにより、第1の特徴量、第2の特徴量を単独で用いるよりも高い相関係数が得られ、画像の品質の判断としてきわめて信頼性の高い指標となることを示している。
【0122】
なお、第1の特徴量である「かすれ」と第2の特徴量である「つぶれ」とを考慮した評価値を算出するに当たって、前記した例では、第1の特徴量から第2の特徴量の差を求めて新たな評価値を算出したが、以下の式のように第1の特徴量と第2の特徴量との和から新たな評価値(これを評価値Bという)を求めてもよい。
【0123】
評価値B=第1の特徴量+第2の特徴量・・・〔5〕
この評価値Bの算出処理のフロ−チャ−トは基本的には図9と同じであるが、ステップS24における処理は、第1の特徴量および第2の特徴量が算出されるごとに、前記〔4〕式の代わりに〔5〕式により評価値Bを算出する点が異なるだけである。
【0124】
また、以上の処理において、ズテップS23の処理を終了するごとに、評価値Bを算出するのは、この画質算出部11におけるこのような画質判断処理と、後述する画質改善部における画質の改善処理あるいは2値化閾値決定部における最適な2値化閾値決定処理を並行して行うためである。しかし、処理対象の画像全体を、まず、上記したような画質算出処理を行ったのち、そのあとで、まとめて画質の改善処理あるいは2値化閾値決定処理を行う場合は、図9の処理フロ−において、処理対象画像全体についてステップS23の処理が終わった後に、まとめて評価値Bを算出するようにしてもよい。
【0125】
次に、あるサンプル文字画像(ここでは「倉」という文字を含むサンプル文字画像)におけるこの第1,第2の特徴量を考慮した評価値Bの妥当性について説明する。
【0126】
この場合も、図5を参照しながらこの評価値Bの評価を行う。この評価方法としては、ここでも、文字認識率を用いて評価を行う。なお、文字認識率による評価においても文字認識方法によって同じ画像でも認識率は変化するが傾向は同じようなものとなる。
【0127】
図11は図5で示した2値化閾値TH1が「5」〜「12」の各画像に対する誤り率(認識できなかった率)の関係(点線で示す)と、この2値化閾値TH1が「5」〜「12」の各画像に対する評価値Bの関係(実線で示す)を示すものである。図11からもわかるように、2値化閾値TH1が「7」の画像が最も誤り率が低くなっている。また、この場合、評価値Bは第1の特徴量に第2の特徴量をたしたものであるから、たとえば、2値化閾値TH1が「5」である場合に対する第1の特徴量(第1の評価値)は図6(a)から0.11であり、そのときの第2の特徴量(第2の評価値)は図8(a)から0である。したがって、第1,第2の特徴量を考慮した評価値Bは0.11となる。また、2値化閾値TH1が「7」である場合に対する第1の特徴量(第1の評価値)は図6(a)から0.04であり、そのときの第2の特徴量(第2の評価値)は図8(a)から0.02である。したがって、評価値Bは0.06となる。また、2値化閾値TH1が「12」である場合に対する第1の特徴量(第1の評価値)は図6(a)から0.02であり、そのときの第2の特徴量(第2の評価値)は図8(a)から0.09である。したがって、評価値Bは0.11となる。このようにして、評価値Bが算出される。
【0128】
この図11によれば、誤り率(点線で示す)と評価値B(実線で示す)の相関をとると相関係数は0.96と高い値となる。このように、第1,第2の特徴量を考慮した評価値Bを算出して画像の品質を判断することにより、第1の特徴量、第2の特徴量を単独で用いるよりも高い相関係数が得られ、画像の品質の判断としてきわめて信頼性の高い指標となることを示している。
【0129】
また、この図11からも明らかなように、評価値Bが最小となる点の2値化閾値は「7」であり、2値化閾値が「7」のときがここでは最も良い画質が得られることから、評価値Bが最小となる部分の2値化閾値を2値化するための閾値として選べばよい。つまり、第1の特徴量+第2の特徴量とした場合は、それによって得られる評価値Bが最小となる点が最も画質のよくなる閾値となるので、それを2値化するための閾値として選べばよいことから、2値化するための閾値を容易に決定することができる(この2値化するための閾値についての説明は後述する)。なお、たとえば図10(a)の場合は、或る基準となる評価値より大きければ、かすれが生じ、或る基準となる評価値より小さければ、つぶれが生じることになるが、その或る基準となる評価値をどこにするかは特定しにくいため、2値化するに最適な閾値を即座に得ることは、図11ほどには容易にはできない。これは、図6、図8についても同様に、或る基準となる評価値をどこにするかは特定しにくいため、2値化するに最適な閾値を即座に得ることは、図11ほどには容易にはできない。
【0130】
次に前記した第1の特徴量および第2の特徴量にもう一つの特徴量(第3の特徴量という)を加えることにより、後述する画質改善部における処理をより効果的なものとする評価値を得る。この第3の特徴量は図1における第3の特徴量抽出手段113により算出されるもので、その特徴量とは文字の大きさに相当する横方向の長さである。
【0131】
後述する画質改善部では、画素の欠けを修復する処理を主に行うが、この場合、文字の大きさによって、欠ける画素数が異なってくる。つまり、大きな文字は欠ける画素数も多く、小さな文字は欠ける画素数も少ないと考えられる。そこで、前記した第1,第2の評価値および評価値A,Bにこの第3の特徴量である文字の大きさを掛けて求められる値を新たな評価値Cとすることにより、画質改善部において、より効果的な処理が行えるようにする。
【0132】
この第3の特徴量というのは、一定長以上の黒ランの平均長であり、これは前述したように文字の大きさに近い値である。なお、一定長以上の黒ランの平均長というのは、前記第2の特徴量を求めるときに用いた「一定長以上の黒ラン」の平均の長さである。また、評価値Cは次式で算出される。
【0133】
評価値C=(第1,第2の評価値または評価値A,B)×第3の特徴量・・・〔6〕
この評価値Cの算出処理のフロ−チャ−トを図12に示す。図12において、まず、前記した図9のフロ−チャ−トで示した処理と同様に、各種カウンタや各種レジスタを初期化する(ステップS31)。次に、行カウンタが指示する行から5ラインまでのラインデ−タを準備(ステップS32)し、その2番目のラインを注目ラインとして、そのラインのスキャンを行い、前記した第1の特徴量、第2の特徴量、第3の特徴量を算出する(ステップS33)。
【0134】
そして、これら第1,第2,第3の特徴量が算出されるごとに、前記した〔6〕式により評価値Cを算出する(ステップS34)。次に、処理対象全面について評価値Cの算出処理が終了したか否かを判断(ステップS35)して、処理が終了していなければ、行カウンタをインクリメント(ステップS36)して、前記ステップS32からステップS35の処理を行う。
【0135】
なお、以上の処理において、ステップS23の処理を終了するごとに、評価値Cを算出するのは、この画質算出部11におけるこのような画質判断処理と、後述する画質改善部における画質の改善処理あるいは2値化閾値決定部における最適な2値化閾値決定処理を並行して行うためである。しかし、処理対象の画像全体を、まず、上記したような画質算出処理を行ったのち、そのあとで、まとめて画質の改善処理あるいは2値化閾値決定処理を行う場合は、図11の処理フロ−において、ある画像全体についてステップS33の処理が終わった後に、まとめて評価値Cを算出するようにしてもよい。
【0136】
ところで、この評価値Cは、次の4つのパタ−ンが考えられる。
【0137】
(イ)評価値C=第1の特徴量(第1の評価値)×第3の特徴量
(ロ)評価値C=第2の特徴量(第2の評価値)×第3の特徴量
(ハ)評価値C=第1の特徴量に第2の特徴量を考慮した評価値(評価値A)×第3の特徴量
(ニ)評価値C=第1の特徴量に第2の特徴量を考慮した評価値(評価値B)×第3の特徴量
上記(イ)を評価値C1、(ロ)を評価値C2、(ハ)を評価値C3、(ニ)を評価値C4という。
【0138】
このように、文字の大きさという第3の特徴量を用いることにより、後述する画質改善部における画質改善処理をより効率的に行うことができる。
【0139】
ところで、以上説明した各特徴量の抽出は、実空間(人間の目で見たままの画像)におけるものであったが、次に、周波数空間における特徴量の抽出について説明する。
【0140】
まず、この周波数空間において「かすれ」に関する特徴量(これを第4の特徴量という)を抽出する方法について説明する。この周波数空間において「かすれ」に関する特徴量を抽出するということにおいて、まず、「かすれ」という特徴量と周波数との関係についてを説明する。
【0141】
図41から分かるように「かすれ」が生じると、線のエッジ部分が不鮮明になる。エッジが不鮮明になるということは、高周波成分が減るものと考えられる。したがって、高周波成分を着目することにより、かすれの度合いを知ることができる。
【0142】
このようなことを踏まえて、周波数空間において「かすれ」に関する特徴量(第4の特徴量)を抽出する方法について説明する。この第4の特徴量の抽出は図1における第4の特徴量抽出手段114にて行われる。周波数空間への直行変換方法として、フーリエ変換、ディスクリート・コサイン変換、アダマール変換などがあり、どの直行変換方法を用いてもよいが、ここでは、演算処理が和と差のみで済むアダマール変換を用いた場合を例にとって説明する。
【0143】
このアダマール変換における処理手順は概略的には、図13のフローチャートに示すように、まず、処理対象となる画像をn画素×m画素の大きさのブロックに分割し(ステップS41)、分割したブロックに対して直行変換(この場合はアダマール変換)を行う(ステップS42)。なお、前記分割の大きさは任意でよいが、ここではn,mは1〜32の範囲とするのが都合がよい。そして、アダマール変換により得られた高周波成分(アダマール変換においては高シーケンシという)に着目し、第4の評価値の算出を行う(ステップS43)。この第4の評価値の算出方法については後述する。
【0144】
なお、アダマール変換は次式のようにして行う。
【0145】
【数1】
【0146】
上式において、Yはn行m列におけるアダマール変換後の行列、Hn ,Hm はそれぞれn次、m次におけるアダマール変換するための行列、Xはn画素×m画素の部分画像行列を表す。ここで、n,mをそれぞれ4画素(4次)とした場合のアダマール変換を行うための行列Hn ,Hm は、
【0147】
【数2】
【0148】
となる。また、部分画像行列を示すXは、n×mの各画素の白黒の状態を示すデータ(白を「0」、黒を「1」とする)で表される行列である。
【0149】
このようにして求められたn行m列におけるアダマール変換後の行列Y(ここでは、n,mをそれぞれ4画素とする)は、図14に示すように、n,mの数値が大きくなればなるほど高周波成分(高シーケンシ)となり、また、n,mの数値が小さくなればなるほど低周波成分(低シーケンシ)となるという特徴がある。したがって、n行m列におけるアダマール変換後の行列Y(ここでは、n,mをそれぞれ4画素とする)において、高周波成分を調べる場合は、n,mの数値の大きい部分に着目すればよく、低周波成分を調べる場合は、n,mの数値の小さい部分に着目すればよいことになる。具体的には、n,mをそれぞれ4画素(n=m=4)とした場合、図14の点線で示すように、n,mが0,1を低周波成分とし、n,mが2,3を高周波成分とする。
【0150】
このアダマール変換により、n行m列のアダマール変換後の行列Yが、分割されたブロック数分できる。つまり、分割されたブロック数をNとすれば、n行m列のアダマール変換後の行列Y1,Y2,・・・,YNを得ることになる。ここで、アダマール変換後の行列Y1,Y2,・・・,YNの各要素をУij(0≦i≦n−1,0≦j≦m−1)で表すとすると、各要素ごとの分散σijは以下の式で表される。
【0151】
【数3】
【0152】
また、このとき、アダマール変換後の行列Y1,Y2,・・・,YNの各要素のУijにおける分散の比ρijは総分散をσx とすると、
【0153】
【数4】
【0154】
のように定義される。ここで、〔10〕式において総分散σx は、
【0155】
【数5】
【0156】
で表される。
【0157】
図15は、或るサンプル画像に対してコピーを行い、かすれを生じさせた場合、各シーケンシ(周波数成分)における分散の比を示す図である。ここでは、n=m=8とし、行方向および列方向のシーケンシは共に「0」から「7」であり、また、コピーの回数が0回(これは図5における2値化閾値TH1=「7」に相当する)、コピーの回数が1回(図5における2値化閾値TH1=「6」に相当する)、コピーの回数が2回(図5における2値化閾値TH1=「5」に相当する)とし、図15において、2値化閾値TH1=「7」における各シーケンシと分散の比の関係を実線、2値化閾値TH1=「6」における各シーケンシと分散の比の関係を点線、2値化閾値TH1=「5」における各シーケンシと分散の比の関係を一点鎖線で表している。また、この図15においては、横書きの原稿を縦方向に入力して横方向(行方向)に走査した場合のデータであり、同図(a)は、横方向(行方向)の成分(i=0,j=0〜7)における各シーケンシと分散の比の関係、同図(b)は、縦方向(列方向)の成分(i=0〜7,j=0)における各シーケンシと分散の比の関係を表したものである。
【0158】
ここでは、横書きの原稿を縦方向に入力して横方向(行方向)に走査した場合であるため、横方向(行方向)においてかすれが生じやすいため、図15(a),(b)からもわかるように、横方向(行方向)において、コピー回数の違いがかすれの度合いの違いとして現れている。つまり、同図(a)において、高シーケンシ部分(シーケンシ「4」)以上に着目すると、コピー回数の違いがかすれの度合いの違いとして現れていることがわかる。そこで、この高シーケンシ部分に着目して「かすれ」に関する評価値(この評価値を第4の評価値という)を求めることができる。
【0159】
この第4の評価値の算出の方法としては、以下の方法が挙げられる。
【0160】
(I)高シーケンシ部分における分散の比の和を第4の評価値とする。すなわち、第4の評価値は、
【0161】
【数6】
【0162】
で表される。これは、図14に示すような高周波成分における全ての分散の比を考慮したものであるが、もし、かすれている方向が予めわかっているる場合、たとえば、前記したように横方向へのかすれが生じていることがわかっているる場合は、第4の評価値は図15(a)のみを考慮(j成分のみを考慮)すればよいから、
【0163】
【数7】
【0164】
によって求められる。この〔13〕式は、コピー回数の違いがかすれの度合いの違いとして明確に表れている数値(分散の比)のみを用いているため、求められる評価値の精度を高いものとすることができる。なお、〔12〕式および〔13〕式において、逆数をとるのは、かすれの大きさに比例して評価値を大きな数値とするためである。上記〔13〕式によって得られた第4の評価値と前記2値化閾値TH1(TH1=「5」〜「12」)との関係を図16により説明する。ここで、ブロックの大きさはn×m=8×8であるので、高シーケンシ部分は、前記〔13〕式により、n/2〜n−1の範囲、つまり、シーケンシ4〜7となる。今、2値化閾値TH1=「5」におけるシーケンシ4〜7に対する横方向の分散の比は、計算により、たとえばシーケンシ4では「0.0055」、シーケンシ5では「0.0070」、シーケンシ6では「0.0068」、シーケンシ7では「0.0039」と求められたとすると、その和は「0.0232」となる。これの逆数をとると、43.1となり、この値が第4の評価値となる。同様に、2値化閾値TH1=「6」におけるシーケンシ4〜7に対する横方向の分散の比の和は、計算により、0.0288と求められたとすると、その逆数は、34.7となり、この値が第4の評価値となる。また、2値化閾値TH1=「7」に対するシーケンシ4〜7における横方向の分散の比の和は、計算により、0.0431と求められたとすると、その逆数は、23.2となり、これらの値が第4の評価値となる。このように求められた2値化閾値TH1が「5」から「7」に対する第4の評価値の曲線(図16)は、前述の図6(a)にて示した2値化閾値TH1が「5」から「7」に対する第1の評価値の曲線と同じようなカーブを描く。
なお、図15(a)からは、2値化閾値TH1が「5」から「7」までの範囲における評価値しか求められないが、2値化閾値TH1が「8」以降においても、前述の図6(a)と同じようなカーブを描くことは明らかであり、結局は、2値化閾値TH1が「5」から「12」までの範囲において図6(a)と同じような曲線を得ることができる。また、図16において、点線で示す曲線は、2値化閾値TH1が「5」から「12」におけるシーケンシ4〜7に対する縦方向の分散の比の和(図15(b) 参照)を示すもので、この場合、縦方向へのかすれは小さいので、2値化閾値が「5」から「12」までの範囲においてそれぞれの評価値にあまり大きな違いは生じない。
【0165】
以上のようにして、第4の評価値を求めることができるが、この方法は、〔12〕式および〔13〕式からもわかるように、分散の比を求めるために、積和演算を多く用いるので、より簡単な方法として次の方法がある。
【0166】
(II)アダマール変換後の行列Y(行列Y1〜YN)における全成分の絶対値の和と、アダマール変換後の行列Y(行列Y1〜YN)における高シーケンシ部分の絶対値の和の比をとって、この比をもとに第4の評価値を求める。
【0167】
以下、この(II)の方法について説明する。
【0168】
前記分散の比が大きいということは、分散が相対的に大きいということである。また、アダマール変換の場合には、DC成分(i=0,j=0)以外は、図17に示すように、平均値が0のラプラス分布で近似できる。このことから、図15(a)において、たとえば、2値化閾値TH1が「5」である画像の場合のように、高シーケンシ部分における分散の比が相対的に小さい(かすれが大きい)ということは、図17(a)のごとく、0を中心として分布の幅が相対的に小さく、結果として、変換後の行列Y(行列Y1〜YN)における高シーケンシ部分の絶対値の和も相対的に小さくなるということである。
【0169】
一方、2値化閾値TH1が「7」である画像の場合のように、高シーケンシ部分における分散の比が相対的に大きい(かすれが小さい)ということは、図17(b)のごとく、0を中心として分布の幅が相対的に大きく、結果として、変換後の行列Y(行列Y1〜YN)における高シーケンシ部分の絶対値の和も相対的に大きくなるということである。
【0170】
なお、図17(a)は図15(a)において、2値化閾値TH1が「5」における変換後の行列Y(行列Y1〜YN)の高シーケンシ部分の値(ここではシーケンシ「4」に対応する各Yの値)の分布を示すものであり、同図(b)は図15(a)において、2値化閾値TH1が「7」における変換後の行列Y(行列Y1〜YN)の高シーケンシ成分の値(ここではシーケンシ「4」に対応する各Yの値)の分布を示すものである。この図からもわかるように、高シーケンシ(この場合、シーケンシ「4」)において、かすれの大きい画像とかすれの小さい画像とでは、かすれの大きい画像の方がかすれの小さい画像よりも分布の幅が小さく、これにより、結果として、かすれの大きい画像は、かすれの小さい画像に対して、すべての高シーケンシ成分における絶対値の和も相対的に小さくなる。このことから、行列Y(行列Y1〜YN)におけるすべての高シーケンシ成分における絶対値の和をもとに評価値を算出することができる。
【0171】
したがって、第4の評価値は以下の式で表すことができる。
【0172】
【数8】
【0173】
上記〔14〕式において、Σ|Уij|はN個のブロックにおいて各ブロックの変換後の行列Y(行列Y1〜YN)のij成分の総和を表している。さらに、前記したように、もし、かすれている方向が予めわかる場合、たとえば、前記したように横方向へのかすれが生じていることがわかる場合はj成分のみを考慮すればよいから、上記〔14〕式は、
【0174】
【数9】
【0175】
によって求められる。この〔15〕式は、コピー回数の違いがかすれの度合いの違いとして明確に表れている数値(分散の比)のみを用いているため、求められる評価値の精度を高いものとすることができる。なお、〔14〕式および〔15〕式において、逆数をとるのは、かすれの大きさに比例して評価値を大きな数値とするためである。
【0176】
上記〔15〕式によって得られた第4の評価値と前記2値化閾値TH1(TH1=「5」から「12」)との関係を図18により説明する。ここで、分割されたブロックの大きさはn×m=8×8であり、また、ブロック数Nは3個であるとする。そして今、2値化閾値TH1が「6」の場合、1番目のブロックにおける変換後の行列Y1のУ0j(0≦j≦7)成分が(14,6,−5,2,1,−2,−2,1)、第2番目のブロックにおける変換後の行列Y2のУ0j(0≦j≦7)成分が(13,−7、0,−4,0,2,0,−1)、第3番目のブロックにおける変換後の行列Y3のУ0j(0≦j≦7)成分が(12,5、−3,0,−2,1,0,1)であったとする。
【0177】
ここで、〔15〕式により、第1番目のブロックにおける変換後の行列Y1の全成分の絶対値の和は、14+6 +5 +2 +1 +2 +2 +1 =33であり、また、そのうちの高シーケンシ部分(シーケンシ4以上)における絶対値の和は、1 +2 +2 +1 =6 となる。また、第2番目のブロックにおける変換後の行列Y2の全成分の絶対値の和は同様に計算すると27となり、そのうちの高シーケンシ成分における絶対値の和は3となる。さらに、同様に、第3番目のブロックにおける変換後の行列Y3の全成分の絶対値の和は24となり、そのうちの高シーケンシ成分における絶対値の和は4となる。
【0178】
よって、この2値化閾値TH1が「6」の場合の第4の評価値は、〔15〕式により、第4の評価値=1/(高シーケンシ成分の絶対値の和/全成分の絶対値の和)であり、これに前記数値を代入すると、第4の評価値=1/{(6 +3 +4 )/(33+27+24)}となって、第4の評価値は約6.6 と求められる。
【0179】
以上のようにして同様に、2値化閾値TH1が「5」の場合、2値化閾値TH1が「7」の場合などについて、〔15〕式を用いて第4の評価値を求めたものが図18である。この図18の曲線は図6と同じようなカーブを描く。また、図18において、点線で示す曲線は、2値化閾値TH1が「5」から「12」の各画像における縦方向に対する評価値を示すもので、この場合、縦方向へのかすれは小さいので、2値化閾値「5」から「12」までのそれぞれの画像においてそれぞれの評価値にあまり大きな違いは生じない。
【0180】
以上のようにして、周波数空間において特徴量を抽出することによって、「かすれ」に関する第4の評価値を算出することができる。ところで、図16と図18において、ここでの説明は前記したように、横書きの原稿を縦方向に入力して横方向(行方向)に走査した場合のデータであるため、各画像の評価値は横方向のかすれに影響を受けた結果となっている。したがって、この図16と図18の結果をみれば、かすれの生じている方向、あるいは、画像の入力方向(縦方向の入力か横方向の入力か)を判断することができる。
【0181】
また、前記の説明では、横方向と縦方向の2つの方向のみについて説明したが、変換後の行列Yから0°〜90°の範囲でのかすれの生じている方向の検出が可能となる。たとえば、45°の方向を調べるには、変換後の行列Yのi=j(0≦i≦n−1)成分より求めることができる。
【0182】
なお、〔12〕式においては、高周波成分におけるすべての要素の分散の比を考慮して第4の評価値の算出を行い、また、〔13〕式においては、かすれの生じている方向における高周波成分のすべての要素の分散の比を考慮して第4の評価値の算出を行っているが、高周波成分の1または2以上の要素のみの分散の比を考慮して第4の評価値の算出を行ってもよい。同様のことが〔14〕、〔15〕式においても言える。
【0183】
以上の説明は、周波数空間において「かすれ」に関する特徴量(第4の特徴量)を抽出する方法について説明したが、つぎに、周波数空間において「つぶれ」に関する特徴量(これを第5の特徴量という)を抽出する方法について説明する。この周波数空間において「つぶれ」に関する特徴量を抽出するということにおいて、まず、「つぶれ」という特徴量と周波数との関係について説明する。
【0184】
前記したように、つぶれが生じているということは画素が黒べた状態となって、画素の白黒反転数が少なくなっているということであり、白黒反転数が少なければより多くのつぶれが生じていると言える。この白黒反転数を周波数と考えれば、つぶれの生じている部分は低周波成分と考えられ、この低周波成分を着目することにより、かすれの度合いを知ることができる。
【0185】
このようなことを踏まえて、周波数空間において「つぶれ」に関する特徴量(第5の特徴量)を抽出する方法について説明する。この第5の特徴量の抽出は図1における第5の特徴量抽出手段115にて行われる。周波数空間への直行変換方法として、前記したように、フーリエ変換、ディスクリート・コサイン変換、アダマール変換などがあり、どの直行変換を用いてもよいが、ここでは、演算処理が和と差のみで済むアダマール変換を用いた場合を例にとって説明する。
【0186】
このアダマール変換における処理手順は概略的には、図19のフローチャートに示すように、まず、処理対象となる画像をn画素×m画素の大きさのブロックに分割し(ステップS51)、分割したブロックに対して直行変換(この場合はアダマール変換)を行う(ステップS52)。なお、前記分割の大きさは任意でよいが、ここではn,mは1〜32の範囲とするのが都合がよい。そして、アダマール変換により得られた変換後の行列YのDC成分(直流成分、つまり、i=j=0の成分)または低周波成分(低シーケンシ)に着目し、評価値(この評価値を第5の評価値という)の算出を行う(ステップS53)。
【0187】
この第5の評価値の算出方法としては、
(I)アダマール変換後の行列Y(Y1〜YN)におけるDC成分に着目し、そのDC成分におけるたとえば分散値(前記[9] 式により求められる)を第5の評価値とする。
【0188】
前記DC成分の数値は、各ブロックにおける黒画素数に相当する値である。よって、つぶれが生じているほど、DC成分における数値の分布幅が広くなり、結果として分散が大きくなる。したがって、このDC成分に着目するとにより、「つぶれ」に関する評価値とすることができる。
【0189】
(II)アダマール変換後の行列Y(Y1〜YN)の低周波成分(低シーケンシ)に着目して評価値を算出する。
【0190】
これは、DC成分以外の低シーケンシ(ブロックの大きさがn=m=8の場合、シーケンシ1〜3)の分散値(前記[9] 式により求められる)をそのまま評価値として用いる。あるいは、DC成分を含めた低シーケンシ(シーケンシ0〜3)の2以上の要素の分散値の和を評価値として用いることもできる。
【0191】
図20はアダマール変換後の行列Yの低シーケンシ(シーケンシ0〜3)における画像の状態(2値化閾値TH1=「5」〜「12」)に対する分散値の変化を示すものであり(1ブロックの大きさはn×m=8×8)、この図からも明らかなように、画像のつぶれが大きいほど分散値が大きくなっている。したがって、この分散値を評価値とすることができる。なお、この場合、前記(I)で示したように、DC成分のみに着目してそのDC成分における分散値をそのまま評価値としてもよく、また、(II)で示したように、DC成分以外の低シーケンシ(シーケンシ1〜3)のいずれかの分散値を評価値として用いることもでき、さらに、DC成分を含めた低シーケンシ(シーケンシ0〜3)の2以上の要素の分散値の和を評価値として用いることもできる。
【0192】
(III)アダマール変換後の行列Y(Y1〜YN)における低周波成分(低シーケンシ)の各成分の絶対値の和を評価値とする。
【0193】
前記図20からもわかるように、つぶれが大きいほど分散値が大きくなっている。分散値が大きいということは、変換後の行列Y(Y1〜YN)における各Yijの数値の分布の幅が広いということである。このことから、たとえば、2値化閾値TH1が「12」の画像のように、低シーケンシにおける分散が大きい(つぶれが多い)ということは、数値の分布の幅が大きく、結果として変換後の行列Y(Y1〜YN)における各成分の絶対値の和も大きくなる。これに対して、低シーケンシにおける分散値が小さい(つぶれが少ない)ということは、数値の分布の幅が小さく、結果として変換後の行列Y(Y1〜YN)における各成分の絶対値の和も小さくなる。
【0194】
よって、低シーケンシにおける変換後の行列Y(Y1〜YN)における各成分の絶対値の和によって、「つぶれ」に関する特徴量を抽出することでき、その評価値(第5の評価値)を算出することができる。第5の評価値は次式により求められる。
【0195】
【数10】
【0196】
この〔16〕式において、ブロック数Nで割るのは、ブロックの数により評価値の大きさが変わるのを防止するため(数値の正規化のため)である。なお、上記〔16〕式において、処理を簡略化するために、かすれている方向での値のみを用いるようにしてもよい。ここで、つぶれに関する評価値算出式にも係わらず、「かすれている方向」としたのは、前記した「かすれ」の算出処理に合わせるためであり、また、かすれ易い方向において、つぶれがより多く生じているか否かの判断が容易に行えるからである。したがって、前記同様、かすれが横方向に顕著に生じる場合は、前記〔16〕式は、
【0197】
【数11】
【0198】
で表される。
【0199】
この〔17〕式によって得られた第5の評価値と前記2値化閾値TH1(TH1=「5」〜「12」)との関係を図21により説明する。ここで、分割されたブロックの大きさはn×m=8×8であり、また、ブロック数Nは3個であるとする。そして今、第1の閾値TH1=「6」の場合、1番目のブロックにおける変換後の行列Y1のУ0j(0≦j≦7)成分が(14,6,−5,2,1,−2,−2,1)、第2番目のブロックにおける変換後の行列Y2のУ0j(0≦j≦7)成分が(13,−7、0,−4,0,2,0,−1)、第3番目のブロックにおける変換後の行列Y3のУ0j(0≦j≦7)成分が(12,5、−3,0,−2,1,0,1)であったとする。
【0200】
前記〔17〕式により、第1番目のブロックにおける変換後の行列Y1の低シーケンシ(シーケンシ0〜3)における絶対値の和は、14+6 +5 +2 =27となる。同様に計算すると、第2番目のブロックにおける変換後の行列Y2の低シーケンシ成分における絶対値の和は24となる。さらに、同様に、第3番目のブロックにおける変換後の行列Y3の低シーケンシ成分における絶対値の和は20となる。
【0201】
よって、この2値化閾値TH1が「6」の場合の評価値は、〔17〕式により、第5の評価値=低シーケンシ成分の絶対値の和/ブロック数Nであり、これに前記数値を代入すると、第5の評価値=(27 +24+20)/3 となって、第5の評価値は約23.7と求められる。なお、実際には処理対象画像が描かれている原稿面上には空白部分がかなり存在するため、実際の数値は上記した数値より小さい値となるが、ここでの説明は上記数値をそのまま用いても何ら差し支えないので説明の都合上、上記計算結果の数値をそのまま用いる。
【0202】
同様に、2値化閾値TH1が「5」から「12」について、〔17〕式を用いて評価値を求めたものが図21である。この図21の曲線は図8(a)と同じようなカーブを描く。
【0203】
以上のようにして、周波数空間において特徴量を抽出することによって、「つぶれ」に関する第5の評価値を算出することができる。
【0204】
なお、〔16〕式においては、低周波成分におけるすべての要素を考慮して第5の評価値の算出を行い、また、〔17〕式においては、かすれの生じている方向における低周波成分のすべての要素を考慮して第5の評価値の算出を行っているが、低周波成分の1または2以上の要素のみを考慮して第5の評価値の算出を行ってもよい。
【0205】
次に、以上の処理により求めた第4の特徴量および第5の特徴量の両方を考慮した評価値を算出する。つまり、第4の特徴量である「かすれ」と第5の特徴量である「つぶれ」とを考慮した評価値を算出することにより、より正確な画質の判断を行う。この評価値の算出方法として、前記したように、第4の評価値と第5の評価値の差で求める方法と第4の評価値と第5の評価値の和で求める方法があるが、ここでは、第4の評価値と第5の評価値の和で求める場合について説明する。なお、第4の評価値と第5の評価値の差で求められた評価値を評価値Dとし、第4の評価値と第5の評価値の和で求められた評価値を評価値Eとする。ここで、評価値Eは次式で算出される。
【0206】
評価値E=第4の特徴量(第4の評価値)+第5の特徴量(第5の評価値)・・・〔18〕
この評価値Eの算出処理のフローチャートを図22に示す。図22において、まず、処理対象となる画像をn画素×m画素の大きさのブロックに分割し(ステップS61)、分割したブロックに対して直行変換(この場合はアダマール変換)を行う(ステップS62)。そして、前記第4の評価値および第5の評価値を考慮した評価値Eの算出を行う(ステップS63)。
【0207】
ここで、前記〔18〕式の計算を行うに当たって、両者の評価値の絶対値が大きく異なる場合には、絶対値の大きな方の影響を受けて絶対値の小さな方の評価値を有効に活用できない。たとえば、図23に示すように、同図(a)の(イ)はかすれを示す曲線(図18に相当する)であり、(ロ)はつぶれを示す曲線(図21に相当する)であるが、これらは、それぞれの評価値の絶対値が大きく異なっている。このように評価値の絶対値が大きく異なったまま、両者を加算すると、(ハ)のような曲線となる。つまり、2値化閾値TH1が「5」から「7」の間は、本来、かすれが大きく評価値も大きい値であるはずが、絶対値の大きな方の影響を受けて絶対値の小さな方の評価値を有効に活用できないという不都合が生じる。
【0208】
したがって、このような場合には、ある基準となる2値化閾値(ここでは、TH1=「7」)におけるそれぞれの評価値の絶対値が等しくなるようにするとともに、その変化の範囲も同じにするために評価値の補正を行う。なお、以下の例では、第4の評価値は第4の特徴量抽出の説明における(II)の方法により得られた値(図18参照)、第5の評価値は第5の特徴量抽出の説明における(III)の方法により得られた値(図19参照)を用いるものとする。
【0209】
前記評価値の補正は以下のようにして行う。つまり、補正後の新評価値は、
新評価値={(他の評価値の最大値−他の評価値の最小値)/(補正対象の評価値の最大値−補正対象の評価値の最小値)}×(評価値−補正対象の評価値の基準値)+他の評価値の基準値・・・・・〔19〕
によって求められる。ここで、「補正対象の評価値」とは補正される側の評価値、「他の評価値」とは補正されない方の評価値を指す。また、基準値とは基準となる2値化閾値TH1における評価値をいう。たとえば、図23(a)の場合、(イ)で示す「かすれ」の評価値を「補正対象の評価値」とし、基準となる2値化閾値TH1=「7」とすると、
新評価値={(50−20)/(8−4)}×(評価値−5)+25
となり、この式において、(評価値−5)の評価値に、この場合、2値化閾値TH1=「7」における評価値「5」を代入すると、2値化閾値TH1=「7」における求めるべき新評価値は「25」と求められる。また、(評価値−5)の評価値に、2値化閾値TH1=「5」における評価値「8」を代入すると、2値化閾値TH1=「5」における求めるべき新評価値は「47.5」と求められ、また、(評価値−5)の評価値に、2値化閾値TH1=「12」における評価値「4」を代入すると、2値化閾値TH1=「12」における求めるべき新評価値は「17.5」と求められ、補正後の新評価値によるカーブは図23(b)の(ニ)のようになる。
【0210】
したがって、図23(b)の(ニ)と(ホ)を加算することにより、(ヘ)のような2値化閾値TH1=「5」〜「12」に対する評価値Eの曲線が得られる。なお、この補正は、標準となる画像について行うことにより、他の画像においてもそのまま用いることができる。
【0211】
このようにして求められた第4の特徴量(第4の評価値)に第5の特徴量(第5の評価値)加算した評価値Eの曲線からもわかるように、最も画像の品質が良くなる2値化閾値TH1は、評価値が最小となるところであり、このことから、評価値が最小となるところを検出することにより、2値化するに当たって最適な2値化閾値TH1を決定することができる。よって、文字の2値化を行う際の2値化閾値の決定を極めて簡単にしかも的確に行うことができる。
【0212】
次に前記した第4の特徴量および第5の特徴量にもう一つの特徴量(前記した第3の特徴量)を加えることにより、後述する画質改善部における処理をより効果的なものとする評価値を得る。この第3の特徴量は前記したように、図1における第3の特徴量抽出手段113により算出されるもので、その特徴量とは文字の大きさに相当する横方向の長さである。
【0213】
後述する画質改善部では、画素の欠けを修復する処理を主に行うが、この場合、文字の大きさによって、欠ける画素数が異なってくる。つまり、大きな文字は欠ける画素数も多く、小さな文字は欠ける画素数も少ないと考えられる。そこで、前記した第4、第5の評価値および評価値D,Eにこの第3の特徴量である文字の大きさを掛けた値を新たな評価値(これを評価値Fという)とすることにより、画質改善部において、より効果的な処理が行えるようにする。
【0214】
この第3の特徴量というのは、一定長以上の黒ランの平均長であり、これは前述したように文字の大きさに近い値である。なお、一定長以上の黒ランの平均長というのは、前記第2の特徴量を求めるときに用いた「一定長以上の黒ラン」の平均の長さである。また、この評価値Fは、
評価値F=(第4,第5の評価値または評価値D,E)×第3の特徴量・・・・・・〔20〕
で表せる。
【0215】
この評価値Fの算出処理手順を図24に示す。この図24は図12で示したフロ−チャ−トと基本的には同じである。図24において、まず、前記した図9のフロ−チャ−トで示した処理と同様に、各種カウンタや各種レジスタを初期化する(ステップS71)。次に、直行変換はn行単位に行われることから、行カウンタが指示する行からnラインまでのラインデ−タを準備(ステップS72)し、この場合は、このnラインデータより第4の特徴量、第5の特徴量、第3の特徴量を算出する(ステップS73)。そして、これら第4,第5,第3の特徴量が算出されるごとに、前記した〔20〕式により評価値Fを算出する(ステップS74)。次に、処理対象全面について評価値Fの算出処理が終了したか否かを判断(ステップS75)して、処理が終了していなければ、行カウンタをn行分インクリメント(ステップS76)して、前記ステップS72からステップS75の処理を行う。
【0216】
なお、以上の処理において、ステップS73が終了するごとに、評価値Fを算出するのは、この画質算出部11におけるこのような画質判断処理と、後述する画質改善部における画質の改善処理あるいは2値化閾値決定部における2値化閾値決定処理を並行して行うためである。しかし、処理対象の画像全体を、まず、上記したような画質算出処理を行ったのち、そのあとで、まとめて画質の改善処理あるいは2値化閾値決定処理を行う場合は、図24の処理フロ−において、ある画像全体についてステップS73の処理が終わった後に、まとめて評価値Fを算出するようにしてもよい。同様に、前記第4の評価値、第5の評価値または評価値D,Eもnラインデータ単位での評価値の算出を行ってもよいし、画像全体についてまとめて評価値の算出を行ってもよい。
【0217】
ところで、この評価値Fは、次の4つのパタ−ンが考えられる。
【0218】
(イ)評価値F=第4の特徴量(第4の評価値)×第3の特徴量
(ロ)評価値F=第5の特徴量(第5の評価値)×第3の特徴量
(ハ)評価値F=第4の特徴量に第5の特徴量を考慮した評価値(評価値D)×第3の特徴量
(ニ)評価値F=第4の特徴量に第5の特徴量を考慮した評価値(評価値E)×第3の特徴量
上記(イ)を評価値F1、(ロ)を評価値F2、(ハ)を評価値F3、(ニ)を評価値F4という。
【0219】
このように、文字の大きさという第3の特徴量を用いることにより、後述する画質改善部における画質改善処理をより効率的に行うことができる。
【0220】
なお、この実施例では、画質算出部11には、第1の特徴量抽出手段111、第2の特徴量抽出手段112、第3の特徴量抽出手段113、第4の特徴量抽出手段114、第5の特徴量抽出手段115の5つの特徴量抽出手段を設けた例を示している。そして、これまで述べたようにして、各評価値を算出したが、画質算出部11としては、第1の特徴量抽出手段111または第4の特徴量抽出手段114のいずれかを用いて「かすれ」についての単独の画質の判断も可能であり、また、第2の特徴量抽出手段111または第5の特徴量抽出手段114のいずれかを用いて「つぶれ」についての単独の画質の判断も可能である。
【0221】
次に、これまでに述べた画質算出を行うに際して、図25(a)に示すように、処理対象とする紙面上に異なる文字領域(たとえば、文字の劣化の生じにくいゴシック体の文字領域Z1とかすれなど劣化の生じやすい明朝体の文字領域Z2)が存在する場合の処理について説明する。
【0222】
このように、種類の異なる文字領域が存在する場合は、前記したように、評価値を算出する際におけるデータを順次蓄積して行く方法では、領域の変化している部分において、正しい評価値が得られないという問題がある。これを同図(b),(c)を用いて説明する。同図(b),(c)において、太い実線L1は領域Z1において求められるべき理想的な評価値、太い実線L2は領域Z2において求められるべき理想的な評価値であるとする。同図(b)からもわかるように、データを順次蓄積して評価値を算出する方法では、実際に求められる評価値は細い実線L3で示すように、領域Z1から領域Z2に変わるところからしばらくの間(図中、w1で示す範囲)は、正しい評価値が得られないことになる。
【0223】
そこで本発明では、評価値算出を行う範囲に制限を設け、種類の異なる文字領域が存在する場合においても適切な評価値の算出が可能となるようにする。その方法を以下に説明する。
【0224】
異なる文字種の存在する画像においては、文字の種類が行の途中で変わることは少なく、行単位で変わる場合が殆どである。したがって、或る行数単位ごとに評価値を求めるのも一つの方法である。
【0225】
このように、或る行数単位ごとに評価値を求める一例として、1行ごとに処理する場合を説明する。この場合は、まず、画像から1行分の文書画像を切り出し、この切り出した行の範囲で評価値を求める。なお、行の切り出し方法としては、図26のように、行方向の画素の累積値である射影を求め、この射影からその谷間が行間であると判断して行の切り出しを行う方法がある。さらに簡単な方法として、画像を走査する段階において、画素の有無を検出して画素の無い部分が行間であると判断し、行の切り出しを行う方法もある。そして、このように切り出された行単位で前述したような方法にて評価値を求める。
【0226】
また、種類の異なる文字領域が存在する場合においても適切な評価値の算出が可能とする他の方法として、処理対象ラインの白黒反転数を求め、この白黒反転数が所定の数(評価値を求めるに必要とする数を予め設定しておく)以上に達するまでのラインに逆上って、その範囲内における評価値を求める。たとえば、評価値を求めるに必要とする白黒反転数が2000程度であるとすると、白黒反転数が2000に達したところで、この白黒反転数が2000に達したところまでの範囲内にて評価値を求める。この方法では、行の切り出しという処理が不要となる。
【0227】
このように、評価値算出を行う範囲に制限を設けて、所定範囲ごとに評価値を算出することにより、図25(c)に示すように、それぞれの領域(この場合は、領域Z1、領域Z2)ごとに最適な評価値を求めることが可能となる。つまり、領域Z1および領域Z2において求められるべき理想的な評価値(太い実線L1,L2)と実際に求められる評価値(細い実線L3)がほぼ一致する。
【0228】
ここで説明した各領域ごとに最適な評価値を求めるという処理は、後述する画質の改善処理、画像に適した2値化閾値の決定処理において重要な処理である。つまり、これら画質の改善処理、画像に適した2値化閾値の決定処理は、各領域ごと(文字の種類ごと)にその領域に適した評価値が必要となってくるからである。
【0229】
(第2の実施例)
次に、この発明の第2の実施例として、前記第1の実施例で説明した画質算出部11の結果を用いて画質改善を行う画質改善部(詳細は後述する)を備えた画像処理装置について説明する。
【0230】
図27はこの第2の実施例の構成を示すもので、画質算出部11、CPU12,RAM13、画像入力装置14、画像出力装置15、バスライン16などは図1で説明したものと同じであり、この図27では、これらの他に、画質改善部21が前記バスライン16に接続された構成となっている。
【0231】
この画質改善部21は、画素の欠けた可能性のある部分を抽出して、前記画質算出部11で算出した評価値を用いて、画素の欠けた部分の補間を行うもので、処理候補抽出手段22、画素加工手段23を主な構成要素としている。以下、これら処理候補抽出手段22、画素加工手段23について説明する。
【0232】
処理候補抽出手段22は、画素の欠けた可能性のある部分の抽出を行うもので、特徴点抽出手段221、候補決定手段222からなる。また、画素加工手段23は、処理候補抽出手段22で抽出した画素の欠けた可能性のある部分を前記画質算出部11で算出した各評価値を用いて画素の補間を行うもので、閾値算出手段231、文字切り出し手段232を有している。以下、個々に説明する。
【0233】
特徴点抽出手段221は、画質の劣化した部分の跡を抽出する。すなわち、前記したように、図2(b)を見ると、かすれの生じている部分は、縦方向に並んだ1画素から2画素(または3画素)の画素が横方向に凸部となっていることがわかる。そこで、このような部分の抽出を行う。このとき具体的には、図3(a)〜(f)で示した6種類のパタ−ンの特徴点の抽出となる。
【0234】
候補決定手段222は、上記特徴点抽出手段221により抽出した特徴点の位置関係から劣化した部分の決定を行う。ここで図2(b)をみると、画質の劣化した部分は、主に図中Aの部分のように特徴点が向かい合っている(対面)部分である。しかし、一部にはBの部分のように特徴点と特徴点でない黒画素が向かい合っている部分もある。そこで、この候補決定手段222では、このような部分の抽出を行って画質の劣化した可能性のある部分として決定する。
【0235】
なお、劣化した部分の特徴点の組み合わせはここでは以下のように定める。ただしこれに限られるものではない。
【0236】
(1)3画素特徴点同志の対面(たとえば図3(e)と(f))
(2)3画素特徴点と2画素特徴点の対面(たとえば図3(c)と(f))
(3)3画素特徴点と1画素特徴点の対面(たとえば図3(a)と(d))
(4)2画素特徴点同志の対面(たとえば図3(c)と(d))
(5)2画素特徴点と1画素特徴点の対面(たとえば図3(a)と(d))
(6)1画素特徴点同志の対面(たとえば図3(a)と(b))
(7)3画素特徴点と特徴点以外の黒画素との対面
(8)2画素特徴点と特徴点以外の黒画素との対面
(9)1画素特徴点と特徴点以外の黒画素との対面
このような組み合わせにおいて(2)から(6)のような特徴点同志の対面の場合は、条件1として、一部分でも特徴点の対面があれば、画素の補間の必要有り(処理候補)と見做すが、特徴点同志の対面の場合であっても、(1)の3画素特徴点同志の対面の場合は、条件2として、2画素以上の対面がある場合のみを画素の補間の必要有り(処理候補)と見做す。この関係を図28に示す。図28(a)は上記条件1を満たす場合であり、この場合は、(2)の3画素特徴点と2画素特徴点の対面であって、そのうちの1画素が対面している例を示している。また、同図(b)は上記条件2を満たす場合であり、この場合は、(1)の3画素特徴点同志の対面であって、そのうちの2画素が対面している例を示している。また、同図(c)は(1)の3画素特徴点同志の対面であるが、この場合は、2画素以上の対面がないので条件2を満たしていないと判断される。
【0237】
また、図28において、対面する画素の間隔(図示矢印で示す)が所定の画素数分の間隔以内の場合に、その間に画素の補間を行う。つまり、対面する画素(黒画素)の間に幾つの白画素が有るかを判断して、その白画素の閾値を設定し、閾値以下の場合はその白画素部分を「かすれ」と見做して、その部分に黒画素を補間する。これについては以下に詳細に説明する。
【0238】
次に、前記画素加工手段23において、画素の欠けた部分を前記画質算出部11で算出した各評価値を用いて画素の補間を行う処理を説明する。
【0239】
この画素加工手段23は閾値算出手段231、文字切り出し手段232を有している。この閾値算出手段231は、前記画質算出手段11にて算出した各評価値を変数として画素の補間を行う際の閾値(この閾値を閾値TH3という)を算出する。以下にこの閾値算出手段231について説明する。
【0240】
処理候補抽出手段22における候補決定手段222にて、劣化部分と判断された部分には、たとえば、図2(b)のA,Bの部分のように黒画素間に数画素分の間隔(白画素)が存在する。また、従来の技術の項の説明で用いた図41(b),(c)を比較すると、画質の劣化が大きいほどその間隔が広くなる。そこで、画質の劣化が大きいほど、劣化した部分の間隔は広いものと考え、どの程度の間隔までなら画素の補間を行うかの指標を閾値TH3として設定する。すなわち、画質が良い場合に、白画素部分の補間を行う処理をすると、本来画素の無い部分にまで画素を補間してしまうことになる。そこで、このような誤った処理を防止するため、画質に合わせた閾値TH3を閾値算出手段231にて算出する。
【0241】
この閾値算出手段231における閾値TH3の算出方法を以下に説明する。
【0242】
閾値TH3の算出は前記(1)から(9)で示した劣化部分の9通りの組み合わせ毎に算出する。この理由は、前記(1)から(9)で示したそれぞれの組み合わせ毎にその組み合わせにとって最も適切な閾値が存在するからである。よって、閾値TH3は以下の式で算出される。
【0243】
閾値TH3(n)=f(n)(x)・・・〔21〕
ここで、nは1≦n≦9であり、この1から9までの数値は、前記(1)から(9)で示した劣化部分の9通りの組み合わせの括弧内の数値を示している。また、f(n)(x)は各組み合わせ毎に異なる閾値算出のための関数(作成方法は後述する)であり、xを変数としている。この変数xはこの場合、評価値である。したがって、上記〔21〕式は、
閾値TH3(n)=f(n)(評価値)・・・〔22〕
と表せる。ここで評価値とは画質算出部11により求めた各種評価値である。このように、(1)から(9)で示した劣化部分の9通りの組み合わせによって、個々の組み合わせに対応した閾値TH3が設定される。そして、候補決定手段222により求めた画質の劣化の可能性のある部分の間隔が〔22〕式により求められた閾値TH3(n)以下であれば、画素加工手段21にてその部分に画素の補間を行い、間隔が〔22〕式により求められた閾値TH3(n)より大きければ、画素の補間は行わない。
【0244】
ところで、前記閾値TH3を算出するための関数は次のようにして算出する。ここでは、図29(a)のように劣化していない元の画像と、同図(b)のように画質のやや劣化した画像、ここでは図示しないが、さらに画質の劣化した画像の3種類を基準画像として用意する。
【0245】
同図(b)のように画質のやや劣化した画像において、候補決定手段222により画質の劣化したと思われる部分(図中、Cで示す部分)の抽出を行う。また、抽出した部分の特徴点の組み合わせの種類と画素の間隔を調べるとともに、その画質の劣化したと思われる部分を、元の画像と対比させて実際に劣化した部分か否かを調べる。ここで、図中、Cで示す部分の特徴点の組み合わせの種類は、2画素特徴点と1画素特徴点の対面であるから(5)の種類であり、また、その間隔はこの場合、2画素とする。
【0246】
これを処理対象画像全面について調べ、ここでは、図29(b)のように画質のやや劣化した画像の2画素特徴点と1画素特徴点の対面の部分(前記(5)の組み合わせ)を全て取り出して、その劣化部分の間隔と、その劣化部分を元の画像と対比させて実際に劣化した部分か否かを調べた結果の関係を図30に示す。
【0247】
この図30のグラフは、横軸に劣化部分の間隔(画素数)をとり、縦軸には劣化部分を元の画像と対比させて実際に劣化した部分か否かを調べた結果、実際の劣化部分であった場合を正解としその正解の数、または劣化部分を元の画像と対比させて実際に劣化した部分か否かを調べた結果、劣化部分ではなく、もともと白画素部分であった場合を不正解としその不正解の数を取っている。なお、同図において、実線で示すものが正解の数を表し、点線で示すものが不正解の数を表している。
【0248】
このグラフによれば、間隔が3画素までは正解(劣化部分)が多く、間隔が4画素となると不正解(もともと白画素部分)が多くなることがわかる(図30において斜線を施した部分は正解の数の多い部分である)。したがって、この場合は、閾値TH3(5)を「3」とする。すなわち、前記(5)の組み合わせにおいては、間隔が「3」までは劣化部分と見做してその間隔を補間しても差し支えないということを示している。逆に、間隔が「4」以上であればその間隔はもともと存在する間隔であると判断し、補間処理は行わない方がよいということを示している。
【0249】
同様に、さらに劣化した画像の2画素特徴点と1画素特徴点の対面の場合における劣化部分の間隔と、その劣化部分を元の画像と対比させて実際に劣化した部分か否かを調べた結果を示すグラフを求めた結果、閾値TH3(5) が「6」であったとする。
【0250】
また、前記図29(b)で示したやや劣化した画像の評価値(第1の実施例で算出した幾つかの評価値のうちいずれの評価値を用いてもよい)が0.49であったとし、また、さらに劣化した画像の評価値(これも第1の実施例で算出した幾つかの評価値のうちいずれの評価値を用いてもよい)が0.99であったとする。
【0251】
ここで前記関数f(n)(評価値)をたとえば、ax+bというような1次関数で表すとすると、この場合、変数xは評価値であるから、
閾値TH3(n)=a×評価値+b・・・〔23〕
となる。この場合、n=5であるから、
閾値TH3(5)=a×評価値+b・・・〔24〕
となる。この〔24〕式に、上記の如く求めた閾値TH3(5)=3、評価値=0.49および閾値TH3(5)=6、評価値=0.99を代入して、係数a,bを求めると、a=6、b=0.06となり、処理対象画像の「(5)2画素特徴点と1画素特徴点の対面」における関数が決定される。以上のようにして、(1)から(9)の各組み合わせの種類毎に、それぞれ関数を決定する。
【0252】
このようにして(1)から(9)の各組み合わせの種類毎に関数が決定する。すなわち、この場合、評価値を変数とする図31のような直線が得られ、これにより、他の閾値TH(n)が求められる。
【0253】
なお、閾値は整数値であるから、ここでは上記関数より求めた値の小数点以下を四捨五入して整数化した値を閾値TH3として用いてもよい。そして、この閾値TH3と検出された間隔の関係から画素を補間するか否かを判断する。すなわち、検出された間隔が閾値TH3以下であればその間隔には画素の補間を行い、検出された間隔が閾値TH3より大きければ、その間隔はもともと空白であったと見做して画素の補間は行わないようにする。
【0254】
以上の処理フロ−チャ−トを図32に示す。
【0255】
図32において、各種カウンタやレジスタなどの初期化を行う(ステップS81)。この処理は図7のフロ−チャ−トのステップS11と同じである。次に、行カウンタが示す行から6ラインのデ−タの準備を行う(ステップS82)。この場合、図28(b)で示した3画素特徴点同志の対面において、そのうちの2画素が対面しているか否かという条件2を判断するために6ライン以上のデ−タが必要となってくる。
【0256】
そして、前記第1の実施例で説明したように、各評価値の算出をライン毎に行う。このステップS81からステップS85の一連の処理は図12の処理フロ−と殆ど同じである。
【0257】
一方、ステップS83の処理に並行して、画像改善処理を行う。すなわち、前記した(1)から(9)までの特徴点の組み合わせ検出を行い、その間隔の判断を行う(ステップS86)。そして、上記(1)から(9)までの特徴点の組み合わせ番号、評価値などから閾値TH3(n)を求め(ステップS87)、この閾値TH3(n)とステップS86で検出された間隔とを比較して(ステップS88)、間隔≦閾値TH3(n)であれば画素の補間を行う(ステップS89)。
【0258】
なお、図27で説明した画質改善部21の画素加工手段23に文字切り出し手段232を設けたのは、たとえば、図33に示すように、隣接する文字間において、誤った画素の補間処理がなされる場合があることから、文字を1文字1文字切り出した上で補間処理を行おうとするためである。つまり、図33に示すように、隣接した文字同志に極めて接近した部分sがあると、その接近した部分sは画素の補間の必要とする部分であると判断されて、誤った処理がなされる可能性があるからであり、それを防止するために、文字を1文字1文字切り出して、切り出された文字の範囲内で補間処理を行おうとするものである。これにより、隣接する文字間における誤った画素の補間処理の防止が図れる。
【0259】
図34は以上説明した画像の修復処理により修復された画像の具体例を示すものである。同図(a)の(I)は図40(b)で示した1回コピ−した画像であり、同図(b)の(I)は図40(c)で示した2回コピ−した画像である。これを前記した処理を施すことにより、同図(II)に示す如く、「かすれ」部分が殆ど修復された画像となる。また、この処理とともに、画像の凹凸を無くす処理(スム−ジング処理)を施すと、同図(III)に示す如く、さらに見た目のよい画像となる。
【0260】
このような処理を施した場合の、文字認識装置における認識率は、同図(a)の1回コピ−した画像は、(I)の画像では93.4%であったものが、(II)では97.1%に改善され、また、同図(b)の2回コピ−した画像は、(I)の画像では82.3%であったものが、(II)では93.1%に改善された。
【0261】
このように、画質に応じた閾値TH3を設定することにより、検出された間隔がその閾値より小さければその間隔には画素の補間を行い、検出された間隔がその閾値より大きければ、その間隔はもともと空白であったと見做して画素の補間は行わないので、本来、画素の無い部分にまで画素を補間してしまうという誤った処理を防止することができ、かすれなどにより劣化した部分のみを確実に修復処理することができる。
【0262】
したがって、この画像改善装置をディジタルコピ−機や文字認識装置などに適用すればその効果は絶大なるものがある。特にディジタルコピ−機においてその効果はより顕著なものとなる。すなわち、ディジタルコピ−機は画像を忠実に再現するための装置であり、元の原稿がかすれていたりすると、かすれたままのコピーがなされる。しかし、本発明の画像処理装置を適用することにより、画像の品質が悪いと判断した場合には、品質に合わせた画質の改善処理を行うことができる。つまり、元の原稿がかすれていたりした場合には、かすれを修復(画素の補間など)したコピーを行えるので、元の原稿よりも品質のよいコピー原稿が得られる。また、画像の品質を判断しながら処理を行うので、品質の良い原稿に対しては余計な処理を加えることがないので、悪影響を与えることはない。また、文字認識装置においても、文字認識処理前に画像の品質を判断し、画像の品質が悪いと判断した場合には、品質に合わせた画質の改善処理を行うことにより、文字認識率を大幅に向上することができる。
【0263】
なお、この第2の実施例において、閾値TH3を求める変数としての評価値は、前記第1の実施例で算出した種々の評価値、つまり、第1の特徴量である第1の評価値、第2の特徴量である第2の評価値、第1の特徴量と第2の特徴量とを考慮した評価値(たとえば第1の特徴量−第2の特徴量による評価値A、第1の特徴量+第2の特徴量による評価値B)、これら各評価値に第3の特徴量を掛けて求めた評価値C1〜C4、または、第4の特徴量である第4の評価値、第5の特徴量である第5の評価値、第4の特徴量と第5の特徴量とを考慮した評価値(たとえば第4の特徴量−第5の特徴量による評価値D、第4の特徴量+第5の特徴量による評価値E)、これら各評価値に第3の特徴量を掛けて求めた評価値F1〜F4のいずれも使用することができるが、評価値C1〜C4または評価値F1〜F4のいずれかを用いればより優れた効果を得ることができる。
【0264】
また、この第2の実施例では、閾値TH3を求めるための〔22〕式における関数を、一次関数としたが、多数の劣化した画像を用意することにより、たとえばn次関数とすることもできる。さらに、処理を簡便にするために〔22〕式における関数を、評価値を変数とした関数とせずに、固定値としてもよい。
【0265】
(第3の実施例)
次に、この発明の第3の実施例として、文字画像に適合した最適な2値化閾値を決定する手段について説明する。
【0266】
2値化方法としては従来より数多く提案されているが、これら従来の方法は必ずしも文字画像に適合した2値化方法とはいえない。つまり、2値化後にかすれやつぶれが生じる場合もある。そこで、この実施例では、前記画質算出部11にて求められた評価値を用いて2値化閾値を決定する方法を説明する。
【0267】
図35はこの第3の実施例の全体的な構成を示す図であり、図1で示した構成に2値化閾値決定部31を設けた構成となっている。
【0268】
この2値化閾値決定部31の処理内容を図36のフローチャートを参照しながら説明する。
【0269】
まず、処理対象とする画像を多値で入力する(ステップS91)。なお、ここでは16階調での入力とし、また、白の階調を「0」、黒の階調を「15」とする。次に、2値化するための仮の2値化閾値を決定する(ステップS92)。16階調における中央値は「7」もしくは「8」であり、ここでは、仮の2値化閾値の設定範囲を5〜11の階調の範囲で変化させるものとし、仮の2値化閾値の初期値を「8」とする。ここで、仮の2値化閾値の設定範囲を5〜11としたのは、16階調入力の場合、一般に、この範囲内に2値化に適した閾値が存在するからである。
【0270】
そして、このように設定された仮の2値化閾値を用いて2値化を行う(ステップS93)。この2値化処理のあと、評価値の算出を行う(ステップS94)。ここでの評価値の算出方法は前記したいずれの方法を用いてもよいが、ここでは、図23で説明したように、第4の特徴量+第5の特徴量にて求めた評価値(評価値E)を用いた例について説明する。この場合、前述したように、評価値Eが最小となるところが最良の画質が得られるところである。したがって、この評価値Eが最小となるところを2値化閾値として決定すればよい。以下に評価値Eが最小となる閾値の判断について説明する。図37は、処理対象となる画像の2値化閾値TH1と誤り率(点線で示す)および評価値E(実線で示す)の関係を示す図であり、評価値Eは第4の特徴量+第5の特徴量にて求めたものである。この図37において、評価値Eを示す曲線に付された「+」、「−」は、「かすれ」の値が「つぶれ」の値以上の場合を「+」、それ以外を「−」として示したものである。以下、処理手順を図38のフローチャートを参照して説明する。
【0271】
図38において、まず、仮の2値化閾値TH1の初期値を「8」と設定(ステップS101)し、この仮の2値化閾値TH1の初期値「8」における評価値を求め、そのときにおけるかすれとつぶれの大きさの判断、つまり、「かすれ≧つぶれ」であるか否かを判断する(ステップS102)。この判断において、図37からわかるように、この場合、つぶれがかすれより大きいので、求めるべき2値化閾値は「8」より小さいと判断して、仮の2値化閾値TH1を「6」と設定する(ステップS103)。そして、仮の2値化閾値TH1が「6」における評価値を求め、そのときにおけるかすれとつぶれの大きさの判断、つまり、「かすれ≧つぶれ」であるか否かを判断する(ステップS104)。この判断において、この場合、「かすれ≧つぶれ」であるので、仮の2値化閾値TH1は「7」と決定される(ステップS105)。そして、仮の2値化閾値TH1が「7」における評価値を求めると、「かすれ≧つぶれ」となる。よって、仮の2値化閾値TH1=「7」はかすれ寄りに、TH1=「8」ではつぶれ寄りになることから、このいずれかが最適の2値化閾値となる。そこで、この2つ(もとめた3つの評価値でもかまわない)の評価値のうち最小となる評価値に対応する2値化閾値が16階調における最適の2値化閾値となり、この場合、その最適の2値化閾値はTH1=「7」となる。つまり、2値化閾値TH1は「7」に収束したものと判断(ステップS106)される。このように、この場合は、3回の仮の2値化閾値設定処理および評価値計算により求めるべき2値化閾値が決定することができる。
【0272】
なお、ここでは第4の特徴量+第5の特徴量にて求めた評価値Eを用いた例について説明したが、図6(a)あるいは図8(a)のように単純減少あるいは単純増加となる評価値を用いた場合は、評価値に基準となる点を設定(たとえば図示一点鎖線で示す)することにより、上記同様の処理を行うことができる。また、階調は16階調に限られるものではなく、2値化閾値を決定するための収束方法も上記方法に限られるものではない。また、これをスキャナに応用する場合は、多値データの入力はデータ転送に時間がかかるため、仮の2値化閾値でスキャナから2値入力し、パソコンで評価値算出および収束判断を行ないながら、順次、2値化閾値を変更してスキャナから2値入力および2値化閾値の決定を行うようにしてもよい。また、一部の領域について多値で入力し、2値化閾値を決定したあと、その2値化閾値による2値データでの全面入力を行うようにしてもよい。さらに、入力する画像を幾つかの領域(たとえば文字列単位)に分割し、その分割された領域ごとに2値化閾値の決定を行うようにしてもよい。
【0273】
以上説明したように、この実施例では、最良の画質が得られるところを2値化閾値として決定できるので、コピー機やスキャナなどに応用することにより、かすれやつぶれの少ない高品質な画像を得ることができる。また、OCRの前処理として用いることにより、図37を例にすると、従来、デフォルトの2値化閾値がTH1=「8」であったとすると、自動的に高認識率の得られるTH1=「7」に設定でき、高い認識率を得ることができる。
【0274】
図39は上記したような2値化閾値の決定方法により2値化を行うとともに、かすれやつぶれなどによって劣化した画像の改善処理を可能とした画像処理装置の構成を示す図であり、基本的な構成は図27と同じであり、この図27の構成にさらに前記実施例3で説明した2値化閾値決定部31が設けられている。つまり、画質算出部11、画質改善部21、2値化閾値決定部31を組み合わせた構成としたものである。
【0275】
この画像処理装置の概略的な処理としては、前記画質算出部11にて求められた評価値を用いて2値化閾値を決定して2値化を行い、2値化後の画像に対して、前記評価値を用いて画質の改善処理を行うというものである。なお、この処理における評価値算出処理、この評価値を用いた2値化閾値決定処理、前記評価値を用いた画質の改善処理などについては、これまでに詳細に説明したので、ここではこれらの処理手順などについての説明は省略する。
【0276】
なお、評価値を用いて2値化閾値を決定して2値化を行う処理と、2値化後の画像に対して、前記評価値を用いて画質の改善を行う処理は、まず、対象となる画像に全面に対して2値化閾値を決定して2値化を行ったあとに、画質の改善を行うようにしてもよく、また、これらの処理を並行(2値化閾値を決定して2値化を行う処理が先行する)して行うようにしてもよい。
【0277】
このように、画質算出部11にて求められた評価値を用いて2値化閾値を決定して2値化を行い、2値化後の画像に対して、前記評価値を用いて画質の改善処理を行うことにより、最良の画質が得られるところを2値化閾値として決定できるので、2値化の段階においてかすれやつぶれの少ない高品質な画像を得ることができる。また、画像の品質が悪いと判断した場合には、さらに品質に合わせた画質の改善処理を行うことができる。つまり、元の原稿がかすれていたりした場合には、たとえ2値化閾値を最適に設定しても、かすれ等がなくなるわけではない。よって、さらに画質の改善処理を行うことにより、かすれを修復(画素の補間など)したコピーが行えるので、元の原稿よりも品質のよいコピー原稿が得られる。また、画像の品質を判断しながら処理を行うので、品質の良い原稿に対しては余計な処理を加えることがないので、悪影響を与えることはない。また、文字認識装置においても、文字認識処理前に画像の品質を判断し、画像の品質が悪いと判断した場合には、品質に合わせた画質の改善処理を行うことにより、文字認識率を大幅に向上することができる。
【0278】
また、これまで説明した実施例では、主として日本語に適用するものとしての説明であるが、アルファニュ−メリック(αN)への対応も、以下のような変更を施すことにより可能となる。
【0279】
まず、第1の実施例に記載の部分では以下のように対処する。
1)前記〔1〕式で示した第1の特徴量算出式を次式のように変更する。
【0280】
第1の特徴量=1画素特徴点の出現回数/白黒反転回数
ここで、1画素特徴点とは、図3(a),(b)に示す特徴点である。この変更理由としては、アルファニュ−メリックの場合、「かすれ」部分は殆どが1画素の凸部であるためである。
2)前記〔2〕式、つまり、第2の特徴量算出式
第2の特徴量=一定長以上の黒ランの数/黒ランの総数
において、黒ランの数をカウントするための閾値TH2の算出方法を変更する。第1の実施例における閾値TH2は、文字の大きさに近い横線の画素数を基準に求めていたが、アルファベットなどは日本語に比べ、横線の直線性が低く、横線により文字の大きさを判断するするのは困難である。また、アルファベットなどの文字は縦線の太さを基にして文字の大きさを判断したほうがより適格に判断できる。これらの点から、
閾値TH2=文字の縦線の太さの平均×α
とする。ここで、αは3.0〜4.0の範囲とする。これは、アルファベットなどの文字の大きさは文字の縦線の太さの約3〜4倍であることが多いからであり、実験によれば、α=3.4が適当であった。つまり、文字の縦線の太さを約3.4倍したものがその文字の横方向の画素のつながりの長さであると判断できる。ここで、文字の縦線の太さは、6画素(300DPI入力時、文字の大きさの約1/3〜1/4に相当)以下の黒ランの長さの平均としている。
【0281】
また、第2の実施例に記載された部分においては以下のように対処する。
3)画素加工手段23の変更
アルファニュ−メリックにおいては、文字のベ−スライン付近における隣接文字との接触は比較的多いことから、ベ−スライン付近での接触が多少あっても認識率の低下にはつながらず、また、見た目としても悪くないことから、ベ−スライン付近での補間処理における閾値とベ−スライン付近以外での補間処理における閾値とを分けて設定する。
【0282】
これを図40を用いて説明する。
【0283】
図40には一例として「bri」というアルファベットが書かれた例が示されているが、アルファベットの場合は、前記したように、ベ−スライン301付近での隣接文字との接触が多少あっても認識率の低下にはつながらず、また、見た目としても悪くないといえる。これに対して、ベ−スライン301以外の部分、たとえば、図中302で示す部分がつながってしまうと、この場合は「n」に見えたりすることもある。したがって、ベ−スライン301以外の部分では閾値TH3を小さく設定して、なるべく補間処理を行わないようにする。なお、ベ−スライン301付近では、これより閾値TH3を多少大きくとっても差し支えない。
【0284】
このような処理を行うに際してのベ−スライン301の検出は、画像の劣化候補部分、たとえば、図中303で示す部分の或る点Q1から2画素程度下のラインを調べて、そのライン304に上記P1を中心に左右10画素程度づつ(合計20画素)の黒画素が存在していなければ、上記点Q1部分はベ−スラインであると判断する。なお、上記20画素の黒画素というのは約1文字に相当する大きさである。
【0285】
このような処理を行うことにより、アルファニュ−メリックにおいても画素修復が可能となる。
【0286】
また、前記各実施例では、文字の解像度として300DPIの場合について各閾値などの設定を行う例を説明したが、他の解像度にも対応可能である。たとえば、解像度を200DPIとした場合は、各閾値などを2/3とすればよい。
【0287】
また、前記各実施例では、処理対象を文字としているため、図表やノイズとの区別は、黒画素のつながりの長さで判断する。つまり、図表は黒画素のつながりの長さは文字に比べれば極めて長いのが普通であり、ノイズは逆に短い。したがって、この長さより図表やノイズを判断して、これらは処理対象としないようにする。なお、図表などにおいては、評価値の算出という点では本発明の対象とはしないが、劣化した部分に対して画素を追加して修復するという技術は適応可能となる。
【0288】
また、本発明では、カラ−への対応も可能となる。すなわち、2値化されたRBGごとにこの実施例で説明した処理を行うことにより対応可能となる。
【0303】
以上述べたように本発明によれば、例えば画像入力手段により入力された画像デ−タの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出工程と、画質の劣化した可能性のある部分をその特徴を基に抽出して画質改善処理対象候補を決定し、この画質改善処理対象候補に対して前記画質算出工程で求めた評価値を用いて画質改善処理を行う画質改善工程とを有したことにより、画像の劣化部分を的確に判断でき、しかも、その劣化部分の画素の欠けを判断して、劣化による画素の欠けの場合のみに、画素の補間処理を可能とし、劣化した画像の的確な修復を行うことができる。したがって、これをコピ−機に適用することにより、たとえば、元の原稿がかすれていた場合には、通常は、コピー後の原稿はかすれたままあるいはそれ以上のかすれを有した原稿となるが、本発明によれば、かすれ部分が修復されるので、元の原稿よりも高品質な原稿が得られる。また、画質を判断しながら処理を行うので、品質のよい原稿に対しては何も処理を行わないので、品質のよい原稿に対しては何ら影響を与えない。また、文字認識装置などに適用することにより、高い認識率を得ることができる。
【0304】
また、画質改善処理対象となる候補を抽出する処理候補抽出工程と、この処理候補抽出工程により抽出された処理候補に対して画質改善を行うために画素の補間を行う画素加工工程とを有し、画質の劣化した部分のみを抽出し、前記画質算出部で算出された評価値を用いて、この抽出された部分に対して画質改善処理を施すようにしたので、画質の悪い場合にのみ画質改善処理を施すようにし、たとえば、もともと空白であった部分に新たに画素を追加するという誤った処理を行うのを確実に防止することができる。
【0305】
また、画質の劣化した部分に対して劣化により生じる特徴点を検出してその特徴点を抽出する特徴点抽出工程と、この特徴点抽出工程により抽出した特徴点の位置関係から画質改善対象候補を決定する候補決定工程とを有することにより、画質の劣化部分を、劣化により生じる空間を挟んだ画素同志の対面による特徴点を抽出し、この抽出された特徴点の位置関係から画質改善対象候補を決定することができ、画質改善対象とすべく劣化部分を効率よく的確に抽出することができる。
【0306】
また、閾値算出工程を有し、前記画質算出工程により求められた評価値を用いて、この評価値を変数とする関数により或る閾値を求め、画素の補間を行おうとする間隔と前記閾値とを比較し、その比較結果から画素の補間処理を行うか否かを決定するようにしたので、画質の劣化に応じて画素が欠けて劣化した部分に対してのみに補間処理が施され、もともと空白であった部分に新たに画素を追加するという誤った処理を行うのを確実に防止することができる。
【0307】
また、文字切り出し工程を有し、この文字切り出し工程により切り出された文字領域内において、画質改善を行うために画素の補間を行うようにしたので、隣接する文字間で誤った画素の補間処理がなされるのを確実に防止することができる。
【0308】
また、画像入力手段により入力された画像デ−タの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出工程と、この画質算出工程により得られた評価値を用いて処理対象の画像に対する2値化閾値を決定する2値化閾値決定工程とを有しているので、文字に適合した2値化閾値を決定することができ、これにより2値化処理された画像は「かすれ」や「つぶれ」を極力少なくすることができる。
【0309】
また、前記画質算出工程から得られる評価値のうち第1の評価値と第2の評価値を加算して評価値を得る場合には、2つの評価値を加算して得られる評価値が最小となる部分に対応する閾値を、求めるべき2値化閾値とすることにより、最も画質の良くなる2値化閾値を簡単に決定することができ、2値化閾値の決定処理を簡略化することができる。
【0310】
また、画像入力手段により入力された画像デ−タの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出工程と、この画質算出工程で得られた評価値を用いて処理対象の画像に対する2値化閾値を決定する2値化閾値決定工程と、画質の劣化した可能性のある部分をその特徴を基に抽出して画質改善処理対象候補を決定し、この画質改善処理対象候補に対して前記画質算出工程で得られた評価値を用いて画質改善処理を行う画質改善工程とを有しているので、文字に適合した2値化閾値を決定することができ、これにより2値化処理された画像は「かすれ」や「つぶれ」を極力少なくすることができ、さらに劣化した部分の改善がなされるので、コピー機や文字認識装置などに適用することにより、その効果は極めて大きなものとなる。
【0325】
また、例えば画像入力手段により読み取られた画像デ−タの画質を判断して特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出手段と、画質の劣化した可能性のある部分をその特徴を基に抽出して画質改善処理対象候補を決定し、この画質改善処理対象候補に対して前記画質算出手段で求めた評価値を用いて画質改善処理を行う画質改善手段とを有したことにより、画像の劣化部分を的確に判断でき、しかも、その劣化部分の画素の欠けを判断して、劣化による画素の欠けの場合のみに、画素の補間処理を可能とし、劣化した画像の的確な修復を行うことができる。したがって、これをコピ−機に適用することにより、たとえば、元の原稿がかすれていた場合には、通常は、コピー後の原稿はかすれたままあるいはそれ以上のかすれを有した原稿となるが、本発明によれば、かすれ部分が修復されるので、元の原稿よりも高品質な原稿が得られる。また、画質を判断しながら処理を行うので、品質のよい原稿に対しては何も処理を行わないので、品質のよい原稿に対しては何ら影響を与えない。また、文字認識装置などに適用することにより、高い認識率を得ることができる。
【0326】
また、画質改善処理対象となる候補を抽出する処理候補抽出手段と、この処理候補抽出手段により抽出された処理候補に対して画質改善を行うために画素の補間を行う画素加工手段とを有し、画質の劣化した部分のみを抽出し、前記画質算出部で算出された評価値を用いて、この抽出された部分に対して画質改善処理を施すようにしたので、画質の悪い場合にのみ画質改善処理を施すようにし、たとえば、もともと空白であった部分に新たに画素を追加するという誤った処理を行うのを確実に防止することができる。
【0327】
また、画質の劣化した部分に対して劣化により生じる特徴点を検出してその特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、この特徴点抽出手段により抽出した特徴点の位置関係から画質改善対象候補を決定する候補決定手段とを有することにより、画質の劣化部分を、劣化により生じる空間を挟んだ画素同志の対面による特徴点を抽出し、この抽出された特徴点の位置関係から画質改善対象候補を決定することができ、画質改善対象とすべく劣化部分を効率よく的確に抽出することができる。
【0328】
また、閾値算出手段を有し、前記画質算出手段により求められた評価値を用いて、この評価値を変数とする関数により或る閾値を求め、画素の補間を行おうとする間隔と前記閾値とを比較し、その比較結果から画素の補間処理を行うか否かを決定するようにしたので、画質の劣化に応じて画素が欠けて劣化した部分に対してのみに補間処理が施され、もともと空白であった部分に新たに画素を追加するという誤った処理を行うのを確実に防止することができる。
【0329】
また、文字切り出し手段を有し、この文字切り出し手段により切り出された文字領域内において、画質改善を行うために画素の補間を行うようにしたので、隣接する文字間で誤った画素の補間処理がなされるのを確実に防止することができる。
【0330】
また、画像入力手段により入力された画像デ−タの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出手段と、この画質算出工程により得られた評価値を用いて処理対象の画像に対する2値化閾値を決定する2値化閾値決定手段とを有しているので、文字に適合した2値化閾値を決定することができ、これにより2値化処理された画像は「かすれ」や「つぶれ」を極力少なくすることができる。
【0331】
また、前記画質算出手段から得られる評価値のうち第1の評価値と第2の評価値を加算して評価値を得る場合には、2つの評価値を加算して得られる評価値が最小となる部分に対応する閾値を、求めるべき2値化閾値とすることにより、最も画質の良くなる2値化閾値を簡単に決定することができ、2値化閾値の決定処理を簡略化することができる。
【0332】
また、画像入力手段により入力された画像デ−タの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出手段と、画質の劣化した可能性のある部分をその特徴を基に抽出して画質改善処理対象候補を決定し、この画質改善処理対象候補に対して前記画質算出手段で得られた評価値を用いて画質改善処理を行う画質改善手段と前記画質算出手段で得られた評価値を用いて処理対象の画像に対する2値化閾値を決定する2値化閾値決定手段とを有しているので、文字に適合した2値化閾値を決定することができ、これにより2値化処理された画像は「かすれ」や「つぶれ」を極力少なくすることができ、さらに劣化した部分の改善が行われるので、コピー機や文字認識装置などに適用することにより、その効果は極めて大きなものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例の構成図。
【図2】 「かすれ」について説明する図。
【図3】 「かすれ」における特徴点を説明する図。
【図4】 第1の実施例における第1の特徴量抽出処理を説明するフロ−チャ−ト。
【図5】 第1の実施例における「かすれ」度合い(「つぶれ」度合い)を用いて2値化閾値を説明する図。
【図6】 第1の実施例における「かすれ」を基準とした2値化閾値と文字認識誤り率および第1の評価値の関係を説明する図。
【図7】 第1の実施例における第2の特徴量抽出処理を説明するフロ−チャ−ト。
【図8】 第1の実施例における「つぶれ」を基準とした2値化閾値と文字認識誤り率および第2の評価値の関係を説明する図。
【図9】 第1の実施例における第1の評価値に第2の評価値を考慮した評価値Aの算出処理を説明するフロ−チャ−ト。
【図10】 第1の実施例における「かすれ」を基準とした2値化閾値と文字認識誤り率および評価値A(第1の評価値−第2の評価値)の関係を説明する図。
【図11】 第1の実施例における「かすれ」を基準とした2値化閾値と文字認識誤り率および評価値B(第1の評価値+第2の評価値)の関係を説明する図。
【図12】 第1の実施例における第1の評価値、第2の評価値に第3の特徴量を考慮した評価値Cの算出処理を説明するフロ−チャ−ト。
【図13】 第1の実施例において周波数領域における第4の評価値の算出処理を説明するフロ−チャ−ト。
【図14】 アダマール変換後の行列における高周波成分と低周波成分を説明する図。
【図15】 或る2値化閾値におけるシーケンシと分散の比の関係を説明する図。
【図16】 2値化閾値と周波数領域において求められた第4の評価値との関係を説明する図(その1)。
【図17】 アダマール変換におけるDC成分以外の或るシーケンシにおける分布を説明する図。
【図18】 2値化閾値と周波数領域において求められた第4の評価値との関係を説明する図(その2)。
【図19】 第1の実施例において周波数領域における第5の評価値の算出処理を説明するフロ−チャ−ト。
【図20】 2値化閾値と周波数領域において求められた第5の評価値との関係を説明する図(その1)。
【図21】 2値化閾値と周波数領域において求められた第5の評価値との関係を説明する図(その2)。
【図22】 第1の実施例における第4の評価値に第5の評価値を考慮した評価値Dまたは評価値Eの算出処理を説明するフロ−チャ−ト。
【図23】 第1の実施例における第4の評価値に第5の評価値を考慮(第4の評価値+第5の評価値)した評価値Eの算出処理を説明する図。
【図24】 第1の実施例における第4の評価値、第5の評価値に第3の特徴量を考慮した評価値Fの算出処理を説明するフロ−チャ−ト。
【図25】 処理対象となる原稿上で異なる領域が存在する場合における特徴量抽出範囲に制限を設けた例を説明する図。
【図26】 原稿上で異なる領域を検出するための一例を説明する図。
【図27】 本発明の第2の実施例の構成図。
【図28】 第2の実施例における特徴点同志の対面例において補間候補とする条件を説明する図。
【図29】 第2の実施例において画像の劣化度合い応じた画素の状態を説明する図。
【図30】 第2の実施例において画素の間隔とその部分が劣化による空白部かもともとの空白部かを説明する図。
【図31】 第2の実施例において評価値を変数とする関数により閾値TH3を求める一例を説明する図。
【図32】 第2の実施例の全体的な処理を説明するフロ−チャ−ト。
【図33】 文字を切り出したのち画素の補間処理を行う例を説明するための隣接した文字の一例を示す図。
【図34】 第2の実施例により画質改善された例を示す図。
【図35】 本発明の第3の実施例の構成図。
【図36】 第3の実施例の全体的な処理を説明するフロ−チャ−ト。
【図37】 第3の実施例における2値化閾値の決定処理を説明する図。
【図38】 第3の実施例における2値化閾値の決定処理を説明するフロ−チャ−ト。
【図39】 画質算出部、2値化閾値決定部、画質改善部を組み合わせた構成図。
【図40】 本発明をアルファニュ−メリックに適用する場合におけるベ−スライン検出を説明する図。
【図41】 スキャナで読み取った後の画像の一例を説明する図。
【符号の説明】
10・・・画像処理装置
11・・・画質算出部
21・・・画質改善部
31・・・2値化閾値決定部
22・・・処理候補抽出手段
23・・・画素加工手段
111・・・第1の特徴量抽出手段
112・・・第2の特徴量抽出手段
113・・・第3の特徴量抽出手段
114・・・第4の特徴量抽出手段
115・・・第5の特徴量抽出手段
221・・・特徴点抽出手段
222・・・候補決定手段
231・・・閾値算出手段
232・・・文字切り出し手段
Claims (20)
- 画像入力手段により入力された画像データの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出工程と、前記画質算出工程で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行う画質改善工程とを有する画像処理方法であって、
前記画質算出工程は、
画素の特徴を特徴点として予め幾つかのパターンを用意し、処理ラインにおける前記特徴点の出現回数と、黒画素と白画素の反転回数との比を、第1の評価値として算出する第1の特徴量抽出工程を有し、
前記画質改善工程は、
対面している特徴点同士を抽出する特徴点抽出工程と、
前記抽出した特徴点同士の対面のパターンが、予め設定されたパターンに合致している場合、前記対面している特徴点同士を画質改善対象候補として決定する候補決定工程と、
前記候補決定工程により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出工程により算出された第1の評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行う画素加工工程と、
を有することを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1に記載の画像処理方法であって、
前記画質算出工程は、文字の大きさにほぼ相当する黒画素の連続したつながりの平均的な長さを求めるとともに、前記平均的な長さ以上の黒画素の連続したつながりの数を求め、この平均的な長さ以上の黒画素の連続したつながりの数と、黒画素と白画素の反転回数の1/2の数との比を第2の評価値として算出する第2の特徴量抽出工程を有し、前記第1の評価値と前記第2の評価値とを用いて演算した評価値を求め、
前記画素加工工程は、前記候補決定工程により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出工程により算出された前記第1の評価値と前記第2の評価値とを用いて演算した評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行うことを特徴とする画像処理方法。 - 画像入力手段により入力された画像データの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出工程と、前記画質算出工程で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行う画質改善工程とを有する画像処理方法であって、
前記画質算出工程は、文字の大きさにほぼ相当する黒画素の連続したつながりの平均的な長さを求めるとともに、前記平均的な長さ以上の黒画素の連続したつながりの数を求め、この平均的な長さ以上の黒画素の連続したつながりの数と、黒画素と白画素の反転回数の1/2の数との比を第2の評価値として算出する第2の特徴量抽出工程を有し、
前記画質改善工程は、
対面している特徴点同士を抽出する特徴点抽出工程と、
前記抽出した特徴点同士の対面のパターンが、予め設定されたパターンに合致している場合、前記対面している特徴点同士を画質改善対象候補として決定する候補決定工程と、
前記候補決定工程により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出工程により算出された第2の評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行う画素加工工程と、
を有することを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理方法であって、
前記画質算出工程は、黒画素の連続したつながりの平均的な長さを文字の大きさにほぼ相当する第3の特徴量として抽出する第3の特徴量抽出工程を有し、前記第1の評価値および/または前記第2の評価値と、前記第3の特徴量とを用いて演算した評価値を求め、
前記画素加工工程は、前記候補決定工程により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出工程により算出された前記第1の評価値および/または前記第2の評価値と、前記第3の特徴量と、を用いて演算した評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行うことを特徴とする画像処理方法。 - 画像入力手段により入力された画像データの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出工程と、前記画質算出工程で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行う画質改善工程とを有する画像処理方法であって、
前記画質算出工程は、入力された画像データから周波数領域への直交変換を行い、この直交変換後の高周波成分に注目して「かすれ」の度合いを表わす第4の評価値を算出する工程を有し、
前記画質改善工程は、
対面している特徴点同士を抽出する特徴点抽出工程と、
前記抽出した特徴点同士の対面のパターンが、予め設定されたパターンに合致している場合、前記対面している特徴点同士を画質改善対象候補として決定する候補決定工程と、
前記候補決定工程により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出工程により算出された第4の評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行う画素加工工程と、
を有することを特徴とする画像処理方法。 - 請求項5に記載の画像処理方法であって、
前記画質算出工程は、入力された画像データから周波数領域への直交変換を行い、この直交変換後の低周波成分に注目して「つぶれ」の度合いを表わす第5の評価値を算出し、
前記画素加工工程は、前記候補決定工程により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出工程により算出された前記第4の評価値と前記第5の評価値とを用いて演算した評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行うことを特徴とする画像処理方法。 - 画像入力手段により入力された画像データの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出工程と、前記画質算出工程で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行う画質改善工程とを有する画像処理方法であって、
前記画質算出工程は、入力された画像データから周波数領域への直交変換を行い、この直交変換後の低周波成分に注目して「つぶれ」の度合いを表わす第5の評価値を算出する工程を有し、
前記画質改善工程は、
対面している特徴点同士を抽出する特徴点抽出工程と、
前記抽出した特徴点同士の対面のパターンが、予め設定されたパターンに合致している場合、前記対面している特徴点同士を画質改善対象候補として決定する候補決定工程と、
前記候補決定工程により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出工程により算出された第5の評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行う画素加工工程と、
を有することを特徴とする画像処理方法。 - 請求項5〜7のいずれかに記載の画像処理方法であって、
前記画質算出工程は、黒画素の連続したつながりの平均的な長さを文字の大きさにほぼ相当する第3の特徴量として抽出する第3の特徴量抽出工程を有し、前記第4の評価値および/または前記第5の評価値と、前記第3の特徴量とを用いて演算した評価値を求め、
前記画素加工工程は、前記候補決定工程により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出工程により算出された前記第4の評価値および/または前記第5の評価値と、前記第3の特徴量と、を用いて演算した評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行うことを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の画像処理方法であって、
前記画素加工工程は、文字領域を切り出す文字切り出し工程を有し、当該文字切り出し工程により切り出された文字領域内において、画素の補間を行うことを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1〜9のいずれかに記載の画像処理方法であって、
前記画質算出工程により算出された評価値に基づいて、処理対象の画像に対する2値化閾値を決定する2値化閾値決定工程を有し、
前記画質改善工程は、前記2値化閾値決定工程により決定された2値化閾値を用いて2値化された画像に対して、前記画質算出工程で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行うことを特徴とする画像処理方法。 - 画像を入力する画像入力手段と、
前記画像入力手段により入力された画像データの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出手段と、前記画質算出手段で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行う画質改善手段とを有する画像処理装置であって、
前記画質算出手段は、
画素の特徴を特徴点として予め幾つかのパターンを用意し、処理ラインにおける前記特徴点の出現回数と、黒画素と白画素の反転回数との比を、第1の評価値として算出する第1の特徴量抽出手段を有し、
前記画質改善手段は、
対面している特徴点同士を抽出する特徴点抽出手段と、
前記抽出した特徴点同士の対面のパターンが、予め設定されたパターンに合致している場合、前記対面している特徴点同士を画質改善対象候補として決定する候補決定手段と、
前記候補決定手段により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出手段により算出された第1の評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行う画素加工手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。 - 請求項11に記載の画像処理装置であって、
前記画質算出手段は、文字の大きさにほぼ相当する黒画素の連続したつながりの平均的な長さを求めるとともに、前記平均的な長さ以上の黒画素の連続したつながりの数を求め、この平均的な長さ以上の黒画素の連続したつながりの数と、黒画素と白画素の反転回数の1/2の数との比を第2の評価値として算出する第2の特徴量抽出手段を有し、前記第1の評価値と前記第2の評価値とを用いて演算した評価値を求め、
前記画素加工手段は、前記候補決定手段により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出手段により算出された前記第1の評価値と前記第2の評価値とを用いて演算した評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行うことを特徴とする画像処理装置。 - 画像を入力する画像入力手段と、
前記画像入力手段により入力された画像データの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出手段と、前記画質算出手段で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行う画質改善手段とを有する画像処理装置であって、
前記画質算出手段は、文字の大きさにほぼ相当する黒画素の連続したつながりの平均的な長さを求めるとともに、前記平均的な長さ以上の黒画素の連続したつながりの数を求め、この平均的な長さ以上の黒画素の連続したつながりの数と、黒画素と白画素の反転回数の1/2の数との比を第2の評価値として算出する第2の特徴量抽出手段を有し、
前記画質改善手段は、
対面している特徴点同士を抽出する特徴点抽出手段と、
前記抽出した特徴点同士の対面のパターンが、予め設定されたパターンに合致している場合、前記対面している特徴点同士を画質改善対象候補として決定する候補決定手段と、
前記候補決定手段により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出手段により算出された第2の評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行う画素加工手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。 - 請求項11〜13のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記画質算出手段は、黒画素の連続したつながりの平均的な長さを文字の大きさにほぼ相当する第3の特徴量として抽出する第3の特徴量抽出手段を有し、前記第1の評価値および/または前記第2の評価値と、前記第3の特徴量とを用いて演算した評価値を求め、
前記画素加工手段は、前記候補決定手段により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出手段により算出された前記第1の評価値および/または前記第2の評価値と、前記第3の特徴量と、を用いて演算した評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行うことを特徴とする画像処理装置。 - 画像を入力する画像入力手段と、
前記画像入力手段により入力された画像データの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出手段と、前記画質算出手段で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行う画質改善手段とを有する画像処理装置であって、
前記画質算出手段は、入力された画像データから周波数領域への直交変換を行い、この直交変換後の高周波成分に注目して「かすれ」の度合いを表わす第4の評価値を算出する手段を有し、
前記画質改善手段は、
対面している特徴点同士を抽出する特徴点抽出手段と、
前記抽出した特徴点同士の対面のパターンが、予め設定されたパターンに合致している場合、前記対面している特徴点同士を画質改善対象候補として決定する候補決定手段と、
前記候補決定手段により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出手段により算出された第4の評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行う画素加工手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。 - 請求項15に記載の画像処理装置であって、
前記画質算出手段は、入力された画像データから周波数領域への直交変換を行い、この直交変換後の低周波成分に注目して「つぶれ」の度合いを表わす第5の評価値を算出する手段を有し、
前記画素加工手段は、前記候補決定工程により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出手段により算出された前記第4の評価値と前記第5の評価値とを用いて演算した評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行うことを特徴とする画像処理装置。 - 画像を入力する画像入力手段と、
前記画像入力手段により入力された画像データの画質を判断するための特徴量を抽出し、その特徴量を評価値として算出する画質算出手段と、前記画質算出手段で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行う画質改善手段とを有する画像処理装置であって、
前記画質算出手段は、入力された画像データから周波数領域への直交変換を行い、この直交変換後の低周波成分に注目して「つぶれ」の度合いを表わす第5の評価値を算出する手段を有し、
前記画質改善手段は、
対面している特徴点同士を抽出する特徴点抽出手段と、
前記抽出した特徴点同士の対面のパターンが、予め設定されたパターンに合致している場合、前記対面している特徴点同士を画質改善対象候補として決定する候補決定手段と、
前記候補決定手段により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出手段により算出された第5の評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行う画素加工手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。 - 請求項15〜17のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記画質算出手段は、黒画素の連続したつながりの平均的な長さを文字の大きさにほぼ相当する第3の特徴量として抽出する第3の特徴量抽出手段を有し、前記第4の評価値および/または前記第5の評価値と、前記第3の特徴量とを用いて演算した評価値を求め、
前記画素加工手段は、前記候補決定手段により決定された画質改善対象候補における特徴点同士の間の距離と、前記画質算出工程により算出された前記第4の評価値および/または前記第5の評価値と、前記第3の特徴量と、を用いて演算した評価値に基づいて定められる閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記画質改善対象候補における特徴点同士の間の画素の補間を行うか否かを決定し、前記画素の補間を行うと決定した場合に、前記画素の補間を行うことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項11〜18のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記画素加工手段は、文字領域を切り出す文字切り出し手段を有し、当該文字切り出し手段により切り出された文字領域内において、画素の補間を行うことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項11〜19のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記画質算出手段により算出された評価値に基づいて、処理対象の画像に対する2値化閾値を決定する2値化閾値決定手段を有し、
前記画質改善手段は、前記2値化閾値決定手段により決定された2値化閾値を用いて2値化された画像に対して、前記画質算出手段で算出した評価値に基づいて画質改善処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
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