JP3661115B2 - リニアアクチュエータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、油圧サーボ弁に使用されムービングコイルを有するリニアアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、油圧サーボ弁に使用されるリニアアクチュエータ21は、図5〜6に示されるように、外周ヨーク22の内部にムービングコイル体23が摺動されるように構成されている。中空状に形成された外周ヨーク22の一端には、外周ヨーク22の一端側を閉口するように蓋ヨーク24が設けられ、蓋ヨーク24には対向する位置に外周ヨーク22の軸心に平行して2本の端子ピン25が固着されている。ムービングコイル体23は、コイル27を巻回し中空状に形成されるボビンと26、ボビン26内に配置される主極28とを有し、外周ヨーク22内に主極28と対向して配設される永久磁石29によって発生される磁束により外周ヨーク22内を摺動可能に構成されている。また、ムービングコイル体23の一方には、油圧サーボ弁BのスプールSに接続する接続部26aがボビン26に形成され、他方には、コイル27の一端に、前記端子ピン25が給電手段30により接続されている。
【0003】
従来、この給電手段30は固定されている端子ピン25に対して可動するムービングコイル体23に接続されるため、各種の弾性を有するものが使用されていた。例えば、図5に示されるものでは、数本の細い銅線を三つ編みに状態にした編線30Aを、一端を端子ピン25に固着し他端をコイル27に固着して、弛みを持たせるように接続していた。このタイプでは、コイル27と端子ピン25間の距離が変化しても、編線30Aによる柔軟性を有しているので、距離の変化に追従できる。また、図6に示されるものは、細いリン青銅線等により小径で密着状態に巻いたコイルばね30Bを製作し、一端を端子ピン25に係止し他端をコイル27に固着するように接続していた。このタイプでは、コイルばね30Bの弾性により、コイル27と端子ピン25間との距離の変化に追従できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のリニアアクチュエータ21における、ムービングコイル体23のコイル27と端子ピン25を接続する給電手段30は、例えば、前述の編線30Aを使用するものにおいては、コイル27が端子ピン25に接近し編線30Aが弛んだ状態になると、編線30Aが周辺のヨーク21に接触するおそれが生じてしまう。そのため、絶縁チューブで覆うとムービングコイル体23の動きが悪くなり作動誤差を生じるもとになる。また、コイルばね30B状態にした給電手段30においては、ムービングコイル体23のストロークが大きい場合に初期荷重が大きくなり作動誤差を生じるもとになるとともに、弛んだ時にやはり周辺のヨーク21に接触するおそれが生じてしまう。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するものであり、コイルと端子ピン間の距離が変動しても支障を起こすことのない給電手段を配設することによって、安定した電流をコイルに供給し、作動誤差を生じることない安定した性能を保つことのできるリニアアクチュエータを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかわるリニアアクチュエータでは、上記の課題を解決するために以下のように構成するものである。すなわち、
中空状に形成されるヨークと、前記ヨーク内に配設され磁束を発生させる磁石と、前記ヨーク内を摺動可能に配設され、前記磁石に対向して配設される主極、前記主極の外周に配設されるボビン、前記ボビンに巻回されるコイル、を備えて形成されるムービングコイル体と、前記ヨーク内に配設され前記ムービングコイル体と給電手段を有して接続される端子ピンと、を有し、前記ムービングコイル体の一端が油圧弁のスプールに接続されるように構成されるリニアアクチュエータであって、
前記給電手段が、単線で形成される給電ばねを有し、前記給電ばねが前記ボビンの側面に沿って円弧状に配設されるとともに、前記給電ばねの一端が前記端子ピンの一端に固着され、前記給電ばねの他端が前記ムービングコイル体のコイルの一端に固着されるように構成され
前記ムービングコイル体と前記スプールとの間に、前記スプールを締め込む際に生じる前記ムービングコイル体への回転力を吸収する接続具が、前記ムービングコイル体に回動自在に配設されていることを特徴とするものである。
【0007】
また好ましくは、前記給電ばねが、前記ボビンの側面に突出されるガイド部にガイドされていることを特徴とするものであればよい。
【0008】
また、前記端子ピンが、対向する位置に2箇所配設され、前記給電ばねが、それぞれの前記端子ピンに固着されるように、対向して2本配設されることを特徴とするものであればなお好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
本形態のリニアアクチュエータ1は、図1に示されるように、中空状に形成される矩形の外周ヨーク2と、外周ヨーク2の一方の開口部を閉口するように、外周ヨーク2に取り付けられる横蓋ヨーク4と、を有して枠体が形成され、外周ヨーク4の他方の開口部が油圧サーボ弁BのスプールSに連接されるように形成されている。
【0012】
横蓋ヨーク4には、横蓋ヨーク4を横切るように挿入される2個の端子ピン6が、お互いに対向する位置で絶縁ブッシュ7を介して固着され、端子ピン6の一端は枠体内に挿入され、他端は枠体外の位置で、図示しない端子箱にリード線を介して接続される。また、横蓋ヨーク4の内方には永久磁石8が横蓋ヨーク4に固着されるように配設されている。
【0013】
外周ヨーク2内には、ムービングコイル体10が外周ヨーク2内を摺動できるように配設されている。ムービングコイル体10は、スプールS側が閉口される筒状のボビン11と、ボビン11の外周面に巻回されるコイル13と、ボビン11内に永久磁石8に対向するように配置される主極14と、とを有して構成され、前記ボビン11には、横蓋ヨーク4側端面にフランジ部11aが形成され、ボビン11中央部に外周方向に中間フランジ部11bが形成され、フランジ部11a・11b間にコイル13が巻回されるとともに、スプールS側には軸心中央部にスプールSに接続される接続口11cが配設され、接続口11cに接続体15が回動可能に配設されている。
【0014】
また、図2〜3に示されるように、ボビン11のフランジ部11aの端面略全周に沿って、一端がそれぞれの端子ピン6に固着された2本の給電ばね20が配設されている。そして、フランジ部11a端面には、横蓋ヨーク4側に突出し、円周方向に対して対向する位置に形成される2箇所の給電ばね固着部11dと、給電ばね20を挟むように形成される複数カ所(本形態ではそれぞれの給電ばね20に対して2箇所、計4箇所)の給電ばねガイド部11eが配設されている。それぞれの給電ばね20は1本のリン青銅製丸線あるいは平角線で形成され、一端がU字状あるいは円弧状に巻きつけるように形成されるフック部20aを有し端子ピン6にハンダにて固着されるとともに、それぞれの給電ばねガイド部11eにガイドされるように円弧状に形成され、他端がそれぞれの給電ばね固着部11dを貫通して固着される。そして、給電ばね固着部11dを貫通した給電ばね20の他端に、ムービングコイル体10のコイル13のリード線13aが弛みを有してハンダ付で固着される。この際、2本の給電ばね20は、それぞれの端部において接触することのないように配設される。従って、給電ばね20は、ムービングコイル体10がスプールSを作動させるために永久磁石8から離れるように移動されると、給電ばね固着部11dと端子ピン6との固着部との間で傾斜を有するように撓むことになる。
【0015】
また、ボビン11のスプール側においては、接続体15の回りに回り止めピン17が挿入される2個のピン穴と、流体抵抗を下げるための複数の抜け穴が形成されている。
【0016】
一方、接続口11cに回転可能に嵌合される接続体15は、大径部15a、小径部15bを有する段付き丸状に形成され、小径部15bの外周面が接続口11cに嵌合され、小径部15bの端面はボビン11に挿入された後、カシメされてボビン11の内部からボビン11を挟むようにフランジ部15cが形成される。従って、接続体15はボビン11の接続口11cに取り付けられると、左右方向には移動が規制され、回転方向に摺動されるように配設されることになる。また、接続体15の大径部15aにはスパナがけができるようにスパナの口径に合わせた切欠部15eが形成されるとともに、軸心に沿って雌ねじ15dが貫通され、スプールSが螺合される。スプールSが螺合される際、一方では切欠部15eにスパナを掛けて接続体15の回り止めを行いながら他方でスプールSを締め付けることになるが、スプールSを締め付ける力が強くて接続体15がスパナとともに回転したとしても、接続体15は小径部15bがボビン11の接続口11cの内周面を空回りするだけであることから、スプールSを締め付けることによるボビン11に対する回転方向の力は、接続体15がボビン11に回転方向に摺動されることによって吸収されるため、ボビン11を軸心に対して回転させる力は発生することなく、給電ばね20を撓ませることがない。
【0017】
さらに、ボビン11と弁体Bとの間には、ボビン11及び主極14を回転方向に規制する回り止めピン17が配設されている。
【0018】
上記のように構成されたリニアアクチュエータ1は、端子ピン6に電圧が印加され、端子ピン6から給電ばね20を通ってコイル13が通電されると、外周ヨーク2、ムービングコイル体10、永久磁石8及び横蓋ヨーク4間内に磁束が発生し、ムービングコイル体10が外周ヨーク2内を図1中、左方向に摺動し、ムービングコイル体10に接続されたスプールSが左方向に移動されて油圧サーボ弁Bを作動させる。
【0019】
この際、給電ばね20は、一端が端子ピン6に固着され他端がムービングコイル体10のボビン15に固着されているので、給電ばね20が給電ばねガイド部15eの間を右方向に移動され、端子ピン6に対して傾斜するように撓むことになる。従って、給電ばね20が従来のように外周ヨーク2に接触することがなくなる。
【0020】
なお、給電ばね20には、給電ばね20を保護するために非磁性の樹脂等が 一部あるいは全部を被覆させるようにしてもよい。
【0021】
【発明の効果】
上述のように本発明のリニアアクチュエータによれば、リニアアクチュエータには、中空状に形成されるヨーク内に摺動可能にムービングコイル体が配設され、ムービングコイル体が前記ヨーク内に固定配設される端子ピンに接続されている。そして、前記端子ピンと前記ムービングコイル体のコイルを単線で円弧状に形成される給電ばねが接続されている。前記ムービングコイル体が移動されると、前記給電ばねが、前記端子ピンの固着部と前記ムービングコイル体との固着部との間で傾斜されるように撓むため、前記給電ばねが軸心に直交する方向には振れることがない。そのため給電ばねが前記ヨークに接触せず、安定した電流が給電ばねを通じてコイルに供給することができ、安定した性能を保つことができる。
【0022】
また、このリニアアクチュエータでは、前記給電ばねが2本配設され、前記ムービングコイル体を構成するボビンの側面に突出されるガイド部にガイドされているため、前記ムービングコイル体の移動時、前記給電ばねが前記ヨークに接触することを妨げることができ安定した電流をコイルに供給することができる。
【0023】
さらに、前記ムービングコイル体と前記スプールとの間に、前記スプールを締め込む際に生じる前記ムービングコイル体への回転力を吸収する接続具が配設されているため、スプールを締め付ける時は、前記接続具が回転されることがあっても、接続具は回動自在に前記ムービングコイル体に配設されていることから前記ムービングコイル体回転させることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるリニアアクチュエータの取り付け断面図
【図2】給電ばね部を含んだリニアアクチュエータの断面図
【図3】給電ばねをが取り付けられるボビンの側面視
【図4】図2におけるA矢視図
【図5】従来のリニアアクチュエータを示す断面図
【図6】従来の別のリニアアクチュエータを示す断面図
【符号の説明】
1…リニアアクチュエータ
2…外周ヨーク(ヨーク)
4…横蓋ヨーク
6…端子ピン
8…永久磁石
10…ムービングコイル体
11…ボビン
13…コイル
15…接続体
20…給電ばね
S…スプール

Claims (3)

  1. 中空状に形成されるヨークと、前記ヨーク内に配設され磁束を発生させる磁石と、前記ヨーク内を摺動可能に配設され、前記磁石に対向して配設される主極、前記主極の外周に配設されるボビン、前記ボビンに巻回されるコイル、を備えて形成されるムービングコイル体と、前記ヨーク内に配設され前記ムービングコイル体と給電手段を有して接続される端子ピンと、を有し、前記ムービングコイル体の一端が油圧弁のスプールに接続されるように構成されるリニアアクチュエータであって、
    前記給電手段が、単線で形成される給電ばねを有し、前記給電ばねが前記ボビンの側面に沿って円弧状に配設されるとともに、前記給電ばねの一端が前記端子ピンの一端に固着され、前記給電ばねの他端が前記ムービングコイル体のコイルの一端に固着されるように構成され
    前記ムービングコイル体と前記スプールとの間に、前記スプールを締め込む際に生じる前記ムービングコイル体への回転力を吸収する接続具が、前記ムービングコイル体に回動自在に配設されていることを特徴とするリニアアクチュエータ。
  2. 前記給電ばねが、前記ボビンの側面に突出されるガイド部にガイドされていることを特徴とする請求項1記載のリニアアクチュエータ。
  3. 前記端子ピンが、対向する位置に2箇所配設され、前記給電ばねが、それぞれの前記端子ピンに固着されるように、対向して2本配設されることを特徴とする請求項1または2記載のリニアアクチュエータ。
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