JP3660597B2 - 高次分散同時補償方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ファイバ伝送路の高次(波長)分散による信号光パルスの波形劣化を位相変調により補償する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
位相変調器を用いた高次分散補償装置についての従来技術として、光ファイバ伝送路の4次分散のみ、あるいは3次分散のみを補償する技術について、それぞれ報告がある。
まず、この従来技術による光ファイバ伝送路の4次分散補償、3次分散補償の動作原理について具体的に説明する。
波長分散による信号光パルス波形の劣化は、信号光パルスの角周波数成分ごとに作用する位相変化に起因する。
位相変化の角周波数依存性は次のテイラー展開式で表される。
【0003】
【数1】
Figure 0003660597
但し、
【0004】
【数2】
Figure 0003660597
【0005】
であり、Lは光ファイバ伝送路長、ω0 は信号光パルスの中心角周波数である。このテイラー展開式の右辺のうちβ2 を含む項以降の非線形項が光信号パルスの波形変化を与える。
β2 3 4 の項に起因する分散のことをそれぞれ2次、3次、4次分散と呼び、特にβ3 の項以降の項に起因する分散は一般に高次分散と呼ばれている。
なお、テイラー展開式の右辺の線形項はパルス波形には変化を及ぼさない。
このテイラー展開の式より、2次、3次、4次分散によるパルス波形変化の大きさは、信号光パルスの角周波数帯域の2乗、3乗、4乗にそれぞれ比例することが分かる。
【0006】
信号光パルスの角周波数帯域はパルス幅に反比例することから、例えばパルス幅が1/10になると、2次、3次、4次分散による波形変化の大きさはそれぞれ、100倍、1000倍、10000倍になる。
したがって、光通信の伝送速度が増大してパルス幅が小さくなるほど高次分散の影響が急激に大きくなり、その補償が重要になってくる。
伝送光ファイバの2次分散と3次分散は、異なる種類の光ファイバを組み合わせることにより同時に補償することができる。
【0007】
しかしながら、異なる種類の光ファイバの組み合わせで2次、3次、4次分散を同時に補償することはできない。
これに対し、信号光パルスの各角周波数成分に対して適当な位相変化を与え、式(1)の右辺に示される位相変化の角周波数依存性を線形化することができれば分散による信号光パルス波形の変化を補償することができる。
位相変調器を用いた高次分散補償はこの原理に基づくものである。
図8は、位相変調器を用いた4次分散補償の原理を、位相変化量の角周波数依存性の計算結果を用いて説明するものである。
【0008】
図8中の細い実線で表される4次曲線C1は伝送路の4次分散による位相変化を示すものである。
この4次曲線C1に、図8中の破線で示す適当な2次曲線C2を足し合わせると、その曲線は図8に示していないがω0 付近では縦軸方向にバイアスがかかったほぼ余弦曲線で表される。
ここで、足し合わせる2次曲線C2は光ファイバ伝送路全体の2次分散の大きさを調整することで設定できる。
【0009】
この状態で、適当な振幅を持った余弦位相変調(図8中の点線C3)を信号光パルスの角周波数成分に対して与えることにより、全体の位相変化量を表す曲線(図8中の太い実線)C4は、元の4次曲線C4よりも広い線形領域を持つことになる。
この結果、信号光パルスを構成する角周波数範囲内において、位相変化量の角周波数依存がほぼ線形になる範囲が広がることにより、4次分散の影響が低減される。
【0010】
この方法では、位相変調器により角周波数領域で余弦位相変調を信号光パルスに印加する必要があるが、位相変調器は本来、時間領域で変調を印加する素子である。
そこで、まず位相変調器の前段に大きい2次分散を持った光ファイバを挿入して、信号光パルスに線形チャープを印加する。
この線形チャープはパルスの角周波数成分が時刻に対する線形関数となることを意味し、その結果、位相変調器により時間領域で印加された余弦位相変調は、自動的に角周波数領域での余弦位相変調となる。
【0011】
余弦位相変調の繰り返し周波数は信号光パルスの繰り返し周波数により決定される。
図9は、位相変調器を用いた3次分散補償の原理を、位相変化量の角周波数依存性の計算結果により説明するものである。
図9中の細い実線で表される3次曲線C5は光ファイバ伝送路の3次分散による位相変化を示すものである。
この場合、信号光パルスの角周波数成分に対して適当な振幅を持った正弦位相変調(図9中の点線C6)を与えることにより、全体の位相変化量を表す曲線(図9中の太い実線)C7は、元の3次曲線C5よりも広い線形領域を持つことになり、3次分散の影響が低減される。
【0012】
4次分散補償の際と同様に、大きい2次分散を持った光ファイバにより信号光パルスに線形チャープを印加した後に位相変調器へ入射して、角周波数領域での正弦位相変調の印加を可能にする。
光ファイバ伝送路の4次分散のみを補償する高次分散補償の従来技術の具体例として、IEEEフォトニクステクノロジーレターズ(IEEE Photonics Technolog y Letters)、第12巻、第795〜797頁に示されている高次分散補償装置の基本構成を図10に示す。
【0013】
この文献で説明されている高次分散補償装置10は、2次分散印加光ファイバ11、光カプラ12、位相変調器13、分散補償光ファイバ14、クロック抽出器15により構成され、伝送光ファイバ16の前段(入射側)に設置される。
高次分散補償装置10へ入射された光パルスに対し、まず、2次分散印加光ファイバ11によりパルス幅を広げて線形チャープを与える。
続いて、光カプラ12により光パルスの一部を分岐してクロック抽出器15へ入射し、クロック抽出器15から光パルスと同期した余弦波信号を発生させる。
【0014】
この余弦波信号を光位相変調器13へ入射し、線形チャープを与えられた光パルスに対し、位相変調を施す。
位相変調のタイミングは、光パルスの強度ピークと変調による位相シフトのピークが時間的に一致するように設定する。
位相変調後の光パルスを分散補償ファイバ14へ入射する。
分散補償ファイバ14の長さは、図8中の破線で示す2次曲線C2が得られるように設定する。即ち、高次分散補償装置10を構成する光ファイバ11,14と伝送光ファイバ16を合わせた光ファイバ全体における2次分散と4次分散の角周波数依存性の曲線の和が余弦曲線で近似できるように、分散補償光ファイバ14の長さで調整する。
【0015】
なお、この分散補償光ファイバ14は、伝送光ファイバ16の前段ではなく伝送光ファイバ16の後段に挿入しても分散に対する効果は同じである。
このような構成で、伝送光ファイバ16の分散で発生する位相変化に対し、その逆の位相変化を高次分散補償装置10内の光ファイバ11,14と位相変調器13で発生させることにより、伝送光ファイバ16の4次分散に基づく波形歪みが補償される。
伝送光ファイバ16の3次分散のみを補償する高次分散補償の従来技術の具体例として、IEEEフォトニクステクノロジーレターズ(IEEE Photonics Technology Letters)、第11巻、第1461〜1463頁を挙げる。
【0016】
この文献に示されている高次分散補償装置の基本構成は図10に示したものと同じである。
2次分散印加光ファイバ11によりパルス幅を広げて線形チャープを与えた光パルスを位相変調器13に入射する。
但し、位相変調のタイミングは、光パルスの強度ピークと変調による位相シフトが0となる点が時間的に一致するように設定する。
位相変調後の光パルスを分散補償光ファイバ14へ入射する。
【0017】
この際、高次分散補償装置を構成する光ファイバ11,14と伝送光ファイバ16を合わせた全体における2次分散が0になるように分散補償光ファイバ14の長さを調整する。
3次分散補償においても4次分散補償と同様に、伝送光ファイバ16の分散で発生する位相変化と逆の位相変化を高次分散補償装置10内のファイバ11,14と位相変調器13で発生させることにより、伝送光ファイバ16の3次分散に基づく波形歪みを補償している。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
図10に示した高次分散補償装置を用い、信号光パルスのピークと位相変調の振幅のピークの時刻が一致するように位相変調器13に余弦位相変調を与えることにより、伝送光ファイバの4次分散に基づく歪みを補償することができるが、この場合3次分散に基づく歪みは補償されない。
また、信号光パルスのピークと位相変調の振幅が0になる時刻が一致するように位相変調器14に正弦位相変調を与えることにより、3次分散に基づく歪みを補償することができるが、この場合4次分散に基づく歪みは補償されない。
【0019】
即ち、図10に示した高次分散補償装置を用い、信号光パルスのピークにタイミングを同期させた余弦位相変調、あるいは正弦位相変調を印加するという方法では、4次分散あるいは3次分散のどちらか片方のみに基づく歪みしか補償できないという問題点があった。
この発明の目的は、位相変調器を用い、伝送光ファイバの3次分散、ならびに4次分散に基づく波形歪みを同時に補償できる方法及び装置を提供することにある。これが実現されれば、200fs(フェムト秒)以下の超短光パルスを長距離にわたって伝送させることが初めて可能となる。
【0020】
【課題を解決するための手段】
この発明の高次分散同時補償方法は、伝送前の信号光パルスに対し線形チャープを与え、その後に線形チャープが与えられた信号光パルスに伝送光ファイバの3次分散、4次分散の値に応じて振幅、タイミングを最適化した正弦(ここでは正弦と余弦を代表して正弦と記す)波位相変調を印加することによって、伝送光ファイバの3次、4次分散に基づく波形歪みを補償する。つまり従来において、3次分散に基づく波形歪みを補償するための正弦位相変調に正弦波と、4次分散に基づく波形歪みを補償するための余弦位相変調の余弦波とを線形合成した単一の正弦波による位相変調が前記最適化した正弦波位相変調となる。
【0021】
また、この発明の高次分散同時補償装置は、信号光パルスに線形チャープを印加する手段、信号光パルスを分岐する光カプラ、分岐された信号光パルスと同期した正弦波信号を抽出するクロック抽出器、正弦波信号により、線形チャープが印加された信号光パルスを位相変調する位相変調器及び分散補償光ファイバを備える高次分散補償装置において、クロック抽出器と位相変調器との間の正弦波信号の経路に可変位相シフタと可変振幅調整器が直列に挿入されている。これら可変位相シフタ、可変振幅調整器を調整して位相変調器へ入射する正弦波信号の振幅とタイミングを伝送光ファイバの3次、4次分散に応じて設定できるようにされている。
【0022】
また、この発明の他の高次分散同時補償装置は、信号光パルスに線形チャープを印加する手段、信号光パルスを分岐する光カプラ、分岐された信号光パルスと同期した正弦波信号を抽出するクロック抽出器、正弦波信号により線形チャープが印加された信号光パルスを位相変調する位相変調器及び分散補償光ファイバを備える高次分散補償装置において、クロック抽出器と位相変調器との間の正弦波信号経路に可変振幅調整器及び可変位相シフタが直列に挿入され、位相変調器の後段に積層光薄膜全透過分散等化器(Layered Optical Thin−film Allpass Dispersion Equalizer:LOTADE)が挿入される。伝送光ファイバの3次分散に基づく波形歪みが積層光薄膜全透過分散等化器により低減され、残留3次分散と4次分散に基づく波形歪みが位相変調器の位相変調により補償されるように構成されている。
【0023】
作用
伝送光ファイバの4次分散による位相変化の角周波数依存性に基づく波形歪みは、伝送前に線形チャープを印加した信号光パルスに対して余弦位相変調を与えることで補償できる。
また、3次分散による位相変化の角周波数依存性に基づく波形歪みは正弦位相変調で補償できる。
ここで、図1に示すように、同じ周波数を持った余弦位相変調φc(t)=−φc cos(2πR0 t)(図1中の細い実線C11)と正弦位相変調φs(t)=−φs sin(2πR0 t)(図1中の点線C12)の線形和φ(t)は以下のように一般化した一つの余弦波曲線(図1中の太い実線C13)で表される。
Figure 0003660597
この式(3)は、伝送光ファイバの4次分散に応じて2次分散印加光ファイバと分散補償光ファイバの長さを最適化し正弦位相変調を信号光パルスに与えた状態から、伝送光ファイバの3次分散に応じて位相変調信号の振幅とタイミングを調整することにより、3次分散と4次分散に基づく各波形歪みの同時補償が実現されることを示している。
【0024】
図2は、一つの位相変調器を用いた3次、4次分散補償の原理を、位相変化量の角周波数依存性の計算結果を用いて説明するものである。この図においては、2次、3次、4次分散による位相変化の和(図2中の細い実線C14)、3次、4次分散補償のために振幅、タイミングを最適化した位相変調(図2中の点線C15)、これらを合計した位相変化量(図2中の太い実線C16)を示す。2次、3次、4次曲線の和を表す曲線C14に、一つの正弦波曲線C15を足し合わせることで、中心角周波数ω0 付近において線形な位相特性が得られていることが分かる。
【0025】
【発明の実施の形態】
第1実施形態
図3は、この発明の高次分散同時補償方法及び装置の第1実施形態の構成を示す。
この第1実施形態では、10Gbit/sのフェムト秒信号光パルスを、時間多重により64多重、さらに偏波多重により2多重して1.28Tbit/sの信号光を発生させ、70kmの光ファイバを伝送させる実験に対し、この発明の3次、4次分散同時補償を適用した結果について説明する。
【0026】
この発明の高次分散同時補償装置10は、入力射光を2分岐する光カプラ12、光カプラ12の一方の出射ポートに一端が接続された2次分散印加光ファイバ11、2次分散印加光ファイバ11の他端に接続された位相変調器13、位相変調器13の出射側に一端が接続された分散補償光ファイバ14、光カプラ12の他方の出射ポートに接続されたクロック抽出器15、クロック抽出器15の出力側と位相変調器13の変調信号入力側との間に直列に接続された可変位相シフタ17及び可変減衰器18から成る。
【0027】
チャープのない10Gbit/s信号光パルスがこの高次分散同時補償装置10へ入射され、伝送光ファイバ16の2次、3次、4次分散で生じる非線形チャープと逆のチャープがあらかじめ与えられた後、時間多重装置19による多重化が行われる。
この高次分散同時補償装置10でのチャープ印加により、信号光パルスは伝送ファイバ16を通過する際の高次分散による波形の劣化を大きく低減することができる。
【0028】
高次分散同時補償装置10内の構成及び各パラメータの設定について説明する。
高次分散同時補償装置10へ入射された10Gbit/s信号光パルスは、2次分散β2s、長さLs の2次分散印加光ファイバ11により、パルス幅がTs まで広げられ、線形チャープが与えられる。
この線形チャープにより光信号パルスの角周波数成分は、以下のような時刻tについての線形関数となる。
【0029】
ω−ω0 =−sign(β2s)(2πFBW/Ts)t (4)
ここでω0 はパルスの中心角周波数、FBWは光信号パルスの帯域幅である。このようにして線形チャープを与えられた光信号パルスに対し、時間的に位相を変化させる位相変調を施すと、光信号パルスの角周波数成分ごとに異なる位相変化が与えられることになる。
例として位相変調器13で余弦位相変調を行った場合を考えると、つまり線形チャープされた光信号パルスに対し余弦波で位相変調すると、位相変化の角周波数依存性は余弦曲線で表されることになる。
【0030】
高次分散同時補償装置10へ入射された信号光パルスの一部は光カプラ12によって分岐された後にクロック抽出器15へ入射され、クロック抽出器15からは信号光と同期した10GHzの正弦波電気信号が出力される。
このようにして得られた10GHz正弦波電気信号のタイミングと振幅を、伝送光ファイバ16の3次分散、4次分散に応じて可変位相シフタ17、可変減衰器18によりそれぞれ最適化した後に、位相変調器13に変調信号として入力し、線形チャープした信号光パルスに対して位相変調を与える。
【0031】
2次分散β2c、長さLc の分散補償光ファイバ14は、伝送光ファイバ16の4次分散に基づく波形歪み補償のために意図的に印加する2次分散の量を調整するために挿入する。
高次分散同時補償装置10へ入射される信号光パルスがガウシアン波形である場合、2次分散印加光ファイバ11の長さLs 、分散補償光ファイバ14の長さLc 、4次分散補償に必要な余弦位相変調の振幅φc 、3次分散補償に必要な正弦位相変調の振幅φs は、以下の4つの式からなる連立方程式を解くことにより求められる。
【0032】
【数3】
Figure 0003660597
【0033】
0 =(0.94πFBW/Ts)(−β4 /6β2 1/2 (6)φc =3β2 2L/4β4 (7)φs =−(FBW 3 π3 β3 L/24R0 3s 3) (8)但し、
βn =βnss+βncc+βntftf/L、 (n=2,3,4) (9)L=Ls +Lc +Ltf (10)であり、Tinは高次分散同時補償装置10へ入射される信号光パルスのパルス幅、R0 は信号光パルスの繰り返し周波数、FBWは信号光パルスの帯域、Ltfは伝送光ファイバ16の長さ、βnsncntf(n=2,3,4)はそれぞれ、2次分散印加光ファイバ11、分散補償光ファイバ14、伝送光ファイバ16の2次、3次、4次分散である。
【0034】
この第1実施形態で述べる実験においては、2次分散印加光ファイバ11として、1.3μm波長用零分散シングルモード光ファイバ、分散補償光ファイバ14として逆分散光ファイバを使用した。
また、長さ69.4kmの伝送光ファイバ16は、長さ39.7kmの1.3μm波長用零分散シングルモード光ファイバ、4.6kmの分散シフト光ファイバ、25.1kmの逆分散光ファイバをつないで構築した。
ここで、Tin=380fs、Ts =46psとし、β2s=−23.0ps2 /km、β3s=1.23×10-1ps3 /km、β4s=−1.10×10-3ps4 /km、β2c=37.8ps2 /km、β3c=−2.12×10-1ps3 /km、β4c=2.43×10-3ps4 /km、β2tf=7.76×10-3ps2 /km、β3tf=3.40×10-4ps3 /km、β4tf=8.68×10-4ps4 /km、Ltf=69.5kmである場合について、上記(5)−(8)式に数値を代入して計算すると、2次分散印加光ファイバ11の長さはLs =276.2m、分散補償光ファイバ14の長さはLc =139.2m、4次分散補償に必要な余弦位相変調の振幅はφc =1.20π、3次分散補償に必要な正弦位相変調の振幅はφs =−0.18πという解が得られる。
【0035】
この計算結果と式(3)より、3次、4次分散の補償のために必要な10GHz余弦波変調は次式で与えられることが分かる。
φ(t)=−1.21πcos[2πR0 t+0.048π] (11)
位相変調器13へ入射する10GHz正弦波信号のタイミングと振幅の最適化は可変位相シフタ17、可変減衰器18にてそれぞれ行う。
なお、伝送光ファイバ16の分散値(β2tf3tf4tf)には、時間多重装置19の入射側の部分と伝送光ファイバ16の前後に挿入されたエルビウム添加光ファイバ増幅器の各強度の分散も含まれている。
【0036】
図4に、この第1実施形態の伝送光ファイバ16の3次、4次分散による信号光パルス波形の劣化の様子と、位相変調による3次、4次分散による波形歪み同時補償を施した場合の波形の改善について計算した結果を示す。
計算に使用した各パラメータの値は上述の通りである。
図4(a)は伝送光ファイバ16の3次分散のみによる波形劣化の様子を示す。
細い線C20は伝送前の光パルス幅380fs(フェムト秒)の伝送前の光パルスであり、太い線C21は3次分散により波形が劣化した後の光パルスである。
【0037】
3次分散により非対称な波形の歪みが生じ、裾に振動成分が見られることが分かる。
図4(b)は伝送光ファイバ16の4次分散のみによる波形劣化の様子を示す。
太い線C22は4次分散により波形が劣化した後の光パルスである。
4次分散により対称な光パルス波形の広がりが生じ、長い裾が見られることが分かる。
【0038】
これに対し図4(c)は、前述の実験系と同じ設定で、伝送光ファイバ16の3次、4次分散に基づく波形歪みを補償した際の伝送後の波形を太い線C23で示す。
図4(a)、(b)で見られた波形の劣化が、第1実施形態に基づく位相変調による分散補償により十分抑制されていることが分かる。
図5は、上述の実験系を用いて実際に380fsの光パルスを伝送させた場合の自己相関波形の測定結果を示す。
【0039】
図5(a)は高次分散同時補償装置10に入射する前の波形、図5(b)は分散補償を施して伝送光ファイバ16を通した後の波形である。
なお、この第1実施形態で説明している実験は1.28Tbit/sの信号光を伝送させるものであるか、図5(b)においては、隣接する光パルスの裾の重なりを避けて一つの光パルス波形全体が見られるように、160Gbit/sの時間多重信号光を伝送させて波形観察を行った。
伝送後の光パルス幅は400fsであり、伝送によるパルス広がりはわずかに20fsであることから、この第1実施形態による3次、4次分散補償の有効性が実験的に示されている。
【0040】
また、この実験では誤り率測定を行い、伝送後の128チャネルの10Gbit/s信号がすべて−21dBm以上の受光強度において1×10-9以下の誤り率が得られることを確認している。
以上、この第1実施形態で述べたように、この発明の3次、4次分散同時補償方法及び装置は、超高速時間多重信号光の伝送における信号光パルス波形の劣化を抑制するものであり、将来の情報技術社会に向けて必要となる光通信の超高速化において非常に重要な技術となるものである。
第2実施形態
図6は、この発明の高次分散同時補償方法及び装置の第2実施形態の構成を示す。
【0041】
この第2実施形態として示す高次分散同時補償装置10は、図3に示した第1実施形態と同様に、光カプラ12、2次分散印加光ファイバ11、位相変調器13、分散補償光ファイバ14、クロック抽出器15、位相シフタ17、可変減衰器18を設けるか、この第2実施形態においては分散補償光ファイバ14の出射側に積層光薄膜全透過分散等化器(Layered Optical Thin−film Allpass Dispersion Equalizer:LOTADE)20が直列に挿入される。
信号光パルスがこの高次分散同時補償装置10へ入射され、伝送光ファイバ16の2次、3次、4次分散で生じる非線形チャープと逆のチャープが高次分散同時補償装置10内であらかじめ与えられた後、時間多重装置19による多重化が行われる。
【0042】
第2実施形態においては伝送光ファイバ16として分散シフト光ファイバを考える。
第1実施形態において伝送光ファイバ16は1.3μm波長用零分散シングルモード光ファイバと逆分散光ファイバとを主にして構成した上に、分散シフト光ファイバを継ぎ足すことにより、伝送光ファイバ16の全体での2次分散のみならず3次分散の値もできるだけ小さく設定するようにした。
その結果、第1実施形態の伝送光ファイバ16における3次分散は3.40×10-4ps3 /kmと小さい値であった。
【0043】
これに対し、伝送光ファイバ16として分散シフト光ファイバを考えるこの第2実施形態においては、2次分散は小さい値であるが、3次分散の値は約0.1ps3 /kmであり、第1実施形態と比較して非常に大きい値となる。
この場合、位相変調のみでは3次分散に基づく波形歪みの補償が困難である。そこで、この第2実施形態においては、積層光薄膜全透過分散等化器20を位相変調器13の後段に挿入し、伝送光ファイバ16の3次分散に基づく波形歪みについては、この積層光薄膜全透過分散等化器20にて大部分の補償を行い、その残留した3次分散による波形歪みと4次分散に基づく波形歪みについては、位相変調器13による位相変調により補償を行うというものである。
【0044】
積層光薄膜全透過分散等化器20の基本的構成の具体例として、エレクトロニクスレターズ(Electronics Letters)、第36巻、第1139〜1141頁のFig.1に示されている構成を図7として示す。
上記文献における積層光薄膜全透過分散等化器20は、結合双共振器全透過フィルタ21に入出力用のデュアル光ファイバフェルールアセンブリ22を結合した構成である。
結合双共振器全透過フィルタ21は反射率がそれぞれr1 ,r2 ,r3 のミラー23,24,25を間隔d1 ,d2 で順次並べた構成であり、r1 ,r2 とd1 ,d2 を適切に設定することによって目的とする大きさの3次分散量が得られ、伝送光ファイバ16の3次分散を補償することが可能となる。
【0045】
なお、反射率r3 は100%に設定する。
中心波長の異なる積層光薄膜全透過分散等化器20を縦列に接続することによって、超高速時間多重信号光パルス用に帯域を拡大することができる。
分散シフト光ファイバを伝送光ファイバ16として使用する場合、波長多重伝送においては、各チャネル間の四光波混合による信号の劣化を防ぐために、伝送光ファイバ16の零分散波長を避けて波長を設定することが通常行われており、零分散波長付近は利用されていない。
【0046】
これに対し、この第2実施形態に示す方法及び装置を使用することにより、分散シフト光ファイバの零分散波長付近を時間多重信号光用として使用することができ、波長の有効利用が可能となる。
図6において積層光薄膜全透過分散等化器20は、位相変調器13の後段に設けられていればよく、従って、図6において、位相変調器13と分散補償光ファイバ14との間に挿入してもよく、伝送光ファイバ16の入射側又は出射側に挿入してもよい。
【0047】
図3及び図6に示した各実施形態において、2次分散印加光ファイバ11としては、信号光パルスに対して線形チャープを印加することができるものであればよく、例えばファイバグレーティングなど他のものを用いてもよい。
またこの信号光パルスに線形チャープを印加する手段は、図10に示したように光カプラ12より前段に設けてもよい。つまり光カプラ12により分岐してクロック抽出器15へ供給する信号光パルスは、線形チャープが印加されたものでも、印加されていないものでもよい。
【0048】
可変減衰器18は位相変調器13に印加する正弦波信号の振幅を調整することができるものであればよく、可変利得器を用いてもよい。つまり可変振幅調整器を用いればよい。
更に分散補償光ファイバ14は伝送光ファイバ16の入射端又は出射端に設けてもよい。式(5)〜(8)は信号光パルスがガウシアン波形の場合であり、他の波形の場合は式が異なるが、近似的に式(5)〜(8)を用いてよい場合が多い。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の高次分散同時補償方法及び装置は、光通信の高速化において重大な問題となる高次分散による信号光パルス波形の劣化を抑制することができる。この発明により、ピコ秒からフェムト秒の超短パルス光を用いる超高速光通信が可能となる。
また、第2実施形態によれば分散シフト光ファイバの零分散波長を時間多重信号光伝送用に使用することにより、波長の利用効率を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】余弦位相変調曲線、正弦位相変調曲線、ならびにこの2つの和を表す位相変調曲線を示す図。
【図2】一つの位相変調器を用いた3次、4次分散同時補償の原理を、位相変化量の角周波数依存性の計算結果を用いて説明するための図。
【図3】この発明の高次分散同時補償方法及び装置の第1実施形態の構成を示す図。
【図4】この発明の効果を説明するための計算した結果を示すもので、(a)は3次分散による信号光パルス波形の劣化の様子を示す図、(b)は4次分散による信号光パルス波形の劣化の様子を示す図、(c)はこの発明により3次、4次分散同時補償を施した場合の波形を示す図である。
【図5】第1実施形態の実験系を用いて実際に380fsのパルスを伝送させた場合の自己相関波形の測定結果であり、(a)は高次分散同時補償装置10に入射する前の波形を示す図、(b)はこの発明により3次、4次分散同時補償を施して伝送光ファイバ16を通した後の波形を示す図である。
【図6】この発明の高次分散同時補償方法及び装置の第2実施形態の構成を示す図。
【図7】図6中の積層光薄膜全透過分散等化器20の基本的構成を示す図。
【図8】位相変調器を用いた4次分散補償の原理を、位相変化量の角周波数依存性の計算結果を用いて説明するための図。
【図9】位相変調器を用いた3次分散補償の原理を、位相変化量の角周波数依存性の計算結果を用いて説明するための図。
【図10】高次分散補償の従来の構成を示す図。

Claims (3)

  1. 信号光パルスに線形チャープを印加し、その線形チャープが印加された信号光パルスに、その光パルスの強度ピークと位相シフトゼロとの時刻が一致するように正弦位相変調を行って、光ファイバ伝送路の3次分散による信号光パルスの波形歪みを補償する方法及び、上記線形チャープが印加された信号光パルスに、その光パルスの強度ピークと位相シフトピークとの時刻が一致するように余弦位相変調を行い、かつ2次分散印加光ファイバにより2次分散を印加して、光ファイバ伝送路の2次分散及び4次分散による信号光パルスの波形歪みを補償する方法において、
    上記正弦位相変調と上記余弦位相変調との位相変化の線形和で表される単一の正弦波で上記線形チャープが印加された信号光パルスに対し位相変化を加えて、光ファイバ伝送路の3次分散と4次分散を同時に補償することを特徴とする高次分散同時補償方法。
  2. 信号光パルスに線形チャープを印加する2次分散印加手段と、
    信号光パルスの一部を分岐して取り出す光カプラと、
    分岐して取り出された信号光パルスに同期した正弦波信号を抽出するクロック抽出器と、
    線形チャープを印加された信号光パルスに上記正弦波信号により位相変調を施す位相変調器と、
    信号光パルスの受ける2次分散の大きさを調整する分散補償ファイバとを備えた高次分散補償装置において、
    上記クロック抽出器と上記位相変調器との間の上記正弦波信号の通路に、可変振幅調整器と可変位相シフタが直列に挿入されていることを特徴とする高次分散同時補償装置。
  3. 信号光パルスに線形チャープを印加する2次分散印加手段と、
    信号光パルスの一部を分岐して取り出す光カプラと、
    分岐して取り出された信号光パルスに同期した正弦波信号を抽出するクロック抽出器と、
    線形チャープを印加された信号光パルスに正弦波信号により位相変調を施す位相変調器と、
    信号光パルスの受ける2次分散の大きさを調整する分散補償ファイバとを備えた高次分散補償装置において、
    上記クロック抽出器と上記位相変調器との間の上記正弦波信号の通路に直列に挿入された可変振幅調整器ならびに可変位相シフタと、
    上記位相変調器の後段に挿入された積層光薄膜全透過分散等化器(Layered Optical Thin−film Allpass Dispersion Equalizer:LOTADE)とを備え、
    光ファイバ伝送路の3次分散による信号光パルスの波形歪みは積層光薄膜全透過分散等化器により低減され、微小残留3次分散と4次分散による信号光パルスの波形歪みは位相変調器の位相変調により補償されるように構成されていることを特徴とする高次分散同時補償装置。
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