JP3659788B2 - 汚泥焼却灰からの溶融球状化物製造装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水汚泥焼却灰などの汚泥焼却灰からの溶融球状化物製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水汚泥などの汚泥は焼却し、発生した焼却灰を埋立て処分することが多かった。しかし近年では、埋立て処分地不足などの制約から、焼却灰の有効利用および焼却灰を溶融して得られる溶融スラグの有効利用が図られている。焼却灰の有効利用法としては、土質改良材、路盤材、タイル、透水性ブロックなどへの利用が挙げられる。焼却灰の溶融により生成される溶融スラグも、路盤材、コンクリート骨材としての利用、あるいはタイルなどへの利用が検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、汚泥焼却灰の有効利用を図るに際しては、汚泥焼却灰中に含まれる重金属類が溶出したり、焼却灰をコンクリートの混和材等、他の粉体材料の代替として使用した場合に十分な強度が得られないなど、未解決の課題を多く抱えている。
【0004】
一方、溶融スラグは、重金属類がスラグ内部に封じ込められるため溶出特性に優れているが、通常、数mm〜数十mm程度の塊状であり、粉体として利用するためには粉砕、分級等の後工程を要するだけでなく、強度の問題は依然として残る。
【0005】
そこで、下水汚泥焼却灰と主要成分(Si,Al,Ca)の組成および粒径(数十マイクロメートル)が類似していながら、コンクリートの混和材として使用されているフライアッシュとの相違に着目して、不定形な汚泥焼却灰をフライアッシュのような溶融球状化物にすることが検討された。しかし、これまでは、炉内温度を汚泥焼却灰の溶融温度以上に維持するか、あるいは酸素バーナの高温の火炎に接触させることによって汚泥焼却灰を溶融させていたため、エネルギーロスが大きく、コスト高につながるという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題を解決するもので、汚泥焼却灰から、コンクリート混和材などの粉体材料として利用可能な強度や流動性を有し、かつ安全な溶融球状化物を効率よく製造することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明の請求項1記載の汚泥焼却灰からの溶融球状化物製造装置は、汚泥焼却灰を導入して溶融球状化物となす溶融球状化炉と、前記溶融球状化炉より流出するガス化したセレン、ヒ素およびダイオキシンと溶融球状化物を含んだ高温の排ガスを前記溶融球状化炉から直接に導入して高温の排ガス下においてヒ素、セレンの凝縮、凝縮したヒ素、セレンおよびダイオキシンの再付着を伴うことなく溶融球状化物を分離回収する高温サイクロンを備え、前記溶融球状化炉は、一端部に設けられて火炎を前方へ噴射する空気バーナと、空気バーナのノズル口の近傍に設けられて、汚泥焼却灰を空気バーナの火炎中に火炎が噴射される方向に沿って噴出する焼却灰噴出手段と、空気バーナの火炎を通過した汚泥焼却灰が浮遊して冷却固化する冷却空間とを有したものである。
【0008】
請求項2記載の汚泥焼却灰からの溶融球状化物製造装置は、溶融球状化炉を、空気バーナの火炎に沿う炉壁を水冷壁として構成したことを特徴とする。
請求項3記載の汚泥焼却灰からの溶融球状化物製造装置は、溶融球状化炉が、溶融球状化した汚泥焼却灰の各粒子を冷却する冷却空気もしくは噴霧冷却水などの冷却媒体を供給する冷却媒体供給手段を有したことを特徴とする。
【0009】
上記した請求項1記載の構成において、焼却灰噴出手段により汚泥焼却灰を噴出すると、汚泥焼却灰の各粒子は空気バーナの火炎中を火炎が噴射される方向に沿って通過し、その間に速やかに溶融し、表面張力によって球状化し、冷却空間を浮遊する間に冷却固化して安定な溶融球状化物となる。
【0010】
このとき、汚泥焼却灰の各粒子は、火炎の中を火炎が噴射される方向に沿って通過することで火炎との接触時間が長くなるため、酸素バーナ等に比べると火炎温度が低い空気バーナであっても確実に溶融し、球形状がよく、均質な溶融球状化物となる。
【0011】
生成した溶融球状化物は高温の排ガスに伴われて溶融球状化炉から流出するので、流出した高温の排ガスを直接高温サイクロンの内部に導入して溶融球状化物を分離回収する。これにより、排ガス温度が低い時に溶融球状化物の表面に凝縮して付着し易いセレンやヒ素の付着を防止できる。
【0012】
高温サイクロンから出た高温の排ガスは高温バグフィルタに導入し、微細な溶融球状化物、セレン、ヒ素などの浮遊物を分離してから、別途設けた排ガス処理装置に導く。
【0013】
請求項2記載の構成によれば、溶融球状化した汚泥焼却灰の各粒子が浮遊する間に炉壁に接触しても、壁面が水冷された状態なので付着することはなく、溶融球状化物を高い収率で得ることができる。
【0014】
請求項3記載の構成によれば、溶融球状化した汚泥焼却灰の各粒子を冷却媒体によって速やかに冷却できるので、炉の冷却空間を短くできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1において、1は流動層炉や循環流動層炉などの流動層式焼却炉(図示せず)からの下水汚泥焼却灰(以下、焼却灰という)を溶融球状化する縦型の溶融球状化炉であり、後段に、この炉1より排ガスに伴われて流出する溶融球状化物などの浮遊物を回収する高温サイクロン2と高温バグフィルタ3とが設置されている。高温バグフィルタ3のさらに後段には、ブロワ4より溶融球状化炉1へ送られる空気を排ガスとの熱交換によって加熱する空気予熱器5と誘引ブロワ6とが設けられている。高温サイクロン2の下方には貯溜槽7が設けられている。
【0016】
溶融球状化炉1の炉体8は縦長のほぼ円筒状に形成されており、炉体8の上端部に空気バーナ9が設けられ、下部に炉出口8aが形成され、炉体8内の下部が冷却空間10とされている。炉体8には、冷却空間10に冷却空気を吹き込むブロワ11が連通しており、ブロワ11の連通位置より上方の炉壁は、二重構造の内部を冷却水が循環する水冷壁12とされている。
【0017】
炉体8の上端部は詳細には図2に示したように構成されており、炉体8の内部に貫入して外管13が設けられ、外管13の内側に所定間隔をおいて内管14が設けられ、内管14の内側に空気供給管15とLPGなどの燃料を供給する燃料供給管16とが同心状に設けられており、これら内管14と空気供給管15と燃料供給管16とで空気バーナ9を構成している。
【0018】
炉体8の上部に形成された接続口8aには、二次燃焼空気供給管17が流量弁18を介して接続していて、炉体8と外管13との間隙に二次燃焼空気が供給されるようになっている。外管13の炉外部分に形成された接続口13aには、搬送空気によって焼却灰を送入する焼却灰供給管19が接続していて、外管13と内管14との間隙に焼却灰が供給されるようになっている。空気供給管15の上部に形成された接続口15aには、一次燃焼空気供給管20が流量弁21を介して接続している。
【0019】
空気供給管15と燃料供給管16の各下端は内管14の下端より上方に位置していて、燃料供給管16内に送給される燃料が空気供給管15より噴出する空気と合流して燃焼し、その火炎22がノズル口、すなわち内管14の先端部で規制されて下方へ延びるようになっている。
【0020】
高温サイクロン2は約1000℃以上、高温バグフィルタ3は約800℃以上の高温に耐える材料で構成されている。
上記した構成における作用を説明する。
【0021】
空気バーナ9より上記したような火炎22を噴射し、焼却灰供給管19を通じて外管13と内管14との間隙へ焼却灰を送入すると、焼却灰の各粒子は外管13,内管14の先端部より下方へ噴出して、火炎22の中をその噴射される方向に沿って通過し、それにより速やかにかつ確実に溶融し、表面張力により球状化する。
【0022】
火炎22から出た溶融球状化した焼却灰は、冷却空間10で浮遊しながら温度低下するとともに、ブロワ11より供給される冷却空気によって冷却され、固化して安定な溶融球状化物となる。溶融球状化した焼却灰が壁面に接触することがあるが、水冷壁12とされているので付着することはなく、壁面を転動したものは完全な球形に近づく。
【0023】
溶融球状化物を含んだ高温の排ガス(約700〜800℃)は溶融球状化炉1の炉出口8aを出て、高温サイクロン2の内部に流入し、ここで溶融球状化物を分離される。分離された溶融球状化物は貯溜槽7に取り出される。
【0024】
高温サイクロン2から出た高温の排ガス(約650〜750℃)は高温バグフィルタ3に流入し、ここで微細な溶融球状化物、セレン、ヒ素、ダイオキシンなどの浮遊物を分離される。
【0025】
高温バグフィルタ3から出た高温の排ガスは空気予熱器5に流入し、ブロワ4からの空気との熱交換によって温度低下した後、別途設けられた排ガス処理装置(図示せず)に送られる。
【0026】
このようにして得られた溶融球状化物は、表面が溶融しているため溶出特性に問題がなく、高温の排ガスより分離回収したためセレンやヒ素は付着しておらず、安全であるとともに、流動層炉もしくは循環流動層炉の汚泥焼却灰が出発物質であるため微細であって、かつ球形度がよく、均質なので、混和材として用いれば、強度、流動性に優れたコンクリートが得られる。
【0027】
下水汚泥焼却灰は表1に示したような組成(乾物ベース)を有し、この焼却灰の溶融温度は1300℃程度なので、下水汚泥焼却灰、あるいはこれと同等の組成を有する汚泥の焼却灰は通常、約1500℃以上の火炎中を通過させることで溶融球状化させることができる。
【0028】
空気バーナの火炎温度は燃料によって異なり、理論上、天然ガス2160℃、プロパンガス1990℃、灯油・重油1760℃、微粉炭2190℃程度になるので、これらの燃料を使用することができる。
【0029】
表1の組成を有する平均粒径20ミクロンの下水汚泥焼却灰80kg/hを搬送空気54Nm3 /hによって噴出し、天然ガスを燃料とした空気バーナの火炎中を通過させた時には、平均粒径15ミクロン(粒径10〜30ミクロン)の溶融球状化物が得られ、この溶融球状化物で30%までセメント置換しても高流動コンクリートとしての特性が維持された。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、酸素バーナ等より火炎温度の低い空気バーナを用いて、球形度がよく、均質な溶融粒状物を直接かつ収率よく製造することができ、得られる溶融球状化物は、表面が溶融しているため重金属などが溶出する恐れがなく、高温サイクロンで分離回収するようにしたためセレンやヒ素は付着しておらず、安全であるだけでなく、従来の溶融スラグのように粉砕等の工程が不要であるのはもちろんのこと、強度、流動性とも高く、コンクリート混和材として利用した場合も製品に十分な圧縮強度や曲げ強度を与えるので、利用用途が広い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態において下水汚泥焼却灰から溶融球状化物を製造する溶融球状化炉およびその周囲の装置構成を示した説明図である。
【図2】図1に示した溶融球状化炉の空気バーナの周囲の構成を示した説明図である。
【符号の説明】
1 溶融球状化炉
8 炉体
9 空気バーナ
10 冷却空間
11 ブロワ(冷却空気供給手段)
12 水冷壁
16 燃料供給管
19 焼却灰供給管
20 一次燃焼空気供給管
22 火炎
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水汚泥焼却灰などの汚泥焼却灰からの溶融球状化物製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水汚泥などの汚泥は焼却し、発生した焼却灰を埋立て処分することが多かった。しかし近年では、埋立て処分地不足などの制約から、焼却灰の有効利用および焼却灰を溶融して得られる溶融スラグの有効利用が図られている。焼却灰の有効利用法としては、土質改良材、路盤材、タイル、透水性ブロックなどへの利用が挙げられる。焼却灰の溶融により生成される溶融スラグも、路盤材、コンクリート骨材としての利用、あるいはタイルなどへの利用が検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、汚泥焼却灰の有効利用を図るに際しては、汚泥焼却灰中に含まれる重金属類が溶出したり、焼却灰をコンクリートの混和材等、他の粉体材料の代替として使用した場合に十分な強度が得られないなど、未解決の課題を多く抱えている。
【0004】
一方、溶融スラグは、重金属類がスラグ内部に封じ込められるため溶出特性に優れているが、通常、数mm〜数十mm程度の塊状であり、粉体として利用するためには粉砕、分級等の後工程を要するだけでなく、強度の問題は依然として残る。
【0005】
そこで、下水汚泥焼却灰と主要成分(Si,Al,Ca)の組成および粒径(数十マイクロメートル)が類似していながら、コンクリートの混和材として使用されているフライアッシュとの相違に着目して、不定形な汚泥焼却灰をフライアッシュのような溶融球状化物にすることが検討された。しかし、これまでは、炉内温度を汚泥焼却灰の溶融温度以上に維持するか、あるいは酸素バーナの高温の火炎に接触させることによって汚泥焼却灰を溶融させていたため、エネルギーロスが大きく、コスト高につながるという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題を解決するもので、汚泥焼却灰から、コンクリート混和材などの粉体材料として利用可能な強度や流動性を有し、かつ安全な溶融球状化物を効率よく製造することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明の請求項1記載の汚泥焼却灰からの溶融球状化物製造装置は、汚泥焼却灰を導入して溶融球状化物となす溶融球状化炉と、前記溶融球状化炉より流出するガス化したセレン、ヒ素およびダイオキシンと溶融球状化物を含んだ高温の排ガスを前記溶融球状化炉から直接に導入して高温の排ガス下においてヒ素、セレンの凝縮、凝縮したヒ素、セレンおよびダイオキシンの再付着を伴うことなく溶融球状化物を分離回収する高温サイクロンを備え、前記溶融球状化炉は、一端部に設けられて火炎を前方へ噴射する空気バーナと、空気バーナのノズル口の近傍に設けられて、汚泥焼却灰を空気バーナの火炎中に火炎が噴射される方向に沿って噴出する焼却灰噴出手段と、空気バーナの火炎を通過した汚泥焼却灰が浮遊して冷却固化する冷却空間とを有したものである。
【0008】
請求項2記載の汚泥焼却灰からの溶融球状化物製造装置は、溶融球状化炉を、空気バーナの火炎に沿う炉壁を水冷壁として構成したことを特徴とする。
請求項3記載の汚泥焼却灰からの溶融球状化物製造装置は、溶融球状化炉が、溶融球状化した汚泥焼却灰の各粒子を冷却する冷却空気もしくは噴霧冷却水などの冷却媒体を供給する冷却媒体供給手段を有したことを特徴とする。
【0009】
上記した請求項1記載の構成において、焼却灰噴出手段により汚泥焼却灰を噴出すると、汚泥焼却灰の各粒子は空気バーナの火炎中を火炎が噴射される方向に沿って通過し、その間に速やかに溶融し、表面張力によって球状化し、冷却空間を浮遊する間に冷却固化して安定な溶融球状化物となる。
【0010】
このとき、汚泥焼却灰の各粒子は、火炎の中を火炎が噴射される方向に沿って通過することで火炎との接触時間が長くなるため、酸素バーナ等に比べると火炎温度が低い空気バーナであっても確実に溶融し、球形状がよく、均質な溶融球状化物となる。
【0011】
生成した溶融球状化物は高温の排ガスに伴われて溶融球状化炉から流出するので、流出した高温の排ガスを直接高温サイクロンの内部に導入して溶融球状化物を分離回収する。これにより、排ガス温度が低い時に溶融球状化物の表面に凝縮して付着し易いセレンやヒ素の付着を防止できる。
【0012】
高温サイクロンから出た高温の排ガスは高温バグフィルタに導入し、微細な溶融球状化物、セレン、ヒ素などの浮遊物を分離してから、別途設けた排ガス処理装置に導く。
【0013】
請求項2記載の構成によれば、溶融球状化した汚泥焼却灰の各粒子が浮遊する間に炉壁に接触しても、壁面が水冷された状態なので付着することはなく、溶融球状化物を高い収率で得ることができる。
【0014】
請求項3記載の構成によれば、溶融球状化した汚泥焼却灰の各粒子を冷却媒体によって速やかに冷却できるので、炉の冷却空間を短くできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1において、1は流動層炉や循環流動層炉などの流動層式焼却炉(図示せず)からの下水汚泥焼却灰(以下、焼却灰という)を溶融球状化する縦型の溶融球状化炉であり、後段に、この炉1より排ガスに伴われて流出する溶融球状化物などの浮遊物を回収する高温サイクロン2と高温バグフィルタ3とが設置されている。高温バグフィルタ3のさらに後段には、ブロワ4より溶融球状化炉1へ送られる空気を排ガスとの熱交換によって加熱する空気予熱器5と誘引ブロワ6とが設けられている。高温サイクロン2の下方には貯溜槽7が設けられている。
【0016】
溶融球状化炉1の炉体8は縦長のほぼ円筒状に形成されており、炉体8の上端部に空気バーナ9が設けられ、下部に炉出口8aが形成され、炉体8内の下部が冷却空間10とされている。炉体8には、冷却空間10に冷却空気を吹き込むブロワ11が連通しており、ブロワ11の連通位置より上方の炉壁は、二重構造の内部を冷却水が循環する水冷壁12とされている。
【0017】
炉体8の上端部は詳細には図2に示したように構成されており、炉体8の内部に貫入して外管13が設けられ、外管13の内側に所定間隔をおいて内管14が設けられ、内管14の内側に空気供給管15とLPGなどの燃料を供給する燃料供給管16とが同心状に設けられており、これら内管14と空気供給管15と燃料供給管16とで空気バーナ9を構成している。
【0018】
炉体8の上部に形成された接続口8aには、二次燃焼空気供給管17が流量弁18を介して接続していて、炉体8と外管13との間隙に二次燃焼空気が供給されるようになっている。外管13の炉外部分に形成された接続口13aには、搬送空気によって焼却灰を送入する焼却灰供給管19が接続していて、外管13と内管14との間隙に焼却灰が供給されるようになっている。空気供給管15の上部に形成された接続口15aには、一次燃焼空気供給管20が流量弁21を介して接続している。
【0019】
空気供給管15と燃料供給管16の各下端は内管14の下端より上方に位置していて、燃料供給管16内に送給される燃料が空気供給管15より噴出する空気と合流して燃焼し、その火炎22がノズル口、すなわち内管14の先端部で規制されて下方へ延びるようになっている。
【0020】
高温サイクロン2は約1000℃以上、高温バグフィルタ3は約800℃以上の高温に耐える材料で構成されている。
上記した構成における作用を説明する。
【0021】
空気バーナ9より上記したような火炎22を噴射し、焼却灰供給管19を通じて外管13と内管14との間隙へ焼却灰を送入すると、焼却灰の各粒子は外管13,内管14の先端部より下方へ噴出して、火炎22の中をその噴射される方向に沿って通過し、それにより速やかにかつ確実に溶融し、表面張力により球状化する。
【0022】
火炎22から出た溶融球状化した焼却灰は、冷却空間10で浮遊しながら温度低下するとともに、ブロワ11より供給される冷却空気によって冷却され、固化して安定な溶融球状化物となる。溶融球状化した焼却灰が壁面に接触することがあるが、水冷壁12とされているので付着することはなく、壁面を転動したものは完全な球形に近づく。
【0023】
溶融球状化物を含んだ高温の排ガス(約700〜800℃)は溶融球状化炉1の炉出口8aを出て、高温サイクロン2の内部に流入し、ここで溶融球状化物を分離される。分離された溶融球状化物は貯溜槽7に取り出される。
【0024】
高温サイクロン2から出た高温の排ガス(約650〜750℃)は高温バグフィルタ3に流入し、ここで微細な溶融球状化物、セレン、ヒ素、ダイオキシンなどの浮遊物を分離される。
【0025】
高温バグフィルタ3から出た高温の排ガスは空気予熱器5に流入し、ブロワ4からの空気との熱交換によって温度低下した後、別途設けられた排ガス処理装置(図示せず)に送られる。
【0026】
このようにして得られた溶融球状化物は、表面が溶融しているため溶出特性に問題がなく、高温の排ガスより分離回収したためセレンやヒ素は付着しておらず、安全であるとともに、流動層炉もしくは循環流動層炉の汚泥焼却灰が出発物質であるため微細であって、かつ球形度がよく、均質なので、混和材として用いれば、強度、流動性に優れたコンクリートが得られる。
【0027】
下水汚泥焼却灰は表1に示したような組成(乾物ベース)を有し、この焼却灰の溶融温度は1300℃程度なので、下水汚泥焼却灰、あるいはこれと同等の組成を有する汚泥の焼却灰は通常、約1500℃以上の火炎中を通過させることで溶融球状化させることができる。
【0028】
空気バーナの火炎温度は燃料によって異なり、理論上、天然ガス2160℃、プロパンガス1990℃、灯油・重油1760℃、微粉炭2190℃程度になるので、これらの燃料を使用することができる。
【0029】
表1の組成を有する平均粒径20ミクロンの下水汚泥焼却灰80kg/hを搬送空気54Nm3 /hによって噴出し、天然ガスを燃料とした空気バーナの火炎中を通過させた時には、平均粒径15ミクロン(粒径10〜30ミクロン)の溶融球状化物が得られ、この溶融球状化物で30%までセメント置換しても高流動コンクリートとしての特性が維持された。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、酸素バーナ等より火炎温度の低い空気バーナを用いて、球形度がよく、均質な溶融粒状物を直接かつ収率よく製造することができ、得られる溶融球状化物は、表面が溶融しているため重金属などが溶出する恐れがなく、高温サイクロンで分離回収するようにしたためセレンやヒ素は付着しておらず、安全であるだけでなく、従来の溶融スラグのように粉砕等の工程が不要であるのはもちろんのこと、強度、流動性とも高く、コンクリート混和材として利用した場合も製品に十分な圧縮強度や曲げ強度を与えるので、利用用途が広い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態において下水汚泥焼却灰から溶融球状化物を製造する溶融球状化炉およびその周囲の装置構成を示した説明図である。
【図2】図1に示した溶融球状化炉の空気バーナの周囲の構成を示した説明図である。
【符号の説明】
1 溶融球状化炉
8 炉体
9 空気バーナ
10 冷却空間
11 ブロワ(冷却空気供給手段)
12 水冷壁
16 燃料供給管
19 焼却灰供給管
20 一次燃焼空気供給管
22 火炎
Claims (3)
- 汚泥焼却灰を導入して溶融球状化物となす溶融球状化炉と、前記溶融球状化炉より流出するガス化したセレン、ヒ素およびダイオキシンと溶融球状化物を含んだ高温の排ガスを前記溶融球状化炉から直接に導入して高温の排ガス下においてヒ素、セレンの凝縮、凝縮したヒ素、セレンおよびダイオキシンの再付着を伴うことなく溶融球状化物を分離回収する高温サイクロンを備え、前記溶融球状化炉は、一端部に設けられて火炎を前方へ噴射する空気バーナと、空気バーナのノズル口の近傍に設けられて、汚泥焼却灰を空気バーナの火炎中に火炎が噴射される方向に沿って噴出する焼却灰噴出手段と、空気バーナの火炎を通過した汚泥焼却灰が浮遊して冷却固化する冷却空間とを有したことを特徴とする汚泥焼却灰からの溶融球状化物製造装置。
- 溶融球状化炉は、空気バーナの火炎に沿う炉壁を水冷壁として構成したことを特徴とする請求項1記載の汚泥焼却灰からの溶融球状化物製造装置。
- 溶融球状化炉は、溶融球状化した汚泥焼却灰の各粒子を冷却する冷却空気もしくは噴霧冷却水などの冷却媒体を供給する冷却媒体供給手段を有したことを特徴とする請求項1記載の汚泥焼却灰からの溶融球状化物製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3648998A JP3659788B2 (ja) | 1998-02-19 | 1998-02-19 | 汚泥焼却灰からの溶融球状化物製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3648998A JP3659788B2 (ja) | 1998-02-19 | 1998-02-19 | 汚泥焼却灰からの溶融球状化物製造装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH11226541A JPH11226541A (ja) | 1999-08-24 |
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