JP3659334B2 - 加速器の絶縁支柱 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子顕微鏡等に用いられる加速器の絶縁支柱であって、電子等の荷電粒子を加速して荷電粒子ビームを生成するために電圧を印加する加速電極部に用いられる加速器の絶縁支柱に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子顕微鏡等においては、電子等の荷電粒子を加速するための加速器の絶縁支柱が用いられている。この加速器の絶縁支柱の断面図を図5に示し、図5のロウ付け接合部の拡大断面図を図6に示す。これらの図において、1は絶縁柱、2は電極部材、3はメタライズ層、4はNi(ニッケル)メッキ層、5はロウ材であり、主にこれらで絶縁支柱は構成されている。即ち、この絶縁支柱は、一般に酸化アルミニウム(Al23)質焼結体から成る絶縁柱1と、絶縁柱1の両端面にロウ材5を介して接合されたFe−Ni−Co合金等の金属材料から成る円環状の電極部材2から構成されている。
【0003】
そして、対向する2つの電極部材2にそれぞれ異なる電圧を印加することにより、電子等の荷電粒子が加速される。
【0004】
電極部材2の絶縁柱1への接合は、絶縁柱1の両端面に予めモリブデン(Mo)−マンガン(Mn)等のメタライズ層3とNiメッキ層4を被着しておき、そのメタライズ層3とNiメッキ層4が被着された絶縁柱1の両端面を電極部材2にロウ材5を介して接合することによって行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の絶縁支柱においては、絶縁柱1に施されたメタライズ層3とNiメッキ層4とロウ材5は、絶縁柱1の端面から外側に0.3〜1mm程度はみ出している。このため、電極部材2に電圧を印加し電子等の荷電粒子を加速させると、絶縁柱1に施されたメタライズ層3とNiメッキ層4とロウ材5のはみ出した突起部や縁部より微少放電が始まり、微少放電により生じた2次電子が絶縁柱1の表面を通り、一方の電極部材2から他方の電極部材2へと放電し易くなるという問題点があった。また、電極部材2表面の算術平均粗さRaはRa≧1.6μmであり、表面に微小な凹凸が多数存在する。そのため、電極部材2からも微少放電が始まり、微少放電により生じた2次電子が絶縁柱1の表面を通り、一方の電極部材2から他方の電極部材2へと放電し易くなるという問題点があった。
【0006】
そこで、この問題を克服するものとして、図7に示すように、絶縁柱1の両端面にネジ切り加工を内面に施したネジ穴を形成し、そのネジ穴に金属等から成るボルト7を螺合して電極部材2を絶縁支柱に締め付け固定することにより、電子等の荷電粒子を生成するために電圧を印加しても放電が起こりにくい構成とするものがあった。しかしながら、この場合、電極部材2自体からの微少放電を少なくすることができないことと、外力による長時間の微振動等によってボルト7が緩み、絶縁支柱としての機能を果さなくなるといった問題点があった。
【0007】
従って、本発明は上記従来技術における問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、対向する電極部材間で発生していた放電を解消し、また電極部材を絶縁柱に強固に接合して長時間の微振動等に対して信頼性の高いものとすることにある。そして、電子等の荷電粒子を所定の速度に確実かつ安定的に加速できるとともに、所定方向に確実かつ安定的にビームを発生できるものとすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の加速器の絶縁支柱は、互いに対向配置されるとともにそれぞれ上下面を貫通する貫通孔が略同じ間隔で複数個形成された2つの円環状の電極部材と、両端面に横断面形状が略円形の凹部が形成され、該凹部が前記貫通孔と同軸状となるようにして前記両端面が前記2つの電極部材の対向する主面にそれぞれ接合された複数の略円柱状の絶縁柱と、前記貫通孔および前記凹部に嵌入ロウ付けされ、前記凹部に嵌入される側の端面に穴が形成された略円柱状の金属接合部材とを具備しており、前記電極部材および前記金属接合部材の露出表面の算術平均粗さが0.4μm以下であることを特徴とする。
【0009】
本発明は、上記の構成により、荷電粒子を加速してビームを生成するために電圧を印加する電極部材間での微少放電の発生を有効に抑えることができるため、安定して高電圧を印加することができる。また、運搬移動を余儀なくされる電子顕微鏡等の一般産業機器に用いられる加速器において、外力による長時間の微振動等によっても破壊されたり接合部が緩むといったことがなく、信頼性の高い加速器の絶縁支柱となるという作用効果を有する。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記金属接合部材の端面に形成された前記穴の横断面形状が略円形であり、前記金属接合部材の外周面と前記穴の内周面との間の厚みが0.3〜1mmであることを特徴とする。
【0011】
本発明は、この構成により、接合部の接合力が向上し、さらに信頼性の高い加速器の絶縁支柱となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の加速器の絶縁支柱を以下に詳細に説明する。図1は本発明の絶縁支柱のロウ付け接合部の拡大断面図である。図1において、1は絶縁柱、2は電極部材、3はメタライズ層、4はNiメッキ層、5はロウ材、6は金属接合部材であり、主にこれらで絶縁支柱は構成されている。
【0013】
そして、本発明の絶縁支柱は、主面同士を互いに対向させて上下に配置されるとともにそれぞれ上下の主面を貫通する貫通孔が略同じ間隔で複数個形成された2つの円環状の電極部材2と、両端面に横断面形状が略円形の凹部が形成され、その凹部が貫通孔と同軸状となるようにして両端面が2つの電極部材2の対向する主面にそれぞれ接合された複数の略円柱状の絶縁柱1と、貫通孔および凹部に嵌入ロウ付けされ、凹部に嵌入される側の端面に穴が形成された略円柱状の金属接合部材6とを具備しており、電極部材2および金属接合部材6の少なくとも露出表面の算術平均粗さRa(JIS−B−0601による)が0.4μm以下である。
【0014】
電極部材2の露出表面は、上下の主面と内周面および外周面のうち、絶縁柱1および金属接合部材6との接合部を除く面であって、換言すると放電が発生する起点になり得る部位である。また、金属接合部材6の露出表面は、絶縁柱1の凹部に嵌入される側の端面と反対側の端面であって、放電が発生する起点になり得る部位である。勿論、電極部材2および金属接合部材6の全表面のRaが0.4μm以下であってもよい。
【0015】
本発明の絶縁柱1は、両端面に凹部が形成された略円柱状のものである。その凹部内に金属接合部材6が嵌入ロウ付けされる。この金属接合部材6によって、電極部材2と絶縁柱1とが接合される。また、絶縁柱1は、その両端の2つの電極部材2を絶縁する作用を有し、一般に酸化アルミニウム(Al23)質焼結体等から成る電気絶縁材料で形成される。この絶縁柱1の凹部内に予めMo−Mn等のメタライズ層3とNiメッキ層4を被着しておき、メタライズ層3とNiメッキ層4と金属接合部材6とをロウ材5を介して接合させ、さらに金属接合部材6と電極部材2とをロウ材5を介して接合させる。
【0016】
電極部材2は上下面を貫通する貫通孔が略同じ間隔で複数個形成された円環状のものである。その貫通孔に金属接合部材6が嵌入ロウ付けされる。また、この電極部材2は、ステンレススチール等の金属材料で形成され、表面粗さがJIS−B−0601に規定の算術平均粗さRaでRa≦0.4μmであり、表面の凹凸が小さくなっている。そのため電極部材2に電圧を印加し電子等の荷電粒子を加速させる際、その電極部材2間での微少放電の発生を有効に抑えられるため、安定して高電圧を印加することができる。
【0017】
金属接合部材6は、絶縁柱1の凹部に嵌入される側の端面に、絶縁柱1の凹部と同じ深さの穴を設けた略円柱状のものである。金属接合部材6の端面に穴を形成することにより、絶縁柱1と金属接合部材6との接合部において熱膨張に起因する応力の残留が少なくなるため、絶縁柱1の接合部にクラックや割れ等の発生が少なくなるという効果がある。また、穴の形状は、横断面形状が円形のもの、即ち穴部において金属接合部材6が円筒状になるような形状がよく、この場合絶縁柱1と金属接合部材6との接合部において熱膨張に起因する応力が円筒状部において均一になるため、応力集中によるクラックや割れ等の発生がより少なくなる点で好ましい。
【0018】
また、金属接合部材6は、Fe−Ni−Co合金やCu−W等の金属材料で形成され、表面粗さがJIS−B−0601に規定の算術平均粗さRaでRa≦0.4μmであり、表面の凹凸が小さくなっている。そのため、電極部材2に電圧を印加し電子等の荷電粒子を加速させる際、電極部材2から金属接合部材6に伝わった荷電粒子による微少放電の発生も有効に抑えられるため、安定して高電圧を印加することができる。
【0019】
また、本発明において、金属接合部材6の直径(外径)は絶縁柱1の直径の50〜80%がよく、50%未満では、金属接合部材6自体が小さくなるためその形状加工が難しくなる。80%を超えると、絶縁柱1の凹部が大きくなるため凹部での肉厚が薄くなり、絶縁柱1は金属接合部材6との接合部において熱膨張に起因する残留応力に耐えられず、絶縁柱1の両端面部付近にクラックや割れ等が発生し易くなる。
【0020】
さらに本発明において、金属接合部材6の端面に形成された穴の横断面形状が略円形であり、金属接合部材6の外周面と穴の内周面との間の厚みが0.3〜1mmであることが好ましい。0.3mm未満では、外力による振動、衝撃等に対する金属接合部材6の強度が低下し、絶縁支柱としての機械的強度が低下しその機能を維持できなくなる。1mmを超えると、絶縁柱1と金属接合部材6との接合部において熱膨張に起因する応力が両部材の接合界面で残留することが多くなり、絶縁柱1の接合部にクラックや割れ等が発生し易くなる。
【0021】
さらに本発明において、金属接合部材6の高さは電極部材2の厚みの2〜5倍であることが好ましい。2倍未満では、外力による振動、衝撃等に対して接合力が弱くなり、絶縁支柱全体が傾くといった変形を起こし易くなり、形状の維持が困難となり形状的に不安定な絶縁支柱となる。5倍を超えると、穴の深さが深くなり、穴を加工形成するためのドリルが細く長くなるため、ドリルの強度が低下して加工時のドリルの振れが大きくなるため、金属接合部材6の穴部分の厚みを均一に加工し難くなる。
【0022】
【実施例】
本発明の実施例について以下に説明する。
(実施例1)
まず、比較例1として、図2に示す構成のものを以下のようにして作製した。純度99重量%の酸化アルミニウム(Al23)質焼結体から成る、直径φ10mm、長さ40mmの円柱状の絶縁柱1を用意した。その絶縁柱1の両端面の全面にMoとMnとSiO2をそれぞれ89重量%、6重量%、5重量%の割合で含有する金属ペーストを、10μmの厚さとなるように印刷塗布し、乾燥後、加湿したフォーミングガス中で1400℃の温度で焼成した。こうして、絶縁柱1の両端面の全面にMo−Mn合金から成るメタライズ層を被着させた。その後、メタライズ層上にNiメッキ層を電解メッキ法により約2μmの厚さで被着させた。
【0023】
次に、絶縁柱1の両端面に、横50mm、縦25mm、厚み1mmのFe−Ni−Co合金から成る平板状で、表面の算術平均粗さRaが1.6μmの電極部材9を接合した。このとき、絶縁柱1の両端面と電極部材9との間に、直径φ10mm、厚み0.05mmの板状のAg−Cu合金から成るロウ材8のプリフォームを設置し、それを820℃に加熱して接合させた。これにより、製作されたものをサンプルAとした。
【0024】
比較例2として、比較例1と同じ絶縁柱1の両端面に、横50mm、縦25mm、厚み1mmのFe−Ni−Co合金から成る平板状で、表面の算術平均粗さRaが0.3μmの電極部材9を接合した。このとき、絶縁柱1の両端面と電極部材9との間に、直径φ10mm、厚み0.05mmの板状のAg−Cu合金から成るロウ材8のプリフォームを設置し、それを820℃に加熱して接合させた。これにより、製作されたものをサンプルB(基本構成は図2のサンプルAと同様)とした。
【0025】
比較例3として、比較例1と同じ絶縁柱1の両端面の中心部にネジ穴加工(JIS−B0205によるM8)を施した。また、比較例1と同じ表面の算術平均粗さRaが1.6μmの電極部材9の中心部に、上側より直径φ12mmの穴を途中まで形成し、それに続いて同心状に直径φ8.5mmの貫通孔を形成して成る、内部の途中に段差を有する貫通孔を形成した。その段差付き貫通孔を有する電極部材11を、絶縁柱1の両端面のそれぞれに、頭部上面に六角穴を有するM8(M8:ネジの呼び径)ボルト10を上記貫通孔およびネジ穴に挿通螺合することによって固定したものをサンプルC(図3)とした。
【0026】
比較例4として、電極部材11表面の算術平均粗さRaが0.3μmのものを使用して比較例3と同様に作製したものをサンプルD(基本構成は図3のサンプルCと同様)とした。
【0027】
比較例5として、比較例1と同寸法の絶縁柱1の両端面の中心部に直径φ8.05mm、深さ4mmの穴(凹部)加工を施した。この穴の内面にMoとMnとSiO2をそれぞれ89重量%、6重量%、5重量%の割合で含有する金属ペーストを、10μmの厚さとなるように印刷塗布し、乾燥後、加湿したフォーミングガス中で1400℃の温度で焼成した。こうして、絶縁柱1の両端面の凹部の内面全面にMo−Mn合金から成るメタライズ層を被着させた。その後、メタライズ層上にNiメッキ層を電解メッキ法により約2μmの厚さで被着した。
【0028】
次に、横50mm、縦25mm、厚み1mmから成る平板状で、表面の算術平均粗さRaが1.6μmの電極部材12の中心部に直径φ8.05mmの貫通孔加工を施した貫通孔つき電極部材12を用意した。絶縁柱1と電極部材12とを、上記凹部と貫通孔を同心状に配置しそれらに金属接合部材6を嵌入して接合した。この金属接合部材6は、外径φ8mm、横断面形状が円形の穴の径φ7.4mm、穴の深さ3mm、高さ4mm、表面の算術平均粗さRaが1.6μmのFe−Ni−Co合金から成るものであった。また、絶縁柱1の凹部内面と金属接合部材6との隙間には、直径φ0.1mmの線状とされたAg−Cu合金から成るロウ材13のプレフォームを設置し、それを820℃に加熱して接合し、これにより製作されたものをサンプルE(図4)とした。
【0029】
本発明の実施例1として、電極部材12および金属接合部材6の表面の算術平均粗さRaが0.3μmのものを使用して、比較例5と同様に製作したものをサンプルF(基本構成は図4のサンプルEと同様)とした。
【0030】
サンプルA〜Fのそれぞれについて、大気雰囲気中、常温で衝撃試験{MIL−STD(Military Standard:アメリカ軍用規格)−202F METHOD213A}を行い、11ms(ミリ秒)の間に正弦半波の波形で50G(G:重力加速度)程度の衝撃を1回加え、各接合部について光学機器(双眼顕微鏡)を用い異常がないかを検査した。その結果、サンプルA,Bは接合部に異常は見られなかった。サンプルC,Dは、絶縁柱1の両端面の外周部に長さ0.3〜0.5mm程度のクラックが確認できた。サンプルE,Fは接合部に異常は見られなかった。
【0031】
また、上記と同様に作製した別のサンプルA〜Fそれぞれを用意し、大気雰囲気中、常温で振動試験{MIL−STD−202F METHOD201A}を行い、周波数10〜55Hz(ヘルツ)、最大振れ幅1.52mmの振動を、X,Y,Zの3方向に順次各2時間づつ加え、各接合部において異常がないかを光学機器(双眼顕微鏡)を用いて検査した。その結果、サンプルA,Bは接合部に異常は見られなかった。サンプルC,Dは、試験中にボルト10が緩んだので、試験を途中で中断し絶縁柱1を検査したところ、絶縁柱1の両端面の外周部に長さ0.1〜0.3mm程度のクラックが確認できた。サンプルE,Fは接合部に異常は見られなかった。
【0032】
さらに、上記と同様に作製した別のサンプルA〜Fをそれぞれを用意し、大気雰囲気中、常温で耐電圧試験{MIL−STD−202F METHOD301}を基準操作とし、絶縁柱1の両端にある電極部材間に電圧20kVを印加して各接合部において異常がないかを試験した。サンプルA,Bは接合部より放電が生じ、接合部付近に黒く炭化されたような跡が確認された。サンプルCについては初期放電は生じなかったが1時間経過後微小放電が生じた。Dについては放電発生は見られなかった。サンプルEについては初期放電は生じなかったが1時間経過後微小放電が生じた。サンプルFについては放電発生は見られなかった。
【0033】
これらのサンプルA〜Fについて、衝撃、振動等の外力が加わる状態では、ボルト10により固定されたサンプルC,Dより、ロウ付けにより接合されたサンプルA,B,E,Fの方が接合強度は大きいという結果が得られた。また、耐電圧試験については、サンプルA,Bでは絶縁柱1の両端面の外側にメタライズ層3等の金属膜のはみ出しがあるために放電が発生し、サンプルC,Eでは初期放電は起きないが時間の経過によって微小放電が発生するといった結果が得られた。サンプルFについては放電が発生しないという優れた効果が得られた。これらの結果を総合すると、サンプルFが衝撃、振動等に対して強く、かつ耐電圧性に優れているということが判った。
【0034】
(実施例2)
本実施例2では、金属接合部材6の穴部分の厚み寸法を種々に変更して、実施例1と同様の衝撃試験、振動試験、耐電圧試験を行なった。先ず、実施例1と同様にして絶縁支柱を作製するに際して、表1に示すように各種サイズの金属接合部材6を作製し、絶縁柱1および電極部材12とロウ付け接合し絶縁支柱を作製した。得られたサンプル(NO.1〜12)について試験を行った。その結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
Figure 0003659334
【0036】
表1のNO.1より、金属接合部材6の穴部分の厚みが0.2mmでは、衝撃試験後に試験前の状態と比べて電極部材12に0.3mm程度のズレが確認でき、また金属接合部材6には衝撃による変形が見られた。NO.2,3より、金属接合部材6の穴部分の厚みが0.3mmと1.0mmでは、異常は確認されなかった。NO.4より、金属接合部材6の穴部分の厚みが1.1mmでは、絶縁柱1と金属接合部材6をロウ付けする工程において、絶縁柱1の両端面部付近に長さ0.5mm程度のマイクロクラックの発生が確認できた。
【0037】
NO.5より、絶縁柱1の外径に対する金属接合部材6の外径の比が40%では、金属接合部材6自身が小さすぎて機械加工が難しく、加工歩留まりが低下し高コストになるといった問題が生じた。NO.6,7より、絶縁柱1の外径に対する金属接合部材6の外径が50%と80%では、異常は確認されなかった。NO.8より、絶縁柱1の外径に対する金属接合部材6の外径が90%では、絶縁柱1と金属接合部材6をロウ付けする工程において、絶縁柱1の両端面部付近に長さ0.5mm程度のマイクロクラックの発生が確認された。
【0038】
NO.9より、金属接合部材6の高さが電極部材12の厚みに対して1倍の場合、当然のことながら絶縁柱1と電極部材12とを結合するのが不能な金属接合部材6となり、ロウ付け接合できなかった。NO.10,11より、電極部材12の厚みに対する金属接合部材6の高さが2倍と5倍の場合、異常は確認されなかった。NO.12より、電極部材12の厚みに対する金属接合部材6の高さが6倍の場合、円筒形の金属接合部材6を作製するために穴部分の加工をするうえで、0.3mmの肉厚を確保しながらの加工が困難となり、加工歩留まりが低下し高コストになるといった問題が生じた。
【0039】
なお、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を施すことは何等差し支えない。
【0040】
【発明の効果】
本発明は、互いに対向配置されるとともにそれぞれ上下面を貫通する貫通孔が略同じ間隔で複数個形成された2つの円環状の電極部材と、両端面に横断面形状が略円形の凹部が形成され、凹部が貫通孔と同軸状となるようにして両端面が2つの電極部材の対向する主面にそれぞれ接合された複数の略円柱状の絶縁柱と、貫通孔および凹部に嵌入ロウ付けされ、凹部に嵌入される側の端面に穴が形成された略円柱状の金属接合部材とを具備しており、電極部材および金属接合部材の露出表面の算術平均粗さが0.4μm以下であることにより、荷電粒子を加速してビームを生成するために電圧を印加する電極部材間での微少放電の発生を有効に抑えられるため、安定して高電圧を印加することができる。また、運搬移動を余儀なくされる電子顕微鏡等の一般産業機器に用いられる加速器において、外力による長時間の微振動等によっても破壊されたり接合部が緩むといったことがなく、信頼性の高い加速器の絶縁支柱となる。
【0041】
本発明において、好ましくは、金属接合部材の端面に形成された穴の横断面形状が略円形であり、金属接合部材の外周面と穴の内周面との間の厚みが0.3〜1mmであることにより、接合部の接合力が向上し、さらに信頼性の高い加速器の絶縁支柱となる。即ち、絶縁柱と金属接合部材との熱膨張係数の相違に起因する、絶縁柱のロウ付部分でのクラックや割れ等の発生を有効に抑えることができ、強固に接合された高信頼性の加速器の絶縁支柱とすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加速器の絶縁支柱におけるロウ付け部の拡大断面図である。
【図2】従来のロウ付けによる接合構造を有する絶縁支柱の斜視図である。
【図3】従来のネジ止めによる接合構造を有する絶縁支柱の斜視図である。
【図4】本発明のロウ付け構造を有する絶縁支柱の斜視図である。
【図5】従来の加速器の絶縁支柱を示す断面図である。
【図6】図5の絶縁支柱のロウ付け部の拡大断面図である。
【図7】従来の絶縁支柱のボルト止め部を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1:絶縁柱
2:電極部材
3:メタライズ層
4:Niメッキ層
5:ロウ材
6:金属接合部材

Claims (2)

  1. 互いに対向配置されるとともにそれぞれ上下面を貫通する貫通孔が略同じ間隔で複数個形成された2つの円環状の電極部材と、両端面に横断面形状が略円形の凹部が形成され、該凹部が前記貫通孔と同軸状となるようにして前記両端面が前記2つの電極部材の対向する主面にそれぞれ接合された複数の略円柱状の絶縁柱と、前記貫通孔および前記凹部に嵌入ロウ付けされ、前記凹部に嵌入される側の端面に穴が形成された略円柱状の金属接合部材とを具備しており、前記電極部材および前記金属接合部材の露出表面の算術平均粗さが0.4μm以下であることを特徴とする加速器の絶縁支柱。
  2. 前記金属接合部材の端面に形成された前記穴の横断面形状が略円形であり、前記金属接合部材の外周面と前記穴の内周面との間の厚みが0.3〜1mmであることを特徴とする請求項1記載の加速器の絶縁支柱。
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