JP3658237B2 - 無線通信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線通信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無線通信では、伝播環境により受信信号レベルが変動するために、自動利得制御(AGC)が通常行われている。このAGC回路は、従来、受信信号を包絡線検波して、受信電界強度を計測し、その値を用いて、復調器に入力される受信信号レベルが一定になるように制御される。
【0003】
しかしながら、こののAGC回路は、信号を受信していない時にも作動しているので、信号を受信していない状態から、突然大レベルの信号を受信した際には、そのレベル変動に追従するのに時間がかかり、特にパケット通信において、スループット低下を招くという欠点があった。
【0004】
そこで、従来、図5に示すようなAGC回路が提案されている。
【0005】
図5では、アンテナ11にて受信した信号は、アンテナ共用器12、AGC回路140を介して、復調回路150にて復調される。
【0006】
ここで、AGC回路140において、アンテナ共用器12より入力された受信信号は、利得可変回路141を通った後、信号レベルが基準レベルに等しくなるように、利得制御部143により、利得可変回路141の利得を制御する。
【0007】
また、利得制御部143は、パケットの受信終了時に、利得制御信号の値を、次パケットが受信されるまで、ホールドし、AGC動作の高速化を図る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例では、低SNR(信号ノイズ比)(または信号対干渉電力比)環境下で受信した場合には、受信レベル測定値に干渉信号による誤差が大きくなるので、利得制御信号の誤差が大きくなり、次パケット受信時のAGC引き込みに時間がかかるという問題点があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、受信信号を検出する検出手段と、前記検出手段により受信信号が検出されると、基準レベルと等しくなるように受信信号のレベルを制御する利得制御手段と、受信信号の品質を測定する測定手段と、前記測定された品質に応じて、受信信号の受信終了後から次の信号が受信されるまでの前記利得制御手段の利得を設定する設定手段を備えることを特徴とする。
【0010】
本構成により、受信品質が高い場合の利得に応じて、次の信号の利得制御を開始するので、高速に利得を引き込むことができ、スループットを向上させることが出来る。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を実施した無線通信装置のブロック図である。図1において、11はアンテナ、12はアンテナ共用器、13は送信回路、14は、アンテナ共用器12から出力される受信信号のレベルを制御して出力するAGC回路、15は復調回路である。
【0012】
16はAGC回路14の出力信号から、信号検出を行う受信信号検出回路、17はAGC回路14からの出力により、信号対干渉電力比(CIR)を測定するCIR測定回路、18は、受信信号検出回路16の出力に応じて、AGC回路14にAGC制御信号を出力するAGC制御回路である。
【0013】
図1では、CIR測定回路17により測定されたCIRを、受信品質を表わすデータとして用いたが、CIR(またはSNR(信号ノイズ比))の代りに、受信信号の誤り率を受信品質を表わすデータとして用いてもよい。または、干渉電力自体や受信誤りの生じた回数自体を用いてもよい。
【0014】
図1において、送信回路13から出力される送信信号は、アンテナ共用器12を通して、アンテナ11より、送出される。ここで、アンテナ共用器12は、スイッチ、または、上り回線と下り回線との周波数差に応じたフィルタにより、送受を切り替える。
【0015】
また、アンテナ11にて受信した信号はアンテナ共用器12を通して、AGC回路14により、適宜レベル変換されて、復調回路15に入力され、復調される。
【0016】
また、AGC回路14の出力は、受信信号検出回路16に入力され、所望のレベルの信号の有無あるいは、所望の信号パターンの有無を判定し、判定結果をAGC制御回路18に出力する。
【0017】
また、AGC回路14の出力は、CIR測定回路17に入力され、信号対干渉電力比が測定され、判定結果をAGC制御回路18に出力する。
【0018】
このCIRは、受信信号の受信品質を表わす。
【0019】
AGC制御回路18では、受信信号検出回路16からの信号に応じて、AGC制御信号をAGC回路14に出力する。
【0020】
AGC回路14は、例えば図2のように構成される。図2において、受信信号は、利得可変回路21により、適宜レベル変換されて復調回路15に出力される。
【0021】
それとともに、レベル測定回路22にて利得可変回路21からの出力信号レベルを測定する。測定値は、利得制御回路23に入力され、そのレベルが基準レベルと等しくなるように利得可変回路21に対して制御信号を出力する。
【0022】
また、利得制御回路23は、AGC制御回路18から出力されるAGC制御信号に応じて、利得可変回路21の制御信号の制御値を記憶回路24に格納したり、記憶回路24から読み出して利得可変回路21に出力する。
【0023】
さて、図3を用いて受信動作について詳しく説明する。
【0024】
まず、信号を受信していない時、すなわち、受信信号検出回路16にて、所望の信号が検出されていない時には(S302)、AGC制御回路18は、AGC回路14が、記憶回路24に格納されている制御値にホールドされるように、AGC制御信号を出力する(S301)。
【0025】
その後、受信信号検出回路16にて、受信レベルあるいは受信信号パターンにより所望の信号を受信したと判定すると、その旨が、AGC制御回路18に伝えられる(S302)。
【0026】
すると、AGC制御回路18は、AGC回路14に対して、ホールドを解除して、利得制御を開始するように命令するAGC制御信号を出力する(S303)。
【0027】
この間にCIR測定回路17にてCIRが測定され、CIRが基準値よりも高ければ、利得制御回路23が、所望信号受信中のある適当な時点の制御値を記憶回路24に格納するように、AGC制御信号を出力する(S305)。
【0028】
利得制御回路23は、レベル測定回路22により測定されたレベルに応じた利得制御の引き込みを終了すると、S302から開始した受信が終了するまで、利得制御の引き込みを終了した時の利得可変回路21の利得をホールドする。
【0029】
そして、利得制御の引き込みを終了した時、すなわち、利得可変回路21の出力信号レベルが基準レベルに等しくなった時のCIRが基準値よりも高ければ、記憶回路24は、その時の利得可変回路21の利得を記憶する。この利得は、受信終了後に利得可変回路21の利得として用いられる。
【0030】
また、利得制御の引き込みを終了した時の利得可変回路21の出力信号レベルを記憶回路24に記憶し、利得制御回路23が、その記憶回路24に記憶された出力信号レベルと基準レベルに応じて利得可変回路21の利得を設定してもよい。
【0031】
その後、復調回路15にて受信終了を検出すると、AGC制御回路18からのAGC制御信号により、AGC回路14は、記憶回路24に格納されている制御値にてホールドする(S301)。なお、受信の終了は、受信信号検出回路16の出力に応じて行うこともできる。
【0032】
また、S304において、CIRが基準値以下であれば、AGC制御回路18は、受信終了後に(S306)、記憶回路24に記憶されていた利得に戻るようにAGC制御信号を出力する(S301)。
【0033】
以上の様に、本実施の形態では、信号が検出されるまでは、記憶回路24に記憶された制御値に応じて、利得は、設定される。
【0034】
信号が検出されると、その信号のレベルに応じて、利得を制御する。
【0035】
そして、信号のレベルに応じて利得が適当な利得が設定されてから、その信号の受信が終了するまでは、その利得が用いられる。
【0036】
受信が終了した後の利得は、その信号受信中のCIRが基準値よりも低ければ、信号が開始される前の利得(記憶回路24に記憶されていた制御値に応じた利得)に戻す。
【0037】
一方、そのCIRが基準値よりも高ければ、受信が終了した後の利得は、信号受信中の利得と同じ利得を用いる。さらに、その利得に応じて、記憶回路24の制御値を更新する。
【0038】
上記の実施の形態では、CIRが低ければ、受信後の利得を受信前の利得に戻したが、CIRに応じた重みで、記憶回路24の制御値を更新するようにしてもよい。
【0039】
すなわち、信号が検出される前の利得がG1、受信信号に応じて設定された利得がG2であるとして、受信終了後の利得G3は、G3=((1−a)xG1+axG2)/2として、設定される。なお、aは、CIRに応じて定められる重みである。この重みaは、0から1までの範囲の値を取り、CIRが高ければ大きい値を、CIRが小さければ小さい値を取る。
【0040】
なお、CIR測定回路17が、受信品質を表わすCIRを測定する方法は任意であり、干渉信号に基づくビートを測定する方法や、BPSKの場合に希望波と直交する位相面の干渉成分を測定する方法、およびスペクトラム拡散通信の場合には相関検出による信号成分と全受信電力から求める方法などがある。また、CIRの測定方法は以上の方法に限らない。
【0041】
また、受信品質として誤り率を測定するためには、受信信号を復号化するときに誤りを検出すればよい。
【0042】
図4に。図3に示した受信動作の変形した流れを示す。図4の受信動作を実施する無線通信装置の構成は、図1と同様である。
【0043】
図4では、電源投入またはリセット後、すなわち、記憶回路24に格納した制御値を初期化後、最初の1回目に限り(S314)、受信信号のCIRにかかわらず、制御値を記憶回路24に格納するという点が図3と異なる。
【0044】
図4においても、図3と同様の作用効果があるが、さらに、電源投入またはリセット後、最初の1回目に限り、制御値を記憶回路24に格納することにより、電源投入またはリセット後に初期化された制御値が、干渉信号による多少の誤差はあるにせよ受信レベルの近傍にセットされるので、次回からのAGCの引き込み時間を短縮することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、受信品質が高い時の利得に応じて、次の信号を受信するので、干渉信号による利得制御の誤差の影響を小さくでき、高品質の信号を受信する時の利得制御の引き込み時間を短縮することができ、プリアンブル期間を短くできるので、高品質の信号を高速で受信することができ、スループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施した無線通信装置を示すブロック図である。
【図2】本発明を実施した無線通信装置のAGC回路を示すブロック図である。
【図3】本発明を実施した第1の受信動作の流れを示す図である。
【図4】本発明を実施した第2の受信動作の流れを示す図である。
【図5】従来の無線通信装置のAGC回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
14 AGC回路
15 復調回路
16 受信信号検出回路
17 CIR測定回路
18 AGC制御回路
21 利得可変回路
22 レベル測定回路
23 利得制御回路
24 記憶回路

Claims (2)

  1. 受信信号を検出する検出手段と、
    前記検出手段により受信信号が検出されると、基準レベルと等しくなるように受信信号のレベルを制御する利得制御手段と、
    受信信号の品質を測定する測定手段と、
    前記測定された品質に応じて、受信信号の受信終了後から次の信号が受信されるまでの前記利得制御手段の利得を設定する設定手段を備えることを特徴とする無線通信装置。
  2. 前記設定手段は、測定した受信品質が基準値よりも高ければ、受信信号に応じた利得に前記利得制御手段の利得を設定し、測定した受信品質が基準値よりも低ければ、信号を受信する前の利得に前記利得制御手段の利得を戻すことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
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