JP3658006B2 - 有限要素分割方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、有限要素法を用いた解析処理のための入力データ作成に関し、具体的には有限要素分割データを計算機にて自動的に作成するための自動有限要素分割方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータ性能の向上と共に有限要素法を主体とした数値実験が、設計のための一手段として広く行われ、その重要性は年々増大している。
【0003】
有限要素を用いた解析では解析モデルを有限要素に分割したデータが必要である。本有限要素データを作成する作業は有限要素法が導入されはじめた1970年代においては、主として人間によって行われていた。ところが、1980年代にはいり、コンピュータ(特にEWS)及びその周辺機器の発達と普及によって、計算機と対話的に半自動的に行われるようになった。このとき、主として用いられた方法が領域分割法である。
【0004】
領域分割法は別名をブロック分割法ともいい、解析モデルをいくつかのブロックに分割し、それぞれのブロックについて各辺の分割数を指定し分割する方法である。本方法はEWSの特徴である、画面を介してのメニュー入力・形状操作などの高度化したインタフェースを活用することにより実用化されたものである。これによってユーザは、要素分割図を各ブロックごとに逐一制御しながら作成し、また作成された要素分割図を逐一視覚的に確認しながら分割作業を進めることができる。本方法はこのような特徴から、現在でも数多くのプリプロセッサに取り入れられている。
【0005】
しかしながら、上述の領域分割法は、次のような欠点をもつ。すなわち、
(1)解析モデルを1度ブロックに分割する必要があるため、複雑な形状のモデルの場合には、数多くのブロックを作成しなければならず、操作が煩雑になってしまう;
(2)要素数が多いと時間がかかる。領域分割法はEWSの高度化したユーザインタフェースの上に構築されるものであるが、EWSの性能自体が大型計算機に比べると劣るものであり、要素数が多いモデルの場合にはきわめて膨大な時間を要する;
(3)3次元モデルの作成が困難である。上記(1)にも関連するが、複雑な形状をした3次元形状のモデルについてはEWSの高度化したインタフェースをもってしてもしばしば作成が困難である。特に電場/磁場解析のように構造物のみならず、空間まで要素分割を要する分野については、モデル作成に膨大な時間を要し、またミスも入りやすい。
【0006】
そこで、1980年代後半から、有限要素分割作業のより多くを計算機内でやらせようという試みが行われるようになった。その代表的な方法が4分木/8分木法とデラウニ法を用いた方法である。4分木/8分木法の詳細は、"INTERNATIONAL JOURNAL FOR NUMERICAL METHOD IN ENGINEERING, VOL.20, pp1965-1990(1984)"に記載されている。本名称は、本文献中のquadtree/octree を訳したものであり、正式なものではなく、異なった名称で呼ばれることもあるが、その処理過程の概要は以下の通りである。
【0007】
4分木/8分木法はそれぞれ2次元平面/3次元空間モデルの要素分割に対応した名称であり、その基本的な考え方は同じである。すなわち解析領域を格子に分割するという作業を再帰的に実行し、細かな格子に分割する。そして、最終的に構造物表面上に最寄りの点を移動させることにより要素分割図を得る。
【0008】
ここで2次元平面モデルを例にとり、本方法をもう少し詳しく説明する。
【0009】
図12は一般的な4分木法の処理過程を示すフローチャートである。また、図13、図14は一般的な4分木法の処理状態の一例を表す図である。
【0010】
図13の(a)は解析モデルの概形を示す。図中、31は解析領域であり、32は構造物(ハッチング部)、33は空間部である。なお、本解析モデルは実際の解析モデルをこのような正方形領域に写像したものと考えても良い。以下、本モデルを空間部も含めて要素分割するプロセスを説明する。
【0011】
(1)解析領域31を構成する辺のうち対向する2辺の中点を結ぶ2つの線分3b1により4つの正方形に分割する。
【0012】
(2)(1)で得られた4つの正方形領域のうち、構造物32の輪郭線と交差しているかもしくは内側に輪郭線を含んでいる正方形を線分3b2により更に4つに分割する。この処理を、正方形(格子)の1辺の長さが、指定した値になるまで繰り返す。図13の(b)では、解析領域の1辺の1/8まで細かくした例を示してある。以上の(1)、(2)の処理がステップS1001にて行われる処理である。
【0013】
(3)次に、ステップS1002においてクラス差補正処理を行う。クラス差補正処理とは、格子の1辺が3つ以上の格子に分割されている格子を、2つ以下になるように分割する処理である。本処理により図14の(a)に示す如く線分3c1による分割が行われる。
【0014】
(4)ステップS1003において、輪郭線近傍の格子点を輪郭線上に移動する。例えば、図14(a)において黒丸で示された格子点が輪郭線上に移動され、この結果図14の(b)が得られる。
【0015】
(5)ステップS1004では、要素を発生し、これをメモリに格納する。要素の発生方法としては、ステップS1003までに得られた全ての格子を3角形に分割することで行う。例えば、図14の(b)の如く得られた格子の夫々が図14の(c)の如く分割される。そして、これら各3角形を要素としてメモリに記憶する。
【0016】
なお、ここでは、構造物の輪郭線に近い格子点を移動したが、格子の各辺の中点も輪郭線への移動の対象とした修正4分木法も提案されている。すなわち、格子辺の中点が輪郭線に近い場合、その中点を輪郭線上に移動し、全格子を3角形に分割する段階で格子辺の中点が輪郭線上にある格子には図15に示すような分割パターンをあてはめる。図15は一般的な修正4分木法における格子パターンを表す図である。ここで図15(a)は格子の辺の1つの中点に輪郭線がある場合、(b),(c)は2つの辺、(d)は3つの辺、(e)は全辺の中点に輪郭線がある場合の分割パターンである。こうすることにより、図14の(c)図に示したよりもより細かく、また構造物の輪郭線を忠実に再現した要素分割図を得ることができる。
【0017】
また、要素分割の粗密づけも、格子を分割するレベルを変化させることにより行うことができる。すなわち、ここでは全解析領域を、格子が解析領域の1辺の1/8の細かさになった時点で細分割処理を打ち切るという条件で分割を行ったが、領域毎に、細かくするレベルを変化させれば、一部の領域のみを細かく分割することも可能である。
【0018】
また、ここで作成された要素分割図は、近接要素間の要素の大きさの変化がスムーズでない。そこで一般的には、要素分割を終了した後、各要素の重心が均一に分布するように節点を移動するスムージング操作が施される。
【0019】
なお、構造解析のような構造物のみを分割する分野においては、この分割図から構造物以外の要素を取り除く必要があるが、この操作は簡単である。すなわち分割された3角形を要素としてメモリに記憶する段階で、各要素を構成する節点が構造物の内部/外部に位置することを判定し、1つでも外部にあれば要素として記憶しなければよい。
【0020】
8分木法は本4分木法を3次元に拡張したものであり、その発想およびアルゴリズムは4分木法とほぼ同じである。すなわち解析モデルに再帰的な3次元の立体格子を仮定し、その格子点を構造物上に移動した後、各立方格子を4面体に分割する。
【0021】
これら4分木/8分木法によれば、複雑な形状のモデルであっても、確実にしかも比較的扁平でない要素に分割できる。また節点の座標値は基本的に解析領域の半分の半分というふうになっており、解析領域全体の大きさを2n (nは整数)としておけば座標値は整数値で表せる。従って、計算機できわめて迅速に処理できる。また、ここでは具体的に述べないが、情報を圧縮させて管理することもできるし、作成した要素分割図の和、差等を容易に実行できるといった特徴も持っている。
【0022】
次にデラウニ法を用いた自動要素分割法について説明する。本方法では、最初解析領域を粗く要素分割し、デラウニ法によって扁平な要素を減らしながら要素分割を細かくしていく。
【0023】
ここで2次元平面モデルを例にとり、本方法をもう少し詳しく説明する。
【0024】
図16はデラウニ法を用いた自動要素分割のフローチャートであり、図17は図13(a)の2次元平面モデルを例として、デラウニ法による分割の過程を説明する図である。要素分割は以下のプロセスにより自動的に実行される。
【0025】
(1)まず、ステップS1011において、構造物の輪郭線及び解析境界を適当な長さの辺に分割し、その辺の端に節点を発生する(図9(a)における黒丸)。そして、これらの節点をメモリXに記憶する。また、これらの分割された各辺をメモリYに記憶する。
【0026】
(2)メモリYに格納された辺の1つをとりだす。そして、メモリXに記憶された節点のうち、この辺の両端の節点とともに3角形を構成する。複数の3角形が得られる場合は、各3角形の3つの内角をα,β,γ(radian)として次式
φ=(π/3−α)2 +(π/3−β)2 +(π/3−γ)2 …[1]
を計算し、φが最も小さくなる3角形(即ち最も正3角形に近いもの)を選び、この3角形を要素としてメモリZに記憶する。
【0027】
(3)(2)の操作をメモリYに格納されたすべての辺について繰り返す。なお要素を新たにメモリZに記憶する段階で、該要素が既に記憶されている要素と重複領域を持たないことを確認し、重複領域を持たない要素のうちでφが最も小さいものを記憶するようにする。
【0028】
(4)メモリZに記憶した全要素の辺のうち、複数の要素に共有されていない辺(以後このような辺を自由辺と呼ぶ)を抽出する。ここで抽出した辺をメモリBの辺に置き変え、上述の(2),(3)の操作を行う。
【0029】
(5)(4)の操作を新たにメモリZに記憶される要素がなくなるまで繰り返す。これによって図17の(b)を得る。以上(2)〜(5)の操作は図16のステップS1012に相当する。
【0030】
(6)メモリZのすべての要素のうち、φが最も大きな要素の重心に新たな節点5c1(図17(c)を参照)を発生する。そして、メモリZ内のすべての要素のうち、節点5c1をその外接円の内部に有する要素をメモリZから削除する。すなわち、図17の(c)においては、要素5c2,5c3,5c4が削除される。その後、節点5c1を頂点とする要素5d1〜5d5を生成し、新たにメモリZに記憶する(図17(d)を参照)。
【0031】
(7)(6)の操作を要素が十分細かくなるまで繰り返す。(以上、図16のステップS1013)。
【0032】
なお、ここでは空間部を含む解析領域全体を要素分割したが、構造解析等の構造物のみの要素分割図も4分木法と同様に簡単に作成できる。すなわち新たに要素をメモリZに記憶する段階で、要素を構成するすべての節点が構造物の内部または輪郭線上にあるという条件を加えればよい。
【0033】
以上2次元平面モデルにおけるデラウニ法を用いた要素分割過程を説明したが、本方法は3次元形状のモデルについても容易に拡張できる。すなわち構造物の表面、解析境界面を適当な大きさの3角形に分割し、その3角形を1面にもつ4面体要素に分割する。そして、この4面体要素に外接する球を用いて細分割を実行すれば、解析領域全体を細かく要素分割できる。
【0034】
本デラウニ法を用いた方法の特徴は、複雑な形状のモデルも確実にしかも扁平でない要素に分割できることにある。
【0035】
なお、ここでは扁平な要素の重心に新たな節点を設けることにより要素を細分割したが、要素分割を細かくしたい部分にユーザが新たな節点を指定することにより、ユーザが任意に要素分割の粗密づけを行うこともできる。
【0036】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、以上述べたような、従来の自動分割法では、解析者の要求を正確に反映した要素分割図を得ることはできない。すなわち、すべての領域を自動的に分割してしまうため、解析者の意志が入り込む余地がほとんどなく、解析者としては不本意な要素分割図を使用するしかなかった。
【0037】
特に作成される要素の形状は、正3角形(3次元では正4面体)に近いものとなるため、薄板形状のモデルを、扁平な要素を使用することにより、少ない要素数で分割したいような場合は対応できなかった。すなわち、従来の方法では基本的に扁平な要素を発生できないため細かな要素分割図となってしまい、膨大な数の要素数に分割せざるをえなかった。
【0038】
特に要素分割の粗密づけに関して、一部の領域について要素寸法まで制御して分割図を作成したい場合も多々あるが、従来の方法では要素寸法まで制御することはできなかった。また、任意の点に節点を発生させることも困難であった。
【0039】
また、一般的な、格子の分割レベルを変化させることによって一部の領域の要素寸法を細かくする方法では、3次元形状をしたモデルの場合、細かくする領域の指定が困難であった。すなわち、一般に細かく分割する領域の指定は、グラフィック端末等を用いて解析者と対話的になされるが、グラフィック端末が2次元平面のため、3次元座標値を指定することが困難であった。
【0040】
上述の如き課題を克服すべく近年エキスパートシステム等を利用し、できるだけ解析者の考えを取り込んだ要素分割図を得ようとするシステムが考案されている。しかし、ユーザの要求があまりに多岐にわたり、汎用的なものとしてまとめられない、処理に膨大な時間およびメモリを有し、現在の計算機では対応できない等、問題点が多く、まだ実用化には至っていない。
【0041】
本発明は、以上の課題を鑑みてなされたものであり、解析者の要素分割に対する要望をできるだけ取り込んだ要素分割図を自動的に作成することを可能とする要素分割方法及び装置を提供することを目的とする。
【0042】
【課題を解決するための手段】
本発明は、解析者の要望を取り込むために、解析領域中に予め要素分割された領域を入力し、予め与えられた要素をそのまま用いることを可能とする要素分割方法及び装置を提供することを目的とする。
【0043】
上記の目的を達成するための本発明による要素分割装置は以下の構成を備える。すなわち、
解析領域を自動的に有限要素に分割する有限要素分割装置であって、
予め第1の要素群へ分割された領域である入力分割領域を含む解析領域を入力する入力手段と、
前記解析領域を複数の格子に分割する第1分割手段と、
前記第1分割手段で得られた格子のうち、前記入力分割領域を含まない格子を用いて第2の要素群への分割を行う第2分割手段と、
前記第1分割手段で得られた格子のうち前記入力分割領域を含む格子を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出された格子を形成する辺のうち抽出された格子どうしで共有されない辺上に要素を形成するための節点を発生する第1発生手段と、
前記入力分割領域内の前記第1の要素群の各要素を形成する辺のうち前記第1の要素群の複数の要素により共有されない辺上に要素を形成するための節点を発生する第2発生手段と、
前記第1及び第2発生手段で発生した節点に基づいて、前記解析領域中の前記入力分割領域及び前記第2分割手段により分割された領域を除く領域を第3の要素群へ分割する第3分割手段とを備える。
【0045】
更に、本発明の他の構成は、上記の目的を達成するために、解析領域の有する次元数よりも低い次元数を有する低次元の要素を入力し、この低次元の要素に基づいて要素分割を行うことが可能な有限要素分割法王及び装置を提供する事を目的とするものである。
【0046】
上記の目的を達成するための本発明による有限要素分割装置は以下の構成を備える。すなわち、
解析領域を自動的に有限要素に分割する有限要素分割装置であって、
当該解析領域の有する次元よりも少なくとも1次元低い次元数を有する低次元要素を含めて解析領域の入力を行う入力手段と、
前記解析領域を複数の格子に分割する第1分割手段と、
前記第1分割手段で得られた格子のうち、前記低次元要素を含まない格子を用いて第1の要素群への分割を行う第2分割手段と、
前記入力手段において入力された低次元要素を形成するための節点を要素分割を行うための節点として発生する第1発生手段と、
前記第1分割手段で得られた格子のうち、前記低次元要素を含む格子を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出された格子を形成する辺のうち、複数の前記抽出された格子により共有されない辺上に要素を形成するための節点を発生する第2発生手段と、
前記第1及び第2発生手段で発生した節点に基づいて、前記解析領域中の前記第2分割手段で分割された領域を除く領域について第2の要素群への分割を行う第2分割手段とを備える。
【0048】
【作用】
上述した本発明の構成によれば、解析者が予め作成した要素分割データを有する入力分割領域を入力して入力データとして与える。そして、この入力分割領域以外の解析領域を、入力分割領域で与えられた分割要素と整合するように自動的に要素分割を行う。このようして、解析者の要素分割に対する要求が正確に要素分割に反映される。
【0049】
上述した本発明の他の構成によれば、分割処理において解析領域の次元数よりも1次元以上低い低次元の要素が入力され、この低次元要素が新たに作成される要素の節点や、辺、面の一部として使用される。このようにして、解析者による粗密づけ等の要求を満たすことができる。
【0050】
【実施例】
以下に添付の図面参照して、本発明の好適な実施例について説明する。
【0051】
<実施例1>
図1は、本実施例における要素分割装置の概略の制御構成を表すブロック図である。同図において、1はCPUであり、ROM2に格納された制御プログラムを実行することにより各種の制御を実行する。2はROMであり、CPU1が実行する制御プログラムを格納する。図2のフローチャートで後述する手順を実現するための制御プログラムも、このROM2に格納される。3はRAMであり、CPU1が各種の処理を実行する際の作業領域として用いられる。RAM3は、後述の要素分割処理の過程において用いられる3つの領域(領域A,領域B,領域C)を有する。これらの領域については、後述する。
【0052】
4は入力部であり、キーボードやポインティングデバイスから構成され、解析領域等の入力を行う。5は表示部であり、要素分割処理の過程や結果の表示を行う。6はシステムバスであり、上述の各構成を接続し、相互にデータのやりとりを可能としている。
【0053】
図2は、実施例1の分割処理手順を表すフローチャートである。図3及び図4は、実施例1の分割処理における処理の過程を説明する図である。
【0054】
図3(a)は入力データである解析領域31および要素分割図(図中のハッチング部分出あり、以後入力データ分割図32’と称する)である。本要素分割図は、あらかじめ解析者が一般的な領域分割法等を用いて作成したものである。ここでは構造物の内部を円弧の径方向に薄く6層に4辺形要素に分割している。この入力データを用いて、以下のプロセスを実行することによって未要素分割部分を自動的に要素分割することができる。
【0055】
(1)ステップS1において、一般的な4分木法と同様に解析領域の格子への分割を再帰的に実行し、細かな格子に分割していく。このとき、各格子について更に細かく分割していくかどうかの判断基準は、「図12のステップS1001で説明したように、当該格子が構造物の輪郭線の一部もしくは全てを内含しているか」及び「当該格子が入力データとして与えた要素分割図(入力データ分割図32’)の自由辺の一部もしくは全てを内含しているか」である。すなわち、入力データ分割図32’の自由辺の一部もしくは全てを内含する格子を更に細かく再分割していく。再分割の細かさとしては、格子の1辺が、格子の1辺の長さが内含する自由辺よりも短くなるかまたは短くなる1つ手前が望ましい。本処理により図3の(b)が得られる。
【0056】
(2)続いて、ステップS2において、上述したクラス差補正処理を行う。この処理により図3(c)を得る。また、図3においては示されていないが、構造物において要素分割されていない部分については、上述の図12のステップS1003の如く格子点の移動を行う(ステップS3)。
【0057】
(3)作成した格子のうち、入力データ分割図32’の要素の一部または全てを含まない格子を選択し、該格子から要素を発生させる。この状態を、図3(d)の破線で表す。このようにして発生した要素は、入力データ分割図32’の要素と共にRAM3の領域Cに格納する(ステップS4)。
【0058】
(4)次に、入力データ分割図32’の自由辺の一部もしくは全てを内含する格子を抽出し(図3(d)のハッチング部)、これら抽出された各格子の自由辺(格子どうしで共有されない辺を要素の場合と同様自由辺と呼ぶ)上の節点(図4(a)において白丸で示す)と入力データ分割図32’の自由辺上の節点(図4(a)において黒丸で示す)をRAM3の領域Aに格納する(ステップS5)。
【0059】
(5)更に、入力データ分割図32’の自由辺を抽出し、これをRAM3の領域Bに格納する(ステップS6)。
【0060】
(6)領域Bに格納された個々の辺について、その両端の節点と領域Aに格納された節点のうちの1つの計3点から構成される3角形のうち、以下の条件を満たし、かつ前述の[1]式におけるφが最小となるものを新たな要素として領域Cに追加格納する。ここで、新たな要素が満たすべき条件とは、
・(4)で抽出した格子の内部に含まれる.
・すでに領域Cに記憶されている要素と重複領域を持たない.
である。この結果図4(b)においてハッチングで示した要素が領域Cに新たに追加される(ステップS7)。
【0061】
(7)領域Cに記憶された要素(図4の(c)の斜線部)の自由辺を抽出する。そして、ここで抽出された自由辺でもって領域Bを書き換えて、上述の(6)の処理を行う。これにより図4(c)におけるハッチング部分の要素が、新たに領域Cに格納される。このような処理を領域Cに新たに追加される要素がなくなるまで繰り返す(ステップS8とステップS6)。
【0062】
以上の処理により解析領域が要素で満たされ、要素分割図(図4(d))を得る。
【0063】
なお上記プロセス(3),(4)において、格子が入力データ分割図32’の要素等の自由辺の一部を含むか否かの判断において、格子の大きさを格子の重心を中心に所定倍率で拡大し、その拡大された格子の中に要素(自由辺)が存在すれば要素(自由辺)を含むというように判断してもよい。このようにすれば、入力データ分割図のまわりに発生する扁平な要素の発生を抑えることができる。このことを図5を用いて説明する。
【0064】
図5は、格子拡大による自由辺の含有判断による効果を説明する図であり、本実施例の要素分割方法を適用して要素分割を行っている途中の段階を示す。図中、e0 は1次元要素、K1 〜K4 は格子、e1 〜e5 及びe11〜e12は発生する要素、N1は格子点の1つを示す。上述の処理過程(3)及び(4)における1次元要素を含むか否かの判定において、図5の(a)は格子の大きさを拡大しない場合、同図(b)は格子の辺の大きさを1.5倍に拡大して1次元要素の内含を判定した場合に作成される要素分割図の要素を示している。
【0065】
(a)では、格子K2 は要素e0 を含まないと判定したため、上述の処理(3)において、3角形要素に分割される。このため、N1 は処理(4)において、格子どうしで共有されない辺上の点として、領域Aに格納される。その結果、一部に偏平な要素(e5 )が発生している。
【0066】
一方、(b)では、格子K2 をその重心を中心として1.5倍に拡大する(同図において、K2 ’で示す)ことにより、要素e0 を含むと判定される。このため、処理(4)において、要素に分割されず、格子のまま残る。従って、N1 は格子どうしで共有される辺上の点となり、処理(5)において領域Aに格納される点として抽出されることはない。この結果、1次元要素e0 に近接する点(N1 )がないため、処理(7)で作成した要素には、上述の(a)の場合と異なって、偏平な要素はない。
【0067】
このように、格子が要素の一部を含むか否かを、格子の大きさを格子の重心を中心にして拡大して判定することにより、偏平な要素の発生を抑えることが可能である。そして、このときの拡大の比率は、1〜2倍程度が好ましい。
【0068】
なお、本自動要素分割により得られた要素分割図は近接要素間の要素の大きさの変化がスムーズでない場合が多い。そこで、入力データ分割図以外の要素については、従来法と同様にスムージングの操作を施すことが望ましい。
【0069】
以上、2次元の場合についての適用例を示したが、本方法は3次元解析モデルの作成にも容易に拡張することができる。すなわち、上記処理において、格子を立方格子、自由辺を自由面(複数の要素に共有されない要素の面を自由面と呼ぶ)、辺を面に置き換え、更に上述の(6)のプロセスを次の(6)’で置き換えることにより解析領域を3次元立体要素で満たすことができる。
【0070】
(6)’RAM3の領域Bに格納された面について、その面を構成する3頂点と、領域Aに格納された節点のうちの1つの計4点からなる4面体のうち、
・(4)で抽出された立方格子の内部に含まれる.
・すでにメモリCに記憶されている要素と重複領域を持たない.
という条件を満たし、かつ、
Figure 0003658006
(但し、α,β,γ,δは4頂点における立体角 (radian) )
で表されるφ’が最小となるものを新たに要素として領域Cに記憶する。ここで入力データ分割図の自由面はすべて3角形からなっている必要がある。
【0071】
なお2次元の場合と同様、プロセス(1)は、各格子の含む自由面の最長辺の長さが格子の1辺の長さよりも短くなったときもしくはその1つ手前とすると、入力データ分割図と本操作で作成される要素の大きさが整合してよい。
【0072】
またプロセス(3),(4)において、格子の大きさを格子の重心を中心として1〜2倍程度拡大して、その格子が要素の自由面を含むか含まないかを判断すると、2次元の場合と同様、扁平な要素の発生を抑えることができる。
【0073】
また本実施例では、解析領域内に要素分割データだけを与えたが、従来の構造物の輪郭線も与えて要素分割を行うことも容易であることは言うまでもなく、上述のステップS3の節点移動はこれを考慮したものである。
【0074】
尚、本実施例では要素分割図を1ブロックだけとした。しかし本方法によれば、いくつかの部品からなる構造物を部品ごとに要素分割しておき、最後に本方法により1つの要素分割図として作成することも容易である。こうすることにより、部品個々の形状変更等に容易に対応できる。
【0075】
以上説明したように、本実施例1によれば、入力データ分割図による要素がそのまま保存されるので、使用者の意図を反映した要素分割が可能である。また、本実施例1における計算時間,使用メモリの増加は、一般的な4分木/8分木法に比べてほとんど変わらない。
【0076】
<実施例2>
次に実施例2について説明する。本実施例2における要素分割装置の概略の構成は実施例1(図1)と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0077】
図6は、実施例2の要素分割処理の手順を表すフローチャートである。前述の図3の(a)と同様の2次元平面モデルについて要素分割を行うプロセスを例に挙げて説明する。
【0078】
図7及び図8は本実施例2における要素分割の処理過程を説明する図である。図7の(a)は入力データである解析領域31および要素分割図(ハッチング部分)である。本要素分割図は、図3の(a)と同様に、あらかじめ解析者が一般的な領域分割法等を用いて作成したものであり、構造物32の内部を円弧の径方向に薄く6層に4辺形要素に分割している。この入力データを用いて以下のプロセスを実行することによって、要素への未分割部分を自動的に要素分割することができる。
【0079】
(1)図7の(a)の如き解析領域境界を適当な長さの辺に分割し、分割された辺の両端に節点を発生し、これをRAM3の領域Aに格納する(ステップS11)。更に、入力データ分割図32’の自由辺上の節点を領域Aに格納する(ステップS12)。以上の処理により、図7の(a)において黒丸で示される節点が領域Aに格納される。更に、これらの適当な長さに分割された解析境界の辺(即ち、節点で区切られた解析境界上の辺)と、入力データ分割図32’の自由辺とをRAM3の領域Bに記憶する(ステップS13)。
【0080】
(2)領域Bに格納された辺の1つをとりだす。そして、領域Aに格納された節点のうち、この辺の両端の節点とともに3角形を構成する。複数の3角形が得られる場合は、各3角形の3つの内角をα,β,γ(radian)として前述の[1]式で決定されるφが最も小さくなる3角形を選び、この3角形を要素としてRAM3の領域Cに格納する。
【0081】
(3)(2)の操作を領域Bに格納されたすべての辺について繰り返す。なお要素を新たにメモリZに記憶する段階で、該要素が既に記憶されている要素と重複領域を持たないことを確認し、重複領域を持たない要素のうちでφが最も小さいものを記憶するようにする。
【0082】
(4)領域Cに格納された全ての要素の辺のうち、複数の要素に共有されていない辺(即ち、自由辺)を抽出する。ここで抽出された自由辺を領域Bに格納し、上述の(2),(3)の操作を行う。
【0083】
(5)(4)の処理を新たに領域Cに記憶される要素がなくなるまで繰り返す。これによって図7の(b)を得る。以上(2)〜(5)の処理は図6のステップS14の処理に相当する。
【0084】
(6)領域Cのすべての要素のうち、[1]式φが最も大きな要素の重心に新たな節点5c1(図8(a)参照)を発生する。そして、領域C内のすべての要素のうち、節点5c1をその外接円の内部に有する要素を領域Cから削除する。すなわち、図8(a)においては、要素5c2,5c3,5c4が削除される。その後、節点5c1を頂点とする要素5d1〜5d5を生成し、新たに領域Cに格納する(図8(b)を参照)。
【0085】
(7)(6)の処理を要素が十分細かくなるまで繰り返す。(以上(6)及び(7)の処理は、ステップS15に相当する。ただし、(6),(7)の処理において、入力データ分割図32’については細分割を行わない。
【0086】
以上説明したように、実施例2によれば、従来のデラウニ法を用いた自動分割の長所を継承し、かつ、主要部分にユーザの意志を反映させた要素分割図を得ることができる。
【0087】
尚、本実施例2における処理手順は、3次元要素分割にも容易に拡張できることは明かである。すなわち、構造物の表面を適当に分割していたものを入力データ分割図の自由表面に分割し、デラウニ法において3次元形状モデルに拡張したのと同様の手法を用いる。これによって、入力データ分割図以外の領域も自動的に4面体要素で満たすことができる。
【0088】
以上説明したように、実施例1及び実施例2によれば、解析者の要求を正確に反映した要素分割図が自動的に得られる。特に、両実施例においては、入力データ分割図が円周に沿った方向に規則的であり、且つ扁平な要素となっている。両実施例では、このような入力データ分割図を用いることで、径方向に多層に分割しているにもかかわらず要素数は少ないというような要素分割図の作成を実現しているが、これは従来の方法では作成できないものであった。
【0089】
又、上記実施例1,2によれば、薄板状のモデルについても、扁平な要素を使用した分割図を入力データとして与えることにより、少ない要素数で分割することが可能となる。
【0090】
又、上記実施例1,2により作成される要素分割図の入力データ分割図と新たに作成される分割図の間の要素の大きさの変化はスムーズであり、良好な要素分割図を得ることができる。
【0091】
しかも、上記実施例1,2では、基本部分で従来の自動分割アルゴリズムを使用することが可能であり、従来の方法に比較し、計算時間,使用メモリはほとんど増加しない。
【0092】
更に、本実施例1,2によれば、複数の部品からなる構造物を部品ごとに独立に要素分割し、これら複数の要素分割データから、それらをまとめた1つの要素分割図を自動的に作成することも可能となる。
【0093】
<実施例3>
実施例3の要素分割装置は、所望の粗密づけにて要素分割を作成するとともに、任意の位置に節点を発生することを可能とするものである。尚、ここでは、1本の線分からなる要素を1次元要素、全節点が2次元面上にある薄板状の要素を2次元要素、体積を持ち3次元形状をした要素を3次元要素と呼ぶ。
【0094】
実施例3の要素分割装置の概略構成は実施例1(図1)と同様であり、ここではその説明を省略する。但し、RAM3は領域A,B,C,Dを備える。各領域については以下で説明する。
【0095】
図9は実施例3の要素分割手順を表すフローチャートである。又、図10及び図11は実施例3の分割処理の過程を説明する図である。図10の(a)は入力データを示し、51は解析領域、52は入力データとして与えられる1次元要素である。本1次元要素は予め解析者が一般的な周知の方法を用いて作成したものである。ここでは、構造物の外形線を、要素の長さを変化させて分割し、1次元要素で表している。このような入力データに対して以下のプロセスを実行することにより、解析領域を自動的に有限要素に分割することができる。
【0096】
(1)一般的な4分木法と同様に解析領域を格子に分割する。これを再帰的に行うことで、細かな格子に分割していく。このとき、格子を再分割する判定基準として、構造物の輪郭線の内含に加え、入力データとして与えた1次元要素の内含を考慮する。即ち、1次元要素の一部もしくは全てを内含する格子に対して更に細かく再分割を行う。再分割の細かさとしては、格子の1辺が、格子が交差または内含する1次元要素の長さよりも短くなるところ、もしくはその1つ手前が望ましい。このように再分割することにより、作成される要素分割図において、近接要素間の要素の大きさの変化をスムーズにすることができる。以上の処理は、図9のステップS21に相当するものであり、本処理により、図10の(b)が得られる。
【0097】
(2)続くステップS22において、クラス差補正処理を行い、図10の(c)を得る。
【0098】
(3)更に、ステップS23では、一般的な4分木法と同様に構造物近傍の格子点を構造物表面に移動する。但し、図10のモデルでは、構造物の外形線を与えていないので、本処理は実行しない。
【0099】
(4)ステップS24において、上述の各処理により作成された格子のうち、1次元要素の一部又は全体を含まない格子を抽出し、該格子から要素を発生させる(図10の(d)参照)。本処理により発生した要素は、RAM3の領域Cに格納される。
【0100】
(5)次に、ステップS25において、入力データとして与えた1次元要素の一部または全体を含む格子を抽出し、RAM3の領域Dに格納する。更に、以下の如き格子点及び節点を抽出し、RAM3の領域Aに格納する。ここで、領域Aに格納される節点とは、
・領域Dに格納された各格子の辺のうち、格子どうしで共有されない辺上の節点(図10の(d)において白丸で示される点)のうち解析境界上の節点を除いたもの.
・領域Dに格納された格子の格子点のうち、1次元要素を構成する節点との最小距離が格子の1辺以上である格子点(図10の(d)において、白三角で示される点).
・1次元要素を構成する節点(図10の(d)において黒丸で示される点).
である。
【0101】
(6)次に、ステップS26において、1次元要素の辺をRAM3の領域Bに格納する。
【0102】
(7)ステップS27では、領域Bに格納された個々の辺について、その両端の節点と、領域Aに格納された節点のうちの1つとの計3点から構成される3角形のうち、以下の条件を満たし、かつ前述の(1)式のφが最小となるものを新たに要素として領域Cに追加する。ここで、満たされるべき条件とは、
・領域Dに格納されている格子(1次元要素の一部または全体を含む格子)の内部に含まれること.
・すでに領域Cに記憶されている要素と重複領域を持たないこと.
であり、この結果、各1次元要素から図11の(b)の矢印で示した要素が作成され、その結果、ハッチングで示した要素が領域Cに新たに追加される.
(8)ステップS28では、先のステップS26及びステップS27の処理により新たな要素が発生したか否かを判定し、発生していなければ本処理を終了する。
【0103】
(9)ステップS28において、新たな要素が発生している場合は、ステップS26に戻る。この場合のステップS26及びステップS27においては以下の如き処理が実行される。即ち、、
・領域Cに格納された要素の辺のうち、複数の要素によって共有されていない辺を抽出する.
・抽出した辺で領域Bの内容を書き換え、上述の(7)の処理を行う.
という処理である。以上の処理を領域Cに新たに追加される要素がなくなるまで繰り返す(ステップS26〜ステップS28)。これにより、図11の(c)においてハッチングで示される要素が新たに領域Cに格納される。以上のようにして図11の(d)の如き要素分割図が得られる。
【0104】
尚、上記の処理において、領域C中に、入力データとして与えた1次元要素は含めない。
【0105】
尚、上記処理(4)、(5)における、格子が1次元要素の一部または全体を含むか否かの判定において、前述の実施例1と同様に、格子の大きさを格子の重心を中心に拡大し、その中に要素が存在すれば当該格子が要素を含むと判定するようにすれば、1次元要素のまわりに発生する偏平な要素の発生を抑えることができる。これは、図5により実施例1で説明したのでここでは省略する。
【0106】
以上説明したように、本実施例3によれば、要素分割図の粗密づけを行うに際して、入力データにより1次元要素を所望の長さに区切って指定することができ、入力された1次元要素に基づいた要素分割が行われる。このため、要素分割において、解析者による所望の粗密づけを行うことができる。
【0107】
また、ここでは2次元モデルにおいて1次元要素のみを入力データとして含めた例を示したが、0次元要素(節点)を含めてもよい。このとき上記処理(1)〜(4)において、本0次元要素を含む格子については要素分割を実行せず、(5)の処理で領域Aに格納する格子点及び節点にこの0次元要素を加える。このようにすることで、要素分割に際して所望の位置に節点を発生することが可能となる。従って、更に粗密づけの指定をきめ細かに行うことができる。
【0108】
尚、本自動要素分割方法により得られた要素分割図は、近接要素間の要素の大きさの変化がスムーズでない場合が多い。そこで、入力データとして与えた要素分割図の節点以外の節点については、一般的な要素分割手法と同様に節点の移動を行い、スムージング処理を施すことが望ましい。
【0109】
本要素分割法に修正4分木法の如き手法(格子の各辺の中点を輪郭線上に移動の対象とする)を適用することが可能であることは明かである。又、構造解析のような構造物のみを分割する分割モデルについても、本実施例の要素分割方法を適用できることは言うまでもない。
【0110】
<実施例4>
上記実施例3では、2次元の場合についての要素分割を示したが、本方法は3次元要素分割図の作成に拡張することも可能である。ここでは、その方法について説明する。
【0111】
3次元要素分割へ適用するには、上述の実施例3で示した手順において、格子を立方格子、1次元以下の要素を2次元以下の要素に置き換え、以下の処理を行うことにより、解析領域を3次元立体要素(4面体要素)で満たすことが可能である。
【0112】
(1)解析領域を再帰的に立方格子に分割する。このとき、構造物の表面の全てもしくは一部を内含する格子に加え、入力データとして与えた2次元以下の要素の一部もしくは全てを内含する格子について、更に細かく再分割していく(図9のステップS21に相当)。
【0113】
(2)クラス差補正処理を行う(ステップS22に相当)。
【0114】
(3)構造物近傍の格子点を構造物表面の点に移動する(ステップS23に相当)。
【0115】
(4)作成した格子のうち、2次元以下の要素の一部または全体を含まない格子を抽出し、該格子から3次元要素を発生させる。こうして発生した3次元要素は領域Cに格納される(ステップS24に相当)。
【0116】
(5)2次元以下の要素の一部または全体を含む格子を抽出し、領域Dに格納する。また、以下の如き格子点及び節点を抽出し、これを領域Aに格納する。ここで領域Aに格納される格子点及び節点は、
・領域Dに格納された格子の、格子どうしで共有されない面上の節点.
・領域Dに格納された格子の格子点のうち、2次元以下の要素を構成する節点との距離が格子の1辺以上である格子点.
・2次元以下の要素を構成する節点.
である(ステップS25に相当)。
【0117】
(6)2次元要素の面を領域Bに格納する(ステップS26に相当するが、但し、「辺」は「面」に置き換える)。
【0118】
(7)領域Bの個々の面について、その面を構成する3頂点と、領域Aに格納された節点のうちの1つの計4点からなる4面体のうち、
・領域Dの立方格子の内部に含まれる.
・すでに領域Cに格納されている要素と重複領域を持たない.
という条件を満たし、かつ上述の[2]式で計算されるφ’が最小となるものを新たに要素として領域Cに格納する(ステップS27に相当する)。
【0119】
(8)領域Cに格納された要素の面のうち、他の要素と共有された面を抽出する。抽出した面を領域Bの内容と置き換え、(7)の処理を行う。本処理を領域Cに新たに追加される要素がなくなるまで繰り返す(ステップS28、ステップS26、ステップS27に相当する)。
【0120】
尚、上述の処理において、領域C中に、入力データとして与えられた2次元以下の要素は含めない。また、ここで入力データとして与えた2次元要素は、全て3角形からなっている必要がある。
【0121】
尚、2次元モデルの場合と同様、(1)の処理は、格子の1辺の長さが、該格子が交差/内含する1、2次元要素の最長編の長さよりも短くなる1つ手前、もしくはそれよりも短くなるまで行うと、入力データ分割図と本処理で作成される要素の大きさが整合するので好ましい。
【0122】
また、上述の(4)及び(5)の処理において、格子の大きさを、格子の重心を中心として、例えば1〜2倍に拡大して、その格子が要素の2次元以下の要素を含むか否かを判定すると、2次元の場合と同様に偏平な要素の発生を押さえることができる。
【0123】
さらに、本実施例4において、修正8分木法の如き手法が適用可能であることは2次元モデルの場合と同様である。
【0124】
以上説明したように、上述の実施例3および4によれば、
・要素分割図の粗密づけに対して、要素の寸法まで制御できる.
・任意の位置に節点を発生できる.
・作成される要素分割図の要素の大きさの変化はスムーズである.
という効果が得られ、解析者の要求を満たす要素分割図が自動的に得られるようになる。更に、本実施例では、計算時間および使用メモリーは、従来の方法と比較してもさほど変化しない。
【0125】
尚、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器から成る装置に適用しても良い。また、本発明はシステム或は装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適用できることは言うまでもない。
【0126】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、解析者の要素分割に対する要望をできるだけ取り込んだ要素分割図を自動的に作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例における要素分割装置の概略の制御構成を表すブロック図である。
【図2】実施例1の分割処理手順を表すフローチャートである。
【図3】実施例1の分割処理における処理の過程を説明する図である。
【図4】実施例1の分割処理における処理の過程を説明する図である。
【図5】格子拡大による自由辺の含有判断による効果を説明する図である。
【図6】実施例2の要素分割処理の手順を表すフローチャートである。
【図7】実施例2における要素分割の処理過程を説明する図である。
【図8】実施例2における要素分割の処理過程を説明する図である。
【図9】実施例3の要素分割手順を表すフローチャートである。
【図10】実施例3の分割処理の過程を説明する図である。
【図11】実施例3の分割処理の過程を説明する図である。
【図12】一般的な4分木法の処理過程を示すフローチャートである。
【図13】一般的な4分木法の処理状態の一例を表す図である。
【図14】一般的な4分木法の処理状態の一例を表す図である
【図15】一般的な修正4分木法における格子パターンを表す図である
【図16】一般的なデラウニ法を用いた自動要素分割のフローチャートである。
【図17】一般的なデラウニ法による分割の過程を説明する図である。
【符号の説明】
1 CPU
2 ROM
3 RAM
4 入力部
5 表示部
6 システムバス
31 解析領域
32 構造物
33 空間部分

Claims (16)

  1. 解析領域を自動的に有限要素に分割する有限要素分割装置であって、
    予め第1の要素群へ分割された領域である入力分割領域を含む解析領域を入力する入力手段と、
    前記解析領域を複数の格子に分割する第1分割手段と、
    前記第1分割手段で得られた格子のうち、前記入力分割領域を含まない格子を用いて第2の要素への分割を行う第2分割手段と、
    前記第1分割手段で得られた格子のうち前記入力分割領域を含む格子を抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段で抽出された格子を形成する辺のうち抽出された格子どうしで共有されない辺上に要素を形成するための節点を発生する第1発生手段と、
    前記入力分割領域内の前記第1の要素群の各要素を形成する辺のうち前記第1の要素群の複数の要素により共有されない辺上に要素を形成するための節点を発生する第2発生手段と、
    前記第1及び第2発生手段で発生した節点に基づいて、前記解析領域中の前記入力分割領域及び前記第2分割手段により分割された領域を除く領域を第3の要素群へ分割する分割手段とを備えることを特徴とする有限要素分割装置。
  2. 前記解析領域は2次元であり、前記第1、第2、第3の要素群の夫々は2次元要素で構成されることを特徴とする請求項1に記載の有限要素分割装置。
  3. 前記第1分割手段は、前記解析領域を複数の4角形の格子に分割し、構造物の全てもしくは一部を含む格子を更に細かい4角形の格子に分割することを特徴とする請求項2に記載の有限要素分割装置。
  4. 前記第1分割手段は、前記構造物を含む各格子の辺の長さが当該格子の中に含まれる前記入力分割領域内の要素の最長辺よりも短くなる1つ手前まで当該格子を分割することを特徴とする請求項3に記載の有限要素分割装置。
  5. 前記第1分割手段は、前記構造物を含む各格子の辺の長さが当該格子の中に含まれる前記入力分割領域内の要素の最長辺よりも短くなるまで当該格子を分割することを特徴とする請求項3に記載の有限要素分装置。
  6. 前記解析領域は3次元であり、前記第1、第2、第3の要素群の夫々は3次元要素で構成されることを特徴とする請求項1に記載の有限要素分割装置。
  7. 前記第1分割手段は、前記解析領域を複数の6面体の格子に分割し、構造物の全てもしくは一部を含む格子を更に細かい6面体の格子に分割することを特徴とする請求項6に記載の有限要素分割装置。
  8. 前記第1分割手段は、前記構造物を含む各格子の辺の長さが当該格子の中に含まれる前記入力分割領域内の要素の最長辺よりも短くなる1つ手前まで当該格子を分割することを特徴とする請求項7に記載の有限要素分割装置。
  9. 前記第1分割手段は、前記構造物を含む各格子の辺の長さが当該格子の中に含まれる前記入力分割領域内の要素の最長辺よりも短くなるまで当該格子を分割することを特徴とする請求項7に記載の有限要素分割装置。
  10. 前記抽出手段は、前記第1分割手段で得られた各格子が前記入力分割領域を含むか含まないかの判定において、前記各格子を実際よりも拡大して判定を行い、拡大された領域内に前記入力分割領域が含まれる格子を抽出することを特徴とする請求項1に記載の有限要素分割装置。
  11. 前記抽出手段における格子の拡大率は、格子を形成する各辺の1乃至2倍であることを特徴とする請求項10に記載の有限要素分割装置。
  12. 解析領域を自動的に有限要素に分割する有限要素分割装置であって、
    当該解析領域の有する次元よりも少なくとも1次元低い次元数を有する低次元要素を含めて解析領域の入力を行う入力手段と、
    前記解析領域を複数の格子に分割する第1分割手段と、
    前記第1分割手段で得られた格子のうち、前記低次元要素を含まない格子を用いて第1の要素群への分割を行う第2分割手段と、
    前記入力手段において入力された低次元要素を形成するための節点を要素分割を行うための節点として発生する第1発生手段と、
    前記第1分割手段で得られた格子のうち、前記低次元要素を含む格子を抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段で抽出された格子を形成する辺のうち、複数の前記抽出された格子により共有されない辺上に要素を形成するための節点を発生する第2発生手段と、
    前記第1及び第2発生手段で発生した節点に基づいて、前記解析領域中の前記第2分割手段で分割された領域を除く領域について第2の要素群への分割を行う第2分割手段とを備えることを特徴とする有限要素分割装置。
  13. 前記解析領域は2次元であり、前記第1および第2の要素群の夫々は2次元要素で構成されることを特徴とする請求項12に記載の有限要素分割装置。
  14. 前記第1分割手段は、前記解析領域を複数の4角形の格子に分割し、前記低次元要素の全てもしくは一部を含む格子を更に細かい4角形の格子に分割することを特徴とする請求項13に記載の有限要素分割装置。
  15. 前記解析領域は3次元であり、前記第1および第2の要素群の夫々は3次元要素で構成されることを特徴とする請求項12に記載の有限要素分割装置。
  16. 前記第1分割手段は、前記解析領域を複数の6面体の格子に分割し、前記低次元要素の全てもしくは一部を含む格子を更に細かい6面体の格子に分割することを特徴とする請求項15に記載の有限要素分割装置。
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