JP3657263B2 - 対価支払管理方法とサーバ、対価支払管理プログラムとコンピュータ読取可能な記録媒体、並びに対価支払管理媒体と対価支払記録媒体 - Google Patents

対価支払管理方法とサーバ、対価支払管理プログラムとコンピュータ読取可能な記録媒体、並びに対価支払管理媒体と対価支払記録媒体 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、商品やサービス、あるいは労働などに対する対価の支払の管理に関するものであり、特に、対価の支払義務者が、受取権利者に対価相当額を与信限度額として付与するものである。
背景技術
たとえば企業に勤める従業員(受取権利者)の賃金は、所定の支払日(たとえば給料日)に現金、あるいは従業員の口座に振込まれるなどして支払われている。すなわち企業の経営者(支払義務者)は、所定の日までに賃金相当額を準備する必要がある。
これまでにも、企業の経営者が従業員に支払う賃金と、企業が従業員に設定する与信枠とを関連付けることで、企業の経営者は、従業員が購入した商品の大金を与信枠の範囲内で従業員に代わって代替払いしておき、従業員の賃金を立替払いの代金に充当するようにした決済方法が提案されている(たとえば、特許文献「特開平2002−074213号公報」参照)。
しかしながら、従業員は、支払われた賃金の全額を一時に使い果すことはなく、必要に応じて賃金の一部を使うため、使われない賃金の一部は、従業員の手元に残る、あるいは従業員の口座に預金として放置される。
すなわち、企業の経営者は、賃金の全額が使われない、つまり従業員が当面は必要としていない額も含めて、所定の支払日に支払っていることになる。企業の経営者にとっては、企業の利益に対する賃金の割合が大きければ、賃金の支払は負担となるが、従業員が当面は必要としない額を企業の内部に留保できるとすれば、企業の経営者は、賃金の支払の負担から解放されることとなる。
同様に、たとえば企業間をはじめとする商取引において、商品の購入企業(支払義務者)が、所定の支払日までに代金相当額を準備する必要がなく、販売企業(受取権利者)が当面は必要としない額を購入企業の内部に留保できるとすれば、購入企業は、代金の支払負担から解放されることとなる。
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みてなされたもので、対価の支払の負担から支払義務者を解放することができる、対価支払管理方法とサーバ、対価支払管理プログラムとコンピュータ読取可能な記録媒体、並びに対価支払管理媒体と対価支払記録媒体を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明は、支払義務者が受取権利者に対価相当額の与信限度額を付与して支払う対価の支払を管理する方法であって、受取権利者の対価相当額が、サーバに入力されるステップと、サーバが、入力された対価相当額を受取権利者の与信限度額として管理するステップと、サーバが、受取権利者の信用取引に係る取引額を含む取引情報を受付けるステップと、サーバが、受付けた取引情報に基づき、支払義務者が支払うべき保証額を算出するステップと、サーバが、管理する与信限度額から算出した保証額を減額して新たな与信限度額として管理するステップ、とを有することを特徴とする。支払義務者が受取権利者に対価相当額の与信限度額を付与して支払う対価の支払を管理する方法であって、受取権利者の対価相当額が、サーバに入力されるステップと、サーバが、入力された対価相当額を受取権利者の与信限度額として管理するステップと、サーバが、受取権利者の信用取引に係る取引額を含む取引情報を受付けるステップと、サーバが、受付けた取引情報に基づき、支払義務者が支払うべき保証額を算出するステップと、サーバが、管理する与信限度額から算出した保証額を減額して新たな与信限度額として管理するステップ、とを有する。
これにより、支払義務者は、対価相当額を限度として、受取権利者が必要とする時に必要な額を支払うことができる。その結果、支払義務者は対価の支払日に対価の全額を準備する必要がなくなるため、対価の支払の負担から支払義務者を解放することができる。
また、本発明は、支払義務者が受取権利者に対価相当額を含む与信限度額を付与して支払う対価の支払を管理する方法であって、受取権利者の対価相当額と他の与信額が、サーバに入力されるステップと、サーバが、入力された対価相当額と他の与信額の合計を受取権利者の与信限度額として管理するステップと、サーバが、受取権利者の信用取引に係る取引額を含む取引情報を受付けるステップと、サーバが、受付けた取引情報に基づき、支払義務者が支払うべき保証額を算出するステップと、サーバが、管理する与信限度額から算出した保証額を減額して新たな与信限度額として管理するステップ、とを有する。
これにより、受取権利者は、対価相当額以上の信用取引を行うこともできる。すなわち、支払義務者は受取権利者に対して、対価相当額以上の与信を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明にかかる対価支払管理方法で管理する与信限度額について説明したフローチャートである。
第2図は、上記与信限度額を付与して支払う対価(賃金)について説明したフローチャートである。
第3図は、信用取引に係る取引額と支払義務者が支払う保証額の関係を示す図である。
第4図は、雇用者から被雇用者に配布される賃金支払明細書の例を示す図である。
第5図は、本発明にかかる対価支払管理サーバの実施の形態を示すブロック図である。
第6図は、本発明にかかる対価支払管理方法の実施の形態を示すフローチャートである。
第7図は、上記サーバ内で管理する与信限度額について説明した図である。
第8図は、従来のクレジットカード決済の方法について説明したフローチャートである。
第9図は、従来のデビットカード決済の方法について説明したフローチャートである。
第10図は、雇用者から被雇用者に配布される賃金支払明細書の別の例を示す図である。
第11図は、信用取引に係る取引額を分割して与信限度額で支払う例を示す図である。
第12図は、信用取引に係る取引額を分割して与信限度額で支払う別の例を示す図である。
第13図は、信用取引に係る取引額を分割して与信限度額で支払うさらに別の例を示す図である。
第14図は、信用取引後の与信限度額の振替について説明した図である。
第15図は、信用取引後の与信限度額の振替について説明した別の図である。
第16図は、信用取引後の与信限度額の振替について説明したさらに別の図である。
第17図は、与信限度額の照会の例を示すフローチャートである。
第18図は、与信限度額の振替の例を示すフローチャートである。
第19図は、与信限度額の閲覧画面の例を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照しながら本発明にかかる対価支払管理方法とサーバ、対価支払管理プログラムとコンピュータ読取可能な記録媒体、並びに対価支払管理媒体と対価支払記録媒体の実施の形態について説明する。
本発明において、支払義務者から受取権利者に支払われる対価は、支払義務者が、対価相当額の与信限度額を受取権利者に付与して支払う。つまり支払義務者は、受取権利者と信用取引をする相手方(以下、「取引先」という)に対して、対価相当額を限度として、当該信用取引に係る取引額に対する保証額の支払を保証するのである(取引額と保証額との関係については後述する)。
すなわち、支払義務者が支払う対価の支払先は、受取権利者ではなく、受取権利者が信用取引をした取引先であり、対価は、受取権利者と取引先との間の信用取引に係る取引額に対する保証額として支払われる。
なお本発明において、「対価の支払を管理する」とは、対価相当額を与信限度額として付与するようにした対価の支払を管理することであり、具体的には、支払義務者が受取権利者に付与した与信限度額を管理することである。また、「受取権利者の対価相当額」とは、支払義務者が受取権利者に支払うべき対価(受取権利者が支払義務者から受け取るべき対価)に相当する金額のことである。
以下、賃金を対価とした場合を例として説明する。つまり、支払義務者が雇用者であり、受取権利者が被雇用者の場合である。
図1は、雇用者が被雇用者に付与する与信限度額について説明した図である。
被雇用者への与信限度額の付与が過去に無い、つまり最初の賃金の支払日前は、被雇用者の与信限度額は「0」である(S1)。
賃金の支払日になると、賃金相当額の与信限度額が付与されるが、過去に付与された与信限度額に残高があれば、残高に賃金相当額の与信限度額を加算して新たな与信限度額とする(S2,S3)。
一方、被雇用者が取引先と信用取引を行うと、与信限度額から当該信用取引に係る取引額に対する保証額を減額し、残高を新たな与信限度額とする(S4,S5,S6)。
以下、従業員A(月給50万円)が、加盟店Dで商品(代金5万円)を信用取引により購入する場合に、従業員Aの勤務先である企業Bが、従業員Aに代わって商品の代金を支払う場合を例として説明する。すなわち被雇用者、雇用者、取引先をそれぞれ、従業員A、企業B、加盟店Dとし、被雇用者の賃金相当額を50万円、従業員Aと加盟店Dとの間の信用取引に係る取引額を5万円とした例である。
ここで、企業Bの賃金の支払は、毎月、末日締めの末日払いであるとする。すなわち、従業員Aの2002年3月分の賃金「50万」円は、3月31日に与信限度額「50万円」として付与される。
ただし、この時点では、従業員Aの賃金は企業Bから支出されていないため、企業Bは、財務管理上、「未払賃金50万円」を計上することとなり、当該50万円は、企業Bの内部に留保される。
なお、以下に説明する実施の形態は、月給を賃金の例とするものであるが、本発明はこれに限定するものではなく日給などであってもよい。また、企業から従業員に支給される賃金に限定するものでもなく、たとえば、アルバイト学生などに支給される日当などであってもよい。
図2は、与信限度額を付与して支払う賃金について説明したフローチャートである。
ここで管理者Cとは、企業Bからの依頼で従業員Aへの賃金の支払を管理する者である。ただし、本発明において、企業Bと、管理者Cとが同一者であっても構わない。
企業Bは、賃金支払日になると、従業員Aを特定する情報(本実施の形態では従業員番号とする)と共に賃金相当額「50万円」を管理者Cに通知する(T1)。
ただし、本発明において、賃金相当額の管理者Cへの通知時期については、これに限定するものではない。すなわち、たとえば、従業員Aの賃金が固定額であれば、企業Bは、昇給時など賃金の額が変動した場合にのみ、賃金相当額を管理者Cに通知するようにしてもよい。
管理者Cは、従業員Aの賃金相当額を与信限度額として設定する(T2)。その際、管理者Cは、企業Bに対して信用を供与するための事前審査を行うようにするとよい。すなわち、後述するように、従業員Aと取引先との信用取引に係る取引額に対する企業Bの支払能力を確認するのである。
ここで、管理者Cは、本発明にかかる対価支払管理媒体であるところのカード(以下、「本カード」という)を従業員Aに発行する(貸与など)。本カードには、従業員Aを特定するための情報(従業員番号1)が記録してある。
なお、本カードの例としては、たとえば、磁気カードやICカード(接触型、非接触型を問わず)の他に、従業員Aを特定する情報が記載されている紙媒体などであってもよい。
また、本発明にかかる賃金支払管理媒体は、カードに限定するものではなく、従業員Aを特定する情報が記録されたものであれば、何であっても構わない。
さらに、管理者Cが従業員Aに発行する、つまり従業員Aが賃金の支払を受けるために利用する本カードは1枚に限定するものではなく、たとえば、複数枚の本カードを発行して、従業員Aの配偶者や子供が利用できるようにしてもよい。
ここで、従業員Aに発行する複数の本カードには、従業員Aを特定する情報の他に、各カードを特定する情報も記録して、カードごとに与信限度額(従業員Aの与信限度額の一部)を付与し、さらに従業員Aや管理者Cが、カードごとの利用状況を把握できるようにしてもよい。その場合、カードの発行数や、各カードに設定する与信限度額などを従業員Aが管理者Cに通知するように決定してもよい(管理者Cがあらかじめ決めてもよい)。このようにすれば、従業員Aは、家族に本カードを配布し、各カードの与信限度額まで信用取引をさせることができ、しかも、カードごとの利用状況を把握することができる。
なお、本カードは、たとえば、管理者Cが、企業Bから従業員Aの賃金相当額を最初に受付けた際、あるいは、従業員Aから管理者Cに要求があった場合などに発行する。
さらにまた、本カードに記録する従業員Aを特定する情報は、企業Bが決めた情報(従業員番号)に限定するものではなく、管理者Cが独自に決めた情報でもよいし、あるいは、従業員A自身が決めた情報でもよい。
さらにまた、本カードは、管理者Cが発行するのに代えて、たとえば企業Bが従業員Aに発行したカード(従業員証など)を利用してもよく、その場合、企業Bから管理者Cに対して当該カードに記録された従業員Aを特定する情報(従業員番号)を通知しておくとよい。
従業員Aは、加盟店Dで商品を購入する際に、本カードを利用する(T3)。
すなわち、加盟店Dは、商品の代金「5万円」と本カードに記録された従業員Aの従業員番号を管理者Cに通知して、管理者Cが商品の代金の支払を保証してくれるか否かを確認するための信用照会を行う(T4)。
管理者Cは、従業員Aの与信限度額を確認し(T5)、取引額が与信限度額以下であるか否か、すなわち企業Bが商品の代金に対する保証額の支払を保証するか否かを加盟店Dに通知する(T6)。
加盟店Dは、管理者Cが商品の代金の支払を保証してくれることを確認した上で商品を従業員Aに提供し(T7)、商品の代金を管理者Cに通知する(T8)。
ここで、以上説明した、図2の(T3)〜(T8)の処理は、従来から行われている、いわゆるクレジットカード決済に似ている。
図8は、従来のクレジットカード決済の方法について説明したフローチャートである。つまり、カード利用者AXが、カード会社CXの発行するクレジットカードを利用して、カード会社CXといわゆる加盟店契約を締結している加盟店DXと信用取引を行い(V1〜V7)、加盟店DXは、カード会社CXに商品の代金を請求(V8)し、カード会社CXから代金を受け取る(V9)。その際、カード会社CXは、商品の代金から加盟手数料を控除した残高を支払う場合もある。カード会社CXは、商品の代金をカード会員AXに請求(V10)して、回収する(V11)。
しかしながら、後述するように本発明は、本カードを利用する者、つまり信用取引をして商品を購入する者(従業員A)と、取引額を支払う者(企業B)とが異なり、さらに取引額は、信用取引をして商品を購入する者の賃金(の一部)として支払われる点において、従来のクレジットカード決済とは異なる。
同様に本発明は、商品を購入する者と、当該商品の代金を支払う者とが同じ、いわゆるデビットカード決済とも異なる。
図9は、従来のデビットカード決済の方法について説明したフローチャートである。つまり、カード利用者AYは、あらかじめ金融機関CYに開設したカード利用者AYの口座に現金を預けておく(W1、W2)。カード利用者AYは、金融機関CYが発行するキャッシュカードを利用して加盟店DYと信用取引を行う(W3〜W7)。その際、金融機関CYは、加盟店DYからの依頼を受けて、取引額をカード利用者AYの口座から決済用の口座に振替、その後、加盟店DYからの請求に応じて加盟店DYに支払う(W8,W9)。
図2に戻る。
管理者Cは、加盟店Dから通知された商品の代金に基づき、企業Bが支払うべき保証額を算出する(T9)。
ここで、商品の代金、つまり従業員Aと加盟店Dとの間の信用取引に係る取引額と、企業Bが当該信用取引に対して支払う保証額との関係について説明する。
図3は、取引額と保証額との関係の例を示す図である。(a)と(b)は、取引額と保証額とが一致する場合の例であり、(c)は取引額と保証額とが一致しない場合の例である。また(a)は、管理者Cに手数料を支払わない場合の例であり、(b)と(c)は、管理者Cに手数料を支払う場合の例である。
なお、本発明における取引額と保証額との関係は、これに限定されるものではなく、この他の関係であってもよい。いずれの場合にせよ、本発明において企業Bは、従業員Aの賃金(の一部)として保証額を支払う。
ここで本実施の形態は、(a)の場合とする。つまり、取引額と保証額は一致する場合で、管理者Cに手数料は支払わない場合とする。
企業Bは、商品の代金に基づき算出された保証額を管理者Cに支払い(T10)、管理者Cは、商品の代金を加盟店Dに支払う(T11)。
なお、この時点では、従業員Aの賃金「50万円」のうち、「5万円」を企業Bは支出しているため、従業員Aへの未払賃金は「45万円」となる。
ここで、管理者Cが加盟店Dに商品の代金を支払う(T11)のは、企業Bから保証額を受け取る(T10)前であっても構わない。
管理者Cは、従業員Aの与信限度額を管理している50万円から保証額5万円を減額して新たな与信限度額として45万円を管理する(T12)。
以降、管理者Cは、従業員Aが加盟店Dで信用取引を行う都度、信用取引に係る取引額に基づき算出する保証額を、従業員Aの与信限度額から減額する。
また、本発明において、従業員Aがカードを利用することができる取引先は、1社に限定するものではなく、管理者Cとの間でいわゆる加盟店契約を交わしている取引先であれば複数存在しても構わない。
企業Bは、従業員Aに賃金の支払についての明細を通知する(T13)。
図4は、本発明にかかる対価支払記録媒体の実施の形態を示す説明図であり、企業Bが従業員Aに配布する賃金支払明細書(2002年3月分)の例である。
賃金支払明細書P1には、3月分の賃金(与信限度額)・支払済賃金・未払賃金と、2月末日時点での繰越未払賃金、3月末日時点での未払賃金合計額が、それぞれ、50万円、20万円、30万円、40万円、70万円であることを示している。すなわち企業Bは、3月分の賃金50万円のうち、3月の一月間に保証額として20万円を支払っており、3月分の未払賃金30万円(=50万円−20万円)と2月末日時点での繰越未払賃金40万円の合計額70万円が、3月末日時点での与信限度額であることを示している。
なお、賃金支払明細書P1には、支払済賃金の明細、すなわち保証額の支払日と支払先についても記載してある。
また、本発明にかかる対価支払記録媒体は、紙媒体のほか、後述するWebページなどの電子情報の記録媒体も含む。
また、図10は、賃金支払明細書の別の実施の形態を示す説明図であり、従業員Aに対して3枚のカードが発行されている場合のものである。賃金支払明細書P1xには、従業員Aの賃金と、カード別の支払明細が記載されている。図10は、従業員Aの賃金50万円は、カード1,2,3にそれぞれ「当月与信限度額」として「20万円」「25万円」「5万円」として付与されていることを示す。また、カード別の支払明細は、「当月与信限度額」「支払済賃金」「未払賃金」「繰越未払賃金」「未払賃金合計額(与信限度額)」とからなる。図10は、カード1について、当月与信限度額として20万円が付与され、その中から5万円分を使用(支払済賃金)して差額15万円(未払賃金)と前月までの繰越未払賃金10万円との合計が25万円(未払賃金合計額)となっていることを示す。
図5は、管理者Cが従業員Aの与信限度額を管理するために用いる、本発明にかかる対価支払管理サーバ(以下、「本サーバ」という)の実施の形態を示すブロック図である。符号1は、本サーバを示し、通信ネットワーク5を介して端末2,3,4と接続する。端末2,3,4は、それぞれ企業B、加盟店D、金融機関Eが本サーバ1を利用するために用いる端末である。
ここで、金融機関Eとは、企業Bと加盟店Dとの間で従業員Aの信用取引に係る取引額を決済する者である。すなわち、管理者Cが金融機関Eに保証額を示すと、金融機関Eは、企業Bから加盟店Dへの資金移動を行い、決済が完了した旨を管理者Cに通知する。
なお、本発明において、企業B、管理者C、金融機関Eは、必ずしも別の者である必要はなく、たとえば、管理者Cと金融機関Eは同一者であってもよいし、あるいは企業B、管理者C、金融機関Eのすべてが同一者であってもよい。
通信ネットワーク5の例としては、インターネットやLANなどのコンピュータ通信網がある。本サーバ1、端末2,3,4は、図示しない専用線、公衆交換電話網(PSTN)、無線電話網、CATV網、衛星通信網等の通信回線を介して通信ネットワーク5と接続している。
端末2,3,4は、通信ネットワーク5を介して本サーバ1と通信することができる情報処理装置であればよく、たとえば、パーソナルコンピュータをはじめ、データ通信機能を有するPDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話機などがある。
本サーバ1は、端末2,3,4と通信ネットワーク5を介して通信することができる情報処理装置であればよく、たとえば、パーソナルコンピュータなどがある。
なお、本サーバ1では、本発明にかかる対価支払管理プログラム(以下、「本プログラム」という)が動作して本サーバ1内の各手段を制御することで、本発明にかかる賃金支払管理方法(以下、「本方法」という)を実現する。
ここで、本プログラムを記録した本発明にかかるコンピュータ読取可能な記録媒体(以下、「本記録媒体」という)を用いれば、図示しないコンピュータを本サーバ1と同様に機能させることができる。すなわち、図示しないコンピュータが、本記録媒体から本プログラムを読取、実行することで、本方法を実現することができる。
本サーバ1は、与信情報受付部11、与信限度額加算部12、与信限度額管理部13、信用照会情報受付部14、照会結果情報出力部15、取引情報受付部16、与信限度額減算部17、決済指示情報出力部18とを有してなる。
与信情報受付部11とは、従業員Aに関する与信情報を受付ける手段である。与信情報とは、管理者Cが、従業員Aの与信限度額を設定するために必要な情報であり、少なくとも従業員Aを特定する情報と従業員Aの賃金相当額を含む。
与信限度額加算部12とは、受付けた従業員Aに関する与信情報に含まれる従業員Aの賃金相当額を、すでに本サーバ1内で管理する従業員Aの与信限度額(残高)に加算して新たな与信限度額を算出する手段である。
与信限度額管理部13とは、従業員Aの与信限度額を管理(記憶)する手段である。
信用照会情報受付部14とは、従業員Aに関する信用照会情報を受付ける手段である。信用照会情報とは、信用照会に関する情報、すなわち、管理者Cが、加盟店Dに対して、従業員Aの信用取引に係る取引額の支払を保証するか否かを判断するために必要な情報であり、少なくとも従業員Aを特定する情報と取引額とを含む。
照会結果情報出力部15とは、従業員Aの与信限度額に基づいて、受付けた信用照会情報に対する照会結果情報を出力する手段である。照会結果情報とは、照会結果に関する情報であり、少なくとも、管理者Cが、加盟店Dに対して、従業員Aの信用取引に係る取引額の支払を保証するか否かの結果を示す情報を含む。
取引情報受付部16とは、取引情報を受付けると共に、受付けた取引情報に基づき保証額を算出する手段である。取引情報とは、従業員Aの信用取引に関する情報であり、少なくとも従業員Aを特定する情報と取引額とを含み、その他に、商品に関する情報(商品名など)や、加盟店Dに関する情報(加盟店Dの名称など)、あるいは、後述する取引額を分割払いとする際の分割回数などを含むようにしてもよい。
与信限度額減算部17とは、管理する与信限度額から算出した保証額を減額する手段である。
決済指示情報出力部18とは、決済指示情報を出力する手段である。決済指示情報とは、保証額の決済に必要な情報であり、少なくとも加盟店Dへの決済方法(加盟店Dが金融機関に開設している口座番号など)を特定する情報と保証額とを含む。
図6は、本サーバ1による本方法の実施の形態を示すフローチャートである。
本サーバ1は、与信情報受付部11を用いて、端末2から与信情報を受信し(U1)、与信限度額加算部12を用いて、与信限度額管理部13内に管理する従業員Aの与信限度額と受信した与信情報に含まれる従業員Aの賃金相当額を加算して、新たな与信限度額として与信限度額管理部13に記憶する(U2)。
図7は、与信限度額管理部13に記憶された与信限度額について説明した図である。
与信限度額管理部13には、本カードの利用者ごと、つまり本サーバ1により賃金の支払が管理される者ごとの与信限度額が、支払明細と共に記憶してある(単に与信限度額のみを管理するようにしてもよい)。本サーバ1は、従業員Aを特定する情報に基づいて、与信限度額管理部13を検索することで、従業員Aに関して記憶してある情報を抽出することができるものとする。
(a)は、従業員Aが加盟店Dで商品を購入する前の状態であり、3月には、2回の信用取引を行っていて、与信限度額が75万円であることを示している。
(b)については後述するが、従業員Aが加盟店Dで商品を購入した後の状態を示している。
従業員Aが、加盟店Dで本カードを利用する際、本サーバ1は、信用照会情報受付部14を用いて、端末3から信用照会情報を受信する(U3)。
端末3は、本カードから読取った従業員Aを特定する情報を、従業員Aが購入を希望する商品の代金と共に、通信ネットワーク5を介して本サーバ1に送信する。
本サーバ1は、照会結果情報出力部15を用いて、従業員Aの与信限度額を確認、つまり端末3から受付けた商品の代金と与信限度額とを比較し、その結果(代金の支払を保証するか否か)を示す情報を端末3に送信する(U5)。
加盟店Dが従業員Aと信用取引を行うと、本サーバ1は、取引情報受付部16を用いて、端末3から取引情報を受信して(U6)、当該取引情報に含まれる商品の代金に基づき保証額を算出する(U7)。その後、本サーバ1は、決済指示情報出力部18を用いて、端末4に決済指示情報を送信する(U8)。
企業Bと加盟店Dとの間の保証額の決済が完了する(U10)と、本サーバ1は、図示しない手段を用いて、端末4から決済が完了した旨の情報を受信し(U10)、図示しない手段を用いて、決済の完了を確認した後に、与信限度額減算部17を用いて、与信限度額から保証額を減算して新たな与信限度額を算出し、与信限度額管理部13に記憶する(U11)。その際、図7(b)に示すように、支払の明細(日付、支払先、支払額(保証額)など)を併せて記憶する。
本サーバ1は、図示しない手段を用いて、与信限度額管理部13に記憶された従業員Aの信用取引に関する情報を端末2に送信してもよい。すなわち、たとえば、企業Bは、本サーバ1から受信した従業員Aの信用取引に関する情報を利用して、図4に示した従業員Aに配布する賃金支払明細書P1を作成することができる。
また、本サーバ1に、与信限度額管理部13を参照して賃金支払明細書P1を作成し出力する手段を設けてもよい。出力する態様としては、たとえば、図示しないプリンタ装置への印字出力や、賃金支払明細書P1の電子データを電子メールで送信する、あるいは、Webページとして送信する。などがある。この手段を用いれば、管理者Cは、企従業員Aの賃金支払明細書P1を作成する企業Bの負担を軽減することができる。
ここで、従業員Aの信用取引に関する情報は、企業Bの経理の担当者などが、端末2から本サーバ1に接続して受信できる、あるいは従業員Aが、図示しない端末から本サーバ1に接続して受信できるようにしてもよい。その場合、たとえば本サーバ1は、いわゆるWebサーバとして動作して、図示しない手段を用いて、与信限度額管理部13を参照し、賃金支払明細書P1に相当するWebページを作成して、企業Bの担当者や従業員Aに閲覧させることで、従業員Aの信用取引に関する情報を送信するようにしてもよい。
なお、本サーバ1が従業員Aの信用取引に関する情報を送信するのは、定期的(たとえば賃金支払日)としてもよいし、不定期(たとえば、企業Bの担当者や従業員Aは、いつでも本サーバ1にアクセスして最新の情報を閲覧できる)としてもよい。
また、本サーバ1が企業Bに送信する従業員Aの信用取引に関する情報は、少なくとも保証額を含み、その他の情報、たとえば、支払先などは企業Bには通知せず、従業員Aにのみ通知して、従業員Aのみが信用取引の履歴を確認できるようにしてもよい。
ここで、以上説明した実施の形態では、2002年3月分の月給50万円と、2002年3月の一月間の信用取引に係る取引額に対する保証額の合計20万円が相殺され、2002年3月分の賃金の支払日である3月31日には、その差額である30万円(=50万円−20万円)の与信限度額が付与される場合を例として説明したが、本発明においては、与信限度額と、当該与信限度額と相殺する保証額との関係はこれに限定するものではない。すなわち、たとえば、3月31日に付与される与信限度額は、2002年3月分の月給と、2002年2月の一月間の保証額の合計との差額としてもよい。
また、本発明において、従業員A、企業B、加盟店D、金融機関Eが、管理者Cと情報交換をする際に、必ずしも通信ネットワーク5を介して行う必要はない。すなわち、たとえば、本サーバ1に入力される従業員Aの賃金相当額は、企業Bの端末2から本サーバ1に送信するのに代えて、賃金相当額を記載した書面などを企業Bから管理者Cに郵送するなどして、管理者Cが賃金相当額を本サーバ1に入力するようにしてもよい。
さらに、以上説明した実施の形態は、取引先として、商品を販売する加盟店Dを例として説明したが、本発明における取引先は、商品を販売する者に限定するものではなく、たとえば金融機関などであってもよい。つまり、従業員Aは、本カードを利用して金融機関の現金自動払出機から現金を引出し、企業Bが、管理者Cを通じて当該金融機関に従業員Aが引出した現金相当額を支払うようにすることもできる。
さらにまた、以上説明した実施の形態は、管理者Cが発行する本カードを利用して従業員Aが信用取引を行うものであったが、本発明において、本カードは必ずしも必要ではない。つまり、従業員Aと信用取引をする取引先が、従業員Aを特定する情報を確認できればよい。すなわち、たとえば、従業員Aが取引先に口頭で従業員番号を伝えてもよいし、あるいは、いわゆるネットショッピングなどにおいて、従業員Aが自宅のコンピュータから従業員番号を入力し、取引先のコンピュータに送信するようにしてもよい。
以上説明した実施の形態によれば、賃金相当額を与信限度額として従業員Aに付与するため、企業Bは、賃金相当額を限度として、従業員Aが必要とする時に必要な額を支払うことができる。その結果企業Bは、賃金の支払日に賃金の全額を準備する必要がなくなるため、賃金の支払の負担から企業Bを解放することができる。
一方従業員Aは、手元に置いておく必要のない賃金を企業Bに貸し付けることができるため、たとえば、企業Bが、未払賃金に対して金利を支払うようにすれば、従業員Aは企業Bから賃金相当額とは別に金利を受け取ることができる。なお、当該金利は、本サーバ1が図示しない手段を用いて、取引情報などに基づいて算出し、従業員Aの与信限度額に加算するなどしてもよい。
ここで、企業Bが従業員Aに支払う未払賃金に対する金利の利率は、企業Bが予め決定しておいて管理者Cに通知しておいてもよいし、あるいは、管理者C自身または外部の調査機関による信用調査結果に基づき、管理者Cが決定するようにしてもよい。また、この利率は、従業員ごとに変えてもよいし、あるいは、未払賃金の金額や、未払期間に応じて変動するものであってもよい。
また、以上説明した実施の形態は、図3に示したように、取引額を一括して支払う場合を例として説明したが、本発明においては、取引額を分割して支払う、いわゆる分割払いを採用してもよい。つまり、本サーバが受信した取引情報に基づき算出する保証額には、当該取引情報に含まれる「取引額」と「分割回数」に基づき算出される保証額も含まれる。
図11乃至13は、図3に示した従業員Aが加盟店Dから5万円の商品を購入する場合の分割払い(月賦払い)の実施の形態を示す説明図である。
図11は、従業員Aが加盟店Dに5回の分割払いを申し出た、つまり、加盟店Dが従業員Aに支払い猶予を与えた場合である。すなわち、加盟店Dから「代金5万円を5回の分割払いとする」旨の通知を受けた管理者Cは、毎月、企業Bに1万円を請求して受取り、加盟店Dに支払う。この場合、加盟店Dは、支払猶予を与えることで、企業Bから金利相当額を受け取り、企業Bは、加盟店Dに支払う金利相当額を従業員Aの与信限度額から減額するようにしてもよい。
図12は、管理者Cが企業Bに支払い猶予を与えた場合である。すなわち、加盟店Dから代金5万円の通知を受けた管理者Cは、加盟店Dに5万円を支払う一方で、毎月、企業Bに1万円を請求して受け取る。この場合、管理者Cは、支払猶予を与えることで、企業Bから金利相当額を受け取るようにしてもよい。なお、この金利相当額は、たとえば、企業Bが拠出するようにしてもよい。
図13は、加盟店Dが企業Bに支払い猶予を与えた場合である。すなわち、加盟店Dは、従業員Aとの取引額5万円を5回に分割して管理者Cに請求し、管理者Cは、毎月、企業Bに1万円を請求して受け取り、加盟店Dに支払う。この場合、加盟店Dは、企業Bに支払猶予を与えることで、企業Bから金利相当額を受け取るようにしてもよい。なお、この金利相当額は、図11に示した従業員Aの申し出により分割払いとした場合と同様に、従業員Aの与信限度額から控除するようにしてもよいし、あるいは、従業員Aの与信限度額とは無関係に企業Bが拠出するようにしてもよい。
なお、以上説明した実施の形態は、賃金を対価の例とする場合であったが、仕入れた商品の代金を対価とすれば、支払義務者であるところの商品の購入者は、買掛金相当額を与信限度額として当該商品の提供者に付与することで、当該商品の提供者が信用取引を行う際に買掛金を返済すればよいため、対価の支払の負担から解放されることとなる。
ここで、与信限度額の振替、つまり、与信限度額の転々流通に関して、商品の代金を対価の例とした図14乃至19を参照しながら説明する。
図14(a)は、企業Kから代金30万円の商品を購入した企業Jが、商品の代金を与信限度額として企業Kに付与したことを示している。つまり、企業Kは、企業Jに対して商品を販売する際に、本サーバ1に企業Jの信用照会をして商品を販売したのである。図17は、当該取引を示すフローチャートである。本サーバ1には、予め企業J,kの与信限度額が設定(記録)されている(Y1)。ここで、企業Jの与信限度額は30万円以上あるものとし、また企業Kの与信限度額は0円とする。
企業Jは、前述のように、企業Kから商品を購入する際に本カードを利用し(Y2)、企業Kは、図示しない端末から本サーバ1に接続して信用照会をする(Y3)。本サーバ1は、企業Jの与信限度額を確認し(Y4)、結果を企業Kに通知する(Y5)。企業Kが企業Jに商品を提供し(Y6)、本サーバ1に商品の代金相当額を通知すると(Y7)、本サーバ1は、企業J,Kの与信限度額を更新、つまり、設定された企業Jの与信限度額から30万円を減額すると共に、企業Kの与信限度額を30万円増額する(Y8)。
(b)は、当該取引に関する取引情報を受付けた本サーバ1が、与信限度額管理部13で管理する情報を示した図である。ここでは、支払義務者、受取権利者、取引額(付与された与信限度額)が、それぞれ、企業J、企業K、30万円であることを示す。「振替」欄については後述する。
(c)は、当該取引完了時に、本サーバ1が図示しない手段を用いて、与信限度額管理部13を参照して作成し、企業Kに送信した与信限度額閲覧画面の例を示す説明図である。当該画面は、企業Kに付与されている与信限度額が30万円で、その支払義務者が企業Jであることを示している。「利率」「ランク」欄については後述する。
本サーバ1は、当該手段を用いて、企業Kの端末から照会依頼を受付け(図17のY9)、与信限度額管理部13を検索して企業Kに付与されている与信限度額を検索し(Y10)、図14(c)に示す与信限度額閲覧画面を作成して企業Kの端末に送信する(Y11)。
このように企業Kは、図示しない端末から本サーバ1に接続して、自身に付与されている与信限度額を照会・確認することができる。
図15(a)は、図14(a)に示した取引の後に企業Lから代金40万円の商品を購入した企業Kが、商品の代金を与信限度額として企業Lに付与したことを示している。
(b1)は、当該取引に関する取引情報を受付けた本サーバ1が、与信限度額管理部13で管理する情報を示した図である。ここでは、図14に示した取引に関する情報に加えて、支払義務者、受取権利者、取引額(付与された与信限度額)が、それぞれ、企業K、企業L、40万円であることを示す。
(b2)は、企業Kが、企業Jから付与された与信限度額30万円を企業Lに付与する与信限度額40万円の一部に振替えた際の与信限度額管理部13で管理する情報を説明した図である。(b2)に示すように、企業Kが与信限度額の振替を行うことで、企業Jから企業Kに付与された与信限度額30万円は、企業Jから企業Lに付与されたこととなり、企業Kは差額の10万円の与信限度額を企業Lに付与したこととなる。
(b2)に示す「振替」欄の「済」とは、企業Kによる当該与信限度額の振替の結果、当該取引に関する支払義務者と受取権利者との間の与信限度額の債権・債務が消滅、より具体的には、たとえば、(b2)の1行目に示す企業Jの企業Kに対する債務(与信限度額)30万円は消滅し、その代わりに3行目に示す企業Jの企業Lに対する債務30万円が発生している。すなわち、企業Jは、企業Kから購入した商品の代金相当額30万円を企業Kではなく、企業Kが指定した企業Lに支払うことになる。なお、(b2)の4行目は、当該振替による残高10万円(=40万円−30万円)の与信限度額に関する情報を示す。
(c)は、当該取引・および振替完了時に、本サーバ1が図示しない手段を用いて、与信限度額管理部13を参照して作成し、企業Lに送信した与信限度額閲覧画面の例を示す説明図である。当該画面は、企業Lに付与されている与信限度額が40万円で、その支払義務者が企業Jと企業Kであり、それぞれから付与された与信限度額が30万円と10万円であることを示している。
図16(a)は、図14(a),図15(a)に示した取引の後に企業Mから代金60万円の商品を購入した企業Lが、商品の代金を与信限度額として企業Mに付与したことを示している。
(b1)は、当該取引に関する取引情報を受付けた本サーバ1が、与信限度額管理部13で管理する情報を示した図である。ここでは、図14,15に示した取引・振替に関する情報に加えて、支払義務者、受取権利者、取引額(付与された与信限度額)が、それぞれ、企業L、企業M、60万円であることを示す。
(b2)は、企業Lが、企業Jから付与された与信限度額30万円と、企業Kから付与された与信限度額10万円とを、企業Mに付与する与信限度額60万円の一部に振替えた際の与信限度額管理部13で管理する情報を説明した図である。振替の結果、企業Mに対して企業J,K,Lは、それぞれ、30万円、10万円、20万円の与信限度額を付与したことになる。
(c)は、当該取引・および振替完了時に、本サーバ1が図示しない手段を用いて、与信限度額管理部13を参照して作成し、企業Mに送信した与信限度額閲覧画面の例を示す説明図である。当該画面は、企業Mに付与されている与信限度額が60万円で、その支払義務者が企業J,K,Lであり、それぞれから付与された与信限度額が30万円,10万円,20万円であることを示している。
ここで、図14,15,16の(c)に示した与信限度額閲覧画面の「利率」「ランク」欄について説明する。
図16(c)の例によれば、企業Mは、当該画面を閲覧することで、自身に60万円の与信限度額が付与されていること、およびその内訳、つまり支払義務者と与信限度額とを確認することができる。この場合について、その後、企業Mが第三者(企業J,K,Lを含む)から商品を購入してその代金相当額の与信限度額を当該第三者に付与する場合、自身に付与されている与信限度額60万円の一部または全部を振替えることができるのは前述の通りである。「利率」「ランク」は、企業Mが、自身に付与された与信限度額60万円のうち、どの支払義務者から付与された与信限度額を振替えるべきかを判断する指標の例である。先に説明したように、「利率」は、予め支払義務者が設定している与信限度額に対する金利であり、「ランク」は、支払義務者のいわゆる格付けである。
図14乃至16に示した例では、企業Mが直接に取引をしたのは、企業Lのみであって、企業J,Kとの取引はない。つまり、企業Mは、取引の無い支払義務者から与信限度額を付与されていることになる。そこで、図16(c)に示す画面を閲覧することで、企業Mは、たとえば、金利の低い、あるいはランクの低い企業の与信限度額から優先的に振替えるといった、いわばリスク管理をすることができる。
図18は、図15(a)の取引に関する与信限度額の振替について示したフローチャートである。
企業Kは、前述の通り、企業Lから商品を購入し、その代金相当額40万円を与信限度額として企業Lに付与する(Z6〜Z8)。その後、企業Kは、図示しない端末から本サーバ1に接続して与信限度額を照会し、図19(a)に示す与信限度額閲覧画面を参照しながら、与信限度額の振替を本サーバ1に指示する(Z9〜Z12)。図19(a)は、企業Kが企業Jから付与されている与信限度額(いわゆる売掛金に相当する)が30万円あり、企業Kが企業Lに付与している与信限度額(いわゆる買掛金に相当する)が40万円あることを示し、また、買掛金に相当する与信限度額30万円の全額を売掛金に相当する与信限度額に振替えることを指示していることを示す。本サーバ1は、図示しない手段を用いて、振替指示を受付け、指示に基づき与信限度額の振替、つまり、与信限度額管理部13に記録された情報を図15の(b1)から(b2)に更新し、図19(b)に示す画面を作成して企業Kの端末に送信する。図19(b)は、企業Kに付与された与信限度額は無く(0円)、企業Lに付与している与信限度額が10万円であることを示す。
なお、図19に示した画面上で、振替指示と共に、振替金額を指定できるようにしてもよい。
また、本サーバに対する振替指示は、取引後に限定するものではなく、たとえば、「金利の低い与信限度額から優先的に振替える」といった指示を予め本サーバに登録する手段を本サーバに設けるようにしてもよい。この手段を用いることで本サーバは、商品代金の通知を受けて与信限度額を更新する際に、併せて登録されている振替指示を検索し、登録されていれば、当該指示に基づき、与信限度額の振替を行うことができる。
これまで説明した実施の形態は、支払義務者が受取権利者に付与する与信限度額は、受取権利者が支払義務者から受け取るべき対価相当額(たとえば、企業Bが従業員Aに付与する与信限度額は、従業員Aの賃金相当額)であったが、本発明はこれに限定するものではなく、受取権利者に付与する与信限度額を対価相当額とするのに代えて、対価相当額を含む、対価相当額以上の与信限度額を付与して対価を支払うようにしてもよい。このようにすれば、受取権利者に対して、対価相当額以上の信用取引を行わせることができる。賃金を例とすれば、従業員Aに付与する与信限度額を賃金相当額とするのに代えて、賃金相当額を含む、つまり賃金相当額以上の与信限度額を付与して賃金を支払うことで、従業員Aに対して、賃金相当額以上の信用取引を行わせることができる。
つまり、図1〜図7を用いて説明した実施の形態は、
(ケース1)企業Bが、従業員Aに賃金相当額の与信額を付与する、
ものであったが、
(ケース2)企業Bが、従業員Aを審査して従業員Aに与信額を付与する、
(ケース3)管理者Cが、企業Bを審査して企業Bに与信額を付与し、企業Bは、管理者Cから付与された与信額(の一部)を従業員Aに付与する、
(ケース4)管理者Cが、従業員Aを審査して従業員Aに与信額を付与する、
など、従業員Aの賃金相当額とは別の、他の与信額を付与するようにしてもよい。
すなわち、ケース2の場合、企業Bは、月給50万円の従業員Aに対して、たとえば80万円の与信限度額を付与する。この場合、与信限度額80万円と賃金相当額50万円の差額30万円は、企業Bから従業員Aへの貸付金となる。つまり企業Bは、保証額が50万円を超える信用取引であっても、保証額80万円までの支払を管理者Cに保証することになる。ただし、賃金相当額50万円を超える保証額については、従業員Aは返済する必要がある。この場合、与信限度額80万円と賃金相当額50万円の差額30万円(差額30万円のうち、実際に従業員Aが利用した額、つまり企業Bが管理者Cに支払った保証額のこと。以下、同じ)は、管理者Cから企業Bへの貸付金とする共に企業Bから従業員Aへの貸付金としてもよいし、あるいは、管理者Cから従業員Aへの貸付金としてもよい。
また、ケース3の場合、管理者Cは、企業Bに対して100万円の与信額を付与し、企業Bは、月給50万円の従業員Aに対して、管理者Cから付与された100万円のうち30万円を賃金相当額50万円に加算して、80万円の与信限度額を付与する。この場合、与信限度額80万円と賃金相当額50万円の差額30万円は、管理者Cから企業Bへの貸付金とすると共に企業Bから従業員Aへの貸付金としてもよいし、あるいは、管理者Cから従業員Aへの貸付金としてもよい。
あるいは、ケース4の場合、企業Bは、月給50万円の従業員Aに対して、50万円の与信限度額を付与し、管理者Cが、独自に(たとえば従業員Aの信用取引の明細を審査するなどして)従業員Aに対して30万円の与信限度額を付与して、合計80万円を従業員Aの与信限度額とする。この場合、与信限度額80万円と賃金相当額50万円の差額30万円は、管理者Cから従業員Aへの貸付金となる。つまり、企業Bは、賃金相当額50万円までの保証額の支払を管理者Cに保証する一方で、管理者Cが、保証額が50万円を超える信用取引であっても、30万円までの支払を加盟店に対して保証することになる。
また、以上説明した実施の形態では、企業Bが従業員Aに付与する与信限度額は、従業員Aの賃金相当額のみ、つまり与信のみ(無担保)であったが、本発明はこれに限定するものではなく、賃金相当額とは別に、担保に応じた与信額を従業員Aに付与して、賃金相当額を含む与信限度額を付与して賃金を支払うようにしてもよい。このようにすれば、賃金相当額とは別に与信が受けられない場合であっても、賃金相当額以上の与信限度額を従業員Aに付与することができる。
つまり、図1〜図7を用いて説明した実施の形態は、
(ケース1)賃金相当額の与信額を付与する(つまり無担保)、
ものであったが、
(ケース5)従業員Aが企業Bに差し出す担保に応じて、企業Bが、従業員Aに与信額を付与する、
(ケース6)従業員Aが管理者Cに差し出す担保に応じて、管理者Cが、従業員Aに与信額を付与する、
(ケース7)従業員Aが管理者Cに差し出す担保に応じて、管理者Cが、企業Bに与信額を付与し、企業Bは、管理者Cから付与された与信額(の一部)を従業員Aに付与する、
(ケース8)企業Bが管理者Cに差し出す担保に応じて、管理者Cが、企業Bに与信額を付与し、企業Bは、管理者Cから付与された与信額(の一部)を従業員Aに付与する、
など、賃金相当額とは別の、他の与信額を付与するようにしてもよい。
すなわち、ケース5の場合、企業Bは、月給50万円の従業員Aに対して、従業員Aが保有する土地を担保に30万円の与信額を従業員Aに付与し、合計80万円を従業員Aの与信限度額とする。この場合、与信限度額80万円と賃金相当額50万円の差額30万円は、企業Bから従業員Aへの貸付金となる。つまり企業Bは、保証額が50万円を超える信用取引であっても、保証額80万円までの支払を管理者Cに保証することになる。ただし、賃金相当額50万円を超える保証額については、従業員Aは返済する必要がある。この場合、与信限度額80万円と賃金相当額50万円の差額30万円は、管理者Cから企業Bへの貸付金とする共に企業Bから従業員Aへの貸付金としてもよいし、あるいは、管理者Cから従業員Aへの貸付金としてもよい。
また、ケース6の場合、企業Bは、月給50万円の従業員Aに対して、50万円の与信額を付与し、管理者Cは、従業員Aが保有する土地を担保に30万円の与信額を従業員Aに付与して、合計80万円を従業員Aの与信限度額とする。この場合、与信限度額80万円と賃金相当額50万円の差額30万円は、管理者Cから企業Bへの貸付金とする共に企業Bから従業員Aへの貸付金としてもよいし、あるいは、管理者Cから従業員Aへの貸付金としてもよい。
また、ケース7の場合、管理者Cは、従業員Aが保有する土地を担保に100万円の与信額を企業Bに付与し、企業Bは、月給50万円の従業員Aに対して、管理者Cから付与された100万円のうち30万円を賃金相当額50万円に加算して、80万円の与信限度額を付与する。この場合、与信限度額80万円と賃金相当額50万円の差額30万円は、管理者Cから企業Bへの貸付金とする共に企業Bから従業員Aへの貸付金としてもよいし、あるいは、管理者Cから従業員Aへの貸付金としてもよい。
また、ケース8の場合、管理者Cは、企業Bが保有する土地を担保に100万円の与信額を企業Bに付与し、企業Bは、月給50万円の従業員Aに対して、管理者Cから付与された100万円のうち30万円を賃金相当額50万円に加算して、80万円の与信限度額を付与する。この場合、与信限度額80万円と賃金相当額50万円の差額30万円は、管理者Cから企業Bへの貸付金とする共に企業Bから従業員Aへの貸付金としてもよいし、あるいは、管理者Cから従業員Aへの貸付金としてもよい。
なお、本発明において、賃金相当額とは別に従業員Aに付与する与信は、上記ケース2〜8の場合に限定するものではなく、別の場合であってもよい。
また、ケース1〜8を組み合わせてもよい。すなわち、たとえば、企業Bが従業員Aに無担保で賃金相当額とは別に与信額を付与すると共に、管理者Cが、従業員Aが保有する担保に応じた与信額を付与するようにしてもよい。
また、従業員Aの信用取引に係る取引額に対する保証額が、賃金相当額を超えた貸付金に対して、企業Bや管理者Cは、金利を取るようにしてもよい。すなわち、たとえば、ケース2の場合、企業Bが60万円の保証額の支払を保証した場合(支払った場合)、賃金相当額50万円との差額10万円に対して、貸付期間などに応じた金利を、翌月の与信限度額から控除するようにするとよい。その場合、管理者Cが本サーバで管理する従業員Aの信用取引の明細に基づき、金利を算出し、翌月の賃金相当額を受付けた際に、金利を控除するなどとしてもよい。あるいは、金利は、従業員Aから管理者Cに返済する、あるいは従業員Aから企業Bに返済するようにしてもよい。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、対価相当額を与信限度額として受取権利者に付与するため、支払義務者は、対価相当額を限度として、受取権利者が必要とする時に必要な額を支払うことができる。その結果、支払義務者は対価の支払日に対価の全額を準備する必要がなくなるため、対価の支払の負担から支払義務者を解放することができる。
また本発明によれば、対価相当額とは別の与信を受取権利者に付与することができるため、受取権利者は、対価相当額以上の信用取引を行うこともできる。すなわち、支払義務者は受取権利者に対して、対価相当額以上の与信を与えることができる。

Claims (4)

  1. 利用者の端末と取引先の端末のそれぞれと通信ネットワークを介して接続し、
    上記利用者を特定する情報、この利用者が行う信用取引に係る取引額の支払を保証する者(以下、「支払義務者」という)を特定する情報、この支払義務者が上記取引額の支払を保証する限度額(以下、「支払義務者が利用者に付与した与信限度額」という)を関連付けて記憶している与信限度額管理部を備えたサーバであって、
    上記利用者と上記取引先との間の信用取引に係る取引額と、この利用者を特定する情報を、上記取引先の端末から受信する手段と、
    上記受信した取引額を、上記利用者が上記取引先に付与した与信限度額として、上記受信した利用者を特定する情報と関連付けて上記与信限度額管理部に記憶する手段と、
    上記与信限度額管理部を検索して、上記受信した利用者を特定する情報と関連付けて記憶されている上記支払義務者を特定する情報と支払義務者が利用者に付与した与信限度額を、抽出する手段と、
    上記抽出した支払義務者が利用者に付与した与信限度額と、上記利用者が取引先に付与した与信限度額を、上記利用者の端末に表示させる手段と、
    上記表示させた支払義務者が利用者に付与した与信限度額の範囲内で指定された額を、この支払義務者が利用者に付与した与信限度額から上記利用者が取引先に付与した与信限度額への振替額(以下、「支払義務者への振替額」という)として、上記利用者の端末から受信する手段と、
    上記受信した支払義務者への振替額を、この支払義務者が上記取引先に付与した与信限度額として、上記抽出したこの支払義務者を特定する情報と関連付けて上記与信限度額管理部に記憶する手段と、
    上記与信限度額管理部に記憶されている支払義務者が利用者に付与した与信限度額を、この与信限度額から上記受信した支払義務者への振替額を減額して算出した額で更新する手段と、
    上記与信限度額管理部に記憶されている利用者が取引先に付与した与信限度額を、この与信限度額から上記受信した支払義務者への振替額を減額して算出した額で更新する手段、とを有してなることを特徴とする対価支払管理サーバ。
  2. 利用者の端末と取引先の端末のそれぞれと通信ネットワークを介して接続し、
    上記利用者を特定する情報、この利用者が行う信用取引に係る取引額の支払を保証する者(以下、「支払義務者」という)を特定する情報、この支払義務者が上記取引額の支払を保証する限度額(以下、「支払義務者が利用者に付与した与信限度額」という)を関連付けて記憶している与信限度額管理部を備えたサーバによる対価の支払を管理する方法であって、
    上記サーバが、上記利用者と上記取引先との間の信用取引に係る取引額と、この利用者を特定する情報を、上記取引先の端末から受信するステップと、
    上記サーバが、上記受信した取引額を、上記利用者が上記取引先に付与した与信限度額として、上記受信した利用者を特定する情報と関連付けて上記与信限度額管理部に記憶するステップと、
    上記サーバが、上記与信限度額管理部を検索して、上記受信した利用者を特定する情報と関連付けて記憶されている上記支払義務者を特定する情報と支払義務者が利用者に付与した与信限度額を、抽出するステップと、
    上記サーバが、上記抽出した支払義務者が利用者に付与した与信限度額と、上記利用者が取引先に付与した与信限度額を、上記利用者の端末に表示させるステップと、
    上記サーバが、上記表示させた支払義務者が利用者に付与した与信限度額の範囲内で指定された額を、この支払義務者が利用者に付与した与信限度額から上記利用者が取引先に付与した与信限度額への振替額(以下、「支払義務者への振替額」という)として、上記利用者の端末から受信するステップと、
    上記サーバが、上記受信した支払義務者への振替額を、この支払義務者が上記取引先に付与した与信限度額として、上記抽出したこの支払義務者を特定する情報と関連付けて上記与信限度額管理部に記憶するステップと、
    上記サーバが、上記与信限度額管理部に記憶されている支払義務者が利用者に付与した与信限度額を、この与信限度額から上記受信した支払義務者への振替額を減額して算出した額で更新するステップと、
    上記サーバが、上記与信限度額管理部に記憶されている利用者が取引先に付与した与信限度額を、この与信限度額から上記受信した支払義務者への振替額を減額して算出した額で更新するステップ、とからなることを特徴とする対価支払管理方法。
  3. コンピュータを、請求項1記載の対価支払管理サーバとして機能させることを特徴とする対価支払管理プログラム。
  4. コンピュータプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体であって、
    上記コンピュータプログラムは、請求項3記載の対価支払管理プログラムであることを特徴とするコンピュータ読取可能な記録媒体。
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