JP3656428B2 - 発光ダイオード表示器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえばLEDランプやチップLED等の発光素子をマトリックス状に多数個配列した発光ダイオード表示器に関する。
【0002】
【従来の技術】
発光ダイオード(LED)を利用した画像ディスプレイは、たとえば屋外の広告や交通の表示のための大型のものから、各種の信号機や自動車等のインディケータ及びテレビジョンの分野まで広がっている。このような画像ディスプレイは、R,G,Bの所定数のLEDのパターンを同じ平面内にマトリックス状に集合配列したものである。
【0003】
たとえば、大型の画像ディスプレイの場合では、設置面に背面を突き当てて固定されるかまたはフレームを組んでこれに取り付けられる本体をベースとし、この本体にその前面にLEDのパターンを設けた複数の発光ダイオード表示器を配列するというのがその基本的な構成である。
【0004】
図8は従来の発光ダイオード表示器の正面図、図9は右側面図である。
表示基板11はその正面形状をたとえば正方形状として表裏面にLEDランプ12の導電パターンを形成し、裏面側には制御基板13を電気的接続手段を用いて設置している。制御基板13には、メモリICや制御ICを備え、これらによってそれぞれの表示基板11に搭載されたLEDランプ12の点灯・点滅による画像形成からカラー混色及び輝度が制御され、フルカラー対応の画像が表示される。
【0005】
表示基板11をその内部に配置して固定するためのフレーム14を設ける。このフレーム14は、前面に開口部を持ち開口部の周壁14aは一定の寸法で縁取られたものである。また、フレーム14はLEDランプ12の実装に必要な奥行き寸法を持ち、発光ダイオード表示器の大きさは1辺が100mm以上のものが一般的であり、屋外広告等に利用される大画面のディスプレイパネルの場合では500mm以上としたものもある。
【0006】
LEDランプ12の4個の集団を1つの画像生成要素としてマトリックス配列するため、表示基板11の表面にはスペーサバー15と遮光プレート16とをねじなどの締結手段によって固定する。また、フレーム14の周壁14aと表示基板11に囲まれた空間内には封止樹脂(図示せず)を注入し、硬化させて防水性を図っている。
【0007】
スペーサバー15は周壁14aの肉厚のほぼ2倍程度の幅寸法を持ち、フレーム14の表面と同じ高さで形成され、図8に示すように幅方向の両辺が立体視によって直線として現れる。すなわち、スペーサバー15は外光によって陰影を生じて幅を持つ直線として視覚的に認められる。
【0008】
遮光プレート16は太陽光がLEDランプ12に入射しないようにして輝度を確保するためのもので、図9に示すように先端側を少し斜め下向きの姿勢としてフレーム14から前方に突き出した形状を持つ。そして、遮光プレート16の配列ピッチはスペーサバー15のそれと同じであり、これによってフレーム14の表面は図8に示すように4個のLEDランプ12を含む正方形の領域を形成する格子状の外観を呈する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
図10は4枚の発光ダイオード表示器を配列してディスプレイパネル等のフレームに固定したときの正面図である。発光ダイオード表示器は同じ寸法形状のものを用いるので、上下及び左右に隣接するものどうしのスペーサバー15及び遮光プレート16は全て同一直線上に位置し、4個のLEDランプ12の集合もマトリックス配列される。
【0010】
ところが、発光ダイオード表示器どうしは互いの周壁14aを接触させて配列されるが、発光ダイオード表示器の発熱や周囲温度の上昇により、発光ダイオード表示器が膨張するので発光ダイオード表示器どうしの衝突を避けるために、温度膨張分の隙間を設ける必要がある。そのため、周壁14aどうしの間の突き当たり面には境界線がどうしても現れる。したがって、周壁14aの厚さをスペーサバー15の幅のほぼ半分としていても、この境界線が陰影を持つので、2枚の周壁14aの層はこの周壁14aの左右の2本の外郭線と境界線の集合となる。このため、左右に隣接した発光ダイオード表示器どうしの間は、スペーサバー15の表面の陰影よりも濃くなる傾向にあり、発光ダイオード表示器どうしの境界部分がフレーム14の表面に比べると異質で際立つようになる。そして、周壁14aどうしの間に僅かな隙間が残るような配列の場合では、このような現象は更に顕著になる。
【0011】
また、上下の配列の発光ダイオード表示器の周壁14aの突き当たり面についても同様であり、遮光プレート16が横方向に走るだけのフレーム14の表面の外観と比較して境界部分は黒ずんで見える。
【0012】
このように、複数枚の発光ダイオード表示器を配列するディスプレイでは、発光ダイオード表示器どうしの境界に黒ずんだ筋目が入るようになり、ディスプレイ画面の全体は発光ダイオード表示器が一つの枡目の格子状に分割された外観となる。ディスプレイの色表現の1つとして、黒色はLEDランプ12を点灯させずに表現している。よって映像内に黒色がありそれが発光ダイオード表示器の境界部を含む部分であれば映像内に筋目が発生する。そして、筋目が画面に入ってしまうと、LEDランプ12による画像表示も分割されたような画像として現れる。特に大画面のディスプレイパネルのように多数の発光ダイオード表示器を配列するものでは、画質を大幅に低下させてしまう。
【0013】
本発明において解決すべき課題は、発光ダイオード表示器の境界部分が違和感なく画面全体と調和してより一層良好な画質を維持できる発光ダイオード表示器を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前面に発光ダイオードを配列した表示基板を、その周壁を互いに突き合わせて同一平面内に配列する発光ダイオード表示器であって、前記発光ダイオードのドットを区画する垂直姿勢のスペーサプレートと水平姿勢の遮光プレートと、前記周壁を含めて同一のピッチで格子状に配列され前記スペーサプレートの幅前記遮光プレートの基端部の厚さとは前記周壁のほぼ2倍程度で形成され、且つ、それぞれに、前記発光ダイオードの発光方向を向く面に切開され、外光及び前記発光ダイオードからの散乱光の入射が届かない程度の深さの溝が形成されたことを特徴とする。
【0015】
このような構成では、隣り合う表示基板の周壁どうしの間の境界や隙間によってできる線や隙間の暗部の模様に合わせた外観パターンを呈することができるので、多数の表示基板を配列したディスプレイパネルが境界部分で区画されるような外観とならず、全体を一様な表示画面とすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、前面に発光ダイオードを配列した表示基板を、その周壁を互いに突き合わせて同一平面内に配列する発光ダイオード表示器であって、前記発光ダイオードのドットを区画する垂直姿勢のスペーサプレートと水平姿勢の遮光プレートとが、前記周壁を含めて同一のピッチで格子状に配列され、前記スペーサプレートの幅と前記遮光プレートの基端部の厚さとは前記周壁のほぼ2倍程度で形成され、且つ、それぞれに、前記発光ダイオードの発光方向を向く面に切開され、外光及び前記発光ダイオードからの散乱光の入射が届かない程度の深さの溝が形成されたものであり、スペーサプレートと遮光プレートに形成された溝によって多数の表示基板を配列したディスプレイパネルを一様な表示画面とすることができるという作用を有する。
【0017】
請求項2に記載の発明は、前記溝に、暗黒系の彩色が施されたことを特徴とする請求項1記載の発光ダイオード表示器であり、暗黒系の彩色によって表示基板の周壁の境界または隙間の様相に合わせることができるという作用を有する。
【0025】
以下、本発明の実施の形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の請求項4に記載の発光ダイオード表示器の正面図、図2は右側面図である。
【0026】
図1において、表示基板1は、従来例と同様に4個のLEDランプ2の集団をマトリックス配列したもので、表裏面には導電パターンを形成し、裏面側には制御基板3を電気的接続手段を用いて設置している。
【0027】
表示基板1は正方形の正面形状を持ち、LEDランプ2の実装に必要な奥行き寸法及び幅厚を持つ周壁4aをもったフレーム4の内部に設置されている。
【0028】
表示基板1の表面には、表示基板1の左右両端の周壁4aを含めて左右方向に一様なピッチで配列されたスペーサプレート5をねじなどの固定手段により表示基板1上に設置している。そして、これらのスペーサプレート5の前面には、表示基板1の上下両端の周壁4aを含めてスペーサプレート5の配列ピッチと同じとして配列される遮光プレート6を固定手段により設置する。このようなスペーサプレート5と遮光プレート6の配列により、図1に示すように表示基板1の前面は格子状に分割され、各格子のそれぞれに4個のLEDランプ2が含まれてドットを形成する。なお、フレーム4と表示基板1で囲まれた空間内には防水樹脂(図示せず)を注入し硬化させて、防水性を図っている。
【0029】
図3は図1の円Aで囲んだ部分の拡大図、図4は図1の円Bで囲んだ部分の概略斜視図、図5はスペーサプレート5の部分断面図、図6は遮光プレート6の部分断面図である。
【0030】
スペーサプレート5は、図5に示すように細長いU字状の縦断面形状として深い溝5aを全長に切開したものである。そして、スペーサプレート5の幅は周壁4aの幅のほぼ2倍程度であり、溝5aは隣接配置されるフレーム4の周壁4aの突き合わせ部分の境界線または隙間に相当させたものである。
【0031】
遮光プレート6は、その先端側が斜め下となるように傾斜を持たせてスペーサプレート5の前面に設けたもので、図6に示すように基端部には、スペーサプレート5の溝5aとほぼ同じ形状に溝6aを形成している。
【0032】
LEDランプ2の発光方向に向けて開口させた断面形状の溝5a,6aを設けることで、陽光を受けたりLEDランプ2の散乱光を浴びても、溝5a,6aの奥までは光が及ばない。したがって、スペーサプレート5及び遮光プレート6のそれぞれの幅方向のほぼ中央には黒ずんだ筋が入るような外観となる。
【0033】
図7は4枚の発光ダイオード表示器を配列したときの正面図である。
隣接する発光ダイオード表示器の周壁4aどうしの突き当たり面の境界線または小さな隙間によって、発光ダイオード表示器の周囲に黒ずんだ筋が入ることは図10によって既に説明したとおりである。これに対し、本発明においては、スペーサプレート5及び遮光プレート6に溝5a,6aを持たせてそれぞれの幅方向の中央に暗部が走るようにしている。そして、スペーサプレート5の幅及び遮光プレート6の基端部の厚さも周壁4aのほぼ2倍程度とすることで、隣接する2枚の発光ダイオード表示器のそれぞれの周壁4aとその間の境界または隙間による暗部の同様の外観を持たせることができる。
【0034】
以上のことから、図7に示すように、発光ダイオード表示器の周壁4aどうしの間の暗部を含む外観のパターンにスペーサプレート5と遮光プレート6とをほぼ合わせることができる。すなわち、4枚の発光ダイオード表示器の全体は、周壁4aどうしの間の暗部の模様に合わせた外観パターンを呈するようになり、従来例の図10では境界部分が黒ずんで目立っていたものが吸収される。
【0035】
したがって、LEDランプ2の発光による画像表示の際に、発光ダイオード表示器どうしの間の継ぎ目部分が際立つことがなく、画像に対する無用な干渉がなくなる。そして、特に大画面のパネルディスプレイにおいて多数の発光ダイオード表示器を配列するものでも、画面が分割されたような感覚を与えることがなく、画質の低下を免れ得る。
【0036】
なお、以上の形態ではスペーサプレート5と遮光プレート6の溝5a,6aによって暗部を作り出すようにしているが、その他の構成としてもよい。たとえば、スペーサプレート5に溝5aを設けずに、その前面の中央をスペーサプレート5の色よりも濃い暗黒色を塗布したり、光を吸収しやすい材料または表面の形状とすることができる。また、溝5aを設けたものにおいて、この溝5aの中を暗黒系の色で彩色してもよい。
【0037】
また本実施形態では、スペーサプレート、遮光プレートを用いた発光ダイオード表示器について述べたが、表示基板の前面に発光ダイオードが相対する位置に孔を設けた反射プレートを設置し、反射プレートに溝5a、6aを設けてもよい。また、溝5a、6aを設けずに、ドット間の中央部に反射プレートの色よりも濃い暗黒色を塗布したり、光を吸収しやすい材料または表面の形状とすることができる。更に、溝5a、6aを設けたものにおいて、この溝5a、6aの中を暗黒系の色で彩色してもよい。
【0038】
【発明の効果】
本発明では、発光ダイオード表示器を多数配列しても、その周壁どうしの間の境界線や隙間の様相と同じ外観を持つようにスペーサプレートと遮光プレートを備えているので、周壁の突き合わせ部分にできる線や暗部が目立つことがないディスプレイパネルが得られる。したがって、大画面であっても画面が分割されたような感覚がなくなり、高品質の画像表示が得られ、発光ダイオードの表示器の利用分野を更に拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による発光ダイオード表示器の正面図
【図2】図1の発光ダイオード表示器の右側面図
【図3】図1の円Aで囲んだ部分の拡大図
【図4】図1の円Bで囲んだ部分の拡大斜視図
【図5】スペーサプレートの部分断面図
【図6】遮光プレートの部分断面図
【図7】4枚の発光ダイオード表示器を配列したときの正面図
【図8】従来の発光ダイオード表示器の正面図
【図9】図8の発光ダイオード表示器の右側面図
【図10】図8の発光ダイオード表示器を4枚配列したときの正面図
【符号の説明】
1 表示基板
2 LEDランプ
3 制御基板
4 フレーム
4a 周壁
5 スペーサプレート
5a 溝
6 遮光プレート
6a 溝

Claims (2)

  1. 前面に発光ダイオードを配列した表示基板を、その周壁を互いに突き合わせて同一平面内に配列する発光ダイオード表示器であって、前記発光ダイオードのドットを区画する垂直姿勢のスペーサプレートと水平姿勢の遮光プレートと、前記周壁を含めて同一のピッチで格子状に配列され前記スペーサプレートの幅前記遮光プレートの基端部の厚さとは前記周壁のほぼ2倍程度で形成され、且つ、それぞれに、前記発光ダイオードの発光方向を向く面に切開され、外光及び前記発光ダイオードからの散乱光の入射が届かない程度の深さの溝が形成されたことを特徴とする発光ダイオード表示器。
  2. 前記溝に、暗黒系の彩色が施されたこと特徴とする請求項記載の発光ダイオード表示器。
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