JP3656055B2 - 排便器具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自力で排便できない人の便を強制的に体外へ排出させる器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、直腸内から便を強制的に排出させるには処置者が便を指で掻き出していた。人の指で処置することは被処置者にとって不快であり、処置に時間を要する問題もあった。
そこで、本出願人は掻き取り式や取り込み式、巻き込み式、吸引式等様々な排便器具を発明し、実用に供している。人の指で処置を行う方法と比較して効率良く排出できるようになったが、器具で排出させる方法は被処置者に負担を要することから、できるだけ少ない回数でより多くの量の便を排出させる技術が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、被処置者自身に積極的に排便を促し、できるだけ少ない回数でより多くの量の便を排出して被処置者への負担を軽減できるようにする排便器具を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 肛門に挿入して直腸内の便を体外に強制的に排出させる排便器具の先端部に緩下剤を体温又は腸液で溶解する固化物で固形化した緩下部材を設け、直腸に挿入すると緩下部材の固化物が溶解して緩下剤が溶出し、同緩下剤で排便を促進させてより多量の便を排出できるようにし、しかも排便器具の構造が外管と同外管内を回動且つ長手方向に摺動自在に嵌挿した内管の二重管構造で、外管の先端部を切欠して便を取り込む所定長さの取込口を設け、外管の後部の一部を切欠して取り込まれた便を排出する所定長さの排出口を設け、内管の先端部を切欠して外管の取込口で取り込まれた便を収容する所定長さの収容空間を設け、外管の排出口に内管の収納空間に収容された便を外部に掻き出す掻出手段を設け、外管及び内管のいずれか又は双方の回転で外管の取込口から内管の収容空間内に便を外管外の便と分断して収容し、内管をその収容空間が外管の排出口に到来するように摺動させて掻出手段で外部に掻き出すことにより便を体外に強制的に排出できるようにしたものである、排便器具
2) 肛門に挿入して直腸内の便を体外に強制的に排出させる排便器具の先端部に緩下剤を体温又は腸液で溶解するカプセル状の固化物内に封止した緩下部材を設け、直腸に挿入すると緩下部材の固化物が溶解して緩下剤が溶出し、同緩下剤で排便を促進させてより多量の便を排出できるようにし、しかも排便器具の構造が外管と同外管内を回動且つ長手方向に摺動自在に嵌挿した内管の二重管構造で、外管の先端部を切欠して便を取り込む所定長さの取込口を設け、外管の後部の一部を切欠して取り込まれた便を排出する所定長さの排出口を設け、内管の先端部を切欠して外管の取込口で取り込まれた便を収容する所定長さの収容空間を設け、外管の排出口に内管の収納空間に収容された便を外部に掻き出す掻出手段を設け、外管及び内管のいずれか又は双方の回転で外管の取込口から内管の収容空間内に便を外管外の便と分断して収容し、内管をその収容空間が外管の排出口に到来するように摺動させて掻出手段で外部に掻き出すことにより便を体外に強制的に排出できるようにしたものである、排便器具
3) 緩下部材が前方に向けて先細り状に形成したもので、排便器具の先端に取り付けて肛門に円滑に挿入できるようにした前記1)又は2)記載の排便器具
4) 緩下剤が環状に形成したもので、排便器具の先端部周囲を覆うように取り付けた前記1)又は2)記載の排便器具
にある。
【0005】
【作用】
本発明によれば、排便器具の挿入される先端部に設けられた緩下部材が肛門に挿入後、被処置者の体温又は腸液で溶解して緩下剤が溶出し、腸壁を刺激して被処置者自身で便を排出させるように促し、排便し易くなった便を排便器具で体外に排出することで少ない回数でより多くの量の便を処置し、被処置者への負担が軽減されるとともに処置時間も短縮される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の緩下部材は、パラフィンや澱粉質等の体温や腸液で溶解する固化物に排便を促進させる公知の緩下剤を含有させたもので、形態としては緩下剤を固化物に直接混合して固形化させたり、カプセル状に形成した固化物内に緩下剤を封止する方法がある。
この緩下部材を排便器具の先端部に設けて、肛門に挿入後溶解させて溶出した緩下剤で腸壁を刺激できるようにする。緩下部材は排便器具の先端部の周囲に環状に設けても良いし、挿入時の痛みを軽減できるようにコ−ン状に形成しても良い。
排便器具は肛門に先端部を挿入して便を強制的に排出させるものであればよく、掻き取り式や取り込み式、巻き込み式、吸引式等様々なものが用いられる。
【0007】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1〜7に示す実施例は、取り込み式の排便器具に本発明を適用した例である。
図1は、実施例の排便器具の上斜視図である。
図2は、実施例の排便器具の下斜視図である。
図3は、実施例の外管及び内管の縦断面図である。
図4は、実施例の駆動部の内部説明図である。
図5は、実施例の排便器具の使用状態を示す説明図である。
図6は、実施例の排便器具の使用状態を示す説明図である。
図7は、実施例の排便器具の使用状態を示す説明図である。
【0008】
図中、1は排便器具である。
2は外管であって、内径18mm、長さ25cmの透明なプラスチック製の細長円筒形状で、前部に便を取り込む取込口2aと後部に取り込んだ便を排出する排出口2bをそれぞれ半円状に切り欠くようにして上下反対向きに形成している。
3は内管であって、外管2内に嵌挿できる外形18mm、長さ30cmのプラスチック製の細長円筒形状で、前部に外管2の取込口2aで取り込んだ便を外管2外の便と分断して収容する収容空間3aを半円状に切り欠いて形成し、後端部の外周にはラック3bを形成している。
4は掻出片であって、略くの字状に成型した長さ25mmの弾性を有する板状のプラスチック製で、外管2の排出口2b後縁に外管2内部に向けて付勢するように取り付けている。
5は収納袋であって、ポリエチレン製からなり、開封口を外管2の排出口2bに溶着している。
6は駆動部であって、ボデー6aの前部に外管2を脱着自在に挿着する挿着口6bと後部に内管3後部が入出する入出口6cを形成し、内管3後部に当接して前後摺動と回動をさせるローラ6dとギヤ6eを各モータ6fの出力軸にそれぞれ軸着し、各モータ6fは制御部6gと接続してバッテリ6hで給電した電気をスイッチ6iの切換で制御できるようにしている。6jは内管3を円滑に前後摺動・回動させるベアリングである。
7は緩下部材であって、コーン状に形成したパラフィンからなるカプセル型固化物7a内に緩下剤7bを内添して封止し、外管2の先端に取り付けている。
Aは肛門、Bは便である。
【0009】
本実施例では、まず外管2内に内管3を先端まで嵌挿して外管2の後端部を駆動部6のボデー6aの挿着口6bに挿着し、内管3の後部をローラ6fとベアリング6j間に挿通させて後端部のラック3bをギヤ6eと歯合させる。
次に、図5(a),図6(a)に示すように排便器具1を肛門Aに挿入すると、緩下部材7の固化物7aが腸内の体温で徐々に溶解して溶出した緩下剤7bで腸壁を刺激し、直腸を活動的にして排便を促進させる。
次に、駆動部6のスイッチ6iを操作して内管3を回動させると、図5(b),図6(b),(c)に示すように内管3は外管2の取込口2a近傍の便Bを取り囲むように180°回動し、はみ出した外管2外の便Bを内管3の収容空間3aの側縁で分断して収容空間3a内に収容する。
そして、スイッチ6iを操作して内管3を後方へ移動させ、図5(c),図7に示すように内管3の収容空間3aが外管2の排出口2bに到来すると掻出片4が付勢力で収容空間3a内に嵌入し、そのまま内管3は後方への摺動を継続して便Bが掻出片4で収容空間3aから掻き出され、収納袋5内に落下して収納されることとなる。
なお、一度で排出できない場合は、スイッチ6iを操作して内管3を180°回動して前方へ摺動させ、再度前記図5(a)〜(c)及び図6(a)〜(c)、図7の操作を繰り返し行うことにより処置を完了させる。処置完了後は外管2及び内管3を駆動部6から取り外して便Bを収納した収納袋5とともに廃棄処分する。
【0010】
本実施例ではこのように構成したから、外管2の先端部に取り付けた緩下部材7が肛門Aに挿入後腸内の体温で溶解し、溶出した緩下剤7bが腸壁を刺激して被処置者自身に排便を促進させることとなり、従来の器具のみで排出させる方法と比較して一度に排出させる便Bの量が多くなってより少ない回数で処置を行うことができ、被処置者への負担が軽減されるとともに処置時間も短縮できる。
【0011】
図8に示すのは、環状の緩下部材を器具の先端部周囲に覆うように取り付けた実施例の排便器具の他の例である。
図8は、実施例の他の例の外管及び内管の縦断面図である。
実施例の他の例の緩下部材7は、腸液で溶解する澱粉質からなる固化物に緩下剤を混合して固形化し、環状に形成して外管2の先端部周囲を覆うように取り付けたものである。
その他、符号、構成、作用効果は実施例の排便器具と同じである。
【0012】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば被処置者自身に積極的に排便を促し、できるだけ少ない回数でより多くの量の便を排出し、被処置者への負担軽減と処置時間の短縮化を同時に図り得る排便器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の排便器具の上斜視図である。
【図2】実施例の排便器具の下斜視図である。
【図3】実施例の外管及び内管の縦断面図である。
【図4】実施例の駆動部の内部説明図である。
【図5】実施例の排便器具の使用状態を示す説明図である。
【図6】実施例の排便器具の使用状態を示す説明図である。
【図7】実施例の排便器具の使用状態を示す説明図である。
【図8】実施例の他の例の外管及び内管の縦断面図である。
【符号の説明】
1 排便器具
2 外管
2a 取込口
2b 排出口
3 内管
3a 収容空間
3b ラック
4 掻出片
5 収納袋
6 駆動部
6a ボデー
6b 挿着口
6c 入出口
6d ローラ
6e ギヤ
6f モータ
6g 制御部
6h バッテリ
6i スイッチ
6j ベアリング
7 緩下部材
7a 固化物
7b 緩下剤
A 肛門
B 便
Claims (4)
- 肛門に挿入して直腸内の便を体外に強制的に排出させる排便器具の先端部に緩下剤を体温又は腸液で溶解する固化物で固形化した緩下部材を設け、直腸に挿入すると緩下部材の固化物が溶解して緩下剤が溶出し、同緩下剤で排便を促進させてより多量の便を排出できるようにし、しかも排便器具の構造が外管と同外管内を回動且つ長手方向に摺動自在に嵌挿した内管の二重管構造で、外管の先端部を切欠して便を取り込む所定長さの取込口を設け、外管の後部の一部を切欠して取り込まれた便を排出する所定長さの排出口を設け、内管の先端部を切欠して外管の取込口で取り込まれた便を収容する所定長さの収容空間を設け、外管の排出口に内管の収納空間に収容された便を外部に掻き出す掻出手段を設け、外管及び内管のいずれか又は双方の回転で外管の取込口から内管の収容空間内に便を外管外の便と分断して収容し、内管をその収容空間が外管の排出口に到来するように摺動させて掻出手段で外部に掻き出すことにより便を体外に強制的に排出できるようにしたものである、排便器具。
- 肛門に挿入して直腸内の便を体外に強制的に排出させる排便器具の先端部に緩下剤を体温又は腸液で溶解するカプセル状の固化物内に封止した緩下部材を設け、直腸に挿入すると緩下部材の固化物が溶解して緩下剤が溶出し、同緩下剤で排便を促進させてより多量の便を排出できるようにし、しかも排便器具の構造が外管と同外管内を回動且つ長手方向に摺動自在に嵌挿した内管の二重管構造で、外管の先端部を切欠して便を取り込む所定長さの取込口を設け、外管の後部の一部を切欠して取り込まれた便を排出する所定長さの排出口を設け、内管の先端部を切欠して外管の取込口で取り込まれた便を収容する所定長さの収容空間を設け、外管の排出口に内管の収納空間に収容された便を外部に掻き出す掻出手段を設け、外管及び内管のいずれか又は双方の回転で外管の取込口から内管の収容空間内に便を外管外の便と分断して収容し、内管をその収容空間が外管の排出口に到来するように摺動させて掻出手段で外部に掻き出すことにより便を体外に強制的に排出できるようにしたものである、排便器具。
- 緩下部材が前方に向けて先細り状に形成したもので、排便器具の先端に取り付けて肛門に円滑に挿入できるようにした請求項1又は2記載の排便器具。
- 緩下剤が環状に形成したもので、排便器具の先端部周囲を覆うように取り付けた請求項1又は2記載の排便器具。
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