JP3655409B2 - 衛星航法装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はロシアのGLONASS 衛星からの信号を受信し、測位情報を出力する衛星航法装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロシアのGLONASS 衛星航法システムは、米国の衛星航法システムであるGPSシステムに類似したシステムであり、利用者の受信機で衛星から送信されてくる航法データと呼ばれる情報を受信し、これらのデータを用いて測位計算が行えるようになっている。
この航法データは、電波を送信している衛星自身の精密軌道データや時刻情報などの集まりであるエフェメリスデータと、他の衛星の分まで含んだ全衛星の概略軌道データであるアルマナックデータとで構成されている。
【0003】
図1はGLONASS の航法データのフォーマットを示す図である。
図1に示す通り、GLONASS の航法データは、2秒間で送信されるラインと呼ばれるデータ群を最小単位とし、15個のラインでフレームが構成され、5個のフレームでスーパーフレームが構成されている。
このうちライン1〜ライン4がエフェメリスデータ、ライン5〜ライン15がアルマナックデータである。
GLONASS 衛星は全部で24個であるが、一つのフレームでは5個の衛星のアルマナックデータしか表現できないので、5個のフレームすなわちスーパーフレームを使って、全ての衛星のアルマナックデータを送信している。
【0004】
ライン1〜ライン4のエフェメリスデータは、測位計算を行う上で必須のデータであり、これがなければ測位計算を行うことができないが、一組のエフェメリスデータが4分割されてライン1〜ライン4に振り分けられているので、利用者の受信機では1回の測位計算を行うために、ライン1〜ライン4まで全て収集する必要がある。
GLONASS 衛星航法システムは、現在、エフェメリスデータの更新を30分毎に定期的に、例えば11時00分,11時30分,12時00分,・・・と言うように、絶対時間のxx時間毎と、xx時30分毎とに更新を行っており、更新と更新の間の30分間は同じエフェメリスデータが送信される。
更新はフレームの切り替わり目で行われるので、一つのフレーム内のエフェメリスデータの同一性は保証されているが、更新時点を挟んだ隣り合う二つのフレームのエフェメリスデータは互いに異なる。
【0005】
従ってエフェメリスデータを収集する際に、例えば収集開始タイミングが、或るフレームのライン3が送信されている時で、そのフレームからライン3とライン4とが収集され、次のフレームでライン1とライン2とが収集されたような場合、それらを合わせて一つのエフェメリスデータが収集されることになるが、或るフレームと次のフレームの途中でエフェメリスデータの更新が行われた場合、相異なる二種類のデータが混在することになり、測位計算に致命的な誤差が発生する。
【0006】
米国のGPSシステムのエフェメリスデータも、サブフレームと呼ばれるデータ単位3個に分割して送信されるが、GPSの場合は、各サブフレームのエフェメリスデータに発行番号が付いているので、別々の時点に収集したサブフレームのエフェメリスデータでも、発行番号を突き合わせることでそれらの同一性の検証が行えるが、GLONASS の場合には、GPSの発行番号に相当するエフェメリス基準時刻と呼ばれる情報が、ライン2だけにしかないため上述のような問題が生じることになる。
【0007】
このような問題を避けるため、GLONASS 衛星航法システムを利用する従来の衛星航法装置では、ライン1〜ライン4が全て同一フレームから収集された場合にのみ、エフェメリスデータの収集が成功したと見做している。具体的には、例えばライン1が収集されるまでは、たとえライン2〜ライン4が収集できたとしても、それらのデータは捨て去り、ライン1が収集されてから30秒の間に、ライン2〜ライン4が全て収集された場合にのみ、収集成功と見做すようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにGLONASS 衛星航法システムを利用する従来の衛星航法装置では、ライン1が収集できるまでは、たとえ他のライン2〜ライン4が収集できたとしても、それらのデータを捨て去っているので、必然的にデータの収集開始が遅れる。また収集したデータの利用効率という観点からも問題がある。
さらに、エフェメリスデータを収集をするためには、ライン1からライン4まで連続して収集する8秒間は受信が途切れることが許されないため、例えば自動車等に搭載して市街地を走行しながら使用する場合等に、周囲の建物による信号の遮蔽が頻繁に発生して8秒間連続して受信できないときは、何時までたってもエフェメリスデータの収集ができず、測位情報が出力できない等の問題点があった。
【0009】
本発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、エフェメリスデータの収集を早く開始でき、且つ受信中断の多い状況下でも効率良くデータが収集できるGLONASS 衛星航法システムを利用した衛星航法装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の衛星航法装置は、衛星から送信される航法データのライン1,2,3,4のデータを受信して一対のエフェメリスデータを得るGLONASS 衛星航法システムを利用する衛星航法装置において、
ライン1,2,3,4のデータを受信する時間を計測し、この間の時間をライン1のデータに含まれている絶対時刻情報に基づいて絶対時刻に変換し、この間の時刻に予め定められたエフェメリスデータの更新時刻が含まれていた場合、この更新時刻以前に受信したラインのデータを廃棄し、更新時刻以降に受信した前記廃棄したラインと同じラインのデータで補完して一対のエフェメリスデータを得て測位計算を行うことを特徴とする。
【0011】
具体的な構成としては、受信した航法データのライン1,2,3,4のそれぞれのデータを各々記憶するデータ記憶手段と、時刻情報を得るための時計と、この時計の時刻に基づいて前記各ラインのデータを収集した時刻を各々記憶する時刻記憶手段と、前記ライン1,2,3,4の全てが収集された時に各ライン間のデータ収集時刻差を計算する手段と、ライン1に情報として含まれるフレーム先頭時刻と各ライン間のデータ収集時刻差とから各々のラインのデータを収集した絶対時刻を計算する手段と、各ラインのデータを収集した絶対時刻のうち、最古の時刻と最新の時刻とを抽出し予め定められているGLONASS のエフェメリスデータ更新時刻がこれら最古と最新の時刻の間に入っているか否かを比較する手段と、エフェメリスデータ更新時刻が間に入ってない場合に、ライン1,2,3,4のデータを一対のエフェメリスデータとしエフェメリスデータ更新時刻が間に入っている場合に更新時刻以前に収集されたデータを廃棄し更新時刻以降に収集されたデータで補完して一対のエフェメリスデータとて記憶する手段とを備えたことを特徴とする。
従って、ライン1〜4の何れからでもエフェメリスデータの収集を開始でき、且つエフェメリスデータ更新時刻が間に入っている場合でも、更新時刻以降に収集されたデータを直ちに利用することがでるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図2は本発明の衛星航法装置の装置構成の一実施形態を示すブロック図である。図において、1はGLONASS 衛星からの航法データを受信するアンテナ、2はラインデータ収集部で、受信されたGLONASS 航法データから、ラインの境界を検出し、一つのラインのデータを収集する。
3は受信機に内蔵される時計、4はライン番号判定部で、収集されたラインデータのライン番号を判定する。5はライン1データ記憶部で、収集されたラインがライン1と判定された場合に、そのラインのデータを記憶する。
6はライン1データ収集時刻記憶部で、ライン1のデータの最後尾が収集された時刻を記憶する。この時刻は受信機内蔵時計3の時刻を使用するので、誤差を含んでいる可能性があり、相対時刻として扱う。
7はフレーム先頭時刻記憶部で、ライン1のデータに含まれている現在送信中のフレームの先頭時刻情報を記憶する。このフレーム先頭時刻は、30秒単位・1日周期の調整であり、GLONASS 衛星に搭載されている正確な時計に基づく時刻であるので、絶対時刻として扱うことができる。
【0013】
8はライン2データ記憶部で、収集されたラインがライン2と判定された場合に、そのラインのデータを記憶する。9はライン2データ収集時刻記憶部で、ライン2のデータの最後尾が収集された時刻を記憶する。この時刻は受信機内蔵時計3の時刻を使用するので、誤差を含んでいる可能性があり、相対時刻として扱う。
10はライン3データ記憶部で、収集されたラインがライン3と判定された場合に、そのラインのデータを記憶する。11はライン3データ収集時刻記憶部で、ライン3のデータの最後尾が収集された時刻を記憶する。この時刻は受信機内蔵時計3の時刻を使用するので、同様に誤差を含んでいる可能性があり、相対時刻として扱う。
12はライン4データ記憶部で、収集されたラインがライン4と判定された場合に、そのラインのデータを記憶する。13はライン4データ収集時刻記憶部で、ライン4のデータの最後尾が収集された時刻を記憶する。この時刻は受信機内蔵時計3の時刻を使用するので、同様に誤差を含んでいる可能性があり、相対時刻として扱う。
【0014】
14はライン1〜4収集完了判定部で、ライン1〜4のデータが4つとも収集されたか否かを判定する。
15はライン収集相対時間計算部で、ライン1〜4のデータが4つとも収集された時に、ライン2,3,4の各データ収集時刻とライン1のデータ収集時刻の差をそれぞれ計算する。
ライン1〜4のデータ収集時刻は、上述したように受信機内蔵時計の誤差を含んでいる可能性があるが、ライン1〜4のデータ収集に要する時間は通常数分以内であり、その間の内蔵時計の時刻変動は無視できるので、内蔵時計の誤差は一定の時刻オフセットと見做すことができる。ゆえにライン1〜4の何れのデータ収集時刻にも、同じ値の時刻オフセットが含まれることになるので、上述のように二つのラインのデータ収集時刻の差を取れば、時刻オフセットが相殺され、正しい相対時間が得られる。
【0015】
16はライン収集絶対時刻計算部で、ライン収集相対時間計算部15で求められた各ラインの相対時刻にフレーム先頭時刻記憶部7で記憶しておいたフレーム先頭時刻を加えて、各ラインの収集された絶対時刻を求める。
17はエフェメリス更新時刻との比較部で、16で求められた各ラインの絶対時刻のうち、最も古い時刻と最も新しい時刻とを選び、その二つの時刻の間に、絶対時刻の毎時の0分・15分・30分・45分のタイミングが入っているか否かを比較する。
毎時の0分・15分・30分・45分とは、エフェメリスの更新が行われるタイミングである。最も古い時刻と最も新しい時刻との間の時間は、エフェメリスデータを収集していた時間であり、この時間に予め定められたエフェメリスの更新タイミングが入っている場合には、新旧のエフェメリスデータが混在して収集されたことになるので、エフェメリスデータの収集は出来なかったと判定する。逆にエフェメリスの更新タイミングが入っていない場合には、エフェメリスデータの収集が行えたと判定する。
【0016】
GLONASS 衛星航法システムは、上述のように現在、絶対時間の毎時0分と30分とに、エフェメリスデータの更新を行っているので、0分と30分の二つのタイミングがライン1〜ライン4までを収集する間の時刻に含まれているか否かを比較するだけで良いが、GLONASS 航法データのエフェメリス基準時刻情報の単位が15分単位に定められていることを考慮すると、将来、方式が変更されて15分と45分のタイミングに更新が行われる可能性もあるので、上述のように15分毎のタイミングと比較することとする。
18はエフェメリスデータ記憶部で、エフェメリス更新時刻との比較部17でエフェメリスデータを収集できたと判定された場合に、記憶しておいたライン1〜4のデータを合わせてエフェメリスデータとして記憶する。以上のようにして正確なエフェメリスデータの収集を行う。
【0017】
19は最古の収集ラインデータ廃棄部で、エフェメリス更新時刻との比較部17でエフェメリスデータの収集が行えなかったと判定した場合に、記憶しておいたライン1〜4のデータのうち、最も古い収集時刻のラインのデータを廃棄し、再びラインデータ収集部2によるデータ収集で上述の動作を続行する。すなわち廃棄したラインのデータの補完を行う。
最も古い収集時刻のラインのデータだけを廃棄する理由は、次々に新しいラインデータが収集されるので、最も古いデータから順番に廃棄して行けば、効率良くエフェメリスデータ収集期間を、エフェメリス更新タイミングから外せるからであり、エフェメリスデータの収集が行えなかったからと言って、ライン1〜4の全てのデータを廃棄する必要はないからである。
【0018】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の衛星航法装置は上述のような構成とすることにより、ライン1〜4の何れからでもエフェメリスデータの収集を開始でき、従来の装置のようにライン1が収集できるまでエフェメリスデータの収集が開始されないことによる収集開始遅れを防止できる。
また、エフェメリスデータ更新時刻が間に入っている場合でも、更新時刻以降に収集されたデータを利用することができるので、従来の装置のように8秒間連続して受信できる機会がない場合でも一対のエフェメリスデータの収集が行え、受信が中断されることによる測位計算の大幅な遅れを解消できる。
さらに、エフェメリスデータ更新時刻が間に入っている場合、更新されたデータを直ちに利用できるため、測位精度を高めることができる等、データを有効に利用することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 GLONASS の航法データのフォーマットを示す図である。
【図2】本発明の装置構成の一実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 アンテナ
2 ラインデータ収集部
3 時計
4 ライン番号判定部
5 ライン1データ記憶部
6 ライン1データ収集時刻記憶部
7 フレーム先頭時刻記憶部
8 ライン2データ記憶部
9 ライン2データ収集時刻記憶部
10 ライン3データ記憶部
11 ライン3データ収集時刻記憶部
12 ライン4データ記憶部
13 ライン4データ収集時刻記憶部
14 ライン1〜4収集完了判定部
15 ライン収集相対時間計算部
16 ライン収集絶対時刻計算部
17 エフェメリス更新時刻との比較部
18 エフェメリスデータ記憶部
19 最古の収集ラインデータ廃棄部
Claims (2)
- 衛星から送信される航法データのライン1,2,3,4のデータを受信して一対のエフェメリスデータを得るGLONASS 衛星航法システムを利用する衛星航法装置において、
ライン1,2,3,4のデータを受信する時間を計測し、この間の時間をライン1のデータに含まれている絶対時刻情報に基づいて絶対時刻に変換し、この間の時刻に予め定められたエフェメリスデータの更新時刻が含まれていた場合、この更新時刻以前に受信したラインのデータを廃棄し、更新時刻以降に受信した前記廃棄したラインと同じラインのデータで補完して一対のエフェメリスデータを得て測位計算を行う衛星航法装置。 - 衛星から送信される航法データのライン1,2,3,4のデータを受信して一対のエフェメリスデータを得るGLONASS 衛星航法システムを利用する衛星航法装置において、
受信した航法データのライン1,2,3,4のそれぞれのデータを各々記憶するデータ記憶手段と、
時刻情報を得るための時計と、
この時計の時刻に基づいて前記各ラインのデータを収集した時刻を各々記憶する時刻記憶手段と、
前記ライン1,2,3,4の全てが収集された時に、各ライン間のデータ収集時刻差を計算する手段と、
ライン1に情報として含まれるフレーム先頭時刻と各ライン間のデータ収集時刻差とから各々のラインのデータを収集した絶対時刻を計算する手段と、
各ラインのデータを収集した絶対時刻のうち、最古の時刻と最新の時刻とを抽出し、予め定められているGLONASS のエフェメリスデータ更新時刻がこれら最古と最新の時刻の間に入っているか否かを比較する手段と、
エフェメリスデータ更新時刻が間に入ってない場合に、ライン1,2,3,4のデータを一対のエフェメリスデータとし、エフェメリスデータ更新時刻が間に入っている場合に、更新時刻以前に収集されたラインのデータを廃棄し、更新時刻以降に収集された同じラインのデータで補完して一対のエフェメリスデータとて記憶する手段と、
を備えたことを特徴とする衛星航法装置。
Priority Applications (1)
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JP27523396A JP3655409B2 (ja) | 1996-09-27 | 1996-09-27 | 衛星航法装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP27523396A JP3655409B2 (ja) | 1996-09-27 | 1996-09-27 | 衛星航法装置 |
Publications (2)
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JPH10104332A JPH10104332A (ja) | 1998-04-24 |
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Family
ID=17552561
Family Applications (1)
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JP27523396A Expired - Fee Related JP3655409B2 (ja) | 1996-09-27 | 1996-09-27 | 衛星航法装置 |
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Families Citing this family (1)
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JP5172622B2 (ja) * | 2008-11-17 | 2013-03-27 | 日本無線株式会社 | 衛星信号判定装置及び衛星信号受信装置 |
-
1996
- 1996-09-27 JP JP27523396A patent/JP3655409B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10104332A (ja) | 1998-04-24 |
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