JP3653996B2 - カードプリンタ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクリボンからカード等に熱転写で画像を形成するカードプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の加熱素子がライン状に配置されたサーマルヘッドでインクリボンを加熱することによって、かかるインクリボンから昇華的に分離したインクを、カード等に移送して固着することにより画像を形成するカードプリンタとして昇華サーマルプリンタが知られている。かかる昇華サーマルプリンタによれば、写真等の画像も鮮明にプリントできるため、たとえば会員証等のようなカードのプリントにおいて広く用いられている。
【0003】
ところで、会員証を例に取ると、ゴールド会員と一般会員とでカードの差別化を図るため、ゴールド会員が所持するカードはゴールドの地色を有するようにし、一般会員が所持するカードはブルーの地色を有するようにしたい場合がある。このようなカードを作成する場合には、まずゴールドの地色を有する無地のカードと、ブルーの地色を有する無地のカードとを予め作成し、各カード上に昇華サーマルプリンタを用いて、会員の顔や氏名等の画像をプリントするようにしている。
【0004】
かかる場合、ゴールドの地色を有する無地のカードと、ブルーの地色を有する無地のカードとは、それぞれ別個のカード貯蔵部に貯蔵され、会員の種類に応じて各カード貯蔵部からカード排出部へと取り出され、更にプリント処理ステージへと移送されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図4は、従来技術にかかる昇華サーマルプリンタ10の上面図である。プリンタ10の後方(図4の上方)には、カード取り出し装置を含む各種装置を制御する制御装置群11が配置されている。プリンタ10の右方には、カードを多数毎貯蔵できるカード貯蔵部12a、12bが並列的に配置されている。カードCは、不図示の取り出し装置により、カード貯蔵部12a、12bから取り出され、プリンタ10の前方に配置された移送装置13の右端(カード排出部13a)まで引き出されるようになっている。
【0006】
移送装置13は、取り出されたカードCを第1〜第5処理ステージ14〜18に搬送し、その後完成位置19まで移送するようになっている。第1〜第5処理ステージ14〜18においては、たとえば緑、赤、青、黒のような異なるインクリボンが配置され、画像に対応してインクが転写されるようになっており、いわゆる多色刷りを行うようになっている。
【0007】
ところで、従来技術における昇華サーマルプリンタ10においては、カード貯蔵部12a、12bが並列に配置されているため、プリンタ10の全長Lが長くなってしまうという問題がある。特に、プリンタに汎用性を持たせるような場合、カード貯蔵部を数多く用意しておく必要があり、かかる場合には全長Lがより長くなってしまう。一方、カード貯蔵部12a、12bをたとえば直列的に配置するようにすれば、装置の全長Lは短縮されることとなるが、後方のカード貯蔵部からカード排出部への搬送ルートをどのようにするかの問題が生じる。
【0008】
更に、各カード貯蔵部12a、12bとカード排出部13aとの間には、独立した搬送路及び取り出し装置(不図示)が設けられているが、かかる搬送路及び取り出し装置には、比較的高い精度が要求されるため、それだけ高価なものとなっている。従って、従来技術によるプリンタにおいては、カード貯蔵部の数だけ独立した搬送路及び取り出し装置を設けることによって、そのコストが上昇するという問題も生じている。
【0009】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、コストを低く抑えながらも、プリントをよりコンパクトにすることのできるカードプリンタを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成すべく、カードプリンタは、
複数のカード貯蔵部と、
前記カード貯蔵部とカード排出位置とを接続する単一の搬送路に沿って、カードを搬送するカード搬送装置と、
特定のカード貯蔵部からカードが搬送されるときは、前記特定のカード貯蔵部と前記カード排出位置との間にあるカード貯蔵部を、前記搬送路から待避させる移動装置とを有することを特徴とする。
【0011】
【作用】
本発明のカードプリンタによれば、複数のカード貯蔵部と、前記カード貯蔵部とカード排出位置とを接続する単一の搬送路に沿って、カードを搬送するカード搬送装置と、特定のカード貯蔵部からカードが搬送されるときは、前記特定のカード貯蔵部と前記カード排出位置との間にあるカード貯蔵部を、前記搬送路から待避させる移動装置とを有するので、複数のカード貯蔵部をたとえば直列等比較的自由に配置することができ、それによりカードプリンタのコストを抑えると共に、よりコンパクトな構成とすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を参照して本発明を説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる昇華サーマルプリンタ100の上面図である。上述した従来技術の昇華サーマルプリンタ10に対して異なる点のみを説明し、共通する点については記載を省略する。本実施の形態にかかる昇華サーマルプリンタ100は、図4に示す従来技術の昇華サーマルプリンタ10に対して、第2カード貯蔵部12bの配置が、第1カード貯蔵部12aに対して並列ではなく直列となっているため、全長が短くなっている点が異なっている。
【0013】
すなわち、第1カード貯蔵部12aの後方(図1の上方)は、これに隣接する制御装置群11が奥行きを有することから、空きスペースとなっている。そこで、スペースの有効活用を図るべく、かかるスペースに第2カード貯蔵部12bを設置するようにしているのである。
【0014】
一方、第1カード貯蔵部12aの後方に、第2カード貯蔵部12bを単に設置したのみでは、第2カード貯蔵部12bからカード排出部13aとの間の搬送路をどのように設置するかという問題が生じる。すなわち、第2カード貯蔵部12bからカードCを最短距離で搬送する場合、第1カード貯蔵部12aが邪魔となるため、この取り扱いが問題である。
【0015】
そこで、本実施の形態においては、第1カード貯蔵部12aの後方に設置された第2カード貯蔵部12bから、最短距離でカードの搬送を行うべく、特別な搬送装置を設けている。かかる搬送装置について以下に説明する。
【0016】
図2は、図1の構成をII−II線に沿って切断して矢印方向に見た図であり、カード貯蔵部を搬送装置と共に示す図である。図3は、図2の構成をIII−III線で切断して矢印方向に見た図である。第1カード貯蔵部12a、12bは、それぞれ四角管状の本体外周に鍔部12c、12dを接合した形状を有しており、多数のカードCを貯蔵している。第1カード貯蔵部12a、12bが貯蔵するカードCは、同じものであっても良いが、本実施の形態においてはそれぞれ予めプリントされた画像が異なっているものとする。
【0017】
第1カード貯蔵部12aは、四角管状の第1カード供給部20の外周に設けられた受け部20eに受けられて支持され、一方、第2カード貯蔵部12bは、同様に四角管状の第2カード供給部21の外周に設けられた受け部21eに受けられて支持されている。第1カード貯蔵部12a、12bの上方から挿入されたカードCは、第1カード供給部20及び第2カード供給部21の底壁20c、21cの上に蓄積されるようになっている。底壁20c、21cの中央には、図2において左右方向に延在する切欠部20d、21dが形成されている(図3参照)。
【0018】
第1カード供給部20及び第2カード供給部21は、図2中左方に向かって開口したスリット20a、21aを、それぞれ下端近傍に設けている。各スリット20a、21aの上部には、それぞれカード分離ゲート20b、21bが設けられており、スリット20a、21aの高さを制限することにより、1回に1枚のカードCのみが取り出されるようにしている。
【0019】
第1カード供給部20におけるスリット20aの下方には、ガイド部22が形成されている。図3に示されているように、ガイド部22は、中央に切欠部22bを有するガイド底壁22aと、上方からガイド底壁22aに対向する一対の押圧部材22cと、第1カード供給部20の底壁20cと押圧部材22cとの間に設けられて押圧部材22cをガイド底壁22aに対して付勢するばね部材22dとから構成されている。押圧部材22cの図2中左右端は、若干上方に折れ曲がってスキー板の先端のような形状となっており、押圧部材22cとガイド底壁22aとの間にカードCが侵入する場合に、侵入を円滑にするようになっている。尚、同様な構成を有するガイド部材23,24が、図2中ガイド部22の左右に配置されている。
【0020】
ガイド部22の図2中左方に配置されたガイド部材23は、カード排出部25につながっているが、このカード排出部25は、ガイド部材23に対して一段低い位置に形成されている。カード排出部25の図2中左方端には、光学的センサ25aが配置されており、カード排出部25までカードCが搬送されてきたことを検出できるようになっている。更に、第1カード供給部20と第2カード供給部21の下方には、コンベヤ装置26が配置されている。
【0021】
コンベヤ装置26は、一対の歯車26a、26bと、歯車26a、26bに張り渡されたコグベルト26cと、上側のコグベルト26cに取り付けられた取り出し部材26dとを有している。取り出し部材26dは、略直方体状のブロックであり、その上面にカードCを1枚だけ押し出すことができるようわずかに突出した突起26eが形成されている。突起26eの図2中右方は斜面となっているため、取り出し部材26dがスタート位置へ戻るとき、貯蔵されたカードCに引っかからないようになっている。尚、取り出し部材26dの幅は、両カード供給部20,21の切欠部20d、21d及びガイド部22の切欠部22bよりも小さくなっている。
【0022】
図3に示すように、取り出し部材26dは、剛性の高い支持部材26fを介してコグベルト26cに取り付けられており、更に支持部材26fは一対のガイド軸26gに沿って移動するため、コグベルト26cの振れに関係なく安定した移動が確保されるようになっている。歯車26aの近傍には、光学的センサ26hが配置され、取り出し部材26dがスタート位置にあることを検出できるようになっている。一方、カード排出部25の下方には、光学的センサ26iが配置され、取り出し部材26dがエンド位置にあることを検出できるようになっている。
【0023】
第1カード供給部20と第2カード供給部21は、それぞれ第1支持部27と第2支持部28とにより支持されている。第1、第2支持部27、28は、それぞれ上端を受け部20e、21eに当接させた4本の脚部27a、28aと、脚部27a、28aの下端に連結させた底壁27b、28bと、底壁27b、28bの下面中央に形成された、図2において矩形状の開口27d、28dを有するフォロワ部27c、28cとから構成されている。
【0024】
第1支持部27、第2支持部28にそれぞれ隣接して、駆動部が設けられている。駆動部の構成は同様であるため、以下、第1支持部27に隣接する駆動部29のみを説明する。
【0025】
図3に示すように、駆動部29は、モータ29aと、モータ29aの回転軸29bの中程に取り付けられて一体的に回転するパルサギヤ29cと、パルサギヤの回転位置を検出する一対のセンサ29dと、回転軸29bの先端近傍に取り付けられた円盤状の偏心カム29eとから構成されている。偏心カム29eは、両支持部27,28の開口27d、28d内に配置されている。
【0026】
次に、本実施の形態の動作につき説明する。図2において、まず、カード取り出し部材26dは、図2に示すスタート位置にあるものとする。ここで、第1カード貯蔵部12a内に貯蔵されたカードCを取り出す場合には、第1カード供給部20を、取り出し部材26dが通過する搬送路内に位置せしめると共に、第2カード供給部21をかかる搬送路から待避させることが必要となる。
【0027】
第2カード供給部21を、取り出し部材26dが通過する搬送路から待避させるために、駆動部29は以下の動作を行う。不図示の制御装置からの信号により、駆動部29のモータ29aが回転して、偏心カム29eが第2支持部28のフォロワ部28dを上方に向かって駆動する。尚、パルサギヤ29cの回転位置をセンサ29dが検出することにより、第2支持部28が上方に移動したことが検知でき、それに応動して不図示の制御装置がモータ29aを停止させるようになっている。
【0028】
第2支持部28が上方に移動すれば、第2カード供給部21と、第2カード貯蔵部12bも一体的に上方に移動するようになっている。従って、第2カード供給部21内に蓄積されたカードCは、取り出し部材26dの突起26eの通過位置よりも上方へと待避するため、取り出し部材26dの移動に関わらず、カード供給部21内にとどまるようになっている。
【0029】
一方、第1カード供給部20を、取り出し部材26dが通過する搬送路に挿入するために、駆動部29は以下の動作を行う。不図示の制御装置からの信号により、駆動部29のモータ29aが回転して、偏心カム29eが第1支持部27のフォロワ部27dを下方に向かって駆動する。尚、パルサギヤ29cの回転位置をセンサ29dが検出することにより、第1支持部27が下方に移動したことが検知でき、それに応動して不図示の制御装置がモータ29aを停止させるようになっている。
【0030】
第1支持部27が下方に移動すれば、第1カード供給部20と、第1カード貯蔵部12aも一体的に下方に移動するようになっている。かかる場合、第1カード供給部20内に蓄積された一番下のカードCは、取り出し部材26dの突起26eの通過位置に丁度位置するようになっている。
【0031】
かかる状態から、不図示のパルスモータが駆動して、歯車26bを駆動すると、取り出し部材26dは図2中水平方向に右から左へと移動する。このとき、第1カード供給部20の切欠部20d内を通過する際に、取り出し部材26dの突起26eが一番下のカードCの後端に当接し、スリット20aを介してカード排出部25へと押し出すようになっている。カード排出部25まで搬送されたカードCは、図1の移送装置13により処理ステージ14〜18へと移送されることとなる。
【0032】
取り出し部材26dがエンド位置まで到達すると、光学的センサ26iがこれを検知して、不図示のパルスモータは停止し、その後、取り出し部材26dをスタート位置へと戻すよう逆転するようになっている。取り出し部材26dがスタート位置まで到達すると、光学的センサ26hがこれを検知して、不図示のパルスモータが停止するようになっている。尚、取り出し部材26dは、いずれのカード貯蔵部からカードを取り出すかに関わらず、常にスタート位置とエンド位置とを往復するようになっており、それにより取り出しサイクルを一定としている。
【0033】
次に、第2カード貯蔵部12b内に貯蔵されたカードCを取り出す場合には、第1カード供給部20を、取り出し部材26dが通過する搬送路から待避させると共に、第2カード供給部21をかかる搬送路に挿入することが必要となる。
【0034】
かかる場合、駆動部29を上述の場合と反対に駆動することにより、第1カード供給部20を、取り出し部材26dが通過する搬送路から待避させると共に、第2カード供給部21をかかる搬送路に挿入することができる。しかしながら、ここで問題となるのは、取り出し部材26dによるカードCの搬送を、第1カード供給部20の下方において行わなくてはならないことである。
【0035】
そこで、本実施の形態によれば、取り出し部材26dにより第2カード排出部から取り出されたカードCは、まずガイド部材24により案内されて、第1カード供給部20の下方に設けられたガイド部22に案内され、更にガイド部材23に案内されてカード排出部25に至るようになっている。更に、各ガイド部(材)22,23,24を通過する際には、カードCは、ばね部材22d等の付勢力に基づき、底壁22aと押圧部材22cとに挟持されて、安定した状態で搬送されるようになっている。
【0036】
このように、本実施の形態によれば、複数のカード貯蔵部に対して単一の搬送部を設けることにより、カードの搬送を可能としており、プリンタの構成をコンパクトにすると共に、コストの低減を図ることができる。
【0037】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更/改良が可能であることはもちろんである。たとえば、カード貯蔵部は2つに限らず、3つ以上設けても良い。
【0038】
【発明の効果】
本発明のカードプリンタによれば、複数のカード貯蔵部と、前記カード貯蔵部とカード排出位置とを接続する単一の搬送路に沿って、カードを搬送するカード搬送装置と、特定のカード貯蔵部からカードが搬送されるときは、前記特定のカード貯蔵部と前記カード排出位置との間にあるカード貯蔵部を、前記搬送路から待避させる移動装置とを有するので、複数のカード貯蔵部をたとえば直列等比較的自由に配置することができ、それによりカードプリンタのコストを抑えると共に、よりコンパクトな構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる昇華サーマルプリンタ100の上面図である。
【図2】図1の構成をII−II線に沿って切断して矢印方向に見た図であり、カード貯蔵部を搬送装置と共に示す図である。
【図3】図2の構成をIII−III線で切断して矢印方向に見た図である。
【図4】従来技術にかかる昇華サーマルプリンタ10の上面図である。
【符号の説明】
10 プリンタ
11 制御群
12a 第1カード貯蔵部
12b 第2カード貯蔵部
13 移送装置
14〜18 処理ステージ
20 第1カード供給部
21 第2カード供給部
25 カード排出部
26 コンベヤ装置
27 第1支持部
28 第2支持部
29 駆動部
C カード
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクリボンからカード等に熱転写で画像を形成するカードプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の加熱素子がライン状に配置されたサーマルヘッドでインクリボンを加熱することによって、かかるインクリボンから昇華的に分離したインクを、カード等に移送して固着することにより画像を形成するカードプリンタとして昇華サーマルプリンタが知られている。かかる昇華サーマルプリンタによれば、写真等の画像も鮮明にプリントできるため、たとえば会員証等のようなカードのプリントにおいて広く用いられている。
【0003】
ところで、会員証を例に取ると、ゴールド会員と一般会員とでカードの差別化を図るため、ゴールド会員が所持するカードはゴールドの地色を有するようにし、一般会員が所持するカードはブルーの地色を有するようにしたい場合がある。このようなカードを作成する場合には、まずゴールドの地色を有する無地のカードと、ブルーの地色を有する無地のカードとを予め作成し、各カード上に昇華サーマルプリンタを用いて、会員の顔や氏名等の画像をプリントするようにしている。
【0004】
かかる場合、ゴールドの地色を有する無地のカードと、ブルーの地色を有する無地のカードとは、それぞれ別個のカード貯蔵部に貯蔵され、会員の種類に応じて各カード貯蔵部からカード排出部へと取り出され、更にプリント処理ステージへと移送されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図4は、従来技術にかかる昇華サーマルプリンタ10の上面図である。プリンタ10の後方(図4の上方)には、カード取り出し装置を含む各種装置を制御する制御装置群11が配置されている。プリンタ10の右方には、カードを多数毎貯蔵できるカード貯蔵部12a、12bが並列的に配置されている。カードCは、不図示の取り出し装置により、カード貯蔵部12a、12bから取り出され、プリンタ10の前方に配置された移送装置13の右端(カード排出部13a)まで引き出されるようになっている。
【0006】
移送装置13は、取り出されたカードCを第1〜第5処理ステージ14〜18に搬送し、その後完成位置19まで移送するようになっている。第1〜第5処理ステージ14〜18においては、たとえば緑、赤、青、黒のような異なるインクリボンが配置され、画像に対応してインクが転写されるようになっており、いわゆる多色刷りを行うようになっている。
【0007】
ところで、従来技術における昇華サーマルプリンタ10においては、カード貯蔵部12a、12bが並列に配置されているため、プリンタ10の全長Lが長くなってしまうという問題がある。特に、プリンタに汎用性を持たせるような場合、カード貯蔵部を数多く用意しておく必要があり、かかる場合には全長Lがより長くなってしまう。一方、カード貯蔵部12a、12bをたとえば直列的に配置するようにすれば、装置の全長Lは短縮されることとなるが、後方のカード貯蔵部からカード排出部への搬送ルートをどのようにするかの問題が生じる。
【0008】
更に、各カード貯蔵部12a、12bとカード排出部13aとの間には、独立した搬送路及び取り出し装置(不図示)が設けられているが、かかる搬送路及び取り出し装置には、比較的高い精度が要求されるため、それだけ高価なものとなっている。従って、従来技術によるプリンタにおいては、カード貯蔵部の数だけ独立した搬送路及び取り出し装置を設けることによって、そのコストが上昇するという問題も生じている。
【0009】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、コストを低く抑えながらも、プリントをよりコンパクトにすることのできるカードプリンタを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成すべく、カードプリンタは、
複数のカード貯蔵部と、
前記カード貯蔵部とカード排出位置とを接続する単一の搬送路に沿って、カードを搬送するカード搬送装置と、
特定のカード貯蔵部からカードが搬送されるときは、前記特定のカード貯蔵部と前記カード排出位置との間にあるカード貯蔵部を、前記搬送路から待避させる移動装置とを有することを特徴とする。
【0011】
【作用】
本発明のカードプリンタによれば、複数のカード貯蔵部と、前記カード貯蔵部とカード排出位置とを接続する単一の搬送路に沿って、カードを搬送するカード搬送装置と、特定のカード貯蔵部からカードが搬送されるときは、前記特定のカード貯蔵部と前記カード排出位置との間にあるカード貯蔵部を、前記搬送路から待避させる移動装置とを有するので、複数のカード貯蔵部をたとえば直列等比較的自由に配置することができ、それによりカードプリンタのコストを抑えると共に、よりコンパクトな構成とすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を参照して本発明を説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる昇華サーマルプリンタ100の上面図である。上述した従来技術の昇華サーマルプリンタ10に対して異なる点のみを説明し、共通する点については記載を省略する。本実施の形態にかかる昇華サーマルプリンタ100は、図4に示す従来技術の昇華サーマルプリンタ10に対して、第2カード貯蔵部12bの配置が、第1カード貯蔵部12aに対して並列ではなく直列となっているため、全長が短くなっている点が異なっている。
【0013】
すなわち、第1カード貯蔵部12aの後方(図1の上方)は、これに隣接する制御装置群11が奥行きを有することから、空きスペースとなっている。そこで、スペースの有効活用を図るべく、かかるスペースに第2カード貯蔵部12bを設置するようにしているのである。
【0014】
一方、第1カード貯蔵部12aの後方に、第2カード貯蔵部12bを単に設置したのみでは、第2カード貯蔵部12bからカード排出部13aとの間の搬送路をどのように設置するかという問題が生じる。すなわち、第2カード貯蔵部12bからカードCを最短距離で搬送する場合、第1カード貯蔵部12aが邪魔となるため、この取り扱いが問題である。
【0015】
そこで、本実施の形態においては、第1カード貯蔵部12aの後方に設置された第2カード貯蔵部12bから、最短距離でカードの搬送を行うべく、特別な搬送装置を設けている。かかる搬送装置について以下に説明する。
【0016】
図2は、図1の構成をII−II線に沿って切断して矢印方向に見た図であり、カード貯蔵部を搬送装置と共に示す図である。図3は、図2の構成をIII−III線で切断して矢印方向に見た図である。第1カード貯蔵部12a、12bは、それぞれ四角管状の本体外周に鍔部12c、12dを接合した形状を有しており、多数のカードCを貯蔵している。第1カード貯蔵部12a、12bが貯蔵するカードCは、同じものであっても良いが、本実施の形態においてはそれぞれ予めプリントされた画像が異なっているものとする。
【0017】
第1カード貯蔵部12aは、四角管状の第1カード供給部20の外周に設けられた受け部20eに受けられて支持され、一方、第2カード貯蔵部12bは、同様に四角管状の第2カード供給部21の外周に設けられた受け部21eに受けられて支持されている。第1カード貯蔵部12a、12bの上方から挿入されたカードCは、第1カード供給部20及び第2カード供給部21の底壁20c、21cの上に蓄積されるようになっている。底壁20c、21cの中央には、図2において左右方向に延在する切欠部20d、21dが形成されている(図3参照)。
【0018】
第1カード供給部20及び第2カード供給部21は、図2中左方に向かって開口したスリット20a、21aを、それぞれ下端近傍に設けている。各スリット20a、21aの上部には、それぞれカード分離ゲート20b、21bが設けられており、スリット20a、21aの高さを制限することにより、1回に1枚のカードCのみが取り出されるようにしている。
【0019】
第1カード供給部20におけるスリット20aの下方には、ガイド部22が形成されている。図3に示されているように、ガイド部22は、中央に切欠部22bを有するガイド底壁22aと、上方からガイド底壁22aに対向する一対の押圧部材22cと、第1カード供給部20の底壁20cと押圧部材22cとの間に設けられて押圧部材22cをガイド底壁22aに対して付勢するばね部材22dとから構成されている。押圧部材22cの図2中左右端は、若干上方に折れ曲がってスキー板の先端のような形状となっており、押圧部材22cとガイド底壁22aとの間にカードCが侵入する場合に、侵入を円滑にするようになっている。尚、同様な構成を有するガイド部材23,24が、図2中ガイド部22の左右に配置されている。
【0020】
ガイド部22の図2中左方に配置されたガイド部材23は、カード排出部25につながっているが、このカード排出部25は、ガイド部材23に対して一段低い位置に形成されている。カード排出部25の図2中左方端には、光学的センサ25aが配置されており、カード排出部25までカードCが搬送されてきたことを検出できるようになっている。更に、第1カード供給部20と第2カード供給部21の下方には、コンベヤ装置26が配置されている。
【0021】
コンベヤ装置26は、一対の歯車26a、26bと、歯車26a、26bに張り渡されたコグベルト26cと、上側のコグベルト26cに取り付けられた取り出し部材26dとを有している。取り出し部材26dは、略直方体状のブロックであり、その上面にカードCを1枚だけ押し出すことができるようわずかに突出した突起26eが形成されている。突起26eの図2中右方は斜面となっているため、取り出し部材26dがスタート位置へ戻るとき、貯蔵されたカードCに引っかからないようになっている。尚、取り出し部材26dの幅は、両カード供給部20,21の切欠部20d、21d及びガイド部22の切欠部22bよりも小さくなっている。
【0022】
図3に示すように、取り出し部材26dは、剛性の高い支持部材26fを介してコグベルト26cに取り付けられており、更に支持部材26fは一対のガイド軸26gに沿って移動するため、コグベルト26cの振れに関係なく安定した移動が確保されるようになっている。歯車26aの近傍には、光学的センサ26hが配置され、取り出し部材26dがスタート位置にあることを検出できるようになっている。一方、カード排出部25の下方には、光学的センサ26iが配置され、取り出し部材26dがエンド位置にあることを検出できるようになっている。
【0023】
第1カード供給部20と第2カード供給部21は、それぞれ第1支持部27と第2支持部28とにより支持されている。第1、第2支持部27、28は、それぞれ上端を受け部20e、21eに当接させた4本の脚部27a、28aと、脚部27a、28aの下端に連結させた底壁27b、28bと、底壁27b、28bの下面中央に形成された、図2において矩形状の開口27d、28dを有するフォロワ部27c、28cとから構成されている。
【0024】
第1支持部27、第2支持部28にそれぞれ隣接して、駆動部が設けられている。駆動部の構成は同様であるため、以下、第1支持部27に隣接する駆動部29のみを説明する。
【0025】
図3に示すように、駆動部29は、モータ29aと、モータ29aの回転軸29bの中程に取り付けられて一体的に回転するパルサギヤ29cと、パルサギヤの回転位置を検出する一対のセンサ29dと、回転軸29bの先端近傍に取り付けられた円盤状の偏心カム29eとから構成されている。偏心カム29eは、両支持部27,28の開口27d、28d内に配置されている。
【0026】
次に、本実施の形態の動作につき説明する。図2において、まず、カード取り出し部材26dは、図2に示すスタート位置にあるものとする。ここで、第1カード貯蔵部12a内に貯蔵されたカードCを取り出す場合には、第1カード供給部20を、取り出し部材26dが通過する搬送路内に位置せしめると共に、第2カード供給部21をかかる搬送路から待避させることが必要となる。
【0027】
第2カード供給部21を、取り出し部材26dが通過する搬送路から待避させるために、駆動部29は以下の動作を行う。不図示の制御装置からの信号により、駆動部29のモータ29aが回転して、偏心カム29eが第2支持部28のフォロワ部28dを上方に向かって駆動する。尚、パルサギヤ29cの回転位置をセンサ29dが検出することにより、第2支持部28が上方に移動したことが検知でき、それに応動して不図示の制御装置がモータ29aを停止させるようになっている。
【0028】
第2支持部28が上方に移動すれば、第2カード供給部21と、第2カード貯蔵部12bも一体的に上方に移動するようになっている。従って、第2カード供給部21内に蓄積されたカードCは、取り出し部材26dの突起26eの通過位置よりも上方へと待避するため、取り出し部材26dの移動に関わらず、カード供給部21内にとどまるようになっている。
【0029】
一方、第1カード供給部20を、取り出し部材26dが通過する搬送路に挿入するために、駆動部29は以下の動作を行う。不図示の制御装置からの信号により、駆動部29のモータ29aが回転して、偏心カム29eが第1支持部27のフォロワ部27dを下方に向かって駆動する。尚、パルサギヤ29cの回転位置をセンサ29dが検出することにより、第1支持部27が下方に移動したことが検知でき、それに応動して不図示の制御装置がモータ29aを停止させるようになっている。
【0030】
第1支持部27が下方に移動すれば、第1カード供給部20と、第1カード貯蔵部12aも一体的に下方に移動するようになっている。かかる場合、第1カード供給部20内に蓄積された一番下のカードCは、取り出し部材26dの突起26eの通過位置に丁度位置するようになっている。
【0031】
かかる状態から、不図示のパルスモータが駆動して、歯車26bを駆動すると、取り出し部材26dは図2中水平方向に右から左へと移動する。このとき、第1カード供給部20の切欠部20d内を通過する際に、取り出し部材26dの突起26eが一番下のカードCの後端に当接し、スリット20aを介してカード排出部25へと押し出すようになっている。カード排出部25まで搬送されたカードCは、図1の移送装置13により処理ステージ14〜18へと移送されることとなる。
【0032】
取り出し部材26dがエンド位置まで到達すると、光学的センサ26iがこれを検知して、不図示のパルスモータは停止し、その後、取り出し部材26dをスタート位置へと戻すよう逆転するようになっている。取り出し部材26dがスタート位置まで到達すると、光学的センサ26hがこれを検知して、不図示のパルスモータが停止するようになっている。尚、取り出し部材26dは、いずれのカード貯蔵部からカードを取り出すかに関わらず、常にスタート位置とエンド位置とを往復するようになっており、それにより取り出しサイクルを一定としている。
【0033】
次に、第2カード貯蔵部12b内に貯蔵されたカードCを取り出す場合には、第1カード供給部20を、取り出し部材26dが通過する搬送路から待避させると共に、第2カード供給部21をかかる搬送路に挿入することが必要となる。
【0034】
かかる場合、駆動部29を上述の場合と反対に駆動することにより、第1カード供給部20を、取り出し部材26dが通過する搬送路から待避させると共に、第2カード供給部21をかかる搬送路に挿入することができる。しかしながら、ここで問題となるのは、取り出し部材26dによるカードCの搬送を、第1カード供給部20の下方において行わなくてはならないことである。
【0035】
そこで、本実施の形態によれば、取り出し部材26dにより第2カード排出部から取り出されたカードCは、まずガイド部材24により案内されて、第1カード供給部20の下方に設けられたガイド部22に案内され、更にガイド部材23に案内されてカード排出部25に至るようになっている。更に、各ガイド部(材)22,23,24を通過する際には、カードCは、ばね部材22d等の付勢力に基づき、底壁22aと押圧部材22cとに挟持されて、安定した状態で搬送されるようになっている。
【0036】
このように、本実施の形態によれば、複数のカード貯蔵部に対して単一の搬送部を設けることにより、カードの搬送を可能としており、プリンタの構成をコンパクトにすると共に、コストの低減を図ることができる。
【0037】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更/改良が可能であることはもちろんである。たとえば、カード貯蔵部は2つに限らず、3つ以上設けても良い。
【0038】
【発明の効果】
本発明のカードプリンタによれば、複数のカード貯蔵部と、前記カード貯蔵部とカード排出位置とを接続する単一の搬送路に沿って、カードを搬送するカード搬送装置と、特定のカード貯蔵部からカードが搬送されるときは、前記特定のカード貯蔵部と前記カード排出位置との間にあるカード貯蔵部を、前記搬送路から待避させる移動装置とを有するので、複数のカード貯蔵部をたとえば直列等比較的自由に配置することができ、それによりカードプリンタのコストを抑えると共に、よりコンパクトな構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる昇華サーマルプリンタ100の上面図である。
【図2】図1の構成をII−II線に沿って切断して矢印方向に見た図であり、カード貯蔵部を搬送装置と共に示す図である。
【図3】図2の構成をIII−III線で切断して矢印方向に見た図である。
【図4】従来技術にかかる昇華サーマルプリンタ10の上面図である。
【符号の説明】
10 プリンタ
11 制御群
12a 第1カード貯蔵部
12b 第2カード貯蔵部
13 移送装置
14〜18 処理ステージ
20 第1カード供給部
21 第2カード供給部
25 カード排出部
26 コンベヤ装置
27 第1支持部
28 第2支持部
29 駆動部
C カード
Claims (3)
- 複数のカード貯蔵部と、
前記カード貯蔵部とカード排出位置とを接続する単一の搬送路に沿って、カードを搬送するカード搬送装置と、
特定のカード貯蔵部からカードが搬送されるときは、前記特定のカード貯蔵部と前記カード排出位置との間にあるカード貯蔵部を、前記搬送路から待避させる移動装置とを有することを特徴とするカードプリンタ。 - 前記カード貯蔵部は、前記移動装置により前記搬送路から待避させられたときに、搬送されるカードを案内するガイド部を有することを特徴とする請求項1に記載のカードプリンタ。
- 前記移動装置は、偏心カムを回転させることにより、前記カード貯蔵部を前記搬送路から待避させるようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載のカードプリンタ。
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