JP3653479B2 - ナポリスタイル・ピザクラストの製造方法と製造装置 - Google Patents

ナポリスタイル・ピザクラストの製造方法と製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ナポリスタイル・ピザクラストの製造方法と製造装置などに関し、詳しくは、縁部が良く盛り上がって空洞が多いだけでなく、中央部においても空洞と目の粗い気泡組織を有する優れたテクスチャーを持ったナポリスタイル・ピザクラストの製造方法とその製造装置などに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ピザの製造は、一般に、各種形状に圧延又は展延した未加熱のピザ生地の表面にピザソースを塗り、その上にチーズその他のトッピング材を載せてオーブンで加熱焼成することにより行われている。しかしながら、ピザのクラスト部分はもともとパンの一種であるので、ピザの製造に際して、このようにピザ生地の上にピザソースとトッピング材を載せて加熱焼成する方法は、ピザソースとトッピング材の存在によって上方からの加熱が阻害され、ピザのクラスト部分の火通りを悪くするという点で、パンの焼成原理に基本的に反しているという問題を抱えている。
【0003】
この問題を解決するために、パンタイプと呼ばれるピザでは、分厚い生地にピザソースとトッピング材をたっぷりと載せ、170〜270℃という比較的低温度で5〜12分という長時間加熱焼成して、内部にまで熱の浸透を図ることが行われているが、このようにして得られるパンタイプのピザは、そのクラスト部分がパンのように目の細かい気泡組織となるものである。また、ミラノ・ローマタイプと呼ばれるピザでは、ピザ生地を薄く成形することによって、300℃前後で3〜5分という中温短時間焼成によってピザ生地内部にまで熱を浸透させることが図られているが、ピザ生地が薄いため、得られるピザは、クラスト部分がやや乾燥し過ぎているともいえるクリスピーなものである。
【0004】
これに対し、生地全体がやや厚手で、特に縁部を中央部に比べて厚く成形するナポリスタイルと呼ばれるピザは、中央部にピザソースが塗布されトッピング材が載置された後、通常、300〜450℃という高温で、1〜3分という短時間の焼成が行われるものであり、少なくとも縁部が良く盛り上がって空洞が多いことが必要とされるピザある。そしてこのようなピザはクラストの露出部分である裏面と縁部は焦げ色が良く付き、短時間であっても加熱が行き届いたことを示している。
【0005】
しかしながら、このナポリスタイルと呼ばれるピザにおいては、例えば図9に示すように、ピザソース22の塗布もなく、トッピング材23も載置されていない縁部Bは、オーブンに入れた瞬間から、上方並びに下方の両方から同時に強い熱を受け、400℃付近の高温で焼成される為、1〜3分という短時間の焼成であっても、上下からの熱を直接受けて急激に大きく膨らみ、その内部組織は空洞7や目の粗い気泡組織8を含んだ極めて良好なテクスチャーとなるものであるが、ピザソース22とトッピング材23の載置された中央部Aは、ピザソース22の塗布量が多い部分や、トッピング材23の重なりが多い部分の真下において、上方からの熱が遮断され火通りが悪く、焼成後も生地表面がねとついた部厚い皮となったり、また、その部分は上方へ盛り上がる力が著しく減殺されるので空洞や気泡の少ない密に詰まった組織10となって、食感が劣るという欠点があった。このため、ナポリスタイルのピザにおいては、ピザソースやトッピング材の量を少な目にすることが推奨されているが、その理由は中央部の盛り上がりの低下など、上記の欠点をなるべく少なくするためと思われる。また、ナポリスタイルのピザにおいては、石窯や薪で火を焚くなど製造面からも厳しい条件があるため熟練した技術を要し、ピザ専門店でも普及が限定されていた。
【0006】
一方、ファーストフードレストランのような外食産業において顧客の注文に応じて短時間でピザを提供したり、一般家庭においてピザを簡単に楽しむために、一次焼成したピザクラストを工業的に製造することが、たとえば、特開昭49−1767号公報、特開昭49−100242号公報、特開昭54−70474号公報などにおいて提案されている。しかしながらこれらの提案されている従来の製造装置では、パンタイプのピザクラストを連続的に効率良く製造することはできても、ナポリスタイルのピザクラストを連続的に効率良く製造することは極めて困難であった。
【0007】
すなわち、一次焼成されたピザクラストを工業的に連続して製造する装置としては、ピザ生地を焼成板上で成形し、そのまま焼成板ごとオーブン内に運ぶ一体型のものと、或いは、ピザ生地を成形板上で成形した後、焼成板上やオーブン内に移し換えて焼成する乗り移り型のものとがあるが、例えば、ピザ生地を焼成板上で成形し、そのまま焼成板ごとオーブン内に運ぶ前者一体型の製造装置においては、ピザ生地の成形工程では焼成板は冷却されている必要があるところ、一般に焼成板は機械的強度をもたせる必要からかなりの厚みを持っており、一旦冷却された焼成板がオーブン内でオーブンの最高温度に達するには相当の時間を要するのが普通である。このため、ピザ生地を焼成板上で成形し、そのまま焼成板ごとオーブン内に運ぶ一体型の製造装置は、比較的低温で長時間焼成するパンタイプのピザクラストの製造には使用できても、高温で短時間の焼成を必要とするナポリスタイルのピザ生地の製造には使用することが困難で、熱容量の大きな焼成板を使用するためにピザ生地を加熱する下からの熱が高温となり難く、これをそのままナポリスタイルのピザ生地に適用しても、中央部において目の粗い気泡組織を有する良好なテクスチャーのクラストが得られないばかりか、縁部においても十分な盛り上がりが得られないという問題がある。
【0008】
また、ピザ生地を成形板上で成形した後、焼成板上に移し換えて焼成する後者の乗り移り型の製造装置においては、中央部よりも厚く形成された縁部を有するナポリスタイルに成形されたピザ生地を、形を崩さずに成形板から機械的に取り外し、焼成板上に移し換えることは極めて困難である。これらの理由から、従来は、ナポリスタイルのピザクラストを工業的に連続して製造することは殆ど行われていなかった。しかも、上記のような従来のピザクラストの製造装置は、いずれもクラストを焼成度80%未満の半焼成するものであり、半焼成では生地の甘味と旨味が十分に醸成されないという欠点がある。
【0009】
また、特開昭54−70474号公報においては、さらに圧延による生地の収縮を避ける手段として、醗酵させない、従って弾力性の少ない非膨張生地を平らにする方法が提案されている。平らにする方法はスタンプと陥没したメス型台との間に型がははめられ、それに生地が入れられスタンプされる。型としては、テフロン被覆の金属容器か又は機械力によるスタンプに耐える強度と可撓性を持つ金属シートが使用され、金属シートの厚さは、50〜100μmという分厚いアルミ箔が推奨されている。そして焼成条件は160〜190℃、12分間が提示されている。ピザとしては極端な低温長時間加熱を前提とした技術構成であるため、それに釣り合った厚みを持つアルミホイルやテフロン被覆金属容器が使用されるものと思われる。そのためこの先行技術は、低温長時間焼成でありもちろん初期加熱も弱く、それに加えて生地自体の醗酵時間が短いので気泡は微小であり、パンピザタイプのクラストしか得られない。
【0010】
特開昭64‐60323号公報、特開平9‐154475号公報などに開示された製造方法は、クラストの膨張を防ぐ目的で、金型に入れて膨張を抑えつける方法や穴開け法と併用で150〜300℃、約1〜10秒間高圧加熱プレスで表面を焼き固める方法、ピザソースを塗る個所と塗らない個所とを混在させる製造方法である。しかし、これらは何れも膨張を抑え込むことを主眼としているためクラストを多気泡にする点では逆効果である。高温加熱でプレスされるとき生地の収縮を防ぐ効果があり、一回の圧延で型を決められるので、このような欠点があるにもかかわらず広く行われているのが現状である。
【0011】
また、焼成した状態で提供されるピザクラストは、ファーストフードレストラン等の外食産業や一般家庭において、ピザソースを塗布しトッピング材を載せてから二次焼成されることを前提としているが、例えばオーブントースターなどでピザクラストの下に何も敷かないで二次焼成する場合には、ナポリスタイルのような縁部を有するピザクラストでは、トッピング材を乗せた中央部よりも、何も乗せない縁部やピザクラスト裏面が先に焦げて固くなるので、ピザクラストが焦げ色のない半焼成である必要があった。ところが、パイ皿や天板上にピザクラストを乗せて二次焼成を行う場合においては、縁部以外は一次焼成で焼成された以上にはピザクラストの焼成が進行しないため、殆ど完全に焼き上がったピザクラストが必要となるが、縁部では焼成が進行するので縁部だけは焼成度80%未満の半焼成の方がよいという矛盾が生じる。しかも、焼成度がせいぜい80%未満程度の半焼成では、上述のように、生地の甘味と旨味とが十分に醸し出されたピザクラストを得ることができないという問題がある。このため、ナポリスタイルのピザに関しては、品質の良いピザクラストを製造することは困難であり、ナポリスタイルのピザをピザ専門店以外の外食店や一般家庭で楽しむことは極めて困難なこととされていた。
【0012】
更には、ファーストフード・レストランや宅配ピザ店などにおいては、手作りされた、或いは、センターから配送されたピザ生地からピザを焼成しているが、注文に応じてタイムリーにピザを焼成するためには、オーブンを常時運転させておく必要がある。ところが、ピザ生地からピザを焼成するには比較的熱容量の大きなオーブンを必要とし、現在一般に使用されている熱風対流式或いは熱風噴射式のガスオーブンを始めとする炉床運行式ガスオーブンや、炉床固定式電気オーブンを、大半は遊んでいるにも拘わらず常時運転状態に保つことは、エネルギー的にも膨大な負担となり、かつ、オーブンを常時運転しているためにキッチン内の温度上昇も甚だしく、それを抑制するための冷房費用も莫大なものとなっている。
【0013】
しかも、前記の炉床運行式ガスオーブンや炉床固定式電気オーブンなどは相当大きなスペースを占め、店舗の面積を有効利用するためには、それらの大きなオーブンを使用しないことが望まれるが、そのためには、炉床運行式ガスオーブンや炉床固定式電気オーブンなどの熱容量の大きなオーブンを使用しなくても、手作り同然のピザが、外食店や一般家庭で簡単に作ることができることが望まれている。
【0014】
【発明の解決しようとする課題】
本発明は、以上のような従来技術の問題点を解決するために為されたもので、ピザ専門店以外の外食店や一般家庭においても、縁部が良く盛り上がって空洞が多いと共に中央部分においても空洞と目の粗い気泡組織を有する理想的なナポリスタイルのピザを容易に楽しむことを可能にするナポリスタイル・ピザクラストの製造方法と製造装置などを提供すると共に、そのようにして製造されたナポリスタイル・ピザクラスト及びその保存方法を提供し、更には、そのようなナポリスタイル・ピザクラストを用いるナポリスタイル・ピザの製造方法を提供することを課題とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を、縁部を厚く成形したピザ生地を、その中央部上面に水分を含んだ液状物を存在せしめた状態で、アルミホイル上で焼成する工程を含むナポリスタイル・ピザクラストの製造方法を提供すると共に、そのような製造方法によって製造されたナポリスタイル・ピザクラスト、及び、そのような製造方法によって製造されたナポリスタイル・ピザクラストをピザ生地がその上で焼成されたアルミホイルを付着させたまま保存するナポリスタイル・ピザクラストの保存方法、さらには、そのような製造方法によって製造されたナポリスタイル・ピザクラストに、必要に応じてピザソースを塗布し、トッピング材を載せてさらに焼成するナポリスタイル・ピザの製造方法を提供し、加えて、アルミホイルを所定の経路に沿って移動させる手段を備え、このアルミホイルの移動経路に沿って順次、所定の大きさに分割されたピザ生地をアルミホイル上に載置する手段、載置されたピザ生地をアルミホイル上で圧延成形する手段、アルミホイル上のピザ生地の中央部に水分を含んだ液状物を撒布又は塗布する手段、アルミホイル上のピザ生地を加熱する手段を備えているナポリスタイル・ピザクラストの製造装置を提供することによって上記課題を解決するものである。
【0016】
すなわち、本発明のナポリスタイル・ピザクラストの製造方法においては、ピザ生地をアルミホイル上で焼成するようにしており、アルミホイルは熱伝導性が良く、かつ、薄くて可撓性が大であるので、生地の重みに従って柔軟に変形し、生地とオーブン床面との密着性が高まって接触面積が大きくなると共に、アルミホイルを介して熱が水平方向にも極めて速やかに伝達されることとなり、生地全体を均一に加熱して、生地全体に空洞の多い盛り上がりの原動力を与えることができる。
【0017】
その一方において、本発明のナポリスタイル・ピザクラストの製造方法は、ピザ生地の中央部上面に水分を含んだ液状物を薄く撒布又は塗布などの方法で存在させるようにしており、これにより、ピザ生地の中央部全体が1つのドームのように膨らむのを防止しつつ、ピザ生地中央部において多数の中型、あるいは小型のドーム状の膨張を発生させ、ピザ生地中央部においても空洞と目の粗い気泡組織を有する良好なテクスチャーを得ることを可能としている。すなわち、本発明のナポリスタイル・ピザクラストの製造方法においては、工業的にピザクラストを連続製造する場合にはピザ生地全体が大きく膨らむ巨大膨張が発生し易いことに着目し、この巨大膨張の原動力を逆に利用して、ピザ生地中央部に中型及び小型のドーム状の膨張を発生させるものである。
【0018】
水分を含んだ液状物としては、食品に使用でき、かつ、ピザの味に悪影響を与えないものであればどのようなものであっても良いが、典型的には、水及び/又はピザソースを使用するのが好ましい。また、水分を含んだ液状物の量としては、焼成後のピザクラストが、縁部だけでなく中央部においても空洞と目の粗い気泡組織を有するものとなる限り特に制限はなく、後述するように、ピザ生地中央部に発生するドーム状の膨張の大小や数は、焼成に際してピザ生地中央部に撒布または塗布される水分を含んだ液状物の量によって調製可能であるので、ピザ生地中央部に発生するドーム状の膨張の数や規模を見ながら適宜加減することができる。しかしながら、ピザ生地中央部に適度の大きさの膨張を適度の数だけ発生させるには、水分を含んだ液状物の量は、焼成後には流動性液状物がほぼ残存しない程度であることが望ましい。ここで、流動性液状物がほぼ残存しない程度とは、焼成後にピザクラストを傾けたときにピザクラスト表面を流動する水分を含んだ液状物がほぼ存在しないことを言い、ピザクラスト表面がやや湿った状態にあっても構わない。
【0019】
このようにして得られた本発明のナポリスタイル・ピザクラストは、縁部が盛り上がって内部が空洞となっているだけでなく、中央部においても空洞と目の粗い気泡組織が形成されているので、歯ごたえが極めて良く、優れた食感を与えるものである。しかも、80〜100%の焼成度まで焼成されているので、これをそのまま焼成に利用したアルミホイルを付着させたまま常温ないしは冷蔵或いは冷凍保存する場合には、アルミホイルと接触する部分におけるピザ生地の焼成や焦げ付きによって醸し出された香ばしさが封じ込まれたまま散逸することがないという利点がある。また、ピザクラストに付着したままのアルミホイルはかなりの保形効果を有し、保存中の取り扱いを容易にする利点がある。
【0020】
また、本発明のナポリスタイル・ピザクラストは、その中央部に必要に応じてピザソースを塗布し、トッピング材を載せて二次焼成することによって、食感に優れた品質のナポリスタイル・ピザを容易に作ることができるという特徴がある。このため、例えば宅配ピザ店などにおいては、注文の比較的少ない時間に本発明の製造方法に基づいてピザクラストを製造し、貯蔵しておくことにより、注文時に極めて短時間で手作り同然のナポリスタイルのピザを容易に製造することができる。なお、二次焼成に際しては、一次焼成に使用したアルミホイルを剥がして裏返しにし、その上にピザクラストを載せて二次焼成するのが望ましい。必要に応じて、アルミホイルの端部を折り曲げてピザクラストの縁部を覆い、縁部が二次焼成によって過度の焼成を受けないようにしても良い。また、一次焼成に使用したアルミホイルを剥がして再使用せずに、新たに用意したアルミホイル上でピザクラストを二次焼成するようにしても良い。
【0021】
また、本発明のナポリスタイル・ピザクラストの製造装置によれば、ピザ生地の重みに従って柔軟に変形しオーブンの床面と密着するほど、薄くて可撓性が大であるアルミホイルを所定の経路に沿って移動させる手段を備え、このアルミホイルの移動経路に沿って順次、所定の大きさに分割されたピザ生地をアルミホイル上に載置する手段、載置されたピザ生地をアルミホイル上で圧延成形する手段、アルミホイル上のピザ生地の中央部に水分を含んだ液状物を撒布又は塗布する手段、アルミホイル上のピザ生地を加熱する手段を備えているので、ピザクラストを連続的に効率良く製造することができる。特に、ピザ生地を乗せたアルミホイルを所定の経路に沿って移動させながら、順次、成形工程、焼成工程を行っていくので、成形されたピザ生地を焼成板上に移し換える必要がなく、従来の乗り移り型の製造装置に見られるような欠点がなく、しかも、アルミホイルは薄くて熱伝導性が高くかつ熱容量が小さいので、加熱手段内でほぼ瞬時に昇温し、従来の焼成板を用いる場合のように、温度上昇に時間が掛かるといった欠点もない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明について詳細に説明する。
【0023】
図1は、焼成直前のピザ生地の断面図であって、図において、1はピザ生地、2はアルミホイル、3はオーブンの炉床、4は水分を含んだ液状物を示しており、Aは成形されたピザ生地の中央部を、Bは縁部を表している。なお、図1においては、図示の便宜上、アルミホイル2とオーブンの炉床3との間には間隙が設けられているが、実際は、アルミホイル2とオーブンの炉床3との間には実質的な間隙はなく、両者は密着しているものである。
【0024】
ピザ生地1としては、通常ナポリスタイルのピザに使用されるものであれば、どのような配合のものであっても良いが、ピザ用に調製した小麦粉に適宜食塩等の副材料とイーストを加え、水を加えて混練し、十分に発酵させてガスを多く含ませたものが好ましい。
【0025】
アルミホイル2は、熱伝導性が良く、かつ、食品に使用することが許されているので、本発明に使用するのに好適である。アルミホイル2としては、それが熱伝導性が良く、かつ、柔軟に変形することができる可撓性に優れたものであればどのような厚みのものを使用しても良いが、ピザ生地を焼成するオーブンの炉床3が隙間のない板状である場合には約10〜18μmの範囲が好ましく、より好ましくは約12〜15μmの範囲である。一方、ピザ生地を焼成するオーブンの炉床3がメッシュ状である場合には約10〜22μmの範囲が好ましく、より好ましくは約12〜20μmの範囲、さらに好ましくは約12〜18μmの範囲である。いずれのタイプの炉床の場合においても、アルミホイルの厚みが10μm未満では、使用できないという訳ではないが、機械的な強度が低下し、破れ易くなるので、10μm以上が好ましく、より好ましくは12μm以上である。
【0026】
一方、アルミホイルの厚みが増すと可撓性が悪くなり、ピザ生地1の重さによって柔軟に変形せず、結果としてピザ生地1とオーブンの炉床3との接触面積が減少し、ピザ生地1とオーブンの炉床3との密着性に場所的な不均一が生じて、上部への膨出が少なく盛り上がりの弱いクラストとなる傾向がある。したがって、この観点からは、アルミホイルの厚さは薄い方が好ましい。オーブンの炉床3が隙間のない板状の場合には、アルミホイルの厚さが18μmを超えると、決して使用できないという訳ではないが、焼成時のピザ生地の盛り上がりが弱くなる傾向がある。また、オーブンの炉床3がメッシュ状である場合には、強制対流や噴射による熱の伝達が行われるので、オーブンの炉床3が板状である場合に比べて、アルミホイルの厚さが厚くても許容されるが、その場合でもアルミホイルの厚さが22μmを越えると、焼成時のピザ生地の盛り上がりが弱くなる傾向がある。よって、使用するアルミホイルの厚みは、ピザ生地を焼成するオーブンの炉床が板状である場合は約12〜15μmであり、ピザ生地を焼成するオーブンの炉床がメッシュ状である場合には、約12〜20μmであることが好ましい。又アルミ箔には、硬質と軟質があり、硬質は柔軟性を欠くのみならず、生地との接着性をも欠くため、焼成中生地との剥離現象が生じ生地が浮き上がって、十分な膨張が得られないので本発明の目的を達成することができない。
【0027】
ピザ生地1は、通常、適当な大きさに分割されてアルミホイル2上に載置され、アルミホイル2上で成形される。他の場所で成形した後に、アルミホイル2上に載置するようにしても良いことは勿論である。ピザ生地1をアルミホイル2上に載置するに際しては、焼成後のピザ生地1とアルミホイル2との剥離を容易とするために、アルミホイル2上に予め食用油を薄く塗布しておくか、或いは、小麦粉等の穀粉や澱粉類を均一に撒布しておくのが望ましい。塗布される食用油としては、大豆油、菜種油、オリーブ油、コーン油等の植物油、及び、ラード、牛脂等の動物油から選ばれる1種またはそれらの2種以上を混合したものが挙げられる。これらの食用油には、乳化剤や界面活性剤など、ベーキングに一般的に使用される型枠との剥離効果を有する添加物が含まれていないものが良い。塗布される食用油にこれらの添加物が含まれていると、ピザ生地1は加熱による硬化に従ってアルミホイル2から剥離し、ピザ生地1とアルミホイル2との間に生じた空気層によって、迅速な熱の伝達が阻害され、本発明の目的とする空洞と目の粗い気泡組織を有するピザクラストが得られないという問題が生じる。
【0028】
アルミホイル2に対する食用油の塗布は、ピザ生地1を載置する直前に行っても良いし、予め食用油を塗布したアルミホイル2を用意しておいても良い。食用油を塗布する方法は作業が容易で安価であるという利点を有する。一方、小麦粉等の穀粉或いは澱粉類の撒布量には特に制限はないが、アルミホイル2の表面に粉粒が一層に撒布されていれば良く、それ以上の量の撒布は返って熱伝導を妨げるので好ましくない。アルミホイル2上に撒布される粉の量は、0〜2g/900cm(30cm×30cm)程度の量が好ましい。食用油の塗布或いは撒き粉、いずれの方法を取るにしても、焼成後のピザ生地1とアルミホイル2との剥離は、焼成されたピザ生地1が冷却されてから行うと剥離が容易となり望ましい。
【0029】
アルミホイル2上に載置されたピザ生地1は、アルミホイル2上で、全体的にやや厚みがあり、縁部Bが中央部Aよりも厚い、段差のある縁付きスタイルに成形される。この成形は手で行っても良いし、加熱方式或いは非加熱方式のプレス機械を用いて行っても良いが、加熱方式の場合は、成形終了時に表面に皮が張るような高温長時間の加熱条件で行って焼成し、巨大膨張の原因を招くことも、さらには、焼き固めて膨張を抑えることも好ましくない。ピザ生地表面は手による成形や非加熱方式と同様、生の状態を保ったまま成形を終わるようにする。そうすれば中小の多気泡膨張が抑制されずに済む。
【0030】
ピザ生地表面が、生の状態に保たれて圧延成形され、表面が熱で固定されずに扁平にされたピザ生地は収縮を起こしやすく、最終製品の変形の原因となるので、それを防止する必要がある。そのための手段として、中間的な厚さまで伸ばすゆるやかな一次圧延と、所定の厚みと大きさをほぼ確定する二次圧延の中間に、ホイロ(プルーファー)工程を設け、生地を熟成させ柔らかくする。このことは、生地の収縮を防止するだけでなく、より気泡の発生を促進し本発明の目的にかなう好ましい結果をもたらす。パン製造では不可欠とされているホイロ工程をピザクラスト製造工程のこの段階で採用することにより、多気泡のピザクラストを効果的に作り出だすことを可能とする。予備圧延である一次プレスのスタンプ型は、必ずしもメス型でなくてもよいが、大きさと厚さと位置を確定する二次プレスはメス型のスタンプが好ましい。二次プレスに続いて三次プレスはオス型スタンプで中央部との段差を持つ縁をつける。一次、二次等の表現は回数を意味するものではなく、例えば一次が複数回であることもあり得るが、プレス回数は必要最小限に止めないと過剰なガス抜きとなり、ふくらみの少ないピザクラストとなる。
【0031】
ホイロの条件は、相対湿度約70パーセント以上、約33〜45℃で、約2〜15分間が適当である。長尺のアルミホイルの水平移動間で熟成を行うのは長い距離を必要とするが自動的に行える。ピザ生地を載置した長尺のアルミホイルをホイロの直前で短尺に切断したアルミホイルをラックに収納して立体化し、ホイロ内を水平移動を行うのは場所的に極めて有利である。移動は、人力又は動力で行う。ラックをゴンドラ式に回動させることも可能である。
【0032】
ピザ生地が生の状態に保たれて圧延成形される場合には、スタンプの裏面に対する生地の付着は、スタンプが空気吹き出し式であるかどうかに拘わらずテフロン被覆加工され、且つ生地塊の上に油を塗布することによりその傾向が緩和される。
【0033】
ホイロ工程は、場所的には、ホイロ内で生地を立体的に移動させるほうが有利なので、その場合は、ピザ生地を載置したアルミホイルをホイロ工程の以前でカットし、ラックに収容して立体化し、そのラックをホイロ内で水平移動させるかあるいは、ラックをゴンドラ式に回動させる。人手的には、長尺のまま水平移動させるのが有利である。
【0034】
本発明のように、アルミホイル上で成形するが如く焼成容器の上で圧延することは、工業的に大量生産する点で非常に有利である。
【0035】
ピザ生地1の成形が終了すると、ピザ生地1の中央部Aの表面に水分を含んだ液状物が存在せしめられる。水分を含んだ液状物としては、食品に使用することができ、かつ、ピザの味に悪影響を与えないものであればどのようなものを使用しても良いが、典型的には、水又はピザソースが好ましい。水とピザソースとは混合して使用しても良い。水又はピザソースに代表される水分を含んだ液状物をピザ生地1の中央部Aの表面に存在せしめる方法としては、ピザ生地1の中央部Aの上面に水又はピザソースに代表される水分を含んだ液状物を薄く、ほぼ均等に存在させることができればどのようなものであっても良いが、通常は、撒布、塗布、滴下、噴霧などであり、最も簡便でかつ薄く均等に存在させるという点から好ましいのは、撒布或いは塗布である。ピザ生地1の中央部Aの表面に存在せしめられる水又はピザソースに代表される水分を含んだ液状物の量は、焼成後のピザクラストが、縁部だけでなく中央部においても空洞と目の粗い気泡組織を有するものとなる限り特に制限はなく、ピザ生地中央部に発生するドーム状の膨張の数や規模を見ながら適宜加減することができるが、ピザ生地中央部に適度の大きさの膨張を適度の数だけ発生させるには、水分を含んだ液状物の量は、焼成後には流動性液状物がほぼ残存しない程度であることが望ましい。
【0036】
この状態で、アルミホイル2をオーブン内に移行させ、オーブンの炉床3と密着させた状態で、加熱、焼成すると、ピザ生地1は図2の焼成直後の状態を示す斜視図に示すように焼成され、その冷却後の内部断面は図3に示すような組織となる。すなわち、加熱と共に、ピザ生地1の縁部Bは、形状が大きく盛り上がり、内部が空洞8となる一方、中央部Aには水又はピザソースに代表される水分を含んだ液状物4が存在するために、加熱の初期においては過大な上からの加熱が一時的に遮断されるので、縁部Bに比べて中央部Aの膨張のタイミングがずれるけれども、やがてすぐに水分の比較的少ない箇所からピザ生地1の膨張が始まり、小型のドーム5が複数膨張し、そのうちの幾つかが中型のドーム6へと成長する。ドーム状に盛り上がった部分からは水分が周辺の未だ盛り上がっていない箇所へと流動し、盛り上がった部分の周辺に僅かながら液状物の溜まり4’、4’、・・・を生じることとなる。この液状物の溜まり4’、4’、・・・によってピザ生地1の中央部Aにおける膨張による盛り上がりが分断される結果、中央部Aは全体が大きなドーム状に膨張することが防止され、図2に示すように、複数の小型ドーム5、5、・・・及び中型ドーム6、6、・・・が形成されることとなる。なお、この液状物の溜まり4’、4’、・・・は焼成終了時にはなくなり、流動性液状物が残っていないことが望ましい。
【0037】
形成された小型ドーム5、5、・・・及び中型ドーム6、6、・・・の表面は皮が薄く仕上がり、内部の上層は、図3に冷却後の断面図として示すように、大きな空洞7、7、・・・となり、時にはそれが2、3層にも及ぶことがある。また、下層は、蜂の巣状の薄い膜で区切られた目の粗い気泡組織8となり、全体として薄膜の多層構造となる。膨張部分は焼成後、冷却と共にしなやかになり、軽い力で容易に沈むので、複数の膨張部分が分断されて存在する限りピザ生地1の表皮は焼成時に伸びきるほどに膨張せず、冷却に伴って、縁部Bと中央部Aとの間に段差のあるナポリスタイルのピザクラストが生成されることとなる。生成されたこのナポリスタイルのピザクラストは、縁部Bが盛り上がり、内部に空洞7を含んだ組織となると共に、中央部Aも表皮は薄く、内部は火抜けが良い、多数の空洞7と気泡組織8とをもった理想的なナポリスタイルのピザクラストである。なお、焼成は、280〜450℃の温度で、1〜3分行われ、それによって、裏面においては95〜100%程度、望ましくはほぼ100%の焼成度にまで、また、表面においては、80〜100%の焼成度にまでピザ生地1が焼成されることが望ましい。ここで、焼成度100%とは、焦げ目が十分に入った状態をいい、焼成度95%とは焦げ目がやや薄い状態を、焼成度80%とは焦げ目が殆どない状態をいうものである。このように、ピザ生地1の一次焼成時にピザ生地1が80〜100%の焼成度まで焼成される結果、本発明のナポリスタイル・ピザクラストは、香ばしい香りと甘味及び旨味を呈するものとなる。
【0038】
中央部Aの表面に存在せしめるべき水分を含んだ液状物4の量は、オーブンの種類によってもかなり異なってくるが、一般的には、閉鎖的な固定オーブンでは比較的少なく、開放的で熱気流が激しく動いているメッシュベルトのバンドオーブンのように乾燥し易いオーブンの場合には、比較的多くの量が必要である。いずれにせよ、水分を含んだ液状物の量は、ピザ生地中央部に発生するドーム状の膨張の数や規模を見ながら適宜加減することができるが、食感に優れたピザクラストを製造するには、焼成終了時には流動性液状物が実質的に残らないように可及的に少なくするのが望ましい。
【0039】
しかしながら、水分を含んだ液状物4の量が過少であると、ピザ生地1は、焼成によって、例えば図4に示すように、全体が1つのドーム9のように大きく膨らみ、冷却後も内部は、断面図である図5に見られるように、1つにつながった大きな空洞7と目の粗い気泡組織8とで占められて、中央部Aと縁部Bとの段差も見られず、ナポリスタイルのピザクラストとは到底呼べないものになってしまう。逆に、水分を含んだ液状物4の量が過大であると、図6及び図7に示すように、焼成後も水分を含んだ液状物4が流動可能な状態で残存し、中央部Aにおける火通りを悪くすると共に、ピザ生地1の膨張を押さえ込み、焼成されたクラスト内部に殆ど気泡のない密に詰まった組織10を残す結果となる。このようなピザクラストは、中央部Aの焼成度が低く、甘味、旨味も少なくて、食感も悪くねとついたものである。
【0040】
以上のように、発明のナポリスタイル・ピザクラストは、ピザ生地1をアルミホイル2上に載置した状態で焼成するので、例えば、ピザ生地1を石窯や固定炉床窯などで焼成する場合でも、生地を直接炉床に載せる従来のものとは違って、ピザクラストの裏面が汚れることがないという利点がある。また、アルミホイル2は熱伝導性が良いので、アルミホイル2はオーブン内に移行せしめられるとほぼ瞬時にオーブン内温度と等しくなり、オーブンの熱を遅滞なくピザ生地1に伝達することができる。加えて、アルミホイル2は熱を水平方向にも速やかに伝達するので、ピザ生地1の底面全体に均一にオーブンの熱を伝えることができる。また、本発明のナポリスタイル・ピザクラストにおいては、焼成されたピザクラストの裏面には焦げムラが少なく、全体的に均一に焦げてアルミホイルに良く接着しており、これは下からの熱がしっかりと、かつ迅速にピザ生地に伝達され、良好なナポリスタイルのピザクラストが焼成されたことを示している。
【0041】
以上のようにして焼成された本発明のナポリスタイル・ピザクラストは、裏面においては95〜100%、表面においても80〜100%の焼成度まで焼成されており、これを常温冷却後、焼成に利用したアルミホイルを付着させたまま、常温、冷蔵、或いは冷凍保存、更には流通させる場合には、アルミホイルと接触する部分におけるピザ生地の焼成や焦げ付きによって醸し出された香ばしさが封じ込まれたまま散逸することがないという利点がある。この場合、ピザクラストに付着したままのアルミホイルはかなりの保形効果を有し、保存中の取り扱いを容易にする利点がある。アルミホイルの大きさが十分な場合には、ピザクラストの裏面に付着したアルミホイルを折り返し、ピザクラストを包み込むことによって、簡単な包装としても利用することができる。アルミホイルの大きさが足りない場合でも、アルミホイルのはみ出た部分をピザクラストの上に折り込み、二枚の表同士を重ね合わせて二枚一組の最小単位として積み重ねるか、或いは、単純に表と裏とを合わせて積み重ね、最上段で表裏を逆にして積み重ねれば、そのまま簡易な包装容器として利用することができる。なお、本発明のナポリスタイル・ピザクラストの保存や流通はアルミホイルを付着させたまま行うものに限られず、アルミホイルを剥がし、それに代えて、ラップフィルム及びポリ袋等の空気及び/又は水分不透過性の食品包装用材で本発明のナポリスタイル・ピザクラストを包んで保存、流通させることも適宜行うことができる。
【0042】
本発明のナポリスタイル・ピザクラストを用いて、ナポリスタイルのピザを製造するには、ピザクラスト裏面に付着したアルミホイルを剥がし、ピザクラスト上部にピザソースの塗布とトッピング材の載置を行った後、先に剥がしたアルミホイルを裏返した上に載せ、必要に応じて、アルミホイルの周辺端部の残余部を織り込んでピザクラストの縁部を覆った後、オーブントースター等で3〜4分程度、二次焼成すれば良い。なお、水分を含んだ液状物としてピザソースを使用した場合には、二次焼成に際してピザソースを更に塗布しても良いが、特に塗布しなくても良い。
【0043】
また、二次焼成に際してアルミホイルを裏返すのは、アルミホイルに既に付着している焦げ滓が、二次焼成時にピザクラスト裏面と再付着して、二次焼成後、アルミホイルの取り外しがうまくいかなくなることを防止するためである。このようにアルミホイルによって縁部を覆った状態で二次焼成を行うことにより、二次焼成における縁部の焼成度を調節し、焦げの進行を止めることができる。二次焼成時にピザクラストの裏面にアルミホイルを敷かない場合には、一次焼成でほぼ完全に焼き上がっているピザクラスト裏面を、生のトッピング材を載せたピザクラスト上面と同じ時間、直火で加熱することとなるので、ピザクラスト裏面が焦げすぎて硬くなる恐れがある。また、ピザクラストは、二次焼成によってアルミホイル上で蒸し焼き状態となり、水分移行で柔らかくなってしまうことがあるので、そのような場合には、二次焼成の最終段階で、アルミホイルを取り除いて、30秒〜1分間程度、直火に直接晒しても良い。なお、二次焼成に使用するアルミホイルとしては、一次焼成に使用したものではなく、新たなものを使用しても良いことは勿論である。新たに用意したアルミホイルを使用する場合、及び、一次焼成に使用したアルミホイルを剥がして使用する場合、そのいずれの場合においても、使用するアルミホイルに複数の小穴を開けてから二次焼成すると、蒸し焼き状態にならず、一度の焼成で二次焼成を済ませることができる。アルミホイルに小穴を開ける方法は色々あるが、一例としては、アルミホイルを折り畳み、その適宜の箇所を切り取ることによって、多数の小穴を簡単に開けることができる。
【0044】
従来のナポリスタイルのピザの場合には、トッピング材をあまり多く載せて焼成することは好ましくなかったが、本発明のナポリスタイル・ピザクラストを用いてナポリスタイルのピザを製造する場合には、ピザクラストの表面が既に95〜100%の焼成度まで焼成されているので、ピザクラスト上にどれほどトッピング材を載せようとも、その下のピザクラストの火通りを心配する必要がなく、焼成時間は、トッピング材の焼け具合で判断できるという利点がある。
【0045】
図8は、本発明のナポリスタイル・ピザクラストの製造装置の一例を示す図であり、図8において、2はアルミホイル、11はアルミホイルロール、12は生地分割機、13はプレス機、14は水撒布機、15は生地成形工程コンベア、16は入口開口及び出口開口を有する炉床固定オーブン、17はカッター、18はピザクラスト排出コンベア、19、19’は送りローラーであり、20はピザ生地塊、21は成形されたピザ生地をそれぞれ表している。
【0046】
このナポリスタイル・ピザクラストの製造装置においては、アルミホイルロール11からアルミホイル2が、送りローラー19によって順次繰り出され、生地成形工程コンベア15上を移動して、入口開口及び出口開口を経由して炉床固定オーブン16内を通過し、送りローラー19’によって更に送られて、ピザクラスト排出コンベア18へと移送される。このアルミホイル2の移動経路に沿って、ピザ生地を所定の大きさに分割してピザ生地塊20としてアルミホイル2上に載置する生地分割機12、アルミホイル2上に載置されたピザ生地塊20をアルミホイル2上で圧延成形するプレス機13、成形されたピザ生地21の中央部に水を撒布する水撒布機14、アルミホイル2上の成形されたピザ生地21を加熱する炉床固定オーブン16が順次配置されており、これにより本発明のナポリスタイル・ピザクラストの製造が行われるようになっている。
【0047】
このナポリスタイル・ピザクラストの製造装置の動作を説明すれば、生地分割機12には、ナポリスタイル・ピザクラストに使用するピザ生地が供給されており、一方、アルミホイル2には、図示しない塗布装置によって、生地分割機12から生地塊20が載置される前に食用油が薄く塗布されるようになっている。装置が動作を開始すると、生地成形工程コンベア15並びに送りローラー19、19’が回転を始め、アルミホイル2がアルミホイルロール11から順次繰り出されて、移動を開始する。生地分割機12は、ピザ生地を所定量毎に分割し、その下を移動するアルミホイル2上に、所定のタイミングで生地塊20として載置する。アルミホイル2上での生地塊20同士の間隔を大きくとり、その間のアルミホイル2を後に包装用に利用することも、この生地分割機12からのピザ生地の分割、載置のタイミングを調節することによって任意に可能である。
【0048】
アルミホイル2上に載置された生地塊20は、プレス機13によってプレスされ、縁部が中央部よりも厚く段差のある縁付きスタイルに成形される。アルミホイル2の移動は、間欠的な寸動であり、プレス機13のプレス時には瞬間的に停止するものである。なお、プレス機13は加熱プレス方式のものであっても、非加熱プレス方式のものであっても良い。
【0049】
プレス機13によって段差のある縁付きスタイルに成形された生地21が水撒布機14の下まで移動すると、水撒布機14は成形された生地21の中央部に必要な量の水を撒布する。この水撒布機14による水の撒布は、アルミホイル2の移動を一時的に停止させた状態で行われ、その停止のタイミングはプレス機13のプレスのタイミングと同期させるのが望ましい。なお、水を撒布する代わりにピザソースを塗布するようにしても良い。
【0050】
適量の水を撒布された成形されたピザ生地21は、次いで、炉床固定オーブン16内を通過し、オーブン内で所定の焼成度まで焼成される。炉床固定オーブン16内の温度は280〜450℃に維持されており、個々の成形されたピザ生地21が炉床固定オーブン16内を通過するのに要する時間は所定の焼成時間である1〜3分に設定されている。
【0051】
炉床固定オーブン16内で焼成されピザクラストとなったピザ生地21は、次いで、ピザクラスト排出コンベア18へと移行せしめられるが、ピザ生地21を載せているアルミホイル2は、その前に、カッター17によって、所定の長さ毎に切断される。アルミホイル2の切断は、原則として1つのアルミホイル片上に1つのピザクラストが載るようなタイミングで行われるが、場合によっては、2つ、或いは3つ以上のピザクラストが単一につながったアルミホイル片上に載るようなタイミングで切断を行うようにしても良い。このカッター17によるアルミホイル2の切断は、水の撒布と同様に、アルミホイル2を停止させた状態で行うのが好ましく、その停止のタイミングはプレス機13のプレスのタイミングと同期させるのが望ましい。
【0052】
以上の説明では、ピザ生地を加熱焼成する手段は、炉床固定オーブン16であったが、ピサ生地の焼成は炉床固定オーブン16に限らず、所定の温度で所定時間ピザ生地を焼成することができるものであればどのような形式のオーブンを使用しても良い。例えば、上蓋及び炉床裏面に電気ヒーター等の発熱手段を取り付けた小型のオーブンのような小型炉床固定オーブンを複数用意し、それらを搬送コンベアによって、成形された焼成前のピザ生地の受入場所と、焼成後のピザクラストの排出場所との間を移動させ、その移動時間内でピザ生地を焼成するようにしても良い。この場合には、焼成前のピザ生地の受入場所においては、焼成前のピザ生地がアルミホイルごと小型炉床固定オーブン内に載置され、小型炉床固定オーブンの移動中に加熱、焼成された後、焼成後のピザクラストの排出場所においては、焼成されたピザクラストがアルミホイルごと小型炉床固定オーブンから取り出されることとなる。また、メッシュ状の炉床をもつタイプの炉床運行式オーブンを使用しても良いことは勿論である。
【0053】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に記載されたものに限られるものでないことは言うまでもない。
〈実施例1〉
【0054】
小麦粉100重量部、システイン微量、食塩1.5重両部、粉末イースト1重量部、水58重量部を混合、混練し、20時間冷蔵保存後、22℃の室温にて4時間発酵させ、約3倍の体積に膨張した生地を、150gずつ、大きさ30cm×30cm、厚み15μmのアルミ箔上に載置した。アルミ箔には予め、1枚当たり0.2gの小麦粉を篩で均一に撒布しておいた。アルミ箔上で生地を手で延ばして縁部を高く、中央部を低く、直径約20cmの円形に成形し、その中央部の表面に約4gの水を噴霧した後、炉内温度370℃の炉床固定式電気オーブンの炉床にアルミ箔ごと直接載置し、1分30秒間焼成し、本発明のナポリスタイル・ピザクラストを製造した。
【0055】
成形したピザ生地を載せたアルミ箔を炉内に入れた直後から、成形したピザ生地の縁部は大きく盛り上がり、続いて中央部においても各所で中・小型のドーム状の膨張が急激に起こり、盛り上がった。焼成後、製造された本発明のナポリスタイル・ピザクラストを常温まで冷却したことろ、中央部と縁部との段差が明瞭に認められ、ナポリスタイル・ピザクラストと呼ぶにふさわしいものであった。また、中央部で切断して断面組織を観察したところ、縁部では空洞が大きく大部分を占め、中央部では膨張部分の表皮は薄く、その真下は空洞が大きく、更にその下には目の粗い気泡組織が形成された二重構造となっていた。焼成度は、上面は焦げ色はやや薄いものの殆ど100%に焼き上がり、裏面はかなり焦げ色が強く完全に焼成されて香りの高いものであった。
【0056】
このようにして製造されたナポリスタイル・ピザクラストを、予備冷却後、アルミ箔を剥がさずに直ちに冷凍保存した。1ヶ月の保存後、解凍してアルミ箔を剥がしたところ、裏面の香りは焼きたて時のように残っていた。この解凍したピザクラストに、ピザソースを塗布し、さらにチーズ等のトッピング材をたっぷり載置した後、先に剥がしたアルミ箔を裏返しにして再びその上にピザクラストを載せ、余ったアルミ箔の端部を折り返してピザクラストの縁部に覆い被せた。これをそのままオーブントースターで3〜4分間焼成し、次いで、アルミ箔を取り除き、続けてオーブントースターで表裏面を約1分間焼成する二次焼成を行った。得られたナポリスタイル・ピザのクラスト部分は極めて火抜けが良く、軽やかで、しなやなか粘りのあるテクスチャーを持ち、しかも甘味と旨味の強い食味を呈し、トッピング材にも十分火が通ってクラストの風味と調和していた。
〈実施例2〉
【0057】
実施例1で使用したのと同じ生地100gを、サラダ油を薄く塗布した大きさ25cm×25cm、厚さ15μmのアルミ箔の中央に置き、加熱プレス方式のプレス機で加圧して、直径約17cmの円形縁付きクラスト生地に成形した。次いで、このクラスト生地表面に約8gの水を噴霧した後、温度350℃に設定した噴射式のインピンジメント(衝突熱)炉床運行式オーブンのメッシュベルト上にアルミ箔ごと載せ、2分20秒間焼成した。得られたナポリスタイル・ピザクラストは、実施例1で得られたものと同じく、縁部の盛り上がりだけでなく、中央部においても数多くのドーム状の膨張が認められた。実施例1と同様に保存した後、実施例1と同様に二次焼成して食したところ、食感は極めて良好であった。
【0058】
図10は、本発明のナポリスタイルのピザクラストの製造装置の第二の実施の形態を示す図であり、図10において、2aは長尺のアルミホイル、11はアルミホイルロール、12は生地分割機、13aは一次プレス機、13bは二次プレス機、13は三次プレス機、20はピザ生地塊、21aは半成形されたピザ生地、21bは殆ど成形されたピザ生地、21cは成形されたピザ生地、15a、15bは生地形成工程コンベア−、17はカッター、151はコンベアベルトにあけられたカッター歯が入る細長い穴、30はラック、31はホイロ、14は水撒布機、25は乗り移りコンベア−、16’はキャタピラー式トンネルオーブン、161はガス又は電熱ヒータ、162はガスバーナー、18はピザクラスト排出コンベア−である。
【0059】
このナポリスタイルのピザクラストの製造装置においては、アルミホイルロール11からアルミホイル2aが、送りローラ19によって順次送り出され、生地形成工程コンベア15a上を移動して、一旦カットされてホイロ31を経由し、さらに生地形成工程コンベア15b及び乗り移りコンベア25上を移動してキャタピラー式炉床運行トンネルオーブン16’内を通過し、ピザクラスト排出コンベア29へと移送される。このアルミホイル2a及び2bの移動経路に沿って、ピザ生地を所定の大きさに分割してピザ生地塊20をアルミホイル2a上に載置する生地分割機12、アルミホイル2a上に載置されたピザ生地塊20をアルミホイル2a上で圧延成形するプレス機13a、ホイロ31、プレス機13aおよび13b、成形されたピザ生地21cの中央部に水を撒布する水撒布機14、アルミホイル2b上の成形されたピザ生地21cを加熱するキャタピラー式炉床運行トンネルオーブン16’が順次配置されており、これにより本発明のナポリスタイル・ピザクラストの製造が行われるようになっている。
【0060】
このナポリスタイルのピザクラスト製造装置の動作を説明すれば、装置が動作を開始すると、生地形成工程コンベア15aならびに送りローラ19,19’,19”が回転を始め、アルミホイル2aがアルミホイルロール11から順次繰り出されて、移動を開始する。生地分割機12は、ピザ生地を所定量毎に分割し、その下方を移動するアルミホイル2a上に、所定のタイミングで生地塊20として載置する。
【0061】
アルミホイル2a上に載置された生地塊20は、一次プレス機13aによってゆるやかにプレスされ半形成される。続いて長尺のアルミホイル2aは、カッター14によって切断される。生地形成コンベア15aとそれとともに移動するアルミホイル2aの移動は間欠的な寸動であり、生地塊20の載置、プレス機13aの圧延及びアルミホイル2aの切断は、生地形成コンベア15aの停止時に行われる。
【0062】
所定の大きさに切断され、生地が載置されたアルミホイル2bをラック30に収納し、ラック30ごとホイロ31内を熟成時間、通過させる。ホイロにおける熟成条件は、相対湿度約70パーセント以上、雰囲気温度約33〜45℃で、約2〜15分間である。アルミホイル2bのラック30への収納は人力によって行われる。ホイロ31内のラックの移動は、人力、動力いずれによっても可能である。
【0063】
ラック30から再び生地形成コンベア15bに転置されたアルミホイル2bは、生地形成コンベア15b上を寸動で移動し、二次プレス機13bのメス型で殆ど所定の大きさに平らにされ、三次プレス機13cのオス型で縁部が中央部より熱く段差のある縁付きスタイルに成形される。
【0064】
続いて水撒布機14の下まで移動し必要な量の水を撒布する。なお、水撒布は、水の代わりにピザソースを塗布するようにしてもよい。この生地形成コンベア15bにおいても、回動は間欠的な寸動であり、二次プレス、三次プレス及び水撒布は停止時に行われる。ラック30から生地形成コンベア15bへのアルミホイル2bの乗り移りは、人力によって行われる。
【0065】
水を撒布された成形されたピザ生地21cは、アルミホイル2bに載置されたまま、乗り移りコンベア25を介してキャタピラー式炉床運行トンネルオーブン16’内に乗り移って通過し、オーブン内で所定の焼成度まで焼成される。オーブン内温度は、280〜350℃に維持されており、オーブン内を通過するのに要する期間は所定の焼成時間である1.5〜3分間に設定されている。バンド式オーブンにくらべ、キャタピラー式オーブンは、分厚い炉床板を用いることができるので、その分熱容量が大であり、生地乗り移りの前に、ガスバーナーで炉床を強熱し蓄熱しておくことが容易に可能で焼成上好ましい。炉床板の繋がりは非連続なのでピザ生地の乗り移りは、その炉床の一枚の縦幅がアルミホイルより大きい場合は、ホイロ以降の生地形成コンベア15b、乗り移りコンベア25及びキャタピラー式オーブン16’のキャタピラーの移動と停止のタイミングを同期させる必要がある。しかし、その縦幅が十分に小で炉床板と炉床板との間隙も少ない場合は、炉床の熱容量が大であるキャタピラー式の長所を失わずにバンド式の如く連続回動が可能で、乗り移りコンベアを含め寸動による前工程との同期の必要がなく好ましい。炉床板は、鉄その他の熱容量の大で安価で丈夫なものなら材質は何でもよい。オーブンがバンド式の場合は、乗り移りコンベア及びバンド・オーブンは、寸動の必要はない。
【0066】
プレス機13a、13b及び13cのプレススタンプは、空気吹き出し式の場合は、空気の吹き出し方法がどのような方法であってもよい。又、スタンプはテフロン被覆加工され、そして加熱温度が約70℃以下に設定され、且つ生地塊に油が塗布され、約1秒間加圧されるのが望ましい。プレス機13a,13b,13cには、油塗布を同時に行える装置が内蔵されている。スタンプの表面に微量の食用油が分泌され、生地の表面を圧延すると同時に生地表面の油塗布が行われる。先行する一部のプレスで油塗布が十分に行われれば後続のプレスでの油塗布を省略することは可能である。油塗布のタイミングはプレスの直前に専用装置で行ってもよい。油の量は生地の付着を防止する最小必要限度に止めるのが好ましく、微量で0.1gあれば十分である。
【0067】
以上の説明では、ピザ生地を加熱する手段は主としてキャタピラー式炉床運行式オーブンであるが、オーブンがバンド式の炉床運行式オーブンであってもよい。又ピザ生地を載置したアルミホイルがピザ生地とピザ生地との間でカットされてから、炉床運行式トンネルオーブンに搬入されるものであったが、アルミホイルがカットされずに、長尺のままオーブンに搬入されるものであってもよい。
〈実施例3〉
【0068】
実施例1で使用したのと同じ生地90gを、大きさ25×25cm、厚さ15μmの軟質アルミ箔の中央に置き、温度65℃に設定された空気吹き出し式の直径15cm、深さ5mmの円形メス型プレス・スタンプで緩やかに一次圧延を行った。このものはかなり収縮したが、これを40℃、相対湿度80パーセントに設定されたホイロで7分間熟成せしめた。次いで一次同様65℃に設定した直径17cm、深さ4mmの円形メス型空気吹き出し式のプレス・スタンプで二次圧延を行い、さらに同様に直径17cmの円形オス型プレス・スタンプで仕上げ圧延を行って直径17.5cmの円形縁付きクラストを形成した。このものは、生地の収縮が殆どなくよい型を保ったままであった。
【0069】
次いで、このクラスト生地表面に約4gの水を噴霧した後、温度約320℃に設定した炉床運行式のキャタピラー式オーブンの板上にアルミ箔ごと乗り移らせ、1分50秒間焼成した。得られたクラストは、実施例1及び実施例2で得られたものと同じく、縁部の盛り上がりだけでなく、中央部においても数多くの中小のドーム状の膨張が認められた。実施例1及び実施例2と同様に保存した後、アルミ箔を剥離し、別に用意した一辺1.5cm大のほぼ正方形の小穴を、3cm四方に1個の割合で開けたアルミ箔にクラストを移し、チーズと具材を載せ、縁部分は、アルミ箔を折り返して殆ど覆い、4分間オーブントースターで二次焼成した。それを食したところ、食感食味とも非常に良好であった。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、本発明のナポリスタイル・ピザクラストの製造方法によれば、ピザ生地の中央部に水分を含んだ液状物が存在する状態で、ピザ生地が熱伝導性の良いアルミホイル上で焼成されるので、ピザ生地を直接炉床に載せて焼成するのと同様の加熱条件を実現できるだけでなく、ピザ生地の成形をアルミホイル上で行う場合には、ピザ生地の分割、成形工程からオーブンへの乗り移りが成形されたピザ生地を変形させることなくスムースに行え、工業的大量生産が可能となると共に、縁部だけでなく中央部においても空洞と目の粗い気泡組織とからなる理想的なナポリスタイル・ピザクラストが得られるものである。
【0071】
このピザクラストは、必要に応じてピザソースを塗りトッピング材を載せて例えば家庭用のオーブントースター等で二次焼成するだけで、食感に優れたナポリスタイルのピザを製造することができるものである。また、本発明のナポリスタイル・ピザクラストは一次焼成によって十分に焼成が為されているので、喫食時の二次焼成に際しては、クラスト部分への火通りを心配することなく、ふんだんにトッピング材を載せることができる。また、たとえトッピング材の量が少なくて、クラスト自体の食感と味を主体に賞味する場合であっても、本発明のナポリスタイル・ピザクラストは、クラスト自体の食感と食味が良いので、十分に適応できる利点を併せ備えている。
【0072】
また、本発明の製造方法によって製造されたナポリスタイル・ピザクラストは、焼成時に使用したアルミホイルを裏面に付着させたまま保存することによって、焼成時の香りと風味を失わずに保持することが可能であり、かつ、付着させたアルミホイルは二次焼成の際にも、ピザクラストの縁部や裏面の焼成の進行を調節するために使用できるものである。
【0073】
更に、本発明のナポリスタイル・ピザクラストの製造装置によれば、必要な装置がピザ生地の移動経路に沿って配置されているので、理想的なナポリスタイル・ピザクラストを連続的に効率良く製造することができる。
【0074】
このように本発明は、従来はピザ専門店で熟練した技術者に依らなければ製造することが困難であったナポリスタイルのピザを、ピザ専門店以外の外食店や一般家庭においても容易に製造し、楽しむことを可能にするものであり、その当技術分野にもたらす影響には多大のものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のナポリスタイル・ピザクラストの焼成前の状態を示す断面図。
【図2】本発明のナポリスタイル・ピザクラストの焼成直後の状態を示す斜視図。
【図3】焼成された本発明のナポリスタイル・ピザクラストの冷却後の状態を示す断面図。
【図4】液状物量が過少の場合の焼成直後の状態を示す斜視図。
【図5】液状物量が過少の場合の冷却後の状態を示す断面図。
【図6】液状物量が過大の場合の焼成直後の状態を示す斜視図。
【図7】液状物量が過大の場合の冷却後の状態を示す断面図。
【図8】本発明のナポリスタイル・ピザクラストの製造装置の一例を示す図。
【図9】従来のナポリスタイル・ピザの一例を示す図。
【図10】本発明の第二の実施形態にかかるナポリスタイル・ピザクラストの製造装置の一例を示す図。
【符号の説明】
1 ピザ生地
2 アルミホイル
3 オーブンの炉床
4 水分を含んだ液状物
4’ 液状物の溜まり
5 小型ドーム
6 中型ドーム
7 空洞
8 目の粗い気泡組織
9 大型ドーム
10 密に詰まった組織
11 アルミホイルロール
12 生地分割機
13 プレス機
14 水撒布機
15 生地成形工程コンベア
16 炉床固定オーブン、
16’ キャタピラー式トンネルオーブン
17 カッター
18 ピザクラスト排出コンベア
19、19’19” 送りローラー
20 ピザ生地塊
21 成形されたピザ生地
22 ピザソース
23 トッピング材
25 乗り移りコンベア
30 ラック
31 ホイロ
161 ヒータ
162 ガスバーナ
A 中央部
B 縁部

Claims (4)

  1. 混捏し分割したピザ生地をアルミホイル上に載置し、縁部を中央部より厚く圧延成形したピザ生地の中央部上面に水および/またはピザソースを焼成後には液状物が残存しない程度に薄くほぼ均等に噴霧又は散布或いは塗布してから、ピザ窯で炉内温度280〜450℃、1〜3分間で焼成するナポリスタイル・ピザクラストの製造方法において、
    使用するアルミホイルの厚みが、オーブンの炉床が板状である場合は12〜15μmであり、オーブンの炉床がメッシュ状である場合には12〜20μmである
    ことを特徴とするナポリスタイル・ピザクラストの製造方法。
  2. ピザ生地を圧延成型する工程において、中間的な大きさと厚みまで圧延を行う一次圧延と、所定の大きさと厚みまでメス型スタンプで圧延する二次圧延と、一次圧延と二次圧延の間に、相対湿度70%以上かつ33〜45℃で2〜15分間の生地熟成・膨張工程を置く
    ことを特徴とする請求項1に記載のナポリスタイル・ピザクラストの製造方法。
  3. アルミホイルを所定の経路に沿って移動させる手段と、このアルミホイルの移動経路に沿って順次、所定の大きさに分割されたピザ生地をコンベアー上のアルミホイル上に載置する手段と、載置されたピザ生地をコンベアー上のアルミホイル上で圧延成形する手段と、アルミホイル上のピザ生地の中央部に水分を含んだ液状物を撒布または塗布する手段と、アルミホイル上のピザ生地を焼成する手段を備えたナポリスタイル・ピザクラスト製造装置であって、
    ピザ生地表面を圧延成形する手段が、中間的な大きさと厚みまで圧延を行う一次圧延手段と、所定の大きさと厚みまでメス型スタンプで圧延する二次圧延手段と、一次圧延手段と二次圧延手段の間に、相対温度70%以上かつ33〜45℃で生地を熟成・膨張させる生地熟成・膨張手段を含み、生地熟成・膨張を2〜15分間行う
    ことを特徴とするナポリスタイル・ピザクラスト製造装置。
  4. ピザ生地を圧延成型する手段の生地熟成・膨張手段が、長尺のアルミホイルが切断されていないまま水平移動するか、または所定の大きさに切断されるかまたは長尺のアルミホイルがホイロ直前で所定の大きさに切断されたものがラックに立体的に収納されてそのラックが水平移動するかまたはゴンドラ式に回転する
    ことを特徴とする請求項3に記載のナポリスタイル・ピザクラスト製造装置。
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