JP3652013B2 - 植物成長装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無公害な太陽エネルギーを最大限に利用して、植物の成長に必要なエネルギーの大部分又は全部を太陽光から得るようにした植物成長装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
農作物を含めた全ての植物が成長するためには、それぞれの種類に応じた適切な環境を必要とする。例えば、日照(強度、時間)、温度、湿度、大気成分、圧力、水分、肥料、通風等を適当な値に保持しなくてはならない。
【0003】
従来、人工的に制御した環境下で有用な植物の成長促進や増産を図るために、水耕栽培、ハウス栽培、温室栽培又は屋内栽培等が広く行われている。これらの栽培の多くには、植物の周囲温度を所望の値に保持するための空調装置が備えられ、この空調装置に莫大な量のエネルギーが消費されている。そのため、収穫した作物価格の上昇を招くばかりでなく、多量の化石燃料の燃焼に伴う弊害が生じてしまう。
【0004】
このため、上記弊害を多少なりとも回避するための手段として、使用する電力の一部を太陽電池を用いた太陽光発電システムで賄う試みが行われている。更に、この太陽電池単独の発電システムでは本質的に不安定であるので、これを補佐して安定した信頼性ある電源を構成するため、系統電力から独立した設備では鉛蓄電池を用いた充電システムを太陽電池と組合わせて用いることも広く行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例にあっては、太陽光発電に必然的に付随する低エネルギー密度、低エネルギー変換効率によって、既存の系統電力や化石燃料を代替できる割合が極端に少なく、このため、太陽光発電システムを設備するための初期費用が相対的に大きいにも拘らず、単位期間当りの償却割合が少ないのが現状であった。
【0006】
更に、鉛蓄電池は比較的安価で簡単なものである反面、
▲1▼ 各セル毎の性能のバラツキが大きい。
▲2▼ 併用中の充・放電状態のモニタリングが難しい。
▲3▼ 充電するための所要時間が長い。
▲4▼ 電極が劣化し易い。
等の欠点がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑み、太陽エネルギーの利用効率を最大限に高めて、より高効率で経済的な電源を得ることによって、農作物の低価格化を実現できるようにした植物栽培装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、農業用ハウスと、この農業用ハウスとは別に設置された太陽電池と、該太陽電池によって発電された電力を蓄電する溶液型2次電池とを備え、上記溶液型2次電池の外部電解液槽を上記ハウス内の植物栽培用の培地の内部に埋設したことを特徴とする植物成長装置である。
【0009】
このような構成においては、太陽電池により電気に変換された太陽エネルギーを、培地に覆われて保温されている溶液型2次電池の外部電解液槽の中に効率良く化学エネルギーとして貯蔵するので、電解液温度が維持されて溶液型2次電池の安定な動作を確保し、太陽エネルギーの有効利用を図ることができるとともに、必要に応じてこれを利用することで外部電源不要の独立システムの構築が容易となり、農作物の低コスト化に寄与する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、上記太陽電池と溶液型2次電池が一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の植物成長装置であり、太陽電池で発電された電気的エネルギーの他に、溶液型2次電池の電解液に顕熱として蓄えられた熱エネルギーをも外部電解槽に蓄えることができ、さらなる効率向上が期待できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記溶液型2次電池として、レドックス・フロー電池を用いたことを特徴とする請求項1に記載の植物成長装置である。
請求項4に記載の発明は、上記溶液型2次電池の内部において、電解液を熱対流によって流動させることを特徴とする請求項1に記載の植物成長装置であるので、これにより、溶液型2次電池の動作がさらに安定して一層の効率向上が図られる。熱対流を起こす方法としては、内部にヒータを設ける該溶液型2次電池内部に上下の環流管を設ける等がある。
【0012】
請求項5に記載の発明は、上記外部電解液槽に、上記太陽電池及び/又は溶液型2次電池の電力により電解液を加熱するヒータが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の植物成長装置であるので、余剰の電力を条件に応じて熱エネルギーに変換して蓄え、あるいは用いてさらなる効率向上を図ることができる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、さらに、上記農業用ハウス内部の環境条件を検知するセンサの検出値に基づいて該環境条件を制御する制御装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の植物成長装置である。これにより、農業用ハウスの環境条件を自動的に植物成長に適したものに変換し、成長を促進させつつ省力化を図ることができる。
【0014】
請求項7に記載の発明は、上記制御装置は、太陽電池で発電される余剰の電力を熱エネルギー又は電気化学的エネルギーのいずれの形態で蓄えるかを判断する機能を有していることを特徴とする請求項6に記載の植物成長装置であるので、その時の気象条件や蓄電量等の種々の条件を自動的に判断して最も効率的なエネルギー保存形態が選択される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一つの実施の形態を図面を参照して説明する。この実施の形態は、ハウス栽培に適用して、ハウスの作動に必要なエネルギーの殆どを太陽光から得るようにした例を示すものである。
【0016】
この農業ハウス1は、断熱性を有する側壁2、透光性を有する屋根3及び床板4によって周囲を包囲された断熱性を高めた構造となっており、これによって、地面や外気との接触熱伝導や対流による熱の移動を極限まで抑制している。
【0017】
農業ハウス1内には、必要量の培地5が導入され、この培地5内に電気抵抗発熱体(ヒータ)6を内部に封入した外部電解液槽7が埋設されている。これによって培地5が断熱材の役目をして外部電解液槽7を保温している。
【0018】
更に、農業ハウス1の室内には、植物栽培に必要な空調、保温、換気、散水、照明等のための機器が設けられている。すなわち、空調ポンプ10及び空調吹出し口11を備えた暖房、送風及び加・除湿のための空調ユニット12、ドレン水ポンプ13及び浄化装置14が設けられ、培地5の下部に設置したドレン水溜め15に蓄えられたドレン水を噴出するスプリンクラ16及び照明器具17が設けられている。また、室内及び外部電解液槽7内には、温度モニタ20,21が、室内及び培地5内には、湿り度モニタ22,23がそれぞれ配置されている。
【0019】
一方、農業ハウス1の室外には、捕集したエネルギー(熱及び電気)を空調、換気、散水、照明等のために用いる太陽電池アレイ30が、真南に向けて傾斜角60°で設置されている。この太陽電池アレイ30の裏面側には、太陽電池30による発電システムを補佐して安定した信頼性ある電源を構成する溶液型2次電池としてのレドックス・フロー電池31が該太陽電池30と一体に備えられている。この体型構造は、出願人が先に平成7年特許願第349251号として出願している。
【0020】
このレドックス・フロー電池31は、互いに対峙して配置された正負の電極板を備え、内部に取り入れた電解液の酸化還元反応により充・放電を行うようにしたものであり、この電解液32が液循環ポンプ33を介して外部電解液槽7内に導入されるように構成されている。
【0021】
そして、温度モニタ20,21及び湿り度モニタ22,23からの信号に基づいて太陽電池アレイ30及びレドックス・フロー電池31を制御する主制御器34が備えられている。
【0022】
このような電源構成により、太陽電池30が受けた熱及び発生した電力をその都度必要な空調、換気、散水、照明等のために使用して、植物ハウス1内の植物栽培に必要なエネルギー源の大半を太陽熱及び太陽電池30が発電した電力で賄うことができる。なお、エネルギーの余剰分はレドックス・フロー電池31の電解液32に化学(電気的)エネルギー及び熱エネルギーの形態で保存しておいて、受熱又は発電機能低下時(夜間、曇天、荒天時等)への備えとしている。
【0023】
化学エネルギーとして蓄えるのは、太陽電池からの電力を、レドックス・フロー電池31本来の電解液32の化学変化によって化学エネルギーの形で蓄えるものである。一方、熱エネルギーとして保存するには、
▲1▼ 外界の太陽熱で加熱昇温された電解液32を循環ポンプ33を介して外部電解液槽7内に導入する。
▲2▼ 太陽光発電によって発生した電力で電気抵抗発熱体6に通電し、発熱させて電解液32を昇温させる。
等がある。これにより、エネルギーをいずれの形態で保存するかは、周囲の気候条件等に基づいて最もエネルギー損失が少なくなるように選択する。
【0024】
例えば、レドックス・フロー電池31に用いられる電解液32は、高温に保持した方が蓄電装置としての作動効率が良いが、あまり高温に維持すると外部へ逃げる熱量が増えて効率が低下する。例えば、外部電解液槽7内の設定温度を常時50℃程度以上に保つように制御するのが最も効率的であろう。
【0025】
ここでは、太陽電池とレドックス・フロー電池を構造上一体に組み合わせたタイプのものを示しているが、これに限ることなく、太陽電池とレドックス・フロー電池とをそれぞれ独立のタイプとして、両者を電気的に接続したものでも良いことは勿論である。
【0026】
このように、太陽電池による発電装置を補佐するために、従来の鉛蓄電池に替えてレドックス・フロー電池31を採用することによって、
▲1▼ 各セル間で性能のバラツキが非常に少ない充電システムが実現できるので、高効率で経済的な充電型の形成が可能である。
▲2▼ 併用中の充・放電状態、深度の随時簡便モニタが可能なので、緊急事態の回避が容易である。
▲3▼ 電極材料の劣化が起きないので、保守費用の低減が可能である。
▲4▼ 電解液の更新による緊急充電が可能なので、非常時の対応が容易である。という利点を持ったシステムを構成することができる。
【0027】
上記のように、植物栽培装置としての断熱性を高め、太陽からのエネルギーを必要に応じて使用又は貯蔵することによって、無公害エネルギーの利用効率を極限まで高めることができ、かつ従来の系統電力や化石燃料の大量消費を抑制することができるので、植物栽培のための経常経費を大幅に低減することができる。
【0028】
次に、図2を参照して、農業ハウス1内の電気系統を説明する。同図に示すように、太陽からのエネルギーのうち、太陽電池30によって電力の形で取り出された部分は、主制御器34の制御によって、発熱体6、空調ポンプ10、空調ユニット12、照明器具17、液循環ポンプ33及び散水系(ドレン水ポンプ13、浄化装置14及びスプリンクラ16)35に供給されて、農業ハウス1内の環境維持に使われる。
【0029】
そして、余剰部分は、レドックス・フロー電池31を充電することによって蓄電貯蔵される。また、太陽エネルギーのうち、熱エネルギーは、昇温された電解液32を循環ポンプ33を介して外部電解液槽7内に導入することにより保存される。太陽光発電によって発生した電力にさらに余剰がある場合は、この電力で電気抵抗発熱体6に通電し、発熱させて電解液32を昇温させる。
【0030】
このようにしてレドックス・フロー電池31に保存したエネルギーは、主制御器34により、夜間や曇天、雨天、荒天時等、発電量不足の場合に必要量だけ放出される。これによって、農業ハウス1では、室内の大気及び培地5の温度、湿度、湿り状態を常時監視しつつ、これらが適正な値の範囲に収まるように種々の装置、機器が運転制御される。
【0031】
図3は、農業ハウス1のための送風、送液に関わる管路系統の概念図を示す。前述のように、太陽からの熱エネルギーは、レドックス・フロー電池31の電解液32の温度上昇及び化学変化の形で吸収しつつ、液循環ポンプ33の駆動に伴って外部電解液槽7に保存される。この場合、電解液32の温度が通常50℃程度以上となるように必要な温度制御を行っている。レドックス・フロー電池31の蓄電性能は、常温のときよりも50℃以上の時の方が良くなるので、前述のように電解液を高温に保持するのは、高効率に蓄電(充・放電を含む)を行うためにも都合がよい。
【0032】
そこで、外部電解液槽7内に蓄えられた高温の電解液32を熱源として、空調ポンプ33の駆動に伴って空調ユニット12内を流れる水を高温の電解液32で加熱し、この加熱された水で室内に導入される空気の温度を調節するようにしている。
【0033】
一方、ドレン水溜め15に溜められたドレン水は、ドレン水ポンプ13の駆動に伴って浄化装置14で浄化された後、スプリンクラ16から噴出され、培地5を通過した後、再びドレン水溜め15に溜められる。
【0034】
なお、循環ポンプを使用することなく、他の手段で電解液の撹拌、流動、揺動及び/又は循環を行うことができるときは、これらの手段を用いても良い。例えば、機器を適当に配置することによって、熱対流(温度差の利用)で循環ポンプを代替できる場合には、循環ポンプの使用を省略できる。
【0035】
また、これらの配管系の運転に必要なエネルギーは、全て太陽光から得ている。なお、照明や散水等のような空調(主として保温)以外に要するエネルギーは、空調に要するそれに比べて1/10〜1/30以下と小さいので、ここでは無視している。
【0036】
次に、上記実施の形態を実際の栽培に用いたときのエネルギー収支について、例を挙げて説明する。この例では、農業ハウス1の床面積は454m2 で、太陽電池30で発電した電力の一部は、そのまま農業ハウス1内の主制御器34を通って培地5に設置した外部電解液槽7内のヒータ6を発熱させることに用いられる。
【0037】
これによって発生した熱は熱媒体(レドックス・フロー電池の電解液32)に伝えられ、更にこれを農業ハウス1内の空調ポンプ10で空調ユニット12に送って室温の保持を行っている。そして、余剰の電力を太陽電池30と組み合わせたレドックス・フロー電池31を充電(電解液32の化学反応)することによって保存しておき、曇天、荒天時や夜間等の非日照時、又は太陽電池作動不良の場合等に、必要に応じて放電するようにしている。
【0038】
また、日射によって、太陽電池アレイ30の温度も上昇するが、これは、この太陽電池30と一体に接触させて設けたレドックス・フロー電池31の電解液32による冷却作用で必要な温度に保持される。逆に、レドックス・フロー電池31の電解液温度が相当分だけ上昇することによって、熱エネルギーの蓄積保存が行われる。
【0039】
1.野菜栽培
前述の農業ハウス1を用いて10〜2月の秋冬期に長ねぎとほうれん草を栽培する。
太陽電池アレイ30の面積を100m2 (セル変換効率10%とすると10kWpに相当)とする。この場合、厳寒期で日射のない場合でも室温を常時5℃以上に保つことができ、日中は18℃となって、更に日射があればそれ以上となっている。また、地中温度を15〜20℃以上に保持している。
【0040】
表1のように諸元をとると、1ヶ月当りの発電量は、
1kW/m2×5%×100m2×4h/day×30day=600kWh
となって最大必要熱量とされる518.9kWhを充分超えている。
表1 農業ハウスの諸元(野菜用) *概算値
─────────────────
総合エネルギ効率* 5%
─────────────────
太陽定数* 1kW/m2
─────────────────
平均日照時間 * 4h/day
─────────────────
太陽電池発電面積 100m2
─────────────────
【0041】
2.果実栽培
前述の農業ハウス1を用いて12〜5月の冬〜春期にぶどうを栽培する。
太陽電池アレイ30の面積を1500m2 (セル変換効率10%とすると150kWpに相当)とする。この場合、厳寒期で日射のない場合でも室温を常時10℃以上に保つことができ、日中は20℃以上となっており、更に日射があればそれ以上となる。また、地中温度を20〜25℃以上に保持している。
【0042】
表2のように諸元をとると、1ヶ月当りの発電量は、
1kW/m2×5%×1500m2×4h/day×30day=9000kWh
なので、6ヶ月では、
6×9000kWh=5万4千kWh
となる。
【0043】
表2 農業ハウスの諸元(果実用) *概算値
─────────────────
総合エネルギ効率* 5%
─────────────────
太陽定数* 1kW/m2
─────────────────
平均日照時間* 4h/day
─────────────────
太陽電池発電面積 1500m2
─────────────────
【0044】
6ヶ月間で通常必要な熱量は5万kWhと考えられ、現在は全てこれを灯油の燃焼によって賄っているが、本発明の栽培方式を使い、農業ハウスの床面積の3倍程度の太陽電池を設置すれば、灯油を全く消費しなくても必要なエネルギーを得ることができる。
【0045】
以上述べたように、本発明のように太陽電池とレドックス・フロー電池を組み合わせることによって、化石燃料を用いなくても実用的な季節外植物栽培が可能になる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、太陽電池により電気に変換された太陽エネルギーを、培地に覆われて保温されている溶液型2次電池の外部電解液槽の中に効率良く化学エネルギーとして貯蔵するので、電解液温度が維持されて溶液型2次電池の安定な動作を確保し、太陽エネルギーの有効利用を図ることができるとともに、必要に応じてこれを利用することで外部電源不要の独立システムの構築が容易となり、農作物の低コスト化に寄与する。
【0047】
また、太陽電池と溶液型2次電池を一体に形成することにより、太陽電池で発電された電気的エネルギーの他に、溶液型2次電池の電解液に顕熱として蓄えられた熱エネルギーをも外部電解槽に蓄えることができ、さらなる効率向上が期待できる。これによって、無公害エネルギーの利用効率を最大限に高めて、従来の系統電力や化石燃料の大量消費を抑制し、植物栽培のための経常経費を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態を示す概要図である。
【図2】同じく、電気系統の流れ図である。
【図3】同じく、管路系の概念図である。
【符号の説明】
1 農業ハウス
5 培地
6 発熱体
7 外部電解液槽
12 空調ユニット
16 スプリンクラ
17 照明器具
30 太陽電池
31 レドックス・フロー電池(溶液型2次電池)
32 電解液
34 主制御器
【発明の属する技術分野】
本発明は、無公害な太陽エネルギーを最大限に利用して、植物の成長に必要なエネルギーの大部分又は全部を太陽光から得るようにした植物成長装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
農作物を含めた全ての植物が成長するためには、それぞれの種類に応じた適切な環境を必要とする。例えば、日照(強度、時間)、温度、湿度、大気成分、圧力、水分、肥料、通風等を適当な値に保持しなくてはならない。
【0003】
従来、人工的に制御した環境下で有用な植物の成長促進や増産を図るために、水耕栽培、ハウス栽培、温室栽培又は屋内栽培等が広く行われている。これらの栽培の多くには、植物の周囲温度を所望の値に保持するための空調装置が備えられ、この空調装置に莫大な量のエネルギーが消費されている。そのため、収穫した作物価格の上昇を招くばかりでなく、多量の化石燃料の燃焼に伴う弊害が生じてしまう。
【0004】
このため、上記弊害を多少なりとも回避するための手段として、使用する電力の一部を太陽電池を用いた太陽光発電システムで賄う試みが行われている。更に、この太陽電池単独の発電システムでは本質的に不安定であるので、これを補佐して安定した信頼性ある電源を構成するため、系統電力から独立した設備では鉛蓄電池を用いた充電システムを太陽電池と組合わせて用いることも広く行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例にあっては、太陽光発電に必然的に付随する低エネルギー密度、低エネルギー変換効率によって、既存の系統電力や化石燃料を代替できる割合が極端に少なく、このため、太陽光発電システムを設備するための初期費用が相対的に大きいにも拘らず、単位期間当りの償却割合が少ないのが現状であった。
【0006】
更に、鉛蓄電池は比較的安価で簡単なものである反面、
▲1▼ 各セル毎の性能のバラツキが大きい。
▲2▼ 併用中の充・放電状態のモニタリングが難しい。
▲3▼ 充電するための所要時間が長い。
▲4▼ 電極が劣化し易い。
等の欠点がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑み、太陽エネルギーの利用効率を最大限に高めて、より高効率で経済的な電源を得ることによって、農作物の低価格化を実現できるようにした植物栽培装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、農業用ハウスと、この農業用ハウスとは別に設置された太陽電池と、該太陽電池によって発電された電力を蓄電する溶液型2次電池とを備え、上記溶液型2次電池の外部電解液槽を上記ハウス内の植物栽培用の培地の内部に埋設したことを特徴とする植物成長装置である。
【0009】
このような構成においては、太陽電池により電気に変換された太陽エネルギーを、培地に覆われて保温されている溶液型2次電池の外部電解液槽の中に効率良く化学エネルギーとして貯蔵するので、電解液温度が維持されて溶液型2次電池の安定な動作を確保し、太陽エネルギーの有効利用を図ることができるとともに、必要に応じてこれを利用することで外部電源不要の独立システムの構築が容易となり、農作物の低コスト化に寄与する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、上記太陽電池と溶液型2次電池が一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の植物成長装置であり、太陽電池で発電された電気的エネルギーの他に、溶液型2次電池の電解液に顕熱として蓄えられた熱エネルギーをも外部電解槽に蓄えることができ、さらなる効率向上が期待できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記溶液型2次電池として、レドックス・フロー電池を用いたことを特徴とする請求項1に記載の植物成長装置である。
請求項4に記載の発明は、上記溶液型2次電池の内部において、電解液を熱対流によって流動させることを特徴とする請求項1に記載の植物成長装置であるので、これにより、溶液型2次電池の動作がさらに安定して一層の効率向上が図られる。熱対流を起こす方法としては、内部にヒータを設ける該溶液型2次電池内部に上下の環流管を設ける等がある。
【0012】
請求項5に記載の発明は、上記外部電解液槽に、上記太陽電池及び/又は溶液型2次電池の電力により電解液を加熱するヒータが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の植物成長装置であるので、余剰の電力を条件に応じて熱エネルギーに変換して蓄え、あるいは用いてさらなる効率向上を図ることができる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、さらに、上記農業用ハウス内部の環境条件を検知するセンサの検出値に基づいて該環境条件を制御する制御装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の植物成長装置である。これにより、農業用ハウスの環境条件を自動的に植物成長に適したものに変換し、成長を促進させつつ省力化を図ることができる。
【0014】
請求項7に記載の発明は、上記制御装置は、太陽電池で発電される余剰の電力を熱エネルギー又は電気化学的エネルギーのいずれの形態で蓄えるかを判断する機能を有していることを特徴とする請求項6に記載の植物成長装置であるので、その時の気象条件や蓄電量等の種々の条件を自動的に判断して最も効率的なエネルギー保存形態が選択される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一つの実施の形態を図面を参照して説明する。この実施の形態は、ハウス栽培に適用して、ハウスの作動に必要なエネルギーの殆どを太陽光から得るようにした例を示すものである。
【0016】
この農業ハウス1は、断熱性を有する側壁2、透光性を有する屋根3及び床板4によって周囲を包囲された断熱性を高めた構造となっており、これによって、地面や外気との接触熱伝導や対流による熱の移動を極限まで抑制している。
【0017】
農業ハウス1内には、必要量の培地5が導入され、この培地5内に電気抵抗発熱体(ヒータ)6を内部に封入した外部電解液槽7が埋設されている。これによって培地5が断熱材の役目をして外部電解液槽7を保温している。
【0018】
更に、農業ハウス1の室内には、植物栽培に必要な空調、保温、換気、散水、照明等のための機器が設けられている。すなわち、空調ポンプ10及び空調吹出し口11を備えた暖房、送風及び加・除湿のための空調ユニット12、ドレン水ポンプ13及び浄化装置14が設けられ、培地5の下部に設置したドレン水溜め15に蓄えられたドレン水を噴出するスプリンクラ16及び照明器具17が設けられている。また、室内及び外部電解液槽7内には、温度モニタ20,21が、室内及び培地5内には、湿り度モニタ22,23がそれぞれ配置されている。
【0019】
一方、農業ハウス1の室外には、捕集したエネルギー(熱及び電気)を空調、換気、散水、照明等のために用いる太陽電池アレイ30が、真南に向けて傾斜角60°で設置されている。この太陽電池アレイ30の裏面側には、太陽電池30による発電システムを補佐して安定した信頼性ある電源を構成する溶液型2次電池としてのレドックス・フロー電池31が該太陽電池30と一体に備えられている。この体型構造は、出願人が先に平成7年特許願第349251号として出願している。
【0020】
このレドックス・フロー電池31は、互いに対峙して配置された正負の電極板を備え、内部に取り入れた電解液の酸化還元反応により充・放電を行うようにしたものであり、この電解液32が液循環ポンプ33を介して外部電解液槽7内に導入されるように構成されている。
【0021】
そして、温度モニタ20,21及び湿り度モニタ22,23からの信号に基づいて太陽電池アレイ30及びレドックス・フロー電池31を制御する主制御器34が備えられている。
【0022】
このような電源構成により、太陽電池30が受けた熱及び発生した電力をその都度必要な空調、換気、散水、照明等のために使用して、植物ハウス1内の植物栽培に必要なエネルギー源の大半を太陽熱及び太陽電池30が発電した電力で賄うことができる。なお、エネルギーの余剰分はレドックス・フロー電池31の電解液32に化学(電気的)エネルギー及び熱エネルギーの形態で保存しておいて、受熱又は発電機能低下時(夜間、曇天、荒天時等)への備えとしている。
【0023】
化学エネルギーとして蓄えるのは、太陽電池からの電力を、レドックス・フロー電池31本来の電解液32の化学変化によって化学エネルギーの形で蓄えるものである。一方、熱エネルギーとして保存するには、
▲1▼ 外界の太陽熱で加熱昇温された電解液32を循環ポンプ33を介して外部電解液槽7内に導入する。
▲2▼ 太陽光発電によって発生した電力で電気抵抗発熱体6に通電し、発熱させて電解液32を昇温させる。
等がある。これにより、エネルギーをいずれの形態で保存するかは、周囲の気候条件等に基づいて最もエネルギー損失が少なくなるように選択する。
【0024】
例えば、レドックス・フロー電池31に用いられる電解液32は、高温に保持した方が蓄電装置としての作動効率が良いが、あまり高温に維持すると外部へ逃げる熱量が増えて効率が低下する。例えば、外部電解液槽7内の設定温度を常時50℃程度以上に保つように制御するのが最も効率的であろう。
【0025】
ここでは、太陽電池とレドックス・フロー電池を構造上一体に組み合わせたタイプのものを示しているが、これに限ることなく、太陽電池とレドックス・フロー電池とをそれぞれ独立のタイプとして、両者を電気的に接続したものでも良いことは勿論である。
【0026】
このように、太陽電池による発電装置を補佐するために、従来の鉛蓄電池に替えてレドックス・フロー電池31を採用することによって、
▲1▼ 各セル間で性能のバラツキが非常に少ない充電システムが実現できるので、高効率で経済的な充電型の形成が可能である。
▲2▼ 併用中の充・放電状態、深度の随時簡便モニタが可能なので、緊急事態の回避が容易である。
▲3▼ 電極材料の劣化が起きないので、保守費用の低減が可能である。
▲4▼ 電解液の更新による緊急充電が可能なので、非常時の対応が容易である。という利点を持ったシステムを構成することができる。
【0027】
上記のように、植物栽培装置としての断熱性を高め、太陽からのエネルギーを必要に応じて使用又は貯蔵することによって、無公害エネルギーの利用効率を極限まで高めることができ、かつ従来の系統電力や化石燃料の大量消費を抑制することができるので、植物栽培のための経常経費を大幅に低減することができる。
【0028】
次に、図2を参照して、農業ハウス1内の電気系統を説明する。同図に示すように、太陽からのエネルギーのうち、太陽電池30によって電力の形で取り出された部分は、主制御器34の制御によって、発熱体6、空調ポンプ10、空調ユニット12、照明器具17、液循環ポンプ33及び散水系(ドレン水ポンプ13、浄化装置14及びスプリンクラ16)35に供給されて、農業ハウス1内の環境維持に使われる。
【0029】
そして、余剰部分は、レドックス・フロー電池31を充電することによって蓄電貯蔵される。また、太陽エネルギーのうち、熱エネルギーは、昇温された電解液32を循環ポンプ33を介して外部電解液槽7内に導入することにより保存される。太陽光発電によって発生した電力にさらに余剰がある場合は、この電力で電気抵抗発熱体6に通電し、発熱させて電解液32を昇温させる。
【0030】
このようにしてレドックス・フロー電池31に保存したエネルギーは、主制御器34により、夜間や曇天、雨天、荒天時等、発電量不足の場合に必要量だけ放出される。これによって、農業ハウス1では、室内の大気及び培地5の温度、湿度、湿り状態を常時監視しつつ、これらが適正な値の範囲に収まるように種々の装置、機器が運転制御される。
【0031】
図3は、農業ハウス1のための送風、送液に関わる管路系統の概念図を示す。前述のように、太陽からの熱エネルギーは、レドックス・フロー電池31の電解液32の温度上昇及び化学変化の形で吸収しつつ、液循環ポンプ33の駆動に伴って外部電解液槽7に保存される。この場合、電解液32の温度が通常50℃程度以上となるように必要な温度制御を行っている。レドックス・フロー電池31の蓄電性能は、常温のときよりも50℃以上の時の方が良くなるので、前述のように電解液を高温に保持するのは、高効率に蓄電(充・放電を含む)を行うためにも都合がよい。
【0032】
そこで、外部電解液槽7内に蓄えられた高温の電解液32を熱源として、空調ポンプ33の駆動に伴って空調ユニット12内を流れる水を高温の電解液32で加熱し、この加熱された水で室内に導入される空気の温度を調節するようにしている。
【0033】
一方、ドレン水溜め15に溜められたドレン水は、ドレン水ポンプ13の駆動に伴って浄化装置14で浄化された後、スプリンクラ16から噴出され、培地5を通過した後、再びドレン水溜め15に溜められる。
【0034】
なお、循環ポンプを使用することなく、他の手段で電解液の撹拌、流動、揺動及び/又は循環を行うことができるときは、これらの手段を用いても良い。例えば、機器を適当に配置することによって、熱対流(温度差の利用)で循環ポンプを代替できる場合には、循環ポンプの使用を省略できる。
【0035】
また、これらの配管系の運転に必要なエネルギーは、全て太陽光から得ている。なお、照明や散水等のような空調(主として保温)以外に要するエネルギーは、空調に要するそれに比べて1/10〜1/30以下と小さいので、ここでは無視している。
【0036】
次に、上記実施の形態を実際の栽培に用いたときのエネルギー収支について、例を挙げて説明する。この例では、農業ハウス1の床面積は454m2 で、太陽電池30で発電した電力の一部は、そのまま農業ハウス1内の主制御器34を通って培地5に設置した外部電解液槽7内のヒータ6を発熱させることに用いられる。
【0037】
これによって発生した熱は熱媒体(レドックス・フロー電池の電解液32)に伝えられ、更にこれを農業ハウス1内の空調ポンプ10で空調ユニット12に送って室温の保持を行っている。そして、余剰の電力を太陽電池30と組み合わせたレドックス・フロー電池31を充電(電解液32の化学反応)することによって保存しておき、曇天、荒天時や夜間等の非日照時、又は太陽電池作動不良の場合等に、必要に応じて放電するようにしている。
【0038】
また、日射によって、太陽電池アレイ30の温度も上昇するが、これは、この太陽電池30と一体に接触させて設けたレドックス・フロー電池31の電解液32による冷却作用で必要な温度に保持される。逆に、レドックス・フロー電池31の電解液温度が相当分だけ上昇することによって、熱エネルギーの蓄積保存が行われる。
【0039】
1.野菜栽培
前述の農業ハウス1を用いて10〜2月の秋冬期に長ねぎとほうれん草を栽培する。
太陽電池アレイ30の面積を100m2 (セル変換効率10%とすると10kWpに相当)とする。この場合、厳寒期で日射のない場合でも室温を常時5℃以上に保つことができ、日中は18℃となって、更に日射があればそれ以上となっている。また、地中温度を15〜20℃以上に保持している。
【0040】
表1のように諸元をとると、1ヶ月当りの発電量は、
1kW/m2×5%×100m2×4h/day×30day=600kWh
となって最大必要熱量とされる518.9kWhを充分超えている。
表1 農業ハウスの諸元(野菜用) *概算値
─────────────────
総合エネルギ効率* 5%
─────────────────
太陽定数* 1kW/m2
─────────────────
平均日照時間 * 4h/day
─────────────────
太陽電池発電面積 100m2
─────────────────
【0041】
2.果実栽培
前述の農業ハウス1を用いて12〜5月の冬〜春期にぶどうを栽培する。
太陽電池アレイ30の面積を1500m2 (セル変換効率10%とすると150kWpに相当)とする。この場合、厳寒期で日射のない場合でも室温を常時10℃以上に保つことができ、日中は20℃以上となっており、更に日射があればそれ以上となる。また、地中温度を20〜25℃以上に保持している。
【0042】
表2のように諸元をとると、1ヶ月当りの発電量は、
1kW/m2×5%×1500m2×4h/day×30day=9000kWh
なので、6ヶ月では、
6×9000kWh=5万4千kWh
となる。
【0043】
表2 農業ハウスの諸元(果実用) *概算値
─────────────────
総合エネルギ効率* 5%
─────────────────
太陽定数* 1kW/m2
─────────────────
平均日照時間* 4h/day
─────────────────
太陽電池発電面積 1500m2
─────────────────
【0044】
6ヶ月間で通常必要な熱量は5万kWhと考えられ、現在は全てこれを灯油の燃焼によって賄っているが、本発明の栽培方式を使い、農業ハウスの床面積の3倍程度の太陽電池を設置すれば、灯油を全く消費しなくても必要なエネルギーを得ることができる。
【0045】
以上述べたように、本発明のように太陽電池とレドックス・フロー電池を組み合わせることによって、化石燃料を用いなくても実用的な季節外植物栽培が可能になる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、太陽電池により電気に変換された太陽エネルギーを、培地に覆われて保温されている溶液型2次電池の外部電解液槽の中に効率良く化学エネルギーとして貯蔵するので、電解液温度が維持されて溶液型2次電池の安定な動作を確保し、太陽エネルギーの有効利用を図ることができるとともに、必要に応じてこれを利用することで外部電源不要の独立システムの構築が容易となり、農作物の低コスト化に寄与する。
【0047】
また、太陽電池と溶液型2次電池を一体に形成することにより、太陽電池で発電された電気的エネルギーの他に、溶液型2次電池の電解液に顕熱として蓄えられた熱エネルギーをも外部電解槽に蓄えることができ、さらなる効率向上が期待できる。これによって、無公害エネルギーの利用効率を最大限に高めて、従来の系統電力や化石燃料の大量消費を抑制し、植物栽培のための経常経費を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態を示す概要図である。
【図2】同じく、電気系統の流れ図である。
【図3】同じく、管路系の概念図である。
【符号の説明】
1 農業ハウス
5 培地
6 発熱体
7 外部電解液槽
12 空調ユニット
16 スプリンクラ
17 照明器具
30 太陽電池
31 レドックス・フロー電池(溶液型2次電池)
32 電解液
34 主制御器
Claims (7)
- 農業用ハウスと、この農業用ハウスとは別に設置された太陽電池と、該太陽電池によって発電された電力を蓄電する溶液型2次電池とを備え、
上記溶液型2次電池の外部電解液槽を上記ハウス内の植物栽培用の培地の内部に埋設したことを特徴とする植物成長装置。 - 上記太陽電池と溶液型2次電池が一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の植物成長装置。
- 前記溶液型2次電池として、レドックス・フロー電池を用いたことを特徴とする請求項1に記載の植物成長装置。
- 上記溶液型2次電池の内部において、電解液を熱対流によって流動させることを特徴とする請求項1に記載の植物成長装置。
- 上記外部電解液槽には、上記太陽電池及び/又は溶液型2次電池の電力により電解液を加熱するヒータが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の植物成長装置。
- さらに、上記農業用ハウス内部の環境条件を検知するセンサの検出値に基づいて該環境条件を制御する制御装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の植物成長装置。
- 上記制御装置は、太陽電池で発電される余剰の電力を熱エネルギー又は電気化学的エネルギーのいずれの形態で蓄えるかを判断する機能を有していることを特徴とする請求項6に記載の植物成長装置。
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