JP3651939B2 - 不凍液組成物 - Google Patents
不凍液組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3651939B2 JP3651939B2 JP27549794A JP27549794A JP3651939B2 JP 3651939 B2 JP3651939 B2 JP 3651939B2 JP 27549794 A JP27549794 A JP 27549794A JP 27549794 A JP27549794 A JP 27549794A JP 3651939 B2 JP3651939 B2 JP 3651939B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- antifreeze composition
- acid
- alkali metal
- weight
- antifreeze
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車などの内燃機関に使用される不凍液組成物に関するものであり、特に内燃機関に用いらているアルミニウム合金鋳物の伝熱面腐食に対し優れた腐食防止効果を有する不凍液組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車のエンジンのような内燃機関において、冬季の凍結を防止する目的のために、その冷却液として、エチレングリコール等、凝固点降下作用のあるグリコール類やアルコール類を含む不凍液組成物が使用されている。
【0003】
さらに、内燃機関の冷却系には、アルミニウム合金、鋳鉄、鋼、黄銅、はんだ、銅等の種々の金属が使用されているが、それらを腐食から保護する目的で、リン酸塩、トリエタノールアミン塩、ホウ酸、安息香酸塩等が適宜選定され、組み合わされて不凍液組成物に使用されている。
【0004】
また、省資源、省エネルギーなどの目的から、より以上の自動車の燃費の向上が求められるようになり、軽量のアルミニウムがエンジンに多用されるようになった。
【0005】
従来、アルミニウム製エンジンに適した不凍液として、トリエタノールアミン・リン酸塩等を腐食抑制剤として用いる英国の不凍液規格BS3150を基に、種々の改良が不凍液組成物に施され、使用されている。この英国規格BS3150は、その規格のはしがきに記述されているように、主にアルミニウムのような軽金属で構成された航空機のピストンエンジン用不凍液組成物として開発され、アルミニウムエンジンに適した不凍液組成物である。これを基に改良された不凍液組成物は、エンジンの高出力化に伴うアルミニウム部品の表面温度の著しい上昇による伝熱面腐食に対しても優れた腐食抑制性能を有している。
【0006】
しかし、これら不凍液組成物に含まれるアミン類は、亜硝酸塩の存在下で発癌性を有するニトロソアミンを生成するという問題点がある。また、リン酸塩は、海水や湖沼、河川水に流入したとき、富栄養化をもたらし、生息している生物に悪影響をおよぼすことが指摘されている。ホウ酸塩は、アルミニウム合金を腐食するという問題点があり(特公昭49-5519号を参照)、アルミニウム合金が多用されている最近の内燃機関に対して好ましくない。
【0007】
上記問題点に鑑み、従来、アミン、硝酸塩、亜硝酸塩、クロム酸塩、ホウ酸塩およびリン酸塩を含有しない、アルミニウムに対して優れた保護性能を有する不凍液組成物が開発された(米国特許第4588513号)。また、リン酸塩、アミン塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩および亜硝酸塩を含有しない、冷却系の金属の腐食防止性能に優れ、硬度の高い硬水に対して安定な不凍液組成物も開発された(特開平4-117481号)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、米国特許第4588513号や、特開平4−117481号に開示する組成物は、それら明細書に記載されているように、ASTM D4340−84(Corrosion of Cast Aluminum Alloys in Engine Coolants Under Heat−Rejecting Condition)に規定されているアルミニウム合金伝熱面腐食試験の条件では、アルミニウム合金鋳物の伝熱面腐食を抑制できるが、それ以上の伝熱面温度では腐食を十分に制御できず、高出力のアルミニウムエンジン用不凍液組成物として、十分に満足できるものではなかった。
【0009】
本発明はこのよう問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、アミン類、リン酸塩、ホウ酸塩および亜硝酸塩を含有しない、高温度のアルミニウム合金鋳物の伝熱面腐食を防止する不凍液組成物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の不凍液組成物は、腐食抑制剤を含有するグリコール類を主成分とする不凍液組成物であって、1)p−tertブチル安息香酸、またはそのアルカリ金属塩を0.5から5重量%、C10〜12脂肪族ジカルボン酸、またはそのアルカリ金属塩を1〜6重量%、ケイ酸のアルカリ金属塩を0.05〜0.5重量%、およびトリアゾール類を0.05〜1重量%を含み、2)アミン塩、リン酸塩、ホウ酸塩および亜硝酸塩を含まないこと、を特徴とする。
【0011】
腐食抑制剤は、硝酸塩、安息香酸塩、モリブデン酸塩、チアゾール類からなる類のうち、少なくとも一つを含むことが望ましい。
【0012】
また、グリコール類は、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびジエチレングリコールを単独、または2種以上から成ることが望ましい。
【0013】p−tertブチル安息香酸、またはそのアルカリ金属塩の含有量を0.5から5重量%としているのは、0.5重量%未満では腐食抑制効果がなく、5重量%を超えて含有してもそれ以上の腐食抑制効果の向上はなく、経済的にも無駄であるからである。同様の理由で、C10〜12脂肪属ジカルボン酸、またはそのアルカリ金属塩を1〜6重量%と、ケイ酸のアルカリ金属塩を0.05〜0.5重量%と、トリアゾール類を0.05〜1重量%としている。
【0014】
ここで、C10〜12脂肪族ジカルボン酸は、セバシン酸、ウンデカン二酸もしくはドデカン二酸、またはこれらの酸もしくはアルカリ金属塩である。
【0015】
ケイ酸塩のアルカリ金属塩はケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムである。例えばJISK1408ケイ酸ナトリウムに規定された1号、2号、3号およびメタケイ酸ナトリウム1種、2種のいずれも用いることができる。
【0016】
また、ケイ酸塩のアルカリ金属塩と共に、米国のGneral Motors EngineeringStandars AUTOMOTIVE ENGINE COOLANT CONCENTRATE-ETHYLENE GLYCOL TYPE GM6043Mに開示されている不凍液組成物に使用されるような、オルガノシラン安定剤を使用することもできる。
【0017】
トリアゾール類は、ベンゾトリアゾールもしくはトリルトリアゾール、またはこれらの混合物である。
【0018】
本発明の不凍液組成物には、その他着色料、消泡剤、苦味剤等を適宜組み合わせて使用し得る。
【0019】
【作用】
本発明の組成物の主成分のグリコール類は、不凍液の凝固点を降下させる作用を有し、その中に含まれるp−tertブチル安息香酸塩、C10〜12脂肪族ジカルボン酸またはそのアルカリ金属塩、ケイ酸のアルカリ金属塩、トリアゾール類は高温度のアルミニウム合金鋳物の伝熱面腐食を抑制し、また鋳鉄、鋼、黄銅、はんだ、銅の腐食も抑制する。
【0020】
さらに、本発明の組成物に含まれる腐食抑制剤である、硝酸塩、安息香酸塩、モリブデン酸塩、もしくはチアゾール類、またはこれらの混合物は、内燃機関の冷却系に使用される金属の腐食抑制能力をさらに向上する。
【0021】
【実施例】
以下、実施例および比較例を具体的に説明するが、本発明の不凍液組成物は、冷却水に通常20〜60体積%に混合して使用される。なお、以下の実施例は代表的に示したもので、これら実施例により本発明が限定されるものではない。また、以下にいう%は特に定義しない限り重量%を意味する。
【0022】
本発明にしたがった不凍液組成物の実施例を実施例1〜3とし、その構成を表1に示す。この実施例と比較するための比較例を比較例1〜4とし、その構成を表1に示す。
実施例1
表1に示すように、p−tertブチル安息香酸(1%)、セバシン酸(2%)、ケイ酸ナトリウム(3号)(0.2%)、ベンゾトリアゾール(0.3%)、硝酸ナトリウム(0.3%)をエチレングリコールに混合し、さらに不凍液組成物の25体積%水溶液のpHを8.0にするために必要な水酸化ナトリウム(48%水溶液)を加えた。エチレングリコールは、全体量が100%となるのに必要な量を用いている。
実施例2
セバシン酸の代わりにウンデカン二酸(2%)を用いた以外は実施例1と同様である。
実施例3
セバシン酸の代わりにドデンカン二酸(2%)を用いた以外は実施例1と同様である。
比較例1
p−tertブチル安息香酸を含まず、セバシン酸を3%用いた(有機酸使用量を同一にしている)以外、実施例1と同様である。
比較例2
セバシン酸を含まず、p−tertブチル安息香酸を3%用いた(有機酸使用量を同一にしている)以外、実施例1と同様である。
比較例3
ケイ酸ナトリウム(3号)を含まない以外、実施例1と同様である。
比較例4
ベンゾトリアゾールを含まない以外、実施例1と同様である。
【0023】
これらの実施例1乃至3、および比較例1乃至4について、ASTM D4340−84(Corrosion of Cast Aluminum Alloys in Engine Coolants Under
Heat−Rejecting Condition)に基づくアルミニウム合金鋳物の伝熱面腐食試験を行った。ただし、試験片温度は規定の135℃をより過酷な条件である170℃に変更して試験を行った。この伝熱面腐食試験により試験片の腐食量の測定結果を表1に示す。
【0024】
行った試験条件は下記の通りである。
不凍液濃度 : 25体積%
試験片 : アルミニウム合金鋳物(AC2A)
試験片温度 : 170℃
液量 : 550ml
試験時間 : 168時間
試験液中のCl−量 : 100ppm
加圧圧力 : 193kPa
【0025】
【表1】
【0026】
評価
表1に示すように、本発明にしたがった実施例1〜3の不凍液組成物は、試験片温度が170℃という過酷な温度においても、すべての試験片の腐食量が少なく、優れた伝熱面腐食の抑制性能を有していることが分かる。
【0027】
これに対して、本発明の構成要素のうちp−tertブチル安息香酸を欠く比較例1、セバシン酸を欠く比較例2、ケイ酸ナトリウム(3号)を欠く比較例3、ベンゾトリアゾールを欠く比較例4は、いずれも試験片の腐食量が大きく、十分な腐食抑制性能を示さなかった。
【0028】
このように、不凍液組成物において、p−tertブチル安息香酸塩、C10〜12脂肪族ジカルボン酸、ケイ酸塩およびトリアゾール類が共存した場合のみ、高温度のアルミニウム合金鋳物の伝熱面腐食を抑制できることを示す。
【0029】
【効果】
以上詳説したように、本発明の不凍液組成物は、高温度のアルミニウム合金鋳物の伝熱面腐食に対して、それを確実に抑制することができる。したがって、本発明の不凍液組成物は、アルミニウム合金鋳物で製造され、高温度になる高出力アルミニウム製エンジンにも十分にその機能を発揮する。
【0030】
また、本発明の不凍液組成物は、ホウ酸塩を含有していないので、本発明が有する優れたアルミニウムの腐食抑制性能を十分に発揮できる。
【0031】
さらに、アミン塩、リン酸塩、亜硝酸塩を含有していないので、発癌性のあるニトロソアミンを生成することがないく、また海水、湖沼、河川水等に流入しても富栄養化を招くこともない。
Claims (5)
- 硝酸塩、安息香酸塩、モリブデン酸塩、およびチアゾール類からなる類のうち、少なくとも一つを含有するグリコール類を主成分とする不凍液組成物であって、
1)p−tertブチル安息香酸、またはそのアルカリ金属塩を0.5から5重量%、C10 〜 12脂肪族ジカルボン酸、またはそのアルカリ金属塩を1〜6重量%、ケイ酸のアルカリ金属塩を0.05〜0.5重量%、およびトリアゾール類を0.05〜1重量%を含み、
2)アミン塩、リン酸塩、ホウ酸塩および亜硝酸塩を含まないこと、を特徴とする不凍液組成物。 - 前記グリコール類は、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびジエチレングリコールを単独、または2種以上から成る、請求項1に記載の不凍液組成物。
- 前記C10 〜 12脂肪族ジカルボン酸は、セバシン酸、ウンデカン二酸もしくはドデカン二酸、またはこれらの酸もしくはアルカリ金属塩である、請求項1に記載の不凍液組成物。
- 前記ケイ酸塩のアルカリ金属塩はケイ酸ナトリウム、またはケイ酸カリウムである請求項1に記載の不凍液組成物。
- トリアゾール類は、ベンゾトリアゾールもしくはトリルトリアゾール、またはこれらの混合物である、請求項1に記載の不凍液組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27549794A JP3651939B2 (ja) | 1994-10-17 | 1994-10-17 | 不凍液組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27549794A JP3651939B2 (ja) | 1994-10-17 | 1994-10-17 | 不凍液組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08113771A JPH08113771A (ja) | 1996-05-07 |
JP3651939B2 true JP3651939B2 (ja) | 2005-05-25 |
Family
ID=17556324
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27549794A Expired - Fee Related JP3651939B2 (ja) | 1994-10-17 | 1994-10-17 | 不凍液組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3651939B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114181767A (zh) * | 2021-12-24 | 2022-03-15 | 苏州山河星程材料科技有限公司 | 一种铝合金专用半合成切削液及其配制方法 |
-
1994
- 1994-10-17 JP JP27549794A patent/JP3651939B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08113771A (ja) | 1996-05-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4851145A (en) | Corrosion-inhibited antifreeze/coolant composition | |
US4873011A (en) | Antifreeze corrosion inhibitor composition for aluminum engines and radiators | |
EP0308037B1 (en) | Corrosion - inhibited antifreeze formulation | |
US5741436A (en) | Antifreeze concentrates and compositions comprising neodecanoic acid corrosion inhibitors | |
EP0564721B1 (en) | Corrosion-inhibiting antifreeze formulations | |
CA1193849A (en) | High ph coolant containing carbonate ion | |
JPH06116764A (ja) | 不凍液組成物 | |
US6045719A (en) | Use of quaternized imidazoles as corrosion inhibitors for non-ferrous metals, and coolant compositions and antifreeze concentrates comprising them | |
CA1249430A (en) | Corrosion inhibiting functional fluid | |
AU5486599A (en) | Antifreeze compositions comprising carboxylic acid and cyclohexenoic acid corrosion inhibitors | |
CA2308195C (en) | Silicate free antifreeze composition | |
US6235217B1 (en) | Monocarboxylic acid based antifreeze composition | |
JPH0885782A (ja) | 不凍液組成物 | |
JP2958690B2 (ja) | 冷却不凍液組成物 | |
WO1989009806A1 (en) | Inhibited alkylene glycol coolant and cooling process | |
JPH10251624A (ja) | 不凍液/冷却液組成物 | |
JP2772578B2 (ja) | 不凍液 | |
MXPA01008616A (es) | Composicion anticongelante basada en acido monocarboxilico para motores diesel. | |
EP0200850A1 (en) | Dicyclopentadiene dicarboxylic acid salts as corrosion inhibitors | |
JP3686120B2 (ja) | 不凍液用組成物 | |
JP3651939B2 (ja) | 不凍液組成物 | |
JP2000219981A (ja) | 不凍液組成物 | |
JP4616536B2 (ja) | 不凍液/冷却液組成物 | |
JPH1046134A (ja) | 不凍液組成物 | |
KR0178859B1 (ko) | 부동액 조성물 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040826 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20041130 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050121 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20050121 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050214 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050222 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090304 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090304 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100304 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |