JP3651593B2 - 家庭内広帯域lan方式および家庭内広帯域lanの信号搬送方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般家庭に既設されたアナログ電話用ケーブルに家庭内で対象となるすべての端末を接続して形成されるLAN(Local Area Network)を、外部のWAN(Wide Area Network)に接続する家庭内広帯域LAN方式および家庭内広帯域LANの信号搬送方法に関し、特に、効率がよく、かつ高速なサービスの提供ができる家庭内広帯域LAN方式および家庭内広帯域LANの信号搬送方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、本発明に係る家庭内LAN方式は、家庭内に複数存在するPC(Personal Computer)端末間を相互接続するために提供されていた。
【0003】
このような家庭内LAN方式は、家庭内で扱う情報量が比較的少なかったことから、一般的には広く普及していた転送速度が10Mbpsベースのイーサネット(Ethernet)(登録商標)を相互に接続することで実現されていた。しかし、最近のインターネットの普及に伴い、また、例えば特開2000−242705に開示されているように、家庭環境において、データを管理して家庭と選択された遠隔施設との間でデータ通信を実現するための通信システムが提案されている。すなわち、あらゆる家庭用電気製品がインターネットに接続されることが要求されている。従って、家庭内で、より高速に効率よくサービスを提供できることが要求されてきている。
【0004】
従来、この要請に応えるために、様々な技術による実現方法が数多く提案され実用化されている。広く採用されているこの種の一つの家庭内広帯域LAN方式にイーサネット(登録商標)がある。イーサネット(登録商標)は、IEEE(Institute of Electrical & Electronics Engineers)におけるIEEE802.3委員会により「IEEE802.3」として標準化されている。また、早期の普及を望んで家庭内で既存のアナログ電話用ケーブルである同軸ケーブルまたはUTP(Unshielded Twisted Pair:非シールドより対線)ケーブルを利用する技術が開発されている。
【0005】
例えば、図5に示されるようなLANでは、100Mbpsの転送速度を許容するCAT−5(Category−5)の同軸ケーブル131をイーサネット(登録商標)ケーブルとして用いてゲートウェイ(Gateway)100から端末側ノード111−1〜111−Lそれぞれへ接続する高速イーサネット(登録商標)がある。また、ゲートウェイ100のハブ(HAB)101から上記CAT−5のUTP132−1〜132−Mそれぞれを用いて端末側ノード112−1〜112−Mそれぞれへ接続する高速イーサネット(登録商標)がある。
【0006】
また例えば、図6に示されるようなLANは、プロトコルの参照モデルにIEEE802.xとして標準化された伝送方式にMAC(Media Access Control:媒体アクセス制御)副層を有して実現している。すなわち、WAN側ノード210の802.xMAC211と端末側ノード220−1〜220−Nそれぞれの802.xMAC223との間は、変復調器およびH(ハイブリッド部)を介して無線ベースのイーサネット(登録商標)または上記UTPケーブルを用いてHomePNA(Phoneline Networking Alliance:フォーンラインネットワーキングアライアンス)システムを構成している。HomePNAシステムでは、一般の電話回線とは異なる高い周波数帯域を用いており、電話と同時にインターネットが接続できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の家庭内広帯域LAN方式および家庭内広帯域LANの信号搬送方法では、次のような問題点がある。
【0008】
すなわち、図5に示されるような100Mbpsの高速イーサネット(登録商標)では、効率よいサービス提供ができないという点である。
【0009】
その理由は、一つの端末ノードは、各端末に対応しており、かつゲートウェイと100Mbpsの高速のデータ転送が可能なCAT−5のケーブルで直結されるため、端末の増加に伴って家庭内で新たに同軸ケーブルまたは複数のUTPケーブルを敷設する必要があるからである。
【0010】
この問題を解決できる、図6に示されるようなイーサネット(登録商標)の基本である伝送媒体アクセス方式では、高速なサービス提供ができないという点である。
【0011】
その理由は、イーサネット(登録商標)のCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access /Collision Detection)方式が、異なる物理媒体に適用されるものであり、下流方向側と上流方向側とを分離して伝送する機能を有しておらず、最大転送速度を現在一般的に知られた最大転送速度である約10Mbpsを上下方向で共有したものとしているからである。
【0012】
本発明の課題は、このような問題点を解決し、効率がよく、かつ高速なサービスの提供ができる家庭内広帯域LAN方式および家庭内広帯域LANの信号搬送方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明による家庭内広帯域LAN方式は、一般家庭に既設されたアナログ電話用ケーブルに家庭内で対象となるすべての端末を接続して形成されるLAN(ローカルエリアネットワーク)を、外部のWAN(広帯域加入者網)に接続するものである。その特徴とするところは、前記端末それぞれに接続する端末側ノードと、前記WANに接続するWAN側ノードとを備え、すべての前記端末側ノードと前記WAN側ノードとの間を前記アナログ電話用ケーブルによりバス形式で接続すると共に各搬送波に複数ビットを送信する多重搬送波伝送方式を適用して、前記端末側ノードそれぞれは個別に、前記WAN側ノードへの搬送波それぞれを予め割当てられていることである。
【0014】
この構成により、既存の電話用ケーブルを用いてバス接続できるので効率よいケーブル配線が可能であり、かつ多重搬送波伝送方式を適用して端末側ノード個別に、WAN側ノードへの搬送波を予め割当てるという効率よいデータ伝送が可能である。具体的には、前記アナログ電話用ケーブルは非シールドより線(UTPケーブル)であることにより、新規ケーブルの敷設を不要にできる。
【0015】
また、前記多重搬送波伝送方式は、高位QAM(直交振幅変調)配列を有する直交搬送波を使用すること、更にVDSL(ベリハイスピードデジタルサブスクライバーライン)システムであることが望ましい。更に、このVDSLシステムは、DMT(離散的多周波変調)方式に基づくことが望ましい。
【0016】
また、家庭内広帯域LAN方式の各ノードにおける具体的な手段の一つは、前記WAN側ノードとしてWAN側終端部、第1のVDSL変調部、第1のハイブリッド部(以後、Hと略称する)、第1のビットマップ部、第1のVDSL復調部、および信号多重部を有する。WAN側終端部はWAN側との入出力信号を終端する。第1のVDSL変調部は該WAN側終端部によりWAN側から入力された信号を前記VDSLシステムの各搬送波へビット割り当てを行う。第1のハイブリッド部は第1のVDSL変調部から出力された変調信号を前記既設アナログ電話用ケーブルへ重畳する一方、変調信号を前記既設アナログ電話用ケーブルから分離する。第1のVDSL復調部は第1のハイブリッド部で分離された変調信号から各搬送波に割り当てられたビットを端末単位に復調する。第1のビットマップ部はデータベースであり第1のVDSL復調部で参照される複数の端末ノードに割り当てた搬送波情報を保持する。信号多重部は前記第1のVDSL復調部から出力された端末単位のビット列を多重し前記WAN側終端部へ出力する。
【0017】
また、各端末ノードとして、第2のハイブリッド部(H)、第2のVDSL復調部、端末側終端部、第2のビットマップ部、および第2のVDSL変調部を備える。端末側終端部は端末側との入出力信号を終端する。第2のVDSL変調部は第2の端末側終端部により端末側から入力された信号を前記VDSLシステムの各搬送波のうち、搬送波情報に基づいて自端末に割り当てられた搬送波へビット割り当てを行う。第2のビットマップ部は第2のVDSL変調部で参照される自端末ノードに割り当てられた搬送波情報を保持する。第2のハイブリッド部は前記第2のVDSL変調部から出力された変調信号を前記既設アナログ電話用ケーブルへ重畳しかつ変調信号を前記既設アナログ電話用ケーブルから分離する。第2のVDSL復調部は第2のハイブリッド部で分離された変調信号から各搬送波に割り当てられたビットを復調し端末側終端部へ出力する。
【0018】
また、家庭内広帯域LAN方式の各ノードにおける上述したとは別の具体的な手段の一つとして、前記WAN側ノードは、前記WAN側終端部から入力された各端末への多重信号を分離して個別ビット列として前記第1のVDSL変調部へ出力する信号分離部を前記WAN側終端部と第1のVDSL変調部との間に追加して更に備えている。従って、前記WAN側ノードでは、前記第1のVDSL変調部は、VDSLの各搬送波へ端末単位にビット割り当てを行うために変更され、かつ前記第1のビットマップ部は、前記第1のVDSL変調部で参照される複数の端末ノードに割り当てた搬送波情報を加えて保持するように拡張される。また各端末側ノードでは、前記第2のVDSL復調部はVDSL変調信号から自端末に割り当てられた各搬送波からビットを復調し端末側終端部へ出力するよう変更され、かつ前記第2のビットマップ部は前記第2のVDSL復調部に新たに参照される自端末ノードに割り当てられた下流方向側搬送波の使用可否情報を保持する。
【0019】
このような構成により、更にはWAN側ノードおよび各端末側ノードにおける構成を上記説明に限定することなしでも、端末の必要性に応じた最大転送速度に対応したインターフェイスを端末ノードとの間に用意すればよく、すべての家庭内端末が必要以上の広帯域転送速度に対応するインターフェイスを必要としないので、それぞれの端末に対応する効率よい高速のサービスを提供することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は本発明の実施の一形態を示す機能ブロック図である。
【0022】
図示された家庭内広帯域LAN(Local Area Network)方式では、上記課題を解決することを目的として、WAN(Wide Area Network)側ノード10とN個の端末側ノード20−1〜20−Nとが一般の家庭に既設されるアナログ電話ケーブルであるUTP(Unshielded Twisted Pair-cable:非シールドより線)30によりバス接続されている。
【0023】
また、本発明では、家庭内の広帯域伝送方式としてVDSL(Very high bit-rate Digital Subscriber Line)システムが採用されている。VDSLシステムは従来の通常電話を配線するためのメタル配線を基本として電話信号に広帯域情報を重畳するもので、距離範囲は小さいが伝送速度が高い。特に、本発明で採用するVDSLシステムは、高位QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)配列を持つ直交搬送波を使用し、DMT(Discrete Multi-tone:離散的多周波変調)方式をベースとしている。DMT方式は一つの搬送波につき複数のビットを送信する多重搬送波伝送方式である。この結果、各端末への下流方向にはほぼ50Mbpsの最大転送速度を有する一方、各端末からの上流方向には各搬送波を複数の端末で個別に割り当てる方式によりほぼ6Mbpsの最大転送速度を共有することができる。
【0024】
図示されるWAN側ノード10は家庭と遠隔情報施設との間のインターフェイスとして設けられ、また端末側ノード20−1〜20−Nは家庭内のN個の端末それぞれとのインターフェイスとして設けられている。
【0025】
WAN側ノード10は、WAN側終端部11、VDSL変調部12、ハイブリッド(以後、Hと略称する)13、ビットマップ14、VDSL復調部15、および信号多重部16により構成される。WAN側終端部11はWAN側との入出力信号を終端する。VDSL変調部12はWAN側終端部11によりWAN側から入力された信号のビットをVDSLシステムの各搬送波へ割り当てている。H13は、VDSL変調部12から出力された変調信号をUTP30で電話信号に重畳する一方、UTP30から受ける変調信号を電話信号から分離する。ビットマップ14はVDSL復調部15により参照されるデータベースであって複数の端末側ノード20−1〜20−Nそれぞれに割り当てた搬送波情報を保持する。VDSL復調部15はビットマップ14を参照しH13で分離された変調信号から各搬送波に割り当てられたビットを端末単位に復調する。信号多重部16はVDSL復調部15から出力された端末単位のビット列を多重しWAN側終端部11へ出力する。
【0026】
また、各端末ノード20は、ハイブリッド(H)21、VDSL復調部22、端末側終端部23、ビットマップ24、およびVDSL変調部25により構成される。H21は、VDSL変調部25から出力された変調信号をUTP30で電話信号へ重畳する一方、UTPから受ける変調信号を電話信号から分離する。VDSL復調部22はH21で分離された変調信号から各搬送波に割り当てられたビットを復調し端末側終端部23へ出力する。端末側終端部23は端末側との入出力信号を終端する。ビットマップ24はVDSL変調部25により参照される自端末ノードに割り当てられた搬送波情報を保持するデータベースである。VDSL変調部25は、端末側終端部23が端末側から入力した信号のビットを、VDSLシステムの各搬送波のうちでビットマップ24の搬送波情報に基づいて自端末に割り当てられた搬送波へ割り当てる。
【0027】
次に、図2に図1を併せ参照して、端末3−1,3−2それぞれがWAN1側から異なる内容の広帯域情報、例えば画像に代表されるマルチメディアコンテンツの提供を受ける場合の動作について説明する。
【0028】
図示されるように、遠隔情報施設を接続するWAN(広帯域加入者網)1に家庭内2に設けられる設備が接続される。家庭内2では、WAN側ノード10がWAN1と接続して信号を授受している。図2では、説明を簡便化するため二つの端末側ノード20−1,20−2のみが示されている。端末側ノード20−1,20−2それぞれは、端末3−1,3−2それぞれを接続し、UTP30によりWAN側ノード10とバス接続し、かつ上述したVDSLシステムにより相互にアクセスしている。
【0029】
それぞれの遠隔情報施設からの広帯域情報は、WAN1を介して家庭内2に設置されたWAN側ノード10に多重された信号として入力される。この際に使用される接続プロトコルは一般的にはTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が考えられるが、任意のプロトコルを使用してよい。WAN側ノード10に入力されたそれぞれの端末3−1,3−2により要求された広帯域情報は、WAN側終端部11により多重されたままの状態で抽出されVDSL変調部12へ送られる。VDSL変調部12は、受けた信号のビットを、多重されたままの状態でDMT方式ベースのVDSLシステムにより下流方向側の搬送波#1〜#xに割り当て、変調された信号として家庭内2の既設UTP30で電話信号に周知の技術により重畳して出力する。
【0030】
各端末3−1,3−2は電話のために既設されたUTP30にバス接続している。このため、既設UTP30で電話信号に重畳されてWAN側ノード10から受けるVDSL信号は、端末ノード20−1,20−2の両者に同時に入力される。端末ノード20−1,20−2それぞれでは、VDSL復調部22が既設UTP30からH21を介して入力されたVDSL信号を分離して、下流方向側搬送波#1〜#xに割り当てられたビットを復調する。次いで、VDSL復調部22は復調した多重信号を、それぞれに接続する各端末3−1,3−2へ、端末側終端部23を介して出力する。それぞれの端末3−1,3−2では多重された信号から、例えばMAC(Media Access Control)プロトコルまたはIP(Internet Protocol)のような既知技術により、自分が要求した情報をフィルタリングし、所望の広帯域情報の提供を受ける。
【0031】
一方、各端末3−1,3−2から遠隔情報施設への、現在提供されている広帯域情報に対する要求情報を発信する場合、または遠隔情報施設へ端末内情報を発信する場合について説明する。遠隔情報施設に対する情報は、端末3−1,3−2それぞれからそれぞれに接続する端末ノード20−1,20−2に周知の技術を用いて個別に入力される。
【0032】
例えば、端末3−2により要求され端末側ノード20−2に入力された個別情報は、端末側ノード内の端末側終端部23で終端され、VDSL変調部25に転送される。端末ノード20−2のVDSL変調部25では、自端末ノード20−2のビットマップ24に用意されたVDSL上流方向側搬送波#1〜#yの使用の可否を示すビットマップ情報を参照する。次いで、端末ノード20−2のVDSL変調部25は、転送された端末3−2からの情報ビットを、例えば偶数の搬送波番号#2、#4、...、#y(yは偶数)に割り当てる。端末ノード20−2のVDSL変調部25から出力された変調信号は、家庭内2の既設UTP30で電話信号へH21を介して重畳される。他方の端末3−1についても同様であるが、上述した場合、自端末ノード20−1は、転送された端末3−1からの情報ビットを、奇数の搬送波番号に割り当てることになる。
【0033】
各端末ノード20−1,20−2は既設UTP30にバス接続しているため、UTP30に重畳された各端末ノード20−1,20−2から送出されるそれぞれのVDSL信号は、総和された変調信号としてWAN側ノード10に入力される。このときの総和された変調信号は、各端末ノード20−1,20−2で変調の際に使用したビットマップが、互いに一致した搬送波を使用することのないように決定されているため、情報輻輳は発生しない。WAN側ノード10では、既設UTP30から入力されたVDSL信号をH13で分離し、VDSL復調部15に入力している。
【0034】
WAN側ノード10のVDSL復調部15では各端末ノード20−1,20−2内に用意されたVDSL上流方向側搬送波#1〜#yの使用の可否を示すビットマップ情報を保持したデータベースをビットマップ14で参照し、入力された変調信号の、例えば、奇数番号の搬送波に有する端末ノード20−1から送られたビットと、偶数番号の搬送波に有する端末ノード20−2から送られたビットとを復調し、それぞれ個別のビット情報として、WAN側ノード10内の信号多重部16へ出力する。WAN側ノード10内の信号多重部16で多重された端末ノード20−1,20−2から受けた情報は、WAN側終端部11およびWAN1を介して、遠隔情報施設へ送出される。各遠隔情報施設への端末3−1,3−2それぞれからの情報の振り分けは、周知の例えばMACプロトコルまたはIPなどの既知技術により実現できる。
【0035】
次に、図3を参照して端末とのインターフェイスの最適化についてさらに工夫した実施の形態について説明する。
【0036】
図3に示されるWAN側ノード50は上記図1に示された形態と同様の基本的構成を有しUTP30を介してN個の端末側ノード60−1〜60−Nとバス接続され、かつノード相互間の伝送方式はVDSLシステムである。
【0037】
WAN側ノード50は、WAN側終端部51、信号分離部52、ビットマップ53、VDSL変調部54、H55、VDSL復調部56、および信号多重部57により構成される。また、各端末ノード60(−1〜−N)は、ハイブリッド(H)61、ビットマップ62、VDSL復調部63、端末側終端部64、およびVDSL変調部65により構成される。
【0038】
図1との構成の相違は、WAN側ノード50においてWAN側終端部51とVDSL変調部54との間に信号分離部52が追加されている点であり、かつ、端末側ノード60−1〜60−Nそれぞれにおいてビットマップ62がVDSL復調部63と接続されている点である。
【0039】
従って、信号分離部54はWAN側から入力された各端末ノード60−1〜60−Nそれぞれへの多重信号を分離して個別ビット列としてVDSL変調部54へ出力する。ビットマップ53はVDSL変調部54により参照される複数の端末ノード60−1〜60−Nそれぞれに割り当てた搬送波情報を加えて保持するように拡張されたデータベースである。また、VDSL変調部54はVDSLシステムの各側搬送波へ端末それぞれに対応するようにビット割り当てを行う。
【0040】
また、各端末ノード60−1〜60−Nでは、ビットマップ62が新たにVDSL復調部63により参照される自端末ノードに割り当てられた下流方向側搬送波の使用可否情報をビットマップ情報により保持する。VDSL復調部63はVDSL変調信号から自端末に割り当てられた各搬送波からビットを復調し端末側終端部64へ出力する。
【0041】
上述以外のWAN側ノード50および各端末ノード60−1〜60−Nそれぞれにおける構成要素は、図1を参照して説明した同一名称の構成要素と同一の機能を有するのでその説明を省略する。
【0042】
次に、図4に図3および上記図2を併せ参照して、端末3−1,3−2それぞれがWAN1側から異なる内容の広帯域情報、例えば画像に代表されるマルチメディアコンテンツの提供を受ける場合の動作について説明する。
【0043】
上記図3を参照して説明したように、図4と図2との相違は、家庭内4において、WAN側50から端末ノード60−1,60−2へ送られる下流方向側搬送波の使用方法にある。
【0044】
すなわち上述した構成により、比較的広帯域情報が伝送される下流方向側においてVDSL搬送波の使用可否を予め端末単位に割り当てることができる。従って例えば、端末ノード60−1が、内部のビットマップ62を参照して図示されるように割り当てられた奇数番号の搬送波からビットを復調することにより、本来、端末3−1が必要とする最大転送速度のみをインターフェイス可能とする伝送手段を端末ノード60−1と端末3−1との間に用意すればよいことになる。
【0045】
このように、本実施例によれば、端末の必要性に応じた最大転送速度に対応したインターフェイスを端末ノードとの間に用意すればよく、すべての家庭内端末が必要以上の広帯域転送速度に対応するインターフェイスを必要としない。
【0046】
上記説明では、広帯域伝送方式として、デジタル加入者回線(Digital Subscriber Line)のモデムに使用される、高位QAM配列の直交搬送波を使用し、一つの搬送波につき複数のビットを送信する多重搬送波伝送方式であるDMTベースのVDSLシステムを具体的に取り上げて説明した。しかし、伝送方式の部分で、上流方向側の搬送波を複数端末で個別に割り当てる方式で、双方向で電話信号と周波数帯を別にしてUTPケーブル上で重畳できるシステムであり、かつ、一つの搬送波につき複数のビットを送信できる多重搬送波伝送方式であれば、上述した以外のシステム構成でも適用可能である。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、インターネットを介して提供される広帯域情報を、家庭内に設置されたすべての端末において、容易に入手できるという効果が得られる。
【0048】
その理由は、DMTベースのVDSLシステムを伝送方式に利用することにより、家庭内の複数端末を接続するための手段として、一般的に家庭内に既設された安価なアナログ電話ケーブルを使用できるからである。また、上流方向側搬送波の使用可否を家庭内端末毎に、互いに同一搬送波を使用することなく割り当てており、上流方向側搬送波から互いの端末に割り当てられた搬送波を識別することにより、既設電話ケーブルで複数端末を互いの情報が輻輳することなくバス接続することができる。更に、DMTベースのVDSLシステムの利用と既設電話ケーブルでのバス接続とにより、下流方向側の転送速度として約50Mbpsの転送レートが複数端末に同時に提供できる。この結果、現在既に知られている広帯域情報の最大転送速度として約6Mbpsの要求がある高精細度画像情報が、家庭内の複数端末に対し同時に提供できるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施の一形態を示す機能ブロック図である。
【図2】図1のUTP上における多重搬送波の使用を説明する図である。
【図3】図1とは別の本発明による実施の一形態を示す機能ブロック図である。
【図4】図3のUTP上における多重搬送波の使用を説明する図である。
【図5】従来の一例を示す機能ブロック図である。
【図6】図5とは別の従来の一例を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
1 WAN(広帯域加入者網)
2、4 家庭内
3−1、3−2 端末
10、50 WAN側ノード
11、51 WAN側終端部
12、25、54、65 VDSL変調部
13、21、55、61 H(ハイブリッド部)
14、24、53、62 ビットマップ(ビットマップ部)
15、22、56、63 VDSL復調部
16 信号多重部
20−1、20−2、20−N 端末側ノード
23 端末側終端部
30 UTP(非シールドより線)
52 信号分離部
Claims (4)
- 一般家庭に既設されたアナログ電話用ケーブルに家庭内で対象となるすべての端末を接続して形成されるLAN(ローカルエリアネットワーク)を、外部のWAN(広帯域加入者網)に接続するものであって、前記端末それぞれに接続する端末側ノードと、前記WANに接続するWAN側ノードとを備え、すべての前記端末側ノードと前記WAN側ノードとの間を前記アナログ電話用ケーブルによりバス形式で接続すると共に各搬送波に複数ビットを送信する多重搬送波伝送方式を適用して、前記端末側ノードそれぞれは個別に、前記WAN側ノードへの搬送波それぞれを予め割当てられていることを特徴とする家庭内広帯域LAN方式において、
前記多重搬送波伝送方式は、高位QAM配列を有する直交搬送波を使用しDMT方式に基づくVDSLシステムの部分で、前記端末側ノードそれぞれに個別に、前記WAN側ノードへの搬送波それぞれを予め割当てており、
前記WAN側ノードは、WAN側との入出力信号を終端するWAN側終端部と、該WAN側終端部によりWAN側から入力された信号を前記VDSLシステムの各搬送波へビット割り当てを行う第1のVDSL変調部と、該第1のVDSL変調部から出力された変調信号を前記既設アナログ電話用ケーブルへ重畳する一方、変調信号を前記既設アナログ電話用ケーブルから分離する第1のハイブリッド部と、該第1のハイブリッド部で分離された変調信号から各搬送波に割り当てられたビットを端末単位に復調する第1のVDSL復調部と、該第1のVDSL復調部で参照される複数の端末ノードに割り当てた搬送波情報を保持する第1のビットマップ部と、前記第1のVDSL復調部から出力された端末単位のビット列を多重し前記WAN側終端部へ出力する信号多重部とを備え、また
前記各端末ノードは、端末側との入出力信号を終端する端末側終端部と、該端末側終端部により端末側から入力された信号を前記VDSLシステムの各搬送波のうち、搬送波情報に基づいて自端末に割り当てられた搬送波へビット割り当てを行う第2のVDSL変調部と、該第2のVDSL変調部で参照される自端末ノードに割り当てられた搬送波情報を保持する第2のビットマップ部と、前記第2のVDSL変調部から出力された変調信号を前記既設アナログ電話用ケーブルへ重畳しかつ変調信号を前記既設アナログ電話用ケーブルから分離する第2のハイブリッド部と、該第2のハイブリッド部で分離された変調信号から各搬送波に割り当てられたビットを復調し端末側終端部へ出力する第2のVDSL復調部とを備える
ことを特徴とする家庭内広帯域LAN方式。 - 請求項1において、前記WAN側ノードは、前記WAN側終端部から入力された各端末への多重信号を分離して個別ビット列として前記第1のVDSL変調部へ出力する信号分離部を前記WAN側終端部と前記第1のVDSL変調部との間に追加して更に備え、
前記WAN側ノードでは、前記第1のVDSL変調部は、VDSLの各搬送波へ端末単位にビット割り当てを行うために変更され、かつ前記第1のビットマップ部は、前記第1のVDSL変調部で参照される複数の端末ノードに割り当てた搬送波情報を加えて保持するように拡張され、
また、各端末側ノードでは、前記第2のVDSL復調部はVDSL変調信号から自端末に割り当てられた各搬送波からビットを復調し端末側終端部へ出力するよう変更され、かつ前記第2のビットマップ部は前記第2のVDSL復調部に新たに参照される自端末ノードに割り当てられた下流方向側搬送波の使用可否情報を保持する
ことを特徴とする家庭内広帯域LAN方式。 - 一般家庭に既設されたアナログ電話用ケーブルに家庭内で対象となるすべての端末を接続して形成されるLAN(ローカルエリアネットワーク)を、外部のWAN(広帯域加入者網)に接続するものであって、前記端末それぞれに接続する端末側ノードと、前記WANに接続するWAN側ノードとを備え、すべての前記端末側ノードと前記WAN側ノードとの間を前記アナログ電話用ケーブルによりバス形式で接続すると共に各搬送波に複数ビットを送信する多重搬送波伝送方式を適用して、前記端末側ノードそれ ぞれは個別に、前記WAN側ノードへの搬送波それぞれを予め割当てられている家庭内広帯域LANの信号搬送方法において、
前記多重搬送波伝送方式は、高位QAM配列を有する直交搬送波を使用しDMT方式に基づくVDSLシステムの部分で、前記端末側ノードそれぞれに個別に、前記WAN側ノードへの搬送波それぞれを予め割当てており、
前記WAN側ノードは、複数の端末ノードに割り当てられた端末側からの搬送波情報を第1のビットマップに保持しており、WAN側から入力された信号を前記VDSLシステムの各搬送波へビット割り当てして変調し、変調された変調信号を前記既設アナログ電話用ケーブルへ重畳する一方、この変調信号を前記既設アナログ電話用ケーブルから受けた際には第1のハイブリッドを用いて分離し、前記第1のビットマップに保持される搬送波情報を参照して前記第1のハイブリッドで分離された変調信号から各搬送波に割り当てられたビットを端末単位に復調し、復調された端末単位のビット列を多重して前記WAN側へ出力する、一方、
前記各端末ノードは、自端末ノードに割り当てられた端末側からの搬送波情報を第2のビットマップで保持しており、端末側から入力された信号を前記VDSLシステムの各搬送波のうち、前記第2のビットマップで保持される搬送波情報に基づいて自端末に割り当てられた搬送波へビット割り当てを行って変調し、変調された変調信号を前記既設アナログ電話用ケーブルへ重畳しかつ変調信号を前記既設アナログ電話用ケーブルから分離する第2のハイブリッドを有し、該第2のハイブリッドで分離された変調信号から各搬送波に割り当てられたビットを復調して端末側へ出力する
ことを特徴とする家庭内広帯域LANの信号搬送方法。 - 請求項3において、前記WAN側ノードは、前記WAN側から入力された各端末への多重信号を分離して個別ビット列に変換する手段を更に備え、
前記WAN側ノードでは、前記第1のビットマップは複数の端末ノードに割り当てられたWAN側からの搬送波情報を加えて保持するように拡張され、WAN側から入力された信号を前記VDSLシステムの各搬送波へ端末単位にビット割り当てして変調するように変更され、かつ
各端末側ノードでは、前記第2のビットマップは自端末ノードに割り当てられたWAN側からの搬送波の使用可否情報を保持するように拡張され、前記第2のハイブリッドで分離された変調信号から自端末に割り当てられた各搬送波からビットを復調して端末側へ出力する
ことを特徴とする家庭内広帯域LANの信号搬送方法。
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