JP3648724B2 - ガスメータおよび流量計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配管中を流れる燃料用ガスの流量を測定するガスメータおよび配管中を流れるガス等の流体の流量を測定する流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガス等の流体に関する流量測定では、測定範囲が広範囲であることや測定精度が高いことが要求される。このような流量測定における要求を満足させるために、従来から種々の流量計が開発されている。
【0003】
図8は、従来の流量計の一構成例を示す図である。同図に示した流量計80は、配管90内を流れる流体の流速を測定する流速センサ81と、流速センサ81により得られた流体の流速に基づいて、流量を算出する流量演算部82とを備えている。流速センサ81は、配管90内の流体が流れる流路91のほぼ中央部に配設されている。なお、流速センサ81による流量測定の精度を高く維持するためには、流速センサ81が流体の最も安定した流れの中に配置される必要がある。この流量計80では、流速センサ81から、配管90を流れる流体の単位時間当たりの流速に応じた信号が出力される。流量演算部82は、流速センサ81から出力された流速を示す出力信号に基づいて、所定の演算式を用いて配管90の断面積を乗算し、瞬時流量を演算すると共に、この瞬時流量を適宜積算して積算流量を算出する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の流量計は、以下で説明するような事態に対する対処が不充分であり、必ずしも充分な性能を持った流量測定を行うことができないという問題がある。例えば、一般に、配管90内を流れる流体の流れには、図8に示すように、配管90の断面位置に応じて不均一な流速分布92が生じる。すなわち、配管90内を流れる流体の流速は、配管90の中心部で最も速く、配管90の壁面方向に近くなるにつれて遅くなるような分布となる。このことから、配管90内を流れる流体の流量測定を目的として、流体の流速を測定する際には、配管90内を流れる流体の最も安定した流れ部分、すなわち流体の流速分布92におけるピーク部分の流速を測定することが、流速分布92による流速の変動誤差を回避するために最も望ましい。よって、図8に示した流量計80のように、配管90内の任意の1点においてのみ流体の流速を測定する方式の場合には、流速センサ81の配設位置(流速測定位置)が重要となる。しかしながら、流速センサ81の配設位置を、厳密に配管90の断面位置における中央部に決定することは困難である。
【0005】
また、一般に、配管90内を流れる流体には、その流量によっては偏流が発生し、流体の流動状態に変化が生じることが知られている。すなわち、配管90内を流れる流体には、その流量の大小によって、小流量域における層流状態と呼ばれる流れと、大流量域における乱流状態と呼ばれる流れとの異なる2つの状態が存在する。このことから、流体の流動状態の差異、すなわち、層流状態と乱流状態とによる差異を考慮して流体の流量を演算することが望ましく、例えば、単一の演算式に基づいて流量を演算することは、流体の流動状態の変化による測定誤差を多分に含んだものとなり好ましくない。
【0006】
一方、測定対象の流体が燃料用ガスである場合には、一般にマイコンメータと呼ばれる多機能のガスメータが使用される。このようなガスメータでは、ガス使用にともなうガスの流量を測定する機能の他に、ガス使用にともなう安全性を確保するための安全機能が付加されている場合がある。安全機能としては、例えば、需要家のガス使用にともなう流量を算出し、その流量値と所定のガス流量の基準値とを比較することにより、前者の値が後者の値を上まわった場合に、ガスの遮断弁を駆動させて、需要家へのガスの供給を遮断するようなものがある。このような安全機能により、配管中におけるガスの漏洩や、不自然なガスの流出などが未然に防止されることとなる。しかしながら、この安全機能が正確に作動するためには、広い流量範囲において、正確にガスの流量測定が行われていることが必要である。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、広い流量範囲にわたって、配管中を流れる燃料用ガスの流量を測定することが可能となるガスメータおよび広い流量範囲にわたって、配管中を流れるガス等の流体の流量を測定することが可能となる流量計を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のガスメータは、燃料用ガスが流れる配管中に配置されるガスメータであって、配管中の動圧を検出する動圧検出手段と、この動圧検出手段によって検出された動圧の値が、層流量域および乱流量域のうちのいずれの流量域に対応するかを判断すると共に、その判断結果に基づいて、互いに異なる第1および第2の演算式のうち、配管中を流れる燃料用ガスの流量を演算するのに適したいずれか一方の演算式を選択する選択手段と、この選択手段によって選択された演算式に基づいて、配管中を流れる燃料用ガスの流量を演算する流量演算手段とを備えたものである。
【0009】
このガスメータでは、動圧検出手段によって配管中の動圧が検出される。そして、選択手段によって、動圧検出手段によって検出された動圧の値が、層流量域および乱流量域のうちのいずれの流量域に対応するかが判断されると共に、その判断結果に基づいて、互いに異なる第1および第2の演算式のうち、配管中を流れる燃料用ガスの流量を演算するのに適したいずれか一方の演算式が選択される。そして、この選択された演算式に基づいて、流量演算手段によって、配管中を流れる燃料用ガスの流量が演算される。
【0010】
請求項2記載の流量計は、配管中の動圧を検出する動圧検出手段と、この動圧検出手段によって検出された動圧の値が、層流量域および乱流量域のうちのいずれの流量域に対応するかを判断すると共に、その判断結果に基づいて、互いに異なる第1および第2の演算式のうち、配管中を流れる流体の流量を演算するのに適したいずれか一方の演算式を選択する選択手段と、この選択手段によって選択された演算式に基づいて、配管中を流れる流体の流量を演算する流量演算手段とを備えたものである。
【0011】
この流量計では、動圧検出手段によって配管中を流れる流体の動圧が検出される。そして、選択手段によって、動圧検出手段によって検出された動圧の値が、層流量域および乱流量域のうちのいずれの流量域に対応するかが判断されると共に、その判断結果に基づいて、互いに異なる第1および第2の演算式のうち、配管中を流れる流体の流量を演算するのに適したいずれか一方の演算式が選択される。そして、この選択された演算式に基づいて、流量演算手段によって、配管中を流れる流体の流量が演算される。
【0014】
請求項記載の流量計は、請求項記載の流量計において、配管中を流れる流体の瞬時流量をQ1、配管中の動圧をΔPとすると、選択手段が、層流量域においては、以下の第1の演算式(1)を選択し、乱流量域においては、以下の第2の演算式(2)を選択するようにしたものである。
Q1=k×ΔP…(1)(ただし、kは定数)
Q1=k×ΔP1/2 …(2)
【0015】
この流量計では、配管中を流れる流体の瞬時流量をQ1、配管中の動圧をΔPとすると、選択手段によって、層流量域においては、上述の第1の演算式(1)選択され、乱流量域においては、上述の第2の演算式(2)選択される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係る流量計としてのガスメータの概略構成を周辺部の構成要素と共に示すブロック図である。なお、本実施の形態では、流量を測定する対象となる流体が、例えば、家庭用燃料ガス(以下、単に「ガス」ともいう。)Gである場合について説明する。
【0018】
本実施の形態に係るガスメータ3は、図1に示したように、配管1中を流れるガスGの使用にともなう流量データの収集を目的として、配管1中の任意の位置においてガスGの瞬時流量Q1および積算流量Q2(以下、これらの流量Q1,Q2を総称して、単に「流量Q」ともいう。)を測定するものである。ここで、配管1は、図示しないガスGの供給元に接続されている本管(図示せず)から分岐したものであり、本管に流れるガスGを需要家宅のガス器具5にまで導くようになっている。配管1の経路中において、ガスメータ3の上流側には、ガスメータ3より下流側へのガスGの供給状態を切り換えるためのメータ元栓2が設けられている。また、配管1の経路中において、ガスメータ3とガス器具5との間には、ガス器具5に対するガスGの供給状態を切り換えるための器具栓4が設けられている。なお、ガスメータ3は、一般に、ガスGを利用する需要家宅の外部、例えば、メータ元栓2と器具栓4との間の配管1中に設置される。
【0019】
ガスメータ3は、ガスメータ3を設置した配管箇所において、配管1中を流れるガスGの総圧P10と静圧P1との差圧(以下、「動圧」ともいう。)ΔPを検出する差圧検出部10と、差圧検出部10によって検出されたガスGの動圧ΔPに基づいて、配管1中を流れるガスGの流量Qを算出する流量演算部40と、ガスメータ3より下流側へのガスGの供給状態を切り換えるための遮断弁6と、流量演算部40によって演算された積算流量Q2を表示する表示部7とを備えている。遮断弁6は、例えば、ガスGの使用にともなう需要家の安全性を確保するために、流量演算部40によって過大な流量値が算出された場合等の異常時に流路を遮断するようになっている。
【0020】
ここで、差圧検出部10が、本発明における「動圧検出手段」の一具体例に対応する。また、流量演算部40が、本発明における「流量演算手段」の一具体例に対応する。
【0021】
図2は、図1に示したガスメータ3の各部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【0022】
同図に示したように、差圧検出部10は、差圧ΔPを検出するためのガスGP1およびガスGP10 が導入される流量測定器20と、流量測定器20によって導かれたガスGP1およびガスGP10 に基づいて差圧ΔPを検出する差圧センサ11と、差圧センサ11の検出信号SΔPを増幅するアナログ増幅器13と、アナログ増幅器13によって増幅された信号をデジタル信号に変換するA/D(アナログ/デジタル)変換器14とを有している。
【0023】
差圧センサ11は、流量測定器20に設けられた後述する静圧測定管26(図3)から導かれたガスGP1の圧力(静圧)P1と、流量測定器20に設けられた後述する総圧測定管25(図3)から導かれたガスGP10 の圧力(総圧)P10との差圧ΔP(=P10−P1)を検出するようになっている。この差圧センサ11は、微少な差圧を測定可能で、且つ測定範囲が広いものであることが望ましく、例えば、IC(集積回路)化された静電容量型のセンサチップを用いて構成される。なお、差圧センサ11として用いられる静電容量型センサチップ60
(図5)の具体的な構成例については、後に図面を参照して詳述する。
【0024】
流量演算部40は、差圧検出部10からの差圧ΔPを示す検出信号を読み取ると共に、読み取った差圧ΔPの値に応じて切換信号SS1または切換信号SS2(以下、2つの信号SS1,SS2を総称して、単に「切換信号SS 」ともいう。)を出力する判定部41と、判定部41からの切換信号SS に応じて、端子Sを端子T1または端子T2のいずれか一方に接続させる切換スイッチ42と、端子T1および端子T2に接続され、瞬時流量Q1を演算する際に用いられる演算式FS ,FR を記憶する関数記憶部50と、切換スイッチ42に接続され、関数記憶部50に記憶されている演算式FS ,FR に基づいて、ガスGの流量Qを演算するCPU(中央処理装置)45とを備えている。流量演算部40は、更に、CPU45において演算された流量Qを記憶するRAM(ランダム・アクセス・メモリ)46と、CPU45に電力を供給するリチウムバッテリ47と、流量Qの測定に関わる時間計測を行うクロック48と、ガスGの使用にともなう需要家の安全性を確保するための安全機能部49とを備えている。ここで、判定部41が、本発明における「選択手段」の一具体例に対応する。
【0025】
関数記憶部50は、切換スイッチ42の一方の端子T1に接続された層流量域関数記憶部51と、切換スイッチ42の他方の端子T2に接続された乱流量域関数記憶部44とを有している。層流量域関数記憶部51は、層流量域における瞬時流量Q1を演算するのに適した演算式FS を記憶しており、ガスGの流動状態が層流状態である場合に判定部41によって選択されるようになっている。層流量域関数記憶部51は、乱流量域における瞬時流量Q1を演算するのに適した演算式FR を記憶しており、ガスGの流動状態が乱流状態である場合に判定部41によって選択されるようになっている。なお、演算式FS および演算式FR の具体的内容については、後述する。
【0026】
ここで、図3を参照して、配管1中を流れるガスGの流動状態とガスGの差圧ΔPとの関係について説明する。図3は、配管1中を流れるガスGの瞬時流量Q1と、ガスGの差圧ΔPとの相関関係を表している。なお、同図において、縦軸は差圧ΔPを示し、横軸は瞬時流量Q1を示している。同図において符号Cを付して示したように、ガスGの瞬時流量Q1と差圧ΔPとの相関関係は、所定の差圧ΔP0および所定の流量値QX によって決定される位置Xを境界として、差圧ΔPおよび瞬時流量Q1の値が小さい領域では、ほぼ直線的な比例関係となる。一方、位置Xを境界として、差圧ΔPおよび瞬時流量Q1の値が大きい領域では、差圧ΔPが瞬時流量Q1の2乗に比例した関係となる。
【0027】
ところで、前述したように、配管1中を流れるガスGの流動状態には、流量が小さい場合に生じる層流状態と、流量が大きい場合に生じる乱流状態とが存在する。前述の瞬時流量Q1と差圧ΔPとの相関関係の境界となる流量値QX は、ガスGの瞬時流量Q1が属する流量域が、層流量域から乱流量域へ、または乱流量域から層流量域へ変化する際の、ほぼ境界となる流量値に相当する。すなわち、図3に示したように、流量値QX を境界にして、瞬時流量Q1と差圧ΔPとの関係が直線的な比例関係となる流量域S(第1の流量域)は、層流量域となる。また、流量値QX を境界にして、瞬時流量Q1と差圧ΔPとの関係が2乗に比例した関係となる流量域R(第2の流量域)は、乱流量域となる。
【0028】
従って、ガスGの流量値がQX である場合に対応するガスGの差圧ΔP0もまた、ガスGの流動状態が変化する際の境界に相当することとなる。このガスGの流動状態が変化する際の境界に相当する差圧ΔP0を、以下では「基準動圧値」と呼ぶこととする。これらのことから、例えば、前述の差圧センサ11によって、ガスGの差圧ΔPを検出し、その差圧ΔPを基準動圧値ΔP0と比較することにより、ガスGの属する流量域が、層流量域であるか乱流量域であるかを判断することができる。
【0029】
なお、一般に、流体の流動状態が層流から乱流に変わる境界は、流量のみに関係するのではなく、流体の密度、粘度および流体が流れる管路の内径等にも関係する。これらの関係を考慮したものとして、レイノルズ(Reynolds)数RD と呼ばれるものが知られている。一般には、レイノルズ数RD =2320が、流体の流動状態が層流から乱流に変わる境界値とされている。上述の流量値QX は、このレイノルズ数RD =2320に相当する。
【0030】
再び、図2を参照してガスメータ3の各部の詳細な構成について説明すると、判定部41は、ガスGの流動状態を判断する指標となる基準動圧値ΔP0をあらかじめ内部に記憶している。また、判定部41は、差圧検出部10からの差圧ΔPを示す検出信号を読み取り、ガスGの差圧ΔPを示す信号をCPU45へ出力すると共に、差圧ΔPと基準動圧値ΔP0との値を比較するようになっている。このとき、判定部41は、差圧ΔPと基準動圧値ΔP0とを比較した結果、「ΔP<ΔP0」である場合には、ガスGの流動状態が層流状態であり、その流量域が層流量域に属していると判断する。一方、「ΔP≧ΔP0」である場合には、判定部41は、ガスGの流動状態が乱流状態であり、その流量域が乱流量域に属していると判断するようになっている。
【0031】
更に、判定部41は、上述の比較結果が、例えば「ΔP<ΔP0」である場合には、CPU45に対して層流量域の流量Qを演算するのに適した演算式FS を選択させるために、切換スイッチ42に対して切換信号SS1を出力し、切換スイッチ42の端子Sと端子T1とを接続させて、CPU45と演算式FS を記憶した層流量域関数記憶部51とを接続させるようになっている。一方、上述の比較結果が「ΔP≧ΔP0」である場合には、判定部41は、CPU45に対して乱流量域の流量Qを演算するのに適した演算式FR を選択させるために、切換スイッチ42に対して切換信号SS2を出力し、切換スイッチ42の端子Sと端子T2とを接続させて、CPU45と演算式FR を記憶した乱流量域関数記憶部52とを接続させるようになっている。
【0032】
CPU45は、クロック48から発生されるクロック信号に基づいて、所定の時間毎に、差圧検出部10からの出力値(差圧データ)ΔPと、判定部41が選択した関数記憶部50内の演算式(演算式FS ,FR のいずれか1つ)とを読み取ると共に、この読み取った差圧ΔPおよび演算式に基づいて、配管1中を流れるガスGの瞬時流量Q1を演算するようになっている。また、CPU45は、瞬時流量Q1を随時積算して、積算流量Q2を求め、その積算流量Q2の値を表示部7に出力するようになっている。なお、CPU45における具体的な瞬時流量Q1の演算内容については、後に詳述する。
【0033】
また、CPU45は、ガスGの使用にともなう需要家の安全性を確保するために、危険をともなうガスGの使用量(瞬時流量Q1)を判断する際の指標となる瞬時流量値(=基準流量値)QD をあらかじめ内部に記憶している。また、CPU45は、演算した瞬時流量Q1とあらかじめ記憶している基準流量値QD とを比較し、「Q1≧QD 」である場合には、需要家に対して危険をともなう過大な瞬時流量Q1を算出したと判断し、需要家へのガスGの供給を中断すべく、安全機能部47に対して遮断弁6の遮断を指示する遮断信号SI を出力するようになっている。
【0034】
安全機能部49は、過大な流量値が算出された場合等の異常時に、CPU45からの遮断信号SI に応じて、遮断弁6を駆動して流路を遮断させ、安全性を確保するようになっている。
【0035】
図4は、差圧検出部10に備えられた流量測定器20の具体的な構成例を示すものであり、流量測定器20を配管1中に設置した状態を示している。同図において、(A)は、流量測定器20を配管1の長手方向から見た状態を示し、(C)は、流量測定器20を配管1の長手方向に直交する方向から見た状態を示している。また、(B)は、(A)に示した流量測定器20におけるA−A′線断面図を表す。
【0036】
流体測定器20は、例えば、いわゆるピトー管と呼ばれる管状構造物によって構成されている。ピトー管は、異なる2カ所におけるガスGの静圧P1および総圧P10を検出し、その差圧(=動圧)ΔP(P10−P1)から、例えば、ガスGの流量を算出する際に用いられるものである。特に、図4に示した流量測定器20は、一般に、平均化ピトー管と呼ばれる構成のものであり、総圧P10を測定するための総圧検出孔29aが複数設けられた管状の総圧測定管25と、静圧P1を測定するための静圧検出孔29bが複数設けられた管状の静圧測定管26とを備えている。
【0037】
総圧測定管25と静圧測定管26とは、外管27によって、一体化された構造となっている。なお、外管27にも、総圧測定管25および静圧測定管26に設けられた総圧検出孔29aおよび静圧検出孔29b(以下、2つの検出孔29a,29bを総称する場合には、単に「圧力検出孔29」ともいう。)に対応する位置に複数の検出孔が設けられている。外管27の断面は、例えば、図4(B)に示したように、4つの角部がカーブ状を呈した菱形に類似の形状となっている。圧力検出孔29は、外管27における対向する2つの角部に設けられている。また、総圧測定管25および静圧測定管26の断面は、例えば、図4(B)に示したように、三角形状になっている。ただし、総圧測定管25および静圧測定管26の断面形状は、図示したものに限定されず、他の形状であっても良い。
【0038】
総圧検出孔29aおよび静圧検出孔29bは、それぞれ、図4(C)に示したように、例えば、一直線状に配設されている。圧力検出孔29は、例えば、中心部にある2つの孔30の中間点Oを通り、管の長手方向と垂直をなす中心線分31に対して、両側(図中では線分31に対して上下)に線対称に配置されていることが望ましい。なお、圧力検出孔29の位置は、中心線分31に対して上下に線対称に配置されているのであれば、上側および下側における複数の圧力検出孔29の各孔間隔は任意の間隔で構わない。また、圧力検出孔29の数は、設置される配管1の管径により異ならせることが望ましく、一般に2個から10個である。このとき、圧力検出孔29の数は、管径が大きいほど多く設けることが望ましい。図では、圧力検出孔29が6個(総圧検出孔29aおよび静圧検出孔29bが、それぞれ6個)である場合を示している。
【0039】
また、流量測定器20の配管1中における設置位置は、上記の中間点Oが配管1の断面の中心位置と一致していることが望ましい。また、図4(A)において、ガスGの流れが左から右方向に向かうとすると、流量測定器20は、総圧検出孔29aが、ガスGの流れに対して対向するように設置されることが望ましい。このとき、静圧検出孔29bは、ガスGの流れの影響を最も受け難い裏側に位置することとなる。よって、ガスGの流れに対向する側の圧力測定管は総圧測定管25となり、他方の圧力測定管は静圧測定管26となる。このような配置とすることにより、総圧測定管25の総圧検出孔29aには、総圧P10を及ぼすガスGP10 が導入されると共に、静圧測定管26の静圧検出孔29bには、静圧P1を及ぼすガスGP1が導入され、差圧センサ11において、配管1中を流れるガスGの2つの測定管25,26間における圧力差、すなわち「総圧P10−静圧P1=動圧ΔP」が検出されることになる。
【0040】
ところで、前述したように、一般に、配管1中を流れるガスGの流れには、図4(A)に示すように、配管1の断面位置に応じて不均一な流速分布70が生じる。すなわち、配管1中を流れるガスGの流速分布70は、流速が配管1の中心部で最も速く、配管1の壁面方向に近くなるにつれて遅くなるような分布となる。また、測定管の周囲に生じる圧力分布についても、一般に、図4(A)に示すように配管1の断面位置に応じて不均一な分布となる。すなわち、総圧測定管25側の総圧分布72および静圧測定管26側の静圧分布73は、圧力が配管1の中心部で最も大きく、配管1の壁面方向に近くなるにつれて小さくなるような分布となる。従って、配管1中に流れるガスGの圧力の検出は、ガスGの流れ方向に垂直な面における任意の1点(配管1の任意の断面位置)における圧力に基づいて検出することは適当ではなく、圧力分布を考慮して複数の点における圧力に基づいて検出し、平均化を図ることが望ましい。そこで、本実施の形態に係るガスメータ3における流量測定器20としては、例えば、図4に示した環状形の平均化ピトー管が好適である。なお、配管1中に設置される流量測定器20は、全体として一体化された事実上1本の管状構造物のみなので、流量測定器20による圧力損失は小さく、流量測定に対する影響は少ない。
【0041】
ここで、配管1中を流れるガスGの流量測定をする際に、流速分布70が存在する場合において平均化ピトー管を採用する利点は、次のようなものが挙げられる。図4に示した平均化ピトー管からなる流量測定器20をガスGが流れる配管1中に設置した場合、2つの圧力測定管25,26における各圧力検出孔29は、配管1内のガスGの流速分布70に対応した圧力を受けるため、ガスGの各半径方向位置における圧力検出部として機能する。これにより、各圧力検出孔29が受ける圧力は、配管1内の環状の面積に対応した圧力となり、2つの圧力検出管25,26において検出される圧力P10,P1は、配管断面積全体の平均流速71に対応した平均圧力となる。これにより、少数の測定点によって導かれる圧力に基づいて検出する場合に比べて、測定される圧力の平均化が図られ、正確な測定が可能とされる。
【0042】
図5は、差圧検出部10における差圧センサ11内部の静電容量型センサチップ60の構成例を示す断面図である。同図に示したように、静電容量型センサチップ60は、導電性を有する薄膜状のダイヤフラム61と、このダイヤフラム61の周辺部を両側から挟持するように配置された一対の絶縁部材62とを有している。一対の絶縁部材62の表面には、ダイヤフラム61と対向する部分に、それぞれ上部電極65および下部電極66が部分的に設けられている。絶縁部材62は、ダイヤフラム61の中央部分が変位可能となるような空洞(流体導入室64a,64b)を形成するようにダイヤフラム61の周辺部を両側から挟持している。絶縁部材62の中央部分には、流体導入室64a,64bに連通する流体導入孔67a,67bが設けられている。なお、上部電極65および下部電極66と、ダイヤフラム61とは、静電容量型センサチップ60における静電容量変化を読みとるための図示しないキャパシタンス計測器に接続されている。また、キャパシタンス計測器は、アナログ増幅器13(図2)に接続されるようになっている。
【0043】
絶縁部材62は、例えば、耐熱ガラス等のガラス部材によって形成されている。絶縁部材62に設けられた流体導入孔67aは、例えば、図4に示した流量測定器20における総圧測定管25に接続され、総圧P10を及ぼすガスGP10 を流体導入室64aに導くようになっている。一方、流体導入孔67bは、例えば、図4に示した流量測定器20における静圧測定管26に接続され、静圧P1を及ぼすガスGP1を流体導入室64bに導くようになっている。
【0044】
ダイヤフラム61は、例えば、シリコンを主材料として構成されている。また、ダイヤフラム61は、主材料となるシリコン等に、例えば、燐(P)やボロン(B)等の不純物を、拡散法やイオン打ち込み法等により注入することで、導電性を有するように構成されている。ダイヤフラム61の中央部分の両面63a,63bは、流体導入室64a,64bを形成するために、凹形状となっている。これらのダイヤフラム61の中央部分における凹形状部分は、例えば、エッチング等により形成される。これらのダイヤフラム61の中央部分における凹形状部分の表面は、電極を構成している。ダイヤフラム61において、流体導入室64a,64bを形成するための凹形状部分は、例えば、直径3〜8mm、深さ5〜15μm程度に形成される。また、凹形状部分を形成したダイヤフラム61の中央部分の厚さは、例えば、3〜8μm程度に形成される。なお、ダイヤフラム61は、例えば、数μm H2 O程度の極微圧でも変位するように極めて薄く形成され、高感度にされていることが望ましい。
【0045】
静電容量型センサチップ60は、ダイヤフラム61の一方の面63aと、これに対向する上部電極65とによって、静電容量が生じるようになっている。また、静電容量型センサチップ60は、ダイヤフラム61の他方の面63bと、これに対向する下部電極66とによって、静電容量が生じるようになっている。なお、静電容量型センサチップ60における静電容量は、例えば、流体導入室64a、64bにガスGが導入されていない場合に、ダイヤフラム61と両電極65,66間における静電容量が、同一となるように設定される。
【0046】
ここで、静電容量型センサチップ60によるガスGの動圧検出は、以下のように行われる。例えば、流体導入室64aには、図4に示した流量測定器20における総圧測定管25から総圧P10を及ぼすガスGP10 が流体導入孔67aを通じて導入される。一方、流体導入室64bには、図4に示した流量測定器20における静圧測定管26から静圧P1を及ぼすガスGP1が流体導入孔67bを通じて導入される。ダイヤフラム61は、流体導入孔67aから導入されたガスGP10 の圧力(総圧P10)と、流体導入孔67bから導入されたガスGP1の圧力(静圧P1)との差圧(動圧)に応じて変位する。ここで、ダイヤフラム61の変位量は、ガスGP10 によって生じた総圧P10による変位量と、ガスGP1によって生じた静圧P1による逆方向への変位量との総和、すなわちガスGの「総圧P10−静圧P1=動圧ΔP」に対応したものとなる。これにより、ダイヤフラム61と上部電極65および下部電極66との間に発生する2つの静電容量には、差異が生じる。この静電容量差を図示しないキャパシタンス計測部を介して計測することにより、配管1中を流れるガスGの動圧ΔPを検出することが可能となる。
【0047】
このような構成の静電容量型センサチップ60によれば、図3に示した乱流量域におけるガスGの流れによって生ずる差圧を検出することができると共に、図3に示した層流量域におけるガスGの微少な流れによって生ずる微少な差圧をも検出することが可能となる。このように、本実施の形態のガスメータ3では、微少な差圧を検出することが可能であるから、その差圧に基づいて、大流量から微少な流量まで広い測定範囲での測定が可能である。
【0048】
次に、本実施の形態に係るガスメータ3の動作を、図6および図7に示す流れ図に沿って説明する。
【0049】
まず、図6を参照して、ガスメータ3において、差圧ΔPを検出し、その差圧ΔPに基づいて、瞬時流量Q1および積算流量Q2を演算して表示するまでの動作について説明する。ガスメータ3は、例えば、配管1の経路中に設置されたメータ元栓2と器具栓4との間の配管箇所において流量測定を実施する。ガスメータ3は、まず、差圧検出部10において、流量測定器20を介して、配管1中を流れるガスGの総圧P10と静圧P1との差圧(動圧)ΔPを差圧センサ11によって検出する(ステップS101)。差圧センサ11からの動圧ΔPを示す検出信号SΔPは、アナログ増幅器13およびA/D変換器14を介して、流量演算部40内の判定部41に出力される。流量演算部40内の判定部41は、差圧センサ11によって検出された検出データ(動圧ΔP)を流量演算部40内のCPU45に送信する。
【0050】
次に、流量演算部40内の判定部41は、差圧センサ11によって検出された動圧ΔPと、あらかじめ判定部41の内部に記憶している基準動圧値ΔP0との比較を行い、検出された動圧ΔPの値が属する領域が、層流量域(第1の流量域)および乱流量域(第2の流量域)のうちのいずれの流量域に対応するかを判断する(ステップS102)。ここで、判定部41は、差圧ΔPと基準動圧値ΔP0とを比較した結果、「ΔP<ΔP0」である場合には、配管1中を流れるガスGの流動状態が層流状態であり、その流量が層流量域に属すると判断する。一方、「ΔP≧ΔP0」である場合には、判定部41は、ガスGの流動状態が乱流状態であり、その流量域が乱流量域に属していると判断する。
【0051】
まず、判定部41の判定結果が「ΔP<ΔP0」である場合、すなわちガスGの動圧ΔPが層流量域に属する場合について説明する。判定部41は、ガスGの動圧ΔPが層流量域に属する場合には、CPU45に対して層流量域の流量Qを演算するのに適した演算式FS を選択させるために、切換スイッチ42に対して切換信号SS1を出力し(ステップS103)、切換スイッチ42の端子Sと端子T1とを接続させて、CPU45と演算式FS を記憶した層流量域関数記憶部51とを接続させる(ステップS105)。次に、CPU45は、判定部41から入力された動圧データ(ΔP)を読み取り、判定部41が選択した層流量域関数記憶部51内に記憶されている演算式FS に基づいて、瞬時流量Q1を演算する(ステップS107)。CPU45によって演算された瞬時流量Q1は、流量演算部40内のRAM46に格納される。
【0052】
ここで、図3を用いて説明したように、層流量域においては、瞬時流量Q1と差圧ΔPとの関係が直線的な比例関係となるので、層流量域関数記憶部51内に記憶する演算式FS としては、以下の式(1)を用いることが適当である。なお、式(1)において、kはガスGの密度から定まる定数である。
【0053】
Q1=k×ΔP………(1)
【0054】
次に、判定部41の判定結果が「ΔP≧ΔP0」の場合、すなわちガスGの動朝ΔPが乱流量域に属する場合について説明する。判定部41は、ガスGの動圧ΔPが乱流量域に属する場合には、CPU45に対して乱流量域の流量Qを演算するのに適した演算式FR を選択させるために、切換スイッチ42に対して切換信号SS2を出力し(ステップS104)、切換スイッチ42の端子Sと端子T2とを接続させて、CPU45と演算式FR を記憶した乱流量域関数記憶部52とを接続させる(ステップS106)。次に、CPU45は、判定部41から入力された動圧データ(ΔP)を読み取り、判定部41が選択した乱流量域関数記憶部52内の演算式FR に基づいて、瞬時流量Q1を演算する(ステップS108)。CPU45によって演算された瞬時流量Q1は、流量演算部40内のRAM46に格納される。
【0055】
ここで、図3を用いて説明したように、乱流量域においては、瞬時流量Q1と差圧ΔPとの関係が2乗に比例した関係となるので、乱流量域関数記憶部52内に記憶する演算式FR としては、以下の式(2)を用いることが適当である。なお、式(2)において、kはガスGの密度から定まる定数である。
【0056】
Q1=k×ΔP1/2 ………(2)
【0057】
このように、本実施の形態に係るガスメータ3では、配管1中を流れるガスGが層流量域および乱流量域のうちのいずれの場合であっても、各流量域に適した演算式を選択的に用いるので、正確な瞬時流量Q1が演算されることになる。
【0058】
次に、CPU45は、RAM46に格納した瞬時流量Q1の値を、クロック48からのクロック信号に基づいて所定時間毎に随時積算して、積算流量Q2を演算する(ステップS109)。最後に、CPU45は、演算した積算流量Q2の値を表示部7に出力する。表示部7は、CPU45によって演算した積算流量Q2の値を表示する(ステップS110)。
【0059】
次に、図7を参照して、ガスメータ3における安全機能に係る動作について説明する。まず、CPU45は、図6を参照して説明した演算工程により演算された瞬時流量Q1と、あらかじめ内部に記憶している基準流量値QD とを比較し、「Q1≧QD 」の条件を満足するか否かを判定する(ステップS201)。ここで、「Q1≧QD 」でない場合(ステップS201;N)には、CPU45は、需要家に対するガスGの供給は、安全な範囲であると判断し、このステップを繰り返す。一方、「Q1≧QD 」である場合(ステップS201;Y)には、CPU45は、需要家に対して危険をともなう過大な瞬時流量Q1を検出したと判断し、需要家へのガスGの供給を中断すべく、安全機能部47に対して遮断弁6の遮断を指示する遮断信号SI を出力する(ステップS202)。安全機能部49は、CPU45からの遮断信号SI に応じて、遮断弁6を駆動して流路を遮断させ、需要家に対するガスGの供給を遮断する(ステップS203)。このようにして、需要家に対する安全性が確保される。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態に係るガスメータ3によれば、判定部41が、差圧検出部10によって検出された動圧ΔPの値が属する領域に応じて、配管1中を流れるガスGの流量Qの取得方法を選択し、この判定部41によって選択された流量Qの取得方法に基づいて、CPU45がガスGの流量を演算するようにしたので、動圧ΔPの値が属する領域が層流状態であるか乱流状態であるかに応じて、異なる演算方法で流量Qの演算を行うことが可能となり、ガスGの流動状態に関わらず単一の演算式を用いて瞬時流量Q1の演算処理をする場合と比較して、流動状態の変化により生じる測定誤差を回避することが可能となる。これにより、広い流量範囲にわたって、配管1中を流れるガスGの流量を精度良く測定することが可能となる。
【0061】
また、本実施の形態に係るガスメータ3によれば、差圧センサ11として、図5に示したような構成の静電容量型センサチップ60を用いるようにしたので、乱流量域におけるガスGの流れによって生ずる大きな動圧ΔPを検出することができると共に、層流量域におけるガスGの微少な流れによって生ずる微少な動圧ΔPをも検出することが可能となり、大流量から微少な流量まで広い測定範囲での流量測定に対応できる。更に、本実施の形態に係るガスメータ3によれば、ガスGの動圧ΔPを検出する手段として、例えば、平均化ピトー管から構成される流量測定器20を使用するようにしたので、配管1中を流れるガスGの流速に不均一な流速分布70(図4(A))が生じる場合においても、流量測定器20を介して差圧センサ11により検出されるガスGの動圧ΔPを、平均化して測定精度の低下を防止することができる。これにより、本実施の形態に係るガスメータ3では、ガスGの流速分布70により生じる測定誤差を回避することが可能となり、より精度の高い流量測定を行うことが可能となる。
【0062】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0063】
例えば、上記の実施の形態では、流量測定器20の一例として、環状の平均化ピトー管と呼ばれる構造のものについて説明したが、流量測定器20として用いるピトー管の構造は、環状の平均化ピトー管に限らず、砲弾形等の他の形状のものを使用しても良い。また、流量測定器20として、平均化ピトー管ではない他の構造のピトー管、例えば、配管1中を流れるガスGの任意の1点についてのみ測定可能であるものを使用することも可能である。この場合には、前述したガスGの流速分布70(図3)を改めて考慮しなければならず、例えば、整流格子等によりガスGの流速分布70を均一化することが望ましい。また、この際に生じる整流格子等の構造物による圧力損失は、別途設定し、総圧P0を算出するための演算式に対する補正を行うことが望ましい。
【0064】
また、例えば、上記実施の形態では、家庭用燃料ガスGの流量Qを測定する場合について説明したが、本発明は、家庭用燃料ガスG以外の他の気体の流量Qを測定する場合にも適用可能である。更に、本発明は、気体に限らず、家庭用水道水等の液体等、他の流体の流量Qを測定する場合にも適用可能である。
【0065】
更に、例えば、上記実施の形態では、瞬時流量Q1と共に積算流量Q2を測定する場合について説明したが、本発明は、単に瞬時流量Q1のみを測定するような場合にも適用可能である。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載のガスメータによれば、動圧検出手段によって検出された動圧の値が、層流量域および乱流量域のうちのいずれの流量域に対応するかを判断すると共に、その判断結果に基づいて、互いに異なる第1および第2の演算式のうち、配管中を流れる燃料用ガスの流量を演算するのに適したいずれか一方の演算式を選択し、その選択された演算式に基づいて、配管中を流れる燃料用ガスの流量を演算するようにしたので検出された動圧の値が属する領域に応じて、配管中を流れる燃料用ガスの流量の取得方法を選択的に変化させて流量を演算することが可能となり、広い流量範囲にわたって、配管中を流れる燃料用ガスの流量を測定することが可能となるという効果を奏する。
【0067】
また、請求項2または3に記載の流量計によれば、動圧検出手段によって検出された動圧の値が、層流量域および乱流量域のうちのいずれの流量域に対応するかを判断すると共に、その判断結果に基づいて、互いに異なる第1および第2の演算式のうち、配管中を流れる流体の流量を演算するのに適したいずれか一方の演算式を選択し、その選択された演算式に基づいて、配管中を流れる流体の流量を演算するようにしたので、動圧の値が属する領域に応じた流量の演算が可能となり、広い流量範囲にわたって、配管中を流れるガス等の流体の流量を測定することが可能となるという効果を奏する。
特に、配管中を流れる流体の流動状態が層流状態であるか乱流状態であるかに応じて、異なる流量の取得方法を選択し、流動状態の違いに応じた精度の良い流量測定を行うことが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る流量計としてのガスメータの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したガスメータの各部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図3】ガスの流量と差圧との相関関係を表す説明図である。
【図4】図1に示したガスメータにおける流量測定器の構成例を表す構成図である。
【図5】図1に示したガスメータにおける差圧センサとして用いられる静電容量型センサチップの構成例を示す断面図である。
【図6】図1に示したガスメータにおいて、差圧を検出してから流量を演算して表示するまでの動作手順を表す流れ図である。
【図7】図1に示したガスメータにおける安全機能に係る動作について説明するための流れ図である。
【図8】従来の流量計の構成を表す断面図である。
【符号の説明】
1 配管
2 メータ元栓
3 ガスメータ
4 器具栓
5 ガス器具
6 遮断弁
10 差圧検出部
11 差圧センサ
20 流量測定器
40 流量演算部
41 判定部
42 切換スイッチ
46 CPU
49 安全機能部
50 関数記憶部
51 層流量域関数記憶部
52 乱流量域関数記憶部
60 静電容量型センサチップ

Claims (3)

  1. 燃料用ガスが流れる配管中に配置されるガスメータであって、
    前記配管中の動圧を検出する動圧検出手段と、
    この動圧検出手段によって検出された動圧の値が、層流量域および乱流量域のうちのいずれの流量域に対応するかを判断すると共に、その判断結果に基づいて、互いに異なる第1および第2の演算式のうち、前記配管中を流れる燃料用ガスの流量を演算するのに適したいずれか一方の演算式を選択する選択手段と、
    この選択手段によって選択された演算式に基づいて、前記配管中を流れる燃料用ガスの流量を演算する流量演算手段と
    を備えたことを特徴とするガスメータ。
  2. 配管中の動圧を検出する動圧検出手段と、
    この動圧検出手段によって検出された動圧の値が、層流量域および乱流量域のうちのいずれの流量域に対応するかを判断すると共に、その判断結果に基づいて、互いに異なる第1および第2の演算式のうち、前記配管中を流れる流体の流量を演算するのに適したいずれか一方の演算式を選択する選択手段と、
    この選択手段によって選択された演算式に基づいて、前記配管中を流れる流体の流量を演算する流量演算手段と
    を備えたことを特徴とする流量計。
  3. 前記配管中を流れる流体の瞬時流量をQ1、前記配管中の動圧をΔPとすると、前記選択手段は、層流量域においては、以下の第1の演算式(1)を選択し、乱流量域においては、以下の第2の演算式(2)を選択する
    Q1=k×ΔP…(1)(ただし、kは定数)
    Q1=k×ΔP1/2 …(2)
    ことを特徴とする請求項記載の流量計。
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