JP3648681B2 - 管ヒータ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウェーハの洗浄工程や、ウエットエッチング工程等において使用され、薬液槽内に直接に投入されて薬液を加熱させる管ヒータ装置に関し、特に、薬液により溶解されて生じる管のピンホールを簡単に検出することが可能な管ヒータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体ウェーハの酸やアルカリ洗浄等の工程において、薬液槽内に塩酸や硫酸あるいは水酸化アンモニウムと過酸化水素水との混合薬液を投入しておき、ウェーハの洗浄時間を短縮し洗浄効率をあげるために、この薬液槽内にニクロム線(ニッケル−クロム合金線)等の電源電流を得てジュール熱を発する熱源を中空内部に配置させた例えば石英製の中空管を直接に投入配置させ、直接に薬液を加熱する方法が公知である。このような直接加熱によるウェーハ洗浄においては、洗浄液の活性が高くこのため洗浄効率を上げることができる反面、石英管の薄肉部分を徐々に溶解させピンホールを生じさせ、破損して穴あき状態とし、この結果、40℃ないし130℃程度に加熱された薬液が管内に流入し、数百度に灼熱されたニクロム線に接触すると強酸や強アルカリ性の薬液によりニクロム線は溶解し、重金属イオンを含む薬液が逆に槽内に入り、異常が検知されるまで、洗浄処理される。その結果、薬液槽内で処理された作業ロットすべてのウェーハが不良品となり、大きな損失をもたらすことがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これに対し、特開平7−106053号において、封止管を二重管構造として内管内にニクロム線を配置させ、内管と外管とに囲まれた空間を減圧ポンプにより減圧させ、外管にピンホールが発生して内部に浸入してきた薬液を吸引し、これを液体検出センサにより検出する構造のヒータ破損検出器が提案されている。しかしながら、この検出器では、石英管の二重管構造や、減圧ポンプ、トラップボックス、圧力調整器、レーザセンサ等を必要とし、製造コストが高価であるばかりでなく、常時ポンプ稼働による電力コストがかかり、さらに、液体検出センサによる検出精度についても確実性に欠ける等の点で問題があった。
【0004】
また、特開平10−199666号において、ニクロム線ヒータと管外部のヒータ電源とを接続する導線に電圧測定ユニット、電流測定ユニットを直接に接続し、さらに警報発生ユニットを中間に接続させた構造が示されている。しかしながら、この漏液センサ付き直熱型ヒータについても、電源から直接に電流、電圧を計測しかつ、抵抗値計算、閾値との比較判定が必要で、装置コストが高いという問題があった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、極めて簡単な構成で製造コストを大幅に低減でき、かつ、維持管理が簡単で、さらにピンホール検出精度の信頼性を向上させた管ヒータ装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の管ヒータ装置は、電源24に接続されて加熱される熱源14を封止管16内に配置させ管ごと薬液槽10内に配置される管ヒータ装置であり、封止管16内に閉回路の一部を開路させた状態で配置させた導電センサ30と、電源24と封止管16内の熱源14との間に設けられた開閉器26と、封止管16内に流入した薬液12による導電センサ30の導通信号を受けて開閉器26を開路させるコントローラ32と、を備え、封止管16は薬液槽10内の深さ方向に伸びる深さ方向延長部と、薬液槽10内の奥行き方向に伸びる奥行き方向延長部と、により鋭角な隅部を有するL字状に形成され、ふうし管の奥行き方向延長部の底壁外面部分が薬液槽の底か紅当節しないように焼く液槽内においてつま先上がり状に傾斜して配置保持されて構成される。
【0007】
また、封止管16の底壁には凹陥部28が設けられ、一部を開路させた導電センサ30はこの凹陥部28内に臨ませて配置されてなることとしてもよい。
【0008】
また、コントローラ32には導電センサ30の導通信号により外部に警報音を発生させる警報装置34が接続されてなることとしてもよい。
【0009】
また、導電センサ30は封止管16の内面底壁側に配置された2個の導電端子30a、30bであることとしてもよい。
【0010】
さらに、凹陥部28は封止管の深さ方向延長部の直下部にあたる底壁13aに設けられ、かつ、管幅よりも小さな幅で断面円弧状に形成されて構成すると良い。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照しつつ本発明による管ヒータ装置の好適な実施形態を詳細に説明する。図1ないし図3は、本発明の第1実施形態を示しており、図において、薬液槽10内に薬液12が投入充填されており、この薬液内に浸漬するように、熱源14(ヒータ)を内部に配置させた石英製の封止管16が直接に投入配置されている。薬液は、塩酸や硫酸と過酸化水素水を混合した酸液や、水酸化アンモニウムと過酸化水素水を混合させたアルカリ性液が投入される。この中に、図示しない複数のウェーハを搭載させたウェーハボートを浸漬させ、薬液を加熱させて研磨残渣やその他の付着物洗浄を行なうようになっている。
【0012】
実施形態において、石英管としての封止管16は略L字形状に曲げれらており、奥行き方向Wへの延長部としての横管部18と深さ方向Pへの延長部としての縦管部20からなっている。そして、縦管部20内に図示しない碍子で保護されたリード線22が配置され、さらに横管部内にリード線22に接続されて螺旋状に巻いた状態で直線状に延長した熱源としてのカンタル線が横管部の長さいっぱいに延長して配置されている。カンタル線の先端は螺旋の中空部内に絶縁を施した状態で直線状に戻されて縦管部20内を延長し、封止管16の封止栓15から外部に引き出されて電源24に接続されている。電源用リード線22と外部に配置された電源24との中間には電磁開閉器26が接続されている。
【0013】
図1、図2において、封止管16の深さ方向延長部となる縦管部20内に閉回路の一部を開路させた状態で2個の導電線の流入薬液検出用導電端子30a、30bが先端を互いに所要の間隔で離隔させた状態で、しかも共に凹陥部28の内部に臨ませるように配置されている。これらの導電端子30a、30bが導電センサ30を構成している。導電線は互いに電気的に絶縁を確保されるように図示しない碍子が外表面を保護された状態で縦管部内を配線され、封止管のL字先端の横配管の先端に取りつけられた封止栓15から外部に引き出された引出線により延長されている。引出線には例えば、シーケンサやリレー回路からなるコントローラ32が接続され、封止管16内に流入した薬液による導電センサ30の導通信号を受けて後述する開閉器26を開動作させる。実施形態においてコントローラ32は、導電センサ30の導通信号を受けて開閉器26を開路させたり、外部に警報を発生させる順序制御を行なうようになっている。
【0014】
このように、封止管16内に閉回路の一部を開路させた状態で導電センサ30を配置し、電源24と封止管16内の熱源14との間に設けられた開閉器26と、封止管16内に流入した薬液12による導電センサ30の導通信号を受けて開閉器26を開路させるコントローラ32と、を設けているから、封止管内に流入する薬液の検出センサ構成が極めて簡単なものとなり、低コストで製造し得るとともに、薬液が実際に封止管内に流入することによりこれらの薬液の存在を媒介として具体的に導電センサが信号を出力するようにしているから検出が確実で、しかも高精度に検出作用を実現させる。
【0015】
この実施形態において、図2、3に示すように中空円筒管として構成された封止管16のL字の縦管部20の直下部にあたる底壁13a部分には該底壁13aから下方に向けて凹陥された凹陥部28が形成されている。そして、図1に示すように、凹陥部28内に閉回路の一部を開路させた状態で2個の導電線の導電端子30a、30bが先端を互いに離隔した位置でしかも共に凹陥部28の内部に臨ませるように配置されている。
【0016】
この実施形態において、底壁13から単に長樋状、あるいは船底状に凹陥して凹陥部28が形成されている。凹陥部28は、半球状のくぼみとしても良い。封止管16内の底壁に凹陥部28を形成することにより、その凹陥内部に薬液や水蒸気等の液体が滞留し、この凹陥部内に予め導電センサを配置させておけば、薬液流入の検出をより確実に行なえる。また、この凹陥部の周辺の底壁部分について、例えば図3の破線で示すように横管部18側から封止管16のL字隅部17にかけて斜面を形成し、この斜面に連接されてL字隅部に凹陥部28を設けるようにしてもよい。斜面により、仮にピンホールから薬液が封止管16内に流入したときに薬液や蒸発した水分が凹陥部28内に流入しやすくなる。
【0017】
凹陥部28の取り付け位置は縦管部20の直下部に限定されるものではない。例えば、横管部18の先端や中間位置の底壁に設けてもよい。また、封止管自体を波状やU字状に曲折した構成として、その曲りの最下端部分を凹陥部として用いてもよい。L字状の封止管の場合には、例えば縦管部と横管部との接続部分を直角状にせず、ある程度鋭角状に設定して横管部18が水平面に対して斜面を形成するように配置させ、薬液が流入した場合に凹陥部28内に早期にかつ確実に流入させるようにしてもよい。
【0018】
この実施形態において、凹陥部28はL字の縦管部20の直下部にあたる底壁13aに設定されている。これによって、仮に薬液が流入し熱源と接触して生じる水蒸気が瞬時に縦管部20内に上昇し縦管部の管内壁に水滴Lが付着して滴下し、凹陥部28内に流入させるようにしている。
【0019】
図1において、封止管16内の熱源とこれに電力を供給する電源24との中間位置には電磁開閉器26が設けられ、この電磁開閉器26はコントローラ32と電気的に連係されている。コントローラ32からの遮断信号により熱源への電力供給回路を開いて熱源の加熱を停止させる。
【0020】
実施形態において、コントローラ32には導電センサ30の導通信号により外部に警報音を発生させる警報装置34が接続されており、導電センサからの導通信号によりコントローラ内の例えばトランジスタスイッチが導通し、警報装置34から外部にブザー等の警報音を発生させる。
【0021】
次に、本発明の管ヒータ装置の作用について説明すると、例えば図1の横管部18のいずれかの位置にピンホールが生じ、薬液槽10内の薬液が封止管16内に導入された場合、封止管内と加熱された薬液との温度差により薬液の一部はガス化し、水蒸気となって蒸発する。また、発熱体としての熱源の電源のスイッチング動作状態に対応し薬液が液体のままで管内に流入する場合がある。この場合、導電端子30a、30bは管内に流入した薬液を導通の媒体として導通信号を発生し、回路を閉じて信号をコントローラに供給する。
【0022】
また、凹陥部28を封止管16の内部底壁に設置した場合には、底壁13に設けられた薬液の溜り部としての凹陥部28内に液体としての薬液や滴下水蒸気が流入し、薬液内を電気が導通して導通センサ30a、30b間が導通し、回路を閉じて導通信号がコントローラ32に供給される。コントローラ内の例えばリレーのトランジスタスイッチが導通し、遮断信号を電磁開閉器26に供給して開閉器26のb接点を開き、直ちに電源24から封止管内の熱源14への電力供給を停止させる。同時に、コントローラ32から警報装置34へ警鳴信号が供給され、外部に警報音を発して、周辺の作業者に封止管のピンホール発生を知らせる。これによって、作業者は直ちに薬液槽10内から封止管16を取り出して熱源と反応した液体の薬液槽内への流出を未然に防止できる。
【0023】
次に、図4に基づき、本発明の管ヒータ装置の第2の実施形態について説明するが、前記した第1の実施形態と同一部材には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。この実施形態では、封止管は薬液槽内の深さ方向に伸びる深さ方向延長部としての縦管部20と、薬液槽内の奥行き方向に伸びる奥行き方向延長部としての横管部18と、を有し、横管部18は縦管部20に対しつま先上がり状に傾斜させる構造としている。実施形態では、封止管16は略L字形状のL字管で構成され、横管部18は垂直方向に垂下して薬液槽10内に設けられた縦管部20の下端から鋭角で横方向に伸びるように設置されている。この場合、横管部18が傾斜部分36を構成している。この構成では、ピンホールを生じた封止管16から薬液が流入した場合に確実に傾斜した横管の内部底壁に沿って傾斜部分に案内されながら傾斜端側に流下する。したがって、例えば薬液の流下端としての縦管部20と横管部18との隅部17に導電センサ30を配置しておけば、薬液の流入検出を行なえる。
【0024】
以上、本発明による石英管ヒータ装置の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の本質を逸脱しない範囲の変更は本発明に含まれる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の管ヒータ装置によれば、電源に接続されて加熱される熱源を封止管内に配置させ管ごと薬液槽内に配置される管ヒータ装置であり、封止管内に閉回路の一部を開路させた状態で配置させた導電センサと、電源と封止管内の熱源との間に設けられた開閉器と、封止管内に流入した薬液による導電センサの導通信号を受けて開閉器を開路させるコントローラと、を備えた構成とすることにより、封止管内に流入する薬液の検出センサ構成が極めて簡単なものとなり、低コストで製造し得るとともに、薬液が実際に封止管内に流入することによりこれらの薬液の存在を媒介として具体的に導電センサが信号を出力するようにしているから検出が確実で、しかも高精度の検出作用を実現させる。
【0026】
また、封止管は薬液槽内の深さ方向に伸びる深さ方向延長部と、薬液槽内の奥行き方向に伸びる奥行き方向延長部と、を有し、奥行き方向延長部は深さ方向延長部に対しつま先上がり状に傾斜した傾斜部分を有する構成とすることにより、ピンホールを生じた封止管から薬液が流入した場合に傾斜した横管の内部底壁に沿って傾斜部分により確実に薬液を傾斜端側に流下案内するので導電センサによる検知の確実性を確保し得る。
【0027】
また、封止管の底壁には凹陥部が設けられ、一部を開路させた導電センサはこの凹陥部内に臨ませて配置されてなる構成とすることにより、センサによる薬液流入の検出精度を向上させ、さらに検知を確実に行なわせる。
【0028】
また、コントローラには導電センサの導通信号により外部に警報音を発生させる警報装置が接続されてなる構成とすることにより、ピンホール発生後直ちに作業者が封止管ごと引き上げて薬液内に不純物が混入するのを防止できる。これにより、作業者はウェーハの洗浄やエッチング作業も停止させることが可能となり、ウェーハへの金属汚染の拡大を防止できる。
【0029】
また、導電センサは封止管の内面底壁側に配置された2個の導電端子である構成とすることにより、検出用のセンサ端子の構成が銅線等の凹陥部内への配置だけで実現でき、製造コスト容易で部品数も少なく、また、保守、点検が容易である。
【0030】
さらに、封止管は深さ方向延長部と奥行き方向延長部を含む略L字状に曲げられて形成され、凹陥部は深さ方向延長部の直下部にあたる底壁に設けられてなることとすることにより、導電センサを縦管部内に垂直状に配置させるだけで良く、センサの端子の凹陥部への位置設定を含む取り付け作業を簡単に行なえる。また、ピンホール発生により薬液が管内に浸入して熱源用の金属に接触した場合でも、薬液の蒸発による水蒸気が縦管部の管内壁に瞬時に貼り付き、これが滴下して確実に凹陥部内に導入され、導電センサの検出を確実に行なわせることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態の管ヒータ装置の概略構成説明図である。
【図2】 封止管の縦管部部分を示す一部省略拡大右側面図である。
【図3】 封止管の縦管部部分を示す一部省略拡大正面図である。
【図4】 本発明の第2実施形態の管ヒータ装置の概略構成説明図である。
【符号の説明】
10 薬液槽
12 薬液
14 熱源
16 封止管
13 底壁
18 横管部
20 縦管部
24 電源
26 開閉器
28 凹陥部
30 導電センサ
30a、30b 導電端子
32 コントローラ
34 警報装置
36 傾斜部分
Claims (5)
- 電源に接続されて加熱される熱源を封止管内に配置させ管ごと薬液槽内に配置される管ヒータ装置であり、
封止管内に閉回路の一部を開路させた状態で配置させた導電センサと、
電源と封止管内の熱源との間に設けられた開閉器と、
封止管内に流入した薬液による導電センサの導通信号を受けて開閉器を開路させるコントローラと、を備え、
封止管は薬液槽内の深さ方向に伸びる深さ方向延長部と、薬液槽内の奥行き方向に伸びる奥行き方向延長部と、により鋭角な隅部を有するL字状に形成され、
封止管の奥行き方向延長部の底壁外面部分が薬液槽の底壁に当接しないように薬液槽内においてつま先上がり状に傾斜して配置保持されてなることを特徴とする管ヒータ装置。 - 封止管の底壁には凹陥部が設けられ、
一部を開路させた導電センサはこの凹陥部内に臨ませて配置されてなる請求項1記載の管ヒータ装置。 - コントローラには導電センサの導通信号により外部に警報音を発生させる警報装置が接続されてなる請求項1又は2記載の管ヒータ装置。
- 導電センサは封止管の内面底壁側に配置された2個の導電端子である請求項1ないし3のいずれかに記載の管ヒータ装置。
- 凹陥部は封止管の深さ方向延長部の直下部にあたる底壁に設けられ、かつ、管幅よりも小さな幅で断面円弧状に形成されたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の管ヒータ装置。
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- 2000-06-01 JP JP2000164189A patent/JP3648681B2/ja not_active Expired - Lifetime
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