JP3648669B2 - 岩盤内貯蔵施設およびその構築方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、岩盤内に高圧気体や液体を貯蔵するために用いられる岩盤内貯蔵施設およびその構築方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地下の岩盤空洞をそのまま利用し、空洞周辺の地下水圧により、液体あるいは高圧気体を貯蔵する、いわゆる水封方式を用いた貯蔵施設が実現している。
図2は、このような水封方式を用いた貯蔵施設の原理を示すための図である。図中に示す貯蔵施設1は、岩盤2内に形成された貯蔵槽3を有した構成とされており、貯蔵槽3には、貯蔵物の受け入れおよび払い出しを行うための管路4と、貯蔵気体圧力を一定に保つためのウォータベット5のレベルを調整するための水の供給・排出用の管路6とが備えられている。
このような貯蔵施設1においては、貯蔵気体Gの内圧P1より地下水圧P2が大きいことにより、気体Gの高圧貯蔵が実現される。
【0003】
このように、水封方式を用いた貯蔵施設においては、地下水と貯蔵物とが直接接触するとともに、貯蔵圧より地下水圧を高くして、高圧貯蔵が実現される構成とされている。したがって、自然に存在する地下水だけでは十分な地下水圧を得ることが困難な場合には、空洞周辺の岩盤に対して人工的に地下水を供給してやる必要がある。
【0004】
図3は、このように空洞周辺の岩盤に対して人工的に地下水を供給してやる、いわゆる人工水封方式を用いた岩盤内貯蔵施設の具体例を示したものである。図2中に示す岩盤内貯蔵施設8は、例えば、プロパンやブタン等の高圧気体を貯蔵する目的で構築されたものであり、岩盤2を掘削することにより設けられたトンネル状の貯蔵槽3,3と、これら貯蔵槽3,3と地表面9とを連通するように設けられるとともに、岩盤2を掘削して貯蔵槽3,3を形成する際の作業用通路として使用されるトンネル状の作業坑10とを備えた構成とされている。
【0005】
なお、貯蔵槽3の一方は、地表面9から60〜90m程度の深度に設けられたブタン貯蔵槽とされ、もう一方は、地表面9から100〜150m程度の深度に設けられたプロパン貯蔵槽とされている。
【0006】
作業坑10は、トンネル本体10aと、トンネル本体10aから分岐して貯蔵槽3に至る分岐部10b,10b,…とを備えた構成とされており、分岐部10bの中途には、貯蔵槽3内に高圧気体を封じ込めるためのプラグ12,12,…が設けられている。
【0007】
さらに、貯蔵槽3と地表面9とを結ぶように、配管竪坑13,13が設けられ、配管竪坑13,13内には、貯蔵槽3への気体の供給および貯蔵槽3からの気体の排出を行うための、図示しない配管が配置されている。また、配管竪坑13,13の下端部13a,13aには、プラグ14が設けられ、これにより、貯蔵槽3内から配管竪坑13,13を介して高圧気体が外部へ漏れることが防がれる。
【0008】
また、作業坑10のトンネル本体10aから分岐して、貯蔵槽3の上方に至るように水封トンネル16が設けられている。水封トンネル16は、貯蔵槽3と略平行に配置されるとともに、水封トンネル16から貯蔵槽3側へ向けて、ボーリング孔17,17,…が設けられた構成とされている。この際、ボーリング孔17,17,…は、貯蔵槽3の延在方向と略直交する方向に配置される。
なお、作業坑10は、施設の完成後には水で満たされることとされる。
【0009】
このような岩盤内貯蔵施設8において人工水封を施す際には、水封トンネル16に水を満たすことよって、貯蔵槽3の周囲の岩盤2に対してボーリング孔10,10,を介して水を供給することとし、これにより、岩盤2において十分な地下水圧が得られるようにする。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように人工水封を施す場合、人工水封の設置に先んじて貯蔵槽3を掘削して形成すると、貯蔵槽3の掘削に伴って、岩盤2内の自然地下水が失われてしまうことがある。この場合、その後に水を補充して地下水圧を高めようとしても、非常に時間がかかるか、または、補充が不可能であるため、人工水封が必要な場合には、貯蔵槽3の掘削を開始する以前に人工水封を設置しておく必要がある。
【0011】
しかしながら、人工水封の設置それ自体にも相当の時間を要するために、貯蔵槽3の掘削をなかなか開始することができず、これにより貯蔵槽3の工程に悪影響が及ぼされるという問題が発生している。
【0012】
そこで、貯蔵槽3の掘削を早期に開始するために、図4に示すように、まず、貯蔵槽3の掘削開始対象位置周辺の岩盤2にむけて延出するボーリング孔17に対して水を注入し、次いで、ボーリング孔17の基端部17aにパッカー18を設置して、水封トンネル16側からパッカー18に挿通されたパイプ19を介して水圧を採用させるといった手法も採用されている。しかし、この手法においては、水封トンネル16側に水が漏出する心配がある。
【0013】
また一方、上述のような岩盤内貯蔵施設8においては、岩盤2内において十分な地下水圧を得るため水位トンネル11側から水圧を作用させようとする場合には、水封トンネル16と作業坑10との間に、作業坑10側に水が漏出することを防止するための強度の高いプラグを設置する必要がある。したがって、このようなプラグ設置にかかる時間およびコストが必要となってしまう。
【0014】
そこで、図5に示すように、水封トンネル16と作業坑10との間に堰20を設け、水封トンネル16内に水を満たすのみとする手法を採用することも多いが、この手法では、岩盤2内において十分な地下水圧が得られず、水封が完全でない可能性が高い。
【0015】
また、上述の岩盤内貯蔵施設8においては、水封トンネル16を新鮮岩盤中に設置することとなるために、地層の変化が激しい場合には、地層の変化の少ない深部の位置に合わせて水封トンネル16を設置する必要があり、これにより、貯蔵槽4の設置深度が必要以上に大きくなり、建設コストの増大を招く懸念がある。
【0016】
さらに、岩盤貯蔵施設8においては、水封トンネル16を作業坑10から分岐した構成としたために、水封トンネル16が長くなり、工期を早める必要性から大型機械が必要となり、このため、トンネル断面が大きくなり、ずり処分も多く不経済となるだけでなく、地下水位も下がる可能性があり、グラウド等の対策を実施しなければならないという問題点がある。
【0017】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、貯蔵槽の掘削を開始する以前に、人工水封を完全に設置することが可能であるとともに、建設にあたってのコストも嵩むものとならないような岩盤内貯蔵施設およびその構築方法を提供することを課題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明においては以下の手段を採用した。
すなわち、請求項1記載の岩盤内貯蔵施設は、岩盤内を掘削することにより形成された貯蔵槽と、該貯蔵槽と地表面とを連通するように設けられて前記岩盤を掘削して貯蔵槽を形成する際の作業用通路として用いられる作業坑とを備えてなる岩盤内貯蔵施設であって、
前記貯蔵槽の周囲に位置する岩盤に対して水圧を作用させるための水供給坑が、前記地表面から掘り下げられた立坑と、該立坑から側方へ延出するように設けられた横坑からなり、前記作業坑と独立して設けられていることを特徴とする。
【0019】
上記のような構成とされるために、この岩盤内貯蔵施設においては、水供給坑の構築と同時に作業坑を構築することにより、貯蔵槽の掘削を開始する以前に水封を設置することが可能である。
【0020】
請求項2記載の岩盤内貯蔵施設は、請求項1記載の岩盤内貯蔵施設であって、
前記貯蔵槽は、少なくとも一方向に延在する構成とされ、
該貯蔵槽の延在方向に沿って、前記水供給坑が複数設けられていることを特徴とする。
【0021】
上記のような構成とされるために、この岩盤内貯蔵施設においては、貯蔵槽の掘削を開始しようとする位置から順次人工水封を設置していくことができる。
【0022】
請求項3記載の岩盤内貯蔵施設は、請求項1または2記載の岩盤内貯蔵施設であって、
前記横坑は、該横坑から延出するボーリング孔を備えた構成とされていることを特徴とする。
【0023】
上記のような構成とされているために、この岩盤内貯蔵施設においては、立坑および横坑をボーリング機械を搬入可能な大きさに形成すればよく、これら立坑および横坑を大規模なものとする必要がない。
【0024】
請求項4記載の岩盤内貯蔵施設の構築方法は、岩盤内を掘削することにより形成された貯蔵槽と、該貯蔵槽と地表面とを連通するように設けられて、前記岩盤を掘削して貯蔵槽を形成する際の作業用通路として用いられる作業坑とを備えてなる岩盤内貯蔵施設を構築するための構築方法であって、
前記地表面から前記作業坑を掘削すると同時に、前記地表面を掘り下げて立坑を形成し、該立坑から側方へ向けて横坑を形成し、さらに、該横坑から前記貯蔵槽の形成対象位置の周囲の岩盤に向けてボーリング孔を形成することにより、これら立坑、横坑、およびボーリング孔からなる水供給坑を形成し、
該水供給坑内に水を供給することによって、少なくとも前記ボーリング孔側から前記岩盤に対して水圧を作用させておき、
しかる後に、前記貯蔵槽の掘削を開始することを特徴とする。
【0025】
この岩盤貯蔵施設の構築方法においては、貯蔵槽の掘削以前に、貯蔵槽設置対象位置の周囲の岩盤に対して、完全に水封を設置することが可能であり、また、水封を設置するための水供給坑の構築作業を、作業坑の掘削と同時に行うことができるために、貯蔵槽の掘削工程に影響が及ぼされる心配がない。
【0026】
請求項5記載の岩盤内貯蔵施設の構築方法は、請求項4記載の岩盤内貯蔵施設の構築方法であって、
一の前記貯蔵槽に対して複数の前記水供給坑を設ける構成となっており、
これら水供給坑を、前記岩盤内における前記貯蔵槽の掘削開始対象位置の周辺側から前記貯蔵槽の掘削方向に向けて順次設けていくとともに、各前記水供給坑の掘削作業が終了するごとに、該水供給坑内に水を供給することにより、前記岩盤に人工的に水圧を作用させる作業を順次行っていき、
これら作業の進行に合わせて、前記岩盤内における前記水圧を作用させた部位を順次掘り進めていくことにより、前記貯蔵槽を完成させることを特徴とする。
【0027】
上記のような構成とされるために、この岩盤内貯蔵施設の構築方法においては、
貯蔵槽の掘削作業の進行に応じて、順次人工水封を設置していくことが可能であり、貯蔵槽が大規模であり、人工水封の水封の設置に比較的時間を要する場合において、水封の設置工程を、貯蔵槽の掘削工程と同時に進めていくことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一例を、図面を参照して説明する。
なお、この実施の形態において、従来例として示した岩盤内貯蔵施設8と共通する構成については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。
【0029】
図1に示す岩盤内貯蔵施設21は、従来のものと同様に、岩盤2を掘削することにより設けられたトンネル状の貯蔵槽3と、貯蔵槽3と地表面9とを連通するトンネル状の作業坑10とを備えた構成とされている。また、作業坑10は、トンネル本体10aと、トンネル本体10aから分岐して貯蔵槽3に至る分岐部10b,10b,…とを備えた構成とされており、分岐部10bの中途には、貯蔵槽3内に高圧気体を封じ込めるためのプラグ12,12,…が設けられた構成とされている。さらに、貯蔵槽3と地表面9とを結ぶように、配管竪坑13,13が設けられ、配管竪坑13,13内には、図示しない配管が設置されるとともに、配管竪坑13,13の下端部13a,13aには、プラグ14,14が設けられた構成とされている。
【0030】
岩盤内貯蔵施設21が、従来の岩盤内貯蔵施設1と異なる点は、従来の水封トンネル16の代わりに、岩盤2内に水を供給するための水供給坑22が作業坑10と独立して設けられている点である。
【0031】
水供給坑22は、地表面9を掘り下げることによって形成された立坑24と、立坑24の下端部24aから側方へ延出するとともに、貯蔵槽3の上方に位置する横坑25と、横坑25から延出する複数のボーリング孔26,26,…を備えた構成とされている。また、図中に示すように、ボーリング孔26,26,…は、
横坑25をその基端部26aとして、その先端部26bが貯蔵槽3周辺の岩盤2に至る構成とされている。
【0032】
なお、これら立坑24、横坑25、およびボーリング孔26からなる水供給坑22は、貯蔵槽3の延在方向(図中A方向)に沿って複数(例えば2箇所)設けられている。
【0033】
以上が本実施の形態の主要な構成であるが、次に、岩盤内貯蔵施設21の構築方法についてを説明する。
まず、地表面9から岩盤2内の貯蔵槽3設置対象位置に向けて作業坑10および水供給坑22の掘削を開始する。このとき、水供給坑22は、貯蔵槽3の掘削開始対象位置である端部3a(図1参照)の周辺の岩盤2に設置されるものを先に設けることとする。
【0034】
水供給坑22の形成は以下のように行われる。すなわち、まず、立坑24および横坑25を掘削し、これら立坑24および横坑25の掘削が終了したら、横坑25内に図示しないボーリング機械を搬入して、横坑25から延出するようにボーリング孔26,26,…を形成する。そして、ボーリング孔26,26,…の掘削の終了後に、ボーリング機械を水供給坑22から搬出し、その後、水供給坑22内に水を注入することにより、ボーリング孔26,26,…を通じて岩盤2に対して水圧を作用させる。これにより、岩盤2内の貯蔵槽3の端部3a側において人工水封が設置されることとなる。
【0035】
また、このように、岩盤2内の貯蔵槽3の端部3a周辺において人工水封が設置されたら、貯蔵槽3の掘削をその端部3a側から図1中B方向に向けて開始する。
【0036】
また、貯蔵槽3の掘削を開始する一方で、すでに設置の完了した水供給坑22に対して貯蔵槽3の掘削進行方向(図1中B方向)側に位置するように、あらたに別の水供給坑22を形成する。そして、水供給坑22の掘削が終了する都度、水供給坑22に対して水を供給してやることによって、岩盤2内において貯蔵槽3の端部3a側からB方向に順次人工水封が設置されるようにする。
【0037】
また、貯蔵槽3の掘削は、岩盤2内において上述のように人工水封の設置が終了した部位から順次行うこととし、人工水封の設置作業の進行に合わせて、貯蔵槽3をB方向に順次掘り進めていき、最終的に貯蔵槽3を完成させる。
さらに、その一方で、貯蔵槽3の掘削と同時に、地表面9側から配管竪坑13の掘削を合わせて行うこととする。
【0038】
貯蔵槽3および配管竪坑13の掘削が終了したら、作業坑10の分岐部10b,10b,…に対してプラグ12,12,…を設置するとともに、配管竪坑13内に図示しない配管を設置し、さらに、配管竪坑13の下端部13aに対してプラグ14を設置する。その後、作業坑10を水で満たすとともに、貯蔵槽3内に対してブタンまたはプロパンを供給し、施設の供用を開始する。
【0039】
上述の岩盤内貯蔵施設21においては、水供給坑22が作業坑10と独立して設けられているために、作業坑10と水供給坑22の掘削を同時並行的に行うことができ、これにより、貯蔵槽3の掘削工程が人工水封の設置工程に影響されることなく、全体の工期を短縮することが可能である。
【0040】
さらに、横坑25および立坑24内の水位を増加させるだけで、岩盤2に対して高い水圧を作用させることができるため、容易に高い水圧を作用させて水封を完全に行うことができる。また、この際、従来とは異なり、ボーリング孔26から作業坑10側に水が漏出する心配がないため、プラグや堰等の余分な対策費が必要とならない。
【0041】
また、水供給坑22を貯蔵槽3の延在方向に複数設けることとしたために、これら複数の水供給坑22により、岩盤2内において貯蔵槽3の掘削を開始する端部3a側から順次人工水封を設置することができ、人工水封の設置作業に合わせて貯蔵槽3を掘り進めていくことにより、工期をより一層短縮化することが可能である。さらに、水供給坑22の掘削用の機械を他の水供給坑22を掘削する際にも転用することができることから、水封設置に係るコストの削減を図ることができる。
【0042】
また、上述の岩盤内貯蔵施設21においては、水供給坑22を立坑24、横坑25、およびボーリング孔26,26,…からなる構成としたために、長尺のボーリング機械を用いるようにすれば、横坑25の位置を必要以上に深くする必要がなくなる。さらに、立坑24および横坑25の寸法は、ボーリング機械を搬入して稼働できるだけの大きさに形成すればよく、これらのことにより、従来に比較して、掘削土量およびずり処分量を少なくすることができ、なおかつ、工期を短縮化することができる。したがって、従来に比較して建設コストの削減を図ることができる。
【0043】
さらに、ボーリング機械の能力を選定することによって、横坑25の深さ位置を限定する必要がなくなり、これにより、横坑25を、岩盤2内における掘削の容易性や地質の安定性等を勘案して最良の位置に設置することが可能である。
【0044】
また、上述の岩盤内貯蔵施設21の構築方法においては、作業坑10を掘削すると同時に水供給坑22を形成し、さらに、水供給坑22を用いて岩盤2内に対して人工的に水圧を作用させた後に、貯蔵槽3の掘削を開始する構成とされているために、作業坑10の掘削工程と水供給坑22の掘削工程とを同時期に行うことができ、作業坑10の掘削工程の後に行われる貯蔵槽3の掘削工程が人工水封の設置工程の進行状況に影響を受ける心配がない。これにより、従来に比較して、工期を短縮化することが可能である。
【0045】
さらに、上述の岩盤内貯蔵施設21の構築方法は、貯蔵槽3の延在方向に水供給坑22を順次形成していき、岩盤2内において貯蔵槽3の延在方向に人工水封を順次設置していく構成とされており、なおかつ、人工水封の設置作業の進行状況に合わせて、順次貯蔵槽3を掘削していくこととしたため、貯蔵槽3が大規模で人工水封の設置に比較的時間がかかる場合においても、貯蔵槽3の構築作業と人工水封の設置作業を同時並行的に行うことによって、工期の短縮化を図ることができる。さらに、この場合、水供給坑22の掘削に必要な機械を、別の水供給坑22を形成するにあたって順次転用していくことが可能であるために、建設コストの削減を併せて図ることができる。
【0046】
なお、上記実施の形態において、岩盤内貯蔵施設21の各所の構造や、その構築方法等について、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、他の構成を採用するようにしてもよい。
【0047】
例えば、上記実施の形態において、岩盤内貯蔵施設21は、プロパン及びブタンの双方を貯蔵する施設とされていたが、その代わりに、プロパンまたはブタンのいずれか一方を貯蔵する施設としてもよく、さらに、他の気体または液体を貯蔵する施設とするようにしても構わない。
また、上記実施の形態において、作業坑10は、トンネル状に形成された構成とされていたが、その代わりに作業坑10を立坑として形成するようにしてもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る岩盤内貯蔵施設においては、水供給坑を立坑と横坑からなる構成とし、水供給坑を作業坑と独立して設けたために、作業坑と水供給坑の掘削を同時並行的に行うことができ、これにより、貯蔵槽の掘削工程が人工水封の設置工程に影響されることなく、全体の工期を短縮することが可能である。
さらに、水供給坑内の水位を増加させることにより、岩盤に対して高い水圧を作用させることができ、水封を完全に行うことができる。また、この際、従来とは異なり、作業坑側に水が漏出する心配がなく、プラグや堰等の余分な対策費が必要とならない。
【0049】
請求項2に係る岩盤内貯蔵施設においては、水供給坑を貯蔵槽の延在方向に複数設けることとしたために、これら複数の水供給坑により、岩盤内において貯蔵槽の掘削を開始する端部側から順次人工水封を設置することができ、従来、人工水封の設置に比較的時間を要していた場合においても、人工水封の設置作業に合わせて貯蔵槽を掘り進めていくことにより、工期の長期化を避けることが可能である。さらに、この場合、水供給坑の掘削用の機械を他の水供給坑を掘削する際にも転用することができ、これにより、水封設置に係るコストの削減を図ることができる。
【0050】
請求項3に係る岩盤内貯蔵施設においては、水供給坑を立坑、横坑、およびボーリング孔からなる構成としたために、長尺のボーリング機械を用いるようにすれば、横坑の深度を大きくする必要がなくなる。さらに、立坑および横坑の寸法は、ボーリング機械を搬入して稼働できるだけの大きさに形成すればよく、これらにより、従来に比較して、掘削土量およびずり処分量を少なくすることができ、なおかつ、工期を短縮化することができ、従来に比較して建設コストの削減を図ることができる。
さらに、ボーリング機械の能力を選定すれば、横坑の深さ位置を限定する必要がなくなるため、横坑を、岩盤内における掘削の容易性や地質の安定性等を勘案して最良の位置に設置することが可能であり、これにより、従来に比較して施設の施工性および安定性の向上を図ることができる。
【0051】
請求項4に係る岩盤内貯蔵施設の構築方法によれば、作業坑を掘削すると同時に水供給坑を形成し、さらに、水供給坑を用いて岩盤内に対して人工的に水圧を作用させた後に、貯蔵槽の掘削を開始する構成とされているために、作業坑の掘削工程と水供給坑の掘削工程とを同時期に行うことができ、作業坑の掘削工程の後に行われる貯蔵槽の掘削工程が、人工水封の設置工程の進行状況に影響を受ける心配がない。これにより、従来に比較して、工期を短縮化することが可能である。
【0052】
請求項5に係る岩盤内貯蔵施設の構築方法によれば、貯蔵槽の掘削方向に複数の水供給坑を順次形成していき、これにより、岩盤内において貯蔵槽の掘削方向に人工水封を順次設置していくとともに、人工水封の設置作業の進行状況に合わせて、順次貯蔵槽を掘り進めていく構成としたため、貯蔵槽が大規模で人工水封の設置に比較的時間がかかる場合においても、貯蔵槽の構築作業と人工水封の設置作業を同時並行的に行うことによって、工期の短縮化を図ることができる。さらに、この場合、水供給坑の掘削に必要な機械を、別の水供給坑を形成するにあたって順次転用していくことが可能であるために、建設コストの削減を併せて図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を模式的に示す岩盤内貯蔵施設の斜視図である。
【図2】 本発明の従来の技術に係る原理を説明するための、貯蔵施設の断面図である。
【図3】 本発明の従来の技術を示すための人工水封方式を用いた岩盤内貯蔵施設の斜視図である。
【図4】 図3に示した岩盤内貯蔵施設において、ボーリング孔内に注入された水に対して水圧を作用させる際の状況を示す、ボーリング孔の基端部の拡大断面図である。
【図5】 図3に示した岩盤内貯蔵施設において、水封トンネルに水を満たした際の状況を示す断面図である。
【符号の説明】
2 岩盤
3 貯蔵槽
9 地表面
10 作業坑
21 岩盤内貯蔵施設
22 水供給坑
24 立坑
25 横坑
26 ボーリング孔
Claims (5)
- 岩盤内を掘削することにより形成された貯蔵槽と、該貯蔵槽と地表面とを連通するように設けられて前記岩盤を掘削して貯蔵槽を形成する際の作業用通路として用いられる作業坑とを備えてなる岩盤内貯蔵施設であって、
前記貯蔵槽の周囲に位置する岩盤に対して水圧を作用させるための水供給坑が、前記地表面から掘り下げられた立坑と、該立坑から側方へ延出するように設けられた横坑からなり、前記作業坑と独立して設けられていることを特徴とする岩盤内貯蔵施設。 - 請求項1記載の岩盤内貯蔵施設であって、
前記貯蔵槽は、少なくとも一方向に延在する構成とされ、
該貯蔵槽の延在方向に沿って、前記水供給坑が複数設けられていることを特徴とする岩盤内貯蔵施設。 - 請求項1または2記載の岩盤内貯蔵施設であって、
前記横坑は、該横坑から延出するボーリング孔を備えた構成とされていることを特徴とする岩盤内貯蔵施設。 - 岩盤内を掘削することにより形成された貯蔵槽と、該貯蔵槽と地表面とを連通するように設けられて、前記岩盤を掘削して貯蔵槽を形成する際の作業用通路として用いられる作業坑とを備えてなる岩盤内貯蔵施設を構築するための構築方法であって、
前記地表面から前記作業坑を掘削すると同時に、前記地表面を掘り下げて立坑を形成し、該立坑から側方へ向けて横坑を形成し、さらに、該横坑から前記貯蔵槽の形成対象位置の周囲の岩盤に向けてボーリング孔を形成することにより、これら立坑、横坑、およびボーリング孔からなる水供給坑を形成し、
該水供給坑内に水を供給することによって、前記ボーリング孔を通じて前記岩盤に対して人工的に水圧を作用させておき、
しかる後に、前記貯蔵槽の掘削を開始することを特徴とする岩盤内貯蔵施設の構築方法。 - 請求項4記載の岩盤内貯蔵施設の構築方法であって、
一の前記貯蔵槽に対して複数の前記水供給坑を設ける構成となっており、
これら水供給坑を、前記岩盤内における前記貯蔵槽の掘削開始対象位置の周辺側から前記貯蔵槽の掘削方向に向けて順次設けていくとともに、各前記水供給坑の掘削作業が終了するごとに、該水供給坑内に水を供給することにより、前記岩盤に人工的に水圧を作用させる作業を順次行っていき、
これら作業の進行に合わせて、前記岩盤内における前記水圧を作用させた部位を順次掘り進めていくことにより、前記貯蔵槽を完成させることを特徴とする岩盤内貯蔵施設の構築方法。
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JP32676297A JP3648669B2 (ja) | 1997-11-27 | 1997-11-27 | 岩盤内貯蔵施設およびその構築方法 |
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JP32676297A JP3648669B2 (ja) | 1997-11-27 | 1997-11-27 | 岩盤内貯蔵施設およびその構築方法 |
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JPH11158899A JPH11158899A (ja) | 1999-06-15 |
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Cited By (4)
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