JP3648442B2 - 研削砥石の製造方法、研削砥石の製造装置、及び研削砥石 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、研削砥石の製造方法、研削砥石の製造装置及び研削砥石、特に、製造が容易で、かつ砥石寿命の低下を防止することができると共に、再生が容易な研削砥石の製造方法、研削砥石の製造装置及び研削砥石に関する。
【0002】
【従来の技術】
研削加工は、焼き入れ鋼や超硬材料のような切削加工が困難な材料の加工に適用される。また、寸法精度、細かい表面粗さが要求される加工に適用される。この研削加工に使用される研削砥石は、一般に、炭化ケイ素(SiC)、酸化アルミニウム(Al2O3:アルミナ)、立方晶窒化ホウ素(cBN)等の超硬質の砥粒を無機質系(ビトリファイト)、有機質系(レジノイド)、金属質系(メタル)等の結合剤(ボンド)で保持する構造になっている。この他にダイヤモンド砥粒をプラスチックス、銅、鋳鉄等をボンドとして焼成したダイヤモンド砥石等がある。なお、特開平6−15571号公報には、SiCやAl2O3等の超硬粒子とダイヤモンドやcBN等の超砥粒を混合し、金属や樹脂、セラミックス等の結合材で固めた複合砥粒を形成し、基材に金属や樹脂、セラミックス等の結合材で接着した研削材等の開示がある。
【0003】
そして、研削加工では、上述のような研削砥石の表面に突出した砥粒が、加工物の送り分だけ、または、研削砥石の切り込み量分だけ切削を行い、加工物の表面を仕上げていく。
【0004】
このような研削加工は、例えば、近年の高い生産効率が要求される自動車部品の製造において、後加工の不要な完成品に近い状態で成形加工が行える超精密金型(ニアネットシェイプ金型やネットシェイプ金型)の製作に大きく貢献しており、また必要不可欠な加工法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、多くの部品用鍛造金型の加工精度への要求が高まるにつれ、研削砥石への改善要求も高まっている。
【0006】
金型に使用するような高硬度材料の研削加工には、ダイヤモンド・メタルボンド砥石やcBN・メタルボンド砥石等の電着砥石が用いられるが、精密型用の砥石ほど砥粒粒度は高く(粒径が小さく)なり、砥石台座に砥粒を固定する場合に使用する結合材との結合強度が低下する傾向がある。その結果、精密加工用砥石は、砥粒が研削加工によって磨耗する前に研削抵抗によって脱落する頻度が高くなり、砥石寿命が短くなってしまうという問題がある。また、メタルボンド砥石において、砥粒を砥石台座に固定している結合剤が、銅、黄銅、ニッケル、鉄等の金属粉末を焼結することによって砥粒を固定したり、電鋳や電気メッキ等の電着を行う時に金属と一緒に砥粒を固定しているため、砥粒の結合力(保持力)には物性的(硬度、靱性、引っ張り強さ等)な限界が存在し、特に、上述したような粒径の小さい砥粒は十分な保持力を得ることが困難であった。
【0007】
さらに、メタルボンド砥石等の電着砥石は、ダイヤモンド等の砥粒を一層のみしか形成できず、ドレッシングを行うことができないと共に、砥粒の磨耗脱落後は、電着層の剥離作業等を行わなければ砥粒の再固定を行うことができず、砥石の再生効率が著しく悪く、砥石は、1回のみの使用で廃棄となり経済効率が悪いという問題がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、製造が容易で、かつ砥石寿命の低下を防止することができると共に、再生が容易な研削砥石の製造方法、研削砥石の製造装置及び研削砥石を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の研削砥石の製造方法は、導電性粉体と絶縁性刃物粉体とを圧縮して圧縮成形体電極を形成する電極形成ステップと、前記圧縮成形体電極を放電加工液中で導電性の砥石台座に対向配置させ、その両者間で放電を発生させ、前記圧縮成形体電極の導電性粉体を溶融し絶縁性刃物粉体と共に前記砥石台座に気孔を形成しながら堆積固着させる固着ステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、上記のような目的を達成するために、本発明の研削砥石の製造装置は、放電加工液を満たした処理槽と、導電性粉体と絶縁性刃物粉体とを圧縮成形した圧縮成形体電極と当該圧縮成形体電極に対面配置した導電性の砥石台座とを前記放電加工液中で相対移動させる移動手段と、前記圧縮成形体電極と砥石台座との間で放電を発生させ、前記圧縮成形体電極の導電性粉体を溶融し絶縁性刃物粉体と共に前記砥石台座に気孔を形成しながら堆積固着させる放電制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、上記のような目的を達成するために、本発明の研削砥石は、絶縁性刃物粉体と、放電加工液中で放電により溶融した導電性粉体の溶融塊と、導電性の砥石台座と、を含み、前記絶縁性刃物粉体を前記溶融した導電性粉体の溶融塊と共に前記砥石台座上に気孔を形成しながら多層堆積させて形成したことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、放電により導電性粉体を溶融させることにより、その溶融塊と共に絶縁性刃物粉体が圧縮成形体電極から分離する。この時、溶融した導電性粉体は砥石台座の表面に溶融堆積し、表面改質及び硬質被膜の被覆、そして肉盛り的な堆積加工を行うことになり、溶融した導電性粉体は結合剤として機能し、その内部及びその表面に絶縁性刃物粉体を多層的に保持固定する。その結果、絶縁性刃物粉体の粒径が小さい場合でも確実に絶縁性刃物粉体の保持(脱落防止)ができると共に、多層的に絶縁性刃物粉体の保持を行うので、絶縁性刃物粉体の磨耗や磨耗後に脱落した場合でも、ドレッシングにより下層の絶縁性刃物粉体を表面に容易に露出させ砥石として再生利用することができる。また、導電性粉体と絶縁性刃物粉体とから成る圧縮成形体電極を放電処理するのみで容易に絶縁性刃物粉体を砥石台座に固定して研削砥石を製造することができる。
【0013】
上記のような目的を達成するために、本発明の研削砥石の製造方法は、上記構成において、前記導電性粉体は、少なくともタングステンカーバイトとコバルトとを含む混合粉体であることを特徴とする。
【0014】
導電性粉体としてタングステンカーバイト(WC)とコバルトCoとの混合粉体を用いて形成した圧縮成形体電極により放電処理を行うことにより、数分で数百μm以上の堆積層を形成することができる。従って、研削砥石の製造を容易かつ迅速に行うことができる。また、WCとCoとを含む混同粉体で形成される結合剤はビッカース硬さHV800〜1400を有し、従来、電着に用いていた金属より高硬度を有する。その結果、絶縁性刃物粉体の保持性を向上させることが可能で、摩耗前の絶縁性刃物粉体の脱落を低減し、研削砥石の寿命を向上させ得る。
【0015】
上記のような目的を達成するために、本発明の研削砥石の製造方法は、上記構成において、前記砥石台座に堆積固着される絶縁性刃物粉体間に形成される気孔の量は、前記電極形成ステップの圧縮成形体電極形成時の圧縮力または、前記固着ステップの放電条件の少なくとも一方を制御することにより調整することを特徴とする。
【0016】
ここで気孔とは、絶縁性刃物粉体間に形成される空隙で、砥石の目づまりを防止するために必要不可欠なものである。そして、前記圧縮成形体電極を低い圧縮力で作成すると、電極の密度が低くなり、放電時の消耗量が大きくなる。つまり大きな溶融塊が形成され、砥石台座上に堆積するときに絶縁性刃物粉体の相互間に大きな空隙を形成し、気孔を大きくする。逆に、圧縮成形体電極を高い圧縮力で作成すると、電極の密度が高くなり、放電時の消耗量が少なくなる。その結果、溶融塊は小さくなり、砥石台座上に堆積するときに絶縁性刃物粉体の相互間を埋めて空隙を小さくする。すなわち、気孔を小さくする調整を行うことができる。また、放電条件を変化させることによっても放電時の電極消耗量を変化させることが可能で、上述と同様に気孔の大きさを調整することができる。
【0017】
上記のような目的を達成するために、本発明の研削砥石の製造方法は、上記構成において、前記混合粉体の少なくともコバルトを電解処理し、砥石表面を所定量ドレッシングすることを特徴とする。
【0018】
ここで、結合剤として機能するWCやCoは導電性材料であるため、電解加工が可能である。特に、Coは、非常に低電圧(例えば、4〜10V)で容易に電解し易いことが知られている。従って、WC及びCoで構成される結合剤は、電解によりCoを溶かすことで、WCを含む結合剤を所望量だけ除去し、上層部に位置する磨耗した絶縁性刃物粉体を脱落させ、下層部の新たな絶縁性刃物粉体を露出させて砥石の再生を容易に行うことができる。
【0019】
上記のような目的を達成するために、本発明の研削砥石の製造方法は、上記構成において、前記固着ステップは、前記研削砥石に絶縁性刃物粉体と溶融した導電性粉体を追加堆積させ、研削砥石の再生を行うことを特徴とする。
【0020】
もともと、溶融した導電性粉体及び絶縁性刃物粉体は、砥石台座に堆積させるのみであるため、研削砥石の磨耗が進んだ場合でも、その状態で、圧縮成形体電極を用いた放電処理を行うことにより、追加堆積を行うことができる。つまり、使用部分の除去等を行わなくても、新たな堆積により研削砥石の再生を容易に行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。
【0022】
図1は、本実施形態の研削砥石の製造装置10の概略構成を説明する説明図である。装置の基本構成は、従来の放電表面加工装置と略同一の構成を呈している。すなわち、放電加工液12aを満たした処理槽12の内部に、砥石の核となる砥石台座14を固定支持する支持台16が配置されている。本実施形態において、砥石製造は放電処理を用いるため砥石台座14は、導電性材料であり、例えば鋼材が用いられる。また、前記砥石台座14と対向する位置には、本実施形態において、特徴的事項の一つである圧縮成形体電極(以下、圧粉体電極という)18が昇降自在な支持ヘッド(移動手段)20によって支持されている。この支持ヘッド20と砥石台座14との間には、放電制御部22が配置されている。放電制御部22は、圧粉体電極18と砥石台座14との間(後述するが、砥石形成が進行した後には、砥石台座14上に堆積した圧粉体電極18の溶融物と圧粉体電極18の間)の放電状態を常に監視し、両者間に最適な放電を発生させるように、支持ヘッド20のフィードバック制御を行っている。もちろん、圧粉体電極18と砥石台座14との間の電流、電圧制御も行っている。さらに、放電制御部22は、放電処理が継続して行われると、圧粉体電極18と砥石台座14との間(砥石台座14上に堆積した圧粉体電極18の溶融物と圧粉体電極18の間)の放電加工液12aの絶縁性が低下するため、その絶縁性を回復するために、一定時間毎に、支持ヘッド20を昇降させ、フレッシュな放電加工液12aを供給している。
【0023】
本実施形態において使用する圧粉体電極18は、図2に示すように、導電性粉体24と絶縁性刃物粉体(以下、砥粒という)26とを圧縮して押し固めることによって形成している。本実施形態において、導電性粉体24は、TiCのようなチタン系化合物やジルコニウム系化合物でもよいが、好適には、タングステンカーバイド(WC)とコバルト(Co)との混合粉体がよい。一方、砥粒26としては、ダイヤモンドやcBN(立方晶窒化ホウ素)、Al2O3(酸化アルミニウム:アルミナ)、Si3N4(窒化ケイ素)等が単独または複合で使用される。なお、導電性粉体24は放電処理によって、溶融(場合によっては半溶融)し、結合剤として砥粒26を保持固定するが、WCとCoとを含む混同粉体で形成される結合剤はビッカース硬さHV800〜1400を有し(Coの含有量が少ない方が硬い)、従来、電着砥石で結合剤に用いられる鉄やニッケル等より硬度、弾性係数に優れ、前記砥粒26の保持性を向上することが可能になり、砥粒26が摩耗前に脱落することを抑制することが可能になり、研削砥石の寿命を向上させることができる。
【0024】
圧粉体電極18を製造する場合、前述した導電性粉体24と砥粒26の混合粉体を高圧、例えば、787.4〜117.6kN(8〜12tf)で型圧縮して形成する。
【0025】
このように形成された圧粉体電極18を、図1に示すように砥石台座14に対向配置し、所定の放電条件で放電処理を行う。放電を行うことにより、圧粉体電極18が消耗する。つまり、導電性粉体24が溶融(または半溶融)し溶融塊24aとなり放電加工液12a中を落下(実際は、放電の火花(電子)の流れに沿って移行)する。この時、導電性粉体24の消耗により砥粒26が圧粉体電極18から分離し、溶融状態の導電性粉体24と共に落下し砥石台座14上に堆積する。砥粒26は圧粉体電極18の中にランダムに存在するので、砥石台座14上においてもランダムに多層的に堆積する。実際の研削砥石を使用する場合に必要な砥粒26の堆積厚みは結合剤を含んで、20〜30μm(厚くても100μm程度で砥粒にアルミナを用いた場合でも35〜50μm)でよい。この堆積厚さは、放電時間を制御することにより容易かつ正確に管理することができる。
【0026】
また、本実施形態のように、放電表面処理を用いて、砥粒26の堆積を行う場合、放電加工液12a中で圧粉体電極18と砥石台座14と対向配置し、両者間で放電を発生させればよいので、砥石台座14の形状は、任意に選択可能である。例えば、図1に示すように、平面形状の砥石台座14に砥粒26を堆積させてもよいし、後述する図4に示すように円盤状の砥石台座を用いることもできる。また、被研削物の形状に応じた形状、例えば歯車形状の砥石台座を用いて、放電時間を正確に管理することにより、被研削物である歯車面を正確に研削するための歯車形状の研削砥石を作成することができる。なお、研削砥石の製造を行う場合の放電条件は、例えば、50〜100V、20〜25A、パルス幅5〜10μs、休止時間1000μs等である。
【0027】
このように、放電表面処理を利用することにより容易に所望の形状の研削砥石を製造することができる。
【0028】
ところで、製造された研削砥石により良好な研削を行うためには、図3に示すように、隣接する2つの砥粒26の間に、被研削物30から削り取った切り屑30aによる目づまりを防止する気孔32を形成する必要がある。本実施形態において、この気孔32は、図2に示すようにランダムに堆積する溶融塊24aと砥粒26によって形成することができる。つまり、様々な大きさの溶融塊24aや砥粒26によって、自然に気孔32が形成される。また、この気孔32の形成は、圧粉体電極18の形成状態によっても制御することができる。つまり、圧粉体電極18を形成する時、低圧で圧縮すると、圧粉体電極18の密度が低くなり、放電時の消耗量が大きくなる。その結果、大きな溶融塊24aが形成され、砥石台座14上に堆積するときに砥粒26の相互間に大きな空隙を形成し、気孔32を大きくする。逆に、圧粉体電極18を高い圧縮力で作成すると、圧粉体電極18の密度が高くなり、放電時の消耗量が少なくなる。その結果、溶融塊24aは小さくなり、砥石台座上に堆積するときに砥粒26の相互間を埋めて空隙を小さくする。すなわち、気孔を小さくする調整を行うことができる。さらに、放電条件を変化させることによっても放電時の電極消耗量を変化させることが可能で、上述と同様に気孔の大きさを調整することができる。
【0029】
このように、砥粒26と結合剤となる導電性粉体24の溶融塊24aの堆積作用によって気孔32を形成するので、気孔32は、図3に示すように、砥粒26が多層に堆積する堆積層内部にも形成され、後述するドレッシングを行った際にも、砥粒26相互間を良好に分離し切り屑30aの排出を良好に行えるようにしている。
【0030】
研削砥石を使用すると、表面に露出した砥粒26は、摩耗し尖った部分が無くなり研削精度や研削効率が低下する。また、摩耗により研削抵抗が高くなり砥粒26の脱落が発生しても研削精度や研削効率の低下を招く。従来の電着砥石の場合、メッキ等により砥粒を固定するため、砥粒は一層しか形成されていない。その結果、砥粒が摩耗した場合、その研削砥石をドレッシング等により再生することは不可能であった。また、一度メッキを完全に除去し、再度砥石を固定するためにメッキ加工を行うことも考えられるが、非常に手間がかかり、再生性が著しく悪かった。
【0031】
本実施形態においては、前述したように、砥粒26は多層に堆積しているため、ドレッシングを行うことにより、下層に位置する砥粒26を露出させ、容易に研削砥石の再生を行うことができる。さらに、本実施形態のように、結合剤となる導電性粉体24に、WCとCoとからなる混合粉体を用いた場合、ドレッシングを容易に行うことができる。すなわち、WCとCoは導電性であり容易に電解加工処理を行うことができる。特にCoは非常に電解し易い材料である。そのため、電解処理により非常に低電圧でCoを溶かすことができる。例えば、Coの除去によりWCを脱落させ、両者から成る結合剤を非常に簡単に所望量除去することができる。そして、下層の磨耗していない砥粒26を容易に露出させることが可能になる。つまり、電解加工処理によりドレッシングが可能になる。
【0032】
電解により研削砥石のドレッシングを行う場合、除去したい被加工物、すなわち研削砥石を陽極に接続し、電解液中で陰極に対向させる。この時、例えば、結合剤となる導電性粉体24に、WCとCoの混合粉体を用いている場合、4〜10V、1平行センチメートルあたり100〜1000A程度を印加することにより、Coを電解することができる。電解によりドレッシングを行う場合、電解条件によりドレッシング量を容易に制御可能であり、迅速かつ効率的な研削砥石の再生を行うことができる。また、ドレッシングを行う場合、電解処理の他、放電加工処理により導電性粉体で構成される結合剤を除去可能であり、同様にドレッシングを行うことができる。さらに、電解、放電以外の周知の方法によりドレッシングを行っても研削砥石の再生を行うことが可能である。なお、電解時の電圧を適宜選択することにより、ドレッシング状態を変化させることができる。上述のような低電圧より高い電圧で電解加工処理を行えば、WCも溶かすことも可能であり、完全にWCを除去し絶縁物質である砥粒26のみを表面に残した研削砥石にドレッシングすることができる。逆に、低電圧でCoのみを除去すれば、WCを表面に意図的に残すことも可能で、砥粒26及び硬質のWCを刃物として使用することもできる。砥粒として使用することもできる。この場合、ランダムに存在する砥粒26の欠落をWCで補うこともできる。さらに、表面に砥粒26を含まないような場合、残ったWCを刃物として利用することもできる。
【0033】
図4には、研削加工装置、研削砥石製造装置、再生のための電解加工装置を含む、複合加工装置34の構成概念図が示されている。図4においては、砥石台座14が円盤形状を呈した円盤形研削砥石を示している。複合加工装置34の中央には、図1に示す切削砥石の製造装置10と同等の製造装置36が配置されている。製造装置36においては、砥石台座14が支持ヘッド38によって昇降かつ回転自在に支持され、処理槽12の放電加工液12a中で前記砥石台座14に対向するように圧粉体電極18が固定配置されている。従って、電解によって圧粉体電極18が消耗すると放電の火花(電子)の流れに沿って溶融塊24aと砥粒26とが砥石台座14に向かって移行し堆積する。
【0034】
このような放電表面処理によって製造された研削砥石は、図4において、左側に示されるように、研削加工装置40の回転ヘッド42等により支持され、加工液供給ノズル44等から切削加工液(切削油や水溶性の加工液)の供給を受け、被研削物46の研削加工を行う。
【0035】
研削加工が実行され、研削砥石の砥粒26の摩耗や脱落により研削精度や研削効率が低下した場合、または、所定時間の研削加工が行われた後は、研削砥石の再生を行う。この場合、研削加工装置40において行っている研削加工が、高精度を必要としない研削の場合、研削砥石は、図4の右側の電解加工装置48に直接移動し、前述したように電解処理により、WCとCoで構成される結合剤を所定量除去し、研削砥石のドレッシングを行う。ドレッシングを行う場合、ドレッシング後の砥石形状が被研削物46の形状に適合するように、被研削物46と同等の形状を呈するダミー46aを用いて、研削砥石の表面形状を整えるようにすることが好ましい。なお、図4の電解加工装置48においては、電解液供給ノズル50を用いて、電解加工液を供給し電解を行っているが、電解加工液を満たした電解処理槽を用いて電解処理を行ってもよい。
【0036】
また、ドレッシングが複数回行われ、砥粒26の堆積層が無くなった場合には、使用済みの研削砥石を製造装置36に移動させ、その表面に砥粒26と結合剤となる導電性粉体24の溶融塊24aの堆積を行い、表面に新たな砥粒26を固定し、研削砥石の再生を行う。この時、必要に応じて、電解加工装置48に移動し、所定の形状、寸法にドレッシングしてもよい。
【0037】
一方、研削加工装置40において行っている研削加工が、高精度を必要とする研削の場合、ドレッシングを行うと、その分研削砥石の寸法が小さくなり、研削精度が低下したり、被研削物46との形状が一致しなくなったりする。この場合、使用済みの研削砥石を製造装置36に移動させ、その表面に砥粒26と結合剤となる導電性粉体24の溶融塊24aの追加堆積を行い、表面に新たな砥粒26を固定し、その後、電解加工装置48に移動し、所定の形状、寸法にドレッシングする。もちろん、先に多めにドレッシングを行い、その後、砥粒26等の追加堆積を行い再度、所定形状にドレッシングを行うようにしてもよい。
【0038】
このように、砥粒26が摩耗して研削砥石の再生を行う場合でも、直接砥粒26と結合剤となる導電性粉体24の溶融塊24aの追加堆積を行うことができるので、迅速かつ経済的な研削砥石の再生作業を行うことができると共に、図4に示すように複合加工装置を容易に構成することができる。
【0039】
なお、研削加工装置40における研削で水溶性の切削加工液を使用している場合、その加工液は、電解加工液としても使用可能なので、研削加工装置40と電解加工装置48と一つの装置として構成し、複合装置全体をシンプル化することもできる。
【0040】
本実施形態において、図示した装置構成は、構成概念を示すもので、放電表面処理を用いて砥粒26と結合剤となる導電性粉体24の溶融塊24aを砥石台座14に堆積させる構成であれば、装置の構成は任意であり、本実施形態と同様の効果を得ることができる。また、砥粒26や結合剤となる導電性粉体24も研削砥石の使用目的に応じて、任意に選択可能であり、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
なお、本実施形態においては、放電表面処理により絶縁性刃物粉体(砥粒26)を堆積層中に拡散させて研削砥石を作成する方法を述べたが、放電表面処理により同様な堆積処理を行うことにより、耐熱性や耐磨耗性(硬度)を必要とする物体に付加価値を容易に向上することができる。また、研削砥石の製造において使用したWCやCoからなる結合剤の堆積層は高い硬度を有するため、最表面層にcBNやアルミナを非常に高い割合で拡散させることにより、当該放電表面処理による堆積処理を切削工具や金型の表面処理に適用することもできる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、放電により導電性粉体を溶融させることにより、その溶融塊と共に絶縁性刃物粉体が圧縮成形体電極から分離し、当該溶融した導電性粉体を砥石台座の表面に溶融堆積させるので、堆積表面の表面改質及び硬質被膜の被覆、そして肉盛り的な堆積加工を行うことができる。そして、溶融した導電性粉体は結合剤として機能し、その内部及びその表面に絶縁性刃物粉体を多層的に保持固定する。その結果、絶縁性刃物粉体の粒径が小さい場合でも確実に絶縁性刃物粉体の保持(脱落防止)を行うことが可能で、研削砥石の寿命を向上することができる。さらに、多層的に絶縁性刃物粉体の保持を行うので、絶縁性刃物粉体の磨耗や磨耗後に脱落した場合でも、ドレッシングにより下層の絶縁性刃物粉体を表面に容易に露出させ砥石として再生利用することができる。また、導電性粉体と絶縁性刃物粉体とから成る圧縮成形体電極を放電処理するのみで容易に絶縁性刃物粉体を砥石台座に固定して研削砥石を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る研削砥石の製造装置の概略構成を説明する説明図である。
【図2】 本発明の実施形態に係る研削砥石の製造装置による砥粒の堆積状態を説明する説明図である。
【図3】 本発明の実施形態に係る研削砥石の製造装置により製造した研削砥石の拡大図である。
【図4】 本発明の実施形態に係る研削砥石の製造装置を含む複合加工装置の構成概念を説明する説明図である。
【符号の説明】
10 製造装置、12 処理槽、12a 放電加工液、14 砥石台座、16 支持台、18 圧縮成形体電極(圧粉体電極)、20 支持ヘッド、22 放電制御部、24 導電性粉体、24a 溶融塊、26 絶縁性刃物粉体(砥粒)。
Claims (8)
- 導電性粉体と絶縁性刃物粉体とを圧縮して圧縮成形体電極を形成する電極形成ステップと、
前記圧縮成形体電極を放電加工液中で導電性の砥石台座に対向配置させ、その両者間で放電を発生させ、前記圧縮成形体電極の導電性粉体を溶融し絶縁性刃物粉体と共に前記砥石台座に気孔を形成しながら堆積固着させる固着ステップと、
を含むことを特徴とする研削砥石の製造方法。 - 請求項1記載の方法において、
前記導電性粉体は、少なくともタングステンカーバイトとコバルトとを含む混合粉体であることを特徴とする研削砥石の製造方法。 - 請求項1または請求項2記載の方法において、
前記砥石台座に堆積固着される絶縁性刃物粉体間に形成される気孔の量は、前記電極形成ステップの圧縮成形体電極形成時の圧縮荷重または、前記固着ステップの放電条件の少なくとも一方を制御することにより調整することを特徴とする研削砥石の製造方法。 - 請求項2記載の方法において、
前記混合粉体の少なくともコバルトを電解処理し、砥石表面を所定量ドレッシングすることを特徴とする研削砥石の製造方法。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の方法において、
前記固着ステップは、
前記研削砥石に絶縁性刃物粉体と溶融した導電性粉体を追加堆積させ、研削砥石の再生を行うことを特徴とする研削砥石の製造方法。 - 放電加工液を満たした処理槽と、
導電性粉体と絶縁性刃物粉体とを圧縮成形した圧縮成形体電極と当該圧縮成形体電極に対面配置した導電性の砥石台座とを前記放電加工液中で相対移動させる移動手段と、
前記圧縮成形体電極と砥石台座との間で放電を発生させ、前記圧縮成形体電極の導電性粉体を溶融し絶縁性刃物粉体と共に前記砥石台座に気孔を形成しながら堆積固着させる放電制御手段と、
を含むことを特徴とする研削砥石の製造装置。 - 絶縁性刃物粉体と、
放電加工液中で放電により溶融した導電性粉体の溶融塊と、
導電性の砥石台座と、
を含み、
前記絶縁性刃物粉体を前記溶融した導電性粉体の溶融塊と共に前記砥石台座上に気孔を形成しながら多層堆積させて形成したことを特徴とする研削砥石。 - 請求項7記載の研削砥石において、
前記導電性粉体は、少なくともタングステンカーバイトとコバルトとを含む混合粉体であることを特徴とする研削砥石。
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