JP3646920B2 - 寄生虫感染魚からのすりみ製造法およびそのすりみの利用法 - Google Patents

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    • A23L17/70Comminuted, e.g. emulsified, fish products; Processed products therefrom such as pastes, reformed or compressed products

Description

【0001】
【産業の属する技術分野】
本発明は、イクチオフォヌスホフェリ感染魚からすりみを製造する方法ならびに得られたすりみを原料として練り製品を製造する方法に関する。
【0002】
【従来技術】
魚肉を利用したすりみ製造と練り製品事業は、全世界で行われるグローバルな産業となった。一方、漁獲規制などにより、従来経験のなかった原料を利用したすりみ製造も行なわれるようになってきた。
すりみ製造の基本は以下の通りである。魚肉のタンパク質からゲル形成性の阻害となる水溶性タンパク質を水晒しで除き、皮、筋、骨をリファイナーなどで除去後、脱水しゲル形成性の主要タンパク質の筋原繊維タンパク質を濃縮する。この脱水肉に冷凍変性防止剤の糖、糖アルコール及び重合りん酸塩を添加混合して冷凍するというものである。
【0003】
すりみを利用した練り製品の基本的な製造法は、冷凍すりみをある程度解凍後、カッターなどで塩を添加・混練し、さらに調味料、副原料などを混合後、成型、加熱し練り製品とする。練り製品の品質は、色々な角度から評価されるが、そのなかでも特徴的な物性で評価される部分が大きい。ゲル形成性の発現は、すりみの主要タンパク質である筋原繊維から塩ずりにより溶出するアクトミオシンタンパク質が重要な役割をなす。魚種により蒲鉾ゲルの物性が異なっているが、これら魚種特有のタンパク質性状や魚肉中に含まれる各種酵素の影響があることが知られている。
【0004】
すりみ原料となる魚種は多く、スケトウダラ(Theragra chalcogramma)、パシフィックホワイティング、ホッケ、イワシ、ミナミダラ、ホキ、グチ、キンメダイ、エソ、コガネガレイなどがよく利用されるものとして例示される。また、魚肉に寄生する寄生虫も多種あるが、魚肉のジェリー化が知られているのは限られた魚種、限られた寄生虫であった。
例えば、パシフィックホワイティング(Merluccius productus)やコガネカレイ(Limamda aspera)では、筋肉中に粘液胞子虫(Myxosporidian)が寄生し、筋肉プロテアーゼ活性が高く、加熱時に筋肉が溶けるジェリー化現象が知られている。これらの魚をすりみ原料とした場合、すりみから蒲鉾ゲルを形成するための加熱時にプロテアーゼが働き、ゲル主要タンパク質を分解するためにゲルを形成できないことになる。これに対しては、プロテアーゼインヒビターを使用したすりみ化技術が構築されている。(日本特許第1,473,166号、米国特許第4,284,653号)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、魚肉中に寄生虫のイクチオフォヌスホフェリ(Ichthyophinus hoferi)が寄生している魚から品質の安定したすりみを製造する方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、イクチオフォヌスホフェリが寄生した魚から製造したすりみを原料として品質のよい練り製品を製造する方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、イクチオフォヌスホフェリが寄生したスケソウダラからすりみを製造するに際し、プロテアーゼ活性を抑制しゲル形成性を回復させる添加剤を添加することを特徴とする寄生虫感染魚からのすりみ製造法を要旨としている。
上記の添加剤としてプロテアーゼインヒビターを用いており、必要によりさらにカルシウムを用いており、したがって、本発明は、イクチオフォヌスホフェリが寄生したスケソウダラからすりみを製造するに際し、プロテアーゼ活性を抑制しゲル形成性を回復させるために、プロテアーゼインヒビターを添加すること、必要によりさらにカルシウムを添加することを特徴とする寄生虫感染魚からのすりみ製造法を要旨としている。
イクチオフォヌスホフェリが寄生したスケソウダラからすりみを製造する場合、プロテアーゼ活性が高いすりみとなりゲル形成性が劣るので、このプロテアーゼ活性を抑制しゲル形成性を回復するためにプロテアーゼインヒビターを添加する。プロテアーゼの主体がチオールプロテアーゼであるので、好ましくはチオールプロテアーゼインヒビターを使用する。
【0007】
また、本発明は、イクチオフォヌスホフェリが寄生したスケソウダラから製造したすりみを原料として練り製品を製造するに際し、プロテアーゼ活性を抑制する添加剤を添加することを特徴とする練り製品の製造法を要旨としている。
上記の添加剤がプロテアーゼインヒビターであり、したがって、本発明は、イクチオフォヌスホフェリが寄生したスケソウダラから製造したすりみを原料として練り製品を製造するに際し、プロテアーゼ活性を抑制するために、プロテアーゼインヒビターを添加することを特徴とする練り製品の製造法を要旨としている。 プロテアーゼの主体がチオールプロテアーゼであるので、好ましくはチオールプロテアーゼインヒビターを使用する。
【0008】
【発明の実施の形態】
イクチオフォヌスホフェリ:筋肉中に斑点状のシスト形成。シストをスライドーグラスにとり、水滴を垂らして、カバーグラスにて潰し、光学顕微鏡観察した。厚膜多核球状体が確認されイクチオフォヌスホフェリの特徴を示していた。
【0009】
スケトウダラは、全世界のすりみ生産量の約7割を占める主要魚種であるが、パシフィックホワイティングなどに見られるような粘液胞子虫が原因となるすりみ品質低下に関する報告はなされていない。
本発明者らは、スケトウダラの筋肉中に粘液胞子虫ではなくイクチオフォヌスホフェリが寄生していることを産業的なレベルで確認した。
スケトウダラ筋肉へのイクチオフォヌスホフェリの寄生に関しては今回初めて本発明者らが確認したものである。 さらに、これら寄生虫が寄生している筋肉中のプロテアーゼ活性は、非常に高いレベルにあり、すりみ品質低下原因となることが本発明者らによってはじめて確認されたものである。
すなわち、スケトウダラの筋肉中にイクチオフォヌスホフェリが寄生して魚肉のゲル化を抑制することに関与しており、これら寄生虫がすりみを作るに当り作用する寄生虫であることを確認した。
【0010】
プロテアーゼ活性が高いすりみとなりゲル形成性が劣る原因となるイクチオフォヌスホフェリは本来魚類を主とする冷血脊椎動物に特有の寄生虫であり人間に寄生することはない。ここで確認された寄生虫は人間に寄生するものではなく、寄生している魚は食品として安全である。魚肉などの可食部に存在して、目について不快感を与えたり、魚肉を変質させてしまうものであるが、万一、魚肉とともに食しても人体には無害である。
【0011】
《プロテアーゼ活性を抑制しゲル形成性を回復させる添加剤》
また、これらのプロテアーゼ活性は、卵白、乳清、血漿タンパク質などの食品により抑制され、ゲル強度は回復することも本発明者らによって確認できている。すなわち、本発明においては、プロテアーゼ活性を抑制しゲル形成性を回復させる添加剤として、これらのプロテアーゼインヒビター効果をもつ食品あるいは食品添加物を使用する。食品としては、卵白、プラズマ、乳清、麹醗酵物、ポテト抽出物などである。上記の添加剤としてさらに任意の形態のカルシウムを用いることができる。
【0012】
《添加剤の添加について》
すりみ生産時にプロテアーゼインヒビター効果をもつ食品あるいは食品添加物を添加する工程は、すりみ製造のどの場面でも良いが、例えば、落し身への混合、水晒し液への添加、あるいは、脱水肉への添加工程で添加する。
また、筋肉中にイクチオフォヌスホフェリが寄生している魚肉から製造したすりみを用いて練り製品を製造する際に、プロテアーゼインヒビター効果を有する食品あるいは、食品添加物を練り工程で添加する。
寄生虫が寄生している筋肉から製造したすりみの品質を向上させるためには、特異的なプロテアーゼインヒビターを含む食品の添加が有効であることを本発明者らは発見した。
これらのインヒビターを添加する工程は、練り製品製造の加熱工程前までに混合できれば良い訳であるが、現実的には、▲1▼脱水肉に混ぜる▲2▼練り製品製造時のらい潰時に混合することになる。
卵白の添加量は、卵白中のプロテアーゼインヒビター活性(量)とすりみ中のプロテアーゼ活性の強さによるが、0.01%〜3%の範囲、適正添加量としては0.1%程度で十分な効果を発揮する。
プラズマの添加量は、卵白と理由は、同じであり、0.01%〜1.5%の範囲であるが、0.1〜0.4%で十分である。
乳清の添加量は、卵白と理由は、同じであり、0.01%〜3%の範囲であるが、0.4%程度が適量である。
【0013】
《寄生虫の確認》
寄生虫の確認は、フィレの目視による寄生虫感染率の調査により実施することができる。寄生虫が寄生している筋肉のプロテアーゼ活性を測定し、プロテアーゼ活性が高いことを確認する。その方法については、参考例に示した方法で簡単に行うことができる。
【0014】
次に、プロテアーゼインヒビター効果をもつ食品あるいは食品添加物を用いた練り製品の製造に際し、まずイクチオフォヌスホフェリが寄生している魚肉からすりみを製造した。すりみを調製するには、該プロテアーゼインヒビター効果をもつ食品あるいは食品添加物をすりみの製造に当り浸漬処理または添加混練処理などの接触処理し、以下通常のすりみの製造法に従い製造すればよい。それを用いる練り製品の製造も同様に通常の製造法に従い製造すればよい。
すなわち、イクチオフォヌスホフェリが寄生している魚を原料として、頭および内蔵を除去し、これを洗浄、水きり後、ローラー式採肉機などを用いて魚肉部分を採肉する。次いで水晒しを少なくとも1回以上行い、回転篩などで脱水する。リファイナー、裏漉機などにかけ、さらに小骨や鱗等を除去する。その後スクリュープレスで脱水して得られた脱水肉にプロテアーゼインヒビター効果をもつ食品あるいは食品添加物と要すればさらに糖類、縮合リン酸塩類などを加え、サイレントカッターなどで均一に混和、混練する。混練肉はすりみ充填機などを用いて成形包装し、生すりみ,あるいはさらに急速凍結して冷凍すりみを得る。
なお、水晒し工程の際に、水晒し液にプロテアーゼインヒビター効果をもつ食品あるいは食品添加物を含ませて魚肉にプロテアーゼインヒビターを接触処理しても良く、その場合は後の混練り時に該添加剤を加えても、加えなくともよい。添加剤の添加は、粉、液状でも良く、必要添加料は存在するプロテアーゼ活性に依存するが、上記の範囲で添加する。もちろん、プロテアーゼインヒビター効果をもつ食品あるいは食品添加物を混合して使用しても良い。
【0015】
次に、練り製品を調製するには、上記で得られる生または冷凍すりみを原料とし、生すりみの場合はそのままで、そして冷凍すりみの場合は解凍した後に、それぞれ食塩と調味料、要すれば澱粉、油脂、色素、植物蛋白、ゼラチン、結着剤、香辛料などを加えて、らい潰機またはサイレントカッターを用いてらい潰、混練し、成形し、包装し、または包装せずに加熱することにより、魚肉練り製品を得る。
あるいは魚肉すりみ製造に当り、プロテアーゼインヒビター効果をもつ食品あるいは食品添加物を混和することなく魚肉すりみを製造し、この添加剤不含の魚肉すりみを原料とし、練り製品のらい潰工程時に初めてプロテアーゼインヒビター効果をもつ食品あるいは食品添加物を添加してもよい。
【0016】
【作用】
《すりみ品質低下の原因を発見》
すりみ原料になる魚種は多く、魚肉に寄生する寄生虫も多種ある。ジェリー化が知られているのは限られた魚種、限られた寄生虫であった。今回見つかった寄生虫は従来の粘液胞子虫とは全く違ったもので、寄生虫としては知られていたが魚肉のプロテアーゼ活性に影響を与え、プロテアーゼ活性を高める原因となることは知られていない。スケトウダラヘのイクチオフォヌスホフェリの寄生および産業レベルで確認したのは本発明者らがはじめてである。
イクチオフォヌスホフェリが寄生している魚肉のプロテアーゼ活性は、非常に高いレベルにあること発見した。この様な報告例はない。特に、スケトウダラでは、皆無である。筋肉中のプロテアーゼ活性が高いとすりみ中のプロテアーゼ活性も高くなるため、蒲鉾など練り製品製造時の加熱工程で、プロテアーゼが働きゲル物性が低いものとなる。そのため、筋肉タンパク質自体は、ゲル形成性はあるもののプロテアーゼにより品質は、低いものとなって、魚肉タンパク質価値の低下を来してしまう。
【0017】
寄生虫は、全ての魚に寄生しているのではない。寄生していなければ筋肉中のプロテアーゼ活性は低く、通常の水晒しを行なうすりみ生産方法で問題無く品質の優れたすりみの生産ができる。従来は、ほとんど気付かない感染率であったものが、漁場や漁獲時期の規制・環境の変化などで感染が確認されるような感染率となってきている。それに伴ない、すりみ品質の低下を来たすようになった。あるいは、粘液胞子虫の感染では極端に悪くなるがイクチオフォヌスホフェリホフェリの感染では程度が悪くなるだけであり、すりみ品質の低下がわずかであり、感染が確認されないできた可能性もある。
【0018】
すりみ品質として求められるものは、安定した品質であることである。しかし、すりみ品質は、魚体の生理的な状態や鮮度などにより大きく影響される。
さらに、本発明により明らかになったように、魚肉中にイクチオフォヌスホフェリが寄生した魚をすりみ原料とした場合、魚肉中のプロテアーゼ活性が高くなるためにすりみのゲル形成性が低下することが認められた。しかし、このプロテアーゼ活性を抑制することによりゲル形成性が回復することが明らかとなり、水産資源のより有効的な利用方法が構築できた。
【0019】
【実施例】
本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0020】
参考例1
スケトウダラのフィレを各漁船漁獲毎に100枚づつサンプリングし、フィレ中にツブツブ状シストが存在するかどうか確認し、存在するものについて白シストの形態を観察した。
この様なシストが確認できるものは、海域によっては4〜20%感染していること確認した。シストをスライドグラスに取り、蒸留水を滴下してカバーグラスにてシストを押し潰し、400倍の光学顕微鏡にて観察したところ、イクチオフォヌスホフェリの感染が確認された。なお、粘液胞子虫の感染は確認されなかった。
【0021】
参考例2
スケトウダラ筋肉のプロテアーゼ活性を以下のようにして測定した。フィレ中にシストが認められるかどうか慎重に見分け、それらをサンプルとした。筋肉を細切したもの5gに0.1M NaCl 20mM Tris−HCl(pH 7.5)溶液20ml加え、氷水中で冷却しながらホモジナイズした。これを反応液とし、60℃で30分処理しプロテアーゼを作用させた後、15%TCAを添加し反応を止めた。なお、コントロールとしては、60℃インキュベート前に15%TCAを添加したものを使用した。TCAで反応を停止した後、No.5C濾紙にてろ過後、濾過液1mlに炭酸ナトリウム溶液5ml、フェノール試薬1mlを混合し、これを30℃で20分インキュベートしTCA可溶化窒素量を測定した。酵素活性は、660nmの吸光値を活性単位として使用した。寄生虫が認められない筋肉のプロテアーゼ活性は、0で検知されない結果となった。一方、寄生虫の感染が認められる筋肉のプロテアーゼ活性は、0.03〜0.14を示し、強いプロテアーゼ活性が認められた。
【0022】
参考例3
プロテアーゼのタイプの特定
イクチノフォヌスホフェリに感染したスケトウダラ筋肉のプロテアーゼのタイプの特定を以下のようにして行った。フィレ中にシストが認められるかどうか慎重に見分け、それらをサンプルとした。筋肉を細切りしたもの5gに0.1M NaCl 20mM Tris−HCl(pH7.5)15ml加え、氷水中で冷却しながらホモジナイズした。このホモジナイズ液に終濃度で0.9mMとなるように各種プロテアーゼインヒビターを添加した。これを反応液とし、60℃で60分処理しプロテアーゼを作用させた後、SDS−PAGE用バッファーを添加し、SDS−PAGE電気泳動を行った。
その結果、SDS−PAGE観察では、ミオシン重鎖の分解・低分子化はチオールプロテアーゼ阻害剤(E−64、キモスタチン、モノヨード酢酸、アンチパイン)により抑制された(図1)。
以上の結果から、スケソウ寄生虫プロテアーゼの主体はチオールプロテアーゼであると考えられた。
【0023】
参考例4
イクチオフォヌスホフェリの感染とプロテアーゼ活性の発現
イクチオフォヌスホフェリ感染スケソウダラサンプル(43検体)のプロテアーゼ活性測定を行った。
ミオシン重鎖(MHC)分解度(SDS−PAGE電気泳動のMHCバンドの反応後の減少を目視判定)を表1に記す。
表中、MHC分解度は、以下のとおりである。
大:反応後のMHCの減少が著しいもの
中:「大」ほど著しい減少はないものの、反応前のMHCと比較して減 少が確認できるもの
小または無:反応前のMHCと比較して減少が確認できないもの
【0024】
【表1】
Figure 0003646920
【0025】
イクチオフォヌスホフェリ感染魚では「中」程度以上のMHCの分解度を示したものが感染魚中の約86%に見られた。残りの約14%は感染の度合いが小さいものであった。
これらのことから、寄生虫感染によるスケソウダラ筋肉中のプロテアーゼ活性発現は、イクチオフォヌスホフェリの感染によると判断した。
【0026】
実施例1
寄生虫が13%感染しているスケトウダラから定法で冷凍すりみを試作した。同じ脱水肉を用いて、乾燥卵白0.1%添加した冷凍すりみを試作した。これに塩を3%添加しらい潰後、30%加水をした練り肉を作った。これを折径4.5cmのポリ塩化ビニリデンチューブに詰め、90℃40分処理(コントロールゲルと呼ぶ)、あるいは60℃30分処理した後90℃40分加熱(戻りゲルと呼ぶ)し、蒲鉾ゲルをそれぞれ試作した。冷却後、高さ2.5cmに切断したピースのゲル強度を5mm球状プランジャーを用いて測定した。ゲル強度は、プランジャーがゲルに進入する時の破断強度と変形距離を掛けた値を求めた。
得られた結果を表2に示した。なお、プロテアーゼによりゲル構造が破壊された指標として下記式に従い戻り率を算出した。戻り率は、100に近づくとゲルが完全に破壊されていることを示す指標である。
コントロールゲル強度をAとする。
戻りゲル強度をBとする。
戻り率=(A−B)/A x 100
【0027】
【表2】
Figure 0003646920
【0028】
卵白を添加することにより、戻り率は、無添加の43%にくらべ、1%に大幅に改善された。また、コントロールゲル自体も325g・cmから383g・cmへ、約1.2倍に改善された。このことは、コントロールゲルは作製時、塩ずり肉を90℃で直接加熱するが、ゲルの昇温中にプロテアーゼが働くこと、およびこのプロテアーゼは、卵白により活性が抑制され、品質改善が可能になることを示している。
【0029】
【発明の効果】
魚肉中に寄生虫のイクチオフォヌスホフェリが寄生している品質の安定しないすりみまたは水産練製品の原料としては利用価値のない魚から、イクチオフォヌスホフェリの寄生のない通常の魚肉を用いたと同様の品質の安定したすりみを製造することができ、また、そのすりみを利用して品質の優れた練り製品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】微胞子虫・イクチオフォヌスホフェリに感染したスケトウダラ筋肉のプロテアーゼのSDS−PAGE電気泳動結果を示す図面に代わる写真である。

Claims (9)

  1. イクチオフォヌスホフェリが寄生したスケソウダラからすりみを製造するに際し、プロテアーゼ活性を抑制しゲル形成性を回復させる添加剤を添加することを特徴とする寄生虫感染魚からのすりみ製造法。
  2. 上記の添加剤としてプロテアーゼインヒビターを用いる請求項1の寄生虫感染魚からのすりみ製造法。
  3. 上記の添加剤としてチオールプロテアーゼインヒビターを使用する請求項1の寄生虫感染魚からのすりみ製造法。
  4. イクチオフォヌスホフェリが寄生したスケソウダラからすりみを製造するに際し、プロテアーゼ活性を抑制しゲル形成性を回復させる添加剤およびカルシウムを添加することを特徴とする寄生虫感染魚からのすりみ製造法。
  5. 上記の添加剤としてプロテアーゼインヒビターを用いる請求項4の寄生虫感染魚からのすりみ製造法。
  6. 上記の添加剤としてチオールプロテアーゼインヒビターを使用する請求項4の寄生虫感染魚からのすりみ製造法。
  7. イクチオフォヌスホフェリが寄生したスケソウダラから製造したすりみを原料として練り製品を製造するに際し、プロテアーゼ活性を抑制する添加剤を添加することを特徴とする練り製品の製造法。
  8. 上記の添加剤がプロテアーゼインヒビターである請求項7の練り製品の製造法。
  9. 上記の添加剤がチオールプロテアーゼインヒビターである請求項7の練り製品の製造法。
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