JP3644393B2 - ユーザ局間直接接続方法、ユーザ局間直接接続システム及び衛星局 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衛星通信方法、衛星通信システム及び衛星局に関し、特にユーザ局間通信時に生じる伝播遅延を低減し、通信品質を改善することの可能なユーザ局間接続方法、ユーザ局間直接接続システム及び衛星局に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のスルーリピータ衛星による衛星通信システムでは、サービスエリア全体がマルチビームでカバーされ、サービスエリア内に基地局は1局のみ存在し、ユーザ局〜基地局間のサービスリンクと基地局〜衛星間のフィーダリンクでは異なる周波数帯を使用している。このような衛星通信システムにおいて通信を確立するためには、音声やデータなどのユーザ情報を転送する役割を担う情報信号をユーザ局間で授受するだけでなく、通信中に基地局からユーザ局の維持管理やネットワークサービス提供を行うための情報を転送する役割を担う制御信号をユーザ局〜基地局間で授受する必要がある。ユーザ局負荷の軽減、制御の容易さなどを考慮し、必要に応じて基地局が各ユーザ局に無線チャネルを割り当て、その無線チャネルを各ユーザ局が占有するFDMA/SCPC方式が採用されており、送受信チャネルはFDDで分割されている。また、無線チャネルはフレーム化されており、情報信号と制御信号で構成されるフレームを移動局〜基地局間で連続的に送受信している。
【0003】
図3に従来のスルーリピータ衛星による衛星通信システムの構成、図4に無線チャネル構成例を示す。
【0004】
ユーザ局Aとユーザ局Bとのユーザ局間通信時に、ユーザ局Aに無線チャネルE、ユーザ局Bに無線チャネルFが基地局から割り当てられている場合、
ユーザ局Aは無線チャネルEにおいてユーザ局Bに対する情報信号12と基地局に対する制御信号10で構成されるフレームを連続的に送信する。無線チャネルEは衛星上でユーザ局〜衛星間サービスリンクの周波数帯から基地局〜衛星間フィーダリンクの周波数帯に周波数変換され、基地局に送信される。基地局はユーザ局Aが送信した前記フレームを受信した場合、受信フレームを情報信号12と制御信号10に分解し、無線チャネルFにおいて情報信号12と基地局からユーザ局Bに対する制御信号02により再構成されたフレームを連続的に送信する。無線チャネルFは衛星上で基地局〜衛星間フィーダリンクの周波数帯からユーザ局〜衛星間サービスリンクの周波数帯に周波数変換され、ユーザ局Bに送信される。制御信号10は基地局内で処理される。
【0005】
また、ユーザ局Bは無線チャネルFにおいてユーザ局Aに対する情報信号21と基地局に対する制御信号20で構成されるフレームを連続的に送信する。
【0006】
無線チャネルFは衛星上でユーザ局〜衛星間サービスリンクの周波数帯から衛星〜基地局間フィーダリンクの周波数帯に周波数変換され、基地局に送信される。
【0007】
基地局はユーザ局Bが送信した前記フレームを受信した場合、受信フレームを情報信号21と制御信号20に分解し、無線チャネルEにおいて情報信号21と基地局からユーザ局Aに対する制御信号01により再構成されたフレームを連続的に送信する。無線チャネルEは衛星上で衛星〜基地局間フィーダリンクの周波数帯からユーザ局〜衛星間サービスリンクの周波数帯に周波数変換され、ユーザ局Aに送信される。制御信号20は基地局内で処理される。
【0008】
このような構成とすることにより、ユーザ局間通信の確立と同時に、通信中における基地局からユーザ局の維持管理、ネットワークサービス提供が可能となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなユーザ局間接続方式では、ユーザ局Aから送信されたユーザ局間で有意な情報信号が、ユーザ局Bに到達するまでに基地局を必ず経由することにより、衛星を2度経由することとなり、伝播遅延が大きくなる。これにより、リアルタイム性の求められる音声などの通信品質劣化を引き起こしている。伝播遅延を低減し、通信品質を改善するためには、情報信号が基地局を経由せずに、衛星を1度だけ経由してユーザ局間で直接授受されればよい。
【0010】
しかし、従来のシステムでは、ユーザ局〜基地局間のサービスリンクと基地局〜衛星間のフィーダリンクでは異なる周波数帯を使用している。衛星はユーザ局〜衛星間サービスリンクの周波数帯と基地局〜衛星間フィーダリンクの周波数帯を相互変換する機能しか持たない、などの理由により、ユーザ局間で情報信号を基地局を経由せずに衛星を1度だけ経由して直接授受することができない。
【0011】
ここで、ユーザ局〜基地局間のサービスリンクと基地局〜衛星間のフィーダリンクで同じ周波数帯を使用することにしたとしても、両ユーザ局と基地局が同一ビームに存在する場合以外は、情報信号を基地局を経由せずに衛星を1度だけ経由してユーザ局間で直接授受し、かつ、ユーザ局〜基地局間で制御信号を授受することはできない。
【0012】
一方、通信資源の有効利用や経済性の観点から、FDMA/SCPCをベースに設計された従来システムとの整合性を考慮する必要がある。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、サービスエリア全体がマルチビームでカバーされ、サービスエリア内に基地局が1局のみ存在する、または、ユーザ局〜衛星間のサービスリンクと基地局〜衛星間のフィーダリンクでそれぞれ異なる周波数帯を使用する、スルーリピータ衛星による衛星通信システムにおいて、ユーザ局間通信時の情報信号は基地局を経由せずに衛星を1度だけ経由してユーザ局間で直接授受することにより伝播遅延を低減し、通信品質を改善すると同時に、基地局からユーザ局の維持管理、ネットワークサービス提供を行うことの可能なユーザ局間直接接続方式を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のひとつの特徴は、サービスエリア全体がマルチビームでカバーされ、サービスエリア内に基地局が1局のみ存在する、または、ユーザ局〜衛星間のサービスリンクと基地局〜衛星間のフィーダリンクでそれぞれ異なる周波数帯を使用する、スルーリピータ衛星によるユーザ局間直接接続方法において、基地局が各ユーザ局に対して通信用無線チャネルと共通化された制御用無線チャネルを割り当て、ユーザ局は割り当てられた通信用無線チャネルにおいて情報信号と制御信号で構成されるフレームを連続的に送信し、通信用無線チャネルは衛星上で2分岐され、相手ユーザ局と基地局にそれぞれ送信され、相手ユーザ局では通信用無線チャネルにおいて受信したフレームを分解して情報信号を取り出し、基地局では制御信号を取り出し、基地局は、共通化された制御用無線チャネルにおいて各ユーザ局への制御信号で構成されるフレームを送信し、各ユーザ局は受信フレームの中から自局宛てフレームを取り出すことにより、ユーザ局〜基地局間での制御信号の授受を可能とし、情報信号は衛星を1度経由するのみでユーザ局間での授受を可能とするユーザ局間直接接続方法にある。
【0015】
本発明の別の特徴は、少なくとも衛星と地上の基地局とを有し、サービスエリア全体がマルチビームでカバーされ、サービスエリア内に基地局が1局のみ存在する、または、ユーザ局〜衛星間のサービスリンクと基地局〜衛星間のフィーダリンクでそれぞれ異なる周波数帯を使用する、スルーリピータ衛星によるユーザ局間直接接続システムにおいて、基地局は各ユーザ局に対して通信用無線チャネルと共通化された制御用無線チャネルを割り当てる手段と、該共通化された制御用無線チャネルにより各ユーザ局への制御信号で構成されるフレームを送信する手段と、各ユーザ局から衛星経由で送信される情報信号と制御信号のうち制御信号を取り出す手段とを有し、衛星は各ユーザ局から送信される情報信号と制御信号をふくむ通信用無線チャネルを2分岐して、相手ユーザ局と基地局にそれぞれ送信する手段を有し、ユーザ局〜基地局間での制御信号の授受を可能とすると共に、情報信号は衛星を1度経由するのみでユーザ局間での授受を可能とするユーザ局間直接接続システムにある。
【0016】
本発明の更に別の特徴は、サービスエリア全体がマルチビームでカバーされ、サービスエリア内に基地局が1局のみ存在する、または、ユーザ局〜衛星間のサービスリンクと基地局〜衛星間のフィーダリンクでそれぞれ異なる周波数帯を使用する、スルーリピータ衛星において、該衛星は、基地局が各ユーザ局に対して割り当てる通信用無線チャネルと共通化された制御用無線チャネルを各ユーザ局に配信する手段と、ユーザ局から送信される、情報信号と制御信号をふくむ通信用無線チャネルを2分岐して、相手ユーザ局と基地局にそれぞれ送信する手段とを有する衛星局にある。
【0017】
なお、制御用無線チャネルは2つのユーザ局ばかりでなく3以上のユーザ局に対して共通化することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1、図2を用いて本発明の実施形態例について説明する。
【0019】
ユーザ局I(32)には通信用無線チャネルK、ユーザ局Jには通信用無線チャネルLが個別に割当てられ、基地局(30)からユーザ局への制御信号送信用として共通化された制御用無線チャネルMが割当てられる。
【0020】
ユーザ局I(32)は、通信用無線チャネルKにおいてユーザ局J(34)に対する情報信号12と基地局(30)に対する制御信号10で構成されるフレームを連続的に送信する。情報信号12には、“ユーザ局J(34)へのユーザ情報”が記され、制御信号10には、“基地局(30)に対する制御内容”が記されている。通信用無線チャネルは衛星(36)上で経路が2分岐されており、一方は衛星〜基地局間フィーダリンクの周波数帯に周波数変換され、基地局(30)に送信される。もう一方は、ユーザ局J(34)に割り当てた通信用無線チャネルLのユーザ局〜衛星間サービスリンクの周波数帯の周波数に周波数変換され、ユーザ局J(34)に送信される。したがって、前記情報信号12と制御信号10で構成されるフレームはユーザ局J(34)と基地局にそれぞれ送信される。ユーザ局J(34)ではこのフレームを受信した場合にフレーム中の情報信号12を取り出し、基地局(30)ではこのフレームを受信した場合にフレーム中の制御信号10を取り出す。
【0021】
ユーザ局J(34)は、通信用無線チャネルLにおいてユーザ局I(32)に対する情報信号21と基地局(30)に対する制御信号20で構成されるフレームを連続的に送信する。情報信号21には、“ユーザ局I(32)へのユーザ情報”が記され、制御信号20には、“基地局(30)に対する制御内容”が記されている。通信用無線チャネルは衛星(36)上で2分岐されており、一方は衛星〜基地局間フィーダリンクの周波数帯に周波数変換され、基地局(30)に送信される。もう一方は、ユーザ局I(32)に割り当てた通信用無線チャネルKのユーザ局〜衛星間サービスリンクの周波数帯の周波数に周波数変換され、ユーザ局I(32)に送信される。したがって、前記情報信号12と制御信号10で構成されるフレームはユーザ局I(32)と基地局にそれぞれ送信される。ユーザ局I(32)ではこのフレームを受信した場合にフレーム中の情報信号21を取り出し、基地局(30)ではこのフレームを受信した場合にフレーム中の制御信号20を取り出す。
【0022】
基地局(30)は、ユーザ局I(32)、ユーザ局J(34)に対する制御信号が発生した場合、共通化した制御用無線チャネルにおいて制御信号01または制御信号02で構成されるフレームを連続的に送信する。制御信号01には、“ユーザ局I(32)の識別子”と“ユーザ局I(32)に対する制御内容”が記され、制御信号02には“ユーザ局J(34)の識別子”と“ユーザ局J(34)に対する制御内容”が記されている。制御用無線チャネルMは衛星(36)上で衛星〜基地局間フィーダリンクの周波数帯からユーザ局〜衛星間サービスリンクの周波数帯に周波数変換され、送信される。ユーザ局I(32)は制御用無線チャネルMにおいて受信したフレームを解析し、“ユーザ局I(32)の識別子”が記された制御信号01のみを取り出す。ユーザ局J(34)は制御用無線チャネルMにおいて受信したフレームを解析し、“ユーザ局J(34)の識別子”が記された制御信号02のみを取り出す。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、サービスエリア全体がマルチビームでカバーされ、サービスエリア内に基地局が1局のみ存在する、または、ユーザ局〜衛星間のサービスリンクと基地局〜衛生間のフィーダリンクでそれぞれ異なる周波数帯を使用する、スルーリピータ衛星による衛星通信システムにおいて、ユーザ局間通信時に、情報信号を基地局を経由せずに衛星を1度だけ経由してユーザ局間で直接授受することにより、伝播遅延を従来の約半分に低減可能であり、ユーザ局〜固定端末間通信と同程度の通信品質を提供することが可能となる。また、制御信号をユーザ局〜基地局間で授受する構成とすることで、従来と同様に通信中における基地局からユーザ局の維持管理、ネットワークサービス提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例のシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態例に関して、通信用無線チャネルおよび制御用無線チャネルの構成例を示す図である。
【図3】従来のスルーリピータによる衛星通信システムのシステム構成を示す図である。
【図4】従来のスルーリピータによる衛星通信システムの無線チャネル構成例を示す図である。
【符号の説明】
10、01、02、20 制御信号
12、21 情報信号
30 基地局
32、34 ユーザ局
36 衛星局

Claims (4)

  1. サービスエリア全体がマルチビームでカバーされ、サービスエリア内に基地局が1局のみ存在する、または、ユーザ局〜衛星間のサービスリンクと基地局〜衛星間のフィーダリンクでそれぞれ異なる周波数帯を使用する、スルーリピータ衛星によるユーザ局間直接接続方法において、
    基地局が各ユーザ局に対して通信用無線チャネルと共通化された制御用無線チャネルを割り当て、
    ユーザ局は割り当てられた通信用無線チャネルにおいて情報信号と制御信号で構成されるフレームを連続的に送信し、
    通信用無線チャネルは衛星上で2分岐され、相手ユーザ局と基地局にそれぞれ送信され、
    相手ユーザ局では通信用無線チャネルにおいて受信したフレームを分解して情報信号を取り出し、
    基地局では制御信号を取り出し、
    基地局は、共通化された制御用無線チャネルにおいて各ユーザ局への制御信号で構成されるフレームを送信し、
    各ユーザ局は受信フレームの中から自局宛てフレームを取り出すことにより、ユーザ局〜基地局間での制御信号の授受を可能とし、
    情報信号は衛星を1度経由するのみでユーザ局間での授受を可能とすることを特徴とするユーザ局間直接接続方法。
  2. 前記制御用無線チャネルは3以上のユーザ局に対して共通化される請求項1記載のユーザ局間直接接続方法。
  3. 少なくとも衛星と地上の基地局とを有し、サービスエリア全体がマルチビームでカバーされ、サービスエリア内に基地局が1局のみ存在する、または、ユーザ局〜衛星間のサービスリンクと基地局〜衛星間のフィーダリンクでそれぞれ異なる周波数帯を使用する、スルーリピータ衛星によるユーザ局間直接接続システムにおいて、
    基地局は各ユーザ局に対して通信用無線チャネルと共通化された制御用無線チャネルを割り当てる手段と、該共通化された制御用無線チャネルにより各ユーザ局への制御信号で構成されるフレームを送信する手段と、各ユーザ局から衛星経由で送信される情報信号と制御信号のうち制御信号を取り出す手段とを有し、
    衛星は各ユーザ局から送信される情報信号と制御信号をふくむ通信用無線チャネルを2分岐して、相手ユーザ局と基地局にそれぞれ送信する手段を有し、
    ユーザ局〜基地局間での制御信号の授受を可能とすると共に、情報信号は衛星を1度経由するのみでユーザ局間での授受を可能とすることを特徴とするユーザ局間直接接続システム。
  4. サービスエリア全体がマルチビームでカバーされ、サービスエリア内に基地局が1局のみ存在する、または、ユーザ局〜衛星間のサービスリンクと基地局〜衛星間のフィーダリンクでそれぞれ異なる周波数帯を使用する、衛星局において、
    該衛星は、基地局が各ユーザ局に対して割り当てる通信用無線チャネルと共通化された制御用無線チャネルを各ユーザ局に配信する手段と、
    ユーザ局から送信される、情報信号と制御信号をふくむ通信用無線チャネルを2分岐して、相手ユーザ局と基地局にそれぞれ送信する手段とを有することを特徴とする衛星局。
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