JP3643865B2 - X線集光方法及びx線集光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、X線を用いた分析又は計測装置において用いられ、具体的には、X線顕微鏡、X線マイクロプローブ等が挙げられる。X線を微小に集光して物体に照射すると、局所的な情報が得られ、定量的な分析を行うことができる。測定される物理量は、透過X線、蛍光X線、光電子等である。
【0002】
【従来の技術】
X線を集光する従来技術としては、フレネル回折を利用した2次元のフレネルゾーンプレートが周知である。これは図3に示すように、強度変調型の場合、同心円状に、X線に対して不透明なゾーンと透明なゾーンとが交互に繰り返される円盤状となっている。波長λのX線に対してn番目のゾーンの半径rnが近似的に、
rn 2=nfλ
の関係にあるとき、隣り合う透明ゾーンから透過するX線の光路差がλ(位相差が2π)となり、集光点で互いに強め合いレンズの役目を果たす。ここで、fは焦点距離である。
【0003】
この素子をレンズとして用いた場合の解像力(分解能)Δは、最外層のゾーン幅をdrn(=rn―rn−1)とすると、近似的に、
Δ=1.22drn/m
と表すことができる。ここでm(1,3,5...)は回折の次数である。
【0004】
上記Δの式から明らかなように、分解能は、高次の回折を利用すれば、すなわち、mを大きくすれば向上するが、集光効率が大きく低下するため実用的ではない。そこで、ゾーンプレートにおいて分解能を向上させるためには、できる限り細い最外ゾーン幅の素子を作製することが必要である。
【0005】
また、不透明なゾーンの厚さを制御し、X線をある程度透過できるようにし、効率の向上を図ったものが位相変調型として知られている。位相変調型の場合、ある程度透過するゾーンで位相がπだけ変化するような厚さでゾーンを作製する。透明ゾーンとそれに隣り合うある程度透過するゾーンの光路差はλ/2であるため、集光点で位相差が2πとなり互いに強め合う。
【0006】
強度変調型の場合、効率の最大値は約10%程度であるが、位相変調型の場合、最大で約40%程度の集光効率が得られる。
【0007】
ゾーンプレートの作製は、紫外光ホログラフィック・リソグラフィーあるいは電子ビーム・リソグラフィーによって行われている。紫外光ホログラフィック・リソグラフィーとは、ドイツ国のゲッチンゲン大学において開発された手法であり、波長400nm程度の2つのレーザーを光源とし、それらによる干渉縞により直接ゾーンプレートのパターンを作り、フォトレジストを露光し、反応性イオンエッチング等により作製する手法である。
【0008】
電子ビーム・リソグラフィーは、X線ゾーンプレートの作製上、現在、最も多く用いられている方法で、細く絞った電子ビームでゾーンプレートのパターンを走査し、ポリメチルメタクリレート等のレジストを露光し、同様に反応性イオンエッチング等で加工する方法である。
【0009】
ゾーンプレートの材料としては、使用するX線のエネルギーに応じて、金、銀、ニッケル、タンタル、ゲルマニウム等が用いられている。これまでに作製されたゾーンプレートで、最も小さい最外ゾーン幅は数十nmである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
X線をより微細領域に集光することが要求されているが、従来、ゾーンプレートの最外ゾーン幅を簡易に、極細にする方法が存在しなかった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、ゾーンプレートの最外ゾーン幅を細くするという課題に対し、2個の1次元フレネルゾーンプレートをX線照射線路に直交して配置し、それぞれを傾けて用いることにより解決した。図1示すように、2個のゾーンプレートを直交して配置し、それぞれ入射角を自由に設定できる回転台に保持している。そして、それらは、それぞれ、水平方向、垂直方向の集光に用いられる。ただし、ゾーンプレートの線の線幅、間隔は斜入射による収差等を補正した値で作製される。
ゾーンプレートの垂直に対する傾斜角をθとすると、最外層の線幅をコサインθ倍小さくできる。例えば、垂直入射であるθ=0度のときLであった線幅は、60度の入射角で見かけ上L/2になる。よって、同じ微細加工技術でも、より微細な領域にX線を集光することができる。さらに、同心円状のゾーンプレートを作るより、線状のゾーンプレートを作製する方が容易であるため、従来の同心円状最外層の線幅より小さいものを容易に得ることができる。図2に、傾斜角θに対する見かけ上の最外ゾーンの縮小率を示す。
【0012】
【発明の実施の形態】
波長4.4nmのX線を得る方法としては、電子蓄積リングからの連続X線を回折格子あるいは多層膜分光器により分光して得ることができる。例えば、リングの直径が約10mの蓄積リングでは、電子エネルギー800MeVで、可視光(約500nm)から波長1nm程度のX線を用いることができる。ここで波長2.3nmから4.4nmの間のX線は、水ではほとんど吸収されないが、蛋白質には1桁以上大きく吸収されるので、この波長域のX線を用いれば水中の生物や水を含む生物の内部組織を高いコントラストで観察することができる。このため、この波長領域は「水の窓」と呼ばれており、生物等の顕微鏡観察には最適な波長である。
【0013】
もう一つの方法としては、光源としてレーザープラズマX線源を用いる方法がある。これは強力なレーザーパルスビームを固体金属などのターゲットに当ててターゲットの一部を蒸発させ、プラズマ状にするものである。このとき、このプラズマからターゲットの種類に応じた連続線に近いX線を得ることができる。
【0014】
「水の窓」領域を含む軟X線領域で用いるゾーンプレートは、電子ビーム・リソグラフィーによって作製することができる。細く絞った電子ビームでゾーンプレートのパターンを走査し、ポリメチルメタクリレート等のレジストを露光する。露光したレジストは現像処理によって露光により硬化したゾーンプレートパターンのみ残す。この後、残ったレジストをマスクとして反応性イオンエッチングで母材を加工する。
【0015】
あるいは、残ったレジストでパターンの描かれた基盤にスパッタリングによりニッケル、金等の金属を蒸着し、リフトオフによりレジストおよびレジスト上の金属部分を除去し、ゾーンプレートのパターンを加工する。
【0016】
【実施例】
「水の窓」領域で用いる一次元ゾーンプレートで、目的とする波長を4.4nm、焦点距離を20mmとすると、中心から中心遮蔽部の端までの距離は、9.38μm(中心遮蔽部の幅は2倍の18.76μm)、第1非遮蔽部の幅は3.89μm、第1遮蔽部の幅は2.98μmである。第1500遮蔽部(第3000番目のゾーン)の幅は86nm程度である。
【0017】
ゾーンプレートの隣り合う非遮蔽部(透明ゾーン)から透過するX線は、光路差が1波長づつずれていなければならない。通常、傾斜させないで使用するならば、[従来の技術]の項で述べたrnの式により幅を決定することができる。しかしながら、ゾーンプレートを傾斜させることにより、少しずつ光路差にずれが生ずるため、僅かずつ補正する必要が生じる。すなわち、従来の技術で述べられている式では正確には記述できないが、発光点から出たX線が、互いに隣り合う非遮蔽部(透明ゾーン)を透過し、集光点に達する過程で光路差が正確に1波長づつずれるように、傾斜角を設定する。
【0018】
ゾーンプレート全体の大きさは、約1mmである。これを60度傾けると最外ゾーン幅は約43nmとなる。ゾーンプレートの材料としてニッケルを用いると、80nm程度の厚さで約15%の集光効率が得られた。
【0019】
【発明の効果】
従来のX線の集光は、同心円状の2次元ゾーンプレートにより行われていたため分解能に限界があったが、本願発明においては、1次元ゾーンプレート2枚を直交して配置し、それぞれのゾーンプレートを傾斜させることにより、従来の2次元ゾーンプレートに比較して分解能を2倍程度向上させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の1次元ゾーンプレートの配置図
【図2】 本願発明における1次元ゾーンプレートの傾斜角度に対する線幅の縮小率を示す図
【図3】 従来の円盤状フレネルゾーンプレートの図
Claims (2)
- フレネルゾーンプレートを用いたX線集光方法において、2個の1次元フレネルゾーンプレートを互いに直交してX線線路に配置するとともに、上記X線線路に対して傾斜させたことにより、分解能を向上させることを特徴とするX線集光方法。
- フレネルゾーンプレートを用いたX線集光装置において、2個の1次元フレネルゾーンプレートをX線線路に直交して配置するとともに、上記X線線路に対して傾斜させたことを特徴とするX線集光装置。
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---|---|---|---|
JP2001154621A JP3643865B2 (ja) | 2001-05-23 | 2001-05-23 | X線集光方法及びx線集光装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001154621A JP3643865B2 (ja) | 2001-05-23 | 2001-05-23 | X線集光方法及びx線集光装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2002350592A JP2002350592A (ja) | 2002-12-04 |
JP3643865B2 true JP3643865B2 (ja) | 2005-04-27 |
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ID=18998931
Family Applications (1)
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JP2006029921A (ja) * | 2004-07-14 | 2006-02-02 | Institute Of Physical & Chemical Research | フローサイトメーター |
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2001
- 2001-05-23 JP JP2001154621A patent/JP3643865B2/ja not_active Expired - Lifetime
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