JP3642412B2 - 3次元画像の3次元ウェーブレット分解方法、階層符号化伝送方法および階層復号方法 - Google Patents

3次元画像の3次元ウェーブレット分解方法、階層符号化伝送方法および階層復号方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は3次元画像の3次元ウェーブレット分解方法、階層符号化伝送方法および階層復号方法に関し、特にCT、MRIなどから発生する大量の3次元医用画像を、ネットワーク環境において高速に伝送するに好適な3次元ウェーブレット分解方法、3次元画像の階層符号化伝送方法および階層復号方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、CT、MRIなどの技術革新により、放射線科等において3次元医用画像画像データが大量に取得できるようになってきており、3次元CGを用いてこれらの画像を立体的に表示するビューアが開発、実用化されている。この3次元ビューアは、CT、MRIの機能の一部として実装されているものが多い。
【0003】
一方、近年のネットワークの発達により、放射線科内だけでなく、病院内の他科や、病院外においてもこれらの3次元医用データを利用したいという要求が高まってくるものと予想される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、放射線科内における画像の蓄積、管理を目的としたシステムの規格であるDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)では、ネットワーク上にある画像を手元のビューアで表示したい場合に、一旦、シリーズ内の画像ファイル全てをビューアに持ってくる必要があるため、CT、MRI画像のようにシリーズ内に画像が大量に存在する場合等では、伝送に大きな時間がかかってしまうという問題がある。また、計算機の発達により演算が高速に行えるようになったとはいえ、大量のデータをレンダリングして、立体的に表示するにはかなりの時間がかかってしまう。
【0005】
3次元ウェーブレット変換を3次元医用画像に適用してデータを階層化し、まずはサイズの小さい画像データを伝送することにより、前記時間を短縮する研究は行われている。しかし、この研究は、2次元のウェーブレットをそのまま3次元に拡張したものであり、x、y、z方向に等しくウェーブレットをかけている。このような方式の場合、データ伝送の途中段階では、スライス面内の解像度が小さい縮小画像をまず見ることができるが、スライス方向(z方向)に対しても分解されているため、画像の枚数まで減少されてしまう。もし、スライス間隔が極端に大きい、画像枚数の少ないシリーズがあった場合には、z方向の情報量が十分ではなく、誤診につながる可能性もある。
【0006】
本発明は、前記した従来技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、3次元の画像を従来より短時間で伝送でき、また伝送の途中段階で得られる3次元画像データサイズを、x、y、z方向にそれぞれ独立に制御することが可能であり、立体的に、かつ階層的に表示できる3次元画像の3次元ウェーブレット分解方法、階層符号化伝送方法および階層復号方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するために、本発明は、x、y空間に存在する2次元画像P1、P2、P3、・・・、Pn(以下、スライス画像)をz軸方向に重ね合わせた3次元画像のウェーブレット分解方法において、x、y、z方向の分解順序および分解回数を変化させるようにし、繰り返し分解を行う際には、x、y、z方向について独立に見て、ある方向において低周波数成分を含むウェーブレット変換係数全てに対して再帰的にその方向にウェーブレット分解を行い、
該ウェーブレット分解により生成された変換係数を蓄積するようにした点に第1の特徴がある。
【0008】
この特徴によれば、スライス面内の画像解像度は小さくても良いから、まず全てのスライス枚数が欲しいという要求や、スライス枚数は少なくても良いから、スライス面内の画像はできるだけ大きい解像度が欲しい等というユーザからの要求に対して応えることができるウェーブレット分解方法を提供できるようになる。
【0009】
また、本発明は、x、y空間に存在する2次元画像P1、P2、P3、・・・、Pnをz軸方向に重ね合わせた3次元画像を、前記請求項1ないしのいずれかに記された3次元ウェーブレット分解方法でウェーブレット分解し、該ウェーブレット分解されたブロックを符号化し、該符号化されたデータをファイルに纏めて出力するようにした点に第の特徴がある。この特徴によれば、3次元の画像を従来より短時間で伝送できるようになる。
【0010】
また、本発明は、ユーザまたは表示モジュールから、階層的伝送の途中段階では、スライス画面の画像解像度は小さくてもよいが、全てのスライス枚数が欲しいという要求がなされた時には、前記請求項2の3次元ウェーブレット分解方法で分解されたデータに関して、z方向については全ての周波数成分を含みx、y方向については低い周波数成分を含むものから分解データを順次伝送し、該分解データを受信したユーザまたは表示モジュールは、x、y方向に最も低い周波数成分を含む受信分解データに対してはz方向に合成して3次元画像データを再生し、その後順次受信した分解データに対しては、まずはz方向に合成した後、既に伝送済みのより低い周波数成分を含む分解データと合わせてx、y方向に合成することにより、前記要求に応答するようにした点に第の特徴がある。
【0011】
また、ユーザまたは表示モジュールから、階層的伝送の途中段階では、スライス枚数は少なくてもよいが、スライス面内の画像はできるだけ大きい解像度が欲しいという要求がなされた時には、前記請求項3の3次元ウェーブレット分解方法で分解されたデータに関して、x、y方向については全ての周波数成分を含みz方向については低い周波数成分を含むものから分解データを順次伝送し、該分解データを受信したユーザまたは表示モジュールは、z方向に最も低い周波数成分を含む受信分解データに対してはx、y方向に合成して3次元画像データを再生し、その後順次受信した分解データに対しては、まずはx、y方向に合成した後、既に伝送済みのより低い周波数成分を含む分解データと合わせてz方向に合成することにより、前記要求に応答するようにした点に第の特徴がある。
【0012】
該第、第の特徴によれば、伝送の途中段階で得られる3次元画像データサイズを、x、y、z方向にそれぞれ独立に制御することが可能となり、立体的に、かつ階層的に表示できるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の概念を示すブロック図である。
【0014】
図から明らかなように、本発明は、CT画像などの複数の2次元画像からなる3次元データを入力する構造化処理部1と、該構造化処理部1で形成された構造化ファイルを蓄積・伝送する蓄積・伝送部2と、伝送されてきた3次元データを受信し再生する再生処理部3とから構成されている。
【0015】
前記構造化処理部1は、前記3次元データを階層化し、かつ必要な解像度のボリュームデータのみを伝送、表示できるように構造化し、次いで、該構造化したデータをファイル化して構造化ファイルを作成する処理を行う。また、前記蓄積・伝送部2は、構造化された3次元データを、階層的、部分的に再生処理部3に伝送し、再生処理部3は、受信した該3次元データを復号して再生する処理を行う。
【0016】
次に、前記構造化処理部1、蓄積・伝送部2、および再生処理部3の処理の詳細を、順次説明する。まず、構造化処理部1の処理を説明する。
【0017】
図2は、該構造化処理部1の機能の概要を示すブロック図である。該構造化処理部1は、図示されているように、入力ファイルとしての3次元ボクセルデータが入力するウェーブレット(Wavelet)分解部11、予測モデリング部12、エントロピー符号化部13、および出力処理部14から構成されている。
【0018】
ここに、前記3次元ボクセルデータ20は、図3に示されているように、x、y空間に存在する2次元画像P1、P2、P3、・・・、Pnをz軸方向に重ね合わせた3次元データ(データサイズ、X×Y×Z)と定義される。
【0019】
次に、前記ウェーブレット分解部11の動作を説明する。図4は、該ウェーブレット分解部11の処理の概要を示すフローチャートである。ステップS1では、初期値の設定が行われる。この初期値は、一例として、「階層的伝送の途中段階では、スライス面内の画像解像度は小さくても良いが、全てのスライス枚数が欲しい」という要求1に答えるモード(以下、モード1)と、「階層的伝送の途中段階では、スライス枚数は少なくても良いが、スライス面内の画像はできるだけ大きい解像度が欲しい」という要求2に答えるモード(以下、モード2)により、次のような値が設定される。
【0020】
前記モード1の場合には、現時点の分解回数nIdxN = 0、現時点のx、y、およびz方向の分解回数nIdxX = nIdxY =nIdxZ = 0とする。また、n回目の分解の際の分解方向DIR[n]を、次のように初期値設定する。
【0021】
DIR[1] = x、DIR[2] = y、DIR[3] = x、DIR[4] = y、・・・、DIR[ 2Nx-1 ] = x、DIR[ 2Nx ] = y、DIR[ 2Nx+1 ] = z、DIR[ 2Nx+2 ] = z、・・・、DIR[ 2Nx+Nz ] = z。
【0022】
このモード1は、全てのスライス画像に対して、まずスライス面内(x、y方向)についてのみ分解を2Nx回行い、その後スライス軸方向(z方向)について分解をNz回行うようにしたものである。
【0023】
また、前記モード2の場合には、現時点の分解回数nIdxN = 0、現時点のx、y、およびz方向の分解回数nIdxX = nIdxY =nIdxZ = 0とする。また、n回目の分解の際の分解方向DIR[n]を、次のように初期値設定する。
【0024】
DIR[1] = z、DIR[2] = z、DIR[3] = z、DIR[4] = z、・・・、DIR[ Nz ] = z、DIR[ Nz +1 ] = x、DIR[ Nz +2 ] = y、DIR[ Nz +3 ] = x、DIR[ Nz +4 ] = y、・・・、DIR[ Nz+2Nx-1 ] = x、DIR[ Nz+2Nx ] = y。
【0025】
このモード2は、スライス軸方向(z方向)についてのみ分解をNz回行い、その後スライス面内(x、y方向)について、分解を2Nx回行うようにしたものである。
【0026】
前記初期値の設定がなされると、ステップS2に進み、3次元分解が行われる。この分解は、前記初期値に従って行われる。
【0027】
前記モード1、モード2の場合の該分解の概要を、それぞれ図5、図6の3次元ボクセルデータ20を参照して説明する。
【0028】
なお、図5、図6は、それぞれ、前記モード1、モード2において、x、y、z方向それぞれに対する分割回数を、Nx、Ny、Nzとした場合の各周波数領域を記述したものであり、該各周波数領域は、DATAN[sx、sy、sz]と記述することができる。ここに、[sx、sy、sz]は、周波数領域を示す指数であり、sx=0,1,・・・,Nx、sy = 0,1,・・・,Ny、sz=0,1,・・・,Nzである。また、前記DATAN のNは、N=Nx+Ny+Nzである。
【0029】
図5、図6は、Nx=Ny=Nz=2で分解された3次元データの概念図を示している。なお、該分解の時には、x、y、z方向に対して、それぞれ独立のウェーブレット変換フィルタを使用するようにする。
モード1の場合の3次元分割は、図5のようになる。 第1回目の分解方向はDIR[1] = xであるから、該3次元ボクセルデータ20はx方向に分解される(図示のX1−X1)。これにより、x方向に関して、低周波数を含む領域(左側)と、低周波数を含まない領域(右側)とに分けられる。第2回目の分解方向はDIR[2] = yであるから、y方向に分解される(Y2−Y2)。これにより、y方向に関して、低周波数を含む領域(手前側)と、低周波数を含まない側(後ろ側)とに分けられる。
【0030】
次の分解はDIR[3] = xであるから、(X3−X3)で分解され、前記x方向の低周波を含む側がさらに低周波を含む領域と含まない領域に分解される。次の分解はDIR[4] = yであるから、同様に(Y4−Y4)で分解され、前記y方向の低周波を含む側がさらに低周波を含む領域と含まない領域にに分解される。このようにして、x、y方向の分解が終わると、次にz方向の分解に移る。
【0031】
次の分解はDIR[5] = zであるから、z方向に分解される(Z5−Z5)。これにより、z方向に関して、低周波数を含む側(上側)と、含まない側(下側)とに分けられる。次の分解はDIR[6] = zであるから、z方向に分解される(Z6−Z6)。これにより、前記z方向の低周波数を含む側が(Z6−Z6)により、さらに低周波数を含む側(上側)と含まない側(下側)とに分けられる。この結果、[2,2,2]のブロックに低周波数成分のデータが集まり、逆に[0,0,0]のブロックには高周波成分のデータが集まることになる。
【0032】
なお、前記の分解は、例えば本出願人の出願である特願2000−361668号の図7、図8に示されているようなウェーブレット変換フィルタを用いて、x、y、z方向に分解することができる。
【0033】
このように、本実施形態のウェーブレット分解は、従来のウェーブレット分解(例えば、特開2000−41149号公報の図6参照)のように、全ての次元において低周波数を含む領域についてのみ再帰的に分解していくのではなく、ある次元方向に独立に見た場合、低周波数を含む領域全てに、その方向に対して再帰的に分解を行うようにした点に特徴がある。
【0034】
次に、前記モード2の場合の3次元分割は、図6のようになる。すなわち、第1回目、第2回目の分割は、それぞれ、 DIR[1] = z、DIR[2] = zであるから、図示のZ1−Z1、Z2−Z2の分割が行われる。z方向の分割が終わると、次に、DIR[3] = x 、DIR[4] =y、 DIR[5] = x 、DIR[6] =yが順次行われ、X3−X3、Y4−Y4、 X5−X5、Y6−Y6の分割が順次行われる。
【0035】
このウェーブレット分解においても、前記モード1の場合と同様に、従来のウェーブレット分解のように、全ての次元において低周波数を含む領域についてのみ再帰的に分解していくのではなく、ある次元方向に独立に見た場合、低周波数を含む領域全てに、その方向に対して再帰的に分解を行うようにしていることは、明らかである。
【0036】
以上の3分割を、フローチャートで詳細に記述すると、次のような処理になる。まず、該処理に使用される用語の定義を、以下に説明する。
Nx :x方向の分解回数
Ny :y方向の分解回数
Nz :z方向の分解回数
N :全分解回数(= Nx + Ny + Nz)
DIR[n] :n回目の分解の際の、分解方向。(X、YまたはZ)
nIdxN :現時点の分解回数(カウンタ)
nIdxX :現時点のx方向の分解回数(カウンタ)
nIdxY :現時点のy方向の分解回数(カウンタ)
nIdxZ :現時点のz方向の分解回数(カウンタ)
DATA n [ sx, sy, xz ]: n回の分解を行った後のデータブロックのうち、x方向の周波数が高い方から( sx+1 )番目、y方向の周波数が高い方から( sy+ 1 )番目、z方向の周波数の高い方から( sz+1 )番目の周波数領域データブロック
AnalysisX_L(DATA): 3次元データブロックDATAをx方向にウェーブレット
分解した時の低周波数成分
AnalysisX_H(DATA): 3次元データブロックDATAをx方向にウェーブレット
分解した時の高周波数成分
AnalysisY_L(DATA): 3次元データブロックDATAをy方向にウェーブレット
分解した時の低周波数成分
AnalysisY_H(DATA): 3次元データブロックDATAをy方向にウェーブレット
分解した時の高周波数成分
AnalysisZ_L(DATA): 3次元データブロックDATAをz方向にウェーブレット
分解した時の低周波数成分
AnalysisZ_H(DATA): 3次元データブロックDATAをz方向にウェーブレット
分解した時の高周波数成分
SynthesisX(DATA1, DATA2): 変換係数の3次元データブロックDATA1, DATA2をx方向に逆ウェーブレット変換して合成して得られる3次元データブロック
SynthesisY(DATA1, DATA2): 変換係数の3次元データブロックDATA1, DATA2をy方向に逆ウェーブレット変換して合成して得られる3次元データブロック
SynthesisZ(DATA1, DATA2): 変換係数の3次元データブロックDATA1, DATA2をz方向に逆ウェーブレット変換して合成して得られる3次元データブロック
SynthesisZ_all(DATA1, DATA2,…): 変換係数の3次元データブロックDATA1, DATA2,… すべてをz方向に逆ウェーブレット変換して合成して得られる3次元データブロック
【0037】
図7は、図4の3次元分解の処理(ステップS2)の詳細を示すフローチャートである。
【0038】
ステップS11では、現時点の分解回数nIdxNが予め定められた回数より小さいか否かの判断がなされ、この判断が肯定の時には、ステップS12に進んで、1次元分解の処理が行われる。続いて、ステップS13に進み、該現時点の分解回数nIdxNに1が加算されて、ステップS11に戻り、前記した処理が繰り返される。ステップS11の判断が否定になると、該3次元分解の処理が終了する。
【0039】
次に、前記ステップS12の1次元分解処理の詳細は、図8のフローチャートのように行われる。
【0040】
ステップS21では、現時点の分解回数の分解方向がX方向であるか否かの判断がなされる。この判断が肯定の場合にはステップS24に進んで、x方向の1次元分解が行われる。一方、否定の時にはステップS22に進んで、現時点の分解回数の分解方向がY方向であるか否かの判断がなされる。この判断が肯定の場合にはステップS25に進んで、y方向の1次元分解が行われる。さらに、該判断が否定の時には、ステップS23に進んで、現時点の分解回数の分解方向がZ方向であるか否かの判断がなされる。この判断が肯定の場合にはステップS26に進んで、z方向の1次元分解が行われる。該ステップS23の判断が否定の時またはステップS26の処理が終了すると、該1次元の分解処理は終了する。
【0041】
次に、前記ステップS24のx方向1次元分解処理の詳細は、図9のフローチャートに示されているように行われる。また、前記ステップS25のy方向1次元分解処理は図10のフローチャートのように、また前記ステップS26のz方向1次元分解は図11のように行われるが、説明は省略する。
【0042】
以上のようにして3次元分解されると、該3次元分解された3次元ボクセルデータの内の最低周波数の分割ブロック[2,2,2](図5参照)は、図2の予測モデリング部13に入力する。一方、該分割ブロック[2,2,2]以外の分割ブロックは、エントロピー符号化部13に入力する。該予測モデリング部13は、近傍点による空間的予測を行う。エントロピー符号化は、ウェーブレット係数の符号化を周波数領域毎に行う。
【0043】
なお、前記最低周波数の分割ブロック[2,2,2]のみを予測モデリングする理由は、該最低周波数の分割ブロック内では、隣接画素間の相関が高く、予測モデリングをすることによりデータの圧縮が期待できるのに対して、他の分割ブロックは高周波成分を含んでいるから、大した圧縮を期待できないからである。
【0044】
次に、前記エントロピー符号化されたデータは出力処理部14に出力される。
出力処理部14は、データをまとめて、1つのファイルを生成する働きをする。
該出力処理部14で生成されたファイルは、図2の出力処理部14から、構造化ファイルとして出力される。
【0045】
該構造化されたファイルは、ファイル全体の情報として、ファイルの先頭に、画像サイズ(x、y、z方向)、1画素当たりのバイト数、x、y、z方向それぞれに対する分割回数(Nx、Ny、Nz)、および分割順序DIR[n]が付加される。また、各周波数領域に対応するデータ部分の先頭には、ブロック検出符号、周波数領域を示す指数(sx、sy、sz)、および符号化パラメータが付加される。
【0046】
次に、図1の蓄積・伝送部2と再生処理部3の機能を説明する。本実施形態では、遠隔地における3次元ビューアのようなアプリケーションを想定する。該蓄積・伝送部2と再生処理部3は、構造化されたデータが蓄積されているサーバと、3次元画像を表示するためのクライアントにて構成されている。
【0047】
該サーバに蓄積される構造化されたデータファイル内のデータは、例えば、図5、図6の3次元ウェーブレット分解した変換係数を、周波数領域毎にエントロピー符号化したものである。
【0048】
本実施形態によれば、3次元の画像データを階層的に伝送・表示することが可能になる。その際、ある方向のデータを他の方向のデータに対して優先して伝送することが可能になる。CTシリーズ画像の場合、ユーザまたは表示モジュールから、次の2通りの要求がなされると想定される。
【0049】
[要求1]・・・階層的伝送の途中段階では、スライス画面の画像解像度は小さくてもよいが、全てのスライス枚数が欲しい。
【0050】
[要求2]・・・・階層的伝送の途中段階では、スライス枚数は少なくてもよいが、スライス面内の画像はできるだけ大きい解像度が欲しい。
【0051】
前記要求1を満足するには、前記モード1でウェーブレット分解されたデータの構造化データファイルを用いればよい。このモード1を用いると、(1)最初は低解像度で全体を表示し、(2)次に、段階的に解像度を上げ、(3)さらに、段階的に解像度を上げる表示をすることができるようになる。
【0052】
前記(1)の表示をするためには、x、y方向共に低周波成分を含む領域(例えば、図5中の[2,2,sz]、ここに、sz=0,1,・・・,Nz)を全て伝送し、受信されたデータを復号して、ウェーブレット変換係数を得、z方向にウェーブレット変換を施すことにより、3次元画像データを得る。
【0053】
次に、前記(2)の表示をするために、x、y方向に解像度を上げるのに必要な周波数領域(例えば、図5中の[1,2,sz],「1,1,sz」および[2,1,sz]、ここに、sz=0,1,・・・,Nz)を全て伝送する。次に、受信されたデータを復号してウェーブレット変換係数を得、その係数に対してz方向にウェーブレット変換を施したものと、前記(1)により既に再生されている画像データとを合わせて、x、y方向にウェーブレット逆変換を施すことにより、3次元データを得る。
【0054】
さらに、前記(3)を表示するために、x、y方向に解像度を上げるのに必要な周波数領域(例えば、図5中の[0,0,sz],「0,1,sz」,[0,2,sz],[1,0、sz],および[2,0,sz]、ここに、sz=0,1,・・・,Nz)を全て伝送する。次に、受信されたデータを復号してウェーブレット変換係数を得、その係数に対してz方向にウェーブレット変換を施す。得られた変換係数のうち、[0,1,sz]と[0,2,sz]に対応する部分にウェーブレット逆変換をy方向に施して合成し、[1,0,sz]と[2,0,sz]に対応する部分にウェーブレット逆変換をx方向に施して合成する。それぞれ得られた係数と、既に再生されている画像データとを合わせて、x、y方向にウェーブレット逆変換を施すことにより、3次元データを得る。以降、同様にして、段階的に解像度を上げることが可能である。
【0055】
次に、前記要求2を満足するには、前記モード2でウェーブレット分解されたデータの構造化データファイルを用いればよい。このモード2を用いると、(1)枚数の少ない3次元画像で全体の画面を表示し、(2)次に、段階的にスライス精度を上げることができるようになる。
【0056】
前記(1)の表示をするために、z方向(スライス方向)の最低周波数成分を含む領域(例えば、図6中の[sx、sy、2]、ここに、sx=0,1,・・・,Nx、sy=0,1,・・・,Ny)を全て伝送し、受信されたデータを復号して、ウェーブレット変換係数を得、x、y方向に必要な回数ウェーブレット逆変換を施すことにより、3次元画像データを得る。
【0057】
次に、前記(2)の表示をするために、z方向にスライス精度を上げるのに必要な周波数領域(例えば、図6中の[sx、sy、1]、ここに、sx=0,1,・・・,Nx、sy=0,1,・・・,Ny)を全て伝送し、受信されたデータを復号して、ウェーブレット変換係数を得、その係数に対して、x、y方向に必要な回数、ウェーブレット逆変換を施したものと、前記(1)により既に再生されている画像データとを合わせて、3次元画像データを得る。以降、同様にして、段階的にスライス精度を上げることが可能になる。
【0058】
以上の、再生・表示処理をフローチャートで詳細に記述すると、図12〜図21のようになる。図12〜図18は、前記モード1の場合の処理、図19〜図21は、前記モード2の場合の処理である。
【0059】
また、図12、図13は、低解像度での全体の表示(スライス面内の画像が低解像度、スライス軸方向には全ての画像が得られる)の処理を示し、図14〜図18は、段階的にスライス面内の画像解像度を上げる処理を示す。
【0060】
また、図19、図20は、最初の、枚数の少ない3次元画像で全体を表示(スライス面内の画像は元画像と同じ解像度、スライス軸方向には枚数を縮小した3次元画像が得られる)の処理を示し、図21は、スライス精度を一段階上げる処理を示す。
【0061】
なお、前記実施例では、前記モード1、モード2を例にして本発明を説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の精神に従って、必要に応じて、該モード1,2で説明した順序以外の順序で3次元ウェーブレット分解をすることができることは明らかである。
【0062】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、新規の3次元ウェーブレット分解を用いてデータを高効率で符号化することにより、データの蓄積容量が削減できると同時に、データを高速に伝送することが可能になる。
【0063】
また、変換の際に、分解の順序を制御することにより、階層化されたデータの伝送途中において、スライス面内の画像解像度は小さくても良いから、まず全てのスライス枚数が欲しいという要求や、スライス枚数は少なくても良いから、スライス面内の画像はできるだけ大きい解像度が欲しい等というユーザの様々な要求に、対応することができるようになる。
【0064】
また、データを全て伝送する前に、ユーザから見て重要性の高い次元方向に情報量の多いデータを伝送することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の概念を示すブロック図である。
【図2】 図1の構造化処理部の詳細を示すブロック図である。
【図3】 3次元ボクセルデータの説明図である。
【図4】 ウェーブレット分解の処理を示すフローチャートである。
【図5】 モード1のウェーブレット分解の説明図である。
【図6】 モード2のウェーブレット分解の説明図である。
【図7】 3次元分解の処理を示すフローチャートである。
【図8】 図7の1次元分解の処理を示すフローチャートである。
【図9】 図8のx方向1次元分解の処理を示すフローチャートである。
【図10】 図8のy方向1次元分解の処理を示すフローチャートである。
【図11】 図8のz方向1次元分解の処理を示すフローチャートである。
【図12】 低解像度で全体の表示を行う処理のフローチャートである。
【図13】 変換係数の3次元データブロックDATAnをz方向に逆ウェーブレット変換し合成して3次元データブロックを得る処理のフローチャートである。
【図14】 段階的にスライス面内の画像解像度を上げる処理のフローチャートである。
【図15】 図14の続きのフローチャートである。
【図16】 変換係数の3次元データブロックDATAnをy方向に逆ウェーブレット変換し合成して3次元データブロックを得る処理のフローチャートである。
【図17】 変換係数の3次元データブロックDATAnをx方向に逆ウェーブレット変換し合成して3次元データブロックを得る処理のフローチャートである。
【図18】 xy方向の合成処理のフローチャートである。
【図19】 枚数の少ない全体の画像の表示の処理を示すフローチャートである。
【図20】 変換係数の3次元データブロックDATAn全てをx、y方向に逆ウェーブレット変換し合成して3次元データブロックを得る処理のフローチャートである。
【図21】 スライス精度を1段階上げる処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1・・・構造化処理部、2・・・蓄積・伝送部、3・・・再生処理部、11・・・ウェーブレット分解部、12・・・予測モデリング部、13・・・エントロピー符号化部、14・・・出力処理部。

Claims (6)

  1. x、y空間に存在する2次元画像P1、P2、P3、・・・、Pn(以下、スライス画像)をz軸方向に重ね合わせた3次元画像のウェーブレット分解方法において、
    x、y、z方向の分解順序および分解回数を変化させるようにし、
    繰り返し分解を行う際には、x、y、z方向について独立に見て、ある方向において低周波数成分を含むウェーブレット変換係数全てに対して再帰的にその方向にウェーブレット分解を行い、
    該ウェーブレット分解により生成された変換係数を蓄積するようにしたことを特徴とする3次元画像の3次元ウェーブレット分解方法。
  2. 請求項に記載の3次元画像の3次元ウェーブレット分解方法において、
    全てのスライス画像に対して、スライス面内(x、y方向)についてのみ複数回分解を行い、その後、スライス軸方向(z方向)について複数回分解を行うようにしたことを特徴とする3次元画像の3次元ウェーブレット分解方法。
  3. 請求項に記載の3次元画像の3次元ウェーブレット分解方法において、
    スライス軸方向(z方向)についてのみ複数回分解を行い、その後、スライス面内(x、y方向)について複数回分解を行うようにしたことを特徴とする3次元画像の3次元ウェーブレット分解方法。
  4. x、y空間に存在する2次元画像P1、P2、P3、・・・、Pnをz軸方向に重ね合わせた3次元画像を、前記請求項1ないしのいずれかに記された3次元ウェーブレット分解方法でウェーブレット分解し、
    該ウェーブレット分解されたブロックを符号化し、
    該符号化されたデータをファイルに纏めて出力するようにしたことを特徴とする3次元画像の階層符号化伝送方法。
  5. ユーザまたは表示モジュールから、階層的伝送の途中段階では、スライス画面の画像解像度は小さくてもよいが、全てのスライス枚数が欲しいという要求がなされた時には、前記請求項2の3次元ウェーブレット分解方法で分解されたデータに関して、z方向については全ての周波数成分を含みx、y方向については低い周波数成分を含むものから分解データを順次伝送し、該分解データを受信したユーザまたは表示モジュールは、x、y方向に最も低い周波数成分を含む受信分解データに対してはz方向に合成して3次元画像データを再生し、その後順次受信した分解データに対しては、まずはz方向に合成した後、既に伝送済みのより低い周波数成分を含む分解データと合わせてx、y方向に合成することにより、前記要求に応答することを特徴とする3次元画像の階層伝送復号方法。
  6. ユーザまたは表示モジュールから、階層的伝送の途中段階では、スライス枚数は少なくてもよいが、スライス面内の画像はできるだけ大きい解像度が欲しいという要求がなされた時には、前記請求項3の3次元ウェーブレット分解方法で分解されたデータに関して、x、y方向については全ての周波数成分を含みz方向については低い周波数成分を含むものから分解データを順次伝送し、該分解データを受信したユーザまたは表示モジュールは、z方向に最も低い周波数成分を含む受信分解データに対してはx、y方向に合成して3次元画像データを再生し、その後順次受信した分解データに対しては、まずはx、y方向に合成した後、既に伝送済みのより低い周波数成分を含む分解データと合わせてz方向に合成することにより、前記要求に応答することを特徴とする3次元画像の階層伝送復号方法。
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