JP3640071B2 - 石英バーナ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石英製の管から火炎を噴き出して種々の処理を行なう石英バーナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、対象物に熱を加えて加工する場合にバーナが用いられており、供給機から気体燃料や霧状液体燃料等を放出させてその火炎を直接に加工あるいは処理対象物に当てて所望の加工、処理等が行なわれる。これらのバーナは、耐熱金属を筒状に形成した噴射口から混合燃料を放出させて火炎を結ぶように構成されたものが通常である。一方、近時、精密機械器具や半導体生産分野等での種々の薬品・化合物の反応試験用器具、光学器械器具、その他真空分子蒸留装置、薄膜蒸発装置、蒸留装置、精製装置等を高耐熱、高強度の石英ガラス管により構成したものが広く適用されるようになっている。さらに、光通信用の光ファイバ等がMCVD(Modified chemical vapor deposition)法等により製造され、この場合に製造出発管として石英管が用いられ、Sicl4、Gecl4、O2等のガラス原料が気相で加熱した石英管内に供給されて、管内に透明ガラスを堆積させ、最終的に棒状の光ファイバ母材が製造される。このような高純度の石英管による装置、器具等の製作あるいは石英管を用いた加工を行なう際に用いられるバーナとして、従来の金属製バーナを使用する場合、石英ガラスの軟化点あるいは転移点高いものであるから、使用時に金属粉が加工対象の石英管に溶融混入し製造あるいは加工対象物としての製品の耐久性や強度を劣化させ、かつ、製品として適合し得ない。この点から、近時、バーナ自体を石英管により構成した石英バーナがしだいに用いられるようになってきている。
【0003】
図12ないし図14は、従来の石英バーナを示しており、外管10の内部であって、その外管の内壁から周状に間隙を空けて同心状に基部管100が設けられ、この基部管100内に酸素ガスが供給される。外管10は、燃料の供給側と放出側を有しており、放出側が開口されて混合ガスが反応して燃焼し、それによる火炎を該開口から噴射させる。基部管100のガス放出側には外管の断面略中心位置にガス放出側に向けて中心部ノズル管101が配置されるとともに、その中心部ノズル管101の周囲に6個の周ノズル管102a〜102fがそれぞれ基部管100の内部と連通してそれらのノズル先端開口をガス放出側に向けて設けられている。したがって、中心部ノズル管101と6個の周ノズル管102a〜102fとから酸素ガスがガス放出側に向けて噴射される。基部管100には例えば酸素ガス供給装置に接続された酸素ガス供給管103が接続されるとともに、外管10には外管と基部管及び複数のノズル管との間隙部分に連通するように例えば水素ガス供給管104が接続されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この図12ないし図14に示す従来の石英バーナでは、ガスの噴き出し開口部分の断面積が水素ガス(ガス放出側開口全体)に比べて酸素ガス(中心部ノズル管101先端開口、あるいは周ノズル管102の各先端開口)の方が非常に小さく、したがって、高速に噴き出される酸素ガスの流れの内部に巻き込まれ、あるいは引き込まれるように周囲の水素ガスが混合して火炎となって所要の焦点位置に向けて噴出されるが、この際、個々の周ノズル管102a〜102fから噴き出される酸素ガスは焦点位置に到達する前にノズル先端から噴き出されて管の流路拘束を解かれた時点ですぐに拡散するから、図14に示すように、各周ノズル管102a〜102fを結ぶ環状の輪郭nに沿うような酸素ガスの障壁が形成され、酸素ガスと水素ガスの混合が十分に行なわれずに、結局、焦点位置では、処理対象物が平面的なものの場合には図15(a)に示すように中心部高温域Tchと、周縁高温域Tphとの間に低温域Tf部分がドーナツ状に形成され、また、管体あるいは球体等の連続曲面や球面を有する対象物の場合には、図15(b)に示すように、両側の高温域Tphとの中間部に縦縞状に低温域Tfを形成させることとなっていた。この場合、供給側のガス量の調整では製造や加工の仕様条件に応じてそれぞれ個々に異なるから極めて困難である。このために、処理対象物の加熱部分に温度ムラが生じ製品強度や加工精度に大きな影響を与えるばかりでなく、火炎の高温域をターゲット材の所望の部分に当てる作業を試行錯誤的に繰り返しながら行なわざるを得ず、製造や加工時間がかかって作業コストが高くなる要因となっていた。さらに、火炎温度を上げるためにガス供給量を多くする操作を行なう場合が多く、徒にガスの消費量が多くなって製造あるいは加工コスト増を招く場合が多かった。
【0005】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、酸水素ガスの良好な混合を行なって火炎の焦点位置での均一な高温域を広く確保し、製造あるいは処理のターゲット材に対してムラなく加熱処理を行ない、製品強度並びに加工精度を向上させ得る石英バーナ装置を提供することである。また、本発明の他の目的は、火炎の焦点位置での高温域を広く確保して製品の製造あるいは加工時間を短縮させ総じて製造あるいは加工効率を向上させ得る石英バーナ装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の石英バーナ装置は、酸素ガス及び水素ガスを供給されてそれらのガスの噴出方向に向けて延びた筒状の外管10と、外管内に配置され外管の断面略中心部分及びそれらの周囲に配置され所要の焦点位置でガスが収束するように酸素ガスを噴き出す小径の複数のノズル管501〜507と、それらのノズル管に仕切られる外管内であって、ノズル管外の空間部分であり水素ガスが供給されて焦点位置方向に向けて該水素ガスを噴き出すノズル管外噴き出し部14と、外管10内の中心部ノズル管501を含む複数のノズル管502〜507の外周に同心状に副管52を設け、それらのノズル管と副管との間からノズル管に沿って焦点位置方向に向けて水素ガスを噴き出させ る局部周噴き出し部18と、を備え、外管10の内壁との間に空隙を空けさらに基端側を外管から突設させて配置され、複数のノズル管501〜507に共通に連通して酸素ガスが供給される基部管20が設けられ、さらに、基部管20の外周に空隙を空けて基部管に対して二重管状に配置されかつ、すべてのノズル管外周側の副管52との空隙部分である局部周噴き出し部18に連通して水素ガスが供給される基部外管54と、を含むことを特徴としている。
【0007】
その際、副管52の先端が各ノズル管121、122〜127、501〜507の長手中間位置長さに設定された構成としても良い。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照しつつ本発明に係る石英バーナ装置の好適な実施形態を説明する。本実施形態の石英バーナ装置10は、石油プラント・化学工場・化学繊維工場、精密機械器具や半導体生産分野等での種々の薬品・化合物の反応試験用器具、光学器械器具、その他真空分子蒸留装置、薄膜蒸発装置、蒸留装置、精製装置等に用いられる高耐熱、高強度の石英ガラス製品製造あるいは、光ファイバ製造工程、その他、石英管を用いた加工処理等においてそれらの石英管製品製造、石英管使用の加工、その他の加熱処理加工等に用いられる石英管から構成されたバーナ装置である。
【0009】
図1ないし図6は、本発明の第1の実施形態を示しており、図1、図6において、本実施形態の石英バーナ装置は、外管10と、その内部に配置され酸素ガスを噴き出す複数の小径のノズル管12と、外管内部にありノズル管12で仕切られた部分以外の空間部分に形成されて水素ガスを噴き出すノズル管外噴き出し部14と、少なくとも中心部ノズル管の外周に同心状に設けられた副管16を介して複数のノズル管のうちの中心部ノズル管121から噴き出されるガスの流れの周囲から水素ガスを噴き出す局部周噴き出し部18と、を備えている。
【0010】
外管10、ノズル管12、後述する基部管、あるいはガス供給管は石英ガラスを素材としてこれを加熱し、軟化して曲げ、溶着接続、切断加工等により一体的に成形される。外管10は、酸素ガス及び水素ガスを供給されてそれらのガスの噴出方向に向けて延びた筒体からなり、円筒部111と、円筒部に接続されたテーパ部112と、テーパ部112に接続されてガスの放出開口113aを先端に有する放出筒部113と、を石英ガラス管により一体加工して内部を中空として全体として筒状に形成されている。外管10は、燃焼用ガスの供給側INと放出側OUTとを有しており、テーパ部112は円筒部111からガスの放出側に向けて断面径をしだいに小さくするようにテーパ筒状に設けられている。テーパ部112と放出筒部113とは拡大部114を介して接続されている。放出筒部113は、テーパ部112から出て放出筒部に至り、その始端側から噴き出されるガスを混合均一化するとともに放出後のガスの行程に直線性を与えるように直筒状に形成され、放出開口113aからガスを反応させて生じた火炎を噴き出させる。
【0011】
図1、図2において、外管10の内壁との間に空隙を空けて円筒状の基部管20が外管10のガス供給側INに一部を突出させ、かつガス放出側端部を外管の長手中間位置に位置させて二重管状に配置されている。基部管内には酸素ガスO2 が供給され該基部管に共通に連通する複数のノズル管121〜127を介してそれらのノズル吐出口から酸素ガスを噴き出させる。実施形態において、図2に示すように、基部管20の基端寄り外周位置において外管10の基端側が周状に溶着接続されて閉鎖終端22されており、この基部管20外周壁と外管10の内壁との空隙部分に後述する水素ガスが供給される。
【0012】
図1、2において、基部管20のガス放出側端部は閉鎖壁24により閉鎖され、さらに、この閉鎖壁24から図5に示すように、断面中心部の周囲の放射対象位置に6個の囲周ノズル管122〜127がガス放出側(図1、2上横方向)に向けて突設接続されている。これらの6個の直管から成る囲周ノズル管122〜127は、外管あるいは基部管の中心に対して略60度間隔で離して設定され外管10に対して十分に小さな直径の小径ノズル管から構成されている。囲周ノズル管122〜127のそれぞれの中空内部は基部管20の中空内部と共通に連通しており、基部管20に供給された酸素ガスはそれぞれの囲周ノズル管122〜127に分流して流入しそれぞれの吐出口122a〜127aから略均等量の酸素ガスを噴き出させる。本実施形態の石英バーナ装置は、酸水素ガスを混合反応させて生成される火炎を所要の焦点位置を結ぶように放出開口からの所要の離隔位置で火炎の流れが交差するように噴き出されるようになっている。すなわち、焦点位置でガスが収束するように酸素ガスを噴き出すように、各囲周ノズル管122〜127は図示しない焦点位置に向けて吐出口側を傾斜させてそれぞれ基部管の中心に先端を近接させるように配置させた状態で基部管20から延長されている。図2に示すように、それぞれのノズル管の吐出口先端はテーパ部112と拡大部114との接続位置部分で一致した長さで設定されている。
【0013】
図2において、基部管20のガス供給基端側には図示しない酸素ガス供給装置に連通接続された酸素ガス供給管26が分岐管28を介して接続され、基部管内に酸素ガスを供給するようになっている。1つの分岐管281は酸素ガス供給管26の本管から迂回して迂回管として基部管20の外管10からのガス供給側突出部分に連通接続され、酸素ガスを供給して囲周ノズル管122〜127から酸素ガスを噴き出させる。他の分岐管は本管から直管状に接続され基部管20を貫通して中心部ノズル管121の一部を構成している。
【0014】
本発明において、1つの特徴的なことは、少なくとも外管10内の中心部ノズル管121の外周に同心状に副管16を設け中心部ノズル管と副管との間から中心部ノズル管に沿って焦点位置方向に向けて水素ガスH2 を噴き出させる局部周噴き出し部18を設けたことである。図2の実施形態において、酸素ガス供給管26に接続されその分岐部分から段付き部29を介して酸素ガス供給管より小径で他のノズル管と略同じ管径の直管から成る中心部ノズル管121が外管10の断面中心部を軸方向に通って配置されている。この中心部ノズル管121は酸素ガス供給管26に連通接続されて基部管20内を貫通しさらにその吐出口121aを他のノズル管の吐出口122a〜127aとほぼ同じ位置まで延設されている。したがって、この中心部ノズル管121内を通流する酸素ガスはその管により空間を仕切られており、迂回管281を介して送られる酸素ガスとは別の経路で送給される。
【0015】
この中心部ノズル管121の外周に同心状に二重管を形成するように副管16が設けられており、この中心部ノズル管121と副管16との空隙部分に水素ガスが供給される。この中心部ノズル管121と副管16の間の空隙部分が局部周噴き出し部18を形成する。局部周噴き出し部18は、中心部ノズル管121と副管16との間の空隙から中心部ノズル管121に沿って焦点位置方向に向けて水素ガスを噴き出させるものであり、本実施形態において、局部周噴き出し部18は、水素ガス供給管30の分岐管301に連通され酸素ガス供給管26の本管とは別系統で中心部ノズル管121外周壁と副管16内周壁との間の空隙に直接に連通して独立水素ガス通流経路を形成させて構成されている。すなわち、酸素ガス供給管26の本管と基部管20との連通を遮断して中心部ノズル管121の基部を袋状に取り囲む壁により画成されて袋部32が設けられ、この袋部32が水素ガス供給管30の分岐管301に外部から連通接続されている。袋部32は酸素ガス供給側を閉鎖するとともに分岐管301並びに中心部ノズル管121と副管16間に形成される局部周噴き出し部18とのみ連通しており、これによって分岐管301から供給される水素ガスは中心部ノズル管121に沿って流れさらに焦点位置方向に向けて噴き出される。この際、中心部ノズル管内から噴き出される酸素ガスと十分に混合されて反応し、生じた火炎を焦点位置方向に向けて噴き出させる。
【0016】
図1、2、6に示すように、副管16の先端は中心部ノズル管121の長手中間位置長さに設定され、中心部ノズル管121の吐出口121aよりも短い長さでその先端が位置するように設定されている。例えば副管の先端長さを中心部ノズル管と同一あるいは略同じ長さに設定した場合には、酸素ガスを囲周するように流れる水素ガスが酸素ガスと略同じ流速で吐出口から吐出される結果、吐出されて以降の行程で両方のガスが混合しないで並行するように流れ、焦点位置を越えて炎を結ぶようになりバーナによる加工作業精度が劣ることとなる。実施形態のように、副管の先端から出る水素ガスの吐出口の位置を中心部ノズル管の吐出口よりも前方位置に設定することによりこれを防止し、加工作業の円滑化並びに加工精度を良好に保持し得る。
【0017】
前述したように、酸素ガス供給管26から分岐管281を介してそれぞれ中心部ノズル管121と基部管20に対して分岐接続されてそれぞれに酸素ガスO2 を供給し、さらに、水素ガス供給管30から分岐管301、302を介してノズル管外噴き出し部14並びに局部周噴き出し部18に分岐接続してそれぞれに水素ガスH2 を供給する。すなわち、酸素ガス供給管26は、迂回管281と中心部ノズル管121とのみに連通しており、したがって、酸素ガスは酸素ガス供給管26から迂回管281を経由して副管外でかつ基部管20内の空間に供給され囲周ノズル管122〜127からそれぞれ吐出されるとともに、中心部ノズル管121の吐出口からも直接に噴き出される。このように、副管16の基端寄り側に水素ガス供給管を接続して設けることにより石英バーナ自体の製造、加工を容易に行なえる。すなわち、実施形態において、袋部32を基部管20の基端側に設けて酸素ガス供給管26の本管と基部壁20との連通を遮断するように介在させて設け、これに水素ガス供給管とを接続させるようにしているので、基部管内の酸素ガス雰囲気内で別個の水素ガスの局部周噴き出し部を具体的に構成し得るとともに、石英ガラスを用いたバーナ製作時の加工を基部管の外部作業として円滑かつ簡易に行なわせることができる。
【0018】
次に、本実施形態の作用について説明すると、図1、図2において、図示しない酸素ガス供給機から所要の供給圧力で供給される酸素ガスは、酸素ガス供給管26から分岐管(迂回管)281、基部管20、囲周ノズル管122〜127を経由してそれぞれのノズル管の吐出口122a〜127aから噴き出される。同時に酸素ガス供給管26からの酸素ガスは直状に連通して設けた中心部ノズル管121内に流入し、その中心部ノズル管の吐出口121aからも酸素ガスを噴き出させる。この際、図4に示すように、中心部ノズル管の吐出口121aを中心としてその放射対象位置であって周囲にそれぞれ略60度離隔した位置に囲周ノズル管122〜127の吐出口122a〜127aがそれぞれ外管10内の長手方向のほぼ同じ吐出位置(テーパ部112と放出筒部113との接続部分)で点状に配置されており、したがって、これらの計7個の吐出口から酸素ガスがビーム状に噴き出される。
【0019】
一方、図示しない水素ガス供給機から所要の供給圧力で供給される水素ガスは、水素ガス供給管30から分岐管302を介して外管10の内部の基部管20及びノズル管12により仕切られる空間以外の空隙であるノズル管外噴き出し部14に供給されてテーパ部112により絞られて各ノズル管以外の空隙を流れてそれらの吐出口からでる酸素ガスを取り囲むように噴き出される。さらに、水素ガス供給管30から分岐管301を介して袋部32を流通し、局部周噴き出し部18に至り、副管16の先端からも水素ガスが噴き出される。この際、副管16の先端は中心部ノズル管121の長さの中途位置の長さで設定されて中心部ノズル管121の吐出口よりも前方位置で水素ガスを噴き出すので、副管16からの流路拘束を解かれた水素ガスはそれぞれのノズル管の吐出口よりも前方位置で拡散を始め、各ノズル管の吐出口から酸素ガスが噴き出される際には、特に、中心部ノズル管からの酸素ガスと、囲周ノズル管により形成される環状の酸素ガス帯との間の部分に、より多い水素ガスの流れを生起させる。これによって、放出筒部113の基端部分で酸水素ガスが噴き出される際に、中心部ノズル管の周囲でかつ囲周ノズル管の内側の部分での拡散状の水素ガス供給量を十分に確保し、放出開口113aからガスが放出される際に、該中心部分でのガスの混合が十分に行なわれ、十分な量の水素ガスが酸素ガスに混合されて取り込まれて焦点位置での火炎の温度域は、図7に示すようにムラがないものとなり、その結果、火炎の焦点位置での均一な高温域を広く確保し、製造あるいは処理のターゲット材に対してムラなく加熱処理を行ない、製品強度並びに加工精度を大幅に向上させることができる。製品の製造あるいは加工時間を短縮させ、製造あるいは加工効率を向上させることが可能となる。
【0020】
次に、図8ないし図11に基づいて本発明の第2の実施形態について説明するが、第1実施形態と同一の構成部材には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。この第2実施形態の石英バーナ装置は、外管10の内壁との間に空隙を空けさらに基端側を外管から突設させて配置させて基部管20を設け、この基部管20のガス放出側に中心部ノズル管501と、その周囲の放射対象位置に囲周ノズル管502〜507を連通して接続し、それらのすべてのノズル管501〜507の離隔外周に副管52を配置させてそれらのノズル管と副管との空隙部分を局部周噴き出し部18とし、さらに、外管10の内部側であって、基部管20の外周に空隙を空けて基部管に対して二重管状に基部外管54を設け、この基部管20と基部外管54との間の空隙部分をすべての局部周噴き出し部18に連通させ、さらに、該基部外管54の基端寄り側s位置とノズル管外噴き出し部14に連通する外管側とに水素ガス供給管30を分岐管303、304を介して分岐接続させた構成である。水素ガスは基部外管を介して副管と各ノズル管との間の空隙である局部周噴き出し部18と、外管内であってノズル管外の空間部分であるノズル管外噴き出し部14と、から噴き出される。本実施形態においても、少なくとも外管10内の中心部ノズル管501の外周に同心状に副管52を設け、中心部ノズル管と副管との間から中心部ノズル管に沿って焦点位置方向に向けて水素ガスを噴き出させる局部周噴き出し部18を設けており、基本的には、第1実施形態と同様の作用効果を得られる。
【0021】
本実施形態では、中心部ノズル管501は、基部管20を貫通して酸素ガス供給管26に連通するものではなく、中心部ノズル管501の他の囲周ノズル管502〜507を含むすべてのノズル管50は基部管20のガス放出側から連通接続して延長され、基部管20を介してすべての酸素ガスが各ノズル管501〜507から噴き出される。したがって、酸素ガス供給管26は基部管20の基端側に直付けで連通接続され、簡単な接続構成となっている。さらに、本実施形態では、中心部ノズル管を含むすべてのノズル管501〜507の離隔外周位置に空隙を空けて副管52を設置し、かつ、基部外管54をそれらのすべての副管52に連通接続させて、基部外管54と基部管20間の空隙とすべての局部周噴き出し部18が共通に連通するようにしている。そして、基部外管54と副管52と各ノズル管50により仕切られる外管10内部の空間部分がノズル管外噴き出し部14を形成している。各副管52は、第1実施形態と同様に各ノズル管の先端位置よりも短い先端位置をもち、各ノズル管に沿ってその外周離隔位置で直管状に延長されている。
【0022】
この第2実施形態の石英バーナ装置においては、中心部ノズル管501を含むすべてのノズル管の吐出口501a〜507aから酸素ガスが吐出される前にそれらの個々の管の局部外周部分から水素ガスが噴き出されてそれぞれに吐出口に至る前にある程度の拡散状態で噴き出され、これによって、より混合率を向上させて放出開口113aから噴き出されてターゲット材に当る際の火炎の温度分布が均一化され、製造、加工作業を安定して行なえるとともに、処理作業時間を効率化して短時間で処理を行なえ、もって対象物の製造、加工精度を向上させ得る。
【0023】
以上、本発明に係る石英バーナ装置の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の本質を逸脱しない範囲の変更は本発明に含まれる。例えば、上記実施形態では、外管10、中心部ノズル管を含むノズル管12、50、副管16、52、基部管20、基部外管54、囲周ノズル管122〜127、502〜507は、すべて断面円形の円筒管で構成しているが、断面三角形、四角形、その他の多角形形状の筒管で構成してもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の石英バーナ装置によれば、酸素ガス及び水素ガスを供給されてそれらのガスの噴出方向に向けて延びた筒状の外管と、外管内に配置され外管の断面略中心部分及びそれらの周囲に配置され所要の焦点位置でガスが収束するように酸素ガスを噴き出す小径の複数のノズル管と、それらのノズル管に仕切られる、外管内であってノズル管外の空間部分であり水素ガスが供給されて焦点位置方向に向けて該水素ガスを噴き出すノズル管外噴き出し部と、を有し、少なくとも外管内の中心部ノズル管の外周に同心状に副管を設け中心部ノズル管と副管との間から中心部ノズル管に沿って焦点位置方向に向けて水素ガスを噴き出させる局部周噴き出し部を備えた構成であるから、中心部ノズル管の局部外周から水素ガスを供給し、十分な量の水素ガスを混合ガス内に取り込んで、火炎の焦点位置での均一な高温域を広く確保し、製造あるいは処理のターゲット材に対してムラなく加熱処理を行ない、製品強度並びに加工精度を向上させることができる。また、火炎の焦点位置での高温域を広く確保して製品の製造あるいは加工作業を容易化し、かつ作業時間を短縮させ、総じてこの石英バーナ装置を用いた製造、加工、処理の作業効率を大幅に向上させ得る。加えて、ガス供給量の頻繁な調整を不要とし、ガス供給量を一定としてその消費量を少なくし、製造コスト低減に資する。
【0025】
また、外管の内壁との間に空隙を空けて配置され複数のノズル管に共通に連通して酸素ガスが供給される基部管が設けられ、中心部ノズル管は、基部管を貫通して酸素ガス供給側から供給される酸素ガスを直接に吐出口から噴き出すように設けられ、さらに、その中心部ノズル管の離隔外周に設けられる副管は基端側が閉鎖された状態で中心部ノズル管との間に局部周噴き出し部を形成しつつ基部管を貫通して設けられ、該副管の基端寄り側に水素ガス供給管が連通接続された構成とすることにより、酸素ガス供給管からの酸素ガスを中心部ノズル管及び囲周ノズル管から同時に噴き出させるようにしつつ、ノズル管外噴き出し部と局部周噴き出し部から水素ガスを同時に噴き出させる構成を具体的に実現し得る。また、副管の基端寄り側で水素ガス供給管と連通接続させることにより、基部管の胴側部分を縦断方向に貫通させて基部管の長手中間位置等で副管に接続させる構成などに比較してバーナ装置の加工、接続作業が簡単で、装置コストを低廉に維持し得る。
【0026】
また、酸素ガス供給管から分岐管を介してそれぞれ中心部ノズル管と基部管に対して分岐接続されてそれぞれに酸素ガスを供給し、さらに、水素ガス供給管から他の分岐管を介してノズル管外噴き出し部並びに局部周噴き出し部に分岐接続してそれぞれに水素ガスを供給する構成とするとに寄り、例えば基部管のガス供給側の突設部分を利用してそれぞれの供給管の分岐管を接続させて、具体的に酸水素ガスをそれぞれの経路で装置内に供給させ得る。また、構造も簡単と成り、装置の製造を容易に行なえる。
【0027】
また、外管の内壁との間に空隙を空けさらに基端側を外管から突設させて配置され、複数のノズル管に共通に連通して酸素ガスが供給される基部管が設けられ、さらに、基部管の外周に空隙を空けて基部管に対して二重管状に配置されかつ、すべてのノズル管外周側の副管との空隙部分である局部周噴き出し部に連通する基部外管が設けられ、該基部外管の基端寄り側とノズル管外噴き出し部に連通する外管側とに水素ガス供給管が分岐管を介して分岐接続された構成とすることにより、中心部ノズル管を含むすべてのノズル管の離隔外周位置に副管を設け、それらのノズル管に対応する局部周噴き出し部から水素ガスを噴き出して水素の混合量を十分に確保する結果、より混合率を向上させてターゲット材に当る際の火炎の温度分布を均一化し、より高精度の製造、加工作業を安定して行なえるとともに、処理作業を効率化して短時間で処理を行なえる。また、酸素ガス供給管は基部管の基端側に直付けで連通接続されるから、装置の製造、加工作業が簡単で製造コストを低減し得る。
【0028】
また、副管の先端が各ノズル管の長手中間位置長さに設定された構成とすることにより、各ノズル管の先端から酸素ガスが放出される前にその前方位置で水素ガスがノズル管の外周部分から噴き出されてある程度拡散されるから、十分な水素ガスを混合ガス内に取り込んで放出でき、焦点位置での火炎の温度域を均一でムラのない高温域として広く確保でき、製造あるいは処理の精度を確実に向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る石英バーナ装置の全体斜視図である。
【図2】 図1のバーナ装置の縦断面図である。
【図3】 図2のA−A線断面図である。
【図4】 図2のC−C線断面図である。
【図5】 図2のB−B線矢示図である。
【図6】 図2の二点鎖線部分の拡大説明図である。
【図7】 火炎の焦点部分に配置した平面的なターゲット材に火炎を当てた場合の焦点位置での火炎の温度域分布を説明する断面的説明図である。
【図8】 本発明の第2の実施形態に係る石英バーナ装置の概略縦断面説明図である。
【図9】 図8の二点鎖線部分の拡大説明図である。
【図10】 図8のD−D線断面図である。
【図11】 図8のE−E線断面図である。
【図12】 従来の石英バーナの縦断面説明図である。
【図13】 図12のF−F線断面図である。
【図14】 図12のG−G線断面図である。
【図15】 (a)は、図12の従来の石英バーナを用いた場合であり、火炎の焦点部分に配置した平面的なターゲット材に火炎を当てた場合の焦点位置での火炎の温度域分布を説明する断面的説明図である。
(b)は、図12の従来の石英バーナを用いた場合であり、火炎の焦点部分に配置した筒状のターゲット材の胴側部分に火炎を当てた場合の焦点位置での火炎の温度域分布を説明する断面的説明図である。
【符号の説明】
10 外管
12 ノズル管
14 ノズル管外噴き出し部
16 副管
18 局部周噴き出し部
20 基部管
26 酸素ガス供給管
30 水素ガス供給管
32 袋部
50 ノズル管
52 副管
54 基部外管
121,501 中心部ノズル管
122〜127、502〜507 囲周ノズル管

Claims (2)

  1. 酸素ガス及び水素ガスを供給されてそれらのガスの噴出方向に向けて延びた筒状の外管と、
    外管内に配置され外管の断面略中心部分及びそれらの周囲に配置され所要の焦点位置でガスが収束するように酸素ガスを噴き出す小径の複数のノズル管と、
    それらのノズル管に仕切られる外管内であって、ノズル管外の空間部分であり水素ガスが供給されて焦点位置方向に向けて該水素ガスを噴き出すノズル管外噴き出し部と、
    外管内の中心部ノズル管を含む複数のノズル管の外周に同心状に副管を設け、それらのノズル管と副管との間からノズル管に沿って焦点位置方向に向けて水素ガスを噴き出させる局部周噴き出し部と、を備え、
    外管の内壁との間に空隙を空けさらに基端側を外管から突設させて配置され、複数のノズル管に共通に連通して酸素ガスが供給される基部管と、
    基部管の外周に空隙を空けて基部管に対して二重管状に配置されかつ、すべてのノズル管外周側の副管との空隙部分である局部周噴き出し部に連通して水素ガスが供給される基部外管と、を含むことを特徴とする石英バーナ装置。
  2. 副管の先端が各ノズル管の長手中間位置長さに設定されていることを特徴とする請求項記載の石英バーナ装置。
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