JP3638854B2 - 目標追尾装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、航空機や船舶等を目標とし、レーダ等のセンサによって間欠的に得られる目標位置の観測ベクトルに基づき、複数の目標の航跡を推定する目標追尾装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
センサにより得られた目標位置の観測ベクトルから複数の目標の航跡を求めるために、前時刻までに得られた既存の各航跡に対し、追尾フィルタ処理によって現時刻の位置を予測し、さらに、各航跡に対する現時刻の観測ベクトルの存在期待領域(以後、この領域をゲートと呼ぶ)を算出して、上記ゲート内に実際に取得された観測ベクトルと各航跡との相関処理を行うことにより、現時刻の目標の航跡を推定している。
【0003】
ここで、実際には、センサから目標以外の誤信号が得られたり、逆にセンサが目標の観測に失敗して、目標の観測ベクトルが得られない場合もある。また、複数の目標が狭い空間に密集していると、1つの航跡のゲート内に、複数の既追尾目標の観測ベクトルが得られたり、あるいは、これまで探知されていなかった新たな目標の観測ベクトルが得られる場合もある。このような状況においても、複数の目標を正しく追尾し続けていくためには、各航跡にいずれの観測ベクトルが対応するかの識別、すなわち相関の判定を高精度に行う必要がある。
【0004】
従来、このような要求に応える装置として、例えば、以下に示す目標追尾装置が提案されていた。図6は特開平8−271617号公報に示された従来の目標追尾装置の全体構成を示すブロック図である。図において、1は目標追尾装置、2は空間中の目標の位置を観測して観測ベクトルを得るセンサとしての目標観測装置、3はディスプレイ上に航跡の情報を表示し追尾している目標の状態を示す目標表示装置である。
【0005】
目標追尾装置1内において、4は既存のクラスタに含まれる全ての航跡に対して現時刻の観測ベクトルの存在期待領域を算出するゲート算出部、5は目標観測装置2から目標追尾装置1に入力された現時刻の観測ベクトル全体から、ゲート算出部4により算出された各航跡のゲートに含まれる観測ベクトルを選択する観測ベクトル選択部、6は目標追尾装置1内のクラスタの全体を示したシステム内クラスタ表、7は観測ベクトル選択部5の出力とシステム内クラスタ表6に示された既存のクラスタの関係から、既存のクラスタを統合し、また、新しいクラスタを作成するクラスタ新設統合部である。
【0006】
また、図6の目標追尾装置1内において、8は入力した現時刻の観測ベクトルのうち、各クラスタに属する観測ベクトルをクラスタ毎に示したクラスタ内観測ベクトル表、51はクラスタ内観測ベクトル表8とクラスタ内の既存仮説の状況を示すデータ群を入力とし、現時刻の観測ベクトルに対応するクラスタ内の新たな航跡と仮説を作成する航跡及び仮説作成部である。
【0007】
さらに、図6の目標追尾装置1内において、11はクラスタ内仮説状況データ群であり、12は既存のクラスタ内にある全ての仮説を定義したクラスタ内仮説表、13は既存のクラスタ内の各仮説毎に仮説内にある全ての航跡を定義した仮説内航跡表、14はクラスタ内にある全ての航跡に対して、航跡を構成する観測ベクトルを定義したクラスタ内航跡−観測ベクトル表である。
【0008】
さらに、図6の目標追尾装置1内において、16はクラスタ内の各仮説の確からしさを評価し、その評価結果に基づいて仮説数の削減を行う仮説縮小部、17は、仮説縮小後のクラスタが分離可能であるかどうかを判定し、分離できる場合に分離後の各クラスタの仮説を再構成するクラスタ分離部で、52は、クラスタ内に複数の仮説が存在する場合に、その中から最善の仮説を1つ選択して目標の数とその航跡を決定し、各航跡の情報を目標表示装置3に送出する航跡決定部である。
【0009】
次に動作について説明する。
図7は、目標追尾において、各航跡と観測ベクトルの相関の判定が困難となる状況の簡単な例を示す図である。図において、Tk-1,1 ,Tk-1,2 は前時刻までに得られた既存の航跡、Pk,1 ,Pk,2 は各航跡Tk-1,1 ,Tk-1,2 の現時刻の予測位置であり、Gk,1 ,Gk,2 は各既存航跡Tk-1,1 ,Tk-1,2 に対する現時刻の観測ベクトルの存在期待領域を示すゲートである。さらに、Zk,1 ,Zk,2 は、現時刻にセンサによって実際に取得された観測ベクトルの位置を示している。
【0010】
図7の状況では、各航跡にいずれの観測ベクトルが対応するかの相関の判定において、複数の可能性を考慮するすることが必要となる。例えば、観測ベクトルZk,1 が航跡Tk-1,1 に対応し、観測ベクトルZk,2 が航跡Tk-1,2 に対応すると考えることもできれば、観測ベクトルZk,1 が誤信号または新目標であり、観測ベクトルZk,2 が航跡Tk-1,1 に対応すると考えることもできる。この他にも複数の可能性が考えられる。
【0011】
これらの中から誤った相関を選択すれば、次時刻以降の予測位置やゲート範囲が狂う等して、結果的に追尾を外してしまう危険性がある。このため、図7の場合のように、航跡と観測ベクトルとの相関が一意に定まらない状況では、上記述べた種々の可能性を仮説として保持したまま追尾処理を続行し、次時刻以降において確率の高いものを選択する延期決定型の方式が有効とされている。従来の目標追尾装置は、このような方式を実現することを目的としている。
【0012】
なお、上記述べた方式では、図7の場合のように、ゲート内に観測ベクトルを共有する航跡群を一つの単位として仮説の構成を行うことができる。このため、従来の目標追尾装置では、空間内の全航跡を、上記のような航跡群毎に分割して処理を進めている。この処理単位をクラスタと呼ぶ。
【0013】
以下、図6を用いて動作を詳しく説明する。
まず、現時刻tk に目標観測装置2から、目標追尾装置1へ観測ベクトルを入力すると、ゲート算出部4が、前時刻tk-1 までに入力された既存のクラスタ群のクラスタ内航跡−観測ベクトル表14に定義された全ての航跡に対し、現時刻tk における観測ベクトルの存在期待領域であるゲートを算出する。次に、観測ベクトル選択部5が、各航跡のゲート内にいずれの観測ベクトルが存在するかを調べることにより、各航跡に相関し得る観測ベクトルを決定する。
【0014】
次に、クラスタ新設統合部7が、まず、いずれのクラスタの航跡とも相関し得ない観測ベクトルについて、この観測ベクトルにより構成される新たなクラスタを作成し、システム内クラスタ表6に定義する。また、ある観測ベクトルが互いに異なるクラスタに属する複数の航跡のゲート内に存在した場合、これらのクラスタを1つのクラスタとして統合し、システム内クラスタ表6に再定義する。また、統合前の各クラスタのクラスタ内仮説状況データ群11より、統合後のクラスタのクラスタ内仮説状況データ群11を再構成する。さらに、このクラスタ新設統合部7は、システム内クラスタ表6に定義されている各クラスタに対し、クラスタ内の一つ以上の航跡と相関し得る観測ベクトルの全体を、クラスタ内観測ベクトル表8に書き込む。
【0015】
次に、航跡及び仮説作成部51が、システム内クラスタ表6に定義された各クラスタに対し、前時刻tk-1 までに作成され、クラスタ内航跡−観測ベクトル表14に定義されたクラスタ内の既存航跡と、クラスタ内観測ベクトル表8に記述された現時刻tk のクラスタ内の観測ベクトル群から、現時刻に対応した航跡を作し、クラスタ内航跡−観測ベクトル表14に再定義すると共に、クラスタ内仮説表12,仮説内航跡表13に定義されたクラスタ内の既存仮説の状況と上記作成した現時刻tk の航跡との関係から、クラスタ内の現時刻tk の新たな仮説を作成し、クラスタ内仮説表12,仮説内航跡表13に再定義する。
【0016】
まず、航跡の作成について説明する。ここで、現時刻tk の航跡とは、現時刻tk に至るまでの各時刻より、たかだか1個(0個又は1個)の観測ベクトルを選んで構成した時系列データであると定義できる。ただし、0個の観測ベクトルの選択は、その時刻において、航跡が探知されなかったことを意味する。また、2つの航跡は、両者を構成する観測ベクトルの全てが同一の場合に限り同一の航跡と見なされる。
【0017】
現時刻tk の航跡は、前時刻tk-1 のクラスタ内の航跡の状況より、次のように作成される。まず、クラスタ内に前時刻tk-1 の航跡(以下、既存航跡と呼ぶ)が存在する場合、すなわち、このクラスタが今回新規に作成されたクラスタではない場合に、クラスタ内の各既存航跡毎に、以下の操作により現時刻tk の航跡を作成する。
(1)既存航跡のゲート内に存在する各観測ベクトル毎に、該既存航跡に該観測ベクトルを付加した現時刻tk の航跡を作成する。
(2)既存航跡が探知されなかったとして、該既存航跡をそのまま保持した現時刻tk の航跡を作成する。
【0018】
上記操作により、一般に1個の既存航跡から複数の航跡が作成される。次に、全てのクラスタについて、クラスタ内の現時刻tk の各観測ベクトル毎に、次の操作により現時刻tk の航跡を作成する。
(3)クラスタ内の観測ベクトルより新たに開始する航跡(以下、新航跡と呼ぶ)を作成する。
この操作により、クラスタ内の現時刻tk の観測ベクトルと同数の新航跡が作成される。
【0019】
次に仮説の作成について説明する。ここで、現時刻tk の仮説とは、各クラスタにおいて、クラスタ内の現時刻tk の航跡を0個以上選んで構成した航跡の集合であると定義できる。2つの仮説は、両者を構成する航跡の全てが同一の場合に限り同一の仮説と見なされる。各仮説は、現時刻tk においてクラスタ内のいずれの航跡の組み合わせを選ぶのが正しいかの解釈を表したものである。ただし、仮説に含まれるどの航跡にも属さないクラスタ内の観測ベクトルは、この仮説において誤信号と扱ったことに相当する。特に、0個の航跡を選択した仮説は、クラスタ内の現時刻tk に至るまでの全ての観測ベクトルを誤信号と解釈した場合である。
【0020】
仮説を作成する際の基準は、「同一仮説に属する複数の航跡間で同一の観測ベクトルを共有することがないようにクラスタ内の航跡を選択すること」である。仮説を作成する場合には、上記の基準を満たす全ての航跡の組み合わせを洗い出し、それぞれ別の仮説として作成する必要がある。
【0021】
ただし、実際に現時刻tk の仮説を作成する際には、以下の手順に従うことができる。まず、仮説作成対象のクラスタが、今回新規に作成されたクラスタである場合、このクラスタに登録された1個の観測ベクトルで構成される航跡を選択するとの仮説と、航跡を1つも選択しないとする仮説の2つの仮説を作成すれば良い。また、仮説作成対象のクラスタが既存のクラスタである場合、以下の例に示すように、クラスタ内の前時刻tk-1 の仮説(既存仮説)の各々を、上記述べた仮説の基準を満たすように複数の現時刻tk の仮説に拡張すれば良い。
【0022】
例えば、いま、前時刻tk-1 の仮説Xk-1,r が2つの既存航跡Tk-1,1 ,Tk-1,2 により構成されており、これらの航跡は上記に述べた仮説の基準を満たしているとする。さらに、既存航跡Tk-1,1 のゲート内には現時刻tk の観測ベクトルZk,1 ,Zk,2 が得られ、また、既存航跡Tk-1,2 のゲート内には観測ベクトルZk,2 が得られたとする。
【0023】
すなわち、前述の図7と同じ状況であったとする。このとき、この既存仮説Xk-1,r を上記仮説の基準を満たすように拡張することにより、以下の11個の現時刻tk の仮説を作成できる。ここで、{Tk-1,i ,Zk,j }は、既存航跡Tk-1,i に観測ベクトルZk,j を付加した航跡、{Tk-1,i }は、既存航跡Tk-1,i が探知されなかったとしてそのまま保持する航跡、{Zk,j }は、観測ベクトルZk,j より新たに開始する新航跡を表す。
Xk,1 ={{Tk-1,1 },{Tk-1,2 }}
Xk,2 ={{Tk-1,1 },{Tk-1,2 ,Zk,2 }}
Xk,3 ={{Tk-1,1 ,Zk,1 },{Tk-1,2 }}
Xk,4 ={{Tk-1,1 ,Zk,1 },{Tk-1,2 ,Zk,2 }}
Xk,5 ={{Tk-1,1 ,Zk,2 },{Tk-1,2 }}
Xk,6 ={{Tk-1,1 },{Tk-1,2 },{Zk,1 }}
Xk,7 ={{Tk-1,1 },{Tk-1,2 },{Zk,2 }}
Xk,8 ={{Tk-1,1 },{Tk-1,2 },{Zk,1 },{Zk,2 }}
Xk,9 ={{Tk-1,1 },{Tk-1,2 ,Zk,2 },{Zk,1 }}
Xk,10={{Tk-1,1 ,Zk,1 },{Tk-1,2 },{Zk,2 }}
Xk,11={{Tk-1,1 ,Zk,2 },{Tk-1,2 },{Zk,1 }}
【0024】
この例のように、一般に、前時刻tk-1 の1個の仮説から現時刻tk の複数の仮説が導出される。さらに、現時刻tk の仮説の各々が、次時刻において、複数の仮説を生み出す親となる。
【0025】
次に、図6に戻り、仮説縮小部16が、各クラスタに対し、クラスタ内仮説状況データ群11に定義されたクラスタ内の各仮説の確からしさ(各仮説が真である確率)を評価し、その結果によって仮説数を削減するための処理を行う。この処理の目的は、装置内で処理すべきデータ量を一定に抑えることであると共に、航跡及び仮説作成部51で作成された仮説の中から、重要な仮説のみを抽出することでもある。
【0026】
具体的な仮説数の削減方法として、上記特開平8−271617号公報の従来の目標追尾装置では、例えば、以下の方法を適用できるとしている。
(1)最も評価値が高い仮説のみを残す。
(2)評価値がある基準以下の仮説を捨てる。
(3)過去N時刻分の内容が同一の複数の仮説を1つに統合する。
(4)航跡数が同じで、各航跡の内容(位置、速度等)がほぼ同一の航跡を統合する。
【0027】
ここで、上記(3)の仮説縮小処理は、前述した航跡及び仮説の定義より、以下のような操作を行うことに相当する。まず、クラスタ内の各航跡から、最新より過去N時刻分の観測ベクトルを残し、それよりも古いデータを削除する。この結果、観測ベクトルの構成が同一となった航跡を同一の航跡と見なすことができる。次に、上記操作により、航跡の構成が同一となった仮説を同一の仮説であるとみなして1つに統合する。このとき、統合後の仮説の評価値は、統合前の仮説群の評価値の和によって算出する。以上の操作によって、クラスタ内の航跡及び仮説の数が減少する。
【0028】
次に、クラスタ分離部17が、上記仮説縮小処理を行ったことにより、各クラスタがクラスタ分離可能となったかどうかを判定し、分離可能である場合に、該クラスタを複数のクラスタに分離する。ここで、クラスタは、厳密には以下のように定義される。
【0029】
すなわち、航跡Ti とTj が少なくとも一つの観測ベクトルを共有する場合、航跡Ti とTj を類似航跡と呼び、Ti 〜Tj と書く。さらに、航跡Ti とTj において、
Ti =Ti1〜Ti2〜・・・〜Tin=Tj
となるTi1,Ti2,・・・,Tinが存在する場合に限り、
Ti ≡Tj
と定義する。この関係は、反射律、対称律、推移律を満足する同値関係である。全航跡は、この同値関係により互いに素な複数の類(部分集合)に分けることができる。この類をクラスタと呼ぶ。
【0030】
クラスタ分離部17は、上記定義に従い、各クラスタが複数のクラスタに分離可能か否かを判定し、分離可能の場合には該クラスタを複数に分離する。また、分離後のそれぞれのクラスタについて、クラスタ内の仮説を分離前のクラスタの仮説をもとに再構成し、クラスタ内仮説状況データ群11を再構成する。クラスタ分離により、それぞれの仮説の規模が縮小するため、装置全体として仮説の更新に必要な処理量が減少するという効果が生まれる。
【0031】
さらに、あるクラスタから、1つの航跡のみで構成されるクラスタが分離可能となった場合で、しかも、分離前のクラスタ内に、この航跡を構成する観測ベクトルの全てを誤信号と扱った仮説が存在しない場合、この航跡は分離前のクラスタ内で全ての仮説に採択されていたことを意味する。したがって、この航跡は相関に係わる不確かさが解消された航跡である。特に、この航跡が初探知の観測ベクトルで開始されて以来、初めて1つの航跡のみでクラスタ分離された場合は、この航跡が追尾しようとする目標の存在が確定した場合である。通常、このような状態は、この目標の追尾が「確立した」と定義される。
【0032】
ただし、このように一旦追尾が確立した航跡も、次時刻以降の観測ベクトルによって、再び、複数の航跡に分岐して仮説の作成が行われることに注意すべきである。この際の処理は、既に確立した航跡を更新、維持していくことが目的である。さらに、一旦確立した航跡のクラスタが、クラスタ新設統合部7の処理により、他のクラスタと統合される場合もあり得る。
【0033】
次に、航跡決定部52において、各クラスタのクラスタ内仮説状況データ群11の中を調べ、クラスタ内仮説表12に定義されたクラスタ内の現時刻tK の仮説の中から、最善の一つの仮説、例えば仮説縮小部16で算出した確からしさの評価値が最も高い仮説を選択することによって目標の数及び航跡を決定し、目標表示装置3に出力する。なお、前記特開平8−271617号公報では明確に述べられていないものの、通常、目標追尾装置では、上記のように決定した航跡の持つ時系列データに対し、クラスタ内航跡−観測ベクトル表14の情報を読み出して、カルマンフィルタ等の追尾フィルタを適用して、最新時刻の目標の位置や速度等の平滑値を算出し、これらの算出結果を目標表示装置3に送って、ディスプレイ上に表示するのが一般的である。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】
従来の目標追尾装置は以上のように構成されており、既に追尾が確立した航跡と、ある観測ベクトルより作成を開始したものの、まだ、追尾が確立していない航跡とを明確に区別して処理を行っていないため、運用者は、表示される航跡が、確立済みの航跡であるのか、未確立の航跡であるのかの識別をすることができないという課題があった。また、従来の目標追尾装置は、作成した各航跡を、いずれの目標を追尾するものであるかによって明確に区別するように処理を行っていないため、運用者は、前時刻tk-1 に表示された航跡の各々が、現時刻tk のいずれの航跡に対応しているのか(同一の目標を追尾した結果であるのか)を判断しにくいという課題があった。
【0035】
さらに、仮説数を削減する場合に、過去N時刻分の内容が同一の仮説を統合する方法で仮説数の削減処理を行うため、クラスタ内の各航跡がいずれの目標に対応するかに拘わらず、互いに異なる目標を追尾しようとして作成された航跡同士を同一視してしまうという課題があった。
【0036】
さらに、複数の目標が近接し相関判定が困難な場合に、出力される航跡数や各航跡の位置や速度等が、時刻毎に頻繁に変動し、運用者が実際の状況を把握しにくいという課題があった。
【0037】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、既に追尾が確立した航跡であるか、未確立の航跡であるかを識別できると共に、既に確立済みの航跡が、いずれの目標を追尾しようとして作成された航跡であるかを識別できる目標追尾装置を得ることを目的とする。
【0038】
さらに、仮説数を削減する際に、互いに異なる目標を追尾しようとして作成された航跡同士を同一視する矛盾を生じさせない目標追尾装置を得ることを目的とする。
【0039】
さらに、出力する各航跡の位置、速度の平滑値を決定する際に、位置、速度等の変動が少ない、安定した航跡情報を出力する目標追尾装置を得ることを目的とする。
【0040】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る目標追尾装置は、既存のクラスタ内にある全ての仮説を定義したクラスタ内仮説表と、既存のクラスタ内の各仮説毎に仮説内にある全ての航跡を定義した仮説内航跡表と、既存のクラスタ内にある全ての航跡に対して、航跡を構成する観測ベクトルを定義したクラスタ内航跡−観測ベクトル表と、既存のクラスタ内にある全ての航跡に対して、航跡に付随する目標番号を定義したクラスタ内航跡−目標番号表と、上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表に定義された全ての航跡に対して、現時刻の観測ベクトルの存在期待領域である各航跡のゲートを算出するゲート算出部と、入力された現時刻の観測ベクトル全体から、上記ゲート算出部により算出された各航跡のゲート内にいずれの観測ベクトルが存在するかを調べ、各航跡に相関し得る観測ベクトルを選択する観測ベクトル選択部と、上記観測ベクトル選択部の出力と既存のクラスタの関係から、いずれのクラスタの航跡とも相関し得ない観測ベクトルにより新たなクラスタを作成し、ある観測ベクトルが互いに異なるクラスタに属する複数の航跡のゲート内に存在した場合に、これらのクラスタを統合し、上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表、上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表及び上記クラスタ内航跡−目標番号表を再構成するクラスタ新設統合部と、クラスタ内の現時刻の観測ベクトルと、上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表に定義された既存のクラスタ内にある航跡から、現時刻に対応した航跡を作成して、上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表に再定義すると共に、上記クラスタ内航跡−目標番号表に定義された目標番号により、作成した現時刻に対応した航跡の目標番号を決定して、上記クラスタ内航跡−目標番号表に再定義する目標番号対応型航跡作成部と、上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表に定義されたクラスタ内の既存仮説の状況と、上記目標番号対応型航跡作成部が作成した現時刻の航跡より、現時刻の観測ベクトルに対応するクラスタ内の新たな仮説を作成して、上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表に再定義する仮説作成部と、上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表に再定義されているクラスタ内の各仮説の確からしさの評価を行い、この評価結果に基づいてクラスタ内の仮説数を削減する仮説縮小部と、仮説縮小後のクラスタが分離可能であるかどうかを判定し、分離できる場合に分離後の各クラスタの仮説を再構成し、上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表、上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表及び上記クラスタ内航跡−目標番号表を再構成するクラスタ分離部と、1つの航跡のみで構成されるクラスタが分離された場合に、この航跡の追尾が確立したか否かを判定し、追尾が確立した航跡に対して付与された新規の目標番号を上記クラスタ内航跡−目標番号表に定義する追尾確立判定部と、追尾が確立した航跡に対して新規の目標番号を付与する目標番号付与部と、上記クラスタ内仮説表に定義された仮説の中から1つの仮説を選択し、現時刻の目標の数と航跡を決定し、上記クラスタ内航跡−目標番号表に定義された目標番号を付随させて出力する目標番号対応型航跡決定部とを備えたものである。
【0041】
この発明に係る目標追尾装置は、既存のクラスタ内にある全ての仮説を定義したクラスタ内仮説表と、既存のクラスタ内の各仮説毎に仮説内にある全ての航跡を定義した仮説内航跡表と、既存のクラスタ内にある全ての航跡に対して、航跡を構成する観測ベクトルを定義したクラスタ内航跡−観測ベクトル表と、既存のクラスタ内にある全ての航跡に対して、航跡に付随する目標番号と、追尾が確立した航跡であるか否かを示す航跡状態フラグを定義したクラスタ内航跡−目標番号表及び航跡状態フラグ表と、上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表に定義された全ての航跡に対して、現時刻の観測ベクトルの存在期待領域である各航跡のゲートを算出するゲート算出部と、入力された現時刻の観測ベクトル全体から、上記ゲート算出部により算出された各航跡のゲート内にいずれの観測ベクトルが存在するかを調べ、各航跡に相関し得る観測ベクトルを選択する観測ベクトル選択部と、上記観測ベクトル選択部の出力と既存のクラスタの関係から、いずれのクラスタの航跡とも相関し得ない観測ベクトルにより新たなクラスタを作成し、ある観測ベクトルが互いに異なるクラスタに属する複数の航跡のゲート内に存在した場合に、これらのクラスタを統合し、上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表、上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表並びに上記クラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表を再構成するクラスタ新設統合部と、クラスタ内の現時刻の観測ベクトルと、上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表に定義された既存のクラスタ内にある航跡から、現時刻に対応した航跡を作成して、上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表に再定義し、上記クラスタ内航跡−目標番号表及び航跡状態フラグ表に定義された目標番号により、作成した現時刻に対応した航跡の目標番号及び航跡状態フラグを決定して、上記クラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表に再定義すると共に、作成した新航跡に対して、付与された目標番号と、追尾が確立していない航跡であることを示す航跡状態フラグを、上記クラスタ内航跡−目標番号表及び航跡状態フラグに再定義する目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡作成部と、新航跡に対して新規の目標番号を付与する目標番号付与部と、上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表に定義されたクラスタ内の既存仮説の状況と、上記目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡作成部が作成した現時刻の航跡より、現時刻の観測ベクトルに対応するクラスタ内の新たな仮説を作成して、上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表に再定義する仮説作成部と、上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表に再定義されているクラスタ内の各仮説の確からしさの評価を行い、この評価結果に基づいてクラスタ内の仮説数を削減する仮説縮小部と、仮説縮小後のクラスタが分離可能であるかどうかを判定し、分離できる場合に分離後の各クラスタの仮説を再構成し、上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表、上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表並びに上記クラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表を再構成するクラスタ分離部と、1つの航跡のみで構成されるクラスタが分離された場合に、この航跡の追尾が確立したか否かを判定し、追尾が確立した航跡に対して変更された航跡状態フラグを上記クラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表に定義する追尾確立判定部と、追尾が確立した航跡に対して、追尾が確立したことを示す航跡状態フラグに変更する航跡状態フラグ変更部と、上記クラスタ内仮説表に定義された仮説の中から1つの仮説を選択し、現時刻の目標の数と航跡を決定し、上記クラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表に定義された目標番号と航跡状態フラグを付随させて出力する目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡決定部とを備えたものである。
【0042】
この発明に係る目標追尾装置は、仮説縮小部が、クラスタ内の各仮説の確からしさの評価値を算出し、クラスタ内の各航跡から最新のN時刻よりも古い観測ベクトルを削除し、クラスタ内の航跡を観測ベクトルの構成と目標番号が同一の航跡毎に分類し、同一グループに分類された航跡を同一航跡とみなした結果、航跡の構成が同一となった複数の仮説を1つの仮説に統合し、統合後の仮説の評価値を統合前の仮説群の評価値より算出し、上記観測ベクトルの構成と目標番号が同一の航跡毎に分類した航跡の各グループの中から1つの航跡のみを選択して残りを削除するものである。
【0043】
この発明に係る目標追尾装置は、仮説縮小部が、クラスタ内の各仮説の確からしさの評価値を算出し、クラスタ内の各仮説に対し、この仮説を生む親となったN時刻前の仮説の番号を取得し、クラスタ内の仮説を上記N時刻前の仮説の番号が同一の仮説毎に分類し、上記分類した仮説の各グループ毎にグループ内の仮説の評価値の合計値を算出し、上記評価値の合計値が最大となる仮説のグループを選択し、上記選択された仮説グループ以外のグループに属する仮説をクラスタ内から削除し、クラスタ内に残存する仮説のいずれにも含まれることのない航跡をクラスタ内から削除するものである。
【0044】
この発明に係る目標追尾装置は、目標番号対応型航跡決定部が、各クラスタ内の仮説の中から仮説の評価値が高い複数の仮説を選択し、上記選択した複数の仮説に含まれる航跡で、既に追尾が確立した航跡であるものを全て抽出し、上記抽出した追尾確立済みの航跡に対し、追尾フィルタ処理により目標の現時刻の位置、速度等の平滑値を算出し、上記抽出した追尾確立済みの航跡の確からしさを評価し、上記抽出した航跡を目標番号が同一の航跡毎に分類し、上記分類した航跡の各グループ毎に、グループ内の各航跡に対する位置、速度等の平滑値を、各航跡の評価値で重み付け統合し、各目標番号に対応する上記統合後の平滑値を、目標番号と共に出力するものである。
【0045】
この発明に係る目標追尾装置は、目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡決定部が、各クラスタ内の仮説の中から仮説の評価値が高い複数の仮説を選択し、上記選択した複数の仮説に含まれる航跡で、既に追尾が確立した航跡であるものを全て抽出し、上記抽出した追尾確立済みの航跡に対し、追尾フィルタ処理により目標の現時刻の位置、速度等の平滑値を算出し、上記抽出した追尾確立済みの航跡の確からしさを評価し、上記抽出した航跡を目標番号が同一の航跡毎に分類し、上記分類した航跡の各グループ毎に、グループ内の各航跡に対する位置、速度等の平滑値を、各航跡の評価値で重み付け統合し、各目標番号に対応する上記統合後の平滑値を目標番号及び航跡状態フラグと共に出力するものである。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による目標追尾装置の全体構成を示すブロック図である。図1において、1は目標追尾装置、2は空間中の目標の位置を観測して観測ベクトルを得るセンサとしての目標観測装置、3はディスプレイ上に航跡を表示し追尾している目標の状態を示す目標表示装置である。
【0047】
図1の目標追尾装置1内において、4は既存のクラスタに含まれる全ての航跡に対して現時刻tk の観測ベクトルの存在期待領域を算出するゲート算出部、5は目標観測装置2より目標追尾装置1に入力された現時刻tk の観測ベクトル全体から、ゲート算出部4により算出された各航跡のゲートに含まれる観測ベクトルを選択する観測ベクトル選択部、6は目標追尾装置1内のクラスタの全体を示したシステム内クラスタ表、7は観測ベクトル選択部5の出力とシステム内クラスタ表6に示された既存のクラスタの関係から既存のクラスタを統合すると共に、新しいクラスタを作成するクラスタ新設統合部である。
【0048】
また、図1の目標追尾装置1内において、8は上記入力した現時刻tk の観測ベクトルのうち、各クラスタに属する観測ベクトルをクラスタ毎に示したクラスタ内観測ベクトル表で、9はクラスタ内観測ベクトル表8とクラスタ内の既存航跡及びその目標番号を入力し、現時刻tk の観測ベクトルに対応するクラスタ内の新たな航跡を作成し、その航跡の目標番号を決定する目標番号対応型航跡作成部、10はクラスタ内の既存仮説と上記作成した現時刻tk の航跡より、現時刻tk の観測ベクトルに対応するクラスタ内の新たな仮説を作成する仮説作成部である。
【0049】
さらに、図1の目標追尾装置1内において、11はクラスタ内仮説状況データ群であり、12は既存のクラスタ内にある全ての仮説を定義したクラスタ内仮説表、13は既存のクラスタ内の各仮説毎に仮説内にある全ての航跡を定義した仮説内航跡表、14は既存のクラスタ内にある全ての航跡に対して、航跡を構成する観測ベクトルを定義したクラスタ内航跡−観測ベクトル表、15は既存のクラスタ内の全ての航跡に対して、航跡に付随する目標番号を定義したクラスタ内航跡−目標番号表である。
【0050】
さらに、図1の目標追尾装置1内において、16はクラスタ内の各仮説の確からしさの評価を行い、この評価結果に基づいてクラスタ内の仮説数を削減する仮説縮小部、17は仮説縮小後のクラスタが分離可能であるかどうかを判定し、分離できる場合に分離後の各クラスタの仮説を再構成するクラスタ分離部、18は1つの航跡のみで構成されるクラスタが分離された場合に、この航跡の追尾が確立したか否かを判定する追尾確立判定部、19は航跡に対して新規の目標番号を付与する目標番号付与部、20は目標追尾装置1内で使用されている目標番号の全体を定義したシステム内目標番号表である。
【0051】
さらに、図1の目標追尾装置1内において、21はクラスタ内に複数の仮説が存在する場合に、その中から最善の仮説を1つ選択して目標の数とその航跡を決定し、各航跡に付与された目標番号の情報を含む、各航跡の情報を目標表示装置3に送出する目標番号対応型航跡決定部である。なお、図1において、図6に示した従来の目標追尾装置と同一の構成部位には同一の符号を付している。
【0052】
次に動作について説明する。
まず、時刻tk に目標観測装置2から、目標追尾装置1へ観測ベクトルを入力すると、ゲート算出部4が、前時刻tk-1 までに入力された既存のクラスタ群のクラスタ内航跡−観測ベクトル表14に定義された全ての航跡に対し、現時刻tk における観測ベクトルの存在期待領域であるゲートを算出する。次に、観測ベクトル選択部5が、各航跡のゲート内にいずれの観測ベクトルが存在するかを調べることにより、各航跡に相関し得る観測ベクトルを決定する。
【0053】
次に、クラスタ新設統合部7が、まず、いずれのクラスタの航跡とも相関し得ない観測ベクトルについて、この観測ベクトルにより構成される新たなクラスタを作成し、システム内クラスタ表6に定義する。また、ある観測ベクトルが互いに異なるクラスタに属する複数の航跡のゲート内に存在した場合、これらのクラスタを1つのクラスタとして統合し、システム内クラスタ表6に再定義する。さらに、統合前の各クラスタのクラスタ内仮説状況データ群11より、統合後のクラスタ内仮説状況データ群11を再構成する。さらに、このクラスタ新設統合部7は、システム内クラスタ表6に定義されている各クラスタに対し、クラスタ内の1つ以上の航跡と相関し得る観測ベクトルの全体をクラスタ内観測ベクトル表8に書き込む。
【0054】
次に、目標番号対応型航跡作成部9が、システム内クラスタ表6に定義された各クラスタに対し、前時刻tk-1 に作成され、クラスタ内航跡−観測ベクトル表14に定義されたクラスタ内の既存航跡と、クラスタ内観測ベクトル表8に記述された現時刻tk のクラスタ内の観測ベクトル群から、現時刻tk に対応した航跡を作成し、クラスタ内航跡−観測ベクトル表14に再定義する。この処理における航跡の作成方法は、前述した図6の従来の目標追尾装置における航跡及び仮説作成部51での処理の場合と同様である。
【0055】
すなわち、まず、クラスタ内に既存航跡が存在する場合に、各既存航跡毎に、以下の操作により現時刻tk の航跡を作成する。
(1)既存航跡のゲート内に存在する各観測ベクトル毎に、該既存航跡に該観測ベクトルを付加した現時刻tk の航跡を作成する。
(2)既存航跡が探知されなかったとして、該既存航跡をそのまま保持した現時刻tk の航跡を作成する。
さらに、クラスタ内の現時刻tk の各観測ベクトル毎に、以下の操作により現時刻の航跡を作成する。
(3)クラスタ内の観測ベクトルより開始する新航跡を作成する。
【0056】
なお、このクラスタが、クラスタ新設統合部7により、現時刻tk に新設されたクラスタである場合、上記(3)の操作により、クラスタ内には、このクラスタに定義された1個の観測ベクトルより開始する1個の航跡が作成され、クラスタ内航跡−観測ベクトル表14に定義される。
【0057】
次に、目標番号対応型航跡作成部9は、クラスタ内航跡−目標番号表15に定義されたクラスタ内の既存航跡の持つ目標番号をもとに、上記作成した現時刻tk の各航跡の目標番号を決定して、該目標番号をクラスタ内航跡−目標番号表15に再定義する。ここで、目標番号とは、装置内に保持されている各航跡が、実際に存在すると判定された目標のいずれを追尾しようとする航跡であるかを表す識別番号であると定義し、上記各目標対応に、例えば正の整数で与える。目標番号対応型航跡作成部9による現時刻tk の航跡に対する目標番号の決定方法は単純である。すなわち、現時刻tk の航跡が、上記現時刻tk の航跡の作成方法で述べた(1)または(2)の手順により、既存航跡から作成した航跡である場合に、この航跡の目標番号は既存航跡の持つ目標番号をそのまま継承する。また、現時刻tk の航跡が、上記(3)の手順で作成した新航跡である場合は、この航跡がまだ追尾が確立していない航跡であることを意味する仮の目標番号として、例えば「0」を付与する。
【0058】
次に、仮説作成部10が、システム内クラスタ表6に定義された各クラスタに対し、クラスタ内仮説表12,仮説内航跡表13に定義されたクラスタ内の既存仮説の状況と上記作成した現時刻tk の航跡との関係から、クラスタ内の現時刻の新たな仮説を作成して、クラスタ内仮説表12,仮説内航跡表13に再定義する。この処理における仮説の作成方法は、前述した図6の従来の目標追尾装置における航跡及び仮説作成部51での処理の場合と同様である。すなわち、仮説作成対象のクラスタが、今回新規に作成されたクラスタである場合は、このクラスタに登録された1個の観測ベクトルで構成される航跡を選択するとの仮説と、航跡を1つも選択しないとする仮説の2つの仮説を作成し、これらをこのクラスタ内の初期の仮説としてクラスタ内仮説表12,仮説内航跡表13に設定する。また、仮説作成対象のクラスタが既存のクラスタの場合には、クラスタ内の各既存仮説を、「同一仮説に属する複数の航跡間で同一の観測ベクトルを共有することのないようにクラスタ内の航跡を選択する」との基準を満たすように、複数の仮説に拡張することにより現時刻の仮説を作成し、これらをクラスタ内仮説表12,仮説内航跡表13に定義する。
【0059】
次に、仮説縮小部16が、各クラスタに対し、クラスタ内仮説状況データ群11に示されたクラスタ内の各仮説の確からしさを評価し、その結果によって仮説数を削減するための処理を行う。ここで、具体的な仮説の削減方法としては、例えば、従来の目標追尾装置で述べた以下の方法を適用できる。
(1)最も評価値が高い仮説のみを残す。
(2)評価値がある基準以下の仮説を捨てる。
また、この他にも、例えば次のような方法を適用することが可能である。
(3)評価値が高い順に所定個数の仮説のみを残す。
(4)評価値の累計値が所定の基準に達するまで、評価値の高いものから順に仮説を選択し、他を捨てる。
【0060】
次に、クラスタ分離部17が、上記仮説縮小処理を行ったことにより、各クラスタがクラスタ分離可能となったかどうかを判定し、分離が可能である場合に、該クラスタを複数のクラスタに分離する。また、分離後のそれぞれのクラスタについて、クラスタ内の仮説を分離前のクラスタの仮説をもとに再構成し、クラスタ内仮説状況データ群11に再定義する。
【0061】
次に、追尾確立判定部18が、クラスタ分離部17の処理により、1つの航跡のみで構成されるクラスタが分離された場合に限り、該クラスタに含まれる航跡に対し、追尾が確立したか否かの判定が必要であるかを調べ、必要である場合に判定を行う。ここで、上記1つの航跡のみでクラスタ分離された航跡が、目標番号として、仮の目標番号を示す「0」以外の数値を持つ場合、この航跡についての追尾確立判定は不要である。逆に、該航跡が仮の目標番号を示す「0」を持つ場合は、この航跡の追尾確立判定が必要である。また、この航跡について、追尾が確立したか否かの判定基準は、この航跡が分離前のクラスタにおいて、全ての仮説に採択されていたかどうかである。すなわち、分離前のクラスタで、上記航跡が全ての仮説に含まれていた場合に限り、追尾が確立したと判定する。追尾が確立したと判定された場合、追尾確立判定部18は、該航跡を目標番号付与部19に送る。
【0062】
次に、目標番号付与部19は、追尾確立判定部18より、新たに追尾が確立した航跡が送られてきた場合に、システム内目標番号表20内を参照し、目標追尾装置1内でまだ使用されていない任意の正の整数の目標番号、例えば、最も若い番号を選定して、これをシステム内目標番号表20に登録すると共に、上記送られてきた航跡に該目標番号を付与して追尾確立判定部18へ返す。追尾確立判定部18は、この航跡に対し、クラスタ内航跡−目標番号表15に付与した目標番号を再定義する。
【0063】
次に、目標番号対応型航跡決定部21において、各クラスタのクラスタ内仮説状況データ群11の中を調べ、クラスタ内仮説表12に定義されたクラスタ内の現時刻tk の仮説の中から、最善の一つの仮説、例えば仮説縮小部16で算出した確からしさの評価値が最も高い仮説を選択する。そして、上記選択した仮説について、仮説内航跡表13に定義された仮説内の各航跡に対して、クラスタ内航跡−観測ベクトル表14の情報を読み出して、追尾フィルタを適用して現時刻の目標の位置、速度の平滑値を算出する。これらの算出結果に、各航跡のクラスタ内航跡−目標番号表15に定義された目標番号を付随させて、目標表示装置3に送る。
【0064】
以上のように、この実施の形態1によれば、追尾が確立した航跡毎に正の整数の固有の目標番号を付与すると共に、既に目標番号が付与されている既存航跡を継続して作成する現時刻tk の航跡には、該既存航跡の目標番号を継承するように構成し、一方、まだ追尾が確立していない航跡に対しては、仮の目標番号である「0」を付与することにより、既に確立した航跡との区別を明確にし、さらに、目標表示装置3に送出する航跡情報に、各航跡の目標番号を付随して出力するように構成しているため、目標表示装置3側では、既に追尾が確立済みの航跡と未確立の航跡を区別して表示することや、追尾が確立済みの航跡のみを選択して表示することができると共に、確立済みの航跡については、各航跡の目標番号を表示することができるという効果が得られる。この結果、運用者は、既に確立済みの航跡がいずれであるかを知ることや、例えば前時刻tk-1 に表示された航跡と現時刻tk に表示された航跡のいずれが対応するか等の時間的なつながりを知ることができるという効果が得られる。
【0065】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2による目標追尾装置の全体構成を示すブロック図である。図2において、1は目標追尾装置、2は空間中の目標の位置を観測して観測ベクトルを得るセンサとしての目標観測装置、3はディスプレイ上に航跡を表示し追尾している目標の状態を示す目標表示装置である。
【0066】
図2の目標追尾装置1内において、4は既存のクラスタに含まれる全ての航跡に対して現時刻の観測ベクトルの存在期待領域を算出するゲート算出部、5は目標観測装置2から目標追尾装置1に入力された現時刻tk の観測ベクトル全体から、ゲート算出部4により算出された各航跡のゲートに含まれる観測ベクトルを選択する観測ベクトル選択部、6は目標追尾装置1内のクラスタの全体を示したシステム内クラスタ表、7は観測ベクトル選択部5の出力とシステム内クラスタ表6に示された既存のクラスタの関係から、既存のクラスタを統合し、また、新しいクラスタを作成するクラスタ新設統合部である。
【0067】
また、図2の目標追尾装置1内において、8は入力した現時刻tk の観測ベクトルのうち、各クラスタに属する観測ベクトルをクラスタ毎に定義したクラスタ内観測ベクトル表、31はクラスタ内観測ベクトル表8と、クラスタ内の既存航跡及びその目標番号と航跡状態フラグとを入力し、現時刻tk の観測ベクトルに対応するクラスタ内の新たな航跡を作成し、その航跡の目標番号と航跡状態フラグとを決定する目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡作成部、10はクラスタ内の既存仮説と上記作成した現時刻tk の航跡より、現時刻tk の観測ベクトルに対応するクラスタ内の新たな仮説を作成する仮説作成部である。
【0068】
さらに、図2の目標追尾装置1内において、11はクラスタ内仮説状況データ群であり、12は既存のクラスタ内にある全ての仮説を定義したクラスタ内仮説表、13は既存のクラスタ内の各仮説毎に仮説内にある全ての航跡を定義した仮説内航跡表、14は既存のクラスタ内にある全ての航跡に対して、航跡を構成する観測ベクトルを定義したクラスタ内航跡−観測ベクトル表、32は既存のクラスタ内の全ての航跡に対して、航跡に付随する目標番号及び航跡状態フラグを定義したクラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表である。
【0069】
さらに、図2の目標追尾装置1内において、16はクラスタ内の各仮説の確からしさの評価を行い、この評価結果に基づいてクラスタ内の仮説数を削減する仮説縮小部、17は仮説縮小後のクラスタが分離可能であるかどうかを判定し、分離できる場合に分離後の各クラスタの仮説を再構成するクラスタ分離部、18は1つの航跡のみで構成されるクラスタが分離された場合に、この航跡の追尾が確立したか否かを判定する追尾確立判定部、33は追尾が確立した航跡に対し航跡状態フラグを変更する航跡状態フラグ変更部である。
【0070】
さらに、図2の目標追尾装置1内において、19は航跡に対して新規の目標番号を付与する目標番号付与部、20は目標追尾装置1内で使用されている目標番号の全体を示したシステム内目標番号表、34はクラスタ内に複数の仮説が存在する場合に、その中から最善の仮説を1つ選択して目標の数とその航跡を決定して、各航跡に付与された目標番号と航跡状態フラグの情報を含む、各航跡の情報を目標表示装置3に送出する目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡決定部である。なお、図2において、図6に示した従来の目標追尾装置、図1に示した実施の形態1の目標追尾装置と同一の構成部位には同一の符号を付している。
【0071】
次に動作について説明する。
まず、時刻tk に目標観測装置2から、目標追尾装置1へ観測ベクトルを入力すると、ゲート算出部4が、前時刻tk-1 までに入力された既存のクラスタ群のクラスタ内航跡−観測ベクトル表14に定義された全ての航跡に対し、現時刻tk における観測ベクトルの存在期待領域であるゲートを算出する。次に、観測ベクトル選択部5が、各航跡のゲート内にいずれの観測ベクトルが存在するかを調べることにより、各航跡に相関し得る観測ベクトルを決定する。
【0072】
次に、クラスタ新設統合部7が、まず、いずれのクラスタの航跡とも相関し得ない観測ベクトルについて、この観測ベクトルにより構成される新たなクラスタを作成し、システム内クラスタ表6に定義する。また、ある観測ベクトルが互いに異なるクラスタに属する複数の航跡のゲート内に存在した場合、これらのクラスタを1つのクラスタとして統合し、システム内クラスタ表6に再定義する。また、統合前の各クラスタのクラスタ内仮説状況データ群11より、統合後のクラスタ内仮説状況データ群11を再構成する。さらに、このクラスタ新設統合部7はシステム内クラスタ表6に定義されている各クラスタに対し、クラスタ内の1つ以上の航跡と相関し得る観測ベクトルの全体を、クラスタ内観測ベクトル表8に書き込む。
【0073】
次に、目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡作成部31が、システム内クラスタ表6に定義された各クラスタに対し、前時刻tk-1 に作成され、クラスタ内航跡−観測ベクトル表14に定義されたたクラスタ内の既存航跡と、クラスタ内観測ベクトル表8に記述された現時刻tk のクラスタ内の観測ベクトル群から、現時刻tk に対応した航跡を作成し、クラスタ内航跡−観測ベクトル表14に再定義する。この処理における航跡の作成方法は、前述した図6の従来の目標追尾装置における航跡及び仮説作成部51での処理の場合と同様である。すなわち、まず、クラスタ内に既存航跡が存在する場合に、各既存航跡毎に、以下の操作により現時刻tk の航跡を作成する。
(1)既存航跡のゲート内に存在する各観測ベクトル毎に、該既存航跡に該観測ベクトルを付加した現時刻の航跡を作成する。
(2)既存航跡が探知されなかったとして、該既存航跡をそのまま保持した現時刻の航跡を作成する。
さらに、クラスタ内の現時刻tk の各観測ベクトル毎に、以下の操作により現時刻tk の航跡を作成する。
(3)クラスタ内の観測ベクトルより開始する新航跡を作成する。
【0074】
なお、このクラスタが、クラスタ新設統合部7により、現時刻tk に新設されたクラスタである場合、上記(3)の操作により、クラスタ内には、このクラスタに定義された1個の観測ベクトルより開始する1個の航跡が作成され、クラスタ内航跡−観測ベクトル表14に定義される。
【0075】
次に、目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡作成部31は、クラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表32に定義されたクラスタ内の既存航跡の持つ目標番号、航跡状態フラグをもとに、上記作成した現時刻tk の各航跡の目標番号、航跡状態フラグを決定し、クラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表32に再定義する。ここで、目標番号とは、装置内に保持されている各航跡が、実際に存在すると判定された目標のいずれを追尾しようとする航跡であるかを表す識別番号であると定義し、上記各目標対応に、例えば正の整数で与える。また、航跡状態フラグは、各航跡が既に追尾が確立した航跡であるか否かを表す識別フラグであると定義し、例えば、既に追尾が確立した航跡である場合にフラグ「1」を、まだ追尾が確立していない場合にフラグ「0」を与える。
【0076】
目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡作成部31による現時刻tk の航跡に対する目標番号及び航跡状態フラグの決定方法は以下の通りである。まず、現時刻tk の航跡が、上記現時刻tk の航跡の作成方法で述べた(1)又は(2)の手順により既存航跡から作成した航跡である場合、この航跡の目標番号及び航跡状態フラグは、既存航跡の持つ目標番号と航跡状態フラグをそのまま継承する。次に、現時刻tk の航跡が、上記(3)の手順で作成した新航跡である場合は、この航跡を目標番号付与部19に送ることにより取得される新規の目標番号を、この航跡の目標番号とする。また、上記新航跡の航跡状態フラグは、この航跡がまだ追尾が確立していない航跡であることを意味するフラグ「0」を与える。
【0077】
目標番号付与部19は、目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡作成部31より新航跡が送られてきた場合に、システム内目標番号表20内を参照し、目標追尾装置1内でまだ使用されていない任意の正の整数の目標番号、例えば、最も若い番号を選定して、これをシステム内目標番号表20に登録すると共に、上記送られてきた新航跡に該目標番号を付与して、目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡作成部31へ返す。目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡作成部31は、新航跡に付与された目標番号と、追尾が確立していないことを示す航跡状態フラグを、クラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表32に定義する。
【0078】
次に、仮説作成部10が、システム内クラスタ表6に定義された各クラスタに対し、クラスタ内仮説表12,仮説内航跡表13に定義されたクラスタ内の既存仮説の状況と上記作成した現時刻tk の航跡との関係から、クラスタ内の現時刻tk の新たな仮説を作成し、クラスタ内仮説表12,仮説内航跡表13に再定義する。この処理における仮説の作成方法は、前述した図6の従来の目標追尾装置における航跡及び仮説作成部51での処理の場合と同様である。すなわち、仮説作成対象のクラスタが、今回新規に作成されたクラスタである場合は、このクラスタに登録された1個の観測ベクトルで構成される航跡を選択するとの仮説と、航跡を1つも選択しないとする仮説の2つの仮説を作成し、これらをこのクラスタの初期の仮説としてクラスタ内仮説表12,仮説内航跡表13に定義する。また、仮説作成対象のクラスタが既存のクラスタの場合は、クラスタ内の各既存仮説を、「同一仮説に属する複数の航跡間で同一の観測ベクトルを共有することのないようにクラスタ内の航跡を選択する」との基準を満たすように、複数の仮説に拡張することにより現時刻の仮説を作成し、これらをクラスタ内仮説表12,仮説内航跡表13に定義する。
【0079】
次に、仮説縮小部16が、各クラスタに対し、クラスタ内仮説状況データ群11に定義されたクラスタ内の各仮説の確からしさを評価し、その結果によって仮説数を削減するための処理を行う。ここで、具体的な仮説の削減方法としては、例えば、従来の目標追尾装置で述べた以下の方法を適用できる。
(1)最も評価値が高い仮説のみを残す。
(2)評価値がある基準以下の仮説を捨てる。
また、この他にも、例えば次のような方法を適用することが可能である。
(3)評価値が高い順に所定個数の仮説のみを残す。
(4)評価値の累計値が所定の基準に達するまで、評価値の高いものから順に仮説を選択し、他を捨てる。
【0080】
次に、クラスタ分離部17が、上記仮説縮小処理を行ったことにより、各クラスタがクラスタ分離可能となったかどうかを判定し、分離可能である場合に、該クラスタを複数のクラスタに分離する。また、分離後のそれぞれのクラスタについて、クラスタ内の仮説を分離前のクラスタの仮説をもとに再構成し、クラスタ内仮説状況データ群11に再定義する。
【0081】
次に、追尾確立判定部18が、上記クラスタ分離部17の処理により、1つの航跡のみで構成されるクラスタが分離された場合に限り、該クラスタに含まれる航跡に対し、追尾が確立したか否かの判定が必要であるかを調べ、必要である場合に、その判定を行う。ここで、上記1つの航跡のみでクラスタ分離された航跡の航跡状態フラグが「1」である場合は、この航跡についての追尾確立判定は不要である。逆に、該航跡の航跡状態フラグが「0」である場合は、この航跡の追尾確立判定が必要である。また、この航跡について、追尾が確立したか否かの判定基準は、この航跡が分離前のクラスタにおいて、全ての仮説に採択されていたかどうかである。すなわち、分離前のクラスタで、上記航跡が全ての仮説に含まれていた場合に限り、追尾が確立したと判定する。追尾が確立したと判定された場合、追尾確立判定部18は該航跡を航跡状態フラグ変更部33に送る。
【0082】
航跡状態フラグ変更部33では、追尾確立判定部18より新たに追尾が確立した航跡が送られてきた場合に、この航跡の航跡状態フラグを「0」から「1」に変更し追尾確立判定手段18へ返す。追尾確立判定手段18は、この航跡に対して、クラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表32に、変更した航跡状態フラグを再定義する。
【0083】
次に、目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡決定部34において、各クラスタのクラスタ内仮説状況データ群11の中を調べ、クラスタ内仮説表12に定義されたクラスタ内の現時刻tk の仮説の中から、最善の一つの仮説、例えば仮説縮小部16で算出した確からしさの評価値が最も高い仮説を選択する。そして、上記選択した仮説について、仮説内航跡表13に定義された仮説内の各航跡に対して、クラスタ内航跡−観測ベクトル表14の情報を読み出して、追尾フィルタを適用して現時刻tk の目標の位置、速度の平滑値を算出する。これらの算出結果に、クラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表32に定義された各航跡の目標番号と航跡状態フラグを付随させて目標表示装置3に送る。
【0084】
以上のように、この実施の形態2によれば、各時刻の観測ベクトルより開始する航跡毎に正の整数の固有の目標番号を付与すると共に、既に目標番号が付与されている既存航跡を継続して作成する現時刻tk の航跡には、該既存航跡の目標番号を継承するように構成し、また、各航跡毎に与えられる航跡状態フラグにより、その航跡が既に追尾が確立した航跡であるか、まだ確立していない航跡であるかを明確に区別するように構成して、さらに、目標表示装置3に送出する航跡情報に、各航跡の目標番号と航跡状態フラグを付随して出力するように構成しているため、目標表示装置3側では、既に追尾が確立済みの航跡と未確立の航跡を区別して表示することができると共に、追尾が確立済みの航跡のみを選択して表示することができるという効果が得られる。また、確立済みの航跡であるか未確立の航跡であるかに関わらず、各航跡の目標番号を表示することができるという効果が得られる。この結果、運用者は、既に確立済みの航跡がいずれであるかを知ることや、例えば前時刻tk-1 に表示された航跡と現時刻tk に表示された航跡のいずれが対応するか等の時間的なつながりを知ることができるという効果が得られる。
【0085】
実施の形態3.
この実施の形態による目標追尾装置の全体構成は、実施の形態1の図1,実施の形態2の図2のうちのいずれでも良い。図3はこの発明の実施の形態3による仮説縮小部16の処理方法を示すフローチャートである。
【0086】
図3において、ST1はクラスタ内の各仮説の確からしさの評価値を算出する評価値算出ステップ、ST2はクラスタ内の各航跡から最新のN時刻よりも古い観測ベクトルを削除する観測ベクトル削除ステップ、ST3はクラスタ内の航跡を観測ベクトルの構成と目標番号が同一の航跡毎に分類する航跡分類ステップ、ST4は同一グループに分類された航跡を同一航跡とみなした結果、航跡の構成が同一となった複数の仮説を1つの仮説に統合する仮説統合ステップ、ST5は統合後の仮説の評価値を統合前の仮説群の評価値より算出する評価値統合ステップ、ST6は上記観測ベクトルの構成と目標番号が同一の航跡毎に分類した航跡の各グループの中から1つの航跡のみを選択して残りを削除する航跡削除ステップである。
【0087】
次に動作について説明する。
ステップST1において、クラスタ内の各仮説の確からしさを評価し、その評価値を算出する。ステップST2において、クラスタ内の各航跡について、その航跡が最新のN時刻よりも古い時刻の観測ベクトルを持っているかどうかを調べて、持っている場合に、該航跡から上記古い時刻の観測ベクトルを削除する。ステップST3において、クラスタ内の全ての航跡を、航跡を構成する観測ベクトルが全て同一で、かつ、航跡に付与された目標番号が同一であるものどうしを同一のグループに属する航跡として、複数のグループに分類する。
【0088】
ステップST4において、上記航跡の分類により、同一のグループに属することとなった航跡同士は同一の航跡であると見なすことにより、航跡の構成が同一となったクラスタ内の複数の仮説を1つに統合する。ここで、仮説を1つに統合する場合は、航跡の構成が同一となった複数の仮説の中から1つのみをクラスタ内に残し、他の仮説を削除すれば良い。ステップST5において、上記ステップST4の操作により統合されることになった複数の仮説の上記ステップST1で算出した評価値の和を算出して、この算出結果を統合後の仮説の評価値として設定する。ステップST6において、上記ステップST3の操作で得られた各航跡のグループに対し、グループ内の1個の航跡のみをクラスタ内に残し、他の航跡を削除する。
【0089】
以上のように、この実施の形態3の仮説縮小部16によれば、過去N時刻分の観測ベクトルの構成が同一であるかの条件のみでなく、目標番号が同一であるかの条件によって、複数の航跡を同一視し、仮説数の削減を行うように構成しているため、異なる目標を追尾しようとして作成された航跡同士を同一視するような矛盾を犯すことなく仮説数を削減できるという効果が得られる。
【0090】
実施の形態4.
この実施の形態による目標追尾装置の全体構成は、実施の形態1の図1,実施の形態2の図2のうちのいずれでも良い。図4はこの発明の実施の形態4による仮説縮小部16の処理方法を示すフローチャートである。
【0091】
図4において、ST1はクラスタ内の各仮説の確からしさの評価値を算出する評価値算出ステップ、ST11はクラスタ内の各仮説に対し、この仮説を生む親となったN時刻前の仮説の番号を取得する親仮説番号取得ステップ、ST12はクラスタ内の仮説を上記N時刻前の仮説の番号が同一の仮説毎に分類する仮説分類ステップ、ST13は上記分類した仮説の各グループ毎にグループ内の仮説の評価値の合計値を算出する評価値合計ステップ、ST14は上記評価値の合計値が最大となる仮説のグループを選択する仮説グループ選択ステップ、ST15は上記選択された仮説グループ以外のグループに属する仮説をクラスタ内から削除する仮説削除ステップ、ST16はクラスタ内に残存する仮説のいずれにも含まれることのない航跡をクラスタ内から削除する航跡削除ステップである。
【0092】
次に動作について説明する。
ステップST1において、クラスタ内の各仮説の確からしさを評価し、その評価値を算出する。ステップST11において、クラスタ内の各仮説に対し、この仮説を生む親となったN時刻前の仮説の番号を取得する。
【0093】
ここで、このステップST11の処理は以下に述べる意味を持つものである。すなわち、従来の技術の説明でも述べたように、この発明の目標追尾装置では、前時刻tk-1 の1個の仮説より現時刻tk の複数の仮説が作成され、これらの現時刻tk の各仮説から、さらに次時刻の複数の仮説が作成されるというように、言わばツリー状に仮説が作成されていく。したがって、例えば現時刻tk のある仮説と、この仮説を作成する源となった前時刻tk-1 の仮説の関係は親子関係と見なすことができ、現時刻の任意の仮説について、その仮説の親となる前時刻tk-1 の仮説は必ず1つである。
【0094】
さらに、この関係を過去N時刻分たどれば、現時刻tk の任意の仮説について、その仮説のN時刻前の親を特定することができる。ステップST11の処理は、現時刻tk の各仮説について、上記のごとくN時刻前の親を特定することを意味する。なお、ステップST11の処理を実現するためには、各時刻における仮説作成部10の処理で、新たに作成した仮説に、例えば1から始まる通し番号を振ると共に、各仮説に対し、その仮説の作成元となった過去N時刻分の上記仮説番号の履歴の情報を持たせてクラスタ内に保存しておけば良い。
【0095】
ステップST12において、クラスタ内の全ての仮説を、上記ステップST11で取得したN時刻前の仮説の番号が同一であるものどうしを同一のグループに属するとして、複数の仮説のグループに分類する。ステップST13において、上記ステップST12で得られた仮説の各グループ毎に、グループ内の仮説の評価値を合計する。ステップST14において、全ての仮説のグループから上記ステップST13で得られた評価値の合計値が最大となるグループを選択する。ステップST15において、上記ステップST14で選択された仮説グループ以外のグループに属する仮説をクラスタ内から削除する。ステップST16において、上記ステップST15の処理によりクラスタ内に残存することとなった仮説のいずれにも含まれないクラスタ内の航跡を抽出し、これらの航跡をクラスタ内から削除する。
【0096】
以上のように、この実施の形態4の仮説縮小部16によれば、過去N時刻分の相関の可能性について仮説を作成することができると共に、複数の航跡を同一視するような操作を行わないため、目標番号が異なる航跡同士を混同するような矛盾を犯すことなく仮説数を削減できるという効果が得られる。
【0097】
実施の形態5.
この実施の形態による目標追尾装置の全体構成は、実施の形態1の図1,実施の形態2の図2のうちのいずれでも良い。図5はこの発明の実施の形態5による目標番号対応型航跡決定部21又は目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡決定部34の処理方法を示すフローチャートである。
【0098】
図5において、ST21は各クラスタ内の仮説の中から仮説の評価値が高い複数の仮説を選択する複数仮説選択ステップ、ST22は上記選択した複数の仮説に含まれる航跡で、既に追尾が確立した航跡であるものを全て抽出する確立航跡抽出ステップ、ST23は上記抽出した追尾確立済みの航跡に対し、追尾フィルタ処理により目標の現時刻tk の位置、速度等の平滑値を算出する追尾フィルタ処理ステップ、ST24は上記抽出した追尾確立済みの航跡の確からしさを評価する航跡評価値算出ステップである。
【0099】
また、図5において、ST25は上記抽出した航跡を目標番号が同一の航跡毎に分類する航跡分類ステップ、ST26は上記分類した航跡の各グループ毎に、グループ内の各航跡に対する位置、速度等の平滑値を、各航跡の評価値で重み付け統合する平滑諸元統合ステップ、ST27は各目標番号に対応する上記統合後の平滑値を該目標番号や航跡状態フラグと共に目標表示装置3に送出する航跡情報出力ステップである。
【0100】
次に動作について説明する。
ステップST21において、各クラスタ内の仮説の中から評価値の高い複数の仮説を選択する。このとき、例えば仮説評価値が所定の基準以上の仮説を全て選択する方法や、仮説評価値が高い仮説から順に選択して、評価値の累計が所定の基準に達するまでの複数の仮説を選択する方法等が適用できる。ステップST22において、上記ステップST21で選択された仮説の少なくとも一つの仮説に含まれる航跡で、既に追尾が確立した航跡の全てを抽出する。ステップST23において、上記ステップST22で抽出された各航跡について、カルマンフィルタ等を使用して平滑化を行い、現時刻の位置、速度等の平滑値を算出する。
【0101】
ステップST24において、上記ステップST22で抽出された各航跡に対して、航跡の確からしさを評価した評価値を算出する。ここで、航跡の評価値は、例えば、該航跡を含む仮説の確からしさの評価値の和で定義することができる。ステップST25において、上記ステップST22で抽出された航跡の全体を目標番号が同一の航跡毎に分類する。ステップST26において、上記目標番号が同一の航跡毎に分類した航跡の各グループに対し、グループ内の各航跡に対する上記ステップST23で算出した平滑値を、上記ステップST24で算出した各航跡の評価値で重み付け統合することにより、各グループに固有の平滑値を算出する。ここで算出した各グループ固有の平滑値は、各目標番号に対応する平滑値を意味する。ステップST27において、各目標番号に対応して、該目標番号と平滑値、又は目標番号、航跡状態フラグと平滑値を、航跡情報として目標表示装置3に出力する。
【0102】
以上のように、この実施の形態5の目標番号対応型航跡決定部21又は目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡決定部34によれば、クラスタ内の最善の1つの仮説ではなく、上位の複数の仮説の影響を仮説の信頼度で重み付け統合した平滑値を、各目標番号毎に対応させて目標表示装置3に出力するため、各時刻毎に表示される航跡の平滑位置や速度が変動することが少なく、安定した表示を得ることができるという効果が得られる。
【0103】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、クラスタ内仮説表と、仮説内航跡表と、クラスタ内航跡−観測ベクトル表と、クラスタ内航跡−目標番号表と、観測ベクトル選択部の出力と既存のクラスタの関係から、いずれのクラスタの航跡とも相関し得ない観測ベクトルにより新たなクラスタを作成し、ある観測ベクトルが互いに異なるクラスタに属する複数の航跡のゲート内に存在した場合に、これらのクラスタを統合し、クラスタ内仮説表、仮説内航跡表、クラスタ内航跡−観測ベクトル表及びクラスタ内航跡−目標番号表を再構成するクラスタ新設統合部と、クラスタ内の現時刻の観測ベクトルと、クラスタ内航跡−観測ベクトル表に定義された既存のクラスタ内にある航跡から、現時刻に対応した航跡を作成して、クラスタ内航跡−観測ベクトル表に再定義すると共に、クラスタ内航跡−目標番号表に定義された目標番号により、作成した現時刻に対応した航跡の目標番号を決定して、クラスタ内航跡−目標番号表に再定義する目標番号対応型航跡作成部と、クラスタ内仮説表、仮説内航跡表に定義されたクラスタ内の既存仮説の状況と、目標番号対応型航跡作成部が作成した現時刻の航跡より、現時刻の観測ベクトルに対応するクラスタ内の新たな仮説を作成して、クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表に再定義する仮説作成部と、クラスタ内仮説表、仮説内航跡表に再定義されているクラスタ内の各仮説の確からしさの評価を行い、この評価結果に基づいてクラスタ内の仮説数を削減する仮説縮小部と、仮説縮小後のクラスタが分離可能であるかどうかを判定し、分離できる場合に分離後の各クラスタの仮説を再構成し、クラスタ内仮説表、仮説内航跡表、クラスタ内航跡−観測ベクトル表及びクラスタ内航跡−目標番号表を再構成するクラスタ分離部と、1つの航跡のみで構成されるクラスタが分離された場合に、この航跡の追尾が確立したか否かを判定し、追尾が確立した航跡に対して付与された新規の目標番号をクラスタ内航跡−目標番号表に定義する追尾確立判定部と、クラスタ内仮説表に定義された仮説の中から1つの仮説を選択し、現時刻の目標の数と航跡を決定し、クラスタ内航跡−目標番号表に定義された目標番号を付随させて出力する目標番号対応型航跡決定部とを備えたことにより、既に確立済みの航跡がいずれであるかを知ることや、前時刻に表示された航跡と現時刻に表示された航跡のいずれが対応するか等の時間的なつながりを知ることができるという効果がある。
【0104】
この発明によれば、クラスタ内仮説表と、仮説内航跡表と、クラスタ内航跡−観測ベクトル表と、クラスタ内航跡−目標番号表及び航跡状態フラグ表と、観測ベクトル選択部の出力と既存のクラスタの関係から、いずれのクラスタの航跡とも相関し得ない観測ベクトルにより新たなクラスタを作成し、ある観測ベクトルが互いに異なるクラスタに属する複数の航跡のゲート内に存在した場合に、これらのクラスタを統合し、クラスタ内仮説表、仮説内航跡表、クラスタ内航跡−観測ベクトル表並びにクラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表を再構成するクラスタ新設統合部と、クラスタ内の現時刻の観測ベクトルと、クラスタ内航跡−観測ベクトル表に定義された既存のクラスタ内にある航跡から、現時刻に対応した航跡を作成して、クラスタ内航跡−観測ベクトル表に再定義し、クラスタ内航跡−目標番号表及び航跡状態フラグ表に定義された目標番号により、作成した現時刻に対応した航跡の目標番号及び航跡状態フラグを決定して、クラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表に再定義すると共に、作成した新航跡に対して、付与された目標番号と、追尾が確立していない航跡であることを示す航跡状態フラグを、クラスタ内航跡−目標番号表及び航跡状態フラグに再定義する目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡作成部と、クラスタ内仮説表、仮説内航跡表に定義されたクラスタ内の既存仮説の状況と、目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡作成部が作成した現時刻の航跡より、現時刻の観測ベクトルに対応するクラスタ内の新たな仮説を作成して、クラスタ内仮説表、仮説内航跡表に再定義する仮説作成部と、クラスタ内仮説表、仮説内航跡表に再定義されているクラスタ内の各仮説の確からしさの評価を行い、この評価結果に基づいてクラスタ内の仮説数を削減する仮説縮小部と、仮説縮小後のクラスタが分離可能であるかどうかを判定し、分離できる場合に分離後の各クラスタの仮説を再構成し、クラスタ内仮説表、仮説内航跡表、クラスタ内航跡−観測ベクトル表並びに上記クラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表を再構成するクラスタ分離部と、1つの航跡のみで構成されるクラスタが分離された場合に、この航跡の追尾が確立したか否かを判定し、追尾が確立した航跡に対して変更された航跡状態フラグをクラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表に定義する追尾確立判定部と、クラスタ内仮説表に定義された仮説の中から1つの仮説を選択し、現時刻の目標の数と航跡を決定し、クラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表に定義された目標番号と航跡状態フラグを付随させて出力する目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡決定部とを備えたことにより、既に確立済みの航跡がいずれであるかを知ることや、前時刻に表示された航跡と現時刻に表示された航跡のいずれが対応するか等の時間的なつながりを知ることができるという効果がある。
【0105】
この発明によれば、仮説縮小部が、クラスタ内の各仮説の確からしさの評価値を算出し、クラスタ内の各航跡から最新のN時刻よりも古い観測ベクトルを削除し、クラスタ内の航跡を観測ベクトルの構成と目標番号が同一の航跡毎に分類し、同一グループに分類された航跡を同一航跡とみなした結果、航跡の構成が同一となった複数の仮説を1つの仮説に統合し、統合後の仮説の評価値を統合前の仮説群の評価値より算出し、観測ベクトルの構成と目標番号が同一の航跡毎に分類した航跡の各グループの中から1つの航跡のみを選択して残りを削除することにより、異なる目標を追尾しようとして作成された航跡同士を同一視するような矛盾を犯すことなく仮説数を削減できるという効果がある。
【0106】
この発明によれば、仮説縮小部が、クラスタ内の各仮説の確からしさの評価値を算出し、クラスタ内の各仮説に対し、この仮説を生む親となったN時刻前の仮説の番号を取得し、クラスタ内の仮説を上記N時刻前の仮説の番号が同一の仮説毎に分類し、分類した仮説の各グループ毎にグループ内の仮説の評価値の合計値を算出し、評価値の合計値が最大となる仮説のグループを選択し、選択された仮説グループ以外のグループに属する仮説をクラスタ内から削除し、クラスタ内に残存する仮説のいずれにも含まれることのない航跡をクラスタ内から削除することにより、目標番号が異なる航跡同士を混同するような矛盾を犯すことなく仮説数を削減できるという効果がある。
【0107】
この発明によれば、目標番号対応型航跡決定部が、各クラスタ内の仮説の中から仮説の評価値が高い複数の仮説を選択し、選択した複数の仮説に含まれる航跡で、既に追尾が確立した航跡であるものを全て抽出し、抽出した追尾確立済みの航跡に対し、追尾フィルタ処理により目標の現時刻の位置、速度等の平滑値を算出し、抽出した追尾確立済みの航跡の確からしさを評価し、抽出した航跡を目標番号が同一の航跡毎に分類し、分類した航跡の各グループ毎に、グループ内の各航跡に対する位置、速度等の平滑値を、各航跡の評価値で重み付け統合し、各目標番号に対応する上記統合後の平滑値を、目標番号と共に出力することにより、各時刻毎に表示される航跡の平滑位置や速度が変動することが少なく、安定した表示を得ることができるという効果がある。
【0108】
この発明によれば、目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡決定部が、各クラスタ内の仮説の中から仮説の評価値が高い複数の仮説を選択し、選択した複数の仮説に含まれる航跡で、既に追尾が確立した航跡であるものを全て抽出し、抽出した追尾確立済みの航跡に対し、追尾フィルタ処理により目標の現時刻の位置、速度等の平滑値を算出し、抽出した追尾確立済みの航跡の確からしさを評価し、抽出した航跡を目標番号が同一の航跡毎に分類し、分類した航跡の各グループ毎に、グループ内の各航跡に対する位置、速度等の平滑値を、各航跡の評価値で重み付け統合し、各目標番号に対応する統合後の平滑値を目標番号及び航跡状態フラグと共に出力することにより、各時刻毎に表示される航跡の平滑位置や速度が変動することが少なく、安定した表示を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による目標追尾装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態2による目標追尾装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】 この発明の実施の形態3による仮説縮小部の処理方法を示すフローチャートである。
【図4】 この発明の実施の形態4による仮説縮小部の処理方法を示すフローチャートである。
【図5】 この発明の実施の形態5による目標番号対応型航跡決定部又は目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡決定部の処理方法を示すフローチャートである。
【図6】 従来の目標追尾装置の全体構成を示すブロック図である。
【図7】 各航跡と観測ベクトルの相関の判定が困難となる状況の例を示す図である。
【符号の説明】
1 目標追尾装置、2 目標観測装置、3 目標表示装置、4 ゲート算出部、5 観測ベクトル選択部、6 システム内クラスタ表、7 クラスタ新設統合部、8 クラスタ内観測ベクトル表、9 目標番号対応型航跡作成部、10 仮説作成部、11 クラスタ内仮説状況データ群、12 クラスタ内仮説表、13仮説内航跡表、14 クラスタ内航跡−観測ベクトル表、15 クラスタ内航跡−目標番号表、16 仮説縮小部、17 クラスタ分離部、18 追尾確立判定部、19 目標番号付与部、20 システム内目標番号表、21 目標番号対応型航跡決定部、31 目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡作成部、32 クラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表、33 航跡状態フラグ変更部、34 目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡決定部。
Claims (6)
- 既存のクラスタ内にある全ての仮説を定義したクラスタ内仮説表と、
既存のクラスタ内の各仮説毎に仮説内にある全ての航跡を定義した仮説内航跡表と、
既存のクラスタ内にある全ての航跡に対して、航跡を構成する観測ベクトルを定義したクラスタ内航跡−観測ベクトル表と、
既存のクラスタ内にある全ての航跡に対して、航跡に付随する目標番号を定義したクラスタ内航跡−目標番号表と、
上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表に定義された全ての航跡に対して、現時刻の観測ベクトルの存在期待領域である各航跡のゲートを算出するゲート算出部と、
入力された現時刻の観測ベクトル全体から、上記ゲート算出部により算出された各航跡のゲート内にいずれの観測ベクトルが存在するかを調べ、各航跡に相関し得る観測ベクトルを選択する観測ベクトル選択部と、
上記観測ベクトル選択部の出力と既存のクラスタの関係から、いずれのクラスタの航跡とも相関し得ない観測ベクトルにより新たなクラスタを作成し、ある観測ベクトルが互いに異なるクラスタに属する複数の航跡のゲート内に存在した場合に、これらのクラスタを統合し、上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表、上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表及び上記クラスタ内航跡−目標番号表を再構成するクラスタ新設統合部と、
クラスタ内の現時刻の観測ベクトルと、上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表に定義された既存のクラスタ内にある航跡から、現時刻に対応した航跡を作成して、上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表に再定義すると共に、上記クラスタ内航跡−目標番号表に定義された目標番号により、作成した現時刻に対応した航跡の目標番号を決定して、上記クラスタ内航跡−目標番号表に再定義する目標番号対応型航跡作成部と、
上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表に定義されたクラスタ内の既存仮説の状況と、上記目標番号対応型航跡作成部が作成した現時刻の航跡より、現時刻の観測ベクトルに対応するクラスタ内の新たな仮説を作成して、上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表に再定義する仮説作成部と、
上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表に再定義されているクラスタ内の各仮説の確からしさの評価を行い、この評価結果に基づいてクラスタ内の仮説数を削減する仮説縮小部と、
仮説縮小後のクラスタが分離可能であるかどうかを判定し、分離できる場合に分離後の各クラスタの仮説を再構成し、上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表、上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表及び上記クラスタ内航跡−目標番号表を再構成するクラスタ分離部と、
1つの航跡のみで構成されるクラスタが分離された場合に、この航跡の追尾が確立したか否かを判定し、追尾が確立した航跡に対して付与された新規の目標番号を上記クラスタ内航跡−目標番号表に定義する追尾確立判定部と、
追尾が確立した航跡に対して新規の目標番号を付与する目標番号付与部と、
上記クラスタ内仮説表に定義された仮説の中から1つの仮説を選択し、現時刻の目標の数と航跡を決定し、上記クラスタ内航跡−目標番号表に定義された目標番号を付随させて出力する目標番号対応型航跡決定部とを
備えたことを特徴とする目標追尾装置。 - 既存のクラスタ内にある全ての仮説を定義したクラスタ内仮説表と、
既存のクラスタ内の各仮説毎に仮説内にある全ての航跡を定義した仮説内航跡表と、
既存のクラスタ内にある全ての航跡に対して、航跡を構成する観測ベクトルを定義したクラスタ内航跡−観測ベクトル表と、
既存のクラスタ内にある全ての航跡に対して、航跡に付随する目標番号と、追尾が確立した航跡であるか否かを示す航跡状態フラグを定義したクラスタ内航跡−目標番号表及び航跡状態フラグ表と、
上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表に定義された全ての航跡に対して、現時刻の観測ベクトルの存在期待領域である各航跡のゲートを算出するゲート算出部と、
入力された現時刻の観測ベクトル全体から、上記ゲート算出部により算出された各航跡のゲート内にいずれの観測ベクトルが存在するかを調べ、各航跡に相関し得る観測ベクトルを選択する観測ベクトル選択部と、
上記観測ベクトル選択部の出力と既存のクラスタの関係から、いずれのクラスタの航跡とも相関し得ない観測ベクトルにより新たなクラスタを作成し、ある観測ベクトルが互いに異なるクラスタに属する複数の航跡のゲート内に存在した場合に、これらのクラスタを統合し、上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表、上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表並びに上記クラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表を再構成するクラスタ新設統合部と、
クラスタ内の現時刻の観測ベクトルと、上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表に定義された既存のクラスタ内にある航跡から、現時刻に対応した航跡を作成して、上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表に再定義し、上記クラスタ内航跡−目標番号表及び航跡状態フラグ表に定義された目標番号により、作成した現時刻に対応した航跡の目標番号及び航跡状態フラグを決定して、上記クラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表に再定義すると共に、作成した新航跡に対して、付与された目標番号と、追尾が確立していない航跡であることを示す航跡状態フラグを、上記クラスタ内航跡−目標番号表及び航跡状態フラグに再定義する目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡作成部と、
新航跡に対して新規の目標番号を付与する目標番号付与部と、
上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表に定義されたクラスタ内の既存仮説の状況と、上記目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡作成部が作成した現時刻の航跡より、現時刻の観測ベクトルに対応するクラスタ内の新たな仮説を作成して、上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表に再定義する仮説作成部と、
上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表に再定義されているクラスタ内の各仮説の確からしさの評価を行い、この評価結果に基づいてクラスタ内の仮説数を削減する仮説縮小部と、
仮説縮小後のクラスタが分離可能であるかどうかを判定し、分離できる場合に分離後の各クラスタの仮説を再構成し、上記クラスタ内仮説表、上記仮説内航跡表、上記クラスタ内航跡−観測ベクトル表並びに上記クラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表を再構成するクラスタ分離部と、
1つの航跡のみで構成されるクラスタが分離された場合に、この航跡の追尾が確立したか否かを判定し、追尾が確立した航跡に対して変更された航跡状態フラグを上記クラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表に定義する追尾確立判定部と、
追尾が確立した航跡に対して、追尾が確立したことを示す航跡状態フラグに変更する航跡状態フラグ変更部と、
上記クラスタ内仮説表に定義された仮説の中から1つの仮説を選択し、現時刻の目標の数と航跡を決定し、上記クラスタ内航跡−目標番号及び航跡状態フラグ表に定義された目標番号と航跡状態フラグを付随させて出力する目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡決定部とを
備えたことを特徴とする目標追尾装置。 - 仮説縮小部が、
クラスタ内の各仮説の確からしさの評価値を算出し、
クラスタ内の各航跡から最新のN時刻よりも古い観測ベクトルを削除し、
クラスタ内の航跡を観測ベクトルの構成と目標番号が同一の航跡毎に分類し、
同一グループに分類された航跡を同一航跡とみなした結果、航跡の構成が同一となった複数の仮説を1つの仮説に統合し、
統合後の仮説の評価値を統合前の仮説群の評価値より算出し、
上記観測ベクトルの構成と目標番号が同一の航跡毎に分類した航跡の各グループの中から1つの航跡のみを選択して残りを削除する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の目標追尾装置。 - 仮説縮小部が、
クラスタ内の各仮説の確からしさの評価値を算出し、
クラスタ内の各仮説に対し、この仮説を生む親となったN時刻前の仮説の番号を取得し、
クラスタ内の仮説を上記N時刻前の仮説の番号が同一の仮説毎に分類し、
上記分類した仮説の各グループ毎にグループ内の仮説の評価値の合計値を算出し、
上記評価値の合計値が最大となる仮説のグループを選択し、
上記選択された仮説グループ以外のグループに属する仮説をクラスタ内から削除し、
クラスタ内に残存する仮説のいずれにも含まれることのない航跡をクラスタ内から削除する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の目標追尾装置。 - 目標番号対応型航跡決定部が、
各クラスタ内の仮説の中から仮説の評価値が高い複数の仮説を選択し、
上記選択した複数の仮説に含まれる航跡で、既に追尾が確立した航跡であるものを全て抽出し、
上記抽出した追尾確立済みの航跡に対し、追尾フィルタ処理により目標の現時刻の位置、速度等の平滑値を算出し、
上記抽出した追尾確立済みの航跡の確からしさを評価し、
上記抽出した航跡を目標番号が同一の航跡毎に分類し、
上記分類した航跡の各グループ毎に、グループ内の各航跡に対する位置、速度等の平滑値を、各航跡の評価値で重み付け統合し、
各目標番号に対応する上記統合後の平滑値を、目標番号と共に出力する
ことを特徴とする請求項1記載の目標追尾装置。 - 目標番号及び航跡状態フラグ対応型航跡決定部が、
各クラスタ内の仮説の中から仮説の評価値が高い複数の仮説を選択し、
上記選択した複数の仮説に含まれる航跡で、既に追尾が確立した航跡であるものを全て抽出し、
上記抽出した追尾確立済みの航跡に対し、追尾フィルタ処理により目標の現時刻の位置、速度等の平滑値を算出し、
上記抽出した追尾確立済みの航跡の確からしさを評価し、
上記抽出した航跡を目標番号が同一の航跡毎に分類し、
上記分類した航跡の各グループ毎に、グループ内の各航跡に対する位置、速度等の平滑値を、各航跡の評価値で重み付け統合し、
各目標番号に対応する上記統合後の平滑値を目標番号及び航跡状態フラグと共に出力する
ことを特徴とする請求項2記載の目標追尾装置。
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