JP3637331B2 - 遠隔からの監視を可能にするプラント監視装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠隔からの監視を可能にするプラント監視装置に関し、特に、遠隔の端末装置のプラットフォームに依存しないでプラント監視を行うことができるプラント監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラント監視装置は、発電所などのプラントの状態を監視し、プラント内のバルブなどのアクチュエータに対して所定の制御を行う。プラント監視は、プラントが正常に稼働している間は全て自動運転されているため、特別に操作を行う必要がないが、一旦プラント内に異常が発生すると、現場に派遣される作業員、中央操作室で指示する作業員、制御コンピュータをチェックする作業員、予備の作業員など複数の作業員による作業が必要になる。
【0003】
従って、正常に稼働している間、複数の作業員が中央操作室に常駐することなく、どこからでもプラントの状態を監視することができる遠隔監視装置が必要になり、種々の提案がなされている。
【0004】
図1は、従来の遠隔プラント監視システムを示す図である。プラント現場10には、発電所などのプラント12が設置され、プラント12内の各種センサ出力が、監視データとして監視サーバ14により収集される。この監視データは、監視対象物の温度や圧力、流量などの工学データであり、一定周期で収集される。そして、監視サーバ14は、通信装置16を使って、収集した監視データ19をインターネットなどの公衆回線や専用回線からなる通信回線18を介して遠隔監視拠点20に送信する。
【0005】
遠隔監視拠点20では、監視データ解析装置24が、通信装置22を介してプラントからの監視データ19を受信し、データ変換データベース26を参照して、受信した監視データ19を作業員に理解可能な画像やグラフに変換し、表示装置28に表示する。遠隔監視拠点20の作業員は、その表示された画像やグラフを介してプラントの状態を監視し、必要に応じてプラントの制御またはプラントの停止を行う。
【0006】
具体的には、中央操作室でのプロセスの制御、監視、データ管理などに対応する監視画像(後述)が表示装置28に表示され、その画像によりプラントの状態監視を行うと共に、必要な制御を行う。従って、遠隔監視拠点から制御指令を送信することで、プラント12内のバルブなどのアクチュエータにその制御指令が反映される。以上の遠隔監視システムは、プラントから遠隔の地にプラントの中央操作室が設けられた形態である。
【0007】
しかしながら、このシステムでは、遠隔監視拠点におけるコンピュータシステムに、監視データ解析装置24とデータ変換データベース26とを特別に設ける必要があり、監視拠点が限定されてしまうという問題がある。即ち、監視データ解析機能24をインストールしたクライアントコンピュータとデータ変換データベース26とが設置されていないと遠隔監視ができない。そのため、プラント現場に監視作業員が常駐する必要はないものの、遠隔監視拠点には常駐する必要がある。
【0008】
そこで、いかなる場所でいかなる時にもプラント監視を可能にするシステムとして、図2に示す遠隔監視システムが提案されている。このシステムは、例えば特開平11−202931号公報(平成10年1月13日出願公開)に開示されている。
【0009】
この遠隔監視システムでは、遠隔の監視端末にプラント固有の監視データ解析装置を設置せずに、ウインドウズ(マイクロソフトの登録商標)などの汎用OSとブラウザを有する汎用パソコンを利用して、プラント中央操作室を実現しようとするものである。このシステムでは、プラント現場10において、プラント12からの監視データが監視サーバ14により収集される。そして、プラント現場10には監視サーバ14に構内ネットワークを介してウエブサーバ30が接続され、更に、プラント監視用の画面がHTMLなどのマークアップ言語で記述されたファイルとしてデータベース32に格納されている。
【0010】
遠隔監視端末20は、汎用パソコンさえあれば良く、その汎用パソコンには、オペレーティングシステム34とブラウザ36とがインストールされ、更に、通信装置22と表示モニタ38とマウスやキーボードなどの入力手段40とが設けられる。また、監視データを監視画像に変換する時に参照すべきデータ変換データベース26も遠隔監視端末20に設置されている。
【0011】
遠隔監視端末20は、インターネットなどの公衆回線18を介して、プラントのウエブサーバ30にアクセスし、そこの監視画像データ42を取得し、ブラウザ36により編集して表示モニタ38に表示する。この監視画像データは、前述のとおりHTMLなどのマークアップ言語で記述され、更に、その中に監視画像生成機能を有するプログラムコンポーネントが埋め込まれている。このプログラムコンポーネントは、具体的には、JAVA(サンマイクロン社の登録商標)によるJAVAスクリプトやActiveX(マイクロソフト社)によるActiveXコントローラなどブラウザ36上で動作可能なプログラム部品であり、図1の監視データ解析機能を有するアプリケーションプログラム機能を実現することができる。
【0012】
遠隔監視端末20のブラウザ36は、この監視画像データ42を取得してそこにプログラムコンポーネント44が埋め込まれていることを検出すると、再度ウエブサーバ30にアクセスして、そのコンポーネント44をダウンロードする。その結果、ブラウザ36上で監視データ解析機能を有するプログラムコンポーネント44が動作し、ウエブサーバ30にアクセスして、監視データのダウンロードを実行する。そして、プログラムコンポーネント44は、ダウンロードした監視データを、データ変換データベース26を参照して監視画像に変換し、表示モニタ38に表示する。この監視画像は監視データに応じて刻一刻変化する動画である。
【0013】
このような構成にすることで、遠隔監視拠点には、ブラウザがインストールされた汎用パソコンの環境があれば良く、遠隔のオフィス、自宅、移動中の車や列車内からプラントを監視することが可能になる。そして、インターネットの双方向機能を利用して、遠隔監視端末から必要な制御操作を行うことも可能になる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図2の遠隔監視システムにおいても、いかなる場所でいかなる時間でもプラント監視可能にするには、一定の限界がある。つまり、ブラウザ36上で動作可能なプログラムコンポーネント44は、ある程度ブラウザに依存し、OSに依存する。従って、ウインドウズのOSがインストールされたパソコンに対しては、ActiveXコントローラによるプログラムコンポーネントをウエブサーバ30から提供可能にすれば良いが、他のOS、例えばマッキントッシュ(アップル社製)のパソコンや、パームトップコンピュータなどの携帯情報端末や、インターネットにアクセス可能な携帯電話で遠隔監視端末を実現可能にするためには、それらに対応可能なプログラムコンポーネントをそれぞれ提供する必要がある。そのようにあらゆる種類の端末に対してプログラムコンポーネントを提供することは、コストアップを招き、現実的ではない。
【0015】
そのため、プラント内に何らかの異常が発生した場合に、作業員が現場に派遣されてボイラーの状態などをチェックする必要が生じた時、ボイラーに近づく前にプラントの状態を確認し安全を確認することが要求されるが、携帯情報端末や携帯電話に対してプログラムコンポーネントが提供されていなければ、そのようなことはできない。結局、遠隔監視端末と同じOSとブラウザ環境を有する大型のノートパソコンを携帯しなければ、そのような安全確認を行うことはできない。
【0016】
上記のような場合に、携帯情報端末や携帯電話などインターネットアクセス機能さえ有する端末で遠隔監視機能を実現できれば、監視員の利便性を高めることができる。
【0017】
そこで、本発明の目的は、いかなる場所でいかなる時にもプラント監視を行うことを可能にするプラント監視装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの側面は、遠隔のクライアント端末からのプラント監視を可能にするプラント監視サーバにおいて、プラントから収集される監視データを解析する解析手段と、解析手段によるデータ解析結果とあらかじめ用意された系統図表示画像とから時間的変化に伴う監視用動画データを生成する監視用動画データ生成手段とを有し、当該監視用動画データをストリームデータとして通信手段を介して前記クライアント端末に送信することを特徴とする。
更に、プラント監視サーバは、クライアント端末からのアクセス要求に応答して、監視用動画データをストリームデータとして返信するウエブサーバを、通信手段として有することを特徴とする。
また、プラント監視サーバは、クライアント端末からのアクセス要求に応答して、プラントから収集される監視用データから監視用画像を生成し、ストリームデータとしてクライアント端末に返信することを特徴とする。
【0019】
上記の発明の好ましい実施例では、プラント監視サーバには、プラントから収集される監視データを解析する解析手段と、前記解析手段によるデータ解析結果とあらかじめ用意された系統図表示画像とから時間的変化に伴う監視用動画データを生成する監視用動画データ生成手段とが備えられており、ネットワークにおけるウエブサーバ機能が併設され、遠隔のクライアント端末からプラント監視サーバのサイトにアクセスされると、プラント監視サーバ側で生成した監視用動画データが、ストリームデータとしてクライアント端末に送出される。従って、クライアント端末をいかなるOSやブラウザ環境であっても、動画のストリームデータを受信して表示することが可能であれば、プラントの監視を実施することが可能になり、いかなる場所でいかなる時にもプラント監視を行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物まで及ぶものである。
【0021】
図3〜図8は、プラント監視用画像例を示す図である。これらの監視用画像を利用してプラントのプロセスの制御、監視、データ管理が行われる。図3は、グラフィック(系統図表示)画像例であり、プラント全体若しくは部分的なプラント内の系統図を表示し、プロセス状態及びプロセス値をデジタル表示、バーグラフ、色変化などの表現方法で、プラントの状態をリアルタイムで表示する。図4は、トレンドグラフ画像例であり、横軸に時間、縦軸にプロセス値を対応させ、プロセスの時間変化をグラフ表示する。図5は、コントロールループプレート画像例であり、この画像を介してアナログ制御ループの設定値操作、電動機器の起動停止操作を行うことができる。
【0022】
図6は、リスト的情報表示画像例であり、プラント内のセンサ値の変化が数値で逐一示される。図7は、処理フロー的表現画像例であり、プラントの制御ロジック回路における各ステージの値の変化を逐一示し、プラント運転の制御コンピュータを監視するために利用される。図8は、イベントリスト表示画像例であり、時刻とイベントメッセージとが示される。
【0023】
上記のようなプラント監視画像は、プラントからの監視データを収集してそれらの画像に変換することで生成され、作業員はこれらの監視画像を適宜参照することでプラントの監視、制御を行う。
【0024】
図9は、本実施の形態における遠隔監視システムの構成図である。プラント現場10には、プラント12からの監視データを集計し保存する監視サーバ50と、遠隔のクライアント端末20からのアクセスに応答するウエブブラウザ30とを有する。プラント12は、図示しないプロセスステーションにより自動制御される。このプロセスステーションは、高速演算処理が必要なタービンガバナ制御やボイラ自動制御などのアプリケーションプログラムを演算処理する。
【0025】
監視サーバ50は、その詳細な構成は後述するが、プラントから収集した監視データを作業員が監視するための監視用画像に変換し、その監視画像の時間的変化に伴う監視用動画データを生成する。ウエブサーバ30は、遠隔の監視用クライアント端末からのアクセスに応答して、遠隔監視画像データを返信すると共に、その遠隔監視画像内に表示される監視用動画データをストリーミングデータ52として監視用クライアント端末に送信する。
【0026】
遠隔の監視用クライアント端末20は、汎用のパソコン、パームコンピュータなどの携帯情報端末、若しくは携帯電話など、インターネットにアクセス可能な環境を有する端末であれば良く、特定のOSやブラウザをインストールしておく必要はない。従って、クライアント端末20には、通信装置22と、表示装置38と、入力手段40とが設けられ、更に、OS34とブラウザ36とがインストールされている。このOSは、ウインドウズ(マイクロソフト社の商標)以外、ウインドウズCEや携帯端末のOSであってもよい。また、ブラウザ36も特定のブラウザに限定されない。
【0027】
図10は、本実施の形態におけるプラント監視サーバの構成図である。監視サーバ50は、プラント12内のセンサなどからの監視データを受信する通信装置501と、収集した監視データをデータ変換データベース503を参照して、プロセスステーション(操作室)用の監視画像(図3〜8の画像)に変換する監視データ解析手段502とを有する。そして、その監視画像は、フレームメモリである仮想画像メモリ504内に所定時間毎にレンダリングされる。動画データ生成手段505が、この仮想画像メモリ504に描画されたフレーム画像から監視用の動画データを生成する。この監視用動画データは、例えば、MPEG形式により圧縮され、ウエブサーバ30から動画データストリーム52として監視用クライアント端末20に送信される。
【0028】
図11は、上記のプラント監視サーバにクライアントがアクセスする時のタイミングチャート図である。プラント監視サーバ50は、プラント12から監視データを収集し、図3〜8に示した監視画像を仮想画像メモリ504内に所定時間毎にレンダリングして保存し、そのフレーム画像から監視用動画データを生成することを継続して行う(S2)。一方、クライアント端末20は、監視対象のプラントのウエブサーバにインターネットを介してアクセスする(S4、S6)。ウエブサーバ30は、そのアクセスに応答して、監視画像データベース32内のHTMLで記述した監視画像データ51を返信する(S8)。それにより、クライアント端末20では、ブラウザ36が監視画像ファイルを解析し、その監視画像を表示装置38に表示する。更に、クライアント端末20のブラウザ36は、受信した監視画像ファイル51を解析し、そこに監視用動画ファイルがあることを検出すると、その監視用動画ファイルをプラントのウエブサーバ30に要求する(S10、S12)。
【0029】
それに応答して、ウエブサーバ30は、監視サーバ50が生成した監視用動画データ52をストリームデータとしてクライアント端末20に送信する(S14)。クライアント端末のブラウザは、この監視用動画を表示可能な動画再生プログラムを起動し、受信した監視用動画を再生する(S16)。この動画再生プログラムは、ウインドウズ環境のクライアント端末であれば、例えばリアルオーディオなどである。
【0030】
このように、インターネットにおける動画配信技術を利用することで、プラント監視サーバ50は、クライアント端末20にプラントの監視画像を動画データとして送信することができる。そして、クライアント端末20に、監視用画像を生成するためのプログラムコンポーネントを送信することなく、いかなる種類のクライアント端末にも、監視用画像を動画として表示することができる。
【0031】
従って、例えばプラント内に異常が発生して現場に派遣される作業員は、パームコンピュータや携帯電話を利用して、最新のプラント運転状態を監視、確認することができ、目視検査作業における心理的恐怖を負うことを避けることができる。更に、特定のOSをインストールしたパソコンがないところでも、遠隔にあるプラントの運転状況を監視することができ、どこでもいつでも監視可能を低コストで実現することができる。
【0032】
更に、プラントの遠隔監視システムとして、図9、図10の本実施の形態例と図2の従来例とを組み合わせることで、主たるクライアント端末では、プログラムコンポーネントを利用した遠隔監視を行い、プラント運転状態の監視とその運転制御を行い、従たるクライアント端末には監視用動画を表示してプラント運転状態の監視を主に行うようにしても良い。
【0033】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、プラント監視用のクライアント端末を特定のOSやブラウザ環境のものに限定することなく、プラントの運転状態を監視可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の遠隔プラント監視システムを示す図である。
【図2】従来の遠隔プラント監視システムを示す図である。
【図3】プラント監視用画像例を示す図である。
【図4】プラント監視用画像例を示す図である。
【図5】プラント監視用画像例を示す図である。
【図6】プラント監視用画像例を示す図である。
【図7】プラント監視用画像例を示す図である。
【図8】プラント監視用画像例を示す図である。
【図9】本実施の形態における遠隔監視システムの構成図である。
【図10】本実施の形態におけるプラント監視サーバの構成図である
【図11】プラント監視サーバにクライアントがアクセスする時のタイミングチャート図である。
【符号の説明】
10 プラント現場
12 プラント
18 インターネット、通信回線
20 監視用クライアント端末
30 ウエブサーバ(通信手段)
50 プラント監視サーバ
52 動画データストリーム
Claims (3)
- 遠隔のクライアント端末からのプラント監視を可能にするプラント監視サーバにおいて、プラントから収集される監視データを解析する解析手段と、
前記解析手段によるデータ解析結果とあらかじめ用意された系統図表示画像とから時間的変化に伴う監視用動画データを生成する監視用動画データ生成手段とを有し、
当該監視用動画データをストリームデータとして通信手段を介して前記クライアント端末に送信することを特徴とするプラント監視サーバ。 - 請求項1において、
更に、前記クライアント端末からのアクセス要求に応答して、前記監視用動画データをストリームデータとして返信するウエブサーバを、前記通信手段として有することを特徴とするプラント監視サーバ。 - 請求項2において、
前記ウエブサーバは、前記クライアント端末からのアクセス要求に応答して、前記プラントから収集される監視用データから前記監視用画像を生成し、ストリームデータとして当該クライアント端末に返信することを特徴とするプラント監視サーバ。
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