JP3636006B2 - ディジタル伝送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直交周波数分割多重(OFDM: Orthogonal Frequency Division Multiplex)変調方式を用いたディジタル伝送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ヨーロッパやアメリカおよび日本でディジタル放送が検討されており、その変調方式としてOFDM変調方式の採用が有力視されている。
このOFDM変調方式とは、マルチキャリア変調方式の一種で、多数のディジタル変調波を加え合わせたものである。 このときの各キャリアの変調方式にはQPSK(Quadrature Phase Shift Keying:4相位相偏移変調)方式等が用いられ、合成波であるOFDM信号を得ることができる。
ここで、このOFDM信号を数式で表すと、以下のようになる。
まず、各キャリアのQPSK信号をαk(t)とすると、これは式(1)で表せる。
αk(t)=ak(t)・cos(2πkft)+bk(t)・sin(2πkft) ・・・・・(1)
ここで、kはキャリアの番号を示し、ak(t)、bk(t)は、k番目のキャリアのデータで、[−1]または[1]の値をとる。
次に、キャリアの本数をNとすると、OFDM信号はN本のキャリアの合成であり、これをβk(t)とすると、これは次の式(2)で表すことができる。
βk(t)=Σαk(t) (但し、k=1〜N) ・・・・・・(2)
ところで、OFDM変調方式では、マルチパスの影響を低減するため、信号にガードインターバルを付加するのが一般的である。
即ち、図4に示すように、有効シンボル期間Tsにおいて、その有効シンボルの開始部分の波形と終了部分の少なくとも一方の波形をガードインターバルTgとして用いる。 ここで、図4の(a)は、k=1のとき、有効シンボル期間Tsの終了部分にガードインターバルTgを付加した場合のOFDM信号を示したもので、同図(b)は、k=1〜544のとき、有効シンボル期間Tsの終了部分にガードインターバルTgを付加した場合のOFDM信号を示したものである。
このOFDM信号は、上記信号単位から構成され、この信号単位シンボルは、例えば有効サンプル1024サンプルにガードインターバルデータ48サンプルを付加した1072サンプルのシンボル894組に、6組の同期シンボルを付加した、全900シンボルからなるフレームと呼ぶストリーム単位の繰返しで構成される。
【0003】
図5は、従来技術によるOFDM伝送装置における変復調部の基本構成を示すブロック図で、これは、伝送路符号化部1T、符号化部2T、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆フーリエ変換)部3A、ガード付加部3B、同期シンボル挿入部5、クロック発振器6、直交変調処理部8からなる送信側処理部101を有する送信側Txと、直交復調処理部9、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)部3C、復号化部2R、伝送路復号化部1R、電圧制御クロック発振器10からなる受信側処理部203と同期検出器4を有する受信側Rxとにより構成され、これら送信側Txと受信側Rxは、例えば、電波を用いた無線の伝送路Lにより結ばれている。
以下、図5を用いてOFDM信号の変復調処理について説明する。
送信側処理部10の伝送路符号化部1Tに連続的に入力されるデータDinは、例えば900シンボルからなるフレーム毎に処理され、このフレーム期間内で同期シンボルの6シンボル期間を除く894個の情報シンボル毎に、1から400番と、625から1024番までの計800サンプル期間に、間欠状態のレート変換済データDiiとして出力される。
【0004】
また、伝送路符号化部1Tは、フレーム周期である900シンボル毎に、送信側のフレーム制御パルスFSTを発生し、同期シンボル期間の開始を表わすフレームパルス信号として、他のブロックに供給する。
符号化部2Tは、入力されたデータDiiを符号化し、I軸とQ軸の2軸にマッピングしたデータRfとIfを出力する。
IFFT部3Aは、これらデータRfとIfを周波数成分と見なし、1024サンプルからなる時間軸信号R(実数成分)とI(虚数成分)に変換する。
ガード付加部3Bは、1024サンプルからなる時間軸信号RとIの開始期間における波形の中で、例えば最初の48サンプルの波形を1024サンプル後に付加し、合計1072サンプルの時間軸波形からなる情報シンボルRgとIgを出力する。 この48サンプルは反射波混入時の緩衝帯となる。
同期シンボル挿入部5は、これら情報シンボルRg,Igに対して、それらの894サンプル毎に、予めメモリ等に記憶された、6シンボルからなる同期波形を挿入し、フレーム構成のデータRsgとIsgを作成する。
これらのデータRsg,Isgは直交変調処理部8に供給され、ここでD/A変換器81と直交変調器82、ローカル発振器83により、周波数FcのキャリアによるOFDM変調波信号RFとして生成され、高周波増幅されて伝送路Lに送出されることになる。 伝送帯域は、UHF帯やマイクロ波帯が用いられる。
なお、送信側Txにおける処理に必要なクロックCK(周波数16MHz)は、クロック発振器6から各ブロックに送信側クロックCKdとして供給される。
【0005】
上記の様にして送信されたOFDM変調波信号RFは、受信側Rxの直交復調処理部9に入力され、ここで、直交復調器91により、電圧制御発振器93から供給される周波数Fc'の局発信号と乗算され、ベースバンド信号に直交復調された後に、A/D変換器92によってディジタル化され、データR'sgとI'sgに変換される。
これらのデータR'sg,I'sgは、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)部3Cに供給され、ここでパルスFSTrcに基づきFFTとして利用する1024サンプルのデータ期間を決定するゲート信号を作成して、緩衝帯である48サンプルを除外することにより、時間軸波形信号R'sg,I'sgは、周波数成分信号R'fとI'fに変換される。
そして、これら周波数成分信号R'f,I'fは、復号化部2Rにて識別、復号化されて、データD'oになり、伝送路復号化部1Rにて連続した信号Doutとして出力される。
一方、上記データR'sgとI'sgは、同期検出器4にも入力され、ここで、同期シンボル群が検出され、これによりフレームパルスとなるパルスFSTrが取り出される。 このパルスFSTrは、受信側Rxのフレーム制御パルスとなり、受信側Rxの各ブロックに供給される。
また、この同期検出器4は、電圧制御クロック発振器10から発生されるクロックCKrとデータR'sgとI'sgの同期成分を比較し、比較結果に応じた制御電圧VCを生成し、これにより電圧制御クロック発振器10を制御し、正しい周期のクロックCKrが発生され、受信側の各ブロックに供給される。
【0006】
次に、図5に示した各ブロックの詳細について説明する。
伝送路符号化部1は、伝送中に混入の恐れがある各種エラーによるデータ誤りを防止するため、インターリーブ処理、エネルギー拡散処理、エラー訂正用符号処理等を行う。
符号化部2Tは、信号Diiを、マッピングROMを用いてI,Q軸の所定点の情報に変換し、また、不要キャリアに相当する期間の信号は0に置換し、データRfとIfを作成する。
IFFT変換部3Aは、入力信号RfとIfを クロックCKとパルスFSTとでタイミングを決められた、シンボル周期の時間軸波形RとIに変換する。
具体的には、プレッシー社のPDSP16510等を用いれば実現できる。
ガード付加部3Bは、ここに入力された信号RとIを1024サンプル遅延させる遅延器と、1025サンプル目から1072サンプル目のみ遅延出力を選択する切り替え器からなり、これらはクロックCKとパルスFSTによってタイミングを決められる。 ここで得られる全1072サンプルからなるシンボルは、1025サンプル目から1072サンプル目に、1サンプル目から48サンプル間の時間軸波形が付加され、情報シンボルRg,Igとなる。
次に、同期シンボル挿入部5の一例を図6に示す。 まず、ROM5−1,5−2は、クロックCKとパルスFSTでタイミングが決められたコントローラ5−5によって制御され、これにより、パルスFSTに応じたタイミングで同期シンボル信号を発生する。
同様にSEL5−3,5−4は、クロックCKとパルスFSTでタイミングが決められたコントローラ5−6によって制御され、ガード付の時間情報シンボル信号Rg,Igの、現段階では無信号期間である1シンボルから6シンボルまでの期間だけを、ROM5−1,5−2から読み出した同期シンボル信号に切り替えて出力する。
ここで、この同期シンボル信号としては、例えば、1シンボル期間中無信号で、該同期シンボル群の存在を大まかに見つけるためのヌル(NULL)シンボル、1シンボル期間に1本のキャリアにしか信号成分を持たない特殊なシンボル(以下、CWシンボルと称す)、1シンボル期間に伝送帯域の下限周波数から上限周波数に変化する波形であって、シンボルの切り替わり点を正確に求めるためのスイープ(SWEEP)シンボル、遅延検波復調をするために必要な位相基準を示す基準シンボル(以下、リファレンスシンボルと称す)等である。 なお、同期シンボルを6組とする場合、上記にさらに2つの予備シンボルが付加される。
【0007】
次に、図5により、直交変調処理部8について説明を補足すると、D/A変換器81により実数部の信号Rsgと虚数部の信号Isgに対してD/A変換を行い、直交変調器82では、まず実数部信号に対しては発振器83からの周波数fcのキャリア信号のままで変調し、虚数部信号に対しては、発振器83の周波数fcのキャリア信号を90°移相した信号で変調することによって直交変調を施し、これらの信号を合成してOFDM変調波信号を得る。
次に、受信側Rxの構成動作について説明する。
受信側Rxでは、伝送されたフレーム構成の信号は、まず直交復調処理部9に入力される。
ここでの処理は、送信側とは逆に、直交復調器91によって、電圧制御発振器93から出力される周波数Fc'のキャリア信号により復調した出力を実数部信号として取り出し、キャリア信号を90°移相して復調した出力を虚数部信号として取り出すものである。 そして、これら実数部と虚数部の各復調アナログ信号を、A/D変換器92によりディジタル信号に変換する。
同期検出器4は、受信した信号R'sg,I'sgから、フレームの区切りを探索し、フレームの基準となるパルスFSTrを出力する。
そして、FFT部3Cは、このパルスFSTrに基づいてシンボルを区切り、前述のようにフーリエ変換を行うことでOFDM復調を行い、データR'fとI'fを出力する。
復号化部2Rは、例えばROMテーブル手法にて、データR'fとI'fを識別し、データD'oを算出する。
伝送路復号化部7は、逆インターリーブ処理、エネルギー逆拡散処理、エラー訂正処理等を行う。
【0008】
次に、図7に同期検出器4の具体的構成の一例を示し、説明する。
直交復調したディジタル信号である時間軸信号R'sg,I'sgは、NULL終了検出器4−1とSWEEP演算部4−2に入力される。
NULL終了検出器4−1は、フレーム構成のシンボル群から同期シンボル中で無信号状態にあるNULLを検出し、同期シンボルの大まかな位置(タイミング)を検出し、NULL終了時点からタイマ回路によりSWEEPシンボル開始時点を推定して、SWEEP開始指示パルスSTを出力する。
SWEEP演算部4−2は、SWEEP開始指示パルスSTを参照しNULLシンボルの2シンボル後に存在する波形を、SWEEPシンボル波形と推定して取り込み、各シンボルの正確な切り替わりタイミングを捜索する。
具体的には、予めSWEEPシンボルのパターンが格納してあるメモリ4−3を用い、入力されたOFDM信号とこのメモリ4−3から読み出したパターンを例えば相関演算し、両者の信号パターンの一致状況から、推定したSWEEP波形との位相ずれを演算により算出し、受信側のフレーム位相を伝送データに一致させるため、受信側の基準クロックCKrを調整するための補正信号VCを出力する。
フレームカウンタ4−4は、SWEEP開始指示パルスSTに基づいて、クロックCKのカウントを開始し、このカウント数がフレーム周期に相当する値(例えば、1072×900)に到達する毎に、パルスFSTrを出力するとともに、カウント値を0に戻してから再びクロックCKのカウントを開始する。
従って、以後は、一定カウント毎に、即ちフレーム開始点毎にパルスFSTrが出力されることになり、受信側ではこのパルスFSTrを高速フーリエ変換、復号化、逆レート変換の開始タイミングとする。
【0009】
次に、図8と図9を用いて、NULL終了検出器4−1の具体的構成と、SWEEP開始位置推定過程の詳細を説明する。
NULL終了検出器4−1へ供給される信号R'sg,I'sgは、絶対値回路4-1-1,4-1-2で絶対値化され、加算器4-1-3で加算され、絶対値加算出力4Aとなる。
この絶対値加算出力4Aを、比較器4-1-4において、しきい値Vthと比較し、しきい値Vthを越えない期間、即ち、T1〜T2間のNULLシンボル期間に相当する比較結果出力4Bを得る。
そして、エッジ検出器4-1-5において、比較結果出力4Bから、信号の立上りエッジを検出する。 そして、遅延回路4-1-6により、この信号立上りエッジ検出信号4Cを1シンボル遅延し、SWEEP開始指示パルスSTを発生する。
このSWEEP開始開始指示パルスSTにより、正しいSWEEPシンボル開始位置(T3)を特定することができ、SWEEP演算部4−2に、SWEEPシンボル波形の開始部分から取り込めるため、SWEEP演算における位相ずれを正確に算出でき、各シンボルの正確な切り替わりタイミングを捜索することが可能となる。
すなわち、SWEEP演算器4−2から出力される補正信号VCにより受信側クロックCKrcの速度を調整し、伝送されてきた同期シンボル位相とのロック処理を行うことによって、FFTゲートの時間的位置の誤差は消える。
所で、粗調整にあたる同期シンボルの検出エッジを、元に決定するSWEEP開始指示パルスの時間的位置が正確であれば、微調整にあたるクロックCKrcの速度調整により行うFFTゲートの時間的位置補正量が減少し、その所要時間も減少する。 すなわち、より少ない時間で、誤差0(ずれ無し)のゲート位置に設定でき、最良の復号状況を達成できる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記従来技術による伝送装置を用い伝送を行う場合において、移動体伝送等の劣悪な伝送路条件での伝送を考える。
この様な伝送路では、送信側から受信側に直接伝搬される主波と、建物や山等に反射した様々な反射波とが、それぞれ所定の遅延時間を伴って伝搬されるため、受信側では、それらの合成波が受信されることになる。
このように主波の他に反射波が存在する場合、図10に示す様に、反射波の影響により、絶対値加算出力4AにおけるNULLシンボルの開始点部分Td1とCWシンボルの開始点部分Td2のレベルが変動し、比較器4-1-4における絶対値加算出力4Aとしきい値Vthとの比較において、CWシンボルの開始点部分Td2が、しきい値Vthを越えないレベルになってしまう。
従って、この場合のしきい値Vth以下の比較結果出力4Bは、本当のNULL期間(T1〜T2)ではなく、NULLシンボルの開始点部分Td1〜CWシンボルの開始点部分Td2の期間に相当する出力となる。
その結果、エッジ検出器4-1-5では、CWシンボルの開始点部分Td2時点で、信号立上りエッジ検出信号4Cを発生するため、本当のNULLシンボルの終了点と大きな検出ずれが発生する。
そして、信号立上りエッジ検出信号4Cの発生時点から遅延回路4-1-6が動作するため、SWEEP開始指示信号STは、Td2時点から1シンボル後に発生することになる。
従って、SWEEP開始指示信号STは、実際のSWEEP開始位置から大幅にずれた時点(約1シンボル後)に発生するため、SWEEP演算部4−2には、SWEEPシンボルの開始点の波形が取り込まれなくなる結果、粗調整の精度は低下し、微調整で行う補正量も増加し、ひいては微調整に要する時間が増加し、最良の復号状況への到達が遅れる。
【0011】
そこで、この反射波の影響を低減するために、しきい値Vthを低め(例えば、α=0.3)に設定すれば、主波によるNULL終了点を検出し易くなり、粗調時のずれ量は少なくなり、上述の微調整の所要時間の延長は防止できる。
しかし、以上の説明は、雑音成分の混入の少ない高CNでの伝送を前提とするものであって、入力電界の低い使用条件では、雑音成分が増加し、本来、無信号であるNULL期間に、雑音成分により発生した偽信号が混ざることになる。
そのため、比較結果出力4BにおけるNULL期間の終了点の検出精度は大幅な低下となる恐れがある。
また、さらに電界が弱まると、さらに雑音成分が増加し、図11に示す様に、NULL期間における絶対値加算出力4Aが、常にしきい値Vthを越えてしまう結果、比較結果出力4BにおいてNULL期間の終了を全く検出不能となる場合も生じる。
この様な低CN条件下でNULL期間の終了点の検出動作を確保するためには、しきい値Vthを、高め(例えば、α=0.8)に設定しなければならない。
以上説明した様に、従来の構成において、粗調整の目標を主波におき、しきい値Vthを低く設定すると、図11に示す様に低CN時の同期検出が困難となる。一方、しきい値Vthを高く設定して低CN時における同期検出を容易にすると、図10に示すように反射波が存在する場合、粗調目標が反射波になり、微調整により主波に同期するまでの所要時間が長くなる欠点が生じる。
本発明はこれらの欠点を除去し、反射波や雑音成分の有無等に影響されることなく、いかなる伝送状況下においても、SWEEPシンボル開始位置を正確に推定することができ、常に同期検出可能なOFDM伝送システムを実現することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、数種類の同期シンボル群と複数のデータシンボルをフレーム構成の信号として伝送する直交周波数分割多重変調方式を用いたディジタル伝送装置において、上記同期シンボル群の内のフレーム同期を検出する無信号期間の終了部分を検出するための基準となるしきい値を、伝送状況に応じて変更する手段を設けたものである。
また、上記同期シンボル群の内のフレーム同期を検出する無信号期間の終了部分を検出するための基準となるしきい値を、所定期間毎に変更する手段を設けたものである。
さらに、上記同期シンボル群の内のフレーム同期を検出する無信号期間の終了部分を検出するための基準となるしきい値を、同期検出動作の当初は、反射波が存在する状況において適切な値となる低レベルの所定値に設定し、所定期間内に同期検出ができなかった場合、反射波はないが低CNの状況において適切な値となる高レベルの所定値に設定し、同期検出後に上記低レベルの所定値に戻すように切替制御する手段を設けたものである。
即ち、CNが所定値以上の状態では、主波への粗調を行うことで、完全同期に要する時間の短縮を図り、一方、低CNの状態では、まず同期確保を目指すことで、より広範な条件での短時間でかつ主波への正常な同期を実現する。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明のOFDM変調方式を用いた伝送装置の全体ブロック構成を示し、以下に説明する。
これは、図5に示すものと同様構成の送信側処理部101と、同じく同様構成の受信側処理部203、同期検出器4と、変更器7で構成される。
受信側処理部203からの受信側クロックCKrは、変更器7及び同期検出器4のクロック端子CKに接続される。 受信側処理部203からのデータR'sg,I'sgは、それぞれ同期検出器4のI,Q端子に接続される。
同期検出器4からのパルスFSTr及び補正信号VCは、それぞれ受信側処理部203の端子FSTrおよび端子VCに接続される。
変更器7のしきい値Vth出力は、同期検出器4の端子Vthに接続される。
次に、変更器7の具体的構成の1例を図2に示し、以下に説明する。
これは、Nフレームカウンタ7−1、デコーダ7−2、セレクタ(SEL)7−3とから構成されている。
受信側処理部203からのクロックCKは、Nフレームカウンタ7−1の端子CKに接続される。 Nフレームカウンタ7−1の出力Coutは、デコーダ7−2の入力に接続される。 デコーダ7−2の出力P1は、セレクタ7−3の制御端子Sに接続される。 セレクタ7−3の入力Aには、出力されるしきい値Vthを低めに設定するための値(例えば、α=0.3)が、入力Bには、出力されるしきい値Vthを高めに設定するための値(例えば、α=0.8)が接続される。
ここで、Nフレームカウンタ7−1は、フレーム周期毎に、出力が1ずつ変化するカウンタ出力Coutを出力する。 ここでは、0〜5までを繰返し出力する。
デコーダ7−2は、このカウンタ出力Coutが、0から3の場合にはレベルL、4から5の場合はレベルHとなるパルスP1を出力する。
セレクタ7−3は、その制御端子SがレベルLの場合には入力Aを、レベルHの場合には入力Bを選択し、対応するしきい値Vthを出力する。
すなわち、この変更器7は、所定の周期で、出力されるしきい値Vthの値を、0.3もしくは0.8に切り替える。
【0014】
この変更器7の動作について、図3を用いて具体的に説明する。
まず、フレーム周期ごとの時刻をF1,F2,F3,…とすると、時刻F1〜F5の4フレーム期間は、Nフレームカウンタ7−1のカウンタ出力Coutが0〜3であり、デコーダ7−2からのパルスP1がLレベルとなるため、セレクタ7−3では、α=0.3に対応するしきい値Vthが選択され、出力される。
そして、次の2フレーム期間(時刻F5〜F7)は、Nフレームカウンタ7−1のカウンタ出力Coutが4〜5であり、デコーダ7−2からのパルスP1がHレベルとなるため、セレクタ7−3では、α=0.8に対応するしきい値Vthが選択され、出力される。
即ち、出力されるしきい値Vthの値が、4フレーム期間は0.3となり、次の2フレーム期間は0.8に切り替わり、以後同様の動作を繰り返す。
これによって、反射波が存在する状況であっても、しきい値Vthの値が0.3となる4フレーム期間においては、図12に示すように、NULL終了点の検出ずれが小となる比較結果出力4Bが得られる結果、微調整に要する時間が少なくなる。 また、反射波はないが雑音成分の混入の多い低CNの状況であっても、しきい値Vthの値が0.8となる2フレーム期間において、図13に示すように、NULL終了点の検出が可能となる結果、SWEEP演算における位相ずれを正確に算出でき、各シンボルの正確な切り替わりタイミングを捜索することが可能となる。
前述のように本実施例では、NULL期間を検出するためのしきい値Vthが、反射波が存在する状況において適切な値(例えば、0.3)と、反射波はないが低CNの状況において適切な値(例えば、0.8)に周期的に切り替わるため、反射波や雑音成分の有無等に影響されることなく、いかなる伝送状況下においても、SWEEPシンボル開始位置を正確に、短時間で推定することができ、常に同期検出可能なOFDM伝送システムを実現することができる。
ここで、上記しきい値Vthの周期的な切替えを、同期検出動作の当初は、反射波が存在する状況において適切な値となる低めの値(例えば、0.3)に設定し、所定期間(例えば、3フレーム期間)、同期検出が不可能であった場合、反射波はないが低CNの状況において適切な値となる高めの値(例えば、0.8)に設定し、同期検出できたら、元の低めの値(例えば、0.3)に戻すようにしても良い。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、高CN〜所定のCNであって、反射波が存在する場合でも、同期検出、FFTゲート位相を短時間に正規化でき、また、所定値以下のCNな場合でも、反射波の有無によって、同期検出、FFTゲート位相正規化まで、多少所要時間が長引くが、必ず、同期検出可能なOFDM伝送システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の全体構成の一実施例を示すブロック図
【図2】本発明の変更器7の一例を示すブロック図
【図3】本発明のしきい値Vth切り替えを説明するタイムチャート
【図4】一般的なOFDM信号波形を示す波形図
【図5】従来構成の伝送装置の一例を示すブロック図
【図6】従来の同期シンボル挿入部5の一例を示すブロック図
【図7】従来の同期検出器4の一例を示すブロック図
【図8】従来のNULL終了検出器4−1の一例を示すブロック図
【図9】従来のSWEEPシンボル開始時期推定課程を説明するタイムチャート
【図10】従来のSWEEPシンボル開始時期推定課程を説明するタイムチャート
【図11】従来のSWEEPシンボル開始時期推定課程を説明するタイムチャート
【図12】本発明のSWEEPシンボル開始時期推定課程を説明するタイムチャート
【図13】本発明のSWEEPシンボル開始時期推定課程を説明するタイムチャート
【符号の説明】
101:送信側処理部、1T:伝送路符号化部、1R:伝送路復号化部、2T:切替型符号化部、2R:復号化部、3A:IFFT部、3B:ガード付加部、3C:FFT部、5:同期シンボル挿入部、8:直交変調処理部、9:直交復調処理部、4:同期検出器、4−1:NULL終了検出器、4−2:SWEEP演算器、4−3:SWEEPパターンメモリ、4−4:フレームカウンタ、4-1-1,4-1-1:絶対値回路、4-1-1:加算器、4-1-1:比較器、4-1-1:エッジ検出器、4-1-1:遅延回路、7:変更器、7−1:Nフレームカウンタ、7−2:デコーダ、7−3:セレクタ。
Claims (1)
- 数種類の同期シンボル群と複数のデータシンボルをフレーム構成の信号として送信側から受信側に伝送する直交周波数分割多重変調方式を用いたディジタル伝送装置において、
上記同期シンボル群の内のフレーム同期を検出する無信号期間の終了部分を検出するための基準となるしきい値を、同期検出動作の当初は、反射波が存在する状況において適切な値となる低レベルの所定値に設定し、所定期間内に同期検出ができなかった場合、反射波はないが低CNの状況において適切な値となる高レベルの所定値を設定し、同期検出後に上記低レベルの所定値に戻すように切換制御する手段を上記受信側に設けたことを特徴とするディジタル伝送装置。
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