JP3635993B2 - 収納庫用の棚受 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、収納庫用の棚受に関し、更に詳細には、貯蔵品を収容した幅寸法の異なるトレイを、その移動を規制した状態で載置し得る収納庫用の棚受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷蔵庫や冷凍庫等の収納庫においては、食品や飲料品等の貯蔵品を収容したトレイ(容器)を、そのまま庫内に収納できるようになっている。その収納構造を図6および図7を参照して説明すれば、収納庫60における庫内62の幅方向に対向する両内側壁64,64の夫々に、前後方向に離間して複数(例えば2本)の棚柱70,70が、該庫内62の略全高に亘って取付けられている。この棚柱70には、その上下方向に所定間隔で複数の係止孔72が設けられており、この係止孔72を利用して後述の棚受74が係止されるよう構成してある。
【0003】
前記棚受74は、正面L字形状に形成されると共に、同一内側壁64に配設された2本の棚柱70,70の離間長さよりも長尺に設定されたものであって、その垂直面における各棚柱70と対応する位置には、前記係止孔72に係止可能な係止爪76が形成されている。この棚受74は、各係止爪76を対応する係止孔72に係止することで、その水平部を庫内側に水平に延出した姿勢で棚柱70,70の所定高さ位置に取付けられる。そして、対向する内側壁64,64に配設された棚柱70,70の同一高さ位置に取付けられた幅方向に対向する一対の棚受74,74に、図に示すようにしてトレイ80が載置される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記棚受74は、正面L字状に形成されているだけのものであるため、一対の棚受74,74に載置されたトレイ80は、庫内62の前後方向に容易に移動してしまう。このため、トレイ80や貯蔵品の出入れに際して作業者が他のトレイ80に触れた際や、収納庫60を移動する際に該トレイ80が移動し、トレイ80に収容されている貯蔵品が転倒して内容物がこぼれたり、あるいはトレイ80と棚受70が擦れて損傷することもある。また、トレイ80が庫内62の背面側内壁や冷却ダクト等に接触し、内壁や冷却ダクトの表面に生じている結露水が該トレイ80に入ってしまい、衛生上好ましくない状態となる問題がある。
【0005】
なお収納庫60では、幅寸法の異なるトレイ80を収納する要請があり、従来はトレイ80の変更に際しては、対応的に棚受74を交換していた。しかしこの場合には、各種トレイ80に対応する棚受74を夫々用意する必要があり、部品点数が増えると共に保管管理が煩雑となる。そこで、トレイ80が載置される棚受74,74の水平部の寸法を、最小幅寸法のトレイ80を載置し得る値に設定することで、同一の棚受74,74を用いて各種トレイ80を載置することが可能となる。しかしながら、幅寸法の小さなトレイ80ではその側面と庫内62の内側壁64との間には大きな隙間ができてしまい、該トレイ80が幅方向に容易に移動する。従って、前述したと同様にトレイ80が移動した際に、該トレイ80に収容されている貯蔵品が転倒して内容物がこぼれたり、あるいはトレイ80と棚受70が擦れて損傷する問題を招く。更には、一方の棚受け74からトレイ80が脱落してしまうおそれもある。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、前述した従来の技術に内在している前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、幅寸法の異なるトレイの夫々を、その移動を規制した状態で載置し得る収納庫用の棚受を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を克服し、所期の目的を好適に達成するため本発明は、
収納庫に内部画成した収納室の幅方向に対向する両内側壁に夫々配設され、貯蔵品を収容したトレイが載置される収納庫用の棚受であって、
本体としての係止部に折曲形成されて、前記収納室の内側壁側から内側に向かうにつれて所要高低差で段々に低くなるよう設けられ、幅寸法の異なるトレイが水平に載置される複数の設置部と、
前記各設置部の内側壁側に設けられ、各設置部に載置されるトレイの幅方向への移動を規制する規制部と、
幅寸法の最小のトレイが載置される設置部の後端に立設され、各設置部に載置される各トレイの後方への移動を規制するストッパとから構成したことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る収納庫用の棚受につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。図1および図2に示す如く、実施例に係る冷蔵収納庫(以下、収納庫という)10は、内箱12、断熱材14および外箱16からなる断熱箱体17の内部に収納室18が画成されると共に、この収納室18を開閉可能に閉成する断熱扉20が箱体前面に配設されている。収納室18の内部上方には、冷却器34および冷却ファン36等からなる上部冷却機構30が配置され、また収納室18の外部下方には、圧縮機38や凝縮器39等からなる下部冷却機構32が配置されている。そして、冷却ファン36の運転によって、収納室18の背面側に配設された冷却ダクト40を介して背面下部から引込まれた室内空気は、冷却器34で冷却された後に室内前側に吹出されて、該収納室18内を冷却するようになっている。
【0009】
前記収納室18内には、食品や飲料品等の貯蔵品を収容したトレイ22a,22bを水平に載置する棚受50,50が、上下方向に所定間隔で複数配置されている。この棚受50は、前記収納室18の幅方向に対向する両内側壁19,19の所定位置に取付けられた複数の棚柱24(実施例では、片側2本)に係止されることで取付けられるようになっている。すなわち、収納室18の各内側壁19に、図1に示す如く、前後方向に所定間隔で2本の棚柱24,24が垂直に夫々配設され、各棚柱24には上下方向に所定間隔で複数の係止孔26が形成されている。そして、同一平面内にある係止孔26,26に、棚受50が係止されるよう構成される。
【0010】
前記棚受50は、図3および図4に示す如く、幅方向左右の両内側壁19,19に配設された前記棚柱24,24に合わせて、左用と右用の2種類があり、夫々が対応した棚柱24,24の所定位置に対応的に係止されることで、幅方向に対向する一対の棚受50,50に前記トレイ22a,22bが水平に載置されるようになっている。右用の棚受50および左用の棚受50の構造は同じであるので、ここでは右用の棚受50の構造について説明し、左用の棚受50の同一部材には同じ符号を付して示すこととする。
【0011】
前記棚受50は、図2に示す如く、一対の棚柱24,24の離間幅よりも充分に長く、かつ収納室18の奥行寸法より短かい長さに設定された本体としての係止部50aに、各棚柱24と対応する位置に係止爪52が夫々配設されている。この係止爪52は、係止部50aの内側壁19と対向する裏面に下向きに突出するように設けられ、各係止爪52を対応する係止孔26に嵌合するよう係止させることで、係止部50aが棚柱24の表面(内側面)に当接した状態で当該棚受50が棚柱24,24に取付けられる(図4参照)。なお、係止爪52の棚柱24に対する係止位置を変えることにより、棚受50の取付け高さ位置を自在に変え得るようになっている。
【0012】
前記係止部50aの下端には、その全長に亘って収納室18の内側に向かって水平に延出する第1設置部(設置部)50bが折曲形成されると共に、この第1設置部50bの開放端から下方に向けて規制部としての垂直部50fが折曲形成されている。また垂直部50fの下端に、収納室18の内側に向かって水平に延出する第2設置部(設置部)50cが折曲形成される。すなわち棚受50には、図4および図5に示す如く、第1設置部50bおよび第2設置部50cが、収納室18の内側壁側から内側に向かうにつれて所要高低差で段々に低くなる状態で形成される。そして、左右の棚柱24,24の同一高さ位置に取付けた左右一対の棚受50,50において、図3に示す如く、第1設置部50b,50b上には幅寸法の大きなトレイ22aが水平に載置され、また第2設置部50c,50c上には幅寸法の小さなトレイ22bが水平に載置されるようになっている。
【0013】
なお、第1設置部50bおよび第2設置部50cの幅寸法は、そこに載置されるトレイ22a,22bを安定的に保持し得る程度に設定される。また第1設置部50bの幅寸法については、対をなす第2設置部50c,50cに載置された小さいトレイ22bが、幅方向に対向する垂直部50f,50fにより幅方向への移動が規制される値に設定される。
【0014】
前記第2設置部50cの後端部には、前記第1設置部50bより上方に延出する高さ寸法のストッパ50dが立設され、第2設置部50cおよび第1設置部50bに載置されるトレイ22a,22bの後方への移動を規制し得るよう構成される。また前記係止部50aの上縁には、その全長に亘って内側に向けて水平に延出する規制部としての上縁部50eが折曲形成されており、これにより当該棚受50のねじれ等の力に対する剛性を確保すると共に、前記第1設置部50bに載置されるトレイ22aの幅方向の移動を規制し得るようになっている。なお、上縁部50eの係止部50aから内側への延出長さは、第1設置部50bに載置されるトレイ22aの幅寸法に応じて設定されると共に、その幅寸法によっては省略することも可能である。そして上縁部50eを省略した場合は、係止部50aがトレイ22aの幅方向への移動を規制する規制部として機能する。また、当該棚受50における幅寸法の最小のトレイ22bが載置される最内側の第2設置部50cの前端角部は、図2に示す如く、所定曲率の弧状に形成してある。
【0015】
【実施例の作用】
次に、前述した実施例に係る収納庫用の棚受の作用につき説明する。前記収納室18における左右両内側壁19,19に配設されている棚柱24,24の同一の高さ位置に、前記係止爪52および係止孔26を介して一対の棚受50,50を係止する。この場合、左右一対の棚受50,50の高さ位置は同一となっているから、図3に示す如く、前記第1設置部50b,50bおよび第2設置部50c,50cの高さも同一となっている。
【0016】
前記収納室18に幅寸法の大きなトレイ22aを収納する場合は、該トレイ22aは、図3に示す如く、一対の棚受50,50の第1設置部50b,50b上に載置される。このトレイ22aの幅方向への移動は、前記上縁部50e,50eにより規制される。またトレイ22aの後方への移動は、前記ストッパ50d,50dにより規制されて、該トレイ22aの後端が収納室18の背面側に形成されている冷却ダクト40の表面に接触することはない。すなわち、棚受50,50に載置されているトレイ22aの幅および後方への移動は規制されているから、収納庫10の移動時あるいはトレイ22aや貯蔵品等の出入れに際して、トレイ22aが移動して収容されている貯蔵品が転倒して内容物がこぼれるのを防止し得ると共に、前記冷却ダクト40の表面に生じている結露水のトレイ22aへの流入を防止し得る。また棚受50,50に対してトレイ22aは容易に移動しないから、両者が擦れて損傷することもない。
【0017】
次に、幅寸法の小さなトレイ22bを収納室18に収納する場合は、該トレイ22bは、図3に示す如く、一対の棚受50,50の第2設置部50c,50c上に載置される。そして、このトレイ22bの後方への移動は前記ストッパ50d,50dで規制されると共に、その幅方向への移動は、前記垂直部50f,50fにより規制される。従って、この小さなトレイ22bの場合も前述した大きなトレイ22aの場合と同様に、該トレイ22bが移動することにより発生する問題を未然に解決し得る。なお、実施例の棚受50,50には、トレイ22a,22bに代えて、その上縁部50e,50eに棚網を水平に載置することが可能である。この場合においても、前記ストッパ50d,50dは上縁部50e,50eより上方に延出するよう寸法設定されているから、上縁部50e,50eに水平に載置された棚網の後方への移動を該ストッパ50d,50dで規制し得る。
【0018】
すなわち、実施例の棚受50は、幅寸法の異なる複数のトレイ22a,22bを、その移動を規制した状態で水平に載置することができ、部品点数を低減し得ると共に保管管理等を簡略化し得る。しかも、棚受50は階段状に形成されることで折曲げ部が多く設けられており、これによって棚受自体の強度が向上している。
【0019】
なお、実施例では棚受を収納室を冷却する収納庫に取付ける場合で説明したが、本願はこれに限定されるものでなく、収納室を加温する温蔵庫、あるいは冷却または加温しない収納庫であってもよい。またトレイが載置される設置部については、実施例のように2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0020】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係る収納庫の棚受では、幅寸法の異なる複数のトレイを、その移動を規制した状態で水平に載置することができ、トレイの幅寸法毎に対応した棚受けを用意する必要はなく、部品点数を低減し得ると共に保管管理等を簡略化し得る。また棚受に載置された寸法の異なる全てのトレイの幅方向への移動を規制し得るから、トレイに収容されている貯蔵品が転倒するのを防止し得る。更に、棚受に対してトレイは容易に移動しないから、両者が擦れて損傷することも防ぐことができる。
【0021】
また、幅寸法の最小のトレイが載置される設置部の後端にストッパを立設することで、棚受けに載置された寸法の異なる全てのトレイの後方への移動を規制することができ、収納室で発生した結露水等がトレイに流入するのを防止し得る。更に、係止部の上縁には、その全長に亘って内側に向けて水平に延出する規制部としての上縁部が折曲形成され、これにより当該棚受のねじれ等の力に対する剛性を確保すると共に、設置部に載置されるトレイの幅方向の移動を規制し得る。更にまた棚受には、トレイに代えて、その上縁部に棚網を水平に載置することが可能である。この場合においても、ストッパは上縁部より上方に延出するよう寸法設定されているから、上縁部に水平に載置された棚網の後方への移動をストッパで規制し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好適な実施例に係る棚受を使用した冷蔵収納庫の側断面図である。
【図2】 実施例に係る棚受を使用した冷蔵収納庫の平断面図である。
【図3】 冷蔵収納庫に係止された棚受上に大きさの異なるトレイを載置した状態を示す概略図である。
【図4】 実施例に係る棚受と棚柱との係止部付近を拡大して示す概略図である。
【図5】 実施例に係る右用の棚受を示す概略斜視図である。
【図6】 従来の技術に係る棚受上にトレイを載置した状態を示す概略図である。
【図7】 従来の技術に係る棚受と棚柱との係止部付近を拡大して示す概略図である。
【符号の説明】
10 冷蔵収納庫(収納庫)
18 収納室
19 内側壁
22a 大きなトレイ
22b 小さなトレイ
50b 第1設置部(設置部)
50c 第2設置部(設置部)
50d ストッパ
50e 上縁部(規制部)
50f 垂直部(規制部)

Claims (3)

  1. 収納庫(10)に内部画成した収納室(18)の幅方向に対向する両内側壁(19,19)に夫々配設され、貯蔵品を収容したトレイ(22a,22b)が載置される収納庫用の棚受であって、
    本体としての係止部 (50a) に折曲形成されて、前記収納室(18)の内側壁側から内側に向かうにつれて所要高低差で段々に低くなるよう設けられ、幅寸法の異なるトレイ(22a,22b)が水平に載置される複数の設置部(50b,50c)と、
    前記各設置部(50b,50c)の内側壁側に設けられ、各設置部(50b,50c)に載置されるトレイ(22a,22b)の幅方向への移動を規制する規制部(50e,50f)と、
    幅寸法の最小のトレイ (22b) が載置される設置部 (50c) の後端に立設され、各設置部 (50b,50c) に載置される各トレイ (22a,22b) の後方への移動を規制するストッパ (50d) とから構成した
    ことを特徴とする収納庫用の棚受。
  2. 前記係止部 (50a) の上縁に、その全長に亘って内側に向けて水平に延出する前記規制部としての上縁部 (50e) が折曲形成されている請求項1記載の収納庫用の棚受。
  3. 前記ストッパ (50d) は、前記上縁部 (50e) より上方に延出するよう寸法設定され、該上縁部 (50e) に水平に載置された棚網の後方への移動を規制する請求項2記載の収納庫用の棚受。
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