JP3635951B2 - 超純水中の水酸化物イオンによる洗浄方法 - Google Patents

超純水中の水酸化物イオンによる洗浄方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に半導体ウエハ等の被洗浄物の表面近傍に水酸化物イオンを供給し且つ超純水の高速剪断流を作り、被洗浄物表面に付着した微細な不純物金属を完全に除去することが可能な超純水中の水酸化物イオンによる洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から被洗浄物の表面に付着した微細な不純物金属を除去する洗浄方法としては、化学洗浄や物理洗浄がある。特に、半導体ウエハの表面にはサブミクロンオーダーの微細パターンの電子回路が形成されるため、その表面の金属汚染は、デバイスの性能に多大な影響を与えるとともに、歩留りを悪くし、コスト低減の妨げになる。そのため、各種の洗浄方法が提案され、実用化されている。
【0003】
化学洗浄の代表例には、酸やフッ化水素による洗浄、またオゾン層の破壊で問題となっているフロン洗浄等が挙げられる。また、物理洗浄の代表例には、超純水中での超音波洗浄や、被洗浄物を冷却したり加熱したりして付着微粒子を収縮、膨張させて被洗浄物の表面から剥離する方法等が挙げられる。
【0004】
しかし、被洗浄物界面での相互作用(一種の化学結合)により強固に付着している不純物金属若しくはイオン状態の不純物金属を、被洗浄物の表面に損傷を与えずに除去することは、容易ではなく、従来の洗浄方法は有効とは言えない。つまり、化学洗浄の場合には被洗浄物の表面を洗浄液で腐食させたり、また物理洗浄の場合には被洗浄物の表面に損傷を与えることになる。また、被洗浄物の表面から一度除去した異物が、その表面に再付着することもあり、非常に困難を伴うのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、被洗浄物表面に化学結合を伴って付着した不純物金属を取り除くためには、被洗浄物表面上に所定の強さ以上の剪断流が必要であること、つまり剪断流の一定の速度勾配以上が必要であることを、理論的に予測し、実験において確認するとともに、超純水中の水酸化物イオンと不純物金属との化学的溶出反応を併用することが有効であることを見出したのである。しかし、超純水中に含まれる水酸化物イオン濃度は、非常に希薄で、25℃、1気圧において10-7mol/l程度であることは周知の事実であり、実用的な洗浄効率を実現するには不十分である。
【0006】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、制御された範囲及び分布を有する一定の速度勾配以上の剪断流を被洗浄物表面に沿って発生させるとともに、被洗浄物の洗浄面上での水酸化物イオン密度を増加させること或いは電界を利用してイオン状態の不純物金属に対しては剥離を促すことによって、前述の問題点を一挙に解決し、水中での超音波による洗浄等では除去することが困難な微細な不純物金属を完全に除去することができ、しかも除去した不純物金属が被洗浄物の表面に再付着することを防止し、洗浄を高能率で行うことが可能な超純水中の水酸化物イオンによる洗浄方法を提供する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の課題解決のために、超純水のみからなる洗浄槽内に被洗浄物と高圧力ノズルとを所定の間隔を置いて配設し、該被洗浄物の洗浄面に対面する高圧力ノズルの先端周囲に、水酸化物イオンを増加させるイオン交換材料又は触媒材料を設け、被洗浄物の表面近傍に高圧力ノズルから噴射した超純水の高速剪断流を発生させるとともに、超純水から生成された水酸化物イオンを被洗浄物表面に供給し、被洗浄物表面に付着した微細な不純物金属を、水酸化物イオンとの化学的溶出反応と高速剪断流によって被洗浄物表面から剥離するとともに、除去した不純物金属を高速剪断流の流れによって被洗浄物表面に再付着することを防止したことを特徴とする超純水中の水酸化物イオンによる洗浄方法を確立した。
【0009】
更に、本発明は、前述の課題解決のために、超純水のみからなる洗浄槽内に被洗浄物と高圧力ノズルとを所定の間隔を置いて配設し、該被洗浄物の洗浄面に対面する高圧力ノズルの先端周囲に、水酸化物イオンを増加させるイオン交換材料又は触媒材料を設け、前記高圧力ノズルを陰極、被洗浄物を陽極として電圧を印加し、被洗浄物の表面近傍に高圧力ノズルから噴射した超純水の高速剪断流を発生させるとともに、超純水から生成された水酸化物イオンを被洗浄物表面に供給し、被洗浄物表面に付着した微細な不純物金属を、水酸化物イオンとの化学的溶出反応と高速剪断流によって被洗浄物表面から剥離するとともに、除去した不純物金属を高速剪断流の流れによって被洗浄物表面に再付着することを防止したことを特徴とする超純水中の水酸化物イオンによる洗浄方法を確立した。
【0010】
これらの発明において、前記被洗浄物の表面に沿って速度勾配が5m/ sec ・μm以上の高速剪断流を発生させてなると、被洗浄物表面に化学結合を伴って付着した微粒子を取り除くことができ、前記高圧力ノズルの噴出口が円孔であるとポイント洗浄ができ、また噴出口がスリット孔であるとライン洗浄ができ、被洗浄物表面を広い面積にわたり一様に洗浄することが可能である。また、本発明の洗浄方法では、前記高圧力ノズルによって発生した高速剪断流の後流側に回収手段を配設し、被洗浄物から除去した不純物金属を含む超純水を回収することが、除去した不純物金属が被洗浄物表面に再付着することを防止できるので好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の洗浄原理を示し、図2〜図4は本発明の洗浄方法を実施するための洗浄装置の要部を示し、図中符号1は高圧力ノズル、2は被洗浄物、3は噴出口、4はイオン交換材料、5は電源をそれぞれ示している。
【0012】
水酸化物イオン(OH- )は、超純水中にも微量(25℃において10-7mol/l)ではあるが存在するが、超純水中の水酸化物イオンは微量であるので、実用的な洗浄を可能にするには、何らかの方法で水酸化物イオン密度を増大させなければならない。本発明は、他の溶液を加えることなく、超純水中の水酸化物イオン密度を増大させて、極度に清浄化された環境での材料の洗浄を行うことにある。
【0013】
本発明の洗浄原理は、図1に示すように、超純水中に配した被洗浄物2を陽極とし、被洗浄物2と対面して設けた陰極(高圧力ノズル1)との間にイオン交換材料4を配するとともに、被洗浄物2と陰極(高圧力ノズル1)とに電源5を接続した基本構造において、超純水中の水分子aをイオン交換材料4で水酸化物イオンbと水素イオンcに分解し、生成された水酸化物イオンを被洗浄物2と陰極(高圧力ノズル1)間の電界と、高圧力ノズル1から噴射された超純水の流れによって被洗浄物表面に供給して被洗浄物近傍の水酸化物イオンの密度を高め、被洗浄物原子dに付着した不純物金属eと水酸化物イオンbとの反応によって生成された反応物質fを超純水中に溶出し、また高速剪断流によって被洗浄物表面と不純物金属eとの結合を切って剥離し、この反応物質fを被洗浄物2の表面に沿った超純水の剪断流れによって被洗浄物2の表面から除去することで洗浄を行うのである。また、不純物金属が正イオン状態である場合には、被洗浄物を陽極とすることによって、電気的な反発力を利用して被洗浄物表面からの不純物金属の剥離を促すことが可能である。
【0014】
次に、被洗浄物表面に化学結合を伴って付着した微粒子を取り除くためには、被洗浄物表面上にどの程度の剪断流の強さ(速度勾配)が必要であるかを見積もった。粒径0.1μmのZrO2 微粒子をSi(100)表面に超純水中で吸着させ、この表面上に様々な強さの超純水の剪断流を作用させた時、微粒子がSi表面から除去される様子を光学顕微鏡により観察した。その結果、5m/sec ・μm程度の速度勾配を越えると効果的な微粒子の除去が進行することが分かった。この結果から、洗浄には一定の速度勾配以上の剪断流が必要であることが判ったが、その下限は被洗浄物の材質と、付着微粒子の種類及び粒径によって変わることが予想される。しかし、高圧力ノズル1による高速剪断流と、前述のイオン交換材料4による水酸化物イオン密度の増加手段や、被洗浄物を陽極として電圧を印加する手段を併用することによって、必要な剪断流の速度勾配を減少させることは可能である。
【0015】
図1は、本発明の超純水中の水酸化物イオンによる洗浄方法を実現するための洗浄装置を簡略して示したものであり、具体的には、図2に示すように、導電体で作製した高圧力ノズル1を被洗浄物2の表面に直角又は傾斜させて配置し、高圧力ノズル1の噴出口3から超純水を被洗浄物2の表面へ噴射する構造であり、更に高圧力ノズル1の先端にはイオン交換材料4を取付け、そして前記高圧力ノズル1を陰極として電源5に接続するとともに、被洗浄物2が導電体である場合には該被洗浄物2を陽極として電源5に直接接続する。また、被洗浄物2が絶縁体である場合には該被洗浄物2の背面に配した陽極に電源5を接続し、また被洗浄物2が半導体である場合には該被洗浄物2を陽極として電源5に直接接続するか又は該被洗浄物2の背面に配した陽極に電源5を接続する。尚、前記高圧力ノズル1が絶縁体である場合には、該高圧力ノズル1の先端に陰極板を固定した上に前記イオン交換材料4を取付けるものとする。
【0016】
前記高圧力ノズル1から噴射した超純水は、被洗浄物2の表面に到達した後、該表面に沿った高速剪断流となって流れる。前記イオン交換材料4で生成された水酸化物イオンは、前記高圧力ノズル1と被洗浄物2との間の電界と、高圧力ノズル1から噴射された超純水の流れによって被洗浄物2の表面に供給される。その結果、該被洗浄物2の表面近傍で水酸化物イオンの密度が高まり、被洗浄物表面に付着した不純物金属と反応して反応物質を生成し、超純水中に溶出又は被洗浄物2の表面に付着したまま反応物質は、超純水の高速剪断流によって表面から除去されて洗浄が進行する。
【0017】
図3(a) は、前記高圧力ノズル1が円筒状であり、前記噴出口3が円孔であるものであり、この場合は洗浄面上の微小領域に形成されるポイント状洗浄痕を連続させて、被洗浄物2の全表面を洗浄することが可能であり、特に不純物金属の付着が多い部分では集中的に洗浄を行うことができる。また、図3(b) は、前記高圧力ノズル1の前記噴出口3がスリット孔であるものであり、この場合は洗浄面上をライン状洗浄することができ、面積の広い被洗浄物2の表面を短時間で一様に洗浄することが可能である。
【0018】
また、図4は、高圧力ノズル1の噴出口3から噴射し、不純物金属と水酸化物イオンとが反応して生成した反応物質を含む超純水を、直ちに効率良く回収する回収手段を設けたものである。図4(a) は、回収手段として、垂直入射タイプの高圧力ノズル1の先端部周囲に一定の間隔を置いて環状の回収板6を配置し、高圧力ノズル1と回収板6の間に反応物質を含む超純水が流れるようにしたものである。また、図4(b) は、回収手段として、斜め入射タイプの高圧力ノズル1の超純水の下流側に一定の間隔を置いて部分的に回収板6を配置したものである。ここで、図4(b) の斜め入射タイプでは、高圧力ノズル1を被洗浄物2に対して直角に配し、該高圧力ノズル1の内部の噴出口3を傾斜させたものを例示したが、高圧力ノズル1そのものを傾斜させても良い。
【0019】
また、前記イオン交換材料4は、超純水中に配設したイオン交換機能を有する固体表面での電気化学反応を利用して、水分子を水酸化物イオンと水素イオンとに分解するものであり、イオン交換樹脂膜又は透水性の仕切膜間にイオン交換樹脂粒若しくは固体電解質を充填したものなどを利用できる。そして、イオン交換材料4の両側に陽極と陰極を配設して、固体表面で生成した水酸化物イオンを陽極側に、水素イオンを陰極側に引き寄せて分離し、陽極として用いた被洗浄物又は陽極の近傍に配設した被洗浄物の表面に付着した不純物金属を水酸化物イオンによって洗浄するのである。また、触媒材料は、触媒機能を有する固体表面で水分子を励起若しくは活性化し、陽極と陰極間に印加した電圧によって水分子を電離若しくは解離させて水酸化物イオンを生成するものである。
【0020】
本発明は、高圧力ノズル1から超純水を被洗浄物2の洗浄面に噴射し、水酸化物イオンを被洗浄物2の表面に供給するとともに、洗浄面に沿った剪断流を作り、被洗浄物2の表面に付着した不純物金属と反応によって生成した反応物質を直ちに表面から除去し、被洗浄物表面から除去された反応物質の再付着を防止するものであるので、高圧力ノズル1から噴射された超純水の流れが重要になる。そこで、高圧力ノズルから噴射した超純水の流れが、ノズル直下近傍でどのようになるかを流体解析モデルを用いて数値計算した。
【0021】
解析モデルはノズルを被洗浄物表面に対して直角な軸対称とし、非圧縮性流体近似の基でナビエ・ストークスの運動方程式を差分法によって数値的に解いた。計算は、ノズルの穴径を0.1mmφ、外径を2mmφとし、ノズル先端と被洗浄物表面間のギャップを1mm及び2mmの場合について行った。また、ノズルへの流体の供給圧力は1000気圧とした。それぞれのギャップにおいて圧力分布、ノズル穴方向(Z軸方向)及び半径方向(R方向)の流れ分布を出した。図5にギャップが1mmの場合、図6にギャップが2mmの場合の結果を示している。
【0022】
この計算結果より、解析領域における流体の粘性による圧力損失は約50気圧程度であることが分かる。流入部では、約950気圧の動圧に相当するノズル穴方向の流れ(約450m/sec )が発生しており(図5(a) 参照)、この流れは被洗浄物の表面近傍(被洗浄物表面から約75μm)までほぼ直進した後、減速する。その際、被洗浄物の表面近傍で動圧が静圧に変換され、約950気圧の静圧が発生した後(図5(b) 参照)、半径方向の流れとして動圧に再変換される(図5(c) 参照)。半径方向の流れは、被洗浄物表面に沿って極めて薄く層状に発生しており(被洗浄物表面から約25μmの範囲)、被洗浄物表面上の剪断流れを非常に効果的に発生できることが分かった。また、ギャップ1mmの場合と2mmの場合では、ほぼ同等の流れが発生しており、このことはギャップ制御が極めて容易であることを示している。本条件では、ギャップ1mmと2mmの場合とも、被洗浄物表面上の最大速度勾配は、100m/sec ・μm程度が得られている。
【0023】
以上説明した発明では、高圧力ノズル1からの超純水の噴射による被洗浄物2の表面に沿った高速剪断流と併用して、イオン交換材料4による水酸化物イオンの増加手段と、被洗浄物2を陽極として電圧を印加する手段を用いたが、何れか一方を省略した洗浄方法でも洗浄効率は落ちるが洗浄目的によっては使用することができる。
【0024】
次に、前記高圧力ノズル1へ高圧力の超純水を供給するシステムを図7に基づいて簡単に説明する。圧力発生用のポンプ10には、プランジャーポンプを使用する。また、洗浄用の超純水を直接ポンプで加圧すると、ポンプ内の摺動部で発生するパーティクル等の汚染が問題となるため、PTFE又はSUS製のダイヤフラム又はブローズを介して洗浄用超純水を加圧するシステムを採用している。超純水の加圧部11,12は2連となっており、一台のプランジャーポンプ10により市水を所定圧力に加圧し、それをレギュレータ13で2流路に分岐し、それぞれバルブ14,15を介して前記加圧部11,12に接続している。一方、洗浄用超純水は、超純水供給装置16から各加圧部11,12にそれぞれバルブ17,18を介して接続している。そして、前記各加圧部11,12は、内部をPTFE又はSUS製の隔膜19,20で市水と超純水が分離されており、該隔膜19,20を通じて市水の圧力で超純水を加圧し、各加圧部11,12で加圧された超純水はバルブ21,22を介して合流して前記高圧力ノズル1に供給される。また、前記バルブ14と加圧部11との間には排水用バルブ23が、前記バルブ15と加圧部12との間には排水用バルブ24が設けられている。これら全バルブは、電磁バルブを採用しコンピュータで開閉制御できるようになっている。
【0025】
そして、この高圧力の超純水供給システムの運転は以下のようになっている。先ず、前記超純水供給装置16では、大気圧とほぼ同じ圧力の超純水が製造される。この超純水を連続的に加圧することは困難であるので、前述のシステムでは二つの加圧部11,12で交互に超純水を大気圧から所定の圧力まで加圧し、高圧力ノズル1に連続的に高圧力の超純水を供給するようになっている。つまり、一方の加圧部11の系統では、バルブ14、21を開き、バルブ17、23を閉じて加圧した市水を加圧部11内に供給し、該加圧部11内で隔膜19を介して加圧された超純水が高圧力ノズル1へ供給され、他方の加圧部12の系統では、バルブ15、22を閉じ、バルブ18、24を開き、加圧部12から市水を排水しながら超純水供給装置16から加圧部12内へ超純水を供給する。ここで、バルブ24を開いて加圧部12内を大気圧に戻した後に、バルブ18を開き、超純水供給装置16が圧力破壊しないようにしている。次に、バルブ18、24を閉じ、バルブ15を開いて加圧部12内に加圧した市水を供給し、超純水を加圧して供給圧力に達すると、バルブ22を開き、バルブ21、14を閉じ、バルブ23を開いて加圧部11内の市水を排水して加圧部11内が大気圧になった後、バルブ17を開いて市水を排水しながら超純水供給装置16から超純水を加圧部11内に供給するのである。以後は、この繰り返しであり、各バルブの開閉タイミングはコンピュータ制御され、連続的に高圧力の超純水が高圧力ノズル1に供給されるのである。
【0026】
次に、本発明の高速剪断流による洗浄方法を採用した洗浄装置の全体具体例を図8に示している。この洗浄装置100は、上部に超純水を満たした洗浄槽101を有し、下部にX−Y−θ駆動系を内蔵した駆動機構部102を有し、洗浄槽101と駆動機構部102とは非磁性体の隔壁103で区画され、駆動系の摺動部から発生するパーティクル等によって洗浄槽101内が汚染されないようになっている。前記洗浄槽101内には、上部にZ軸駆動系104に接続された高圧力ノズル1を設け、下部に超純水静圧支持によって水平移動且つ回転可能に設けた試料台105を設け、それに被洗浄物2を固定し、前記高圧力ノズル1に対向させている。前記駆動機構部102には、X軸駆動系106とY軸駆動系107によって水平移動可能に設けたXYテーブル108を有し、該XYテーブル108にθ軸駆動系109を設けている。そして、前記試料台105の下面に固定した永久磁石110とθ軸駆動系109に固定した永久磁石111とを前記隔壁103を介して対面させて磁気的に結合し、X−Y−θ駆動系による変位を永久磁石111、永久磁石110を介して試料台105に伝達している。このように、各駆動系によって高圧力ノズル1と被洗浄物2とはX−Y−Z−θ軸方向に相対的に変位可能となり、高圧力ノズル1によって被洗浄物2を所定の形状に洗浄ができるようになっている。
【0027】
そして、本洗浄装置100では、高圧力ノズル1から噴射される超純水と、試料台105の超純水静圧支持部から洗浄槽101内に流入する超純水と同量の超純水を洗浄槽101から液相分離して抜き取るシステムが備えられ、抜き取られた超純水は精製装置により、不純物濃度を極限まで低減させた後、再度静圧支持部に送られる。本システムにより、洗浄槽101内の構造物から溶出する極微量の金属イオン等の除去までが可能になっている。
【0028】
最後に、図9のグラフにはイオン交換材料4を使用した場合の電界強度と電解電流密度との関係を、イオン交換材料4を使用しない超純水のみの場合と比較した結果を示している。このグラフから、無処理の超純水中の水酸化物イオンの密度(25℃において10-7mol/l)に対して、イオン交換材料4を用いることによって水酸化物イオンの密度が約103 〜104 倍に増加することが分かった。このことは、イオン交換材料4を用いることによって洗浄効率が飛躍的に向上させ得ることを意味している。そして、高圧力ノズル1から超純水を被洗浄物2に向けて噴射することによって、水酸化物イオンの被洗浄物表面への輸送作用と、不純物金属と水酸化物イオンの反応よって生成した反応物質を被洗浄物2の表面からの除去作用と再付着の防止作用が加わり、更に洗浄効率が高くなるのである。
【0029】
【発明の効果】
以上にしてなる本発明の超純水中の水酸化物イオンによる洗浄方法によれば、イオン交換材料によって水酸化物イオンを生成し、それを電界と高圧力ノズルから噴射される超純水の流れによって被洗浄物表面に効率良く供給することにより、被洗浄物表面近傍での水酸化物イオンの密度が高くなり、また水酸化物イオンと被洗浄物表面に付着した不純物金属との反応によって生成した反応物質を超純水の高速剪断流によって該表面から直ちに除去し、また再付着を防止できるので、完全な清浄な雰囲気中での完全な洗浄ができるのである。特に、半導体分野で問題となっているシリコンウエハの金属汚染の洗浄には効果を発揮するのである。また、高圧力ノズルによって必要な領域のみに所定の流れを発生できるため、洗浄装置の小型化が可能であり、十分に大きなギャップでの洗浄が可能であるので、流れを安定させるためのギャップ制御が極めて容易である。しかも、水酸化物イオンと不純物金属の電気化学的作用による洗浄であるため、被洗浄物の特性を損なうことがないのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の洗浄原理を説明するための概念図である。
【図2】本発明の洗浄装置の概念図である。
【図3】同じく洗浄装置の概念を示し、(a) は円孔の噴出口を有する高圧力ノズルを用いた洗浄装置の斜視図、(b) はスリット孔の噴出口を有する高圧力ノズルを用いた洗浄装置の斜視図をそれぞれ示している。
【図4】反応物質を回収する機能を備えたノズル構造を示した簡略断面図であり、(a) は垂直入射タイプの高圧力ノズルの周囲に回収板を配した構造、(b) は斜め入射タイプの高圧力ノズルの下流側に回収板を配した構造をそれぞれ示している。
【図5】高圧ノズルから被洗浄物表面に1mmのギャップで直角に超純水を噴出した場合の圧力と速度成分のシミュレーション結果を示し、(a) はZ方向速度成分、(b) は圧力分布、(c) はR方向速度成分をそれぞれ示している。
【図6】高圧ノズルから被洗浄物表面に2mmのギャップで直角に超純水を噴出した場合の圧力と速度成分のシミュレーション結果を示し、(a) はZ方向速度成分、(b) は圧力分布、(c) はR方向速度成分をそれぞれ示している。
【図7】高圧力の超純水供給システムの簡略配管図である。
【図8】本発明の方法を採用した洗浄装置を一部破断して示した簡略斜視図である。
【図9】イオン交換材料を使用した場合の電界強度と電解電流密度との関係を、イオン交換材料を使用しない超純水のみの場合と比較した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
a 水分子
b 水酸化物イオン
c 水素イオン
d 被洗浄物原子
e 不純物金属
f 反応物質
1 高圧力ノズル
2 被洗浄物
3 噴出口
4 イオン交換材料
5 電源
6 回収板
10 ポンプ
11,12 加圧部
13 レギュレータ
14,15,17,18,21,22,23,24 バルブ
16 超純水供給装置
19,20 隔膜
100 洗浄装置
101 洗浄槽
102 駆動機構部
103 隔壁
104 Z軸駆動系
105 試料台
106 X軸駆動系
107 Y軸駆動系
108 XYテーブル
109 θ軸駆動系
110,111 永久磁石

Claims (6)

  1. 超純水のみからなる洗浄槽内に被洗浄物と高圧力ノズルとを所定の間隔を置いて配設し、該被洗浄物の洗浄面に対面する高圧力ノズルの先端周囲に、水酸化物イオンを増加させるイオン交換材料又は触媒材料を設け、被洗浄物の表面近傍に高圧力ノズルから噴射した超純水の高速剪断流を発生させるとともに、超純水から生成された水酸化物イオンを被洗浄物表面に供給し、被洗浄物表面に付着した微細な不純物金属を、水酸化物イオンとの化学的溶出反応と高速剪断流によって被洗浄物表面から剥離するとともに、除去した不純物金属を高速剪断流の流れによって被洗浄物表面に再付着することを防止したことを特徴とする超純水中の水酸化物イオンによる洗浄方法。
  2. 超純水のみからなる洗浄槽内に被洗浄物と高圧力ノズルとを所定の間隔を置いて配設し、該被洗浄物の洗浄面に対面する高圧力ノズルの先端周囲に、水酸化物イオンを増加させるイオン交換材料又は触媒材料を設け、前記高圧力ノズルを陰極、被洗浄物を陽極として電圧を印加し、被洗浄物の表面近傍に高圧力ノズルから噴射した超純水の高速剪断流を発生させるとともに、超純水から生成された水酸化物イオンを被洗浄物表面に供給し、被洗浄物表面に付着した微細な不純物金属を、水酸化物イオンとの化学的溶出反応と高速剪断流によって被洗浄物表面から剥離するとともに、除去した不純物金属を高速剪断流の流れによって被洗浄物表面に再付着することを防止したことを特徴とする超純水中の水酸化物イオンによる洗浄方法。
  3. 前記被洗浄物の表面に沿って速度勾配が5m/ sec ・μm以上の高速剪断流を発生させてなる請求項1又は2記載の超純水中の水酸化物イオンによる洗浄方法。
  4. 前記高圧力ノズルの噴出口が円孔である請求項1又は2又は3記載の超純水中の水酸化物イオンによる洗浄方法。
  5. 前記高圧力ノズルの噴出口がスリット孔である請求項1又は2又は3記載の超純水中の水酸化物イオンによる洗浄方法。
  6. 前記高圧力ノズルによって発生した高速剪断流の後流側に回収手段を配設し、被洗浄物から除去した不純物金属を回収してなる請求項1〜何れかに記載の超純水中の水酸化物イオンによる洗浄方法。
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