JP3634854B2 - データ中継方法、データ中継装置およびその装置を用いたデータ中継システム - Google Patents

データ中継方法、データ中継装置およびその装置を用いたデータ中継システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、論理的にアクティブ状態とスタンバイ状態の関係に設定され、メイン処理とバックアップ処理を行う複数の論理データ中継装置によって構築されて、データを中継するデータ中継方法、データ中継装置およびその装置を用いたデータ中継システムに関し、特に他のデータ中継装置との間で経路情報の交換を行うデータ中継方法、データ中継装置およびその装置を用いたデータ中継システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のデータ中継方法は、たとえば非特許文献1に示すように、単一の自律システム(AS:Autonomous System)内のルータ間で、OSPF(Open Shortest Path First:RFC2328)のプロトコルを用いて、経路制御のための情報(以下、「経路情報」という)の交換を行うものがあった。なお、このASとは、単一の管理主体によって単一経路制御ポリシーのもとで管理・運用される範囲のことで、たとえばISP(Internet Service Provider:インターネットサービス事業者)がこれに相当する。
【0003】
このデータ中継方法では、図13に示すように、AS内部のネットワーク10上にOSPFのリンクステート型プロトコルを用いた複数のルータ20,30が接続されており、これらルータ20,30がこのネットワーク全体の接続形態(以下、「トポロジー」という)の情報を持っている。これらルータ20,30は、このトポロジー情報に基づいて、最適経路の算出を行っている。
【0004】
また、トポロジーが変化した場合には、ルータ20,30間で経路情報の交換が迅速に行われ、常に最新のトポロジー情報に基づいた最適経路の算出を行っている。この算出された最適経路情報は、経路情報テーブル21d,22d内のフォワーディングテーブル(図示せず)に格納されており、この最適経路情報に基づいて、ルータ20,30間でIP(Internet Protocol)データの中継を行っている。
【0005】
これらルータ20,30は、故障時の安全対策として、OSPFプロトコルの二重化を行う場合がある。この場合には、たとえば図13に示すように、物理的には1つのルータ(以下、「物理ルータ」という)20を、データ中継の動作を行う上で論理的に2つのルータ(以下、「論理ルータ」という)21,22に設定し、この二重化されたOSPFプロトコル(OSPF処理部21a,22aに内蔵)によって、これら論理ルータ21,22が他のルータ30とルーティング制御データ(以下、「経路情報」という)の交換を行うものがある。
【0006】
この論理ルータは、動作がアクティブ状態にあり、メイン処理を行う論理ルータ(以下、「アクティブ側ルータ」という)21と、動作がスタンバイ状態にあり、バックアップ処理を行う論理ルータ(以下、「スタンバイ側ルータ」という)22とからなり、各論理ルータ21,22を他のルータ30と接続させ、他のルータ30から受信した経路情報を即座にコピーして、論理ルータ21,22のOSPF処理部21a,22aに転送していた。また、アクティブ側ルータ21側で生成したデータに関しては、ルータ21,22でアクティブ状態とスタンバイ状態を切り替えるときに、すぐにスタンバイ側ルータ22でアクティブ状態の動作を開始できるように、ルータ21,22間で逐次同期をとる必要がある。
【0007】
【非特許文献1】
John Moy著、“RFC2328 OSPF Version2” [online]、インターネット公式プロトコル(STD1)、1998年4月、p.6−15、AlterNIC The Network Information Center、[平成15年1月22日検索]、インターネット<URL:HYPERLINK”http://www.alternic.org/rfcs/rfc2300/rfc2328.html”>
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例では、他のルータとの経路情報の交換途中で故障が発生してパケットロスがでると、アクティブ側ルータとスタンバイ側ルータが完全に同期できなくなり、上記の状態切り替え時にトポロジー変化に伴う経路情報の受信が不可能となるので、スタンバイ側ルータが初期指定で初期ステートに戻って全体の経路情報を取得するまで、データの中継処理が不可能となり、サービスが停止してしまうという問題点があった。
【0009】
この発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、故障発生時にもトポロジー変化に伴う経路情報の受信を正確に行い、データの中継処理を極力停止させることなく、容易にデータ中継装置の二重化を図ることができるデータ中継方法、データ中継装置およびその装置を用いたデータ中継システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかるデータ中継方法では、データ中継装置が、論理的にアクティブ状態とスタンバイ状態の関係に設定された少なくとも2つの第1および第2の論理データ中継装置を構築して、経路情報の交換およびデータ中継を行うデータ中継方法において、前記各論理データ中継装置とそれぞれ接続された第3のデータ中継装置を設定し、当該第3のデータ中継装置が介在したネットワークの接続形態の情報を、前記データ中継を行うための経路交換プロトコルを使用して、他のデータ中継装置に通知する通知工程を含むことを特徴とするデータ中継方法が提供される。
【0011】
この発明によれば、アクティブ状態とスタンバイ状態の論理的な第1および第2の論理データ中継装置とともに、これらデータ中継装置と相互に接続された、たとえば論理的な第3のデータ中継装置を設定し、この第3のデータ中継装置を介在したトポロジー情報を他のデータ中継装置に通知して、最適経路情報の選出を行うとともに、経路情報の交換およびデータ中継を行うことで、アクティブ状態の第1の論理データ中継装置の故障発生時にもトポロジー変化に伴う経路情報の受信を正確に行う。
【0012】
また、請求項2にかかるデータ中継方法にて、前記通知工程では、前記第1および第2の論理データ中継装置がそれぞれに、前記ネットワークの接続形態の情報を、前記他のデータ中継装置に通知することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、第1および第2の論理データ中継装置のそれぞれが、トポロジー情報を他のデータ中継装置に通知することで、いずれかの論理データ中継装置の故障発生時にも、データの中継処理を極力停止させることなく、トポロジー変化に伴う経路情報の受信を正確に行う。
【0014】
また、請求項3にかかるデータ中継方法では、前記通知されたネットワークの接続形態の情報に基づいて、経路情報の変更を行う経路変更工程をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、通知されたトポロジー情報に基づいて、経路情報、たとえばネクストホップの情報を変更することで、アクティブ状態の第1の論理データ中継装置の故障発生時にも、トポロジー変化に対して最適なネクストホップの選出を可能にする。
【0016】
また、請求項4にかかるデータ中継方法では、前記第1および第2の論理データ中継装置が、お互いの動作状態を監視する監視工程と、前記監視工程の監視結果に基づいて、前記ネットワークの接続形態の情報を変更する変更工程とをさらに含み、前記通知工程では、当該変更されたネットワークの接続形態の情報を、前記他のデータ中継装置に通知し、前記経路変更工程では、前記変更されたネットワークの接続形態の情報に基づいて、経路情報の変更を行うことを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、お互いの動作状態の監視結果に基づいて、トポロジー情報の変更を行うことで、いずれの論理データ中継装置の故障時にも、トポロジー情報の変更が可能となり、トポロジー変化に対して最適なネクストホップの選出を可能にする。
【0018】
また、請求項5にかかるデータ中継装置では、論理的にアクティブ状態とスタンバイ状態の関係に設定された少なくとも2つの第1および第2の論理データ中継装置を有し、該第1および第2の論理データ中継装置によって、経路情報の交換およびデータ中継を行うデータ中継装置において、前記データ中継装置内に設けられ、前記第1および第2の論理データ中継装置がそれぞれ接続される第3のデータ中継装置と、前記第3のデータ中継装置が介在したネットワークの接続形態の情報を、前記データ中継を行うための経路交換プロトコルを使用して、他のデータ中継装置に通知する通知手段とを備えたことを特徴とするデータ中継装置が提供される。
【0019】
この発明によれば、物理的なデータ中継装置内に、アクティブ状態とスタンバイ状態の論理的な第1および第2の論理データ中継装置と、これらデータ中継装置と相互に接続される第3のデータ中継装置とを設定し、この第3のデータ中継装置を介在したトポロジー情報をOSPFプロトコルを用いて他のデータ中継装置に通知して、最適経路情報の選出を行うとともに、経路情報の交換およびデータ中継を行うことで、アクティブ状態の第1の論理データ中継装置の故障発生時にもトポロジー変化に伴う経路情報の受信を正確に行う。
【0020】
また、請求項6にかかるデータ中継装置では、前記通知手段は、第1および第2の論理データ中継装置が、前記第3の論理データ中継装置が介在したネットワークの接続形態の情報を、他のデータ中継装置にそれぞれ通知することを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、通知手段としては、第1および第2の論理データ中継装置のそれぞれが、第3のデータ中継装置が介在したトポロジー情報を他のデータ中継装置に通知することで、いずれかの論理データ中継装置の故障発生時にも、データの中継処理を極力停止させることなく、トポロジー変化に伴う経路情報の受信を正確に行う。
【0022】
また、請求項7にかかるデータ中継装置では、前記第1および第2の論理データ中継装置は、お互いの動作状態を監視する監視手段と、前記監視結果に基づいて、前記ネットワークの接続形態の情報を変更する変更手段とを備え、前記通知手段は、当該変更されたネットワークの接続形態の情報を、他のデータ中継装置に通知することを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、第1および第2の論理データ中継装置によるお互いの動作状態の監視結果に基づいて、トポロジー情報の変更を行うことで、いずれの論理データ中継装置の故障時にも、トポロジー情報の変更が可能となり、トポロジー変化に対して適切なネクストホップの選出を可能にする。
【0024】
また、請求項8にかかるデータ中継システムでは、複数のデータ中継装置が接続されて、他のデータ中継装置との間で経路情報の交換およびデータ中継を行うデータ中継システムにおいて、請求項5〜7のいずれか一つのデータ中継装置を備え、該データ中継装置が他のデータ中継装置に、第3のデータ中継装置が介在したネットワークの接続形態の情報を通知し、該接続形態の情報に基づいて、前記経路情報の変更を行うことを特徴とするデータ中継システムが提供される。
【0025】
この発明によれば、第1〜第3のデータ中継装置が設定されたデータ中継装置を備えて、第1および第2の論理データ中継装置が、他のデータ中継装置に、第3のデータ中継装置が介在したトポロジー情報を通知して、経路情報の変更を行うことで、故障発生時にもトポロジー変化に伴う経路情報の受信を正確に行い、データの中継処理を極力停止させることなく、容易にデータ中継装置の二重化を図る。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に図1〜図12の添付図面を参照して、この発明にかかるデータ中継方法、データ中継装置およびその装置を用いたデータ中継システムの好適な実施の形態を説明する。なお、以下の図において、図13と同様の構成部分に関しては、説明の都合上、同一符号を付記するものとする。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、この発明にかかるデータ中継システムの概略構成の一例を示すシステム構成図である。図において、この実施の形態のデータ中継システムは、図13と同様に、AS内部の複数のルータ20,30がネットワーク10上に設けられて接続されており、これらルータ20,30は、故障時の安全対策として、OSPFプロトコルの二重化が行われている。
【0028】
このルータ20は、この発明の実施の形態にかかるデータ中継装置であり、この二重化されたOSPFプロトコルを搭載したアクティブ状態の論理ルータであるアクティブ側ルータ21と、スタンバイ状態の論理ルータであるスタンバイ側ルータ22と、これらルータ21,22との間で制御データであるトポロジー情報(以下、「LSA情報」という。LSA:Link Status Advertisement)ならびに経路情報の取得、およびデータ中継を行うために論理的に設けられた論理ルータである仮想ルータ23とから構成されている。
【0029】
この実施の形態にかかるルータ20では、図2に示すように、アクティブ側ルータ21およびスタンバイ側ルータ22と他のルータ30間で別々に経路情報の交換を行うことによって経路情報を取得している。なお、アクティブ側ルータ21およびスタンバイ側ルータ22がともに正常に動作している通常状態の場合には、最適経路のネクストホップとしては、アクティブ側ルータ21が設定されて、相手ルータ30および仮想ルータ23の経路情報データベース内に記憶されている。また、アクティブ側ルータ21およびスタンバイ側ルータ22は、AS内のネットワーク10側の経路情報を取得するとともに、仮想ルータ23との間で経路情報の交換を行うことによってAS以外のネットワーク40側の経路情報の取得も行っている。
【0030】
さらに、アクティブ側ルータ21およびスタンバイ側ルータ22は、相互に監視を行い、いずれかが故障した場合には、故障の発生していない他方のルータが、この故障に伴うLSA情報の変更を行い、この変更されたLSA情報を相手ルータ30に送信することで、自ルータ20内の経路を確保している。
【0031】
この変更されたLSA情報の受信によって、相手ルータ30では、最新のLSA情報を作成し、自ルータ内の経路情報(特に、ネクストホップ)の変更を行うことが可能となる。そして、相手ルータ30は、OSPFプロトコルを用いて、他のルータとの間で経路情報の交換を行って、最新の経路情報を取得する。なお、この変更されたLSA情報は、仮想ルータ23にも送信され、仮想ルータ23内の最適経路情報の変更を行うことが可能となり、図2に示すように、自ルータ20内のデータの中継を可能にしている。
【0032】
図3は、図1に示したルータ20のうちのアクティブ側ルータ21とスタンバイ側ルータ22に拘わる構成を示す構成図である。図において、アクティブ側ルータ21は、OSPFプロトコルによるデータ処理を行うOSPF処理部21aと、スタンバイ側ルータ22のスタンバイ処理を監視するスタンバイ処理監視部21bと、LSA情報を記憶するリンク状態データベース21cとから構成されている。また、スタンバイ側ルータ22は、OSPFプロトコルによるデータ処理を行うOSPF処理部22aと、アクティブ側ルータ21のアクティブ処理を監視するアクティブ処理監視部22bと、LSA情報を記憶するリンク状態データベース22cとから構成されている。
【0033】
また、ルータ20は、通知された経路情報から最適経路情報の計算およびデータの中継を行う中継処理部24と、計算された最適経路情報を記憶する経路情報データベース25を有している。そして、上述した通常状態の場合には、中継処理部24には、アクティブ側ルータ21のOSPF処理部21aから経路情報が通知され、またアクティブ側ルータ21の故障状態の場合には、中継処理部24には、スタンバイ側ルータ22から経路情報が通知されている。
【0034】
また、OSPF処理部21a,22aは、ハローメッセージの送受信を、ネットワーク10を介して他のルータ30と行っており、このハローメッセージの受信状況に応じて、相手ルータ30との接続性を確認している。さらに、これらOSPF処理部21a,22aは、ルータ20内のスタンバイ側ルータ22およびアクティブ側ルータ21、たとえば、アクティブ処理監視部22b、スタンバイ処理部21bにも、このハローメッセージを定期的に送信している。そして、このハローメッセージの受信が途絶えると、OSPF処理部21a,22aは、故障発生と判断し、この故障に伴うLSA情報の変更を行い、この変更されたLSA情報を相手ルータ30および仮想ルータ23に送信するとともに、リンク状態データベース22c、23cに変更したLSA情報を記憶させている。
【0035】
次に、これらルータ20,30間、またはルータ20内のアクティブ側ルータ21およびスタンバイ側ルータ22と仮想ルータ23間で送受信されるOSPFの使用するメッセージのフォーマットを図4、図5のメッセージの各構成図に基づいて説明する。OSPFのメッセージヘッダは、図示しないIPとTCPのヘッダに次いで、図4に示すOSPFのバージョン(Version)と、メッセージのタイプ(Type)と、メッセージの全長を示すパケット長(Packet length)と、このメッセージの送信元のルータのID(RouterID)と、このメッセージが所属するエリアのID(Area ID)と、このメッセージ全体のチェックサム(Checksum)と、このメッセージを認証するチェックの方法を示す認証タイプ(AuType)と、この認証タイプで指定された認証方法に応じて用いられる認証(Authentication)の各フィールドで構成されている。
【0036】
このメッセージのタイプには、隣り合うルータとの接続性を確認するためのハロー(Hello)と、隣り合うルータとの間で互いの持つリンクステートデータベースの内容の交換を行うためのデータベースディスクリプション(Database Description:以下、「DD」という)と、リンクステート情報の送信を要求するリンクステート要求(Link Status Request)と、要求されたリンクステート情報を送り返すためのリンクステートアップデート(Link Status Update)と、LSA情報に対する受け取り確認を行うためのリンクステート確認(Link Status Acknowledgement)とがある。
【0037】
各ルータでは、このOSPFのメッセージヘッダに次いで上述した4つのメッセージのいずれかが送信されることとなり、たとえばリンクステート要求に応じてLSA情報を送信したり、リンクステートが変化した場合にLSA情報を送信する時には、リンクステートアップデートに次いでLSA情報が送信される。全てのLSA情報には、共通のヘッダが付加されて送信されており、このLSA情報のヘッダは、図5に示すように、このLSA情報が生成されてから経過した時間を示すLSエイジ(LS age)と、このメッセージを送出しているルータの持つオプション機能を示すオプション(Option)と、リンクステートのタイプを指定するためのLSタイプ(LS Type)と、LSタイプに応じたリンクステートのID(Link State ID)と、このLSA情報を生成したルータのIDを示すアドバタイジングルータ(Advertising Router)と、特定リンクに対して新しいLSA情報が生成される度に増加するシーケンス番号を示すLSシーケンスナンバー(LA sequence number)と、LSエイジフィールドを除くLSA情報全体に対するチェックサム(LS checksum)と、ヘッダも含めたLSA情報全体の長さ(length)とから構成されている。
【0038】
次に、この実施の形態にかかるアクティブ側ルータ21の処理動作を、図6〜図8の図面に基づいて説明する。
【0039】
図6は、アクティブ側ルータ21から通知する正常時のLSA情報に関連した接続形態の図であり、図7は、アクティブ側ルータ21から通知するスタンバイ側ルータ22の異常時のLSA情報に関連した接続形態の図であり、図8は、アクティブ側ルータ21の処理動作を説明するためのフローチャートである。なお、LSA情報とは、ルータあるいはネットワークの局所的な状態を記述したデータで、ルータのインターフェースや経路情報交換関係に関する情報も含まれる。たとえば、図6の接続形態では、アクティブ側ルータ21に対して、接続されているネットワーク10と仮想ルータ23を記述した情報、ネットワーク10に対して、接続されているアクティブ側ルータ21、スタンバイ側ルータ22および相手ルータ30を記述した情報などからなり、図7の接続形態では、アクティブ側ルータ21に対して、接続されているネットワーク10と仮想ルータ23を記述した情報、ネットワーク10に対して、接続されているアクティブ側ルータ21と相手ルータ30を記述した情報などからなっている。
【0040】
図8において、アクティブ側ルータ21のOSPF処理部21aは、まずリンク状態データベース21cに記憶されている図6を含むネットワーク全体のLSA情報を相手ルータ30および仮想ルータ23に通知している(ステップ101)。そして、スタンバイ処理監視部21bによってスタンバイ側ルータ22のスタンバイ処理異常を検出したかどうか判断する(ステップ102)。
【0041】
スタンバイ処理監視部21bは、スタンバイ側ルータ22から定期的に送信されるハローメッセージを受信することによって、スタンバイ側ルータ22に処理異常が発生したかどうか判断しており、スタンバイ処理監視部21bは、このスタンバイ側ルータ22のスタンバイ処理異常を検出すると、検出信号をOSPF処理部21aに出力することで、検出異常を通知する。
【0042】
OSPF処理部21aは、このスタンバイ側処理異常が検出されると、スタンバイ側ルータ22に処理異常が発生したものと判断して、図7のLSA情報を作成して、リンク状態データベース21cに記憶させるとともに、当該変更したLSA情報を相手ルータ30および仮想ルータ23に通知する(ステップ103)。これにより、相手ルータ30および仮想ルータ23は、受信したLSA情報に基づいて、リンク状態データベースに登録されているLSA情報を変更することが可能となる。
【0043】
また、この実施の形態にかかるスタンバイ側ルータ22の処理動作を、図9〜図11の図面に基づいて説明する。
【0044】
図9は、スタンバイ側ルータ22から通知する正常時のLSA情報に関連した接続形態の図であり、図10は、スタンバイ側ルータ22から通知するアクティブ側ルータ21の異常時のLSA情報に関連した接続形態の図であり、図11は、スタンバイ側ルータ22の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【0045】
図11において、スタンバイ側ルータ22のOSPF処理部22aは、まずリンク状態データベース22cに記憶されている図9を含むネットワーク全体のLSA情報を相手ルータ30および仮想ルータ23に通知している(ステップ201)。そして、アクティブ処理監視部22bによってアクティブ側ルータ21のアクティブ処理異常を検出したかどうか判断する(ステップ202)。
【0046】
アクティブ処理監視部22bは、アクティブ側ルータ21から定期的に送信されるハローメッセージを受信することによって、アクティブ側ルータ21に処理異常が発生したかどうか判断しており、アクティブ処理監視部22bは、このアクティブ側ルータ21のアクティブ処理異常を検出すると、検出信号をOSPF処理部22aに出力することで、検出異常を通知する。
【0047】
OSPF処理部22aは、このアクティブ処理異常が検出されると、アクティブ側ルータ21に処理異常が発生したものと判断して、図10のLSA情報を作成して、リンク状態データベース22cに記憶させるとともに、当該変更したLSA情報を相手ルータ30および仮想ルータ23に通知する(ステップ203)。これにより、相手ルータ30および仮想ルータ23は、受信したLSA情報に基づいて、リンク状態データベースに登録されているLSA情報を変更することが可能となる。
【0048】
次に、OSPF処理部22aは、この作成したLSA情報に基づいて、最適経路情報を計算し、この最適経路情報を中継処理部24に出力して、中継処理部24に対して経路情報の通知処理を開始させる(ステップ204)。この中継処理部24では、この最適経路情報を経路情報データベース25に登録するとともに、この最適経路情報を相手ルータ30および仮想ルータ23に送信して、経路情報の交換を可能にする。
【0049】
これにより、相手ルータ30および仮想ルータ23は、受信したLSA情報に基づいて、最適経路情報を計算して自ルータ内の経路情報データベースに登録することが可能となる。
【0050】
このように、この実施の形態では、スタンバイ側ルータ22も異なるOSPF論理ルータとして、アクティブ側ルータ21とともに動作させ、このアクティブ側ルータ21およびスタンバイ側ルータ22は、仮想ルータ23を介在させたネットワーク全体のLSA情報を通知して、自ルータ20経由で中継されるデータを全て仮想ルータ23を介して送達可能とするので、故障発生時にもトポロジー変化に伴う経路情報の受信を正確に行い、データの中継処理を極力停止させることなく、容易にデータ中継装置の二重化を図ることができる。なお、この実施の形態では、最適経路情報を書き替える僅かな時間、停止させるだけでデータ中継を再開させることができる。
【0051】
(実施の形態2)
図12は、この発明にかかるデータ中継システムの概略構成の他例を示すシステム構成図である。図12において、図1のデータ中継システムと異なる点は、ネットワーク40側もAS内部に含まれるものとして、このネットワーク40と仮想ルータ23間にアクティブ側ルータ26を接続させた経路と、スタンバイ側ルータ27を接続させた経路とを構成させた点であり、このアクティブ側ルータ26とスタンバイ側ルータ27は、相互に監視を行ってお互いの故障を検出している。なお、この構成において、アクティブ側ルータ26は、アクティブ側ルータ21と同様の構成であり、スタンバイ側ルータ27は、スタンバイ側ルータ22と同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0052】
この構成において、アクティブ側ルータ26およびスタンバイ側ルータ27は、ネットワーク全体のLSA情報をリンク状態データベースにそれぞれ記憶するとともに、仮想ルータ23およびOSPFルータ50と経路情報の交換を行い、記憶されたLSA情報に基づいて、最適経路情報を算出している。また、仮想ルータ23およびOSPFルータ50は、正常時にはアクティブ側ルータ26をネクストホップに設定して最適経路情報を作成し、異常時にはスタンバイ側ルータ27で変更されたLSA情報の情報に基づいて、ネクストホップをスタンバイ側ルータ27とする変更登録を行う。
【0053】
このように、この実施の形態でも、実施の形態1と同様に、スタンバイ側ルータ22,27も異なるOSPF論理ルータとして、アクティブ側ルータ21,26とともに動作させ、このアクティブ側ルータ21,26およびスタンバイ側ルータ22,27は、仮想ルータ23を介在させたネットワーク全体のLSA情報を通知して、自ルータ20経由で中継されるデータを全て仮想ルータ23を介して送達可能とするので、故障発生時にもトポロジー変化に伴う経路情報の受信を正確に行い、データの中継処理を極力停止させることなく、容易にデータ中継装置の二重化を図ることができる。
【0054】
また、この実施の形態では、アクティブ側21およびスタンバイ側ルータ22は、それぞれ仮想ルータ23と1対1で経路情報の交換を行い、対向するアクティブ側26およびスタンバイ側ルータ27と経路情報の交換を行わなくて良いので、従来のフルメッシュ接続の場合に比べて、経路情報の交換回数が半分で済み、経路情報の交換にかかる時間を大幅に削減することができる。
【0055】
なお、この発明では、仮想ルータに接続されるルータの数は、実施の形態に限定されるものではなく、3つ以上に設定することも可能であり、上述した効果は、この仮想ルータに接続されるルータの数が増加するほど、顕著なものとなる。
【0056】
この発明は、これら実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。たとえば、第3のデータ中継装置は、仮想ルータではなく、物理ルータで構成することも可能であり、またこの第3のデータ中継装置に接続される第1および第2のデータ中継装置も、論理ルータではなく、物理ルータで構成することも可能である。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明では、論理的にアクティブ状態とスタンバイ状態の関係に設定された少なくとも2つの第1および第2の論理データ中継装置と、これら論理データ中継装置とそれぞれ接続された第3の論理データ中継装置を論理的に設定し、第3の論理データ中継装置が介在したネットワークの接続形態の情報を、前記データ中継を行うための経路交換プロトコルを使用して、他のデータ中継装置に通知するので、故障発生時にもトポロジー変化に伴う経路情報の受信を正確に行い、データの中継処理を極力停止させることなく、容易にデータ中継装置の二重化を図ることができる。
【0058】
この発明では、第1〜第3の論理データ中継装置が設定されたデータ中継装置を備えたデータ中継システムにて、第1および第2の論理データ中継装置が、同じネットワークワーク内の他のデータ中継装置に、第3の論理データ中継装置が介在したネットワークの接続形態の情報を通知して、経路情報の変更を行うので、故障発生時にもトポロジー変化に伴う経路情報の受信を正確に行い、データの中継処理を極力停止させることなく、容易にデータ中継装置の二重化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるデータ中継システムの概略構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】データの流れを示す図1と同様のシステム構成図である。
【図3】図1に示したルータのうちのアクティブ側ルータとスタンバイ側ルータに拘わる構成を示す構成図である。
【図4】OSPFのメッセージヘッダのパケットフォーマットを示す構成図である。
【図5】LSA情報のメッセージヘッダのパケットフォーマットを示す構成図である。
【図6】図1に示したアクティブ側ルータから通知する正常時のトポロジー情報に関連した接続形態の図である。
【図7】同じく、アクティブ側ルータから通知するスタンバイ側ルータ異常時のトポロジー情報に関連した接続形態の図である。
【図8】同じく、アクティブ側ルータの処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図1に示したスタンバイ側ルータから通知する正常時のLSA情報に関連した接続形態の図である。
【図10】同じく、スタンバイ側ルータから通知するアクティブ側ルータの異常時のトポロジー情報に関連した接続形態の図である。
【図11】同じく、スタンバイ側ルータの処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】この発明にかかるデータ中継システムの概略構成の他例を示すシステム構成図である。
【図13】データ中継システムの従来例の概略構成を示すシステム構成図である。
【符号の説明】
10,40 ネットワーク
20,30,50 OSPFルータ
21,26 アクティブ側ルータ
21a,22a OSPF処理部
21b スタンバイ処理監視部
21c,22c リンク状態データベース
22,27 スタンバイ側ルータ
22b アクティブ処理監視部
23 仮想ルータ
24 中継処理部
25 経路情報データベース

Claims (8)

  1. データ中継装置が、論理的にアクティブ状態とスタンバイ状態の関係に設定された少なくとも2つの第1および第2の論理データ中継装置を構築して、経路情報の交換およびデータ中継を行うデータ中継方法において、
    前記各データ中継装置とそれぞれ接続された第3のデータ中継装置を設定し、当該第3のデータ中継装置が介在したネットワークの接続形態の情報を、前記データ中継を行うための経路交換プロトコルを使用して、他のデータ中継装置に通知する通知工程
    を含むことを特徴とするデータ中継方法。
  2. 前記通知工程では、前記第1および第2の論理データ中継装置がそれぞれに、前記ネットワークの接続形態の情報を、前記他のデータ中継装置に通知することを特徴とする請求項1に記載のデータ中継方法。
  3. 前記データ中継方法では、前記通知されたネットワークの接続形態の情報に基づいて、経路情報の変更を行う経路変更工程
    をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載のデータ中継方法。
  4. 前記データ中継方法では、前記第1および第2の論理データ中継装置が、お互いの動作状態を監視する監視工程と、
    前記監視工程の監視結果に基づいて、前記ネットワークの接続形態の情報を変更する変更工程と、
    をさらに含み、前記通知工程では、当該変更されたネットワークの接続形態の情報を、前記他のデータ中継装置に通知し、前記経路変更工程では、前記変更されたネットワークの接続形態の情報に基づいて、経路情報の変更を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のデータ中継方法。
  5. 論理的にアクティブ状態とスタンバイ状態の関係に設定された少なくとも2つの第1および第2の論理データ中継装置を有し、該第1および第2の論理データ中継装置によって、経路情報の交換およびデータ中継を行うデータ中継装置において、
    前記データ中継装置内に設けられ、前記第1および第2の論理データ中継装置とそれぞれ接続される第3のデータ中継装置と、
    前記第3のデータ中継装置が介在したネットワークの接続形態の情報を、前記データ中継を行うための経路交換プロトコルを使用して、他のデータ中継装置に通知する通知手段と、
    を備えたことを特徴とするデータ中継装置。
  6. 前記通知手段は、第1および第2の論理データ中継装置が、前記第3のデータ中継装置が介在したネットワークの接続形態の情報を、他のデータ中継装置にそれぞれ通知することを特徴とする請求項5に記載のデータ中継装置。
  7. 前記第1および第2の論理データ中継装置は、お互いの動作状態を監視する監視手段と、
    前記監視結果に基づいて、前記ネットワークの接続形態の情報を変更する変更手段と、
    を備え、前記通知手段は、当該変更されたネットワークの接続形態の情報を、他のデータ中継装置に通知することを特徴とする請求項5または6に記載のデータ中継装置。
  8. 複数のデータ中継装置が接続されて、他のデータ中継装置との間で経路情報の交換およびデータ中継を行うデータ中継システムにおいて、
    請求項5〜7のいずれか一つのデータ中継装置を備え、該データ中継装置が他のデータ中継装置に、第3のデータ中継装置が介在したネットワークの接続形態の情報を通知し、該接続形態の情報に基づいて、前記経路情報の変更を行うことを特徴とするデータ中継システム。
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