JP3634743B2 - 単電子トランジスタを用いた演算回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単電子トランジスタを複数個用いて構成された演算回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
来るべきマルチメディア社会の実現には、コンピュータのさらなる高性能化が必要不可欠であることは言うまでもない。このコンピュータの高性能化は、内蔵するLSIチップの高機能化、高速化によって実現される。しかし、近年、LSIチップの高機能化、高速化に伴う副作用である消費電力の増大が、LSIの発展を阻害しつつある。永続的なLSIの発展には、その低消費電力化は避けて通れない問題である。
【0003】
特に、ASSPやマイクロプロセッサなどのLSIに関しては、クロック系と並んで、論理部の消費電力がLSI全体の消費電力を支配しており、論理部の低消費電力化が非常に重要である。この論理部は、主に乗算機と加算機よりなる。乗算機は加算機を基本としていることを考えると、論理部は加算機の集合であると言ってもよい。この加算機は、他のLSI部品同様にMOSトランジスタで構成されている。これまでに加算機の低消費電力化について様々な検討がなされているが、いずれも1/2〜1/3程度の消費電力削減にとどまっており、根本的な解決には至っていない。これは、MOSトランジスタが単純なスイッチとしてしか動作しないために、加算機を構成するための素子数が必然的に多くなることと、駆動能力を確保するために比較的大きな電流を流していることに起因してる。したがって、MOSトランジスタを用いている限り、低消費電力化の根本的な解決は非常に困難であることが予想される。
【0004】
このような背景において、近年注目されているのが単電子素子である。単電子素子は、微小トンネル接合における単電子トンネル現象を利用する。微小トンネル接合における単電子トンネル現象は、電子のトンネルがそれに伴う帯電エネルギーに起因する自由エネルギーの増大により引き起こされる現象である。このような単電子トンネル現象を利用する単電子素子は、素子を流れ出る電流や素子に蓄積される電荷を単電子の単位で制御することが可能であるため、一素子あたりの消費電力が極めて小さく、さらに素子面積も極めて小さいという特徴を有し、既存の集積回路の集積化限界をはるかに上回る集積化が期待されている。上述の加算機もMOSトランジスタの代わりに単電子素子を用いることにより、大幅な低消費電力化が期待できる。
【0005】
ここで、単電子素子の中で最も基本となる単電子トランジスタ(Single Electron Transistor:以下、SETと略記する)について説明する。図29は、入力ゲートを1つだけもつSETの等価回路図である。このSET1Aは、単電子島2と呼ばれる微小な導電性の島の両端にトンネル容量C ,C を介して第1,第2のソースドレイン電極3,4が接続されると共に、容量C を介してゲート電極5が接続された構造をしている。このSET1Aでは、ソース・ドレイン間に微小な電圧Vddを印加した状態でゲート電圧V を掃引することにより、ソース・ドレイン間を流れる電流Iの値が振動的に変化することが知られいている。その原理を説明する。
【0006】
単電子島2は小さい容量C ,C で囲まれているために、電子1個が単電子島2に入ることによるエネルギー増加分が大きくなって、単電子島2に電子に対するエネルギー準位ができる(以下、エネルギー準位はすべて電子に対するものとする)。ゲート電圧V を変化させると、ゲート電極5と単電子島2との容量的な結合により、このエネルギー準位が一定のギャップを保ったまま上下する。ソース・ドレイン間の電圧Vddがこのギャップよりも小さい場合は、ギャップ内にソース及びドレインの準位が入ると、ソース・ドレイン間に電流が流れないブロッケード状態となる。一方、ソース及びドレインのエネルギー準位の間に単電子島2の準位のいずれかが入ると、この準位を介してソース・ドレイン間に電流Iが流れる状態になる。
【0007】
よって、あるゲート電圧ではブロッケードの効果で単電子島2内の電子個数がn個(nは整数)で安定となり、電流Iが流れないが、ゲート電圧が増加するとブロッケードが破れ、もう1個電子が増えることが可能となる。後者の領域にゲート電圧V が入ると、単電子島2の電子数がnとn+1の両方の値をとれるので、電子が1個島2内に入り、次に出て行く(島2内の電子数はnとn+1との間を往復する)ことで電流Iが流れるようになる。したがって、ゲート電圧V を変化せると、ソース・ドレイン間の電流Iが振動することになる。
【0008】
図30は、SET1Aのソース・ドレイン間の電流Iのゲート電圧V 依存性を示す特性図である。オフセット電荷と呼ばれる浮遊電荷が単電子島2の近傍に存在しない場合には、ゲート電圧V を規格化したq=C/e(eは素電荷)を横軸にとると、qが整数、半整数のときに電流Iの振動の谷と山がそれぞれ現れる。図30では、qが正の場合のみが描かれているが、負の場合も同様に振動構造を呈する。
【0009】
SETは、MOSトランジスタと異なり、複数の入力ゲートをもつことが可能である。ここではこれを多入力SETと呼ぶ。図31は、入力ゲートを2個もつSETの等価回路及びその電流電圧特性図である。SET1Bにおいて、2個のゲート電極5 ,5 の容量,印加電圧をCGi,VGi(i=1,2)とすれば、q=(ΣCGiGi)/eがn(整数)に等しいときに振動の谷となり、n+1/2に等しいときに振動の山となる。
【0010】
今、容量CG1,CG2が互いに等しいとし(CINとおく)、印加電圧VG1,VG2をVIN(=e/2CIN)又は0のいずれかとする場合を考える。図32は、この条件下のSETの等価回路及びその電流電圧特性図である。この条件下では、(VG1,VG2)=(VIN,0)又は(0,VIN)のときに電流Iのピークの位置、(VG1,VG2)=(0,0)又は(VIN,VIN)のときにはどちらも谷の位置となる。すなわち、入力が異なる場合のみSET1Cはオンする。これは排他的論理和(XOR)の動作である。
【0011】
このように、2入力SET1Cを用いることにより、2入力XORを生成することができる。同様にN入力ゲートSET(Nは3以上の整数)を用いることによりN入力XOR(N入力のうち、奇数個がオンならばSETがオン、偶数個ならばオフ)を生成することができる。このように、SETの周期的に振動する電流電圧特性を利用することにより、排他的論理和を1つの素子で実現できる。このことは「Takahashiら、Applied Physics Letters,vol.76,p.637−639,2000」に記載されている。
排他的論理和は加算回路の基本であり、この排他的論理和を簡便に実現できる多入力SETは、極めて有用な加算回路用素子であると言うことができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、多入力SETを用いた加算機は、これまでに実現できていない。この原因の一端は、多入力SETを用いた加算機の具体的な構成方法が、これまでに考案されていないことにある。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、多入力SETを用いて加算動作に必要となる演算回路を実現することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明は、両側がトンネル容量により挟まれた単電子島と,この単電子島の両側にトンネル容量を介してそれぞれ接続された第1及び第2のソースドレイン電極と,単電子島に容量結合したN個(Nは1以上の整数)のゲート電極とをそれぞれ有する第1及び第2の単電子トランジスタと、第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性をシフトさせる第1の制御手段とを備え、第1の単電子トランジスタのN個のゲート電極と第2の単電子トランジスタのN個のゲート電極は、それぞれ共通に接続されてN個の入力ゲートをなし、第1及び第2の単電子トランジスタのそれぞれの第1のソースドレイン電極は、共通に接続されて出力端子をなし、第1及び第2の単電子トランジスタのそれぞれの第2のソースドレイン電極は、互いに独立な2個のパス入力端子をなすことを特徴とする。これを第1の加算機基本回路と呼ぶ。
【0014】
この第1の加算機基本回路において、入力ゲートの数は、2であり、これら2個の入力ゲートには、互いに独立な第1及び第2の2値信号がそれぞれ入力され、2個のパス入力端子には、第3の2値信号が相補の形で入力され、第1の制御手段は、第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/2周期シフトさせる。これによりサム回路を構成できる。
また、第1の加算機基本回路において、入力ゲートの数は、2であり、これら2個の入力ゲートには、互いに独立な第1及び第2の2値信号がそれぞれ入力され、2個のパス入力端子の一方には、第3の2値信号が入力され、2個のパス入力端子の他方には、第1又は第2の2値信号が入力され、第1の制御手段は、第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/2周期シフトさせる。これによりキャリー回路を構成できる。
【0015】
ここで、パス入力電圧とゲート入力電圧に異なるレベルの電圧を使用する場合には、電圧変換用の付加回路を加える必要がある。この付加回路は、両側がトンネル容量により挟まれた単電子島と,この単電子島の両側にトンネル容量を介してそれぞれ接続された第3及び第4のソースドレイン電極と,単電子島に容量結合した1個のゲート電極とをそれぞれ有する第3及び第4の単電子トランジスタと、第4の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/2周期シフトさせる第2の制御手段とを更に備え、第3及び第4の単電子トランジスタのそれぞれのゲート電極には、第1又は第2の2値信号が入力され、第3及び第4の単電子トランジスタのそれぞれの第1のソースドレイン電極には、互いに異なる直流電圧が印加され、第3及び第4の単電子トランジスタのそれぞれの第2のソースドレイン電極は、パス入力端子の他方に共通に接続された構成であってもよい。
【0016】
また、上記サム回路1個と上記キャリー回路2個とを有し,サム回路の2個の入力ゲートと2個のキャリー回路のそれぞれ2個の入力ゲートとがそれぞれ共通に接続された1ビット加算ユニットを少なくとも2個有し、1つの1ビット加算ユニットに含まれる一方のキャリー回路の出力端子が、他の1つの1ビット加算ユニットに含まれる一方のキャリー回路の一方のパス入力端子及びサム回路の一方のパス入力端子に接続され、1つの1ビット加算ユニットに含まれる他方のキャリー回路の出力端子が、他の1つの1ビット加算ユニットに含まれる他方のキャリー回路の一方のパス入力端子及びサム回路の他方のパス入力端子に接続された構成とすることにより、リップルキャリー加算機を構成できる。
【0017】
ここで、1つの1ビット加算ユニットに含まれる2個のキャリー回路のそれぞれ一方のパス入力端子に、第3の2値信号が相補の形で入力されるように構成してもよい。
また、1ビット加算ユニットに含まれるサム回路は、その1ビット加算ユニットに含まれる2個のキャリー回路の間に配置されるようにするとよい。これにより、各ユニット間を繋ぐ配線を互いに交差することなく結線できるので、各ユニット間を直接接続できる。これにより演算速度を飛躍的に向上させることができる。
【0018】
また、本発明は、両側がトンネル容量により挟まれた単電子島と,この単電子島の両側にトンネル容量を介してそれぞれ接続された第1及び第2のソースドレイン電極と,単電子島に容量結合したN個(Nは1以上の整数)のゲート電極とをそれぞれ有する第1及び第2の単電子トランジスタと、第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性をシフトさせる第1の制御手段とを備え、第1の単電子トランジスタのN個のゲート電極と第2の単電子トランジスタのN個のゲート電極は、それぞれ共通に接続されてN個の入力ゲートをなし、第1及び第2の単電子トランジスタのそれぞれの第1のソースドレイン電極が共通に接続されると共に、第1及び第2の単電子トランジスタのそれぞれの第2のソースドレイン電極が共通に接続されていることを特徴とする。これを第2の加算機基本回路と呼ぶ。
【0019】
上述した第1の加算機基本回路において、入力ゲートの数は、3であり、これら3個の入力ゲートには、互いに独立な2値信号がそれぞれ入力され、2個のパス入力端子には、互いに異なる直流電圧が印加され、第1の制御手段は、第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/2周期シフトさせる。これによりサム回路を構成できる。
【0020】
このサム回路に適合するキャリー回路は、次のようにして構成できる。すなわち、上記第2の加算機基本回路を2個有し、一方の基本回路では、入力ゲートの数が、4であり、これらの入力ゲートの1つには、所定の直流電圧が印加され、第1の制御手段が、第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/m周期(mは4以上の整数)シフトさせ、第1及び第2の単電子トランジスタの第2のソースドレイン電極には、所定の直流電圧が印加され、また他方の基本回路にでは、入力ゲートの数が、4であり、これらの入力ゲートの1つには、第1及び第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を一方の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性に対して2/m周期シフトさせる直流電圧が印加され、第1の制御手段が、第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/m周期シフトさせ、第1及び第2の単電子トランジスタの第2のソースドレイン電極には、一方の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタの第2のソースドレイン電極とは異なる直流電圧が印加され、さらに、2個の演算回路の残りの3つの入力ゲートは、それぞれ共通に接続されて、互いに独立な2値信号が入力され、2個の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタの第1のソースドレイン電極は、共通に接続されて出力端子をなすようにする。
【0021】
また、上記サム回路と上記キャリー回路とを1個ずつ有し,サム回路の3個の入力ゲートとキャリー回路の3個の入力ゲートとがそれぞれ共通に接続された1ビット加算ユニットを少なくとも2個有し、1つの1ビット加算ユニットに含まれるキャリー回路の出力端子が、他の1つの1ビット加算ユニットに含まれるサム回路及びキャリー回路に共通な入力ゲートの1つに接続された構成とすることにより、リップルキャリー加算機を構成できる。
ここで、パス入力電圧とゲート入力電圧に異なるレベルの電圧を使用する場合には、互いに接続された出力端子と入力ゲートとの間に増幅器を介在させるとよい。
【0022】
また、上述した第2の加算機基本回路を3個有し、これら3個の基本回路の1つである第1の回路では、入力ゲートの数が、3であり、これらの入力ゲートの1つには、所定の直流電圧が印加され、第1の制御手段が、第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/m周期(mは6以上の整数)シフトさせ、第1及び第2の単電子トランジスタの第2のソースドレイン電極には、所定の直流電圧が印加され、上記基本回路の他の1つである第2の回路では、入力ゲートの数が、3であり、これらの入力ゲートの1つには、第1及び第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を第1の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性に対して2/m周期シフトさせる直流電圧が印加され、第1の制御手段が、第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/m周期シフトさせ、第1及び第2の単電子トランジスタの第2のソースドレイン電極には、第1の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタの第2のソースドレイン電極とは異なる直流電圧が印加され、上記基本回路の残りの1つである第3の演算回路は、入力ゲートの数が、3であり、これらの入力ゲートの1つには、第1及び第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を第1の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性に対して−2/m周期シフトさせる直流電圧が印加され、第1の制御手段が、第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/m周期シフトさせ、第1及び第2の単電子トランジスタの第2のソースドレイン電極には、第1及び第2の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタの第2のソースドレイン電極とは異なる直流電圧が印加され、さらに、第1〜第3の演算回路の残りの2つの入力ゲートは、それぞれ共通に接続されて、互いに独立な第1及び第2の3値信号が入力され、第1〜第3の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタの第1のソースドレイン電極は、共通に接続されて出力端子をなすようにする。これにより、2進signed digit(SD)数演算用のキャリー回路の入力部を構成できる。
【0023】
また、上述した第2の加算機基本回路を2個有し、一方の基本回路では、入力ゲートの数が、2であり、これらの入力ゲートの1つには、所定の直流電圧が印加され、第1の制御手段が、第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/m周期(mは6以上の整数)シフトさせ、他方の基本回路では、入力ゲートの数が、2であり、これらの入力ゲートの1つには、第1及び第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を一方の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性に対して2/m周期シフトさせる直流電圧が印加され、第1の制御手段が、第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/m周期シフトさせ、さらに、2個の演算回路の他の入力ゲートは、共通に接続されて第3の3値信号が入力され、2個の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタの第1のソースドレイン電極は、共通に接続されて出力端子をなし、2個の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタの第2のソースドレイン電極は、互いに独立な2個のパス入力端子をなすようにする。これにより、SD−キャリー回路のセレクタ回路を構成できる。
【0024】
また、上記入力部2個と上記セレクタ回路1個とを有し、入力部のそれぞれの出力端子がセレクタ回路の2個のパス入力端子に接続された構成とすることにより、SD−キャリー回路を構成できる。
また、上述した第1の加算機基本回路と上記セレクタ回路とを1個ずつ有し、セレクタ回路の2個のパス入力端子には、互いに異なる第1及び第2の直流電圧がそれぞれ印加され、第1の加算機基本回路では、入力ゲートの数が、2であり、これら2個の入力ゲートには、互いに独立な第1及び第2の3値信号がそれぞれ入力され、2個のパス入力端子の一方には、第3の直流電圧が印加され、2個のパス入力端子の他方には、セレクタの出力端子が接続され、第1の制御手段は、第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/2周期シフトさせる。これによりSD−サム回路を構成できる。
【0025】
また、上記SD−サム回路とSD−キャリー回路とを1個ずつ有する1ビット加算ユニットを少なくとも2個有し、1つの1ビット加算ユニットに含まれるSD−キャリー回路の出力端子が、他の1つの1ビット加算ユニットに含まれるSD−サム回路及びSD−キャリー回路のそれぞれの入力ゲートに第3の3値信号を出力するように構成することにより、並列加算機を構成できる。
ここで、パス入力電圧とゲート入力電圧に異なるレベルの電圧を使用する場合には、互いに接続された出力端子と入力ゲートとの間に増幅器を介在させるとよい。
【0026】
また、上記SD−キャリー回路、SD−サム回路及び並列加算機が、第1及び第2の単電子トランジスタのそれぞれの単電子島に容量結合し、所定の直流電圧が印加されるシフトゲートを有していてもよい。これにより、3値信号の1つの電圧レベルを0に合わせることができる。
また、上記第1の制御手段は、第2の単電子トランジスタの単電子島に容量結合し、所定の直流電圧が印加されるタイプ制御ゲートで構成してもよい。同様に、上記第2の制御手段は、第4の単電子トランジスタの単電子島に容量結合し、所定の直流電圧が印加されるタイプ制御ゲートで構成してもよい。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態である多入力SETを用いた加算機基本回路の等価回路図である。この加算機基本回路は、第1のSETとしての2入力SET11Aと、第2のSETとしての3入力SET11Bとから構成されている。2入力SET11Aは、図32に示した2入力SET1Cと同じものであり、3入力SET11Bは、この2入力SET1Cに入力ゲートを更に1個付加したものである。ただし、2個のSET11A,11Bは、それぞれの第1のソースドレイン電極を共有すると共に、それぞれの2個のゲート電極を共有した構造となっている。
【0028】
2個のSET11A,11Bが共有する2個のゲート電極を単に入力ゲート15 ,15 、3入力SET11Bの残りのゲート電極をタイプ制御ゲート16と呼ぶことにする。入力ゲート15 ,15 にそれぞれ入力される互いに独立な第1,第2の2値信号を変数A,Bで表し、タイプ制御ゲート16に入力される2値信号を変数TYPEで表す。CINは入力ゲート15 ,15 の容量である。ここでは、4個の入力ゲート容量がすべて等しいとした。タイプ制御ゲート16の容量はCTYPEとした。
2個のSET11A,11Bが共有する第1のソースドレイン電極は出力端子13であり、この出力端子13から出力される2値信号を変数OUTで表す。2個のSET11A,11Bのそれぞれの第2のソースドレイン電極をパス入力端子14A,14Bと呼び、このパス入力端子14A,14Bにそれぞれ入力される2値信号を変数P1,P2で表す。
【0029】
図2は、図1に示した加算機基本回路が有する3入力SET11Bの動作状態を示す図である。この図において、横軸はゲート入力電圧ΣVINを表し、縦軸は出力電流Iを表す。
今、タイプ制御ゲート16に印加する電圧を0に固定し、入力ゲート15 ,15 に信号A,Bとして0又はVIN(=e/2CIN)のどちらかの電圧を印加する場合を考える。この場合のゲート入力電圧特性は図2(a)に示すようになる。これは既に図32で示した2入力SETと同じ特性であり、XORの動作をする。ここでは、信号AとBのXORを記号A○Bで表わすことにする。論理動作Xの否定を/X、論理積(AND)を*、論理和(OR)を+で表すこととすると、A○Bは、(A○B)=A*/B+/A*Bで定義される。
【0030】
次に、タイプ制御ゲート16に正の電圧VTYPE(=e/2CTYPE)を印加する場合を考える。この場合、図2(b)に示すように、ゲート入力電圧特性は負側にシフトし、振動の周期が180゜反転する。このようにゲート入力電圧特性がシフトした状態で入力ゲート15 ,15 に信号電圧を印加すると、今度は両者の電圧が揃ったときのみ電流Iが流れ、どちらか一方のみがVINのときは電流Iが流れない。この動作はXORの否定であり、XNORと呼ばれる。ここでは、信号AとBのXNORを/(A○B)と記すことにする。
【0031】
このように、タイプ制御ゲート16を利用することにより、1個の回路で2入力のXORとXNORの両方の回路を実現できる。
図1に示した加算機基本回路においては、タイプ制御ゲート16にVTYPEを印加して、3入力SET11BがXNORの動作をするように設定しておく。すると、入力信号A,Bがどのような組合せであっても、必ずSET11A,11Bの一方がオンで他方がオフとなる。これにより、セレクタとして動作させることができる。
【0032】
次に、2値信号P1,P2を2個のパス入力端子14A,14B(電圧レベルVdd)に入力することを考える。(A○B)=1のときには、2入力SET11Aがオンするので、信号P1が出力端子13に現れる。すなわち、P1=1ならVddの電圧が、P1=0なら0の電圧が出力端子13に現れる。逆に、(A○B)=0すなわち/(A○B)=1のときには、3入力SET11Bがオンするので、信号P2が出力される。
【0033】
ここで、図3(a)に示すように2値信号P1,P2をそれぞれ/C,Cとし、2個のパス入力端子14A,14Bに第3の2値信号Cが相補の形で入力されるとすれば、出力端子13には3入力のXOR(A○B○C)が出力される。これは、入力信号A,B,Cに1が奇数個あれば1を出力し、偶数個あれば0を出力する演算である。3入力のXORはSum(サム)とも呼ばれ、2つの1ビット2進数の下位ビットの加算を実行する。ここで、A,Bを加算すべき2つの数とすると、Cは下位桁からの桁上げを表す。
【0034】
同様に、図3(b)に示すように信号P1をCとし、信号P2をB(又はA)とすると、出力信号OUTはA*B+B*C+C*Aとなる。したがって、信号A,B,Cの中で2つ以上1があれば、1が出力される。これは、2つの1ビット2進数の上位ビットの加算(すなわち桁上げ)を実行するもので、Carry(キャリー)と呼ばれている((A○B)=1のとき、A,Bのどちらかが1なので、C=1なら1が、C=0なら0が出力される。(A○B)=0のときには、A,Bのどちらかをパス入力としておけば、A,B両方1なら1が、両方0なら0が出力される。したがって、1が少なくとも2個あれば1が出力されるので、Carryとなる。)。
【0035】
さらに、図4に示すように信号P1を/Cとし、信号P2を/B(又は/A)とすると、出力信号OUTは/(A*B+B*C+C*A)となり、Carryの否定となる。この回路はCarry回路の一種であり、ここでは/Carry回路と呼ぶことにする。
以上見たように、図1に示した加算機基本回路を用いて、その入力信号を変えることにより、SumとCarryを実行できる。Sum回路とCarry回路とを合わせたものは全加算機と呼ばれ、すべての加算機の基本となる。
【0036】
ここで、各容量の大きさに言及しておく。
単電子島12A又は12Bの総容量をCtotal とすると、Ctotal は、
total =ΣCIN+2C
で表される。ここにC はソースとドレインの接合容量で、ここでは両者が等しいと仮定した(実際には必ずしも等しくなくてもよい)。また、ΣCINはすべての入力ゲート容量の和である。
【0037】
図1に示した加算機基本回路を動作させるためには、電流振動の山谷比がとれていなくてはならない。kをボルツマン定数、Tを絶対温度とすると、ピークの半値幅δV は、(2kT/e)・(Ctotal/CIN)で与えられ、ピークの周期ΔV は、e/CINで与えられるので、
ΔV > δV より
2kT < 2e/Ctotal
が得られる。右辺は単電子島12A又は12Bのチャージングエネルギーを表し、これが熱揺らぎのエネルギーに比べて大きくなければならないことを示している。室温で動作させる場合には、室温の熱エネルギー(26meV)より大きくする必要がある。このためには、Ctotal を1aFよりも十分小さくする必要がある。ただし、上記条件が満たされていれば、2個のSET11A,11BでCtotal を等しくする必要はない。
【0038】
次に、入力ゲート容量CINであるが、今の場合は加算機として用いるので、2個の入力ゲート15,15に印加される電圧レベルは等しくしなければならない。したがって、2個の入力ゲート15,15を等価に働かせるために、入力ゲート容量はなるべく等しいことが望ましい。また、CTYPEはCINに等しいことが望ましいが、必須ではない。ただし、これらを異にする場合には、入力ゲート15,15とタイプ制御ゲート16の電圧レベルを同じにできず、これらの電圧比をVIN/VTYPE=CTYPE/CINとする必要がある。
【0039】
(第2の実施の形態)
図1に示した加算機基本回路においては、一般に、ゲート入力電圧レベルVINとパス入力電圧レベルVddとは等しくなく、VIN>Vddである。特に、パス入力端子14A,14Bに印加される電圧レベルVddは、振動のピークの半値幅δV 以下にすることが望ましい。これは、出力電圧の論理振幅をパス入力電圧レベルVddと等しくするために重要である。
このように、パス入力電圧とゲート入力電圧に異なるレベルの電圧を使用する場合には、図3(b)に示したCarry回路において電圧変換用の付加回路を加える必要がある。Carry回路では、2値信号B(又はA)を入力ゲート15 (又は15 )にも、パス入力端子14Bにも入力させる必要があるからである。
【0040】
図5は、本発明の第2の実施の形態である多入力SETを用いたCarry回路の等価回路図であり、(a)は付加回路を加えたCarry回路の等価回路図、(b)は付加回路の詳細な構成を示す等価回路図である。この図において、図3(b)と同一部分を同一符号をもって示し、適宜その説明を省略する。
図5(b)に示すように、付加回路20Aは、第3のSETとしての1入力SET21Aと、第4のSETとしての2入力SET21Bとから構成されている。ただし、2個のSET21A,21Bは、それぞれの第1のソースドレイン電極を共有すると共に、それぞれの1個のゲート電極を共有した構造となっている。
【0041】
2個のSET21A,21Bが共有する1個のゲート電極は、Carry回路の入力ゲート15に接続され、2値信号Bが入力される。2入力SET21Bの残りのゲート電極は、Carry回路のタイプ制御ゲート16に接続され、2値信号TYPEが入力される。2個のSET21A,21Bが共有する第1のソースドレイン電極は、Carry回路のパス入力端子14Bに接続されている。また、1入力SET21Aの第2のソースドレイン電極は電源電圧端子24B(電圧レベルVdd)に、2入力SET21Bの第2のソースドレイン電極は接地端子24Aに接続されている。この付加回路20Aは、図1に示した加算機基本回路の入力ゲートを1個にしたものであると見ることもできる。
【0042】
図3(b)に示したCarry回路と同様に、ゲート入力電圧レベルをVIN=e/2CINとし、タイプ制御ゲート16にはVTYPE=e/2CTYPEの電圧を印加することとする。なお、入力ゲート容量CINは、付加回路20Aと主回路であるCarry回路とにおいて等しくしておく必要がある。
この付加回路20Aにおいて、入力ゲート15に印加される2値信号B=1の場合には、1入力SET22Aがオンし、Vddがパス入力端子14Bに出力される。逆に、B=0の場合には、2入力SET22Bがオンし、0がパス入力端子14Bに出力される。したがって、ゲート入力電圧レベルVINをパス入力電圧レベルVddに変換している。
【0043】
なお、信号Bの代わりに信号Aを付加回路20Aに供給するようにしてもよい。
また、図4に示した/Carry回路の付加回路20Bでは、図6(b)に示すように、図5(b)に示した付加回路20Aの接地端子24Aと電源電圧端子24Bとの接続を入れ替えればよい。
【0044】
(第3の実施の形態)
図3に示したSum回路、図5に示したCarry回路、及び図6に示した/Carry回路を組み合わせることにより、多ビットの加算機を実現できる。図7は、本発明の第3の実施の形態である4ビットリップルキャリー加算機のブロック図である。図7(a)におけるSum回路、Carry回路及び/Carry回路は、図7(b)に示した略記号で表記されている。ただし、Carry回路のパス入力端子14Bには信号B(又はA)が入力され、/Carry回路のパス入力端子14Bには信号/B(又は/A)が入力されることは上述したとおりである。
【0045】
図7(a)に示すように、Sum回路(S)とCarry回路(C)と/Carry回路(/C)、各1個ずつにより、1ビット加算ユニット3N(N=1,2,3,4)が構成されている。接地端子24Aは、ユニット31に含まれるCarry回路(C)のパス入力端子14A及びSum回路(S)のパス入力端子14Bに接続され、電源電圧端子24Bは、ユニット31に含まれる/Carry回路(/C)のパス入力端子14A及びSum回路(S)のパス入力端子14Aに接続されている。また、前段のユニット3(N−1)(N=2,3,4)に含まれるCarry回路(C)の出力端子13は、それぞれその次段のユニット3Nに含まれるCarry回路(C)のパス入力端子14A及びSum回路(S)のパス入力端子14Bに接続され、前段のユニット3(N−1)に含まれる/Carry回路(/C)の出力端子13は、それぞれその次段のユニット3Nに含まれる/Carry回路(/C)のパス入力端子14A及びSum回路(S)のパス入力端子14Aに接続されている。各ユニット3Nにおいて、Sum回路(S)とCarry回路(C)と/Carry回路(/C)は2個の入力ゲート15,15を共有しており、それぞれ2値信号A(N),B(N)が入力される。そして、各ユニット13NのSum回路(S)の出力S(N)と、ユニット34のCarry回路(C)の出力C(4)とから、加算結果が得られる。
【0046】
このリップルキャリー加算機では、各1ビット加算ユニット3Nにおいて、Sum回路(S)がCarry回路(C)と/Carry回路(/C)との間に配置されていることが重要である。これにより、各段の間を繋ぐ配線を互いに交差することなく結線できる。このことは、出力端子13を次段のパス入力端子14A,14Bに接続するにあたって、金属配線に上げることなく直接接続できることを意味している。金属配線を用いることがなくなるので、小さな領域に集積化できる共に、各段間の配線容量を大幅に削減できる。
結線に金属配線を使用した場合、この配線の容量を100aF以下にすることは非常に難しい。しかし、上記のように配置してSETのリード部分を直接結線すると、その容量を容易に10aF以下にすることができる。
【0047】
回路の応答速度は、配線容量の大きさにほぼ比例すると考えてよいので、このような構成にすることにより、演算速度を飛躍的に向上させることができる。このことは、駆動力の小さいSET回路においては非常に重要である。なお、MOSトランジスタを用いた回路の場合、金属配線を用いない構成にすることが非常に難しいことを記しておく。このように無配線が可能となったのは、SETを用いることにより図1に示した加算機基本回路の構成を簡単化できたことが大きな要因である。
【0048】
ゲート入力電圧レベルVINは一定であるので、すべての入力ゲート容量をなるべく等しくしておくことが望ましい。また、前述したように、一般には、ゲート入力電圧レベルVINとパス入力電圧レベルVddは異なり、VINの方が大きい。したがって、VINとVddの少なくとも2つの電源電圧が必要である。加えて、他の論理回路へVINのレベルで出力する場合には、増幅率VIN/Vddで増幅する必要がある。図7には、このための増幅器AMPが表記されている。
このリップルキャリー加算機の構成にあたっては、信号の入力方法に冗長性がある。例えば、Sum回路(S)のパス入力端子14A,14Bに入力されるCと/Cとを入れ替えると出力はSumの否定(/Sum)となるが、このように入れ替えても、出力を反転する増幅器(インバータ)を設置しておけば得られる結果は同じである。この冗長性は、後述する別の加算機も同様に有している。
【0049】
また、さらに多段に組むことにより、より大きいビット数の加算を実行できることは言うまでもない。ただし、このリップルキャリー加算機の場合、桁上げの連鎖があるので、段数の増加は遅延を招く。したがって、所定の段数ごとに区切り、桁上げ出力に対してバッファを介することが有効な手段となる。例えば、4〜6ビットごとに区切って、桁上げ選択加算機を構成することにより、高速な多ビット加算機を実現できる。このことは、MOSトランジスタを用いた場合と同様である。
【0050】
(第4の実施の形態)
図8は、本発明の第4の実施の形態である多入力SETを用いた加算機基本回路を示す図であり、(a)は等価回路図、(b)は略記号を示す図である。この図において、図1と同一部分を同一符号をもって示し、適宜その説明を省略する。
この加算機基本回路は、第1のSETとしての4入力SET111Aと、第2のSETとしての5入力SET111Bとから構成されている。
2個のSET111A,111Bは、それぞれの4個のゲート電極を共有した構造となっている。これら4個のゲート電極は入力ゲートをなす。このうち3個を単に入力ゲート115 ,115 ,115 、残りの1個を極性変更用制御ゲート117と呼ぶことにする。5入力SET111Bの残りのゲート電極はタイプ制御ゲート116である。
【0051】
入力ゲート115 〜115 にそれぞれ入力される互いに独立な2値信号を変数A〜Cで表し、タイプ制御ゲート116に入力される2値信号を変数TYPEで表し、極性変更用制御ゲート117に入力される2値信号を変数POLで表すことにする。
また、2個のSET111A,111Bは並列接続されている。すなわち、2個のSET111A,111Bは、第1のソースドレイン電極113を共有するだけでなく、第2のソースドレイン電極114をも共有する構造となっており、ここが図1に示した加算機基本回路と異なっている。
【0052】
図8に示した加算機基本回路の特性を説明するために、まず、この回路を簡略化した回路に関して説明する。図9は、1入力SETと2入力SETとを並列接続した回路の等価回路図である。1入力SET111Aと2入力SET111Bは、1個の入力ゲート115として共有し、更に2入力SET111Bは独立したタイプ制御ゲート116をもつ。
図10は、図9に示した並列回路の動作状態を示す図である。この図において、横軸はゲート入力電圧ΣVINを表し、縦軸は出力電流Iを表す。ここでは、ピーク間隔を6等分し、1/6周期に対応する電圧をVIN(=e/6CIN)としている。
【0053】
タイプ制御ゲート116の電圧を0とした場合の2入力SET111Bの特性を図10(a)に示す。これは1入力SET111Aの特性と同じものである。タイプ制御ゲート116にVTYPE=e/6CTYPEの電圧を印加すると、この特性が図10(b)に示すように1/6周期分負側にシフトする。図9に示した並列回路では2つのSET111A,111Bの特性を重ね合わせたものが出力される。したがって、タイプ制御ゲート116をオンすることにより、並列回路の特性は図10(c)に示すようになる。SET単体ではピーク間隔が一定であったが、この並列回路ではピーク間隔が変調されていることがわかる。
今の場合、間隔VINの2つの連続したピークが周期6VINで現れている。同様に、間隔VINの2つの連続したピークを周期mVIN(mは3以上の整数)で実現するためには、VIN=e/mCIN、VTYPE=e/mCTYPEとすればよい。また、VINとVTYPEの電圧レベルを等しくしたい場合には、CIN=CTYPEとすればよい。
【0054】
続いて図8に示した加算機基本回路の特性を説明する。ここでは、再びm=6の場合を考える。図11は、図8に示した加算機基本回路の動作状態を示す図である。この図において、横軸はゲート入力電圧ΣVINを表し、縦軸は出力電流Iを表す。なお、入力ゲート、タイプ制御ゲート、極性変更用制御ゲートの入力状態を、A,B,TYPE,POL=0,1のように表記する。後掲の図においても同様である。
【0055】
タイプ制御ゲート116には、図10に示した場合と同様に、VTYPE=e/6CTYPEを印加しておく。極性変更用制御ゲート117に印加する電圧が0の場合には、図11(a)のような特性となる。これは、図10(c)に示したものと同じである。ここで、入力ゲート115〜115のそれぞれに電圧レベルVINの信号A〜Cを入力すると、信号A〜Cの総和は0,VIN,2VIN,3VINのいずれかをとる(A,B,Cすべてが0なら0、すべてVINがなら3VIN)。図11(a)には、これらの信号レベルが丸印で示されている。この図より、入力信号A〜Cのうち2つ以上VINが入力されれば、回路がオンとなることがわかる。A,Bを入力、Cを前段からの桁上げとすれば、これは2入力のCarryに他ならない。
【0056】
図11(b)には、極性変更用制御ゲート117にVPOL =2e/6CPOL の電圧を印加した場合が示されている。この場合、特性がピーク2つ分だけ、すなわち2/6周期だけ負側にシフトする。したがって、図11(a)に示したCarryの否定(/Carry)になっている。
上記を実現するためには、mを4以上に設定しなければならない。mを3以下にすると、極性変更用制御ゲート117を用いて特性をシフトさせても、シフト前の特性と重なる部分が生じ、/Carryを生成することができないからである。なお、入力ゲート115〜115、タイプ制御ゲート116、極性変更用制御ゲート117の入力電圧レベルを等しくしたいときには、CIN:CTYPE:CPOL =1:1:2としておけばよい。
【0057】
(第5の実施の形態)
図12は、本発明の第5の実施の形態であるCarry回路のブロック図である。この図において、図8と同一部分を同一符号をもって示し、適宜その説明を省略する。
図12に示したCarry回路は、図8に示した加算機基本回路2個で構成される。一方の加算機基本回路110Aの極性変更用制御ゲート117にはPOL=0が、他方の加算機基本回路110Bの極性変更用制御ゲート117にはPOL=1がそれぞれ入力される。また、基本回路110Aのソースドレイン電極114が電源電圧Vddを印加する電源電圧端子124Aに接続され、基本回路110Bのソースドレイン電極114が接地端子124Bに接続され、さらに両基本回路110A,110Bのソースドレイン電極113が繋げられて出力端子123となっている。
【0058】
この回路では、入力信号A〜Cに2つ以上1があれば、POL=0とした基本回路110Aがオンし、出力はVddとなる。すなわち、1が出力される。逆に、入力信号A〜Cに1が2つ以上ない場合には、POL=1とした基本回路110Bがオンし、0が出力される。よって、OUT=A*B+B*C+C*Aとなる。図5に示したCarry回路と比べると、桁上げの部分がパス入力端子ではなく入力ゲート115に入っているところが異なっている。
【0059】
図13は、図12に示したCarry回路に適合するSum回路の等価回路図である。このSum回路は図1に示した加算機基本回路に類似した構成を有している。ただし、第1のSETは3入力SET11A、第2のSETは4入力SET11Bであり、2個のSET11A,11Bが共有する3個の入力ゲート115〜115のそれぞれに2値信号A〜Cが入力される。3入力SET11Aは3信号A〜CのXOR、4入力SET11BはTYPE=1ならば3信号A〜CのXNORとなるので、各SET11A,11Bのパス入力端子14A,14Bにそれぞれ電源電圧端子124B,接地端子124Aを接続することにより、Sum回路を構成することができる。
【0060】
(第6の実施の形態)
図12に示したCarry回路と図13に示したSum回路とを組み合わせることにより、多ビットの加算機を実現できる。図14は、本発明の第6の実施の形態である4ビットリップルキャリー加算機のブロック図である。図14(a)におけるCarry回路及びSum回路は、図12(b)に示した略記号で表記されている。
【0061】
図14(a)に示すように、Carry回路(C)とSum回路(S)各1個ずつにより、1ビット加算ユニット13N(N=1,2,3,4)が構成されている。各ユニット13Nにおいて、Carry回路(C)及びSum回路(S)は3個の入力ゲート115,115,115を共有しており、それぞれ2値信号A(N),B(N),C(N−1)が入力される。ここに、C(N−1)(N=2,3,4)は、前段のユニット13(N−1)に含まれるCarry回路(C)の出力、すなわち前段からの桁上げ信号である。なお、C(0)=0である。そして、各ユニット13NのSum回路(S)の出力S(N)と、ユニット134のCarry回路(C)の出力C(4)とから、加算結果が得られる。
【0062】
既に述べたように、SETで回路を構成する場合、一般には、パス入力に比ベゲート入力のレベルを大きく設定することが必要となる。今の場合、前段のユニット13(N−1)(N=2,3,4)に含まれるCarry回路(C)の出力端子113が、その次段のユニット13N(N=2,3,4)に含まれるCarry回路(C)及びSum回路(S)の入力ゲート115に接続されるので、これらの間に電圧レベルを上げる増幅器AMPを挿入する必要がある。増幅率は、VIN/Vddである。
また、ゲート入力電圧レベルはすべての要素回路で同じでなければならないので、Sum回路(S)のゲート容量はCarry回路(C)のゲート容量の3倍に設定しておく必要がある。
【0063】
図14に示した加算機では、ビットごとのゲートの段数はわずかに1であり、1段ごとにバッファとして機能する増幅器AMPを介在させている。しかも、すべてのSET11A,11B,111A,111Bは電源電圧端子124Bと接地端子124Aに直接に接続されているので、ノイズに対して強い構成となっている。ただし、増幅器AMPの挿入により、一度金属配線に上げなければならないので、速度は図7に示した加算機に比べ遅くなる。
【0064】
(第7の実施の形態)
以上述べてきた加算機は、通常の2進数の演算規則を基礎においていた。以下では、2進signed digit(SD)数の演算規則を基礎においた加算機の構成法について説明する。
SD数とは、数の表現に冗長性をもたせるために、進数よりも多くの数字を用いる数表現法のことをいう。通常の2進数は、0と1の2つの数字を用いて表現される。しかし、2進SD数では、−1,0,1の3つの数字を用いて数を表す。具体的に言えば、通常の2進数の0と10(10進法の0と2)は、2進SD数系でも0と10であるが、通常の2進数の1は、2進SD数系では1の他に(1,−1)という表現がある。この表現では、第2桁が1(10進法で2)で第1桁が−1であるので、1と等価である。このように数の表現に冗長性をもたせることにより、通常の加算機において演算速度を律速することの多い桁上げの連鎖を解消させることができる。
【0065】
2進SD数を用いた2つの1ビット2進数の加算の規則は以下のとおりである。すなわち、加えるべき数のi桁目の数字をAi ,Bi 、SumをSi 、CarryをCi とすれば、
Ci=1,Si=0, (Ai+Bi=2のとき)
Ci=1,Si=−1, (Ai+Bi=1、Ci−1≧0のとき)
Ci=0,Si=1, (Ai+Bi=1、Ci−1≦0のとき)
Ci=0,Si=0, (Ai+Bi=0のとき)
Ci=−1,Si=1, (Ai+Bi=−1、Ci−1≦0のとき)
Ci=0,Si=−1, (Ai+Bi=−1、Ci−1≧0のとき)
Ci=−1,Si=0, (Ai+Bi=−2のとき)
である。
【0066】
Ai +Bi =±1のときは、前桁からの桁上げの大きさによって場合分けが必要となる。Ci−1 =0は、場合分け両方に含まれているが、これはCi−1 =0の場合にはどちらの表現方法をとっても構わないことを意味している(状況に応じて設計者が選択できる)。上記式を、マトリックスの形に表したものを図15に示す。
このように複雑な論理関数ゆえ、MOSトランジスタを用いて構成することは極めて困難であり、電流モード回路を用いた構成法のみが議論されている。しかし、SD数系を用いたときのSum回路、Carry回路も、これまでに述べてきた加算機基本回路を用いて構成することができる。以下、前述のSum回路、Carry回路と区別するために、それぞれSD−Sum回路、SD−Carry回路と呼ぶことにする。
【0067】
はじめにSD−Carry回路について説明する。
図16は、本発明の第7の実施の形態である、多入力SETを用いたSD−Carry回路の入力部の単位回路(以下、入力単位回路と呼ぶ)を示す図であり、(a)は等価回路図、(b)は略記号を示す図である。この図において、図8と同一部分を同一符号をもって示し、適宜その説明を省略する。
図16に示すように、SD−Carry回路の入力単位回路210は、図8に示した加算機基本回路を用いて構成できる。ただし、図8に示した基本回路と比べると、入力ゲート115がシフトゲート218に置き換わっている。このシフトゲート218には、以下に説明する回路では、SHIFT電圧として常に正の電圧VSHIFT =e/2CSHIFT を印加しておく。ここに、CSHIFT はシフトゲート218のゲート容量である。TYPE=1の場合に、シフトゲート218への電圧印加のありなしで特性を比較したのが、図17である。
【0068】
また、SD−Carry回路の構成では、場合に応じて、タイプ制御ゲート116にTYPE=−1,1を印加することがある。タイプ制御ゲート116に−1と1を印加した場合の特性を比較したのが、図18である。これまでと同じように、VTYPE=e/6CTYPEとすると、±VTYPEで1/3周期シフトしている(シフトするSET112Bの特性は太い曲線で示されている)。
さらに、極性変更用ゲート117には、場合に応じてPOL=−1,0,1の3種類が入力される。ここでも前述同様、VPOL =2e/6CPOL としている。TYPE=1について比較したものを図19に、TYPE=−1について比較したものを図20に示す。両図には、入力ゲート115,115のそれぞれに信号A,Bを印加した場合に可能電流レベルが丸印で示されている。信号A,Bは−1,0,1の3値を取るので、2入力での取り得る範囲は、[−2,2]である。
【0069】
図19と図15を比較してみると、図19(TYPE=1)がCi−1 ≧0のときのSD−Carryの出力に対応していることがわかる。すなわち、入力単位回路210は、POL=1の場合、A+B=−2のときのみオンとなり、POL=0の場合、A+B=−1,0のときのみオンとなり、そしてPOL=−1の場合、A+B=1,2のときのみオンとなる。これは、符号を除けばCi−1 ≧0の場合の出力に対応している。同様に、TYPE=−1としておけば、符号を除いてCi−1 ≦0の場合のSD−Carryの出力に対応する。
【0070】
そこで、3種類の電源電圧を用意しておき、図21に示すように結線し、入力部を構成する。すなわち、図21(a)に示すように、TYPE=1とした3個の入力単位回路210のうち、POL=1とした入力単位回路210のソースドレイン電極114を電圧−Vddを印加する電源電圧端子224Aに接続し、POL=0とした入力単位回路210のソースドレイン電極114を接地端子224Bに接続し、POL=−1とした入力単位回路210のソースドレイン電極114を電圧Vddを印加する電源電圧端子224Cに接続し、さらにこれら3個の入力単位回路210のソースドレイン電極113を共通に接続して出力端子223Aとする。また、TYPE=−1とした3個の入力単位回路210についても、図21(b)に示すように同様に結線する。図21(a),(b)に示した入力部の出力端子223A,223Bのそれぞれから出力される3値信号を変数OUT1,OUT2で表す。
【0071】
これにより、図21(a)に示した入力部(TYPE=1)に関しては、A+B=−2のとき、POL=1の入力単位回路210がオンとなるので、−Vddすなわち−1が出力され、A+B=−1,0のとき、POL=0の入力単位回路210がオンとなるので0が出力され、A+B=1,2のとき、POL=−1の入力単位回路210がオンとなるので、Vddすなわち1が出力される。図21(a)に示した入力部(TYPE=−1)に関しても同様である。したがって、SD−CarryのCi−1 ≧0、Ci−1 ≦0の両方の出力が得られる。
なお、上記SD−Carry回路を構成するためには、mは6以上でなければならない。5以下であると、特性をシフトさせたときに互いに重なる部分が生じてしまうからである。
【0072】
(第8の実施の形態)
図21(a),(b)に示した2個のSD−Carryの入力部の出力は、前段の桁上げ信号Cによって選択されなければならないので、セレクタ回路が必要となる。このセレクタ回路も、図16に示した入力単位回路210と同様に、図8に示した加算機基本回路を用いて構成できる。図22は、本発明の第8の実施の形態である、多入力SETを用いたSD−Carry回路のセレクタ回路の一構成例を示すブロック図である。
このセレクタ回路は、2個の単位回路(以下、セレクタ単位回路と呼ぶ)220A,220Bから構成されている。このセレクタ単位回路220A,220Bは、図16に示した入力単位回路210の入力ゲート115,115を、前段の桁上げ信号Cが入力される入力ゲート115に置き換えたものである。この入力ゲート115は、2個の単位回路220A,220Bによって共有されている。
【0073】
セレクタ単位回路220Aについては、POL=−1,TYPE=1(SHIFT=1)とし、ソースドレイン電極114をパス入力端子234Aとし信号OUT1が入力されるものとする。また、セレクタ単位回路220Bについては、POL=0,TYPE=1(SHIFT=1)とし、ソースドレイン電極114をパス入力端子234Bとし信号OUT2が入力されるものとする。そして、2個のセレクタ単位回路220A,220Bはソースドレイン電極113を共有しており、これを出力端子233とする。
セレクタ単位回路220B,220Aのそれぞれの特性を図23(a),(b)に示す。信号Cが−1,0,1の3値を取るとして、信号Cを印加した場合に可能な電流レベルが丸印で示されている。図23(a)よりCi−1 ≦0のときOUT2が、図23(b)よりCi−1 >0のときにOUT1が出力されており、望ましいセレクタ回路となっていることがわかる。
【0074】
図24は、セレクタ回路の他の構成例を示すブロック図である。このセレクタ回路では、セレクタ単位回路220AについてPOL=0,TYPE=−1(SHIFT=1)とし、セレクタ単位回路220Bについては、POL=1,TYPE=−1(SHIFT=1)としている。セレクタ単位回路220B,220Aのそれぞれの特性を図25(a),(b)に示す。この場合には、Ci−1 <0のときOUT2が、Ci−1 ≧0のときにOUT1が出力される。
図22,図24に示した構成のどちらを用いてもSD−Carryのセレクタとして動作することは、既に述べたとおりである。
【0075】
(第9の実施の形態)
以上より、SD−Carry回路は図26に示すような構成となる。すなわち、図21(a)に示した入力部の出力端子223Aを、図22(又は図24)に示したセレクタ回路のパス入力端子234Aに接続し、図21(b)に示した入力部の出力端子223Bを、図22(又は図24)に示したセレクタ回路のパス入力端子234Bに接続することにより、SD−Carry回路を実現できる。入力信号レベルは一定であるので、回路中のすべての入力容量は等しいことが望ましい。また、タイプ制御ゲート116及び極性変更用制御ゲート117の入力電圧レベルをゲート入力信号に等しくしたい時には、CIN:CTYPE:CPOL =1:1:2としておけばよい。
【0076】
(第10の実施の形態)
図27は、本発明の第10の実施の形態である多入力SETを用いたSD−Sum回路を示す図である。
図15を見てわかるように、SD−Sum回路の出力は、2値信号A,Bの和が偶数のとき0、奇数のとき±1である。したがって、電源電圧として±Vdd,0の3種類を設け、SETのXOR回路で信号A,Bの和の偶奇を選択し、偶数の場合には電源電圧0に接続し、奇数の場合には、さらにセレクタ回路を用いて前段の桁上げ信号Cにより±1を選択して、それぞれ電源電圧±Vddに接続すればよい。
【0077】
この演算は、図5(a)と類似の回路構成で実現できる。ただし、図27(a)に示すように、3入力SET11Bのソースドレイン電極に接地端子224Bが接続され、2入力SET11Aのソースドレイン電極に、図22又は図24に示されたセレクタ回路の出力端子233に接続される。このセレクタ回路のパス入力端子234A,234BにはそれぞれVdd,−Vddが印加される。
【0078】
(第11の実施の形態)
図28は、本発明の第11の実施の形態である4ビットSD加算機のブロック図である。図28(a)における要素回路(SD−Carry回路及びSD−Sum回路)は、図28(b)に示した略記号で表記されている。
図28(a)に示す要素回路間の接続関係は、図14に示した加算機と同じであるが、それぞれの要素回路が3つの電源電圧端子224A〜224Cに接続されていることと、桁上げ連鎖がないことが異なっている。桁上げ連鎖がないので、図7,図14に示した加算機と異なり、ビット数を増やしても演算速度が低下せず、完全な並列加算が可能となる。
【0079】
なお、入力信号レベルは一定であるので、Sum回路(SD−S)中の主回路の4個の入力ゲート容量を除いて、回路中のすべての入力容量は等しいことが望ましい。Sum回路中の主回路の4個の入力ゲート容量は、他の入力容量の3倍であることが望ましい。
また、タイプ制御ゲート、極性変更用制御ゲートの入力電圧レベルをゲート入力信号に等しくしたいときには、CIN:CTYPE:CPOL =1:1:2としておけばよい。ここに、CINは、Sum回路(SD−S)の主回路の4個の入力ゲート容量以外のゲート容量を表す。
なお、図28において、増幅器AMPは、±Vddを±VINに増幅するものである。
【0080】
(補足)
以上では、説明の簡単化のために、電圧0Vが信号レベル0に対応するとして話を進めた。一般の演算回路でこれが必要条件でないことは明らかである。したがって、2値の信号レベルに対しては、2つの異なる電圧、3値の信号レベルには、3つの異なる電圧を準備しておけばよく、3値の場合、各電圧の差分も必ずしも等しくなくてよい。
【0081】
このことを勘案すると、例えば、図2に示した2入力SET11Aの動作に関しては、入力ゲート15,15への入力電圧は、0とVINの代わりに、2VINと3VINを用いても構わない。このようにしても、図7に示した加算機をまったく同じ構成で組めることは明らかである。同様にパス入力に関しても、接地端子を使用する必要はなく、相異なる所定の直流電圧源を必要な数だけ揃えればよい。なお、2電源電圧をVとVとすれば、他の回路へ信号を送るときに電圧変換用に使用する増幅器AMPには、Vを2VINに、Vを3VINに変換できるものを使用すればよい。また、図16(a)に示した加算機基本回路において、シフトゲート218には常に一定電圧を印加していたが、これは回路の信号レベル0を電圧0に合わせるためである。入力信号A,Bに用いる電圧を変更すれば、シフトゲート218は必要なくなる。
【0082】
SETの単電子島近傍に浮遊電荷が存在すると、SETの特性はこの電荷の影響を受け、あたかもゲート電極に電圧を印加したかのように特性がシフトしてしまう。このような状況を考慮にいれなければならないときには、これまで述べてきた回路において、タイプ制御ゲートをもたないSETにもあらかじめタイプ制御ゲートを特性補償用として取り付けておけばよい。そして、この補償用制御ゲートに浮遊電荷による特性シフトをキャンセルするだけの電圧を印加しておけばよい。そして、もともとタイプ制御ゲートを有しているSETでは、その制御ゲートを用いて、他方のSETに対して所望の量だけ特性をシフトさせ、回路を動作させればよい。
【0083】
これとは逆に、どの端子にも接続されていないフローティングゲート、又は導電体や半導体の島を形成し、これに適切な電荷を注入して所望の電位に充電し、タイプ制御ゲートの機能を果たすようにしてもよい。もちろん、SETの近くに電荷を有する粒子又はイオンを、イオン注入技術等を用いて打ち込んで、所望の電位に充電するようにしてもよい。この場合、タイプ制御ゲートを設けなくても、SETの特性をシフトさせることができる。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように単電子トランジスタを組み合わせることにより、加算動作に必要となるサム回路とキャリー回路を構成することができる。また、このサム回路とキャリー回路を組み合わせることにより、加算機を構成することができる。単電子トランジスタは消費電力が極めて小さいので、加算機及びその要素回路の大幅な小電力化を実現できる。また、単電子トランジスタは一素子あたりの素子面積が極めて小さいので、既存の集積回路の集積か限界をはるかに上回る集積化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である多入力SETを用いた加算機基本回路の等価回路図である。
【図2】図1に示した加算機基本回路が有する3入力SETの動作状態を示す図である。
【図3】図1に示した加算機基本回路から構成されるSum回路及びCarry回路の等価回路図である。
【図4】図1に示した加算機基本回路から構成される/Carry回路の等価回路図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態である多入力SETを用いたCarry回路の等価回路図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態である多入力SETを用いた/Carry回路の等価回路図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態である4ビットリップルキャリー加算機のブロック図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態である多入力SETを用いた加算機基本回路の等価回路図である。
【図9】1入力SETと2入力SETとを並列接続した回路の等価回路図である。
【図10】図9に示した並列回路の動作状態を示す図である。
【図11】図8に示した加算機基本回路の動作状態を示す図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態であるCarry回路のブロック図である。
【図13】図12に示したCarry回路に適合するSum回路の等価回路図である。
【図14】本発明の第6の実施の形態である4ビットリップルキャリー加算機のブロック図である。
【図15】2進SD数の加算規則を示す図である。
【図16】本発明の第7の実施の形態である、多入力SETを用いたSD−Carry回路の入力部の単位回路を示す図である。
【図17】図16に示した入力単位回路の特性図である。
【図18】図16に示した入力単位回路の特性図である。
【図19】図16に示した入力単位回路の特性図である。
【図20】図16に示した入力単位回路の特性図である。
【図21】本発明の第7の実施の形態である、多入力SETを用いたSD−Carry回路の入力部のブロック図である。
【図22】本発明の第8の実施の形態である、多入力SETを用いたSD−Carry回路のセレクタ回路の一構成例を示すブロック図である。
【図23】図22に示したセレクタ回路の動作状態を示す図である。
【図24】本発明の第8の実施の形態である、多入力SETを用いたSD−Carry回路のセレクタ回路の他の構成例を示すブロック図である。
【図25】図24に示したセレクタ回路の動作状態を示す図である。
【図26】本発明の第9の実施の形態である多入力SETを用いたSD−Carry回路のブロック図である。
【図27】本発明の第10の実施の形態である多入力SETを用いたSD−Sum回路を示す図である。
【図28】本発明の第11の実施の形態である4ビットSD加算機のブロック図である。
【図29】入力ゲートを1つだけもつSETの等価回路図である。
【図30】図29に示したSETの電流電圧特性図である。
【図31】入力ゲートを2個もつSETの等価回路及びその電流電圧特性図である。
【図32】図31に示したSETにおいて、入力ゲート容量を等しくしたときの等価回路及びその電流電圧特性図である。
【符号の説明】
11A,11B,21A,21B,111A,111B…単電子トランジスタ(SET)、12A,12B,22A,22B,112A,112B…単電子島、13,123,223A,223B,233…出力端子、14A,14B,234A,234B…パス入力端子、15,15,115〜115…入力ゲート、16,116…タイプ制御ゲート、20A,20B…付加回路、24A,224B…接地端子、24B,224A,224C…電源電圧端子、3N,13N(N=1,2,3,4)…1ビット加算ユニット、110,110A,110B…加算機基本回路、113,114…ソースドレイン電極、117…極性変更用制御ゲート、210…入力単位回路、218…シフトゲート、220A,220B…セレクタ単位回路、C ,CIN,CPOL ,C ,CTYPE…容量、I…電流、VIN,VTYPE…電圧。

Claims (21)

  1. 両側がトンネル容量により挟まれた単電子島と、この単電子島の両側に前記トンネル容量を介してそれぞれ接続された第1及び第2のソースドレイン電極と、前記単電子島に容量結合したN個(Nは1以上の整数)のゲート電極とをそれぞれ有する第1及び第2の単電子トランジスタと、
    前記第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性をシフトさせる第1の制御手段とを備え、
    前記第1の単電子トランジスタのN個のゲート電極と前記第2の単電子トランジスタのN個のゲート電極は、それぞれ共通に接続されてN個の入力ゲートをなし、
    前記第1及び第2の単電子トランジスタのそれぞれの第1のソースドレイン電極は、共通に接続されて出力端子をなし、
    前記第1及び第2の単電子トランジスタのそれぞれの第2のソースドレイン電極は、互いに独立な2個のパス入力端子をなすことを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  2. 両側がトンネル容量により挟まれた単電子島と、この単電子島の両側に前記トンネル容量を介してそれぞれ接続された第1及び第2のソースドレイン電極と、前記単電子島に容量結合したN個(Nは1以上の整数)のゲート電極とをそれぞれ有する第1及び第2の単電子トランジスタと、
    前記第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性をシフトさせる第1の制御手段とを備え、
    前記第1の単電子トランジスタのN個のゲート電極と前記第2の単電子トランジスタのN個のゲート電極は、それぞれ共通に接続されてN個の入力ゲートをなし、
    前記第1及び第2の単電子トランジスタのそれぞれの第1のソースドレイン電極が共通に接続されると共に、前記第1及び第2の単電子トランジスタのそれぞれの第2のソースドレイン電極が共通に接続されていることを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  3. 請求項1記載の単電子トランジスタを用いた演算回路において、
    前記入力ゲートの数は、2であり、これら2個の入力ゲートには、互いに独立な第1及び第2の2値信号がそれぞれ入力され、
    前記2個のパス入力端子には、第3の2値信号が相補の形で入力され、
    前記第1の制御手段は、前記第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/2周期シフトさせることを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  4. 請求項1記載の単電子トランジスタを用いた演算回路において、
    前記入力ゲートの数は、3であり、これら3個の入力ゲートには、互いに独立な2値信号がそれぞれ入力され、
    前記2個のパス入力端子には、互いに異なる直流電圧が印加され、
    前記第1の制御手段は、前記第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/2周期シフトさせることを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  5. 請求項1記載の単電子トランジスタを用いた演算回路において、
    前記入力ゲートの数は、2であり、これら2個の入力ゲートには、互いに独立な第1及び第2の2値信号がそれぞれ入力され、
    前記2個のパス入力端子の一方には、第3の2値信号が入力され、前記2個のパス入力端子の他方には、前記第1又は第2の2値信号が入力され、
    前記第1の制御手段は、前記第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/2周期シフトさせることを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  6. 請求項5記載の単電子トランジスタを用いた演算回路において、
    両側がトンネル容量により挟まれた単電子島と、この単電子島の両側に前記トンネル容量を介してそれぞれ接続された第3及び第4のソースドレイン電極と、前記単電子島に容量結合した1個のゲート電極とをそれぞれ有する第3及び第4の単電子トランジスタと、
    前記第4の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/2周期シフトさせる第2の制御手段とを更に備え、
    前記第3及び第4の単電子トランジスタのそれぞれのゲート電極には、前記第1又は第2の2値信号が入力され、
    前記第3及び第4の単電子トランジスタのそれぞれの第1のソースドレイン電極には、互いに異なる直流電圧が印加され、
    前記第3及び第4の単電子トランジスタのそれぞれの第2のソースドレイン電極は、前記パス入力端子の他方に共通に接続されている、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  7. 請求項2記載の単電子トランジスタを用いた演算回路を2個有し、
    一方の前記演算回路は、
    前記入力ゲートの数が、4であり、これらの入力ゲートの1つには、所定の直流電圧が印加され、
    前記第1の制御手段が、前記第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/m周期(mは4以上の整数)シフトさせ、
    前記第1及び第2の単電子トランジスタの第2のソースドレイン電極には、所定の直流電圧が印加され、
    他方の前記演算回路は、
    前記入力ゲートの数が、4であり、これらの入力ゲートの1つには、前記第1及び第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を前記一方の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性に対して2/m周期シフトさせる直流電圧が印加され、
    前記第1の制御手段が、前記第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/m周期シフトさせ、
    前記第1及び第2の単電子トランジスタの第2のソースドレイン電極には、前記一方の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタの第2のソースドレイン電極とは異なる直流電圧が印加され、
    さらに、
    前記2個の演算回路の残りの3つの入力ゲートは、それぞれ共通に接続されて、互いに独立な2値信号が入力され、
    前記2個の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタの第1のソースドレイン電極は、共通に接続されて出力端子をなすことを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  8. 請求項3記載の単電子トランジスタを用いた演算回路からなるサム回路1個と請求項5記載の単電子トランジスタを用いた演算回路からなるキャリー回路2個とを有し、前記サム回路の2個の入力ゲートと前記2個のキャリー回路のそれぞれ2個の入力ゲートとがそれぞれ共通に接続された1ビット加算ユニットを少なくとも2個有し、
    1つの前記1ビット加算ユニットに含まれる一方の前記キャリー回路の出力端子が、他の1つの前記1ビット加算ユニットに含まれる一方の前記キャリー回路の一方のパス入力端子及び前記サム回路の一方のパス入力端子に接続され、前記1つの1ビット加算ユニットに含まれる他方の前記キャリー回路の出力端子が、前記他の1つの1ビット加算ユニットに含まれる他方の前記キャリー回路の一方のパス入力端子及び前記サム回路の他方のパス入力端子に接続されていることを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  9. 請求項8記載の単電子トランジスタを用いた演算回路において、
    前記1つの1ビット加算ユニットに含まれる前記2個のキャリー回路のそれぞれ一方のパス入力端子には、前記第3の2値信号が相補の形で入力されることを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  10. 請求項8又は9記載の単電子トランジスタを用いた演算回路において、
    前記1ビット加算ユニットに含まれる前記サム回路は、その1ビット加算ユニットに含まれる前記2個のキャリー回路の間に配置されていることを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  11. 請求項4記載の単電子トランジスタを用いた演算回路からなるサム回路と請求項7記載の単電子トランジスタを用いた演算回路からなるキャリー回路とを1個ずつ有し、前記サム回路の3個の入力ゲートと前記キャリー回路の3個の入力ゲートとがそれぞれ共通に接続された1ビット加算ユニットを少なくとも2個有し、
    1つの前記1ビット加算ユニットに含まれる前記キャリー回路の出力端子が、他の1つの前記1ビット加算ユニットに含まれる前記サム回路及び前記キャリー回路に共通な前記入力ゲートの1つに接続されていることを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  12. 請求項11記載の単電子トランジスタを用いた演算回路において、
    互いに接続された前記出力端子と前記入力ゲートとの間に増幅器が介在していることを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  13. 請求項2記載の単電子トランジスタを用いた演算回路を3個有し、
    前記3個の演算回路の1つである第1の演算回路は、
    前記入力ゲートの数が、3であり、これらの入力ゲートの1つには、所定の直流電圧が印加され、
    前記第1の制御手段が、前記第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/m周期(mは6以上の整数)シフトさせ、
    前記第1及び第2の単電子トランジスタの第2のソースドレイン電極には、所定の直流電圧が印加され、
    前記演算回路の他の1つである第2の演算回路は、
    前記入力ゲートの数が、3であり、これらの入力ゲートの1つには、前記第1及び第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を前記第1の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性に対して2/m周期シフトさせる直流電圧が印加され、
    前記第1の制御手段が、前記第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/m周期シフトさせ、
    前記第1及び第2の単電子トランジスタの第2のソースドレイン電極には、前記第1の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタの第2のソースドレイン電極とは異なる直流電圧が印加され、
    前記演算回路の残りの1つである第3の演算回路は、
    前記入力ゲートの数が、3であり、これらの入力ゲートの1つには、前記第1及び第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を前記第1の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性に対して−2/m周期シフトさせる直流電圧が印加され、
    前記第1の制御手段が、前記第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/m周期シフトさせ、
    前記第1及び第2の単電子トランジスタの第2のソースドレイン電極には、前記第1及び第2の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタの第2のソースドレイン電極とは異なる直流電圧が印加され、
    さらに、
    前記第1〜第3の演算回路の残りの2つの入力ゲートは、それぞれ共通に接続されて、互いに独立な第1及び第2の3値信号が入力され、
    前記第1〜第3の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタの第1のソースドレイン電極は、共通に接続されて出力端子をなすことを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  14. 請求項2記載の単電子トランジスタを用いた演算回路を2個有し、
    一方の前記演算回路は、
    前記入力ゲートの数が、2であり、これらの入力ゲートの1つには、所定の直流電圧が印加され、
    前記第1の制御手段が、前記第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/m周期(mは6以上の整数)シフトさせ、
    他方の前記演算回路は、
    前記入力ゲートの数が、2であり、これらの入力ゲートの1つには、前記第1及び第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を前記一方の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性に対して2/m周期シフトさせる直流電圧が印加され、
    前記第1の制御手段が、前記第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/m周期シフトさせ、
    さらに、
    前記2個の演算回路の他の入力ゲートは、共通に接続されて第3の3値信号が入力され、
    前記2個の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタの第1のソースドレイン電極は、共通に接続されて出力端子をなし、
    前記2個の演算回路に含まれる第1及び第2の単電子トランジスタの第2のソースドレイン電極は、互いに独立な2個のパス入力端子をなすことを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  15. 請求項13記載の単電子トランジスタを用いた演算回路2個と、請求項14記載の単電子トランジスタを用いた演算回路1個とを有し、
    請求項13記載の単電子トランジスタを用いた演算回路のそれぞれの前記出力端子が、請求項14記載の単電子トランジスタを用いた演算回路の前記2個のパス入力端子に接続されていることを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  16. 請求項1記載の単電子トランジスタを用いた演算回路と、請求項14記載の単電子トランジスタを用いた演算回路とを1個ずつ有し、
    請求項14記載の単電子トランジスタを用いた演算回路の前記2個のパス入力端子には、互いに異なる第1及び第2の直流電圧がそれぞれ印加され、
    請求項1記載の単電子トランジスタを用いた演算回路は、
    前記入力ゲートの数が、2であり、これら2個の入力ゲートには、互いに独立な第1及び第2の3値信号がそれぞれ入力され、
    前記2個のパス入力端子の一方には、第3の直流電圧が印加され、前記2個のパス入力端子の他方には、請求項14記載の単電子トランジスタを用いた演算回路の出力端子が接続され、
    前記第1の制御手段は、前記第2の単電子トランジスタのゲート入力電圧特性を1/2周期シフトさせることを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  17. 請求項16記載の単電子トランジスタを用いた演算回路からなるサム回路と請求項15記載の単電子トランジスタを用いた演算回路からなるキャリー回路とを1個ずつ有する1ビット加算ユニットを少なくとも2個有し、
    1つの前記1ビット加算ユニットに含まれる前記キャリー回路の出力端子が、他の1つの前記1ビット加算ユニットに含まれる前記サム回路及び前記キャリー回路のそれぞれの入力ゲートに前記第3の3値信号を出力することを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  18. 請求項17記載の単電子トランジスタを用いた演算回路において、
    互いに接続された前記出力端子と前記入力ゲートとの間に増幅器が介在していることを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  19. 請求項13〜18何れか1項記載の単電子トランジスタを用いた演算回路において、
    前記第1及び第2の単電子トランジスタのそれぞれの単電子島に容量結合し、所定の直流電圧が印加されるシフトゲートを有することを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  20. 請求項1〜19何れか1項記載の単電子トランジスタを用いた演算回路において、
    前記第1の制御手段は、前記第2の単電子トランジスタの単電子島に容量結合し、所定の直流電圧が印加されるタイプ制御ゲートであることを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
  21. 請求項6記載の単電子トランジスタを用いた演算回路において、
    前記第2の制御手段は、前記第4の単電子トランジスタの単電子島に容量結合し、所定の直流電圧が印加されるタイプ制御ゲートであることを特徴とする、単電子トランジスタを用いた演算回路。
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