JP3634445B2 - 動物飼育用ケージの洗浄装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ケージ本体の内面、或いは外面等を洗浄する動物飼育用ケージの洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、実験動物用として飼育される犬、猿、猫等の中型動物を収容するための動物飼育用ケージは知られている。この種のものは、ケージ本体の底部と前面とに開口を有し、前面の開口には格子扉を、底部の開口には床網をそれぞれ有し、この床網は案内レールを通じて引出自在になっているのが一般的である。
【0003】
この種のものでは、一週間に一度程度、動物を別のケージに移したのちに、ケージ本体から床網を引出し、ケージ本体の内面、或いは外面等を洗浄する。この作業は、従来、すべて手作業で行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、動物の糞尿等による汚れはケージ本体の内面、特に案内レールの周囲に集中するため、手作業では、その部分の洗浄が困難である。
【0005】
また、動物が舐めるために、格子扉にも汚れは集中するが、格子扉の格子は丸棒であるので、その部分の洗浄もまた困難である。
【0006】
そもそも、手作業による洗浄では労力ばかりが多く、ケージ本体の汚れを十分に落とすことはできないし、洗浄に要する時間も多くかかるので、洗浄する台数が多くなればなるほど、効率が悪くなるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する問題点を解消し、手作業によることなく、自動的に効率よくケージ本体を洗浄することのできる動物飼育用ケージの洗浄装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の発明は、ケージ本体の底部に床網を支持する案内レールを設けた動物飼育用ケージの洗浄装置において、前記床網を引き出した後に、前記ケージ本体の内部に下方から前記案内レールと略同高まで進入する上下動自在の内部洗浄ノズルを備え、この内部洗浄ノズルが、水圧により回転し、洗浄水又は薬液を水平面内で360°方向に噴射して前記案内レールの周囲に吹き当てて前記案内レールの周囲を洗浄すると共に、洗浄水又は薬液を上方に噴射して前記ケージ本体の内面を洗浄することを特徴とするものである。
【0009】
第2の発明は、第1の発明に加えてケージ本体の外面を洗浄する外部洗浄ノズルを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
【作用】
第1の発明によれば、ケージ本体から床網を引出したのちに、ケージ本体を洗浄装置にセットする。その後は、ケージ本体の内部に内部洗浄ノズルが侵入し、しかるのち内部洗浄ノズルを通じて例えば薬液が案内レール及びケージ本体の内面に吹き付けられる。ついで例えば温水などにより仕上げ洗いを行なう。これによれば、案内レールの周囲やケージ本体の内面に付着した糞尿等の汚れは、短時間のうちにきわめて効果的に落とされる。最も汚れの多い部分は案内レールの周囲である。これによればその部分に集中的に薬液が吹き付けられるので、洗浄効果は高められる。
【0011】
第2の発明によれば、第1の発明による作用に加えて、外部洗浄ノズルによりケージ本体の外面が洗浄される。ケージ本体に格子扉が設けられていれば、格子扉の例えば丸棒状の格子の外側は外部洗浄ノズルによって洗浄され、格子の内側は内部洗浄ノズルによって洗浄される。
【0012】
【実施例】
以下、本発明による動物飼育用ケージの洗浄装置の一実施例を図面を参照して説明する。
【0013】
図1〜図3において、100は洗浄装置を示している。この洗浄装置100には、被洗浄体としての4台の動物飼育用ケージ1をセットするためのステージ101(図2)が設けられている。動物飼育用ケージ1の大きさは概略で縦0.7m×横0.9m×高さ0.8mであり、そこには実験動物用の犬、猿、猫等の中型動物が飼育のために収容される。
【0014】
動物飼育用ケージ1は、図4に示すように、アルミニウム製のケージ本体10を有し、このケージ本体10の前面と底部には開口があけられている。前面の開口には動物を出し入れするための格子扉3が設けられ、この格子扉3には、ステンレス製の丸棒からなる複数本の格子5が嵌め込まれている。また、ケージ本体10の底部の開口にはアルミニウム製(或いはステンレス製)の床網7が設けられ、この床網7は、ケージ本体10の底部に設けられた案内レール9に沿って引出自在に構成される。
【0015】
この洗浄装置100は、案内レール9に沿って床網7を引出した後のケージ本体10を洗浄するものである。
【0016】
図1を参照して、この洗浄装置100には、内部洗浄ノズル20、外部洗浄ノズル30、さらには仕上洗浄ノズル40が設けられる。
【0017】
各ノズル20,30,40への配管系統を簡単に説明すると、給水バルブ50には、仕上槽51と洗浄槽52と薬液槽53とがつながれる。各槽51,52,53にはポンプ54,55,56がつながれ、各ポンプ54,55,56には各ライン61,62,63を通じて各ノズル40,30,20がつながれる。しかして、各槽51,52,53内の各液は、各ポンプ54,55,56により圧送されて、各ノズル40,30,20から吹き出される。
【0018】
また、給蒸バルブ65には各ライン75,76,77を通じて各槽51,52,53がつながれ、スチームの導入により各槽51,52,53内の各液は加温される。さらに、給蒸バルブ65にはスチームヒータ66がつながれ、このスチームヒータ66は、洗浄装置100内の空気を循環させるためのダクト67内に収納される。洗浄装置100内には給気口68から空気が給気され、給気された空気は排気口69から排気される。
【0019】
内部洗浄ノズル20は、図3に示すように、H字状につながれたパイプ21の4か所に回転自在に取り付けられ、このH字状につながれたパイプ21には、図2に示すように、チーズ22を介してパイプ23がつながれ、このパイプ23は盲栓を兼ねたフランジ24,25を通じてパワーシリンダ26につながれる。従って、パワーシリンダ26の動作によりH字状につながれたパイプ21は上下動し、このパイプ21の上動により回転する内部洗浄ノズル20は、ステージ101にセットされたケージ本体10の内部に進入する。
【0020】
また、パイプ23にはチーズ27を介して洗浄水又は薬液を送り込むライン62又は63がつながれ、後述するシーケンスに従えば、内部洗浄ノズル20がケージ本体10の内部に進入した後に、ライン62又は63を通じてパイプ23に洗浄水又は薬液が送り込まれ、その洗浄水又は薬液が回転する内部洗浄ノズル20から噴射されて、ケージ本体10の内面、並びに案内レール9の周囲に吹き当てられる。
【0021】
動物飼育用ケージ1で動物を飼育すると、その糞尿等によりケージ本体10の内面、特に床網7、案内レール9等が汚れる。
【0022】
従って、回転式内部洗浄ノズル20をケージ本体10の内部に進入させた後、ケージ本体10の内面、並びに案内レール9の周囲に洗浄水又は薬液を吹き当てると、それらの部分はきわめて効率よく洗浄される。内部洗浄ノズル20は回転式であるので、吹き当てられる洗浄水等は隅々まで行き渡る。内部洗浄ノズル20には、図5(A)に示すように、膨脹した胴部の側面にスリット121,123が設けられ、その頂部にも図示を省略した小孔が設けられている。この内部洗浄ノズル20に洗浄水が供給されると、その水圧により、この内部洗浄ノズル20は軸回りに回転し、図5(B)に示すように、スリット121,123を通じて360°方向に洗浄水を散水するとともに、上方にも散水する。このときの洗浄水の供給水圧は2kg/cm2 程度である。
【0023】
この内部洗浄ノズル20では、ケージ本体10の内面を洗浄することはできても、ケージ本体10の外面を洗浄することはできない。そのために、外部洗浄ノズル30が設けられる。
【0024】
この外部洗浄ノズル30は、洗浄装置100内の両側及び中央に配置されたパイプ31に間隔をあけて取り付けられる。両側のパイプ31は図示を省略した駆動手段に連結されてケージ本体10内を上下動する。パイプ31にはライン62又は63を通じて洗浄水又は薬液が送り込まれ、この洗浄水又は薬液は外部洗浄ノズル30から噴射され、ケージ本体10の外面に吹き当てられる。
【0025】
動物を飼育する際に汚れる部分として、ケージ本体10の内面は当然のことながら、動物が舐めるために格子扉3の格子5も汚れる。この格子5は例えば丸棒等であるので、洗浄し難い部分の一つである。
【0026】
しかして、この実施例によれば、格子5の内側部分は上述した内部洗浄ノズル20が洗浄し、外側部分は外部洗浄ノズル30が洗浄するので、全周囲を効率よく洗浄することができる。
【0027】
以上のほかに洗浄装置100の内部には仕上洗浄ノズル40(図1)が設けられる。この仕上洗浄ノズル40はケージ本体10の天井、及び側面に洗浄水を吹き付けるもので、薬液を洗い流すものである。
【0028】
つぎに、作用を説明する。
【0029】
洗浄装置100のステージ101に、床網7を取り外してから、4台のケージ本体10をセットする。以下の2種類の工程を選択できる。
【0030】
第1の工程
(1) スチームスプレー、即ち、バルブ71,73をあけて仕上洗浄ノズル40を通じてスチームを噴射する(約20分)。
(2) 薬液循環消毒洗い、即ち、ポンプ56と、内部洗浄ノズル20及び外部洗浄ノズル30とを通じて薬液を噴射する(約3分)。
(3) 放置(薬液を浸透させるための時間であり約1分)
(4) 温水循環洗浄、即ち、ポンプ55と、内部洗浄ノズル20及び外部洗浄ノズル30とを通じて洗浄水を噴射する(約4分)。
(5) 温水仕上げ洗い、即ち、ポンプ54と、仕上洗浄ノズル40とを通じて仕上げ用の洗浄水を噴射する(約1分)。
(6) 蒸気除去、即ち、スチームヒータ66を働かせつつ、ダクト67を通じて洗浄装置100内の空気を循環させることによって、空気中の蒸気を除去する(約5分)。
(7) 給排気、即ち、給気口68から給気しつつ、排気口69から排気する(約1分)。以上、所要時間35分間である。
【0031】
第2の工程
(1) 温水循環洗浄、即ち、ポンプ55と、内部洗浄ノズル20及び外部洗浄ノズル30とを通じて洗浄水を噴射する(約4分)。
(2) 薬液循環消毒洗い、即ち、ポンプ56と、内部洗浄ノズル20及び外部洗浄ノズル30とを通じて薬液を噴射する(約3分)。
(3) 放置(薬液を浸透させるための時間であり約1分)。
(4) 温水仕上げ洗い、即ち、ポンプ54と、仕上洗浄ノズル40とを通じて仕上げ用の洗浄水を噴射する(約1分)
(5) スチームスプレー、即ち、バルブ71,73をあけて仕上洗浄ノズル40を通じてスチームを噴射する(約20分)。
(6) 蒸気除去、即ち、スチームヒータ66を働かせつつ、ダクト67を通じて洗浄装置100内の空気を循環させることによって、空気中の蒸気を除去する(約5分)。
(7) 給排気、即ち、給気口68から給気しつつ、排気口69から排気する(約1分)。以上、所要時間35分間である。
【0032】
いずれの工程であっても、スチームと、温水と、薬液とを効果的に使い分けているので、洗浄降下は格段に優れるものとなる。
【0033】
以上の洗浄装置100によれば、4台のケージ洗浄の所要時間が35分間であるので、動物のケージへの出し入れを5分間とした場合に、一日8時間での処理能力は48ケージとなる。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、第1の発明によれば、内部洗浄ノズルを通じて洗浄水又は薬液が吹き付けられるので、案内レールの周囲やケージ本体の内面に付着した糞尿等の汚れは、短時間のうちにきわめて効果的に落とされる。最も汚れの多い部分は案内レールの周囲である。これによればその部分に集中的に薬液が吹き付けられるので、洗浄効果は高められる。
【0035】
第2の発明によれば、さらに外部洗浄ノズルによりケージ本体の外面が洗浄される。ケージ本体に格子扉が設けられていれば、格子扉の例えば丸棒状の格子の外側は外部洗浄ノズルによって洗浄され、格子の内側は内部洗浄ノズルによって洗浄される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による洗浄装置の配管系統図である。
【図2】洗浄装置の正面図である。
【図3】洗浄装置の平面図である。
【図4】動物飼育用ケージの斜視図である。
【図5】内部洗浄ノズルを示す図であり、(A)は斜視図(B)は側面図である。
【符号の説明】
1 動物飼育用ケージ
3 格子扉
5 格子
7 床網
9 案内レール
10 ケージ本体
20 内部洗浄ノズル
30 外部洗浄ノズル
40 仕上洗浄ノズル
100 洗浄装置
Claims (2)
- ケージ本体の底部に床網を支持するための案内レールを備えた動物飼育用ケージの洗浄装置において、
前記床網を引き出した後に、前記ケージ本体の内部に下方から前記案内レールと略同高まで進入する上下動自在の内部洗浄ノズルを備え、
この内部洗浄ノズルが、水圧により回転し、洗浄水又は薬液を水平面内で360°方向に噴射して前記案内レールの周囲に吹き当てて前記案内レールの周囲を洗浄すると共に、洗浄水又は薬液を上方に噴射して前記ケージ本体の内面を洗浄することを特徴とする動物飼育用ケージの洗浄装置。 - 前記ケージ本体の外面を洗浄する外部洗浄ノズルを備えたことを特徴とする請求項1に記載の動物飼育用ケージの洗浄装置。
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JP14392095A JP3634445B2 (ja) | 1995-05-18 | 1995-05-18 | 動物飼育用ケージの洗浄装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP14392095A JP3634445B2 (ja) | 1995-05-18 | 1995-05-18 | 動物飼育用ケージの洗浄装置 |
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JP14392095A Expired - Fee Related JP3634445B2 (ja) | 1995-05-18 | 1995-05-18 | 動物飼育用ケージの洗浄装置 |
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