JP3633742B2 - 植物栽培装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物栽培装置に関し、特に、栽培ユニットを用いた植物の栽培や、室内装飾用に用いる植物栽培装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、植木鉢等を用いて植物を栽培することが行われており、植物を植木鉢に植えたままで、室内外装飾用として用いられる場合もある。また、植木鉢に樹木や花等を植えたものは、その植木鉢を装飾に適したもので構成し、前記植木鉢を皿状の水受けに載せて給水等に対処できるようにする。また、前記イベント会場やオフィス等で、装飾用に植物を配置する場合には、鉢植えの花や樹木を単独で配置する場合や、多数個の鉢植えを所定の配列目的に沿って並べて配置することにより、装飾や空間の仕切り等の目的に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の鉢植えの植物を装飾に使用する場合には、定期的に水や栄養成分を供給することが必要であり、多数個の植木鉢を管理することは、比較的面倒なことである。特に、多数種類の花や樹木の鉢植えを配置している場合には、それぞれの鉢での水や栄養成分の要求が異なるものであるために、給水等の量と時期が一定しないという問題がある。また、鉢植えの植物の場合には、畑や地面に直接植えた植物とは異なり、根に十分な水分と空気とが供給されないために、根の活力が十分に発揮されずに、地上に出ている葉や花の部分が、十分にその美しさを現すことができないということもある。
【0004】
前述したような鉢植えの植物等を管理する場合に、特に、鉢を置く皿状の容器等の支持部材に溜まった水にごみ等が混入して腐敗臭を発したり、栽培土から異臭が発生したりする場合があり、室内で植物を栽培する際の問題の1つになっている。また、前述したような鉢植えの植物は、室内装飾に用いることの他に、道路に沿って並べたり、公園等の広場の区画にも利用されているが、屋外の装飾等に鉢植えを用いる場合には、土が乾燥しないように常時水を散布したりする等、その管理に多くの人手を要するという問題もある。
【0005】
本発明は、前述したような鉢植えの植物の管理の問題を解消するもので、水分と栄養成分および、根に対する空気の供給を容易に行い得るようにして、植物の成育状態を良好に管理可能な植物栽培装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明は、植物を栽培する培養土を収容する内側容器としての栽培容器と、前記栽培容器を外側容器内部に収容する状態に組み合わせて、2つの容器の合わせ部分にはシール部材を設け、前記2つの容器間では、栽培容器の下部と側面とに隙間を持たせて、1つの栽培ユニットとして構成してなる植物栽培装置に関する。
請求項1の発明は、前記栽培ユニットにおいては、前記栽培容器の底部に設けた底孔と、外側容器の下方に設けて、栽培溶液を供給するための給水孔と、前記給水孔よりも上方で、栽培容器の底板よりも高い位置に設けた排水孔と、前記外側容器の給水孔よりも低い位置で、前記栽培容器の底部の下部に配置する気泡発生部材に向けて空気を供給するための空気供給手段と、前記外側容器の上部の排水孔の位置よりも高い位置に設ける空気排出口と、をそれぞれ設け、
前記栽培容器の下部を栽培養液に常時浸漬する状態で、気泡発生部材から供給される気泡が前記栽培溶液を攪拌するようにして、植物の栽培を行うことを特徴とする。
請求項2の発明は、任意の階段状に構成した載置場所に対して、植物を植える栽培ユニットを各段に並べて配置して植物栽培装置を構成し、
上部の栽培ユニッに対応させて給水タンクを配置し、前記給水タンクからの給水パイプと、各栽培ユニットの間を接続する給水パイプを用いて、溶液成分を順次下部の栽培ユニットに対して供給させるように配置し、
最下部の栽培ユニットから溢れ出した溶液成分は排水タンクに貯留し、ポンプにより給水タンクに向けて戻され、消費された分を補充しながら給水タンクから常時または随時供給されるよう構成した給水経路と、
前記植物栽培装置の下段の栽培ユニットに対して給気パイプを用いて給気し、前記下部のユニットの空気排出口から、その上段の栽培ユニットに向けて給気するように構成した給気系統と、を設けて、階段状に配置した栽培ユニットに対して1つの給水系と給気系とを配置して構成することを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、多数の栽培ユニットを水平に配置して栽培装置を構成するに際して、栽培溶液を供給するための給水装置は、栽培ユニッに収容される溶液成分の高さに対して、溶液成分を供給するための落差を得るために必要とされる高さに配置される給水タンクから、給水パイプを一方の端部の栽培ユニットに接続し、前記端部の栽培ユニットから、順次隣接する栽培ユニッに向けて供給され、他端部の栽培ユニットから排水タンクに向けて排出されるよう構成し、
給気系においては、前記栽培溶液を供給する系統の最下流部の栽培ユニットに給気源を接続し、隣接する栽培ユニットの間を接続する給気パイプを通して、端部の栽培ユニットに向けて空気の流通を順次行わせるように構成したことを特徴とする。
請求項4の発明は、複数の栽培ユニットを組み合わせて構成する植物栽培装置において、任意の数の栽培ユニットをまとめて1つの栽培ユニットのグループとして構成し、
前記各々の栽培ユニットのグループに対して、栽培溶液と空気を供給する系統を配置することを特徴とする。
【0008】
そして、前述したように、外側容器に対して栽培容器を組み合わせてユニットを構成することにより、植物を植えた栽培容器を交換することによって、植物の交換を容易に行うことが可能であり、前記ユニットを構成する各容器を一定の形状のものとして構成する場合には、異なる種類の植物や花の時期を選択して飾ることができる。また、本発明においては、多数のユニットを接続して、1つの給排水系統と1つの給気系統とを配置することによって、植物の管理を容易に行うことができ、多数のユニットを設けた場合にも、その維持管理を容易に行うことができる。
【0009】
本発明においては、栽培土壌に対して、植物の成育に必要とされる栄養成分を任意に配合することができるので、長期間の植物の陳列や成育に対しても、途中で肥料成分等を供給する手間を省くことができる。さらに、栽培養液には、植物の根を活性化させるための栄養成分を混合して使用するのであり、植物の成育に必要とされる微生物の増殖を活発にする成分を混入することにより、植物の成育に寄与させることが可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図示される例にしたがって、本発明の植物栽培装置を説明する。図1に示す例は、本発明の栽培ユニット1の構成を示すもので、花や観葉植物等の植物Pを栽培する栽培容器2は、外側容器10の内部に上から挿入する状態で配置されて、外側容器10の上部分に対してフランジ3が係止される状態で支持される。そして、栽培容器2に植え込まれた植物Pは、外側容器10を介して供給される空気と溶液成分Wにより成育される。前記栽培容器2には培養土Aを収容して植物Pを栽培するが、前記栽培容器2の底部分には多数の小さい孔5……を設けて、植物の根が底孔から下方に向けて露出可能に構成している。また、前記栽培容器2と外側容器10との接続部では、空気が漏れ出すことを防止するために、シール部材4を配置しており、空気供給系から排出される空気は、外側容器の上部に設けたエアー排出口15から排出される。
【0011】
前記栽培容器2を収容する外側容器10は、下部に水抜き孔16を設け、栽培容器2の底部分下部の側部に給水孔12を配置して、給水を下部から受けるように構成しており、排水孔13を給水孔よりも高い位置に配置することにより、外側容器の下部に常時一定量の溶液成分が溜まる状態に構成し、栽培容器2の底部分が一定の深さHの水中に常時おかれるようにしている。また、外側容器の底部には気泡発生部材17を配置して、空気用孔14に接続し、図示を省略した空気供給系からの空気を、気泡発生部材17から気泡として噴出させ、溶液成分に酸素を混入させるとともに、水中に生きている好気性の有効微生物の増殖を活発にさせ、植物の根の活性化を図って植物の成育状態を良好に維持させる。
【0012】
前記気泡発生部材から噴出される空気は、栽培容器2の底孔5から栽培土Aを通って空中に排出されるが、その栽培容器の下部から栽培土を通って排出される空気により、植物の根に多量の空気を供給することができるようにする。また、前記空気は気泡状に噴出されるものであるから、大量の水分を含むものとして、栽培土に対して水分を供給する作用をも行うことになる。
【0013】
前記栽培容器2に収容する栽培土Aとしては、普通の植物の栽培に用いる黒土や堆肥成分等と混合した栽培用の土等を用いることが可能であるが、その他に、植物の根の成育を良好にする成分を混合した土を用いると、より効果を発揮できる。前記栽培容器に収容する栽培土には、土に対して活性炭、ピートモス等のような有機質材料と、パーライト、ゼオライト等のような無機質材料、サンゴやカキ等の殻を微粉砕した石灰質成分、および、磁性成分の微粉末とを任意の比率で混合して、栽培用の土を作ることができる。さらに、前記栽培用の土には、完熟堆肥を任意の比率で混入したり、骨粉や微量ミネラル成分を含む他の農業用の有機肥料成分等を混入することによって、植物の根の成育環境が良好になるようにする。
【0014】
前記外側容器10の底部分から栽培容器2に収容する土に水分を供給する溶液成分Wとしては、地下水や河川から得た水、水道水を使用することも可能であるが、それ等の水を磁界を通して処理した水、または、イオン水として加工したものを用いると良い。また、前述したようにして加工した水に、核酸、多糖類、腐食酸、有機酸類、キチン質等を任意の比率で混入し、植物の成育に有効に作用する微生物や、放線菌の増殖を活発化させるような性質を増加させたものを使用することが可能である。さらに、前記溶液成分に対して過酸化水素を添加したものを使用すると、水中の溶存酸素を増加させて植物の根の増殖を図り、地上に出ている葉や花の細胞の活性化を促進させることができる。
【0015】
前記外側容器の底部に配置する気泡発生部材17としては、例えば、スポンジ状の部材を外側容器の底部に敷き詰めて、その下部に開口を設けた給気管を配置し、前記給気管から吹き出される空気を、スポンジの中を通して気泡状にして噴出させることができる。また、その他に、観賞魚等の水槽等に用いられている気泡発生部材を用いることも可能であり、その他に、任意の空気供給手段を設けることができる。そして、前記有効成分を大量に含む溶液成分からの栄養成分と酸素、および、外側容器の底部に収容されている溶液成分から噴出される空気により、植物の成育に必要とされる養分等を十分に供給できる。さらに、溶液成分を循環させる装置を使用して、栽培容器に植えた植物の成育環境を良好に維持させる場合には、植物の管理の手間を省くことが可能であり、溶液や土中に有害微生物の増殖を阻止して、腐敗臭等が発生することを防止できる。
【0016】
図2に示す例は、前記栽培ユニット1を雛壇状に配置して栽培装置20を構成する場合を示しているもので、任意の階段状の載置場所に対して、植物を植えた栽培ユニット1、1a……を階段状に配置している。本実施例では、図1に示した外側容器10に植物を植えた栽培容器2をそれぞれ組み合わせているもので、上部の栽培ユニット1に対応させて給水タンク21を配置し、前記給水タンク21からの給水パイプ24と、各栽培ユニットの間を接続する給水パイプ24a……を用いて、溶液成分を順次下部の栽培ユニットに対して供給させるように、給水経路を構成している。前記給水経路においては、最上部の栽培ユニット1に供給された溶液成分の水位が排水孔の位置まで上昇すると、給水パイプ24aを通って次の栽培ユニット1aに供給される状態で、上の栽培ユニットから下部の栽培ユニットに向けて順次溶液成分の供給の動作が行われ、最下部の栽培ユニット1cから溢れ出した溶液成分は排水タンク22に貯留されてから、ポンプ23により給水タンク21に向けて戻され、消費された分を補充しながら給水タンクから常時または随時供給される。
【0017】
前記栽培装置20における給気系統においては、エアーポンプ25から給気パイプ26を通り下部の栽培ユニット1cに向けて供給される空気は、気泡発生部材17cから気泡状に噴出されて溶液成分に混入されるが、その空気の泡の一部は栽培容器の底部の孔を通り、栽培土の隙間を通過しながら、空気と水分とを土に供給し、栽培容器の上面から空中に放出される。また、前記溶液成分に吹き込まれた他の大部分の空気は、外側容器と栽培容器の間の空間部に溜まる状態となり、その空間部での空気の圧力が上昇すると、エアー排出口から給気パイプ26cを通って、栽培ユニット1bの気泡発生部材17bから噴出される。さらに、前記栽培ユニット1bから排出される空気は、栽培ユニット1a、1を順次通過して栽培ユニット1のエアー排出口から空中に放出される。なお、前記給気経路の最終部の栽培ユニット1に設けるエアー排出口には排気抵抗を付与する手段を設けて、外側容器と栽培容器により区画される空間部に対して、一定の圧力を維持させるようにすることも可能であり、栽培ユニット1の栽培容器に収容した栽培土に対して、空気の供給量を増大させるようにする。
【0018】
図3に示す例は、多数の栽培ユニットを水平に配置して、栽培装置20aを構成する場合を示しているもので、各栽培ユニットは前記図1、2の場合と同様に構成される。この実施例において、給水タンク21は栽培ユニット1に収容される溶液成分の高さに対して、溶液成分の供給の落差を得るために必要とされる高さに配置され、給水パイプ24を介して栽培ユニット1に供給されて、その栽培ユニットから給水パイプ24aを介して順次隣接する栽培ユニット1a……に向けて供給され、端部の栽培ユニット1cからは排水タンク22に向けて排出される。また、給気系では、エアーポンプ25から供給去れる空気を、栽培ユニット1cで気泡発生部材17cから排出し、その栽培ユニット1cの内部空間に溜まった空気を、給気パイプ26cを介して栽培ユニット1bに供給し、気泡発生部材17bから噴出させるようにして、隣接する栽培ユニットの間で順次空気の流通を行わせるようにする。
【0019】
したがって、前記図2、3に示される栽培装置においては、溶液成分と空気の供給装置は、多数の栽培ユニットを配置する場合でも、1つづつの系統を配置するのみで良く、各栽培ユニットの間では給水パイプと給気パイプとを介して流れるようにする。また、前記図2のように、段差を持たせて栽培ユニットを配置し、各栽培ユニットの配置段には横並びに複数の栽培ユニットを配置する場合には、前記図3の栽培装置20aを、図2の栽培装置の各段に配置して構成することもできる。そして、上下方向と横方向に多数の栽培ユニットを配置して、栽培装置を構成する場合には、1つづつの溶液成分と空気供給系統とを配置して、全部の栽培ユニットに対して給水パイプと給気パイプとを直列状に接続することができる、その他に、任意の個数の栽培ユニットを1つのグループとして構成し、各栽培ユニットのグループに対して、各々1組ずつの溶液成分と空気の供給系統を配置することも可能である。
【0020】
【実施例】
図4に示す例は、栽培ユニット30の構造を示すもので、前記栽培ユニット30は図1の栽培ユニット1とは若干異なるものとして構成し、溶液成分は複数の栽培ユニットを接続した状態で1つの給排水系を介して供給するが、給気系では、各栽培ユニットに配置する気泡発生部材に対して、エアーポンプから直接給気する装置として構成している。つまり、栽培容器2には底部の孔5の他に、側部にも孔6……を多数設けて、植物Pの根を栽培容器の下部と側部に突出可能にして、根が空気と溶液成分とに触れ易いようにして保持する。また、外側容器10には給水孔12と排水孔13とを配置し、低い位置に設けた給水孔12から供給される溶液成分が、外側容器10の底部に一定の高さで溜まる状態で、高い位置に配置した排水孔13から排出されるようにし、排水孔13に隣接する栽培ユニットに対して溶液成分を供給させるようにしている。
【0021】
前記外側容器10の底部に配置する気泡発生部材19は、観賞魚の水槽等に使用する気泡発生部材をそのまま用いることができるもので、他に、前記図1に示したような任意の構成の気泡発生部材を配置することができる。つまり、前記気泡発生部材19に対しては、エアーポンプに接続するパイプ18を直接接続し、任意の量の空気を栽培ユニットの気泡発生部材19から溶液成分の中に向けて噴出させ得るようにする。前記構成に加えて、外側容器10には任意の高さの部分に、エアー排出口15を設けておき、外側容器と栽培容器との間の空間に溜まった空気を排出させる経路を構成することも可能であり、前記エアー排出口15を通してエアーパイプ18を配置することも可能である。したがって、前記栽培ユニット30においては、栽培容器の底部が任意の設定された深さまで溶液成分の中に入り込むようにして、栽培容器の底部から栽培土に対して水分を供給できるようにするとともに、溶液成分に対しては任意のタイミングで空気を供給し、溶液成分を通った空気は栽培容器の底部と側面に設けた孔から、栽培土を通って空中に排出されるようにする。さらに、栽培容器と外側容器の間の空間に溜まった過剰な空気は、エアー排出口15から排出させるようにすることもできる。
【0022】
前記図4に示すような栽培ユニット30を組み合わせて栽培装置を構成する例を図5、6に示しているが、図5に示す例では、前記図2の場合と同様な階段状の栽培装置20bを構成する場合を示している。前記栽培装置20bにおいて、段差を違えて配列する栽培ユニット30、30a……に対して、上部の栽培ユニット30に溶液成分を供給する給水タンク21と、下部の栽培ユニット30cからの排水を貯留する排水タンク22とを配置し、2つのタンクの間にポンプ23と給水パイプとを接続している。また、隣接させて配置する栽培ユニットの間には、給水パイプ24a、24b……をそれぞれ配置して、上部の栽培ユニットから下部の栽培ユニットに向けて溶液成分を流通させることにより、給排水系の構成を簡素化できるようにしている。
【0023】
前記栽培装置において、給気系としては1つのエアーポンプ25からの給気パイプ26に対して多数の分岐パイプ27……を配置して、各々の栽培ユニットに設けた気泡発生部材19……に接続し、各気泡発生部材から空気の泡を溶液成分に向けて排出させるようにしている。また、前記気泡発生部材19……から排出される空気は、栽培容器に収容される栽培土に任意の量の水分の多い空気を通過させて、栽培土に大量の酸素を供給するとともに、栽培土内で繁茂した根と、栽培容器の孔から外側容器内に向けて露出している植物の根に対して大量の酸素を供給できるようにする。
【0024】
図6に示す例は、前記図3に示した例と同様に、栽培ユニット30……を水平状態で多数配列して栽培装置20cを構成する場合を示しているもので、給排水系としては、図3の場合と同様に給水タンク21と排水タンク22との間に、各栽培ユニットを接続する給水パイプを配置し、ポンプ23による給水を行い得るようにする。また、給気系では、1つのエアーポンプ25からの給気を、各栽培ユニットに配置する気泡発生部材19……から噴出させて、前記図5の例と同様に、栽培土の根に大量の空気を供給できるようにしている。さらに、本発明の各実施例に示される給水および給気系においては、管路の任意の位置にバルブを配置し、栽培ユニットに対する水と空気の供給の制御を行うことの他に、ポンプに向けて溶液成分等が逆流しないように手段を設けることができる。
【0025】
前記図6に示すように、多数の栽培ユニットを水平に並べた状態で栽培装置30cを構成する場合には、そのような栽培装置を図5に示すように多段に配置して、上下および横方向に多数の栽培ユニットを配置した栽培装置として構成することが可能である。また、前記図6の例に示すように、複数個の栽培ユニットを1つのユニットケース40に収容して、栽培ユニットを露出させずに、植物のみを露出させた状態で、植物によるスペースの仕切りや、装飾の手段として用いることができる。そして、前述したようにしてユニットケース40を用いて栽培装置を構成することにより、栽培ユニットを露出させずに植物のみを露出させた状態で、栽培ユニットの配置場所での美観を向上させて、植物による装飾や間仕切り等を構成することが可能になる。
【0026】
前記ユニットケース40としては、図7に示すような栽培ユニットを支持するための上部部材41を用いて、栽培ユニットの外側容器を保持させる状態で、図8、9に示すような下部ケース部材と組み合わせて構成することが可能である。前記図7に示す上部部材41においては、栽培ユニットの外側容器を支持するために所定の形状の開口42……を設けておき、その両側には、係合部材43、43aを配置している。また、前記上部部材41と組み合わせて使用する下部ケース部材としては、図8に示すように、略U字状の断面の下部ケース部材45を用いることができるもので、前記下部ケース部材45においては、2つの部材をヒンジにより接続して、開閉部材47を開くことができるようにする。さらに、前記下部ケース部材の両側の上端部には、上部部材41の係合部材に組み合わせる被係止部材48、49をそれぞれ配置し、それ等の係合部を組み合わせることによって、上部部材と下部ケース部材とを一体化させ、栽培ユニットの上部以外を露出させないような栽培装置を構成できるようにする。前記構成に加えて、外側容器を上部部材に支持させるために、外側容器の上部にはフランジ部材11をリング状に突出させて設け、上部部材に設けた開口42に外側容器のフランジ部材を係止させることにより、外側容器の保持作用を行い得るようにする。
【0027】
また、図9に示すユニットケース50においては、前記上部部材41と組み合わせることができるように、上部に被係止部材52、53を一体に設け、パイプ状の部材の上部を切断除去した形状の下部ケース部材51として構成している。そして、下部ケース部材51に栽培容器の下部を収容することにより、栽培ユニット1または栽培ユニット30を多数配置したスペースの仕切り等においても、植物のみを露出させたものとして構成することが可能になる。なお、前記栽培ユニットを多数並べた状態でユニットケースを構成する場合には、上部部材に外側容器を固定配置しておき、各外側容器に対して給気系と給排水系のパイプをそれぞれ接続してから下部ケース部材と組み合わせて、前記外側容器の下部とパイプ等が露出されないようにする。したがって、前記ユニットケースに配置された外側容器に対して、植物を植え込んだ栽培容器を装着し、植物の交換等を行う際には、栽培容器のみを交換することにより、新しい植物を陳列することができるようにする。
【0028】
前記植物の交換を行う際には、栽培容器に植え込んだままの植物を容易に交換できるようにするものであるが、例えば、栽培容器に種を蒔いたものを温室で管理し、花が咲く直前にユニットケースの外側容器に入れて飾る等の管理を行うことができる。また、観葉植物の場合には、温室で成育の管理を行いながら、陳列している植物と一定の期間毎に交換することができ、ユニットケースには常時新鮮な葉物を陳列することができるようにする。さらに、栽培容器の栽培土に種子の種を撒いた状態で、屋外に配置した栽培ユニットの外側容器に装着し、溶液成分と空気とをそれぞれ供給しながら管理する場合には、室内や家庭のベランダで野菜や花の栽培を行う装置を構成することができる。そして、前記ユニットケースを用いた栽培装置では、給排水系と給気系の管理を容易に行い得て、排水や排気から悪臭が発生しない栽培装置を構成できる。
【0029】
なお、前述したような本発明の装置においては、栽培ユニットの外側容器と栽培容器とを、任意の材料を用いて構成することが可能であり、植物の大きさ等に対応させて構成することが可能である。また、外側容器に配置した栽培容器に対して、直接植物を植え込むことができるが、植物を植えた栽培容器を外側容器に装着して、植物の状態に応じて、植物を植え込んだ栽培容器を随時交換することもできる。さらに、外側容器と栽培容器の接続部では、排気が直接外部に漏れ出すことを防止するために、任意のシール部材を配置することが可能である。
【0030】
【発明の効果】
そして、本発明においては、外側容器に対して栽培容器を組み合わせてユニットを構成することにより、植物を植えた栽培容器を交換することによって、植物の交換を容易に行うことが可能であり、前記ユニットを構成する各容器を一定の形状のものとして構成する場合には、異なる種類の植物や花の時期を選択して飾ることができる。また、本発明においては、多数のユニットを接続して、1つの給排水系と1つの給気系統とを配置することによって、植物の管理を容易に行うことができ、多数のユニットを設けた場合にも、その維持管理を容易に行うことができる。
【0031】
本発明においては、栽培土壌に対して、植物の成育に必要とされる栄養成分を任意に配合することができるので、長期間の植物の陳列や成育に対しても、途中で肥料成分等を供給する手間を省くことができる。さらに、栽培養液には、植物の根を活性化させるための栄養成分を混合して使用するのであり、植物の成育に必要とされる微生物の増殖を活発にする成分を混入することにより、植物の成育に寄与させることが可能になる。そして、栽培溶液を常時循環させるために、溶液が腐敗したりすることがなく、また、栽培土に対して常時大量の空気を通すことにより、嫌気性の微生物の増殖を防止し、好気性の植物の成長に寄与する微生物の増殖を活発にするために、栽培装置から悪臭が発生ることがなく、栽培環境を良好に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の栽培ユニットの構成を示す説明図である。
【図2】栽培ユニットを配置して構成する栽培装置の説明図である。
【図3】図2と異なる栽培装置の説明図である。
【図4】図1とは別の栽培ユニットの構成の説明図である。
【図5】図4の栽培ユニットにより構成する栽培装置の説明図である。
【図6】図4の栽培ユニットにより構成する栽培装置の別の例の説明図である。
【図7】栽培ユニットを支持させる上部部材の説明図である。
【図8】本発明のユニットケースの構成の説明図である。
【図9】ユニットケースの別の実施例の説明図である。
【符号の説明】
1 栽培ユニット、2 栽培容器、 4 シール部材、
10 外側容器、 12 給水孔、 13 排水孔、
14 空気用孔、 15 エアー排出口、 16 水抜き孔、
17・19 気泡発生部材、 20・30 栽培装置、
21 給水タンク、 22 排水タンク、 23 ポンプ、
24 給水パイプ、 25 エアーポンプ、
26、27 エアーパイプ、 40・50 ユニットケース、
41 上部部材、 45・51 下部ケース部材。

Claims (4)

  1. 植物を栽培する培養土を収容する内側容器としての栽培容器と、前記栽培容器を外側容器内部に収容する状態に組み合わせて、2つの容器の合わせ部分にはシール部材を設け、 前記2つの容器間では、栽培容器の下部と側面とに隙間を持たせて、1つの栽培ユニットとして構成し、
    前記栽培ユニットにおいては、
    前記栽培容器の底部に設けた底孔と、
    外側容器の下方に設けて、栽培溶液を供給するための給水孔と、
    前記給水孔よりも上方で、栽培容器の底板よりも高い位置に設けた排水孔と、
    前記外側容器の給水孔よりも低い位置で、前記栽培容器の底部の下部に配置する気泡発生部材に向けて空気を供給するための空気供給手段と、
    前記外側容器の上部の排水孔の位置よりも高い位置に設ける空気排出口と、をそれぞれ設け、
    前記栽培容器の下部を栽培養液に常時浸漬する状態で、気泡発生部材から供給される気泡が前記栽培溶液を攪拌するようにして、植物の栽培を行うことを特徴とする植物栽培装置。
  2. 任意の階段状に構成した載置場所に対して、植物を植える栽培ユニットを各段に並べて配置して植物栽培装置を構成し、
    上部の栽培ユニッに対応させて給水タンクを配置し、前記給水タンクからの給水パイプと、各栽培ユニットの間を接続する給水パイプを用いて、溶液成分を順次下部の栽培ユニットに対して供給させるように配置し、
    最下部の栽培ユニットから溢れ出した溶液成分は排水タンクに貯留し、ポンプにより給水タンクに向けて戻され、消費された分を補充しながら給水タンクから常時または随時供給されるよう構成した給水経路と、
    前記植物栽培装置の下段の栽培ユニットに対して給気パイプを用いて給気し、前記下部のユニットの空気排出口から、その上段の栽培ユニットに向けて給気するように構成した給気系統と、を設けて、
    階段状に配置した栽培ユニットに対して1つの給水系と給気系とを配置して構成することを特徴とする請求項1に記載の植物栽培装置。
  3. 多数の栽培ユニットを水平に配置して栽培装置を構成するに際して、
    栽培溶液を供給するための給水装置は、栽培ユニッに収容される溶液成分の高さに対して、溶液成分を供給するための落差を得るために必要とされる高さに配置される給水タンクから、給水パイプを一方の端部の栽培ユニットに接続し、前記端部の栽培ユニットから、順次隣接する栽培ユニッに向けて供給され、他端部の栽培ユニットから排水タンクに向けて排出されるよう構成し、
    給気系においては、前記栽培溶液を供給する系統の最下流部の栽培ユニットに給気源を接続し、隣接する栽培ユニットの間を接続する給気パイプを通して、端部の栽培ユニットに向けて空気の流通を順次行わせるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の植物栽培装置。
  4. 複数の栽培ユニットを組み合わせて構成する植物栽培装置において、
    任意の数の栽培ユニットをまとめて1つの栽培ユニットのグループとして構成し、
    前記各々の栽培ユニットのグループに対して、栽培溶液と空気を供給する系統を配置することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の植物栽培装置。
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