JP3633741B2 - 研磨材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属、レンズ、半導体、液晶基板やその他の工作物の研削、研磨、切断等に使用される研磨材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の研磨材は、研削、研磨、切断等のための粒状、粉末状の砥粒を結合剤と混合し、これを高温で焼成し、研削砥石と呼ばれる研磨材とするか、或いは、砥粒と結合剤との混合物を布、紙、フィルム、ファイバー、不織布等の基材上に塗布固定化した研磨材とに大別される。
上記研磨材は、いずれも高速回転する研磨或いは研削工具に取り付け固定されて使用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、いずれの研磨材も、厚み方向の弾性に欠けるため、被研磨体に高速で回転する研磨材を接触させた瞬間にはじかれ、うまく研磨或いは研削ができないという欠点を有していた。このため回転数を下げて研磨するという方法が取られたが、これでは研磨効率、精度共に満足いくものは得られなかった。
【0004】
この点を改良するものとして、砥粒の結合剤として比較的弾性に富む天然ゴム或いは合成ゴムを主成分とする素材が使用されるケースもあったが、砥粒との接着性や研磨材としての耐熱性が劣り、真に実用的な研磨材は得られていないのが現状であった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、従来の研磨材の高速研磨或いは研削時における問題点を改良し、研磨効率、研磨精度に優れた研磨材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、基材に接着層を介して研磨層を積層した研磨材の上記接着層をエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とし、これに好ましくは硬化剤(架橋剤)として光増感剤を用いた光硬化性接着剤組成物、より好ましくは更にシランカップリング剤やアクリロキシ基、メタクリロキシ基又はアリル基含有化合物を添加した光硬化性接着剤組成物の硬化物にて形成した場合、従来の研磨材の上記欠点が改良され、研磨効率、研磨精度に優れた研磨材が得られることを知見した。また、上記研磨層を構成するバインダーとして、上記光硬化性接着剤組成物を用いた場合も同様の効果を与えることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
即ち、本発明は、以下の研磨材を提供する。
請求項1:
基材上に接着層を介して研磨層が積層されてなる研磨材において、上記接着層がエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とする光硬化性接着剤組成物の硬化層により形成されたことを特徴とする研磨材。
請求項2:
基材上に直接又は接着層を介して研磨層が積層されてなる研磨材において、上記研磨層が、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、光増感剤を0.1〜10重量部、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及びアリル基含有化合物のうち少なくとも1つを0.1〜50重量部添加してなる光硬化性接着剤組成物をバインダーとし、この硬化物で研磨剤粒子を結合したものであることを特徴とする研磨材。
請求項3:
接着層がエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とする光硬化性接着剤組成物の硬化層により形成された請求項2記載の研磨材。
請求項4:
接着剤組成物が、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、光増感剤を0.1〜10重量部、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及びアリル基含有化合物のうち少なくとも1つを0.1〜50重量部添加してなることを特徴とする請求項1又は3記載の研磨材。
請求項5:
接着剤組成物が、更に有機過酸化物を0.1〜10重量部添加してなるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の研磨材。
請求項6:
接着剤組成物が、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、シランカップリング剤を0.01〜10重量部添加してなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の研磨材。
請求項7:
接着剤組成物が、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、エポキシ基含有化合物を0.1〜20重量部添加してなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の研磨材。
請求項8:
接着剤組成物が、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、炭化水素樹脂を5〜200重量部添加してなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の研磨材。
請求項9:
エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量が5〜50重量%であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の研磨材。
請求項10:
接着剤組成物の硬化層が、25℃、15Hzでの貯蔵弾性率が1×107〜5×109dyne/cm2の範囲であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の研磨材。
請求項11:
基材が、ガラス転移温度が60℃以上又は融点が100℃以上であり、有機樹脂を主成分とする耐熱性を有する基材であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の研磨材。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき更に詳しく説明すると、本発明の研磨材の第1の態様は、図1に示すように、基材1上に接着層2を介して研磨層3を積層した研磨材において、上記接着層2をエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とする光硬化性接着剤組成物の硬化層にて形成したものである。
【0009】
また、本発明の研磨材の第2の態様は、上記図1の構成の研磨材或いは図2に示した基材1上に直接研磨層3を積層した構成の研磨材において、上記研磨層3のバインダー4として上記光硬化性接着剤組成物を使用し、この硬化物で研磨剤粒子5を結合したものである。この第2の態様において、図1のように接着層2を設けた場合は、この接着層2も上記光硬化性接着剤組成物の硬化層にて形成することが好ましい。
【0010】
なお、上記接着層2は必ずしも1層構成に限られるものではなく、多層構成としてもよいが、上記第1の態様ではその少なくとも1層は上記光硬化性接着剤組成物の硬化層にて形成するものである。
【0011】
上記光硬化性接着剤組成物につき更に詳述すると、この光硬化性接着剤組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とし、好ましくはこれにアクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物、アリル基含有化合物のうちの少なくとも1種とシランカップリング剤を配合し、また硬化剤(架橋剤)として光増感剤を使用することが好ましい。これにより基材と研磨層との一体化が確実に達成され、高速回転時における研磨効率、精度の改良が図られる。またこの場合、この組成物の硬化層は、この点の効果をより確実に達成するため、25℃、15Hzにおける貯蔵弾性率が1×107〜5×109dyne/cm2の範囲であることが好ましい。
【0012】
ここで、本発明に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量は5〜50重量%が好ましく、より好ましくは10〜45重量%である。酢酸ビニル含量が5重量%未満であると、25℃、15Hzでの貯蔵弾性率が高くなりすぎ、また50重量%を超えると逆に低くなりすぎ、耐熱性も低下する場合が生じる。
【0013】
更に、上述したように、前記共重合体にアクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物、アリル基含有化合物のうちの少なくとも1種を添加することによって、前記共重合体を主成分とする接着剤組成物の耐熱性能を向上し、また貯蔵弾性率を制御することができる。この目的に供されるアクリロキシ基、メタクリロキシ基含有化合物としては、アクリル酸又はメタクリル酸誘導体、例えばそのエステルを用いることができる。エステルのアルコール残基としては、メチル基、エチル基、ドデシル基、ステアリル基、ラウリル基のような炭素数1〜24、特に1〜18のアルキル基のほかに、シクロヘキシル基等の炭素数3〜6のシクロアルキル基や、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基等のハロゲン置換、水酸基置換、アミノ基置換などの置換アルキル基(アルキル基の炭素数1〜24、特に1〜18)、グリシジル基などを挙げることができる。更に、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多官能アルコールとのエステルも同様に用いることができる。
【0014】
また、アリル基含有化合物としては、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルヌレエート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレートなどが用いられる。
【0015】
なお、これら化合物は1種を単独で又は2種以上の混合物として使用されるが、その配合量は、上記共重合体100重量部に対し50重量部以下で十分であり、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは0.5〜20重量部である。0.1重量部未満であると耐熱性を低下させることがあり、50重量部を超えると組成物の調製時の作業性や成膜性を低下させることがある。
【0016】
また、本発明では、前記共重合体を主成分とする接着剤組成物と、基材、研磨層に使用される結合剤や砥粒との接着性を更に向上せしめる目的でシランカップリング剤を配合することが好ましい。この目的に供されるシランカップリング剤としては、公知のもの、例えば、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらのシランカップリング剤の配合量は上記共重合体100重量部に対し10重量部又はそれ以下で十分であり、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部である。
【0017】
また、エポキシシラン以外のエポキシ基含有化合物を接着促進剤として添加することもできる。このようなエポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチレン)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノールポリオキシエチレン(5モル)グリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸グリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテル等が挙げられる。またエポキシ基を含有したポリマーをアロイ化したものを用いることによっても同様の効果を得ることができる。これらエポキシ基含有化合物は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができ、添加量は上記共重合体100重量部に対し通常0〜20重量部、特に0.1〜20重量部で十分である。
【0018】
上記組成物の光硬化のために光増感剤を添加することができる。光増感剤としてはラジカル光重合開始剤が好適に用いられる。
【0019】
ラジカル光重合開始剤のうち、水素引き抜き型開始剤として、ベンゾフェノン、オルソベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチル−4−(ジエチルアミノ)−ベンゾエート等が用いられる。またラジカル光重合開始剤のうち、分子内開裂型開始剤として、ベンゾインエーテル、ベンジルジメチルケタールなど、α−ヒドロキシアルキルフェノン型として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アルキルフェニルグリオキシレート、ジエトキシアセトフェノンなどが、α−アミノアルキルフェノン型として、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などが、またアシルフォスフィンオキサイドなどが用いられる。光増感剤としては、これらのうち少なくとも1種を単独で又は2種以上を混合して用いられ、前記共重合体100重量部に対し0.1〜10重量部添加して用いられる。
【0020】
なお、本発明の接着剤組成物には、上記光増感剤に加え、必要により有機過酸化物を配合してもよく、これによって光硬化と共に熱硬化を併用することができる。
【0021】
添加される有機過酸化物としては、70℃以上の温度で分解してラジカルを生ずるものであればいずれも使用可能であるが、半減期10時間の分解温度が50℃以上のものがより好ましい。使用可能な有機過酸化物としては、例えば2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4’−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンズエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、ブチルハイドロパーオキサイド、p−メタンハイドロパーオキサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ヒドロキシへプチルパーオキサイド、クロルヘキサノンパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクトエート、サクシニックアシッドパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、m−トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられる。
【0022】
有機過酸化物としては、これらのうちの少なくとも1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができ、その添加量は上記共重合体100重量部に対し0〜10重量部、特に0.1〜10重量部とすることができる。
【0023】
本発明で用いられる接着剤組成物は、上述したように、その硬化物の貯蔵弾性率が25℃、15Hzの測定条件の下で、1×107〜5×109dyne/cm2の範囲であることが好ましい。この貯蔵弾性率が5×109dyne/cm2を超えると硬化後の組成物層が固くなりすぎ、研磨工具の回転数を上げにくく、このため研磨効率の点で効率低下を招くおそれがある。また、1×107dyne/cm2未満であると、高速回転への対応は可能となるが、硬化性組成物層の機械的強度や研磨時における応力が解放された際の歪みの解消速度が低下し、研磨精度を低下させるおそれがある。なお、貯蔵弾性率は、JIS−K−7213に準拠して測定した値である。
【0024】
なお、貯蔵弾性率を前記範囲内で目的に応じて調整するために、本発明の目的に影響を及ぼさない範囲内で炭化水素樹脂を添加してもよい。この炭化水素樹脂は、天然系樹脂、合成系樹脂のいずれでも差し支えない。
【0025】
天然樹脂系では、ロジン、ロジン誘導体、テルペン系樹脂が好適に用いられる。ロジンとしてはガム系樹脂、トール油系樹脂、ウッド系樹脂を用いることができる。ロジン誘導体としてはロジンをそれぞれ水素化、不均化、重合、エステル化、金属塩化したものを用いることができる。テルペン系樹脂ではα−ピネン、β−ピネンなどのテルペン樹脂のほか、テルペンフェノール樹脂を用いることができる。また、その他の天然樹脂としてダンマル、コーバル、シェラックを用いてもよい。
【0026】
一方、合成樹脂系では、石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂が好適に用いられる。石油系樹脂では脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂、クマロンインデン樹脂等を用いることができる。フェノール系樹脂ではアルキルフェノール樹脂、変性フェノール樹脂を用いることができる。キシレン系樹脂ではキシレン樹脂、変性キシレン樹脂を用いることができる。
【0027】
炭化水素樹脂の配合量は、前記共重合体100重量部に対して、通常0〜200重量部であり、好ましくは5〜150重量部、より好ましくは10〜100重量部である。
【0028】
以上の添加剤のほか、上記接着剤組成物には本発明の目的に支障を来さない範囲で、老化防止剤、染料、加工助剤、紫外線吸収剤等を添加してもよい。
【0029】
次に、研磨材を形成する基材としては、耐熱性を有するものが好ましく、このような基材としては、従来の研磨材に用いられている長石、可溶性粘土、フリット系の結合剤、マグネシア、オキシクロライド系の結合剤のような無機及び金属系の結合剤を焼成して固めた基材をはじめとして、ガラス転移温度が60℃以上又は融点が100℃以上である有機樹脂を主成分とする基材を用いることができる。
【0030】
このような耐熱性を有する有機樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロへキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルホン等のチオエーテル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリルエーテルケトン等のケトン系樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等のサルホン系樹脂のほかに、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース等の有機樹脂を主成分とする基材を用いることができる。このように研磨時の耐熱性のために無機系材料の焼結体が研磨材の基材として好ましいが、有機系材料を使用する場合は、ガラス転移温度が60℃以上及び/又は融点が100℃以上である有機樹脂を主成分とする耐熱性を有する基材を用いることが好ましい。
【0031】
また、本発明で用いられる研磨層は、研削、研磨、切断等に一般に使用される粒状、粉末状の砥粒(研磨剤粒子)を前記接着剤組成物層の表面に直接塗布、散布等の手段を用いて設けてもよく、また砥粒と結合剤との均一混合物を接着剤組成物層の表面に設けてもよい。
【0032】
本発明の研磨層に用いることのできる砥粒としては、コランダム、エメリー、ガーネット、けい砂、トリポリ、軽石、けいそう土、ドロマイト、ダイヤモンド等の天然砥粒や、アルミナ、炭化ケイ素、複合酸化物、炭化ほう素、炭化タングステン、ライム、ルージ、クローカス、酸化クロム、酸化マグネシウム、窒化ほう素、人造ダイヤモンド等の人造砥粒を目的に応じて適宜選択して用いることができる。その平均粒径は0.001〜1000μmの範囲で選定することができる。
【0033】
また、結合剤(バインダー)としては、長石、可溶性粘度、フリットを主要成分とする結合剤や天然或いは合成ゴムの硫黄加硫ゴムやマグネシア、オキシクロライド系結合剤、更にフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂系の接着性結合剤を用いることができる。
【0034】
また、上述したように、上記光硬化性接着剤組成物を結合剤として用いることができる。本発明の光硬化性接着剤組成物を結合剤として使用する場合、その使用量は光硬化性接着剤組成物中の上記樹脂100重量部に対し砥粒(研磨剤粒子)10〜10000重量部、より好ましくは20〜5000重量部、更に好ましくは50〜1000重量部とすることが好適である。研磨砥粒が10重量部より少ないと研磨効率が低下し、10000重量部より多いと研磨層の凝集力が低下し、研磨砥粒がはがれ易く、研磨精度が上がらない場合が生じる。
【0035】
研磨層の厚みは特に制限はないが、少なくとも1μm以上あればよく、好ましくは1μm〜5mmである。基材の厚みにも特に制約はなく、5μm以上あればよく、好ましくは5μm〜5mmである。
【0036】
本発明における研磨材の製造方法を以下に例示するが、必ずしもこれらの方法に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得る方法であればいずれの方法を用いてもよい。
【0037】
まず、上記接着剤組成物は、前記共重合体、硬化剤(光増感剤)、シランカップリング剤、アクリロキシ基,メタクリロキシ基又はアリル基含有化合物等を所定量秤量し、ロールミルやニーダー等の混練り機で均一混合した後、カレンダーロール、T−ダイ押し出し機、インフレーション等の製膜装置により、希望の幅、膜厚に製膜することができる。
【0038】
ここで、膜厚については1〜1000μmとすることが好ましく、更に好ましくは5〜800μmである。膜厚が1μm未満であると、高速回転での研磨がしづらくなり、逆に1000μmを超えると、研磨精度が低下するおそれがある。
【0039】
このようにして製膜された組成物層は、前記基材と、例えば、熱プレスによる貼り合わせ法、押し出し機、カレンダーによる直接ラミネート法やフィルムラミネーターによる加熱圧着法等の常法を用いて積層が可能である。
【0040】
また、接着剤組成物の構成成分を良溶媒に均一に混合溶解し、この溶液を直接前記基材にフローコート法、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法等のキャスティング法により塗工し、溶媒を乾燥することにより製膜してもよく、或いは、前記溶液を離型処理を施した基材上に一旦塗工し、溶媒を乾燥後、得られた組成物層を前記耐熱性を有する基材へ転写積層してもよい。
【0041】
本発明による研磨材の研磨層の形成は、前記基材と組成物層からなる積層体上に、前述したように粒状或いは粉末状の砥粒を塗布、散布、ショット等の手段を用いて設けてもよく、また、砥粒と結合剤との均一混合物を同様の方法で設けてもよい。なお、砥粒を結合剤で結合する方法としては公知の方法が採用し得る。
【0042】
上記光硬化性接着剤組成物の硬化処理としては、基材との積層体形成時に該組成物の一部又は全部を硬化させることができ、また、前記積層体上への研磨層の形成後に残りの部分又は全部を硬化させてもよい。この接着剤組成物層の硬化条件は、水銀ランプ等により紫外線を積層体に照射することにより硬化を行うことができる。また硬化時間短縮や硬化度向上のために、予め研磨材や積層体を40〜120℃に加温しながら、これに紫外線を照射してもよい。
【0043】
本発明による研磨材の研削、研磨、切断工具への取り付け方法には特に制限はなく、常法を用いることができる。例えば、本発明による研磨材の裏面に粘着剤或いは接着剤を施して、上記工具へ取り付ける方法、同研磨材の裏面にマジックテープのような簡便な取り付け用部材を貼り合わせて工具へ取り付ける方法、また、研磨材に工具に加工された凸部に適合する穴を開け、取り付ける方法等を採用できる。更には、ネジ込み式のホルダー等により、機械的に工具に締め付けて取り付ける方法、ベルト式サンダーのようにバネによる張力を利用して取り付ける方法等、用いる工具の種類に応じて公知の取り付け方法を自由に選択することが可能である。
【0044】
【発明の効果】
本発明の研磨材は、研磨効率、研磨精度に優れ、高速研磨性、耐熱性が良好なものである。
【0045】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0046】
〔実施例1〕
表1に示す配合No.Aの混合物20gを50℃のトルエン80gに均一溶解させ、この溶液をポリエーテルサルフォンフィルム(厚さ100μm)上に塗工し、これを50℃のオーブン中で1時間溶媒を乾燥し、ドライ厚みで20μmの光硬化性接着剤組成物層を有する積層体を得た。この表面に研磨層を形成する前に4kwの高圧水銀灯を1分間あて、硬化性組成物層の部分硬化を行った後、この積層体の片面に結合剤/研磨砥粒=フェノール接着剤/アルミナを1:4の重量比で混合した研磨層を10μmの厚みで塗布後、150℃のオーブン中で60分間加熱処理を行って研磨材Aを得た。
【0047】
〔実施例2〕
表1に示す配合No.Bの混合物については、光硬化性接着剤組成物層の硬化条件を4kwの高圧水銀灯の照射時間を5分間とし、完全に硬化させる方法をとる以外は、No.Aと同様の方法により、研磨材Bを得た。
【0048】
【表1】
*1 東ソー社製エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量25%)
【0049】
〔比較例〕
比較例として、50μm厚さのポリエステルフィルム上に直接研磨材Aと同様の研磨層を設けたものを研磨材C(比較例1)とした。また、50μm厚さのポリエステルフィルムと研磨材Aの光硬化性組成物層の代わりに粘着剤(日東電工(株)製#500アクリル系粘着剤)を使用し、これに研磨材Aと同様の研磨層を設けたものを研磨材D(比較例2)とした。
【0050】
得られた研磨材について高速研磨性及び研磨時の耐熱性を評価した。その結果を表2にまとめる。
【0051】
なお、高速研磨性については、リュービ製ジスクグラインダーRS−115用に研磨材を外径115mmの円形に打抜き、穴あけ及びマジックテープ貼り付け加工し、研磨作業における最高使用周速度を測定し、高速研磨性の評価尺度とした。また耐熱性について研磨作業終了後の研磨材の層間のはがれや変形の有無を評価尺度とした。
【0052】
表2に示すように、実施例1,2の研磨材は、最高使用周速度として4000m/min以上の高速研磨性を有しており、一方、比較例1,2の場合は、3000m/min以下であり、この差は歴然としていた。
【0053】
このことより、基材と研磨層の間に弾性を有する本発明の接着層を設けることにより、高速研磨性が大幅に向上し、研磨効率に優れる研磨材を提供できることが証明された。
【0054】
また、耐熱性においても、実施例1,2は、研磨作業後、はがれや変形等の外観変化は全く認められなかった。一方、比較例のうち、弾性は有するが、基材や研磨層との接着性や耐熱性に劣る粘着剤を用いた比較例2の場合は、やはり、研磨作業後、基材と粘着層間のはがれ及び研磨層の破壊が観察され、単に弾性を有する層を基材/研磨層間に設けただけでは効果がないということが明らかになり、本発明の接着層を介した研磨材のみが本発明の目的を達成させることができることが認められた。
【0055】
【表2】
【0056】
〔実施例3〕
表1に示す配合No.Aの混合物とα−SiC(平均粒径5μm)とを1:4の重量比で混合することによって得た研磨層を5μmの厚みで50μm厚さのポリエステルフィルムに塗布後、4kwの高圧水銀灯を用い1分間照射した後、150℃のオーブン中で60分間加熱処理を行って研磨材を得た。
【0057】
〔実施例4〕
ポリエステルフィルムの代わりにポリアリレートフィルムを用いた以外は実施例3と同様にして研磨材を得た。
【0058】
〔実施例5〕
表1に示す配合No.Bの混合物とアルミナ(平均粒径5μm)とを1:4の重量比で混合することによって得た研磨層を10μmの厚みで50μm厚さのポリエステルフィルムに塗布後、4kwの高圧水銀灯を5分間照射して研磨材を得た。
【0059】
〔実施例6〕
ポリエステルフィルムの代わりにポリアリレートフィルムを用いた以外は実施例5と同様にして研磨材を得た。
【0060】
得られた研磨材について、上記と同様にして高速研磨性及び研磨時の耐熱性を評価した。結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研磨材の一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の研磨材の他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基材
2 接着層
3 研磨層
4 バインダー
5 研磨剤粒子
Claims (11)
- 基材上に接着層を介して研磨層が積層されてなる研磨材において、上記接着層がエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とする光硬化性接着剤組成物の硬化層により形成されたことを特徴とする研磨材。
- 基材上に直接又は接着層を介して研磨層が積層されてなる研磨材において、上記研磨層が、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、光増感剤を0.1〜10重量部、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及びアリル基含有化合物のうち少なくとも1つを0.1〜50重量部添加してなる光硬化性接着剤組成物をバインダーとし、この硬化物で研磨剤粒子を結合したものであることを特徴とする研磨材。
- 接着層がエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とする光硬化性接着剤組成物の硬化層により形成された請求項2記載の研磨材。
- 接着剤組成物が、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、光増感剤を0.1〜10重量部、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及びアリル基含有化合物のうち少なくとも1つを0.1〜50重量部添加してなることを特徴とする請求項1又は3記載の研磨材。
- 接着剤組成物が、更に有機過酸化物を0.1〜10重量部添加してなるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の研磨材。
- 接着剤組成物が、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、シランカップリング剤を0.01〜10重量部添加してなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の研磨材。
- 接着剤組成物が、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、エポキシ基含有化合物を0.1〜20重量部添加してなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の研磨材。
- 接着剤組成物が、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、炭化水素樹脂を5〜200重量部添加してなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の研磨材。
- エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量が5〜50重量%であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の研磨材。
- 接着剤組成物の硬化層が、25℃、15Hzでの貯蔵弾性率が1×107〜5×109dyne/cm2の範囲であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の研磨材。
- 基材が、ガラス転移温度が60℃以上又は融点が100℃以上であり、有機樹脂を主成分とする耐熱性を有する基材であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の研磨材。
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