JP3633513B2 - 移動通信システムにおける所望の処理負荷を決定する方法および移動局 - Google Patents

移動通信システムにおける所望の処理負荷を決定する方法および移動局 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動通信システムにおける所望の処理負荷を決定する方法および移動局に関する。
【0002】
【発明の背景】
無線通信システムの利用は、現在では利用者が何百万人にも達するほど発展している。一般的な無線通信システムの一つは、移動局(つまり受話器)と基地局とを持つセルラー方式電話である。セルラー方式電話により、利用者は定位置に留まる必要なく電話で会話することが可能である。これにより利用者は、例えば、電話で会話をしながら地域内を自由に歩き回ることができる。
【0003】
1993年7月に発表されたTIA/EIA,IS−95「デュアルモード広帯域拡散スペクトラムセルラーシステムの移動局−基地局互換性規格」に記載されているように、符号分割多元接続(CDMA)セルラー方式電話通信システムを含む様々な規格で、セルラー方式電話は機能する。CDMAは、独自の符号列を用いてチャネルを作り出す拡散スペクトル多元接続ディジタル通信技術である。CDMAシステムでは、高レベルの干渉が存在しても信号の受信が可能である。信号受信の実際上の制約は、チャネルの条件に左右されるが、上述したIS−95規格に記されたシステムにおけるCDMA受信は、静的チャネル用の信号より18dB大きな干渉が存在しても、実行可能である。一般的にこのシステムは、低レベルの干渉と動的チャネル条件で機能する。
【0004】
CDMA基地局は、毎秒9600ビットの基本データレートを持つ信号により、移動局と通信を行う。そこで、この信号は次に、1.2288MHzの送信ビットレートつまりチップレートに拡散される。拡散によりデータビットにはディジタル符号が加えられ、これによりCDMAシステムに冗長度を追加しながらデータレートが上昇する。次にセル内の全利用者のチップが加えられて、複合ディジタル信号となる。それから複合ディジタル信号は、信号の帯域幅を制限するようにフィルタリングされた直交位相シフトキーイング(QPSK)変調の形を用いて、送信される。
【0005】
基地局は、ページングチャネルと呼ばれるフォワードチャンネルによって呼び出しが行われたことを移動局に伝える。しかし移動局は、ページングチャネルの監視が可能となる前に、どの基地局からページングチャネルを監視するかを最初に決定しなければならない。移動局は、最も強力なチャネル信号を提供する基地局を監視することが望ましい。
【0006】
移動局との通信を行うため、各基地局はパイロットチャネル信号を連続的に送信する。各基地局から送信されたパイロット信号は、同じ拡散符号を持つが符号位相オフセットが異なる。位相オフセットによりパイロット信号がそれぞれ区別され、それにより基地局が区別される。移動局は、システムを決定するため、各基地局より送信されたパイロット信号を用い、周波数、チップ同期を行い、良好なパイロット信号を受信可能な基地局を決定する。これにより移動局は、複数の基地局との通信が可能な状態となる。
【0007】
【発明の概要】
本願は、複数の基地局のパイロット信号を移動局が監視するための所望の処理能力を測定する方法を開示する。移動局が使用することのできる処理能力の量は、制限される。コスト削減のため、製造者は移動局のプロセッサ能力の量を抑えようとする。パイロット信号を連続的にサーチし、パイロット信号のサーチ結果を処理すると、プロセッサの消費電力が増大する。移動局は、基準(reference)パイロット信号(リファレンスパイロット信号)のサーチレートに基づいて次候補の(secondary)パイロット信号、すなわちセカンダリーパイロット信号のサーチレートの変更を指示する。移動局はまた、決定された安全サーチレートに基づいて可変長タイマを調整することによりパイロット信号のサーチに費やされる時間量の調整も指示する。
【0008】
本発明は、具体的には、特許請求の範囲に記載した通りの種々の特徴を有するものであって、それらの特徴および効果は、後述する実施形態から明らかにされる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1に、無線通信システムの一例の要素を示す。交換局(mobile switching center))102は基地局104a〜104k(一つの接続のみ図示)と通信する。基地局104a〜104k(まとめて104)は、セル108a〜108k(まとめて108)内の移動局106に対してデータを送受信する。セル108は、半径が35キロメートル以内、または可能ならばそれ以上の略六角形の地理的範囲である。
【0010】
移動局106は、基地局104に対してデータの送受信を行うことができる。一実施例では、移動局106は符号分割多元接続(CDMA)規格にしたがってデータを送受信する。
【0011】
CDMA規格では、セル108bに隣接する追加セル108a、108c、108d、108eにより、移動局106は通信を中断せずにセルの境界線を越えることができる。これは、隣接セルの基地局104a、104c、104d、104eが、移動局106のためにデータ送受信の処理を引き受けるからである。交換局102は、複数セル範囲において移動局106とのすべての通信を調整する。ゆえに交換局102は、多数の基地局104と通信できる。
【0012】
移動局106がセル間を移動するのを援助するために、各基地局104はパイロット信号を送信する。このパイロット信号は、初期システム同期化を行うためと、基地局104から送信された信号のロバスト(robust)時間、周波数、位相追跡を得るため、移動局106によって検出される。柔軟性を確保するため、移動局106は複数の基地局104からのパイロット信号を監視する。これにより移動局106は、複数の基地局104と通信可能な状態となる。
【0013】
移動局106は、音声またはデータを送信しながら、セル108内で自由に移動できる。移動局106は、他の電話システム利用者とアクティブ通信状態になくても、この移動局106への呼び出し(着信)を検出するため、パイロット信号の検出、同期を行い、ページングチャンネルを監視することで、着信を知ることができる。
【0014】
この種の移動局106の一例は、セル108内を歩行中に電話が掛かってくることを予想してセルラー方式電話の電源を入れておく歩行者によって使用される、セルラー方式電話である。セルラー方式電話は、基地局104との通信を同期化するため、ある周波数(CDMAで使用される周知の周波数)を走査する。セルラー方式電話は次に、CDMAネットワーク内のアクティブ利用者であることを知らせるため、交換局102に位置登録する。
【0015】
呼び出しを検出する際に、セルラー方式電話は、基地局104から送られたデータフレームを走査して、このセルラー方式電話に向けられた呼び出しやページングメッセージを検出する。この呼び出し検出モードでセルラー方式電話は、ページングメッセージデータを受信、記憶、検査し、セルラー方式電話の識別子と適合する移動局106の識別子がデータに含まれるかどうかを判断する。適合が検出された場合、セルラー方式電話は基地局104を介して交換局102との通話を確立する。適合が検出されなかった場合、セルラー方式電話は所定時間、アイドル状態に入り、次にアイドル状態から出て別のページング情報を受信する。
【0016】
通話を試みる際に、移動局106は基地局104に発呼要求を送る。トラフィックチャネルが利用可能な場合、移動局106は、トラフィックチャネルを介して基地局とつながり、通話情報を送信する。しかしトラフィックチャネルが利用可能でない場合には、移動局106は所定の時間量待機してから、再接続を試みる。
【0017】
パイロット信号のサーチレートを判断するためのプロセスが、図2に示される。プロセス200はスタート状態205から始まる。プロセス200は状態210に進み、すべてのカウンタをリセットしてあらゆるタイマをスタートさせる。カウンタとタイマに含まれるのは、チェックカウンタ、タイムアウトタイマ、基準カウンタである。基準カウンタは、サイクル中にリファレンスパイロット信号がサーチされた回数を示す。リファレンスパイロット信号に基づくレートでセカンダリーパイロット信号がサーチされ、セカンダリーパイロット信号をいつサーチするかを決定するのに基準カウンタが使用される。タイムアウトタイマはサーチプロセスを減速させることによりプロセッサ負荷を制限するのに使用できる。チェックカウンタは、タイムアウトタイマを実行可能にする前に規準パイロットがサーチされる回数を判断するのに用いられる。
【0018】
状態215に進み、プロセス200はリファレンスパイロット信号をサーチする。リファレンスパイロット信号は一般的に、移動局106が物理的に位置するセルのパイロット信号である。しかし状況によっては、リファレンスパイロット信号が隣接セルのパイロット信号であることもある。どのパイロット信号がリファレンスパイロット信号となるかを決定する要因は、当該技術分野では周知であるため、ここでは説明しない。
【0019】
状態220に進み、リファレンスパイロット信号が獲得された後、プロセス200は基準カウンタインクリメントする。基準カウンタは、基準カウンタがリセットされてから移動局106がリファレンスパイロット信号をサーチした回数の実行記録を保持する。状態220は、基準カウンタのインクリメントに加えて、図3を参照して後で述べるサブ機能を含む。
【0020】
状態225に進み、プロセス200は一つ以上のセカンダリーパイロット信号をサーチする。移動局106は状態225で、あらゆるセカンダリーパイロット信号をサーチするわけではない。セカンダリーパイロット信号はリファレンスパイロット信号に基づくレートでサーチされる。例えば移動局106は、特定のセカンダリーパイロット信号はリファレンスパイロット信号の半分の頻度で獲得されるだけでよいと判断する。したがって移動局106は、状態225の実行1回おきにこのセカンダリーパイロット信号をサーチするだけとなるだろう。もちろん、各セカンダリーパイロット信号のサーチレートは変化させてよい。
【0021】
状態230に進み、プロセス200はチェックカウンタを進ませる。チェックカウンタは、タイムアウトカウンタが実行可能となる前にリファレンスパイロット信号がサーチされる回数を判断するのに使用される。移動局106は、プロセッサ内にチェックカウンタを備える。
【0022】
プロセス200は状態235に進み、チェックカウンタの現在値がプリセットされたリミット以上であるかどうかを判断する。移動局106はチェックカウンタを最大値にして予めプログラムされるか、移動局106から得られた過去のデータからリミットが決定される。チェックカウンタのプリセットリミットにより、タイムアウトタイマを検査する前に移動局106がリファレンスパイロット信号をサーチする回数が設定される。チェックカウンタがプリセットリミットに達していなければ、プロセス200は状態215に戻り、リファレンスパイロット信号を再度サーチする。チェックカウンタ値がプリセットリミット以上になるまで、プロセス200は、状態215、220、225、230、235により画定されるループ内にある。
【0023】
状態235において、チェックカウンタ値がプリセットリミット以上である場合、プロセス200は状態240に進む。状態240で移動局106はチェックカウンタの値をリセットする。カウンタをリセットした後、プロセス200は状態245に進む。
【0024】
状態245で移動局106は、プロセッサ負荷に必要な何らかの変更を実行する。例えば、プロセスでは、さらにサーチを行う前のタイムアウトタイマの終了を遅らせることがある。これにより、例えば移動局106が所定時間内にリファレンスパイロット信号をサーチする回数が減少してプロセッサ負荷が軽減される。それから移動局106は、基地局との接続を維持するように駆動された状態で、状態215〜245を繰り返す。
【0025】
図3に、図2の状態220のサブプロセス300を示す。サブプロセス300は、リファレンスパイロット信号のサーチレートに基づいてタイムアウトタイマの値を変化させることによりプロセッサ負荷が調整されるように指示するために用いられる。サブプロセス300は、スタート状態305から始まる。状態310に進み、サブプロセス300は所定時間、待機する。サブプロセス300が待機することにより、プロセス200はリファレンスパイロット信号を複数回サーチして、サーチごとに基準カウンタを進ませることができる。過去のデータ、実験、計算、その他の方法に基づいて、移動局106はリファレンスパイロット信号をサーチする最高安全値(maximum safe value)を決定する。状態310で待機する所定時間は、最高安全値により設定される。
【0026】
所定時間が経過した後、サブプロセス300は状態315に進む。状態315でサブプロセス300は、基準カウンタの値を検出する。基準カウンタは、移動局106がリファレンスパイロット信号をサーチした回数を伝える。
【0027】
状態320に進み、サブプロセス300は基準カウンタ値を所定値と比較する。やはり所定値は、リファレンスパイロット信号をサーチする最高安全値に基づいている。移動局106は状態310で所定時間量、待機しているので、移動局106はこの時間中にリファレンスパイロット信号をサーチする必要のある最高回数を設定できる。この回数は、基準カウンタの値と比較される所定値である。
【0028】
基準カウンタの値が所定値以上である場合、リファレンスパイロット信号は必要以上に頻繁にサーチされているため、プロセッサ負荷を増大させている。この状況では、サブプロセス300は、「Yes(イエス)」ブランチから状態325に進む。状態325で、サブプロセスはプロセス負荷が高く、リファレンスパイロット信号がサーチされるレートを遅くすることによりプロセス負荷を軽減するように指示する。これは例えば、タイムアウトタイマの値を増加させることにより、移動局106が所定時間内にリファレンスパイロット信号をサーチする回数を減少させることにより達成される。
【0029】
状態320において、基準カウンタの値が所定値より低い場合には、リファレンスパイロット信号のサーチ頻度が必要以下である。この状況でサブプロセス300は、「No(ノー)」ブランチから状態335に進む。状態335でサブプロセス300は、処理負荷が低く、リファレンスパイロット信号がサーチされるレートを上昇させることにより処理負荷を上げるように指示する。これは例えば、タイムアウトタイマの値を減少させることにより移動局106が所定時間内にリファレンスパイロット信号をサーチする回数を増加させることにより達成される。
【0030】
状態325または335でプロセッサ負荷を指示した後、サブプロセスは状態340に進む。状態340では、基準カウンタの値がリセットされる。次に、プロセス200にしたがって基準カウンタがもう一度インクリメントを開始する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用される無線通信システムの一例の要素を示す図である。
【図2】移動局によるパイロット信号のサーチレートを制限するためのプロセスを示すフローチャートである。
【図3】リファレンスパイロット信号のサーチレートに基づいてタイムアウトタイマの値を変化させるためのプロセスを示すフローチャートである。
【符号の説明】
102…交換局、104a〜104k…基地局、
106…移動局、108a〜108k…セル。

Claims (6)

  1. 移動通信システムにおける移動局のプロセッサが行う方法であって、
    第1レートで基準パイロット信号を検出するステップと
    前記第1レートに基づいて次候補のパイロット信号をサーチするステップと、
    前記検出と前記サーチの後に、所定時間内に前記基準パイロット信号が検出される回数に基づいて、前記基準パイロット信号の検出を中断させる時間量を調整することにより、前記プロセッサの処理負荷を調整するステップを有する。
  2. 基準パイロット信号を検出するパイロット信号検出器と、
    前記基準パイロット信号を検出するたびにインクリメントする基準カウンタと、
    前記基準カウンタが所定値を越えた事を指示するプロセッサ負荷指示器と、を備え、前記指示があった場合に、前記基準パイロット信号を検出するレートを遅くする移動局。
  3. 請求項に記載の移動局において、前記パイロット信号検出器が、前記基準パイロット信号と次候補のパイロット信号とを検出する。
  4. 請求項に記載の移動局において、前記パイロット信号検出器が、前記基準パイロット信号を第1レートで、前記次候補のパイロット信号を第2レートで検出する。
  5. 請求項に記載の移動局において、前記第1レートは前記第2レートより大きい。
  6. 請求項ないしのいずれか1つに記載の移動局において、前記基準カウンタが前記所定値を下回った事を前記プロセッサ負荷指示器が指示した場合に、前記基準パイロット信号を検出するレートを上昇させる。
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