JP3633214B2 - Friction reducing agent for seat belt and raw yarn for seat belt - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に製糸工程等においてシートベルト用原糸に付与する場合に好適な低摩擦化処理剤に関するものである。さらに詳しくは、シートベルト格納性が良好で、且つ、摩耗後も格納性を良好に保持でき、格納耐久性に優れたシートベルトを得るために有効な低摩擦化処理剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シートベルト用原糸を製織してウェビングとし染色した後、シートベルトの引き出しと格納を円滑にするため、即ち格納性向上のために、樹脂コートを施すことが一般に行われている。また、シートベルト用原糸には、その紡糸・延伸工程において紡糸油剤などの種々の処理剤が付与されている。
【0003】
例えば、シートベルトの耐摩耗性改善のためのコート樹脂としては、ウレタンプレポリマーブロック化合物を主成分とする樹脂が知られている(特公平4−66948号公報)。この場合、ウレタンプレポリマーブロック化合物を主成分とする樹脂をシートベルトウェビングに付与し、加熱処理を施すことによって架橋を生じさせて初期の滑り性の絶対値を大きく向上させ、これによって長期間の使用によって滑り性が低下した後も所望水準の滑り性を得ることを意図している。
【0004】
また、従来のシートベルト原糸用の処理剤としては、分岐アルコールと高級脂肪酸のエステルと非イオン活性剤との組成物を主成分とする処理剤(例えば特開平2−175966号公報)が知られている。即ち、このシートベルト原糸用処理剤は、分岐アルコールと高級脂肪酸のエステルとを平滑剤として用い、プロピレンオキサイドを含有しない非イオン活性剤を用いることによって、耐光性を改善しようとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、樹脂コートされたシートベルト、特に前者のような架橋タイプの樹脂でコートされたシートベルトの場合は、ベルト表面が硬くなるので長期間使用していると、シートベルトの出し入れ補助用ガイドであるスルー(ナイロン樹脂製)との繰り返し擦過により、表面にコートされた樹脂が徐々に削り取られて脱落していく。さらに、ベルト表面に汚れ物が徐々に付着していく。これらの結果、経時的に、ベルトの格納や引き出しがスムースにいかなくなり、格納性が経時的に著しく低下していくという大きな問題があった。
【0006】
また、後者のような従来の原糸付与処理剤の場合、樹脂コートなしのノンコートベルトとして用いると樹脂の脱落等による急激な滑り性の低下はないものの、繊維−繊維間摩擦や繊維−金属間摩擦を十分に低下させることができず、初期の滑り性が劣り、しかも耐摩耗性も劣るという大きな問題があり、実用化に至っていない。
【0007】
そこで、本発明の主な目的は、上述した従来技術における問題点を解決し、特にシートベルト原糸付与用として好適な低摩擦化処理剤であって、しかも、シートベルトを構成する繊維の摩擦特性が十分に低く、シートベルトの初期の滑り性が十分に高いとともに、その滑り性等の特性を長期間の使用後も良好に維持することができ、さらに、氷点下のような低温下においても良好な滑り性を発揮することができるシートベルト、即ち、格納性もその耐久性も耐摩耗保持率も優れさらに低温下での格納性にも優れたシートベルトを得ることが可能な低摩擦化処理剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のシートベルト用低摩擦化処理剤は、ポリエーテルのジオール化合物と二塩基酸と一価脂肪酸とからのエステル化物である平均分子量2000〜15000のポリエーテルポリエステル、及びシリコーン系化合物を含有し、かつ、シリコーン系化合物の含有量が2〜50重量%であることを特徴とする。
【0009】
前記ポリエーテルポリエステルを構成するポリオールが、平均分子量が600〜6000であって、かつ、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドの重合体及びポリテトラメチレングリコールのうちのいずれか1種以上であることが好ましく、また、そのポリエーテルポリエステルは、ポリエーテルのジオール化合物と二塩基酸と一価脂肪酸とからのエステル化物であることが好ましい。
【0010】
前記ポリエーテルポリエステルの配合量は、処理剤全体の30重量%以上を占めることが好ましく、前記シリコーン系化合物は、処理剤全体の5〜35重量%を占めることが特に好ましく、さらに、極圧剤成分をも含有させることが好ましい。
また、その処理剤を有効成分とする1〜20重量%濃度の水系エマルジョン液であって、25℃における表面張力が35ダイン/cm以下、かつ、25℃におけるキャンパス法浸透性が15秒以下であるシートベルト用低摩擦化処理液として処理に用いられることが好ましい。さらにまた、その処理剤の繊維への付着量は0.05〜5.0重量%が好ましい。
【0011】
このように本発明の処理剤では特定のポリエーテルポリエステルを配合しているので浸透性が大きく、シートベルト用原糸の内部に位置するフィラメントの表面にも均一に付着できるので、その原糸から構成されるシートベルトは、ベルト内部のフィラメントの表面にも付着剤が均一にコートされたものとなる。従って、表面が樹脂コートされた従来のシートベルトのように樹脂層とベルト(繊維)層との2層構造とはならないから、長期間の使用によってベルト表面部の繊維が削り取られても、ベルト内部の繊維にも処理剤が十分に付着していて低摩擦性であるので、格納性もその耐摩耗保持率もともに高いシートベルトとすることができる。
【0012】
さらに、本発明では、低温下においても液状を保持でき滑りが良好なシリコーン系化合物が併用されているので、低温下において使用する場合でも優れた滑り性を発揮させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の処理剤で使用するポリエーテルポリエステルは、ポリエーテルのジオール化合物とカルボン酸とからのエステル化物であり、その平均分子量は、滑り性や浸透性のために2000〜15000であることを要する。その平均分子量が2000未満と小さ過ぎる場合には油膜の強さが不十分となり摩耗後の滑り性が悪くなるので、所望の効果が得られない。また、分子量が15000を越える場合には摩擦特性を十分に改善できないので、滑り性が悪くなり、所望の効果が得られない。好ましい平均分子量は3000〜10000である。
【0014】
そのポリエーテルポリエステルとしては、二塩基酸の両末端が、後述のようなポリエーテルによってエステル化され、さらにその両末端が一価脂肪酸によってエステル化されてなる化合物のように、一価脂肪酸によるエステル化によって両末端が封鎖されてなるポリエーテルポリエステルであることが好ましい。
【0015】
そのポリエーテルポリエステルを構成するポリエーテル成分は、平均分子量が600〜6000であることが好ましく、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドの重合体やポリテトラメチレングリコールが挙げられ、なかでもポリテトラメチレングリコールが好ましい。その平均分子量が600未満と小さ過ぎる場合には油膜の強さが不十分となり滑り性が悪くなり易い。また、平均分子量が6000を越える場合では摩擦が大きくなりすぎて滑り性が悪くなり易い。好ましい平均分子量は800〜4000である。
【0016】
なお本発明でいう平均分子量はGPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)等で測定される数平均分子量である。
【0017】
また、そのポリエーテルポリエステルを構成する二塩基酸成分としては、マレイン酸、アジピン酸、チオジプロピオン酸、セバチン酸などがあげられる。好ましくはアジピン酸、チオジプロピオン酸、セバチン酸がよい。なお、芳香環のような環状構造を持つ二塩基酸は摩擦低減の効果の点から好ましくなく、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
【0018】
さらにまた、一価脂肪酸成分としては、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸などがあげられる。好ましくは、ラウリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸がよい。
【0019】
さらに、ポリエーテルポリエステルは、常温(20〜25℃)において液状を保つことができる物であることが好ましい。これは、処理剤が付与されたシートベルトが日常的に使用される常温条件下でペースト状とならずに液状を保持でき、低摩擦性という機能が使用時に十分に発揮できるからである。
【0020】
上記ポリエーテルポリエステルは、処理剤全体の30〜100重量%を占めることが好ましく、その1種のみの使用でもよいし2種以上の併用でもよい。その含有量が30重量%未満ではそのポリエーテルポリエステルによる所期の効果が十分に発揮され難く、シートベルトの滑り性や摩耗後の滑り性の点から好ましくない。好ましくは40〜100重量%がよい。
【0021】
本発明の処理剤で使用するシリコーン系化合物としては、25℃における粘度が100〜10000センチポイズの粘度を有するジメチルポリシロキサンやメチルフェニルポリシロキサン、さらに、アミノ変性、ポリエーテル変性、カルボキシ変性、アルキル変性またはポリエステル変性などの変性シリコーンがあげられる。好ましくは、25℃における粘度が200〜7000センチストークスのジメチルポリシロキサンやアミノ変性シリコーンである。
【0022】
上記シリコーン系化合物は処理剤全体の2〜50重量%を占めることが必要であり、好ましくは5〜35重量%である。2重量%未満では、シリコーン化合物を配合したことによる効果が十分に発揮できないので、低温時(例えば極寒地域の冬期気温のような氷点下)における滑り特性を満足させることができない。50重量%を越えるほどに多いと、前記したポリエーテルポリエステルの効果が十分に発揮されず、油膜強度が弱くなって摩耗後の滑り性が悪化するので、所望の摩擦特性が得られ難い。
【0023】
本発明の低摩擦化処理剤は、上記ポリエーテルポリエステルやシリコーン系化合物以外の平滑剤成分(C)や極圧剤成分(D)や界面活性剤成分(E)等を含んでいてもよく、それらの含有量の合計は、多くとも68重量%とすることが好ましい。
【0024】
その平滑剤成分(C)としては、鉱物油(精製スピンドル油、流動パラフィン)、動植物油(ヤシ油、ヒマシ油など)、脂肪酸エステル(イソステアリルラウレート、オレイルオレート、ジオレイルアジペートなど)、アルキルエーテルエステル(ラウリルアルコールのエチレンオキサイド2モル付加物ラウレート、トリデシルアルコールのエチレンオキサイド3モル付加物ラウレートなど)及びワックスなどがあげられ、これらのうちで好ましいものは、脂肪酸エステルおよびアルキルエーテルエステルである。
その平滑剤成分(C)を配合する場合には、その割合は5〜30重量%、特に10〜20重量%の範囲がよい。
【0025】
極圧剤成分(D)は、処理剤の油膜強度を高める作用を有する成分であり、例えば、オレイン酸石鹸、エルシン酸石鹸などの脂肪酸石鹸、ラウリルホスフェートカリウム塩、オレイルホスフェートナトリウム塩などの有機ホスフェート塩、ラウリルスルフォネートナトリウム塩、及び、ドデシルベンゼンスルフォネートナトリウム塩などの有機スルフォネート塩などがあげられる。
【0026】
その極圧剤成分(D)を配合する場合には、その割合は0.02〜10重量%、特に1〜5重量%の範囲がよい。0.02重量%未満では油膜強度を高めるという作用が十分に発揮され難く好ましくない。また、10重量%を越えると粘度上昇が大きくなって滑り性が悪化してくるので好ましくない。
【0027】
また、界面活性剤(E)としては、高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物(オクチルアルコールのエチレン・プロピオンオキサイド付加物、ステアリルアルコールのエチレン・プロピオンオキサイド付加物、オレイルアルコールのエチレンオキサイド付加物など)、多価アルコールエステルのアルキレンオキサイド付加物(硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド25モル付加物、ソルビタントリオレートのエチレンオキサイド20モル付加物など)があげられる。
【0028】
その界面活性剤成分(E)を配合する場合には、その割合は5〜20重量%、特に10〜15重量%の範囲がよい。
【0029】
さらに、本発明の低摩擦化処理剤には、前記した各成分の他に、アルカリ金属、アルキルアミンのアルキレンオキサイド付加物などのPH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤およびフッ素化合物などのその他の添加剤を必要に応じて配合してもよい。
【0030】
上記PH調整剤を配合する場合には、その割合は0.02〜10重量%、特に0.03〜8重量%の範囲がよい。それ以外の添加剤を配合する場合には、それらの割合は、0.02〜10重量%、特に0.03〜5重量%の範囲がよい。
【0031】
本発明の低摩擦化処理剤は、1〜20重量%濃度の水系エマルジョン液にしてシートベルト用原糸の処理に用いることが好ましいが、それらへの付着性や浸透性が損われないならば、さらに高濃度の水系エマルジョン液で用いてもよいし、実質的に希釈なしの原液状態で用いてもよいし、また、有機溶媒で希釈した処理液として用いてもよい。特に好ましくは、2〜10重量%濃度の水系エマルジョン液がよい。
【0032】
1〜20重量%濃度の水系エマルジョンの処理液にして用いる場合、その処理液の25℃における表面張力は35ダイン/cm以下、25℃におけるキャンパス浸透性が15秒以下であることが、原糸への付着やその内部への浸透のために好ましい。その表面張力が35ダイン/cmを超える場合は付着性が不十分となり易い。また、キャンパス浸透性が15秒を超える場合には、処理剤の浸透性が悪くなり易いので、格納性の耐久性を高めるために好ましくない。
【0033】
本発明の低摩擦化処理剤は、処理剤を乳化させた水系エマルジョン処理液のような処理液にして、シートベルト用原糸を製造する製糸工程において付与されればよい。
【0034】
例えば、紡糸された合成繊維を延伸、熱処理して巻取るという製糸工程において熱処理と巻取りとの間で低摩擦化処理液を付与すればよいが、巻取られる原糸に所望量付着させることができるならば紡糸油剤として付与することもできる。また、シートベルト用原糸への付与は巻取った後でもよく、例えば製織の前で付与してもよいが、製糸工程における巻取り直前の付与が好ましい。原糸への付与には、ローラー給油やガイド給油等の方法を用いればよい。
【0035】
処理剤の付着量は、繊維に対する処理剤有効成分の量で、0.05〜5.0重量%であればよく、特に0.2〜2.0重量%が好ましい。
【0036】
このような本発明の低摩擦化処理剤は、原糸に付与することによってシートベルトに要求される所望の低摩擦特性を満足させることができるので、従来のような樹脂コートを施すことなくシートベルトとして用いることができる。
【0037】
さらに、本発明の低摩擦化処理剤は、従来の樹脂コートに比較して浸透性が格段に優れているので、シートベルト用原糸の内部へも大きく浸透でき、これから得られるシートベルトはその内部のフィラメントにも処理剤が均一にコートされたものとなる。従って、ベルト表面のみが樹脂コートされた従来のシートベルトのような樹脂層とベルト(繊維)層との2層構造とはならないから、長期間の使用によってベルト表面部の繊維が削り取られても、ベルト内部の繊維にも処理剤が付着していて低摩擦性であるので、高い格納性を維持することができ、格納性の耐摩耗保持率が高いシートベルトとできるのである。
【0038】
本発明の低摩擦化処理剤はポリエステル繊維等の合成繊維から構成されるシートベルト用原糸に付与されればよい。
【0039】
本発明のシートベルト用低摩擦化処理剤が付与された原糸から得られるシートベルトは、従来のシートベルトに比べ、特に長期間使用した後の滑り性において格段に優れる、即ち格納耐久性に優れるという理由は、以下の作用メカニズムによるものと考えられる。
【0040】
従来のシートベルトでは、例えばウレタンプレポリマーブロック化合物を主成分とする樹脂をベルトに塗布する(特公平4−66948号公報)ことによって滑り性を改良しているが、前記した通り、ベルト表面に被覆された樹脂層が長期間のベルトの繰り返し脱着時の摩耗によって剥離し、滑り性が著しく悪化していくという問題点を有していた。場合によっては、摩耗して剥離した樹脂がスカム状となってかたまったり、摩耗した部分に汚れ物が付着して、滑り性の異常を生じることもあった。そのため、より耐摩耗性の優れた樹脂の開発や、樹脂層を比較的厚く塗布する方法等の多くの試みがなされてきたが、十分満足するものは得られていなかった。
【0041】
一方、本発明ではベルトの滑り性をコート樹脂層に依存せずに、ベルトを構成する糸条の個々のフィラメントの表層に滑り性を付与し、それによって所望の滑り性を得ようとするものである。
【0042】
従来のシートベルトにコートされた樹脂層はベルトの表面を被覆しており、通常、樹脂はベルトの内部にはその一部が浸透しているに過ぎない。即ち、ベルトの最内層部に位置するフィラメントの表面にはコート樹脂が達しておらず、これは、ベルトを分解した繊維の表面物質を分析することにより確認できる。
【0043】
ところが、本発明によると、ベルト表面だけでなくベルト最内層を構成する糸条の各々のフィラメントの表面にも処理剤が付着しているのであり、この点において、従来のシートベルトと大きく異なる。
【0044】
また、従来のシートベルト用コート樹脂は粘着性が高いので、製糸工程におけるシートベルト原糸に付与すると、チーズからの原糸の解舒が困難となり、さらに、ベルト製織工程でのスカムの発生が多くなる等の障害を生じ、実用化することは困難であった。
【0045】
ところが、本発明の処理剤は、従来のシートベルト用コート樹脂のような高い粘着性を有さないので、製糸工程においてシートベルト用原糸に付与して巻取っても、巻取られる原糸の表面特性に実質的な変化は生じない。従って、チーズからの原糸の解舒は容易であり、ベルト製織工程でのスカム発生の障害も生じずに、ベルト製織工程をスムーズに通過させることができる。
【0046】
この結果、シートベルトの製造工程における樹脂コート工程を省略しても、格納耐久性等の特性に優れたシートベルトを得ることができる。
【0047】
このように、本発明の低摩擦化処理剤はシートベルト用原糸に付与することによって優れた格納耐久性等の望ましいシートベルト特性を発揮させることができる。
【0048】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明についてさらに詳述する。
以下の実施例及び比較例における評価は、次の方法で行い、表示したものである。
【0049】
繊維−繊維間の摩擦: 処理剤が付与されたシートベルト用原糸について、レーダ式摩擦測定器を用いて繊維同士間の摩擦係数を測定する。この摩擦の値が小さいほど、繊維同士の擦過が小さくて柔軟性が高いので、滑り性に優れている。
【0050】
繊維−金属間の摩擦: 上記と同様、処理剤が付与されたシートベルト用原糸について、東レ(株)式高荷重ミクロン装置を用いて繊維と金属との間の摩擦係数を測定する。その測定時の繊維と金属との間の滑り速度は0.5m/分又は300m/分とする。滑り速度が0.5m/分の場合の摩擦は、油膜強度の水準を表し、その値が小さいほど油膜強度が強いことを意味する。また、滑り速度が300m/分の場合の摩擦は平滑性の水準を表し、その値が小さいほど滑りが優れていることを意味する。
【0051】
処理液の表面張力(ダイン/cm): 25℃の条件下で処理液の表面張力を協和界面科学(株)製のCBVP−A3型自動表面張力計を用いて測定する。
処理液のキャンパス浸透性(秒): 100ccビーカーに処理液を入れ、25℃の恒温槽で15分間温度調整した後に、液表面に2cm×2cmの大きさで3mmの厚みのウールフェルトを静かに浮かべ、液中に沈降するまでの時間(秒)を測定する。5回の測定を行ない平均値を算出する。
【0052】
スルーとの滑り摩擦(%): シートベルトの一方の端に500gの荷重をセットし、その中間部をスルーに挿通し、他方の端に角度20°で10kgロードセルをセットする。そのロードセルで荷重を引上げる際の強力(F1)及び荷重を基に戻す際の強力(F2)を測定し、(F2/F1)の平方根×100 の値を滑り摩擦(%)とする。その滑り摩擦の値が高い程、摩擦特性が小さく格納性に優れる。
【0053】
摩耗後の滑り摩擦(%): シートベルトを、サンドペーパー(No.500)を摩擦体にして400gの荷重をかけて往復500回摩擦させてベルト表面を摩耗させる。摩耗後にスルーとの滑り摩擦を上記と同様の方法で測定し、摩耗後の滑り摩擦(%)とする。
【0054】
六角棒摩耗保持率(%): 耐摩耗性試験(JIS−4604法)に準じて、5000回摩耗後のシートベルトの強力を測定し、摩耗前の強力から強力保持率を算出する。
【0055】
[実施例1〜5及び比較例1〜4]
ポリエチレンテレフタレートを溶融紡糸し、紡糸速度500m/分で引取り、巻取ることなく引続いて、245℃のホットローラーを用いる2段延伸により、全延伸倍率5倍に熱延伸し、次いで、巻取り直前に、表1の組成からなる処理剤の20重量%水エマルジョン液をオイリングロ−ラを用いて有効成分量で1.0重量%付与し、3000m/分で巻き取り、1500デニール144フィラメントのポリエステルフィラメント糸のシートベルト原糸を製造した。
【0056】
表1における処理剤成分の各記号は下記に示す化合物を表わすものである。A1〜A3は本発明で特定したポリエーテルポリエステル、B1〜B3は本発明で必要なシリコーン系化合物であり、C1〜C2はそれ以外の平滑剤成分(C)であり、D1〜D3は極圧剤成分(D)であり、E1〜E4は界面活性剤成分(E)であり、また、F1〜E2は、その他の添加剤である。また、R1〜R2は、従来の樹脂コートにおいて用いられている樹脂成分である。
【0057】
A1・・エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・コポリマ−(1700)とアジピン酸とオレイン酸とのエステル(分子量4000)
A2・・ポリテトラメチレングリコ−ル(2200)とチオジプロピオン酸とイソステアリン酸とのエステル(分子量5000)
A3・・エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・コポリマ−とセバチン酸(1400)とイソステアリン酸とのエステル(分子量3500)
B1・・ジメチルポリシロキサン(粘度350センチストークス)
B2・・ジメチルポリシロキサン(粘度1000センチストークス)
B3・・アミノ変性シリコン
C1・・オレイルオレート
C2・・イソステアリルオレ−ト
【0058】
D1・・ラウリル(EO)2ホスフェ−トK塩
D2・・イソステアリルアルコ−ル(EO)3ホスフェ−トNa塩
D3・・オレイン酸石鹸
E1・・ラウリルアルコ−ルPO・EO付加物(分子量1500)
E2・・オクチルアルコ−ルPO・EO付加物(分子量1500)
E3・・オレイルアルコ−ルEO付加物(分子量900)
E4・・硬化ヒマシ油(EO)10モル付加物
F1・・“IRGANOX”245(チバガイギー(株) 社製)
F2・・ステアリルアミン(EO)10モル付加物
R1・・ヒドロキシ含有シリコン、ウレタンプレポリマ−ブロック化物が主成分の樹脂
R2・・メチロ−ルメラミン樹脂
【0059】
【表1】
注) 表中の数字は重量%を示す。
【0060】
処理剤が付着されたシートベルト用原糸について摩擦特性を評価した結果は、表2に示すとおりであった。
さらに、得られたシートベルト用原糸を用いて通常の方法で製織してシートベルトウエビングを製造し、通常の方法で黒色に染色し、樹脂コートせずにシートベルトとした。
得られたシートベルトについてその特性を評価した結果は表2に示すとおりであった。
【0061】
【表2】
【0062】
表2から明らかなように、本発明による実施例1〜5の場合は、シートベルト原糸の摩擦特性が低く、シートベルトとスルーとの滑り性も良好であり、しかも、摩耗させた後でもシートベルトとスルーとの滑り性は殆ど低下せず、格納性及びその耐久性に優れていた。さらに六角棒摩耗による耐久性にも優れていた。
【0063】
これに対し、本発明で特定した化合物を配合しなかった比較例1の場合、及び、従来のコート樹脂を付与した比較例3、4の場合は、スルーとの滑り性が良好なものほど摩耗による滑りの悪化が大きく、いずれも、摩耗後の滑り性は不満足なものであった。さらに、六角棒摩耗による耐久性も劣っていた。
【0064】
また、低摩擦化処理剤の低温特性を調べるため、処理剤を−20℃の低温条件下に24時間放置した後の処理剤の性状を、次の基準で評価し、結果を表2に併記した。
○:処理剤中に液状物が存在している。 △:液状物が殆ど存在しない。 ×:全て固形分である。
【0065】
さらに、実施例2と比較例2とについて、処理剤が付着したシートベルト用原糸の繊維−金属間摩擦(300m/分)を−20℃の低温条件下で測定したところ、実施例2の場合は摩擦が低く滑り良好であったが、比較例2の場合は、摩擦が高く滑りが悪かった。
【0066】
このように、シリコーン系化合物を2〜50重量%併用した実施例の処理剤では低温下においても液状物が存在し、低温下においても良好な低摩擦特性を発揮させ得たが、シリコーン系化合物の含有量がなし又は少な過ぎた比較例の場合は、低温下において液状物が実質的に存在せず、低温下において低摩擦特性を発揮できなかった。
【0067】
【発明の効果】
本発明のシートベルト用低摩擦化処理剤によるとシートベルト用原糸への付与によって望ましい特性のシートベルトを得ることが可能となる。
【0068】
しかも、その処理剤が付与されて得られるシートベルトは、それを構成する原糸の摩擦特性が十分に低く、シートベルトの初期の滑り性が十分に高いとともに、その滑り性等の特性を長期間の使用後も良好に維持することができ、さらに、氷点下のような低温下においても良好な滑り性を発揮できるので、格納性もその耐久性も耐摩耗保持率も優れさらに低温下での格納性にも優れたシートベルトとすることができる。
【0069】
特にポリエステル繊維からなるシートベルトの場合に効果的であり、滑り性、耐摩耗性、格納性がともに優れたポリエステル繊維製シートベルトを得ることができる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a friction-reducing treatment agent that is suitable particularly when applied to a seat belt yarn in a yarn production process or the like. More specifically, the present invention relates to a low friction treatment agent that is effective for obtaining a seat belt that has good seat belt storage performance, can maintain good storage performance even after wear, and has excellent storage durability.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, after weaving a seat belt raw yarn and dyeing it as a webbing, a resin coating is generally applied in order to smoothly pull out and store the seat belt, that is, to improve storage performance. In addition, various processing agents such as a spinning oil agent are imparted to the seat belt raw yarn in the spinning and drawing process.
[0003]
For example, as a coating resin for improving the wear resistance of a seat belt, a resin mainly composed of a urethane prepolymer block compound is known (Japanese Patent Publication No. 4-66948). In this case, a resin having a urethane prepolymer block compound as a main component is applied to the seat belt webbing and subjected to heat treatment to cause cross-linking, thereby greatly improving the absolute value of the initial slipperiness. It is intended to obtain the desired level of slip even after the slip is reduced by use.
[0004]
Further, as a conventional processing agent for seat belt yarn, there is known a processing agent (for example, JP-A-2-175966) mainly composed of a composition of a branched alcohol, a higher fatty acid ester and a nonionic active agent. It has been. That is, this seatbelt yarn treating agent is intended to improve light resistance by using a branched alcohol and a higher fatty acid ester as a smoothing agent and using a nonionic active agent not containing propylene oxide. .
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the case of a seat belt coated with a resin, especially a seat belt coated with a cross-linking type resin like the former, the belt surface becomes hard, so if it is used for a long time, it will be a guide for taking in and out the seat belt. By repeatedly rubbing with a certain through (made of nylon resin), the resin coated on the surface is gradually scraped off and dropped off. Furthermore, dirt is gradually attached to the belt surface. As a result, there has been a serious problem that the belt cannot be stored and pulled out smoothly over time, and the storage performance is significantly reduced over time.
[0006]
Further, in the case of the conventional raw yarn imparting treatment agent such as the latter, when used as a non-coated belt without a resin coat, although there is no sudden decrease in slipperiness due to dropping off of the resin, the fiber-fiber friction and the fiber-metal interface There is a big problem that the friction cannot be lowered sufficiently, the initial slipperiness is inferior and the wear resistance is also inferior, and it has not been put into practical use.
[0007]
Therefore, the main object of the present invention is to solve the above-mentioned problems in the prior art, and is a low friction treatment agent particularly suitable for applying a seat belt raw yarn, and also the friction of fibers constituting the seat belt. The characteristics are sufficiently low, the initial slipperiness of the seat belt is sufficiently high, the characteristics such as slipperiness can be maintained well even after long-term use, and even at low temperatures such as below freezing Low friction that enables to obtain a seat belt that can exhibit good slipperiness, that is, a seat belt that has excellent storability, durability and wear resistance retention, and also has excellent storability at low temperatures. It is to provide a treatment agent.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the low friction treatment agent for seat belts of the present invention comprises: Polyester diol compound, dibasic acid and monovalent fatty acid esterified product Polyether polyester with an average molecular weight of 2000-15000 , And a silicone compound, and the silicone compound content is 2 to 50% by weight.
[0009]
The polyol constituting the polyether polyester preferably has an average molecular weight of 600 to 6000, and is at least one of a polymer of ethylene oxide and / or propylene oxide and polytetramethylene glycol. The polyether polyester is preferably an esterified product of a polyether diol compound, a dibasic acid and a monovalent fatty acid.
[0010]
The blending amount of the polyether polyester preferably occupies 30% by weight or more of the whole treatment agent, the silicone compound particularly preferably occupies 5 to 35% by weight of the whole treatment agent, and an extreme pressure agent. It is preferable that components are also contained.
Also, an aqueous emulsion having a concentration of 1 to 20% by weight containing the treatment agent as an active ingredient, having a surface tension at 25 ° C. of 35 dynes / cm or less and a campus method permeability at 25 ° C. of 15 seconds or less. It is preferably used as a low friction treatment liquid for seat belts. Furthermore, the amount of the treatment agent attached to the fibers is preferably 0.05 to 5.0% by weight.
[0011]
As described above, the treatment agent of the present invention is blended with a specific polyether polyester, so that it has high permeability and can evenly adhere to the surface of the filament located inside the seat belt raw yarn. The configured seat belt is such that the surface of the filament inside the belt is evenly coated with the adhesive. Therefore, since it does not have a two-layer structure of a resin layer and a belt (fiber) layer as in a conventional seat belt with a resin-coated surface, even if the fiber on the belt surface is scraped off due to long-term use, the belt Since the treatment agent is sufficiently adhered to the internal fibers and has low friction, the seatbelt can be both high in storability and wear resistance retention.
[0012]
Furthermore, in the present invention, since a silicone compound that can maintain a liquid state even at a low temperature and has a good sliding property is used in combination, an excellent sliding property can be exhibited even when used at a low temperature.
[0013]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The polyether polyester used in the treatment agent of the present invention is an esterified product of a diol compound of a polyether and a carboxylic acid, and its average molecular weight is slippery. Sex or immersion It needs to be 2000-15000 for permeability. When the average molecular weight is too small as less than 2000, the oil film has insufficient strength and the slipperiness after wear is deteriorated, so that a desired effect cannot be obtained. On the other hand, when the molecular weight exceeds 15000, the frictional characteristics cannot be improved sufficiently, so that the slipping property is deteriorated and a desired effect cannot be obtained. A preferable average molecular weight is 3000 to 10,000.
[0014]
As the polyether polyester, both ends of dibasic acid are esterified with a polyether as described below, and further, both ends are esterified with a monovalent fatty acid. It is preferable to be a polyether polyester in which both ends are blocked by conversion.
[0015]
The polyether component constituting the polyether polyester preferably has an average molecular weight of 600 to 6000, and examples thereof include polymers of ethylene oxide and / or propylene oxide and polytetramethylene glycol. preferable. When the average molecular weight is too small as less than 600, the strength of the oil film becomes insufficient and the slipperiness tends to deteriorate. On the other hand, when the average molecular weight exceeds 6000, the friction becomes too large and the slipperiness tends to deteriorate. A preferable average molecular weight is 800-4000.
[0016]
In addition, the average molecular weight as used in the field of this invention is a number average molecular weight measured by GPC (gel permeation chromatography) etc.
[0017]
Examples of the dibasic acid component constituting the polyether polyester include maleic acid, adipic acid, thiodipropionic acid, and sebacic acid. Adipic acid, thiodipropionic acid, and sebacic acid are preferable. A dibasic acid having a cyclic structure such as an aromatic ring is not preferable from the viewpoint of friction reduction effect, and an aliphatic dicarboxylic acid is preferable.
[0018]
Furthermore, examples of the monovalent fatty acid component include octylic acid, lauric acid, myristic acid, palmitic acid, stearic acid, isostearic acid, oleic acid, ricinoleic acid, linoleic acid, and linolenic acid. Lauric acid, isostearic acid and oleic acid are preferred.
[0019]
Furthermore, it is preferable that polyether polyester is a thing which can maintain a liquid state at normal temperature (20-25 degreeC). This is because the seat belt provided with the treatment agent can be maintained in a liquid state without being in a paste form under normal temperature conditions where it is routinely used, and the function of low friction can be sufficiently exerted during use.
[0020]
The polyether polyester preferably accounts for 30 to 100% by weight of the entire treatment agent, and may be used alone or in combination of two or more. If the content is less than 30% by weight, the desired effect of the polyether polyester is not sufficiently exerted, which is not preferable from the viewpoint of slipperiness of the seat belt and slipperiness after wear. Preferably 40-100 weight% is good.
[0021]
Examples of the silicone compound used in the treatment agent of the present invention include dimethylpolysiloxane and methylphenylpolysiloxane having a viscosity of 100 to 10,000 centipoise at 25 ° C., and amino-modified, polyether-modified, carboxy-modified, and alkyl-modified. Or, modified silicone such as polyester-modified may be used. Preferred is dimethylpolysiloxane or amino-modified silicone having a viscosity at 25 ° C. of 200 to 7000 centistokes.
[0022]
The silicone compound is required to occupy 2 to 50% by weight, preferably 5 to 35% by weight of the entire treatment agent. If it is less than 2% by weight, the effect of blending the silicone compound cannot be sufficiently exerted, so that it is not possible to satisfy the slip characteristics at low temperatures (for example, below the freezing point such as winter temperatures in extremely cold regions). When the amount exceeds 50% by weight, the effect of the polyether polyester is not sufficiently exhibited, the oil film strength is weakened, and the slipperiness after wear is deteriorated, so that it is difficult to obtain desired friction characteristics.
[0023]
The friction-reducing treatment agent of the present invention may contain a smoothing agent component (C), an extreme pressure agent component (D), a surfactant component (E), etc. other than the polyether polyester and silicone compound, The total content thereof is preferably at most 68% by weight.
[0024]
The smoothing agent component (C) includes mineral oil (refined spindle oil, liquid paraffin), animal and vegetable oil (coconut oil, castor oil, etc.), fatty acid ester (isostearyl laurate, oleyl oleate, dioleyl adipate, etc.), alkyl Examples include ether esters (laurate alcohol ethylene oxide 2 mol adduct laurate, tridecyl alcohol ethylene oxide 3 mol adduct laurate, etc.) and waxes. Among these, fatty acid esters and alkyl ether esters are preferred. .
When the smoothing agent component (C) is blended, the proportion is 5 to 30% by weight, particularly 10 to 20% by weight.
[0025]
The extreme pressure agent component (D) is a component having an action of increasing the oil film strength of the treatment agent. For example, fatty acid soaps such as oleic acid soap and erucic acid soap, organic phosphates such as lauryl phosphate potassium salt and oleyl phosphate sodium salt. And organic sulfonate salts such as sodium lauryl sulfonate and sodium dodecyl benzene sulfonate.
[0026]
When the extreme pressure agent component (D) is blended, the ratio is preferably 0.02 to 10% by weight, particularly 1 to 5% by weight. If it is less than 0.02% by weight, the effect of increasing the oil film strength is not sufficiently exhibited, which is not preferable. On the other hand, if it exceeds 10% by weight, the increase in viscosity becomes large and the slipping property deteriorates, which is not preferable.
[0027]
The surfactant (E) includes higher alcohol alkylene oxide adducts (octyl alcohol ethylene propion oxide adduct, stearyl alcohol ethylene propion oxide adduct, oleyl alcohol ethylene oxide adduct, etc.) And an alkylene oxide adduct of a monohydric alcohol ester (25 mol adduct of hydrogenated castor oil, 20 mol adduct of sorbitan trioleate).
[0028]
When the surfactant component (E) is blended, the proportion is preferably 5 to 20% by weight, particularly 10 to 15% by weight.
[0029]
Further, the friction-reducing treatment agent of the present invention includes, in addition to the above-mentioned components, PH adjusters such as alkali metals and alkylene oxide adducts of alkylamines, antioxidants, ultraviolet absorbers, fluorine compounds and the like. These additives may be blended as necessary.
[0030]
In the case where the pH adjusting agent is blended, the ratio is preferably 0.02 to 10% by weight, particularly 0.03 to 8% by weight. When other additives are blended, the proportion thereof is preferably 0.02 to 10% by weight, particularly 0.03 to 5% by weight.
[0031]
The low friction treatment agent of the present invention is preferably used in the treatment of a seat belt raw yarn in the form of an aqueous emulsion having a concentration of 1 to 20% by weight, provided that adhesion and permeability to them are not impaired. Further, it may be used in a high-concentration aqueous emulsion solution, in an undiluted undiluted solution state, or used as a treatment solution diluted with an organic solvent. Particularly preferred is an aqueous emulsion having a concentration of 2 to 10% by weight.
[0032]
When used as a treatment liquid of an aqueous emulsion having a concentration of 1 to 20% by weight, the surface tension of the treatment liquid at 25 ° C. is 35 dynes / cm or less, and the campus permeability at 25 ° C. is 15 seconds or less. Preferred for adhesion to and penetration into the interior. If the surface tension exceeds 35 dynes / cm, the adhesion tends to be insufficient. Further, if the campus permeability exceeds 15 seconds, the permeability of the treatment agent tends to deteriorate, which is not preferable in order to increase the durability of the storage property.
[0033]
The friction-reducing treatment agent of the present invention may be applied in a yarn making process for producing a seat belt raw yarn by using a treatment solution such as an aqueous emulsion treatment solution emulsified with a treatment agent.
[0034]
For example, a low friction treatment solution may be applied between the heat treatment and the winding in the spinning process in which the spun synthetic fiber is drawn, heat treated and wound, but the desired amount is attached to the raw yarn to be wound. Can be added as a spinning oil. Further, the application to the seat belt raw yarn may be performed after winding, for example, may be performed before weaving, but is preferably applied immediately before winding in the yarn forming process. A method such as roller lubrication or guide lubrication may be used for applying to the raw yarn.
[0035]
The adhesion amount of the treatment agent may be 0.05 to 5.0% by weight, particularly preferably 0.2 to 2.0% by weight, based on the amount of the treatment agent active ingredient with respect to the fiber.
[0036]
Such a low friction treatment agent of the present invention can satisfy desired low friction characteristics required for a seat belt by being applied to the raw yarn, so that the sheet can be formed without applying a resin coating as in the prior art. It can be used as a belt.
[0037]
Furthermore, since the low friction treatment agent of the present invention has remarkably superior permeability compared to conventional resin coatings, it can penetrate significantly into the seat belt raw yarn, and the seat belt obtained therefrom has its The inside filament is evenly coated with the treatment agent. Therefore, since it does not have a two-layer structure of a resin layer and a belt (fiber) layer as in a conventional seat belt in which only the belt surface is coated with a resin, even if the fiber on the belt surface is scraped off over a long period of use. Since the treatment agent is also attached to the fibers inside the belt and has low friction, it is possible to maintain a high storability and to obtain a seat belt having a high storability and wear resistance retention rate.
[0038]
The friction-reducing treatment agent of the present invention may be applied to a seat belt yarn composed of synthetic fibers such as polyester fibers.
[0039]
The seat belt obtained from the raw yarn to which the low-friction processing agent for seat belt of the present invention is applied is particularly excellent in slipperiness after long-term use, that is, in storage durability, compared to the conventional seat belt. The reason for being excellent is considered to be due to the following mechanism of action.
[0040]
In a conventional seat belt, for example, a resin having a urethane prepolymer block compound as a main component is applied to the belt (Japanese Patent Publication No. 4-66948), but as described above, There was a problem that the coated resin layer peeled off due to abrasion during repeated removal and removal of the belt for a long period of time, and the slipperiness deteriorated remarkably. In some cases, the resin that has been abraded and peeled has become scum-like, or dirt has adhered to the abraded portion, resulting in abnormal slipperiness. For this reason, many attempts have been made to develop a resin with higher wear resistance and a method of applying a relatively thick resin layer. However, satisfactory attempts have not been obtained.
[0041]
On the other hand, according to the present invention, the slipping property of the belt is not dependent on the coating resin layer, but the slipping property is imparted to the surface layer of the individual filaments constituting the belt, thereby obtaining the desired slipping property. It is.
[0042]
A resin layer coated on a conventional seat belt covers the surface of the belt, and usually, only a part of the resin penetrates into the belt. That is, the coating resin does not reach the surface of the filament located in the innermost layer portion of the belt, and this can be confirmed by analyzing the surface material of the fiber that has decomposed the belt.
[0043]
However, according to the present invention, the treatment agent is attached not only to the surface of the belt but also to the surface of each filament constituting the innermost layer of the belt. In this respect, it is greatly different from the conventional seat belt.
[0044]
Also, since the conventional seat belt coat resin is highly adhesive, if applied to the seat belt raw yarn in the yarn making process, it becomes difficult to unravel the raw yarn from cheese, and further, scum is generated in the belt weaving process. It was difficult to put it to practical use because it caused many obstacles.
[0045]
However, since the treatment agent of the present invention does not have high tackiness as in the conventional seat belt coating resin, even if it is applied to the seat belt raw yarn and wound in the yarn making process, the raw yarn is wound up. There is no substantial change in the surface properties. Therefore, the unwinding of the raw yarn from the cheese is easy, and the belt weaving process can be smoothly passed without causing an obstacle to the occurrence of scum in the belt weaving process.
[0046]
As a result, even if the resin coating step in the seat belt manufacturing process is omitted, a seat belt having excellent characteristics such as storage durability can be obtained.
[0047]
As described above, the low friction treatment agent of the present invention can exert desirable seat belt characteristics such as excellent storage durability by being applied to the seat belt raw yarn.
[0048]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to examples.
Evaluation in the following examples and comparative examples is performed and displayed by the following method.
[0049]
Friction between fibers: For a seat belt raw yarn to which a treatment agent is applied, a friction coefficient between fibers is measured using a radar friction measuring device. The smaller the friction value, the smaller the abrasion between the fibers and the higher the flexibility.
[0050]
Friction between fiber and metal: In the same manner as described above, the friction coefficient between the fiber and the metal is measured using a high-load micron apparatus manufactured by Toray Industries, Inc. for the seatbelt yarn provided with the treatment agent. The sliding speed between the fiber and the metal during the measurement is 0.5 m / min or 300 m / min. The friction when the sliding speed is 0.5 m / min represents the level of oil film strength, and the smaller the value, the stronger the oil film strength. Further, the friction when the sliding speed is 300 m / min represents the level of smoothness, and the smaller the value, the better the sliding.
[0051]
Surface tension of treatment liquid (dyne / cm): The surface tension of the treatment liquid is measured using a CBVP-A3 type automatic surface tension meter manufactured by Kyowa Interface Science Co., Ltd. at 25 ° C.
Campus permeability of treatment liquid (seconds): After placing the treatment liquid in a 100 cc beaker and adjusting the temperature in a thermostatic bath at 25 ° C for 15 minutes, gently place a wool felt of 2cm x 2cm and 3mm thickness on the liquid surface. Measure the time (seconds) to float and settle in the liquid. Five measurements are performed and the average value is calculated.
[0052]
Sliding friction with the through (%): A load of 500 g is set on one end of the seat belt, an intermediate portion thereof is inserted into the through, and a 10 kg load cell is set on the other end at an angle of 20 °. The strength (F1) when pulling up the load with the load cell and the strength (F2) when returning the load to the base are measured, and the value of the square root of (F2 / F1) × 100 is defined as sliding friction (%). The higher the value of the sliding friction, the smaller the friction characteristic and the better the storage property.
[0053]
Sliding friction after wear (%): The seat belt is rubbed back and forth 500 times with a load of 400 g using sandpaper (No. 500) as a friction body to wear the belt surface. After wear, the sliding friction with the through is measured by the same method as described above, and is defined as the sliding friction (%) after wear.
[0054]
Hexagon stick wear retention rate (%): According to the wear resistance test (JIS-4604 method), the strength of the seat belt after 5000 wear is measured, and the strength retention rate is calculated from the strength before wear.
[0055]
[Examples 1 to 5 and Comparative Examples 1 to 4]
Polyethylene terephthalate is melt-spun, taken up at a spinning speed of 500 m / min, continuously wound without winding, and then hot-drawn to a total draw ratio of 5 times by two-stage drawing using a hot roller at 245 ° C. Immediately before, a 20% by weight aqueous emulsion solution of the treating agent having the composition shown in Table 1 was applied in an amount of 1.0% by weight using an oiling roller, wound up at 3000 m / min, and a polyester having 1500 denier 144 filaments. Filament yarn seat belt yarn was produced.
[0056]
Each symbol of the treating agent component in Table 1 represents the compound shown below. A1 to A3 are polyether polyesters specified in the present invention, B1 to B3 are silicone compounds necessary in the present invention, C1 to C2 are other smoothing agent components (C), and D1 to D3 are extreme pressures. Agent component (D), E1 to E4 are surfactant components (E), and F1 to E2 are other additives. R1 and R2 are resin components used in conventional resin coatings.
[0057]
A1 ·· Ethylene oxide · Propylene oxide · Copolymer (1700), ester of adipic acid and oleic acid (molecular weight 4000)
A2.Ester of polytetramethylene glycol (2200), thiodipropionic acid and isostearic acid (molecular weight 5000)
A3..Ester of ethylene oxide, propylene oxide, copolymer, sebacic acid (1400) and isostearic acid (molecular weight 3500)
B1..Dimethylpolysiloxane (viscosity 350 centistokes)
B2 ・ ・ Dimethylpolysiloxane (viscosity 1000 centistokes)
B3..Amino-modified silicon
C1 oleyl oleate
C2 ..Istestearyl salt
[0058]
D1..Lauryl (EO) 2 phosphate K salt
D2 .. Isostearyl alcohol (EO) 3 phosphate Na salt
D3 .. oleic acid soap
E1 ・ ・ Lauryl alcohol PO ・ EO adduct (Molecular weight 1500)
E2 ·· Octyl alcohol PO · EO adduct (Molecular weight 1500)
E3..oleyl alcohol EO adduct (molecular weight 900)
E4 .. Hardened castor oil (EO) 10 mol adduct
F1 .. "IRGANOX" 245 (Ciba Geigy Co., Ltd.)
F2 ·· stearylamine (EO) 10 mol adduct
Resin mainly composed of R1 ·· hydroxy-containing silicon and urethane prepolymer block
R2 ・ ・ Methylol melamine resin
[0059]
[Table 1]
Note) Numbers in the table indicate% by weight.
[0060]
The results of evaluating the friction characteristics of the seat belt raw yarn to which the treatment agent was attached were as shown in Table 2.
Further, the obtained seat belt yarn was woven by a usual method to produce a seat belt webbing, dyed black by a usual method, and used as a seat belt without resin coating.
The results of evaluating the characteristics of the obtained seat belt are as shown in Table 2.
[0061]
[Table 2]
[0062]
As is apparent from Table 2, in the case of Examples 1 to 5 according to the present invention, the friction characteristics of the seat belt raw yarn are low, the sliding property between the seat belt and the through is good, and even after being worn. The slipperiness between the seat belt and the through was hardly lowered, and the storage property and the durability thereof were excellent. Furthermore, it was excellent in durability due to hexagonal bar wear.
[0063]
On the other hand, in the case of Comparative Example 1 in which the compound specified in the present invention was not blended and in the case of Comparative Examples 3 and 4 to which the conventional coating resin was applied, the better the slipperiness with the through, the more worn out. The slippage due to wear was greatly deteriorated, and in all cases, the slipperiness after wear was unsatisfactory. Furthermore, the durability due to hexagonal bar wear was also poor.
[0064]
In addition, in order to investigate the low temperature characteristics of the low friction treatment agent, the properties of the treatment agent after being left for 24 hours under a low temperature condition of −20 ° C. were evaluated according to the following criteria, and the results are also shown in Table 2. did.
○: A liquid is present in the treatment agent. Δ: Almost no liquid material exists. X: All are solid content.
[0065]
Furthermore, for Example 2 and Comparative Example 2, the fiber-metal friction (300 m / min) of the seat belt yarn with the treatment agent attached was measured under a low temperature condition of -20 ° C. In this case, the friction was low and the slip was good, but in Comparative Example 2, the friction was high and the slip was bad.
[0066]
As described above, in the treatment agents of Examples in which 2 to 50% by weight of the silicone compound was used in combination, a liquid material was present even at a low temperature, and good low friction characteristics could be exhibited even at a low temperature. In the case of the comparative example in which the content of N was not or was too small, the liquid material was not substantially present at a low temperature, and the low friction characteristics could not be exhibited at a low temperature.
[0067]
【The invention's effect】
According to the low friction-reducing agent for seat belts of the present invention, it is possible to obtain a seat belt having desirable characteristics by being applied to the seat belt raw yarn.
[0068]
In addition, the seat belt obtained by applying the treatment agent has a sufficiently low frictional property of the raw yarn constituting it, sufficiently high initial slipperiness of the seatbelt, and long characteristics such as slipperiness. It can be maintained well after a period of use, and it can exhibit good slipperiness even at low temperatures such as below freezing point, so it has excellent storability, durability and wear resistance retention. It can be set as the seatbelt excellent also in storability.
[0069]
Particularly effective in the case of a seat belt made of polyester fiber, it is possible to obtain a polyester fiber seat belt excellent in slipperiness, wear resistance and storage.
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